JP3670166B2 - 吸引式除塵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、自動車の塗装ラインにおいて塗装前に車体表面の塵埃を除去するために使用される吸引式除塵装置に係り、特に、除塵効果を高めることができる吸引式除塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体の塗装は、一般に素地の表面処理、下塗り(電着塗装)、中塗り、上塗りという順序を経て行われるが、上記の中塗りまでの各塗装工程において、塗装不良が生じた場合はサンドペーパーを使ってサンディングをする、いわゆる「空研」を行って不良個所を修正している。ところがこの不良個所に空研により、修正個所及びその周辺に研粕が付着したまま次の塗装が行われると塗面の外観品質を損なうため、サンディング後は、必ず、ブース内において塗膜表面から研粕を除去するための除塵対策を施している。
【0003】
従来は作業者が車体表面をエアブローにより清掃したり、羽根ワイプ式の吸塵装置や刷毛式の吸塵装置を用いて吸塵して清掃している。ところが、エアブローによる清掃は車体に付着した塵埃がエアブローによって飛散するため、自車体に再付着したり、他の車体に付着してしまい効率が悪いという問題がある。また、羽根ワイプ式や刷毛式の吸塵装置は回転する羽根ワイプ刷毛を車体に接触させて塵埃を掘り起こすようにして吸引除去するものであるため、羽根ワイプや刷毛の抜けや、これら羽根ワイプや刷毛の汚れが車体に付着する二次的な不具合を発生させるという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば特許第2698917号公報に記載されているような非接触型の吸引式除塵装置が使用されている。この吸引式除塵装置は台車に載置された状態で搬送される車体の搬送路に車体を取り囲むようにして配置されたバキューム装置を備えている。このバキューム装置は車体に近接配置される吸引ダクトを備え、吸引ダクト内にはエアーノズルが設けられている。したがって、搬送される車体に対して吸引ダクト内のエアーノズルによりエアーを吹き付けることで車体表面の塵埃を吹き起こしこれを吸引ダクトで吸引して除去している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の吸引式除塵装置にあっては車体に対して非接触で塵埃を除去するため羽根等が付着するような二次的不具合が生じない点で有利であるが、吸引ダクト内でエアーノズルにより吹き出されたエアーにより吸引ダクト内に乱流が発生するため、車体表面に付着した塵埃は一旦は車体表面から剥離するものの、前記乱流が発生している吸引ダクト内ではスムーズに吸引できないという問題がある。すなわち、乱流が発生している吸引ダクト内においては空気の流れが吸引ダクトの吸い込み方向に指向しているとは限らず、吸い込み方向とは逆の方向である場合には、吸引効率が低下してしまい、場合によっては一旦吹き起こされた塵埃が乱流の影響のため再付着する虞があるという問題がある。
【0006】
また、このような問題が生じないように車体の搬送時間を長くして実質的な吸引時間を長くし、除塵効率を高めることも考えられるが、車体を移動させて除塵する従来の装置では少なくとも車体全長の2倍のスペースを必要とするため、これ以上のライン長さの延長は処理時間の大きな遅れにつながり他の工程に悪影響を与えてしまうという問題がある。そこで、この発明は、効率よく車体表面の塵埃を除去できる吸引式除塵装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車体(例えば、実施形態における車体1)表面に対向配置可能な吸引口(例えば、実施形態における吸引口6)に屈曲可能な排気ダクト(例えば、実施形態における排気ダクト5)が取り付けられ、この吸引口を車体表面に近接させて塵埃を吸引除去する吸引式除塵装置において、上記吸引口の外側に、吸引口に対向する車体表面の塵埃を吹き起こすエアーノズル(例えば、実施形態におけるエアーノズル9)が配置され、吸引口の両側壁のガイドレールにブラケットが回動自在に設けられ、このブラケットの挿入部に突出長さを調整可能な取付アームが配設され、この取付アームに前記エアーノズルが取り付けられ、前記吸引口は周縁に水平方向に張り出したフランジ部(例えば、実施形態におけるフランジ部16)が設けられていることを特徴とする。
このように構成することで、吸引口の外側からエアーノズルによりエアーを吹き付けると、吸引口に対向する車体表面に付着した塵埃がエアーにより吹き起こされる。吹き起こされた塵埃は、エアーノズルから吹き出され車体表面で反射して吸引口の吸引方向に沿うようにして流れるエアーによって吸引除去される。
【0008】
また、エアーノズルから吹き出されたエアーのうち車体の表面で反射して吸引口の周縁付近に至るエアーは、フランジ部によって吸引口の外側に逃げるのを阻止される。また、吸引口から吸い込まれるエアーに引き込まれるようにして吸引口の周辺から回り込んで吸引されるエアーは、フランジ部に沿って回り込むようにして吸引口から内部に引き込まれる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、上記車体に隣接してロボット(例えば、実施形態におけるロボット4)が設けられ、このロボットのアーム(例えば、実施形態におけるロボットアーム7)に上記吸引口が支持されていることを特徴とする。
このように構成することで、予めティーチング等により設定された倣い動作によりアームを伸縮させ、車体を動かさず車体の形状に合わせてきめ細かに吸引口を移動させて除塵を行うことが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1〜図8において1は車体を示し、この車体1は、例えば中塗りが終わり上塗り前(あるいは下塗りが終わり中塗りの前)の空研した後の状態である。車体1は除塵ブース2内のベース3(図8にのみ示す)上に載置され、除塵ブース2の車体1の側部には多関節タイプのロボット4が車体1の両側に2台設置されている。一方、図示しないバキューム装置に排気ダクト5が接続され、この排気ダクト5の開口端には吸引口6が取り付けられている。尚、図8において各ロボット4は固定された架台4a上の走行ベース4bに沿ってスライドできるようになっている。
【0011】
上記排気ダクト5は蛇腹状の可撓性のある部材で形成され、吸引口6から吸い込まれた塵埃をバキューム装置に送るものである。そして、上記ロボット4のロボットアーム7の先端に排気ダクト5の吸引口6が支持されている。上記吸引口6は図6(a)、(b)に示すように正面から見ると下側に開いた形状で図6(a)、(c)に示すように側面から見ると先細り形状に形成されている。このように車幅方向に広げることで吸い込みの幅を確保しつつ、先細り形状にすることで吸い込み流速を増速させるようになっている。ここで、図6(c)に示すように固定部材Kにはロボットアーム7との間に周知の回転機構7aが設けられている。
【0012】
そして、図3に示すように吸引口6の上部に巻装された固定部材Kにロボットアーム7の先端部が固定され、ロボットアーム7先端の回転機構7aにより吸引口6が回動できる2ようになっている。尚、上記排気ダクト5はロボットアーム7の動きに追従できれば可撓性のあるものではなく屈曲可能なパイプで形成しても良い。
したがって、上記ロボットアーム7は、図8に模式的に示すように回転機構7aにより吸引口6を回動させることができるため、車体1のボンネットB、フロント、及びリアフェンダパネルF、トランクリッドT、ルーフパネルRに対し吸引口6を対向させることができる。また、ロボット4のロボットアーム7は、予めティーチングにより車体1の表面を隈無く移動できるようにその動きがメモリに取り込まれるようになっている。
【0013】
図1に示すように上記吸引口6には側部に設けられた一対の棒状の取付アーム8を介して車幅方向に長いエアーノズル9が取り付けられている。具体的には吸引口6の両側壁には上下方向にガイドレールGが設けられ、このガイドレールGには、該ガイドレールGに回動可能で、かつボルト10により固定可能なブラケット11が取り付けられている。そして、このブラケット11に取付アーム8の挿通部12が設けられ、該挿通部12に取付アーム8が長手方向に突出長さを調整できるようボルト13により締め付け固定されている。また、上記エアーノズル9は図4に示すように先端に複数の吹出孔(図示せず)を有する周知のノズルピース9aが配列された幅の長い部材であり、エアー供給用のホース15により両側部(片側からのみでもよい)からエアーを供給することで幅方向での均等なエアーの吹き出しを可能としている。
【0014】
上記取付アーム8の先端にはエアーノズル9を固定する固定ブラケット14が設けられ、固定ブラケット14はエアーノズル9を支持している。また、上記吸引口6の周縁には水平方向に張り出したフランジ部16が設けられている。このフランジ部16はエアーノズル9から吹き出されたエアーの反射方向を遮る位置に形成されている。尚、エアーノズル9の先端の位置は車体1への接触を避けるためフランジ部16と同じか、フランジ部16より上側であることが望ましい。
【0015】
次に、作用について説明する。
中塗り工程(あるいは下塗り工程)を終えた車体1は、図8に示すように除塵ブース2のベース3に載置される。この車体1は中塗り塗装後に空研されており、車体1のパネル表面には研粕が付着した状態となっている。この状態で図示しないバキューム装置を作動させロボット4のロボットアーム7をティーチングによって予め設定された所定の経路で移動させると、車体1に対して非接触で対向した吸引口6により車体1に付着している塵埃は確実に吸引除去される。ここで、ロボットアーム7は基本的に上記吸引口6をエアーノズル9の配置してある方向に向かって移動させるため、仮に車体1のパネルにエアーノズル9から吹き出されるエアーにより塵埃が吸引口6とは逆の方向に跳ね返ったとしても、その方向へ追いかけるように移動する吸引口6により跳ね返った塵埃は確実に吸入処理される。
【0016】
すなわち、吸引口6が車体1の表面、例えば図1に示すようにボンネットBを除塵する場合で説明すると、吸引口6がボンネットBに対向する位置であって所定の距離まで接近すると、エアーノズル9から吹き出されるエアーの圧力によりボンネットB上の塵埃は吹き起こされる。この吹き起こされた塵埃はボンネットBにおいて反射し、吸引口6に向かって吹き込まれるエアーと共に吸引口6に吸い込まれ、排気ダクト5から吸引除去される。
【0017】
このときボンネットBに吹き付けられるエアーは吸引口6の外側からボンネットBに吹き付けられるため、エアーノズル9から吹き出されるエアーがボンネットBに至るまでに吸引口6内の空気の流れに悪影響を与えることはなく、むしろエアーノズル9から吹き出されボンネットBで反射したエアーが吸引口6の内部で作用している吸引方向に指向しているため、ボンネットBから吹き起こされた塵埃は反射されたエアーと共に増速された状態で効率よく吸引除去される。つまり、エアーノズル9からボンネットB上の塵埃を吹き起こすために使用されるエアーの反射を無駄なく有効利用して、効率よく塵埃を吸引口6から吸引除去するのである。
【0018】
ここで、上記吸引口6にはフランジ部16が設けられているため、エアーノズル9から吹き出されボンネットBで反射したエアーは吸引口6の外側に逃げることはない。また、上記フランジ部16を設けることで、エアーノズル9から吹き出されたエアーが吸引口6の外側に逃げないことにより図7に示すように吸引口6の外側、特にフランジ部16の上面付近の空気に悪影響を与えず、その結果この部位の空気が矢印で示すようにスムーズにフランジ部16の下側に吸引されて回り込む。したがって、吸引口6の外側に塵埃が飛散したとしても、上記吸引口6の周辺から吸引口6に回り込む空気により吸引口6に吸引される。
【0019】
このようにして、各ロボット4のロボットアーム7を図1、図3に示すボンネットB、図2に示すルーフパネルR、図4に示すフロント、リアフェンダパネルFのパネル面等に沿って移動し付着している塵埃を除去するのである。尚、ロボット4のロボットアーム7の移動速度等は前後の工程との関係で決定される作業時間に基づいて設定される。
このようにロボット4を使用してロボットアーム7により車体1の除塵を行うため、車体1のみを移動させ固定された除塵装置により塵埃を除去する従来に比較して、除塵ブース2が車体1台分の長さで済みラインがコンパクトにできると共に、車体1の形状に沿い、パネル表面に対して一定の間隔を維持しながら、きめの細かい除塵作業を行うことができる。
【0020】
実験によれば、ナイロン繊維等及び空研の研粕を車体1に付着させて除塵効果を調べてみると、従来の平均除去率が24%程度であったのに比較してこの実施形態では平均除去率が約98%程度となった。尚、研粕については800ルクス下での目視確認を行ったが、従来では筋状に残るのが確認されたがこの実施形態では確認できなかった。
【0021】
尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、ロボットの配置台数は2台に限らず1台でも良く、また3台以上でも良い。更に、除塵の対象は塗装工程の後処理、前処理に限らず、単なる除塵を必要とするラインに適用することができる。また、車体1を固定しロボットを4を移動する場合を例にして説明したが、車体1をも移動させることで除塵の時間をより短縮するようにしても良い。また、上記実施形態ではエアーノズル9を吸引口6の片側のみに取り付けた場合について説明したが、反対側にもエアーノズル9を取り付けることができる。このようにすることで、両方のエアーノズル9をバルブ等で切り替えてどちらからでもエアーを噴出できるようにすれば、ボンネットのような広い範囲を除塵する場合に往復で除塵可能となり、作業時間を短縮することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、吸引口と車体との間において、車体表面から吹き起こされた塵埃は、吸引口に向かって引き込まれるとともに、エアーノズルから吹き出され、車体の表面で反射して吹き出し口の吸引方向に指向するエアーと共に排気ダクト導かれるため、該塵埃を車体表面に再付着することなく効率よく除去できるという効果がある。
【0023】
さらに、吸引口に設けられたフランジ部によって、エアーノズルに吹き付けられるエアーの吸引口への吸入効率を高めると共に、吸引口の周囲から吸い込まれるエアーをスムーズに案内することができるため、塵埃の除去率を高めることができる効果がある。
【0024】
請求項2に記載した発明によれば、予めティーチング等により入力された倣い動作によりアームを伸縮させ、車体の形状に合わせてきめ細かに吸引口を移動させて除塵を行うことが可能となるため、塵埃の除去効率を高めることができる効果がある。また、車体の移動を少なくしたり、あるいは車体を移動させることなく除塵を行えるため、車体のみを移動させながら除塵する場合に比較してライン長を短くできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施形態の作業状況を示す側面図である。
【図2】 この発明の実施形態のルーフの除塵をしている状況を示す正面図である。
【図3】 この発明の実施形態のボンネットの除塵をしている状況を示す側面図である。
【図4】 この発明の実施形態のフェンダパネルの除塵をしている状況を示す正面図である。
【図5】 この発明の実施形態のロボットの定位置状態を示す正面図である。
【図6】 この発明の実施形態の吸引口の説明図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は側面図である。
【図7】 この発明の実施形態の塵埃の吸い込み状況を示す説明図である。
【図8】 この発明の実施形態のロボットと車体との位置関係を示す正面図である。
【符号の説明】
1 車体(ワーク)
4 ロボット
5 排気ダクト
6 吸引口
7 ロボットアーム(アーム)
9 エアーノズル
16 フランジ部
Claims (2)
- 車体表面に対向配置可能な吸引口に屈曲可能な排気ダクトが取り付けられ、この吸引口を車体表面に近接させて塵埃を吸引除去する吸引式除塵装置において、上記吸引口の外側に、吸引口に対向する車体表面の塵埃を吹き起こすエアーノズルが配置され、吸引口の両側壁のガイドレールにブラケットが回動自在に設けられ、このブラケットの挿入部に突出長さを調整可能な取付アームが配設され、この取付アームに前記エアーノズルが取り付けられ、前記吸引口は周縁に水平方向に張り出したフランジ部が設けられていることを特徴とする吸引式除塵装置。
- 上記車体に隣接してロボットが設けられ、このロボットのアームに上記吸引口が支持されていることを特徴とする請求項1に記載の吸引式除塵装置。
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