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JP3671132B2 - 徐放用容器 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、徐放用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗生剤、制ガン剤等の薬剤を長期にわたって患部に直接供給する方法として、液体が浸透可能な多孔質容器等の中に薬剤を収納し、これを生体内患部に埋め込み、薬剤を徐々に放出させるようにした徐放が、従来から、おこなわれている。
【0003】
また、近時は、アパタイトが生体為害性がなく、生体との親和性が良好であることから、その多孔質体の孔の中等に薬剤を塗布したものや、アパタイト製容器内に薬剤を収納したもの等が用いられるようになった。例えば、特開平4-224513 号公報には、そのような徐放剤用担体およびその製造方法の一例が開示されている。
【0004】
しかし、薬剤の中には、複数種の薬剤を収納しなければならない場合があり、そのような場合に、互いに化学反応を起こすため同一容器内に収納できないことがあった。また、薬剤の種類によっては、薬効を発生させる期間(徐放期間)を時期的にずらさなければならないこともあった。そのため、気孔率等の異なる複数の容器に薬剤を分けて収納する必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、特開平5−78233 号公報には、複数の徐放容器を、紐で連結したまま体内に一定期間留置するようにした薬物含有粒剤が開示されている。これは、生物学的に不活性なプラスチック粒子中に、1種またはそれ以上の薬物が放出可能な状態で均一に分散されて存在し、後日、取り出すことを前提として、その粒子の複数個が連結手段としての糸または針金(金属線)を介して一緒に連結したものである。
【0006】
しかし、この従来例の場合、プラスチック粒子が、生物学的に不活性であるため、違和感があり、体内に埋設したまま放置することはできず、上述のように、徐放が終了した後には、必ず、取り出さなければならないという煩わしさがあった。
【0007】
そこで、本発明は、徐放終了後に取り出す必要がなく、複数種の薬剤を分離して収納できるようにした徐放用容器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明は、容器本体と蓋とを、備え、上記容器本体は、多孔質アパタイトから成る基部と、該基部の上部に連設され緻密質アパタイトから成る容器上部2、から成り、該容器上部の外表面に開口すると共に該基部と該容器上部とにわたって凹設された薬剤収納部を、有し、該薬剤収納部を、緻密質アパタイトから成る蓋で、開閉自在に閉じ、さらに、糸状体を用いて連結するための小孔が、上記薬剤収納部から離れた位置に設けられている。
【0009】
また、本発明は、容器本体と蓋とを、備え、上記容器本体は、多孔質アパタイトから成る基部と、該基部の上部に連設され緻密質アパタイトから成る容器上部と、から成り、該容器上部の外表面に開口すると共に該基部と該容器上部とにわたって凹設された薬剤収納部を、有し、該薬剤収納部を、緻密質アパタイトから成る蓋5、開閉自在に閉じ、上記基部の外表面の一部、又は、薬剤収納部の内表面のいずれか一方に気孔径を調整するためのコーティング層を有し、さらに、糸状体を用いて連結するための小孔が、上記薬剤収納部から離れた位置に設けられている。
【0010】
その全体の形状を球形状としてもよい。また、その全体の形状を円柱状としてもよい。そして、上記コーティング層はその気孔率が密であって、上記基部の外表面の一部に設けて、該コーティング層以外の部位から、薬剤を浸出させるようにしてもよい。また、容器上部と、蓋と、の間に、密封剤を塗布して薬剤収納部を密閉してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明の徐放用容器を詳説する。
【0012】
図1は本発明の実施の一形態を示す徐放用容器の断面図、図2はその平面図で、これらの図に於て、符号1で示す徐放用容器は、その容器本体20容器上部2が緻密質アパタイトから成り、その他の部分をなす部3が多孔質アパタイトから成り、その全体の形状が球体状(または楕円体状等)に形成されている。なお、緻密質アパタイトは膜厚さえ十分であれば多孔質アパタイト表面に緻密なアパタイトをコーティングしたものでもよい。
【0013】
4は薬剤収納部で、上部に開口を有し、容器上部2と部3とにわたって上下方向に形成されている。5は蓋であり、容器上部2に形成された雌螺子6に螺合する雄螺子7を有して、薬剤収納部4の上部開口を開閉自在に閉じ、かつ、その薬剤収納部4から離れた位置には、図示省略の糸状体(図6参照)を挿通させるための小孔8を設けている。この蓋5は緻密質アパタイトから成る。
【0014】
ところで、本発明に於て、アパタイトとは、広義でのリン酸カルシウム系焼結体を言うものと定義する。なお、その中、ハイドロキシアパタイトが強度的に優れ、最も好ましい素材である。その緻密質体(緻密質アパタイト)は、気孔率が0〜20%のものであり、多孔質体(多孔質アパタイト)は、気孔率が60〜80%である。
【0015】
緻密質体の気孔率が20%を越えると、強度の低下が甚だしくなるため好ましくない。また、多孔質体の気孔率が60%未満になると、骨に置換される時間が長くかかり過ぎる。気孔率が80%を越えると、強度が低下するため、損壊する虞がある。
【0016】
このようなアパタイトから成る容器1は、通常、複数個を用い、それぞれ、異なる薬剤(図示省略)を、薬剤収納部4…に投入して、その小孔8…に糸状体を挿通させ、その複数個を、分離させた状態で、生体患部に埋設する。なお、小孔8は2つ以上設けてもよく、また、場合によっては、複数個の容器1…を連結せずに用いてもよく、また、容器1を単独で用いてもよい。
【0017】
その薬剤収納部4に薬剤を投入した後は、その上部開口を蓋5で閉じ、かつ、その蓋5と容器上部2との間の隙間を、パラフィン、ワセリン、骨蝋等を用いて塗布することにより密封状態としてもよい。
【0018】
このように、上部開口を密封しておくことにより、薬剤は、緻密質アパタイトから成る容器上部2と蓋5からは浸出せず、多孔質アパタイトから成る部3からのみ徐々に外部に浸出する。従って、その部3を、患部に対応させた状態として埋設すれば無駄なく良好な徐放効果が得られる。
【0019】
また、容器1を球体状としたことにより、埋設時には、周辺組織に対して刺激が少なく、好ましい。そして、各容器1…が糸状体で相互に連結されているため、容器間の間隔を調節しつつ、各容器1…を、適切な部位に配置することが容易である。
【0020】
その糸状体を挿通させる小孔8は、薬剤収納部4から離れた位置に設けられているため、埋設時に、その小孔8に作用する負荷によって、薬剤収納部4に達するようなクラックが発生するのを避けることができ、薬剤が不用意に漏れ出るような不具合の発生を免れ、徐放効果に万全を期すことができる。
【0021】
埋設後には、容器1の全体がアパタイトから成るため、生体との親和性が良好であり、違和感がなく、特に、多孔質アパタイトから成る部3は、生体組織との一体化が速やかで、所定の部位に安定に定着する。従って、徐放終了後に、敢えて容器1を摘出する必要はないが、容器が吸収されにくい場合等には、取り出してもよい。
【0022】
このような構成にあって、徐放効果を向上させるためには、薬剤を、方向性を持たせて無駄なく集中的に放出させるのが有効であり、そのためには、容器1の特定の面だけ気孔率を変えてもよいが、気孔率を調整したアパタイト層をコーティングする方法が容易である。例えば、図1に於て、部3の2点鎖線12にて示した気孔率の密なコーティング層Cを施せば、それ以外の部位(図1では下方部)から徐放させることができる。
【0023】
その他、徐放時間や徐放量等を詳細に制御するためにも、気孔率を調整したアパタイトのコーティング層Cを設けるのが有効である。なお、容器1を、後日、取り出す場合には、コーティングの素材としては、アパタイト以外に、アルミナ、シリカ等を用いることができる。
【0024】
図3及び図4は他の実施の形態を示し、この場合、小孔8を、薬剤収納部4から充分離れた、部3の底に設けている。その他の構成については、前実施の形態と同様である。なお、球体に代えて、楕円体等に形成してもよいのは、前実施の形態と同様である。
【0025】
図5及び図6は別の実施の形態を示し、この場合、容器1を円柱状に形成している。このような形状とすることにより、成形が容易となり、コスト安に提供することができ、かつ、小型化しやすくなる。なお、糸状体9を挿通させるための小孔8は、例えば、軸方向に沿って外周付近に設ければよい。
【0026】
この場合においても、蓋5と、蓋5を螺合させる容器上部2と、を緻密質アパタイトで形成し、その他の部3を多孔質アパタイトで形成するのが好ましいが、全体が比較的に必要強度を確保しやすい形状であるため、全体を多孔質アパタイトで形成してもよい。
【0027】
以上のように、各実施の形態によれば、アパタイトから成る複数の容器1を相互に連結するので、種類の異なる複数種の薬剤を患部に直接投入することができ、違和感がなく、術後に、各容器1を取り出す必要がない。
【0028】
また、その連結用の小孔8を、薬剤収納部4から離れた箇所に設けているので、容器1を埋設する時等に、薬剤収納部4に作用する負荷を少なくすることができ、薬剤収納部4のひび割れ等を防ぐことができる。
【0029】
そして、個々の容器1の内表面(薬剤収納部4の内表面)または外表面に、簡単なアパタイトのコーティング層Cを施すことにより、薬剤を、方向性を持たせて放出させることができ、徐放効果を顕著に向上させることができる。
【0030】
さらに、気孔率を調整したアパタイトを容器1の内表面(薬剤収納部4の内表面)または外表面にコーティングすることにより、徐放時間や徐放量等を個々に詳細に制御することもできる。
【0031】
【発明の効果】
(請求項1,2によれば)徐放用容器1がアパタイトから成るので、徐放用容器1を患部に直接投入することができ、違和感がなく、術後に、生体組織と一体化するため、容器1を取り出す必要がない。
【0032】
また、連結用の糸状体9を挿通するための小孔8を、薬剤収納部4から離れた箇所に設けているので、徐放用容器1を埋設する時等に、薬剤収納部4に作用する負荷を少なくすることができ、薬剤収納部4のひび割れ等を防ぐことができる。
また、薬剤収納部4の蓋5を緻密質アパタイトで形成するので、薬剤の密封性を顕著に向上させることができる。
【0033】
(請求項2によれば)徐放用容器1の外表面または内表面のいずれか一方に気孔径を調整するためのコーティング層Cを形成するので、徐放時間や徐放量を、細かく調整することができる。
【0034】
請求項によれば)全体の形状を球体状としたことにより、埋設時には、周辺組織に対して刺激が少なくなる。
【0035】
(請求項によれば)全体の形状を円柱状としたことにより、埋設時には、周辺組織に対して刺激が少なくなる。かつ、製作も容易である。
【0036】
(請求項によれば)薬剤を、所定の方向のみから浸出させることにより、薬剤を無駄にすることなく、徐放効果を顕著に向上させることができる。
【0037】
(請求項によれば)容器上部2と蓋5との間を密閉するので、薬剤を外部に放出させることなく、有効に使用することができ、徐放効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の徐放用容器の実施の一形態を示す縦断面図である。
【図2】 平面図である。
【図3】 他の実施の形態を示す断面図である。
【図4】 平面図である。
【図5】 別の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】 連結状態の説明図である。
【符号の説明】
1 徐放用容器
2 容器上部

4 薬剤収納部
5 蓋
8 小孔
9 糸状体
20 容器本体
C コーティング層

Claims (6)

  1. 容器本体 20 と蓋5とを、備え、
    上記容器本体 20 は、多孔質アパタイトから成る基部3と、該基部3の上部に連設され緻密質アパタイトから成る容器上部2と、から成り、
    該容器上部2の外表面に開口すると共に該基部3と該容器上部2とにわたって凹設された薬剤収納部4を、有し、該薬剤収納部4を、緻密質アパタイトから成る蓋5で、開閉自在に閉じ、
    さらに、糸状体9を用いて連結するための小孔8が、上記薬剤収納部4から離れた位置に設けられていることを特徴とする徐放用容器。
  2. 容器本体 20 と蓋5とを、備え、
    上記容器本体 20 は、多孔質アパタイトから成る基部3と、該基部3の上部に連設され緻密質アパタイトから成る容器上部2と、から成り、
    該容器上部2の外表面に開口すると共に該基部3と該容器上部2とにわたって凹設された薬剤収納部4を、有し、該薬剤収納部4を、緻密質アパタイトから成る蓋5で、開閉自在に閉じ、
    上記基部3の外表面の一部、又は、薬剤収納部4の内表面のいずれか一方に気孔径を調整するためのコーティング層Cを有し、
    さらに、糸状体9を用いて連結するための小孔8が、上記薬剤収納部4から離れた位置に設けられていることを特徴とする徐放用容器。
  3. 全体の形状が球形状である請求項1又は2記載の徐放用容器。
  4. 全体の形状が円柱状である請求項1又は2記載の徐放用容器。
  5. 上記コーティング層Cはその気孔率が密であって、上記基部3の外表面の一部に設けて、該コーティング層C以外の部位から、薬剤を浸出させるようにした請求項2,3又は4記載の徐放用容器。
  6. 容器上部2と、蓋5と、の間に、密封剤を塗布して薬剤収納部4を密閉した請求項1,2,3,4又は5記載の徐放用容器。
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