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JP3670164B2 - 金属基複合材料の鋳造方法 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強化用繊維からなるプリフォームに軽合金の溶湯を浸透せしめて金属基複合材料を鋳造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アルミナ繊維等の強化用繊維にアルミニウム合金等の軽合金を浸透させた金属基複合材料が知られている。前記金属基複合材料は、例えば、内燃機関のシリンダブロックにおいてシリンダが摺動する孔部(ボア)の内面に配設される。
【0003】
前記シリンダブロックはアルミニウム合金により、図1示の金型鋳造装置1を用いて鋳造される。前記金型鋳造装置1では、予熱された円筒状プリフォーム5を固定型2の載置台6上に載置し、可動型4を下降させて、円筒状プリフォーム5の内周側にボアピン7を挿入すると共に、金型を閉じて型締めし、シリンダブロックの外形に沿う形状の空洞部3を形成する。そして、図示しない湯口系から空洞部3内にアルミニウム合金の溶湯を充填して前記シリンダブロックを鋳造することにより、同時に円筒状プリフォーム5にアルミニウム合金の溶湯が浸透せしめられる。この結果、ボアの内面が円筒状プリフォーム5にアルミニウム合金が浸透した金属基複合材料からなり、円筒状プリフォーム5と一体化された前記シリンダブロックを得ることができる。
【0004】
ここで、予熱された円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する作業を手作業で行うと、各円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する際に、その向きが必ずしも同一にならない。また、各円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する順番により、各円筒状プリフォーム5が外気に曝される時間にずれができる。この結果、各円筒状プリフォーム5の温度条件等を均一にすることができない。そこで、前記作業は、従来、図2示のロボット装置11等により行われている。
【0005】
ロボット装置11によれば、まず、整列台12上に予め整列状態で載置されている複数の円筒状プリフォーム5を作動アーム部14に備えられている支持部15により支持して、高周波加熱器13に移動させ、高周波加熱器13内に所定時間保持して加熱する。次に、ロボット装置11は、複数の円筒状プリフォーム5を支持部15により支持したまま、高周波加熱器13から固定型2内に移動させる。そして、固定型2内の所定の位置で支持部15による支持を解除して、支持部15を円筒状プリフォーム5から抜き去ることにより、加熱された円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する。
【0006】
前記ロボット装置11によれば、複数の円筒状プリフォーム5は、前記整列台12上での整列状態のまま終始同一の配置に保持され、複数の円筒状プリフォーム5が同時に固定型2内の載置台6上に載置される。従って、各円筒状プリフォーム5の配置や外気に曝される時間等にずれが生じることを防止して、その温度条件等を均一にすることができる。
【0007】
しかしながら、円筒状プリフォーム5をロボット装置11により固定型2内の載置台6上に載置して前記鋳造を行うと、鋳造後の離型の際に、得られたシリンダブロックのボアの内面が損傷することがあるとの不都合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる不都合を解消して、離型時の鋳造品の損傷を防止することができる金属基複合材料の鋳造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記鋳造後の離型の際に得られたシリンダブロックのボアの内面が損傷する理由について検討を重ねた結果、前記損傷が前記の様に直線状に配置された円筒状プリフォーム5,5に挟まれた部分で発生することが判明した。本発明者らは、前記現象についてさらに検討を重ね、前記直線状に配置された円筒状プリフォーム5,5に挟まれた部分では、前記溶湯が過剰にプリフォーム5に浸透し、この溶湯がプリフォーム5とボアピン7との間に溶着することを見出した。
【0010】
プリフォーム5は前記のように加熱された後、固定型2内に載置されるまでに外気に曝されることによりある程度冷却されるが、前記加熱時に対面していたプリフォーム5,5に挟まれた部分では、外気に曝されされにくい一方、相互の放熱を受けるために冷却されにくい。このため、各プリフォーム5の前記加熱時に対面していた部分は、他の外気に曝されるだけの部分よりも高温になる。そして、前記溶湯は高温の部分に流れ込み易くなるために、この部分に前記溶湯の過剰な浸透が発生するものと考えられる。
【0011】
そこで、本発明の金属基複合材料の鋳造方法は、前記目的を達成するために、所定の間隔を存して直線状に整列された強化用繊維からなる複数の円筒状プリフォームを、該プリフォームを着脱自在に保持する保持手段により整列状態のまま保持して加熱する工程と、加熱された該プリフォームを鋳造装置の金型内の所定位置に配設して該保持手段による保持を解除する工程と、該鋳造装置を型締めした後、該金型内に溶湯を充填することにより、該プリフォームに該溶湯を浸透せしめて金属基複合材料を鋳造する鋳造方法において、加熱された前記プリフォームは、少なくとも各プリフォームの前記加熱時に対面していた面が互いに離反した状態で型締めされていることを特徴とする。
【0012】
本発明の鋳造方法によれば、前記の様に加熱された各プリフォームを回転させ、少なくとも前記加熱時に対面していた面が互いに離反するようにした状態で前記鋳造装置を型締めすることにより、冷却されにくい部分が無くなり、前記プリフォームの各部の温度が均一化される。この結果、前記溶湯の過剰な浸透による前記溶着を無くし、離型時の鋳造品の損傷を防止することができる。
【0013】
前記各プリフォームは、前記鋳造装置を型締めされたときに、前記加熱時に対面していた面が互いに離反する状態になっていればよく、各プリフォームの回転は前記保持手段により保持されて搬送する間に行ってもよく、金型内に配設された後に行ってもよい。しかし、前記各プリフォームの回転は、サイクルタイムを短縮することができることから、前記保持手段により保持されて搬送する間に行うことが好ましい。
【0014】
本発明の鋳造方法は、例えば、前記金属基複合材料が内燃機関のシリンダブロックの一部を構成する場合に適用することができる。
【0015】
また、本発明の鋳造方法において、各プリフォームは30〜150°の範囲で回転されることを特徴とする。各プリフォームの回転角度が30°未満では、前記加熱時に対面していた面が互いに離反するために十分ではなく、150°を超えると、直線状に整列されている他方の側で隣接するプリフォームと、前記加熱時に対面していた面が互いに相対することになり、再び冷却されにくい状態となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。図1は本実施形態に用いる金型鋳造装置の一構成例を示す説明的断面図であり、図2は図1は本実施形態に用いるシリンダブロック製造装置の配置を示す平面図であり、図3は円筒状プリフォームの回転方法を示す説明図である。また、図4は円筒状プリフォームの隣接する円筒状プリフォームに対面する部分の温度の経時変化を示すグラフである。また、図5は本実施形態に用いる金型鋳造装置の他の構成例を示す説明的断面図である。
【0017】
本実施形態では、内燃機関のシリンダブロックを図1示の金型鋳造装置1を用いて鋳造する。前記金型鋳造装置1は、固定型2と、固定型2との間にシリンダブロックの外形に沿う形状の空洞部3を形成する可動型4とからなる。固定型2には、アルミナ繊維等の強化用繊維からなり予熱された円筒状プリフォーム5が載置される複数の載置台6が所定の間隔を存して直線状に配設されている。可動型4は固定型2の上方に昇降自在に備えられ、その固定型2に対向する面には、円筒状プリフォーム5の内周側に挿入される複数の円筒状のボアピン7が、載置台6と同心に備えられている。
【0018】
前記金型鋳造装置1では、可動型4を固定型2の上方に移動させた状態で、予熱された円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する。ここで、予熱された円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する作業は、図2示のロボット装置11により行う。
【0019】
図2は、図1示の金型鋳造装置1を含むシリンダブロックの製造装置主要部を平面的に示すものであり、該製造装置は金型鋳造装置1と、複数の円筒状プリフォーム5が予め整列されて載置されている整列台12と、円筒状プリフォーム5を予熱する高周波加熱器13とを備え、金型鋳造装置1と整列台12との間にロボット装置11が配置されている。
【0020】
整列台12には、固定型2内の載置台6に載置するために、前記シリンダブロックの気筒数と同数の円筒状プリフォーム5が、予め整列状態で載置されている。そこで、ロボット装置11は、まず作動アーム部14を整列台12上に移動し、作動アーム部14に備えられている支持部15を円筒状プリフォーム5の内周側に挿入して圧接することにより円筒状プリフォーム5を支持する。
【0021】
次に、ロボット装置11は、支持部15に支持された円筒状プリフォーム5が高周波加熱器13内に位置するように、作動アーム部14を移動し、円筒状プリフォーム5を高周波加熱器13内に所定時間保持して加熱する。次に、ロボット装置11は、支持部15に支持された円筒状プリフォーム5が金型鋳造装置1内に位置するように作動アーム部14を移動する。
【0022】
円筒状プリフォーム5は、高周波加熱器13内で加熱されたのち、ロボット装置11により金型鋳造装置1内に移動される間に外気に曝されてある程度冷却される。しかし、円筒状プリフォーム5は、前記のように整列状態で加熱され、金型鋳造装置1内に移動されるので、図3(a)示のように円筒状プリフォーム5の隣接する円筒状プリフォーム5に対面する部分Cは、相互の放熱のために冷却されにくくなっている。
【0023】
そこで、ロボット装置11は、次に支持部15により各円筒状プリフォーム5を回転させ、加熱時に隣接する円筒状プリフォーム5に対面していた部分Cが互いに離反するようにする。前記加熱時に隣接する円筒状プリフォーム5に対面していた部分Cは、整列された円筒状プリフォーム5,5の軸心を結ぶ線Dを挟み、円筒状プリフォーム5の軸心を中心とする中心角60°の円弧に相当する。従って、各円筒状プリフォーム5の前記部分Cを互いに離反させるためには、支持部15により円筒状プリフォーム5を30°以上回転させる必要がある。但し、円筒状プリフォーム5の回転角度が150°を超えると、円筒状プリフォーム5のもう一方の側面で隣接する円筒状プリフォーム5の前記部分Cと対面することになる。
【0024】
本実施形態では、図3(b)示のように各円筒状プリフォーム5を90°回転させることにより、加熱時に隣接する円筒状プリフォーム5に対面していた部分Cが互いに離反するようにする。この結果、各円筒状プリフォーム5では冷却されにくい部分がなくなり、円筒状プリフォーム5の全体の温度が均一化される。
【0025】
次に、ロボット装置11は、所定位置で支持部15による円筒状プリフォーム5の支持を解除して、支持部15を円筒状プリフォーム5から抜き去ることにより、図1示のように、円筒状プリフォーム5を載置台6上に載置する。
【0026】
各円筒状プリフォーム5の前記回転は、前記のようにロボット装置11により、載置台6上に載置する操作に先立って行ってもよく、載置台6上に載置した後に行ってもよい。しかし、載置台6上に載置する操作に先立って行うことにより、サイクルタイムを短縮することができるので、有利である。
【0027】
前記金型鋳造装置1では、円筒状プリフォーム5が載置台6上に載置されたならば、可動型4を下降させて、円筒状プリフォーム5の内周側にボアピン7を挿入すると共に、金型を閉じて型締めし、前記形状の空洞部3を形成する。そして、図示しない湯口系から空洞部3内にアルミニウム合金の溶湯を充填することにより、前記シリンダブロックの鋳造を行う。金型鋳造装置1によれば、前記シリンダブロックの鋳造と同時に円筒状プリフォーム5にアルミニウム合金の溶湯が浸透せしめられる。
【0028】
そこで、鋳造後、離型することにより、ボアの内面が円筒状プリフォーム5にアルミニウム合金が浸透した金属基複合材料により構成され、しかも該円筒状プリフォーム5が前記アルミニウム合金により結合されて一体化されたシリンダブロックを得ることができる。
【0029】
本実施形態の金型鋳造装置1では、整列された各円筒状プリフォーム5が固定型2内に載置される前に前記の様に回転されるので、円筒状プリフォーム5とボアピン7との間にアルミニウム合金が溶着することがない。従って、前記離型時に、ボアの内面が損傷することを防止することができる。
【0030】
次に、円筒状プリフォーム5を、高周波加熱器13から取り出した後、固定型2内に載置する前に回転した場合(本実施形態)と、回転しない場合(従来例)との、円筒状プリフォーム5の隣接する円筒状プリフォーム5に対面する部分の温度の経時変化を図4に示す。
【0031】
図4から、本実施形態のように、円筒状プリフォーム5を固定型2内に載置する前に回転させることにより、円筒状プリフォーム5の隣接する円筒状プリフォーム5に対面する部分が冷却されやすくなることが明らかである。
【0032】
金型鋳造装置1では、円筒状プリフォーム5を高周波加熱器13から取り出した時点を0とすると、その60秒後にアルミニウム合金の溶湯が空洞部3に充填される。そこで、特に、高周波加熱器13から取り出してから60秒後の前記部分の温度を比較すると、従来例では179℃であるのに、本実施形態では147℃であり、円筒状プリフォーム5の隣接する円筒状プリフォーム5に対面する部分が冷却されやすくなっていることが明らかである。
【0033】
本実施形態では、前述の様に固定型2の上方に可動型4が昇降自在に備えられた構成の金型鋳造装置1を用いているが、図5示の金型鋳造装置21を用いるようにしてもよい。図5示の金型鋳造装置21は、固定台22に備えられた固定型2と、ロッド23に沿って摺動する摺動台24に備えられた可動型4とからなり、固定型2と可動型4との間にシリンダブロックの外形に沿う形状の空洞部3が形成される構成となっている。
【0034】
金型鋳造装置21では、固定型2の可動型4に対向する面には、金型鋳造装置1の載置台6に対応する突起部25が所定の間隔を存して直線上に配設されている。また、可動型4の固定型2に対向する面には、ボアピン7が突起25部と同心に備えられている。
【0035】
前記金型鋳造装置21では、可動型4を固定型2の側方(図5では左側)に移動させた状態で、予熱された円筒状プリフォーム5を可動型4のボアピン7に挿入して配設する。ここで、予熱された円筒状プリフォーム5をボアピン7に配設する作業は、図2示のロボット装置11において、作動アーム部14の先端部を回動自在としたものにより行う。かかるロボット装置11では、整列台12上に載置されている円筒状プリフォーム5を支持し、高周波加熱器13内での加熱が終了するまでは作動アーム部14の先端部を下方に指向して、円筒状プリフォーム5を垂下した状態で支持する。そして、前記加熱が終了したならば、作動アーム部14の先端部を上方に回動し、円筒状プリフォーム5を水平状態に支持して、ボアピン7に配設する。
【0036】
尚、各円筒状プリフォーム5の前記部分Cを互いに離反させる操作は、金型鋳造装置1の場合と、全く同一にして行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳造方法に用いる金型鋳造装置の一構成例を示す説明的断面図。
【図2】本発明の鋳造方法に用いるシリンダブロック製造装置の配置を示す平面図。
【図3】本発明の鋳造方法において円筒状プリフォームの回転方法を示す説明図。
【図4】円筒状プリフォームの隣接する円筒状プリフォームに対面する部分の温度の経時変化を示すグラフ。
【図5】本発明の鋳造方法に用いる金型鋳造装置の他の構成例を示す説明的断面図。
【符号の説明】
1,21…鋳造装置、 2…固定型、 3…空洞部、 4…可動型、 5…円筒状プリフォーム、 7…円筒状入れ子、 11…保持手段。

Claims (3)

  1. 所定の間隔を存して直線状に整列された強化用繊維からなる複数の円筒状プリフォームを、該プリフォームを着脱自在に保持する保持手段により整列状態のまま保持して加熱する工程と、
    加熱された該プリフォームを鋳造装置の金型内の所定位置に配設して該保持手段による保持を解除する工程と、
    該鋳造装置を型締めした後、該金型内に溶湯を充填することにより、該プリフォームに該溶湯を浸透せしめて金属基複合材料を鋳造する鋳造方法において、
    加熱された前記プリフォームは、少なくとも各プリフォームの前記加熱時に対面していた面が互いに離反した状態で型締めされていることを特徴とする金属基複合材料の鋳造方法。
  2. 前記金属基複合材料は内燃機関のシリンダブロックの一部を構成することを特徴とする請求項1記載の金属基複合材料の鋳造方法。
  3. 各プリフォームは30〜150°の範囲で回転されることを特徴とする請求項1または請求項2記載の金属基複合材料の鋳造方法。
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