JP3669922B2 - 磁気ヘッドサスペンション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)用の磁気ヘッドを支持すると共に、該磁気ヘッドを微動させ得る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】
HDDにおいては、記録密度の増大に伴って、トラック密度も増大されており、現在では20kTPI(Tracks per inch)を越えるものも製品化されている。今後、さらにトラック密度が増大すると、現状のVCM(Voice Coil Motor)を用いたアクチュエータのみでは磁気ヘッドの位置決めが困難になることが予想される。斯かる観点から、従来のVCMに加えて、VCMと磁気ヘッドとの間に微動アクチュエータを備えた2段アクチュエータ型を採用し、高精度な磁気ヘッドの位置決めを行う方法が提案されている。
【0003】
圧電素子の伸縮動作を利用した微動アクチュエータを備えた磁気ヘッドサスペンションは、例えば、特開平11-16311号公報,特許第2529380号公報及び“Piezoelectric Microactuator for Dual Stage Control”(R.B.Evans et al,IEEE Transaction on Magnetics,Vol.35 No.2 pp.977-982, March 1999)等に記載されている。
【0004】
前記先行技術文献に記載された微動アクチュエータは、2つの圧電素子と、該圧電素子が配設されるヒンジ部とを備えている。前記ヒンジ部は、ベースプレートに接合されるベースプレート側基板部と、ロードビームに接合されるロードビーム側基板部と、該両基板部を連結する複数の梁部とを有している。前記2つの圧電素子は、前記ヒンジ部のベースプレート側基板部とロードビーム側基板部とに亘るように配設され、さらに、一方が伸びたときは他方が縮むように構成されている。従って、前記2つの圧電素子を伸縮させることにより、前記ロードビーム側基板部がベースプレート側基板部に対して回転し、これにより、前記ロードビームの先端部に装着された磁気ヘッドが前記アクチュエータ及び磁気ヘッドサスペンションの中心軸に対して直交する方向へ移動するようになっている。一般的に、磁気ヘッドサスペンションの中心軸は、前記磁気ヘッドが位置する部分のトラック接線方向と略同一方向を向いている為、前記微動アクチュエータの伸縮動作によって磁気ヘッドはトラックを横切る方向へ移動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記先行技術文献に記載された磁気ヘッドサスペンションにおいては、圧電素子をアクチュエータ回転中心軸に近接させるに従って、磁気ヘッドの変位量を大きくすることができ、若しくは、磁気ヘッド変位量に対する圧電素子印加電圧を小さくすることができる。
即ち、圧電素子の伸縮量が一定であるとすると、圧電素子をアクチュエータ回転中心軸に近接させて設置するに従って、ロードビームの揺動量が大きくなり、磁気ヘッドの変位量が大きくなる。又、磁気ヘッドの変位量を一定とすると、圧電素子をアクチュエータ回転中心軸に近接させて設置するに従って、該圧電素子への印加電圧を小さくすることができる。
【0006】
一方、磁気ヘッドの位置制御を種々の外乱に対して高精度に行う為には、微動アクチュエータの主共振周波数を高くするのが好ましいが、該主共振周波数は圧電素子をアクチュエータ回転中心軸から離間させるに従って高くなる。即ち、アクチュエータを所定角度だけ回転させる場合、圧電素子をアクチュエータ回転中心軸から離間するに従って、該圧電素子の伸縮量が大きくなる。従って、アクチュエータ回転中心軸回りの力のモーメントは、圧電素子をアクチュエータ回転中心軸から離間するに従って大きくなる。言い換えると、アクチュエータ回転中心軸を基準とした圧電素子の剛性は、該圧電素子をアクチュエータ回転中心軸から離間するに従って、大きくなり、これに伴い、微動アクチュエータの主共振周波数が高くなる。
【0007】
このように、所定の磁気ヘッド変位量を得る圧電素子印加電圧を低減させる為には圧電素子をアクチュエータ回転中心軸に近接させるのが好ましいが、その一方、微動アクチュエータの主共振周波数を高める為には圧電素子をアクチュエータ回転中心軸から離間させるのが好ましい。
【0008】
ところで、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させる方法としては、前述のような、圧電素子をアクチュエータ回転中心軸から離間させる方法の他に、圧電素子自身の剛性を高める方法が考えられる。即ち、圧電体が単層板からなり、分極が該圧電体の厚み方向になされている圧電素子の場合、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させる方法として、該圧電体の長手方向長さを短くすること、該圧電体の厚みを厚くすること、若しくは、該圧電体の幅を広くすることが考えられる。
【0009】
ここで、圧電素子の長手方向の変位量△lについて詳細に検討する。該△lは、
△l=(d3l×V×l)/t
と表される。なお、d3lは圧電体の材質により決まる圧電定数、Vは圧電体の上面及び下面に備えられた電極間に印加される電圧、lは圧電体の長手方向長さ、tは圧電体の厚さである。前記式は、圧電体に外部からの力が加わっていない場合のものであるが、磁気ヘッドサスペンションに取り付けられた場合であっても、ヒンジ部の回転方向の剛性が十分に小さい場合には成り立つものである。
【0010】
前記式から明らかなように、圧電体の長手方向長さlを短くしたり、若しくは、圧電体の厚みtを厚くすれば、圧電体の変位量は減少する。その一方、圧電体の幅は、該圧電体の長手方向変位量に影響を与えない。従って、理論上は、圧電体の幅を広げることによって、圧電素子の長手方向の変位量に影響を与えること無く、該圧電素子自身の剛性を高めることが可能となる。
【0011】
しかしながら、圧電素子の幅を広げることは下記不都合を招くことになる。即ち、微動アクチュエータは、回転中心軸を中心として回転運動を行うものである。従って、該微動アクチュエータを構成する圧電素子は、理想的には、回転中心軸に近い部分は変位量が小さく、且つ、回転中心軸から離間された部分は変位量が大きくなるように動作するのが好ましい。
ところが、圧電素子は、一般的に、上面及び下面の全面に電極が形成されてなる矩形状をなしている為、該圧電素子は幅方向の何れの部位においても長手方向伸縮量が一定である。実際の磁気ヘッドサスペンションにおいては、圧電素子の伸縮動作に伴って、圧電素子自身、該圧電素子が接着されたヒンジ部、及び該圧電素子とヒンジ部とを接着する接着層が歪み、これにより、微動アクチュエータが回転中心軸回りに回転運動を行うようになっている。
【0012】
前述のように、圧電素子の長手方向変位量に影響を与えること無く、該圧電素子自身の剛性を高める為に、圧電素子の幅を広げると、前記圧電素子自身、ヒンジ部及び接着層の歪みも大きくなる。斯かる歪みは、ヒンジ部の反りや捻れ等の変形を引き起こし、磁気ヘッドの浮上特性の不安定化を招く要因となる。又、前記接着層における歪みは、該接着層の劣化を加速することにもなる。
【0013】
このように、圧電素子の幅を広げると、磁気ヘッドの変位量を低下させること無く、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させることが可能ではあるが、その一方、磁気ヘッドの浮上特性の不安定化、及び接着層の劣化を招く恐れがあるという問題がある。
【0014】
本発明は、斯かる従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、圧電素子印加電圧の上昇を有効に防止しつつ、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させることができると共に、磁気ヘッドの浮上特性の悪化及び接着層の劣化を有効に防止できる微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションを提供することを一の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、ベースプレートと、ロードビームと、該ベースプレート及びロードビームを連結すると共に、該ロードビームをベースプレートに対し回転中心軸回りに揺動させる微動アクチュエータとを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、前記微動アクチュエータは、前記ベースプレートと前記ロードビームとの間に延びるヒンジ部と、先端部及び基端部がそれぞれ前記ロードビーム及びベースプレートに連結された圧電素子部材であって、前記回転中心軸を挟んでロードビームの揺動方向両側に配置された少なくとも一対の圧電素子部材とを備え、前記一対の圧電素子部材は、前記回転中心軸に近接した第1部位と、該第1部位より前記回転中心軸から離間された第2部位とを有し、前記第1部位は、第2部位より大きい厚みを有している磁気ヘッドサスペンションを提供する。
【0016】
好ましくは、前記一対の圧電素子部材は、それぞれ、前記第1部位を形成する第1の厚みの第1圧電素子と、前記第2部位を形成する第2の厚みの第2圧電素子とを備えるものとすることができる。
又、前記一対の圧電素子部材は、前記回転中心軸から離間するに従って、厚みが薄くなるように形成されているものとすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの好ましい一実施の形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。
図1(a)及び図2は、それぞれ、本実施の形態に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンション1の正面図(磁気ディスク側から視た図)及び背面図である。又、図3は、圧電素子部材を接着する前の状態における磁気ヘッドサスペンションの正面図である。さらに、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。
【0018】
図1〜図3に良く示されるように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1は、キャリッジアーム等の支持軸に取り付けられるベースプレート10と、該ベースプレート10から先方へ延びるロードビーム20と、該ベースプレート及びロードビーム間に配置され、両部材を連結させる微動アクチュエータ30と、前記ロードビーム20に長手方向に沿って接合されるフレクシャ40と、該フレクシャ40に支持される磁気ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0019】
前記ベースプレートの基端部が取り付けられる支持軸の基部には粗動アクチュエータとして機能するVCM(図示せず)が取り付けられており、VCMを作動させることにより、磁気ヘッドサスペンション全体が磁気ディスクに対して粗動するようになっている。
【0020】
前記ベースプレート10には基端側にボール挿通用のボス部11が形成されており、該ボス部11を前記支持軸に対してかしめることにより、ベースプレート10が回転軸に装着される。該ベースプレート10は、例えば、厚さ0.2mm程度のステンレスから形成することができる。
【0021】
前記ロードビーム20は、基端側において荷重曲げ部21を有しており、且つ、該荷重曲げ部21以外の領域には、剛性を高める為のフランジ曲げ部22を有している。前記荷重曲げ部21においては、ロードビーム20が磁気ディスクへ近づく方向(図1及び図3においては紙面の上方)に曲げ加工がなされており、磁気ヘッドサスペンション1がHDDに実装される際には該荷重曲げ部21が所定量曲げ戻され、これにより、磁気ヘッドを磁気ディスクへ押しつける為の荷重が発生するようになっている。該ロードビーム20は、例えば、厚さ0.03〜0.07mmのステンレスを用いて形成することができる。
【0022】
前記フレクシャ40は、磁気ヘッドをピッチ方向及びロール方向に柔軟に動ける状態で支持する為に備えられるものであり、該フレクシャ40を備えることにより、磁気ヘッドを磁気ディスクのうねりに追従させることが可能となる。
該フレクシャ40は、図3に示されるように、先端部に磁気ヘッド装着部41を有している。該磁気ヘッド装着部41の裏面側には、前記ロードビームの先端に形成されたディンプルと呼ばれる突起23が常時接触しており、前記ロードビーム20の荷重曲げ部21による荷重が前記突起23を介して磁気ヘッドに作用するようになっている。該フレクシャ40は、さらに、前記磁気ヘッドと外部部材とを電気的に接続する為のヘッド信号配線42を有している。好ましくは、該ヘッド信号配線42はフレクシャ基板に一体的に形成される。該ヘッド信号配線42は、先端部及び基端部に、それぞれ、磁気ヘッド側端子42a及びヘッド信号配線端子42bを有している。前記磁気ヘッド側端子42aは磁気ヘッドの端子と金ボールディング等により接続され、一方、前記ヘッド信号配線端子42bはFPC(図示せず)に接続される。なお、該ヘッド信号配線端子42bは、前記微動アクチュエータ30の側方に配されたフレクシャのパッドステージ43に位置させることができる。好ましくは、該パッドステージ43には、後述する圧電素子部材との接続部となる圧電素子端子42cを設けることができる。
【0023】
斯かるフレクシャ40は、例えば、厚さ0.02〜0.03mmのステンレスからなる基板を有するものとすることができ、該基板上にポリイミド絶縁層,銅からなる配線導体及びポリイミド保護層の各パターンを積層することにより形成することができる。なお、フレクシャのロードビームへの接合は、溶接により行うことができる。
【0024】
前記微動アクチュエータ30は、前記ベースプレート10と前記ロードビーム20とを連結するヒンジ部31と、該ヒンジ部31上においてアクチュエータ回転中心軸50を挟んで揺動方向両側に配設された少なくとも一対の圧電素子部材35,35とを備えている。
【0025】
前記ヒンジ部31は、前記ベースプレート10に連結されるベースプレート側基板部32と、前記ロードビーム20に連結されるロードビーム側基板部33と、該両基板32,33を連結する梁部34とを有している。本実施の形態においては、図1〜図3に良く示されるように、前記ベースプレート側基板部32及びロードビーム側基板33は、それぞれ、ベースプレート10及びロードビーム20に溶接等により接合されているが、これに代えて、ベースプレート側基板32及びロードビーム側基板33を、それぞれ、ベースプレート10及びロードビーム20に一体的に形成することも可能である。
該ヒンジ部は、例えば、厚さ0.07mm〜0.15mmのステンレスを用いて形成することができる。
【0026】
本実施の形態において、前記梁部34は、5本の梁を有している。ヒンジ部の揺動方向両方向への剛性を等しくする為に、該梁部34の梁は、アクチュエータ回転中心軸から放射状に配置され、且つ、ロードビームの揺動基準線に対して線対称に配置されている。該梁は、例えば、長さ0.3mm〜1.0mm及び幅0.05mm〜0.2mmとすることができる。
【0027】
前記少なくとも一対の圧電素子部材35,35は、先端部及び基端部がそれぞれ前記ロードビーム側基板部33及びベースプレート側基板部32に連結されており、一方が伸長すると、他方が収縮するようになっている。具体的には、該一対の圧電素子部材35,35は、ヒンジ部31の基板面に垂直な厚み方向に分極された圧電性部材(piezoelectric element)と、該圧電性部材の上面及び下面に配設されたCr/Au等からなる厚さ0.1mm〜0.1μm程度の電極部材とを備えており、上面電極がベースプレート側基板32及びロードビーム側基板33の一方に接合され、且つ、下面電極がベースプレート側基板32及びロードビーム側基板33の他方に接合されている。そして、前記圧電性部材の分極方向は一対の圧電素子部材35,35間において逆向きとされている。従って、前記一対の圧電素子部材35,35のそれぞれに、厚み方向同方向の電圧を印加すると、一方の圧電素子部材35が伸長し且つ他方の圧電素子部材35が短縮し、これにより、前記磁気ヘッドが前記アクチュエータ回転中心軸50回りに揺動するようになっている。
【0028】
前記一対の圧電素子部材35,35は、それぞれ、前記アクチュエータ回転中心軸50に近接した第1部位と、該第1部位より前記回転中心軸50から離間された第2部位とを有している。本実施の形態においては、前記一対の圧電素子部材35は、それぞれ、前記第1部位を形成する第1圧電素子35aと、前記第2部位を形成する第2圧電素子35bとを有している。
【0029】
前記第1及び第2圧電素子35a,35bは、厚み以外は同一構成を備えるものとすることができる。例えば、第1圧電素子35aは長さ4.0mm、幅0.8mm及び厚さ0.15mmとされ、第2圧電素子35bは長さ4.0mm、幅0.8mm及び厚さ0.12mmとされる。又、アクチュエータ回転中心軸50からの距離に関しては、例えば、前記第1及び第2圧電素子35a,35bは、それぞれ、長手方向(伸縮方向)中心軸線が前記回転中心軸50から1.0mm及び2.1mm離間されるように配設される。
なお、前記ベースプレート側基板部32及びロードビーム側基板部33と圧電素子部材35との連結には、例えば、銀等の金属微粒子をフィラーとして含む導電性接着剤を用いることができる。接着領域は、例えば、前記圧電素子部材35の基端部及び先端部のそれぞれ約0.3mm〜0.6mmの領域とすることができる。
【0030】
さらに、前記圧電素子部材35のうち,前記ヒンジ部31に接着されない側の電極は、超音波ボンディングによる金ワイヤによって、前記フレクシャに形成された圧電素子端子42cに接続される。斯かる構成において前記ヒンジ部31を接地電位とすれば、前記圧電素子端子42cに印加する電圧を変化させるだけで、前記圧電素子部材35の伸縮を制御性良くコントロールすることができる。
【0031】
このように構成された磁気ヘッドサスペンション1においては、以下の効果を奏する。即ち、本実施の形態においては、アクチュエータ回転中心軸50を挟んで揺動方向両側に配設された一対の圧電素子部材35,35が、それぞれ、前記回転中心軸50に近接された第1圧電素子35aと、該第1圧電素子35aより前記回転中心軸50から離間された第2圧電素子35bとを備えている。従って、揺動方向一方側及び他方側にそれぞれ1つの圧電素子のみしか有さない従来の構成に比して、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させることができる。
【0032】
図4に、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1と、揺動方向一方側及び他方側にそれぞれ前記第1圧電素子のみが備えられた磁気ヘッドサスペンションとのそれぞれの主共振周波数を測定した結果を示す。なお、図4中のNo.1及びNo.2はそれぞれ試料番号である。又、図4中のAは前記第1圧電素子、Bは前記第2圧電素子を示している。図4から明らかなように、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1(4素子)は、従来の磁気ヘッドサスペンション(2素子)に比して、約17%程度、主共振周波数を向上させることができる。
【0033】
さらに、本実施の形態においては、前記第1圧電素子35aに比して、前記第2圧電素子35bの厚みを薄くしている。前述のように、圧電素子は薄いほど、伸縮量が大きくなるから、第1及び第2圧電素子35a,35bに同一電圧を印加した場合、第1圧電素子35aよりも第2圧電素子35bの伸縮量が大きくなる。即ち、本実施の形態においては、アクチュエータ回転中心軸50から離間された第2圧電素子35bの方が、第1圧電素子35aより大きく伸縮するように構成されている。従って、本実施の形態においては、アクチュエータ回転中心軸を挟んで揺動方向両側に同一厚さの圧電素子が2個ずつ並設されている磁気ヘッドサスペンションに比して、圧電素子の伸縮動作に基づいて微動アクチュエータを回転動作させる際に生じる該圧電素子及びヒンジ部の反りや歪み等を有効に防止でき、これにより、磁気ヘッドの浮上特性の安定化を図ると共に、圧電素子とロードビーム側基板及びベースプレート側基板とを接着する接着層の劣化を有効に防止することができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、前記一対の圧電素子部材が、それぞれ、第1圧電素子35aと、第2圧電素子35bとを有するように構成したが、これに代えて、該一対の圧電素子部材のそれぞれを、アクチュエータ回転中心軸50からの距離に応じて異なる厚みを有する単一の圧電素子とすることも可能である。即ち、一対の圧電素子部材のそれぞれを、アクチュエータ回転中心軸50に近接された第1部位と、該第1部位よりアクチュエータ回転中心軸50から離間された第2部位とを有する単一の圧電素子とし、前記第1部位に比して第2部位の厚さを薄くすることができる。斯かる場合、好ましくは、一対の圧電素子部材をそれぞれ構成する単一の圧電素子を、アクチュエータ回転中心軸50から離間するに従って、薄くなるように構成することができる。
【0035】
実施の形態2.
次に、本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの他の実施の形態について説明する。図5は、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1′の正面図である。なお、前記実施の形態1におけると同一又は相当部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
図5に示されるように、本実施の形態は、圧電素子部材35'のみが前記実施の形態1と相違している。即ち、本実施の形態においては、前記一対の圧電素子部材は、それぞれ、単一の圧電素子35',35'を有している。
【0037】
該圧電素子35'は、圧電性部材36'と、該圧電性部材36'の上面及び下面にそれぞれ配設された上面電極37'及び下面電極(図示せず)とを備えている。前記上面電極37'及び下面電極は、アクチュエータ回転中心軸50に近接した第1部位におけるよりも、該第1部位より回転中心軸50から離間された第2部位における方が長手方向長さが長くなるように構成されている。本実施の形態においては、図5に示されるように、アクチュエータ回転中心軸50から離間されるに従って、上面電極37'及び下面電極の長手方向長さが長くなるように構成されている。
【0038】
圧電性部材は電圧が印加された領域だけが活性化して伸縮する。即ち、前記圧電素子35'においては、平面視において、上面電極37'及び下面電極の重合領域に対応する部分だけが伸縮する。
前述のように、本実施の形態においては、上面電極37'及び下面電極の長手方向長さは、アクチュエータ回転中心軸50から離間された第2部位における方が、該第2部位より回転中心軸50に近接された第1部位におけるよりも長くなるように構成されている。従って、上面電極37'及び下面電極間に電圧を印加した場合、前記第1部位よりも第2部位がより大きく伸縮する。
【0039】
斯かる本実施の形態においても、前記実施の形態1におけると同様に、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させると共に、磁気ヘッドの浮上特性の安定化及び接着層の劣化防止を図ることができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、前記一対の圧電素子部材のそれぞれを、単一の圧電素子35'で構成したが、本発明は斯かる形態に限られるものではない。即ち、アクチュエータ回転中心軸50から離間された部位の上面電極及び下面電極の長さが、該離間部位より回転中心軸50に近接された部位の上面電極及び下面電極の長さより長くなるように構成されている限り、種々の形態が適用され得る。
例えば、前記実施の形態1と同様に、前記一対の圧電素子部材のそれぞれが第1及び第2圧電素子を備えるように構成することも可能である。斯かる場合には、アクチュエータ回転中心軸に近接された第1圧電素子の電極長さを、第2圧電素子の電極長さより短くなるように構成することによって、同様の効果を得ることができる。
【0041】
実施の形態3.
次に、本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションのさらに他の実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態に係る磁気ヘッドサスペンション1''の正面図である。なお、前記実施の形態1及び2におけると同一又は相当部材には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
図6に示されるように、本実施の形態は、圧電素子部材のみが前記実施の形態1と相違している。即ち、本実施の形態においては、前記一対の圧電素子部材は、それぞれ、単一の圧電素子35''を有している。
【0043】
該圧電素子35''は、アクチュエータ回転中心軸50に近接した第1部位におけるよりも、該第1部位より回転中心軸50から離間された第2部位における方が長手方向長さが長くなるように構成されている。本実施の形態においては、図6に示されるように、アクチュエータ回転中心軸50から離間されるに従って、長手方向長さが長くなるように構成されている。
【0044】
圧電性部材は長手方向長さに比例して伸縮量が大きくなる。従って、本実施の形態においては、アクチュエータ回転中心軸50に近接された第1部位よりも、第2部位の方がより大きく伸縮する。
【0045】
斯かる本実施の形態においても、前記実施の形態1におけると同様に、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させると共に、磁気ヘッドの浮上特性の安定化及び接着層の劣化防止を図ることができる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、前記一対の圧電素子部材のそれぞれを、単一の圧電素子35'',35''で構成したが、本発明は斯かる形態に限られるものではない。即ち、アクチュエータ回転中心軸50に近接された第1部位よりも、該第2部位における長手方向長さが長く構成されている限り、種々の形態が適用可能である。
例えば、図7に示されるように、前記一対の圧電素子部材のそれぞれが第1圧電素子35a''及び第2圧電素子35b''を備えるように構成することも可能である。斯かる場合には、アクチュエータ回転中心軸50に近接された第1圧電素子35a''の長手方向長さを、第2圧電素子35b''の長手方向長さよりも短く構成することによって、同様の効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの一態様によれば、一対の圧電素子部材を、回転中心軸に近接した第1部位が該第1部位より前記回転中心軸から離間された第2部位よりも大きい厚みを有するように構成したので、圧電素子印加電圧の上昇を有効に防止しつつ、微動アクチュエータの主共振周波数を向上させることができると共に、磁気ヘッドの浮上特性の悪化及び接着層の劣化を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの実施の形態1における正面図(磁気ディスク側から視た図)である。
図1(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。
【図2】 図2は、図1に示された磁気ヘッドサスペンションの裏面図である。
【図3】 図3は、図1び図2に示された磁気ヘッドサスペンションの圧電素子装着前の正面図である。
【図4】 図4は、図1〜図3に示された微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの主共振周波数を、従来構成の磁気ヘッドサスペンションと比較しつつ示すグラフである。
【図5】 図5は、本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの実施の形態2における正面図(磁気ディスク側から視た図)である。
【図6】 図6は、本発明に係る微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの実施の形態2における正面図(磁気ディスク側から視た図)である。
【図7】 図7は、図6に示された微動アクチュエータ付磁気ヘッドサスペンションの変形例の正面図(磁気ディスク側から視た図)である。
【符号の説明】
1 磁気ヘッドサスペンション
10 ベースプレート
20 ロードビーム
30 微動アクチュエータ
31 ヒンジ部
32 ベースプレート側基板部
33 ロードビーム側基板部
35 圧電素子
50 アクチュエータ回転中心軸
Claims (3)
- ベースプレートと、ロードビームと、該ベースプレート及びロードビームを連結すると共に、該ロードビームをベースプレートに対し回転中心軸回りに揺動させる微動アクチュエータとを備えた磁気ヘッドサスペンションであって、
前記微動アクチュエータは、前記ベースプレートと前記ロードビームとの間に延びるヒンジ部と、先端部及び基端部がそれぞれ前記ロードビーム及びベースプレートに連結された圧電素子部材であって、前記回転中心軸を挟んでロードビームの揺動方向両側に配置された少なくとも一対の圧電素子部材とを備え、
前記一対の圧電素子部材は、前記回転中心軸に近接した第1部位と、該第1部位より前記回転中心軸から離間された第2部位とを有し、
前記第1部位は、第2部位より大きい厚みを有していることを特徴とする磁気ヘッドサスペンション。 - 前記一対の圧電素子部材は、それぞれ、前記第1部位を形成する第1の厚みの第1圧電素子と、前記第2部位を形成する第2の厚みの第2圧電素子とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
- 前記一対の圧電素子部材は、前記回転中心軸から離間するに従って、厚みが薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッドサスペンション。
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