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JP3671135B2 - ラックピニオン式舵取り装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は舵輪の回転動作に連動してピニオン軸を回転させ、これと噛み合うラック軸を軸長方向に往復移動させて操舵を行うラックピニオン式舵取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ラックピニオン式舵取り装置においては、ラック軸を隔ててピニオンと反対側にラック軸の軸方向への移動を許容しつつ、ラック軸をピニオン軸側へ押圧するためのサポートヨークを設け、ラック軸を支持する剛性を増すと共に、ラックとピニオンとの噛み合い部分でのバックラッシを減少させている。
ところが、サポートヨークとラック棒の摺動抵抗が大きいため、ステアリングシャフトの回転に必要な回転トルクが大きくなる。特に、ステアリング操作の初動時においては、ステアリングホイールの操舵トルク自体が小さいので、上記の摺動抵抗が操舵フィーリングに悪影響を与えるという問題がある。
【0003】
そこで、ラック軸に転がり接触するボールをサポートヨークに保持し、このボールを介してラック軸側に付勢してラック軸の移動抵抗を少なくする試みがなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ボールを受けるためにサポートヨークに設けられた受け座と、ボールとの接触状態が不適切であると、ボールとラック軸との転動面や、ボールとサポートヨークとの転動面に滑りが発生する。このため、ラック軸のスムーズな移動が阻害されて、所望の操舵フィーリングが得られないおそれがある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は操舵フィーリングを良好にすることができるラックピニオン式舵取り装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明は、ギヤケース内で相互に噛み合うピニオン軸と断面円弧状のラック軸とを備えるラックピニオン式舵取り装置において、上記ラック軸の周面に点接触する複数の玉と、ギヤケースに設けられたハウジング内に進退自在に収容され、上記複数の玉を転動自在に受ける円柱状の受け部材と、この受け部材および上記複数の玉を介してラック軸をピニオン軸側へ付勢する付勢部材とを備え、上記複数の玉は、ラック軸の中心軸線および受け部材の中心軸線を含む平面を挟んだ両側に配置された一対の玉を含み、上記受け部材には各玉をそれぞれ受ける受け座が形成され、この受け座は円錐状テーパ面を含み、各玉の中心を含んでラック軸に直交する平面において、その玉とラック軸との接触点と、その玉と受け部材との接触点とを結ぶ直線がその玉の略中心を通ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明では、上記ラック軸に直交する平面において、の中心を含んで上記直線に直交する軸がの回転軸となる。したがって、操舵に伴ってラック軸が軸長方向に移動するときに、がラック軸や支持部材に対してほとんど滑りを生ずることなく、スムーズに転動できる。その結果、操舵フィーリングが良好となる。また、受け部材には玉を受ける受け座が形成され、この受け座は円錐状テーパ面を含むので、円錐状テーパ面により玉を安定して保持することができ、玉の挙動が安定する。特に、各部品に多少の寸法誤差があっても、玉を安定して保持できる点で好ましい。また、円錐状テーパ面であれば加工も容易である。
また、本発明は、所要時にラック軸の周面を受ける凹面を有し、ハウジングに設けられた収容孔に進退自在に収容される支持部材と、この支持部材をラック軸側へ付勢する付勢部材とをさらに備え、支持部材は、受け部材を進退自在に収容する受け部材収容孔と、を進退自在に収容する収容孔とを含む場合がある。
【0007】
また、本発明は、所要時にラック軸の周面を受ける凹面を有し、ハウジングに設けられた収容孔に収容孔の深さ方向に進退不能に固定され支持部材をさらに備え、支持部材は、受け部材を進退自在に収容する受け部材収容孔と、を進退自在に収容する収容孔とを含む場合がある。
これらの場合、ステアリング操作の初動領域(いわゆる中立時の近傍領域であり、小変位の小荷重領域である)では、移動するラック軸にが滑ることなく転がり接触するので、ラック軸の移動抵抗を軽減して、操舵フィーリングを良好にすることができる。また、大荷重入力時には、支持部材によってラック軸を受けて、ラック軸を強固に支持することができる。また、後者の場合には、支持部材が移動しないので、これを付勢する付勢部材が不要であり、その結果、部品点数を削減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態の添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態のラックピニオン式舵取り装置の断面図である。ピニオン軸1は転がり軸受2,3にてギヤケース4内に回転可能に支持され、またラック軸5は図示しない軸受部材にて軸長方向(紙面に直交する方向)に沿って移動自在に支持されている。ピニオン軸1とラック軸5はギヤケース4内で相互に噛み合わされている。図示していないが、ラック軸5の両端部はタイロッドを介して操向車輪に連結されており、図示しないステアリングホイールの回転に伴ってラック軸5が軸長方向に移動し操向が行われる。
【0010】
ギヤケース4にはラック軸5を隔ててピニオン軸1と反対側にハウジング6が設けられており、このハウジング6の収容孔7内にラック軸5を支持する支持部材としてのサポートヨーク8が摺動自在に収容されている。サポートヨーク8は円柱形に形成され、ラック軸5の周面5aに沿うように断面円弧状の凹面9を形成している。
ハウジング6の収容孔7の入口にはねじ部10が形成され、このねじ部10に固定プラグ11がねじ込まれ、ロックナット12により固定されている。固定プラグ11はサポートヨーク8の凹面9の背面13に、所定の隙間(例えば0.1mm)を設けて対向する。サポートヨーク8の背面13には、円孔からなるばね収容孔14が形成されており、このばね収容孔14にサポートヨーク8をラック軸5側へ付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね15が収容されている。
【0011】
サポートヨーク8の凹面9には、複数の転動体収容孔としての玉収容孔16が形成され、各玉収容孔16にラック軸5の周面5aに転がり接触する転動体としての玉17が回転自在に保持されている。サポートヨーク8によって、玉17を受ける受け部材が構成されている。
次いで、図2は玉17の中心21を含んでラック軸5(ラック軸5の軸長方向に延びる軸線)に対して直交する平面Pで切断したラック軸5およびサポートヨーク8の模式的拡大断面図である。図2を参照して、本実施形態の特徴とするところは、上記の平面Pにおいて、玉17とラック軸5の周面5aとの接触点18と、玉17とサポートヨーク8との接触点19とを結ぶ直線20が玉17の中心21又はその近傍を通ることである。
【0012】
玉収容孔16はサポートヨーク8が進退する方向に平行な軸を持つ孔からなり、孔の底には、例えば円錐状テーパ面からなる受け座22が形成されている。受け座22は玉17に対して円弧状の接触線23を持ち、この接触線23が上記の接触点19を含んでいる。受け座22を形成する円錐状テーパ面の頂角Aは、ラック軸5に対する玉の接触角Bの略2倍に設定されている(すなわちA=2B)ことが好ましい。
【0013】
本実施形態では、上記平面Pにおいて、玉17の中心21を含んで上記直線20に直交する軸24が玉17の回転軸となる。したがって、操舵に伴ってラック軸5が軸長方向に移動するときに、玉17がラック軸5やサポートヨーク8に対してほとんど滑りを生ずることなく、スムーズに転動できる。その結果、操舵フィーリングが良好となる。
また、受け座22を形成する円錐状テーパ面により玉17を安定して保持することができ、玉17の挙動が安定する。特に、各部品に多少の寸法誤差があっても、玉17を安定して保持できる点で好ましい。また、円錐状テーパ面であれば加工も容易である。
【0014】
次いで、図3は本発明の別の実施形態のラックピニオン式舵取り装置の断面図である。図3を参照して、サポートヨーク8Aは、第1の付勢部材としての第1の圧縮コイルばね25を収容するための収容孔26の底に、玉17を受ける受け部材29を摺動自在に収容するための収容するための受け部材収容孔28を形成している。この受け部材収容孔28には第2の付勢部材としての第2の圧縮コイルばね27も収容されている。受け部材収容孔28の径は収容孔26の径よりもやや小さくされている。
【0015】
また、第2の圧縮コイルばね27は、上記の収容孔26の底に固定された環状のばね受け座30と可動の受け部材29との間に介在している。第2の圧縮コイルばね27は受け部材29を介して玉17をラック軸5側に付勢する。第2の圧縮コイルばね27のばね定数は第1の圧縮コイルばね25のばね定数よりも格段に小さく設定されている。
一方、玉17はラック軸5の頂部を挟んだ両側に少なくとも一対が配置されており、それぞれサポートヨーク8Aの凹面9に開口するように形成された小径の玉収容孔31に進退自在に収容されている。各玉17用の玉収容孔31は受け部材収容孔28にそれぞれ連通している。サポートヨーク8Aの凹面9には、大荷重入力時にラック軸5の周面5aに摺接するための低摩擦のパッド32が取り付けられている。
【0016】
受け部材29は、対応する玉17に後方から当接する複数の突起33を一体に設けており、第2の圧縮コイルばね27は受け部材29を介して、上記ラック軸5の頂部を挟んだ両側の玉17を一括して付勢する。各突起33の玉17に対する対向面には、玉17を受ける円錐状テーパ面からなる受け座34が形成されている。この受け座34の構成は図2の受け座22と同様である。45は受け部材29の外縁に当接する環状の位置決め段部である。受け部材29が位置決め段部45に当接することにより、玉17の玉収容孔31からの最大突出量が規定される。
【0017】
本実施の形態によれば、ステアリング操作の初動領域(いわゆる中立時の近傍領域であり、小変位の小荷重領域である)では、図3に示すように、移動するラック軸5に玉収容孔31から突出した玉17が転がり接触するので、ラック軸5の移動抵抗を低減でき、操舵フィーリングを良好にすることができる。また、このとき、玉17がラック軸5やサポートヨーク8Aに対してほとんど滑りを生ずることなく、スムーズに転動できるので、操舵フィーリングが良好となる。
【0018】
一方、大荷重入力時には、図4に示すように、第2の圧縮コイルばね27を撓ませて玉17が玉収容孔31内に引っ込むので、サポートヨーク8Aがパッド32を介してラック軸5を受けることになり、ラック軸5を強固に支持することができる。
また、玉17用の玉収容孔31よりもスペースに余裕のある受け部材収容孔28に、第2の圧縮コイルばね27を収容するので、ばねのコイル径、素線径、ばね長さ等を比較的自由に設定することが可能となる。その結果、第2の圧縮コイルばね27について特にシビアな寸法管理をせずとも、所望の付勢荷重を得ることができる。
【0019】
次いで、図5は本発明の別の実施の形態を示している。図5を参照して、本実施の形態が図3の実施の形態と異なるのは、第2の圧縮コイルばね35を環状のばね受け座30および第1の圧縮コイルばね25の内側を貫通するように配置し、第2の圧縮コイルばね35の一端も、第1の圧縮コイルばね25の一端と同様に、固定プラグ11に当接するようにした点である。なお、図3の実施形態と同様の構成については、図に同一符号を付してその説明を省略した。
【0020】
本実施の形態では、図3の実施形態と同様の作用効果を奏する。加えて、第2の圧縮コイルばね35は受け部材29と固定プラグ11との間に介在することになり、第2の圧縮コイルばね35のセット長を長くできるので、付勢荷重を小さくすることができて好ましい。これは、玉17は中立時の近傍でラック軸5に転がり接触するように働けば良く、この観点から玉17を付勢する第2の圧縮コイルばね35の付勢荷重は小さめが好ましいからである。
【0021】
次いで、図6は本発明のさらに別の実施の形態を示している。図6を参照して、本実施の形態が図5の実施の形態と異なるのは、下記である。
すなわち、ラック軸5を軸長方向に摺動自在に支持する支持部材としてのサポートヨーク36を、固定プラグ37に固定することによって、ハウジング6の収容孔7に固定している。これに伴い、第1の圧縮コイルばね25を廃止している。
【0022】
また、サポートヨーク36を貫通する受け部材収容孔38に、玉17を受ける有底円筒状の受け部材39を摺動自在に収容している。受け部材39と固定プラグ37との間には、受け部材39を介して玉17をラック軸5側へ付勢する付勢部材としての圧縮コイルばね40が収容されている。受け部材39には、各玉17を受ける円錐テーパ面からなる受け座34を形成した突起33が設けられている。
【0023】
また、受け部材39は圧縮コイルばね40を受ける凹部からなるばね受け座41を有しており、ばね受け座41の周囲には圧縮コイルばね40の外周の大部分を案内するガイド周壁42が形成されている。固定プラグ37にも同様にガイド周壁43を設けるための凹部44が形成されている。なお、図5の実施の形態と同様の構成については、図に同一符号を付して、その説明を省略した。
本実施の形態では、図5の実施形態と同様の作用効果を奏する。加えて、ステアリング操作の初動領域(いわゆる中立時の近傍領域であり、小変位の小荷重領域である)では、移動するラック軸5に玉17が転がり接触するので、ラック軸5の移動抵抗を低減でき、操舵フィーリングを良好にすることができる。また、大荷重入力時には、固定型のサポートヨーク36が低摩擦のパッド32を介してラック軸5を受けて、ラック軸5を強固に支持することができる。
【0024】
また、サポートヨーク36を移動させないので、これを付勢する付勢部材が不要であり、その結果、部品点数を削減することができる。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のラックピニオン式舵取り装置の要部の概略断面図である。
【図2】図1の拡大断面図であり、小入力時の状態を示している。
【図3】本発明の別の実施の形態のラックピニオン式舵取り装置の要部の断面図である。
【図4】図3に相当する拡大断面図であり、大入力時の状態を示している。
【図5】本発明のさらに別の実施の形態のラックピニオン式舵取り装置の要部の断面図である。
【図6】本発明のさらに別の実施の形態のラックピニオン式舵取り装置の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 ピニオン軸
5 ラック軸
6 ハウジング
8 サポートヨーク(支持部材,受け部材)
8A サポートヨーク(支持部材)
9 凹面
10 パッド
11,37 固定プラグ
14 収容孔
15 圧縮コイルばね(付勢部材)
16 玉収容孔(転動体収容孔)
17 玉(転動体)
18,19 接触点
20 直線
21 中心
22 受け座
24 軸(回転軸)
25 第1の圧縮コイルばね(第1の付勢部材)
26 収容孔
27 第2の圧縮コイルばね(第2の付勢部材)
28 受け部材収容孔
29 受け部材
31 玉収容孔(転動体収容孔)
33 突起
34 受け座
35 第2の圧縮コイルばね
36 サポートヨーク(支持部材)
38 受け部材収容孔
39 受け部材
40 圧縮コイルばね

Claims (3)

  1. ギヤケース内で相互に噛み合うピニオン軸と断面円弧状のラック軸とを備えるラックピニオン式舵取り装置において、
    上記ラック軸の周面に点接触する複数の玉と、
    ギヤケースに設けられたハウジング内に進退自在に収容され、上記複数の玉を転動自在に受ける円柱状の受け部材と、
    この受け部材および上記複数の玉を介してラック軸をピニオン軸側へ付勢する付勢部材とを備え、
    上記複数の玉は、ラック軸の中心軸線および受け部材の中心軸線を含む平面を挟んだ両側に配置された一対の玉を含み、
    上記受け部材には各玉をそれぞれ受ける受け座が形成され、この受け座は円錐状テーパ面を含み、
    各玉の中心を含んでラック軸に直交する平面において、その玉とラック軸との接触点と、その玉と受け部材との接触点とを結ぶ直線がその玉の略中心を通ることを特徴とするラックピニオン式舵取り装置。
  2. 所要時にラック軸の周面を受ける凹面を有し、ハウジングに設けられた収容孔に進退自在に収容される支持部材と、
    この支持部材をラック軸側へ付勢する付勢部材とをさらに備え、
    支持部材は、受け部材を進退自在に収容する受け部材収容孔と、を進退自在に収容する収容孔とを含むことを特徴とする請求項1記載のラックピニオン式舵取り装置。
  3. 所要時にラック軸の周面を受ける凹面を有し、ハウジングに設けられた収容孔に収容孔の深さ方向に進退不能に固定され支持部材をさらに備え、
    支持部材は、受け部材を進退自在に収容する受け部材収容孔と、を進退自在に収容する収容孔とを含むことを特徴とする請求項1記載のラックピニオン式舵取り装置。
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