JP3671285B2 - 不純物量測定方法および装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ等基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面には、有機物などの付着不純物が付着する場合がある。この付着不純物は、例えば、ウェハプロセスにおいて塗布されるフォトレジストを完全に除去できないときや、半導体ウェハの保管の際などに付着する。また、乾燥工程において残存する水分等も付着不純物となり得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
絶縁膜の表面に付着した付着不純物は、ウェハプロセスの膜形成工程において付着不純物が絶縁膜中に取り込まれてしまう場合がある。このような場合には、例えば、絶縁膜の耐圧の低下等の半導体デバイスの特性劣化を引き起こすため、付着不純物の量を評価したいという要望がある。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、半導体ウェハ等の基板の絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定することができる技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の方法は、基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する不純物量測定方法であって、(a)前記絶縁膜の表面に付着不純物が付着した状態で所定の電気特性の第1の測定値を求める工程と、(b)前記基板表面に光を照射することによって前記絶縁膜の表面の付着不純物をイオン化する工程と、(c)付着不純物がイオン化された状態において、前記所定の電気特性の第2の測定値を求める工程と、(d)前記第1と第2の測定値から、付着不純物がイオン化される前の状態における付着不純物量を決定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
基板表面の絶縁膜に光を照射すると、絶縁膜の表面に付着した付着不純物がイオン化される。したがって、この光の照射前と照射後において絶縁膜の表面の付着不純物の量に関連した電気特性の測定値を求めれば、これらの測定値から、光の照射前の状態における付着不純物の量を決定することができる。
【0007】
さらに、上記の不純物量測定方法において、前記工程(b)は、前記基板に電圧を印加して前記絶縁膜の表面に電子を供給することによって前記付着不純物をイオン化させる工程を含むことが好ましい。
【0008】
こうすれば、光照射によって付着不純物をイオン化させるとともに、電圧印加によっても付着不純物をイオン化させることができるので、光照射のみによってイオン化するときに比べて付着不純物を容易にイオン化させることができる。
【0009】
また、上記の不純物量測定方法において、前記光は、前記付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断してイオン化できるような特定の波長範囲の光であることが好ましい。
【0010】
こうすれば、付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断することができるので、特定の化学結合を含む付着不純物の量を、その特定の化学結合を含まない付着不純物の量と分離して決定することが可能となる。
【0011】
本発明の装置は、基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する不純物量測定装置であって、前記絶縁膜の表面に付着した付着不純物量に関連した所定の電気特性の特性値を求める電気特性測定部と、前記絶縁膜の表面の付着不純物をイオン化するために前記基板表面に光を照射する光照射部と、付着不純物がイオン化される前の状態において前記電気特性測定部によって求められた前記所定の電気特性の第1の測定値と、前記光照射部からの光照射によって付着不純物がイオン化された状態において前記電気特性測定部によって求められた前記所定の電気特性の第2の測定値とから、付着不純物がイオン化される前の状態における付着不純物の量を決定する付着不純物量決定部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
基板表面の絶縁膜に光照射部からの光を照射すると絶縁膜の表面に付着した付着不純物がイオン化される。したがって、この光の照射前と照射後において絶縁膜の表面の付着不純物の量に関連した電気特性の測定値を電気特性測定部で求めれば、この測定値から、光照射前の状態の付着不純物の量を決定できる。
【0013】
さらに、上記の不純物量測定装置において、前記基板に電圧を印加して前記絶縁膜の表面に電子を供給することによって前記付着不純物をイオン化させる電圧印加部を備えることが好ましい。
【0014】
こうすれば、光照射によって付着不純物をイオン化させるとともに、電圧印加部が電圧を印加することによっても付着不純物をイオン化させることができるので、光照射のみによってイオン化することに比べて付着不純物を容易にイオン化させることができる。
【0015】
また、上記の不純物量測定装置において、前記光は、前記付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断してイオン化できるような特定の波長範囲の光であることが好ましい。
【0016】
こうすれば、付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断することができるので、特定の化学結合を含む付着不純物の量を、その特定の化学結合を含まない付着不純物の量と分離して決定することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
A.第1実施例:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、この発明の第1実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図である。この光照射装置は、直流電源12および光源14を含む光源部15と、光学フィルタ20と、半導体ウェハ100を載置するためのステージ30とを備えている。光源14は、例えば水銀ランプであり、約200〜600nmの波長範囲の光を出射する。出射された光の中で、特定の波長範囲の光のみが光学フィルタ20を透過して半導体ウェハ100の表面を照射する。なお、この光照射装置が本発明における光照射部に相当する。
【0018】
図2は、第1実施例における付着不純物量の測定方法を示す説明図である。図3は、本実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャートである。ステップS1aでは、まず、半導体ウェハ100を対象として非接触C−V測定を実行し、第1のC−V曲線を求める。ここで使用される非接触C−V測定装置は、半導体ウェハ100の上方にギャップを隔てて測定電極201を位置決めし、この状態でC−V測定を行う装置である。このような非接触C−V測定装置の構成およびその測定原理については、本出願人により開示された特開平4−32704号公報および特開平4−328842号公報に記載されているので、ここではその詳細は省略する。なお、この非接触C−V測定装置が本発明における電気特性測定部に相当する。
【0019】
図2(A−1)は、非接触C−V測定装置において、測定電極201を半導体ウェハ100の表面の上方に約350オングストロームのギャップGを隔てて位置決めした状態を示している。絶縁膜102の表面に示す「SM」は付着不純物を表している。なお、この明細書においては、絶縁膜102の膜中にNaイオンなどの可動イオンが存在しない場合か、無視できる程度に少ない場合について説明する。
【0020】
図2(A−2)はステップS1aで得られた第1のC−V曲線F1を示すグラフである。なお、このC−V測定では、測定電極201と半導体ウェハ100の表面とのギャップG(図2(A−1))も測定される。
【0021】
図3のステップS2aでは、図1に示す光照射装置を用いて、半導体ウェハ100の表面に紫外光近傍の光を照射する。なお、絶縁膜102の厚みは約100〜1000オングストロームと極めて薄く、紫外光近傍の光に対してはほぼ透明であると考えることができる。したがって、光は絶縁膜102の表面の付着不純物SMを照射するとともに、半導体基板101と絶縁膜102との界面近傍も照射することができる。図2(B−1)は、光の照射によって絶縁膜102の表面の付着不純物SMがほとんどイオン化された状態を示している。
【0022】
図2(A−1)に示す絶縁膜102の表面の付着不純物SMは、前述したように、主として有機物である。これらの有機物は、共有結合によって多数の原子が結び付ついて形成されている。有機物に含まれる共有結合は、通常、その結合エネルギを超えるエネルギを与えることにより切断される。したがって、半導体ウェハ100の表面に照射された光は、付着不純物に含まれる共有結合を切断することが可能である。
【0023】
図4は、付着不純物に含まれる各種の共有結合の結合エネルギを示す説明図である。図4の左欄は共有結合の種類、中欄は各共有結合に対する結合エネルギ、右欄は結合エネルギに相当する光の波長を示している。上述のように図4の中欄に示す結合エネルギより大きなエネルギを有する光(右欄)を照射すれば、左欄に示す付着不純物の共有結合を切断することができる。例えば、「O−H」からなる共有結合を含む付着不純物に、その結合エネルギ(約462.8KJ/mol)より大きいエネルギを有する光を照射すれば「O−H」結合を切ることができる。この場合には、照射光として波長が約257.6nm以下の光を照射すればよい。したがって、約250〜約270nmの光を照射すれば、図4に示すほとんどの共有結合を切断することができる。このような光を照射すると、付着不純物の共有結合を形成する結合電子対は切断されて、付着不純物は不対電子を有する原子団(ラジカル)となる。このとき付着不純物は活性化された状態となっている。
【0024】
半導体ウェハ100に照射された光は、付着不純物の共有結合を切断するとともに、絶縁膜102を透過して半導体基板101に到達する。半導体基板101を照射した光は、半導体基板101中の電子にエネルギを与える。
【0025】
図5は、半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図である。図中、Eciは絶縁膜102の伝導帯の底のエネルギを示しており、Ecs,Evsはそれぞれ半導体基板101の伝導帯の底のエネルギおよび価電子帯の上端のエネルギを示している。光を照射すると、半導体基板101中の電子は、光からエネルギを与えられる。光のエネルギが、絶縁膜102のエネルギ障壁(絶縁膜102の伝導帯の底のエネルギEciと価電子帯の上端のエネルギEvsとの差)より大きい場合には、価電子帯の電子は絶縁膜102のエネルギ障壁を超えることができる。なお、シリコン基板にSiO2膜が形成されている場合のエネルギ障壁は約4.25eVであり、このエネルギを超える光を照射した場合には絶縁膜102の表面に到達し得る。前述した250〜270nmの光は、約4.5〜約5.0eV程度であるため、この光を照射した場合には、電子はエネルギ障壁を容易に超えることができる。
【0026】
絶縁膜102のエネルギ障壁を超えた電子は絶縁膜102内に移動して絶縁膜102の表面に到達する。絶縁膜102の表面に到達した電子は、光照射により活性化された付着不純物に取り込まれる。これにより、絶縁膜102の表面の付着不純物SMは負イオン化する。
【0027】
図3のステップS3aにおいては、図2(B−1)に示すように付着不純物SMがイオン化された状態で、第2回目の非接触C−V測定を実行し、第2のC−V曲線を求める。図2(B−2)はこうして得られた第2のC−V曲線F2を第1のC−V曲線F1とともに示している。第1のC−V曲線F1は絶縁膜102の表面の付着不純物SMがイオン化されていない状態における測定結果であり、また、第2のC−V曲線F2は絶縁膜102の表面の付着不純物SMがほぼすべてイオン化された状態(SM-)における測定結果である。
【0028】
ステップS4aにおいては、第1および第2のC−V測定結果から絶縁膜102の表面の付着不純物量を決定する。付着不純物イオンSM- は絶縁膜102の表面に局在しているので、第1と第2のC−V曲線におけるフラットバンド電圧のシフト量△Vfbは次の式(1)で与えられる。
【0029】
ΔVfb=−q・Ns・G/ε0 ・・・(1)
【0030】
ここで、qは電気素量、ε0 は真空の誘電率、Gは絶縁膜102と測定電極201とのギャップ、Nsは単位面積当たりの付着不純物量である。
【0031】
上記の式(1)を用いて、フラットバンド電圧のシフト量△Vfbから付着不純物量Nsを決定することができる。なお、式(1)に従った計算は、図示しないコンピュータに備えられた付着不純物量決定部によって実行される。
【0032】
このように、半導体ウェハ100に光を照射して付着不純物をイオン化すれば、所定の電気特性の測定値を求めることにより絶縁膜102の表面に付着した付着不純物の量を求めることが可能となる。
【0033】
B.第2実施例:
図6は、この発明の第2実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図である。この光照射装置は、図1に示す光照射装置とほぼ同じであるが、半導体ウェハ100に電圧を印加するための電圧発生器25と電圧印加用電極27とを備えている。電圧発生器25は、電圧印加用電極27と金属製のステージ30とに接続されており、これによりステージ30に載置された半導体ウェハ100に電圧を印加することができる。電圧印加用電極27としては、半導体ウェハに照射する紫外光近傍の光を透過するものが好ましく、例えば、ITO膜(In−Sn酸化膜)を石英ガラス上に形成したものなどを用いることができる。なお、本実施例の電圧発生器25と電圧印加用電極27とが本発明における電圧印加部に相当する。
【0034】
図7は、本実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャートである。ステップS1b,S3b,S4bの測定手順は図3に示すステップS1a,S3a,S4aの手順と同じなので詳細な説明は省略する。本実施例においては、ステップS2bにおいて付着不純物をイオン化させる方法が異なっている。すなわち、ステップS2bにおいては半導体ウェハ100に光を照射するとともに半導体ウェハ100に電圧を印加することにより絶縁膜102の表面の付着不純物SMをイオン化する。
【0035】
ステップS2bにおいて半導体ウェハ100に光を照射すると、前述のように、光に照射された付着不純物は、共有結合が切断され、活性化された状態で絶縁膜102の表面に存在する。このとき、半導体ウェハ100に電圧を印加することにより電子を絶縁膜102の表面に供給する。なお、半導体ウェハ100に印加する電圧は、60Hz程度の矩形波や正弦波などが適している。
【0036】
図8は、半導体ウェハに電圧を印加する場合の半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図である。図8(a)は電圧を印加していない状態におけるバンド図を示しており、図8(b)は電圧を印加した状態におけるバンド図を示している。電圧を印加する前においては、図8(a)に示すように照射された光によって十分なエネルギを得た電子が絶縁膜102のエネルギ障壁を超え、絶縁膜102の表面に達する。
【0037】
絶縁膜102がプラスで半導体基板101がマイナスとなるバイアス電圧を印加すると、エネルギバンド構造は、図8(a)に示すほぼ平坦な状態から図8(b)に示すように湾曲した状態へと変化する。図8(b)に示すようなエネルギバンド構造が大きく湾曲した状態では、半導体基板101内に形成された電界により、電子は絶縁膜102のエネルギ障壁を超えるエネルギを得る。この電子は絶縁膜102の表面に達することができ、光照射により活性化された付着不純物に取り込まれ、付着不純物を負イオン化する。
【0038】
このようにイオン化された付着不純物の量をステップS4b(図7)で算出することにより付着不純物量を決定することができる。
【0039】
このように光照射に加えて電圧を印加する場合には、光からエネルギを得た電子が図8(a)のように絶縁膜102のエネルギ障壁を超えられない場合、すなわち、光のエネルギが小さく半導体基板101から絶縁膜102の表面に電子が供給できない場合でも、絶縁膜102の表面に電子を供給することができるので、光照射により活性化された付着不純物を容易にイオン化することができる。
【0040】
したがって、光の波長範囲を特定の共有結合のみを切断するのに適した波長範囲に設定すれば、その特定の共有結合を含む付着不純物量をその結合を含まない付着不純物量と分離して測定することができる。すなわち、光の波長を、長波長から短波長へと順に変化させてゆけば、結合エネルギが小さい結合から順に切断してゆくことができる。こうすれば、特定の共有結合を含む付着不純物のみを光照射あるいは電圧印加によりイオン化して、その付着不純物量を求めることができる。なお、照射する光の波長範囲は、光学フィルタ20(図1)を交換することによって設定することができる。
【0041】
また、第1および第2においては、付着不純物として共有結合から形成されるものについて説明したが、共有結合から形成されている場合だけでなく、種々の化学結合、例えば、イオン結合や水素結合などから形成される付着不純物についてもイオン化させて、その量を決定することも可能性である。
【0042】
C.第3実施例:
図9は、この発明の第3実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図である。この不純物量測定装置の測定部は、筐体40の内部に収納されている。筐体40内には、光源部15と、光学フィルタ20と、電圧印加用電極27と、ステージ30と、測定電極201を有する非接触C−V測定部50と、ステージ30を水平方向に移動させるためのレール62と、レール62に沿ってステージ30を移動させるモータ64とが設けられている。なお、電圧印加用電極27とステージ30とに接続される電圧発生器については図示を省略している。
【0043】
非接触C−V測定部50は、前述した特開平4−328842号公報に記載されている非接触C−V測定装置とほぼ同様な基本構成を有する装置である。非接触C−V測定部50にはコンピュータ300が接続されている。コンピュータ300の内部には、付着不純物量決定部320が備えられており、これにより付着不純物量Nsが決定される。
【0044】
筐体40は密閉された防塵構造を有しており、ゴミ(例えば、有機物)が半導体ウェハ100の表面に付着しないようにされている。このような防塵構造については、本出願人により開示された特開平5−335393号公報に例示されているので、ここではその詳細は省略する。なお、真空ポンプを用いて筐体40の内部を真空にするようにしてもよい。筐体40内部を密閉構造(防塵構造や真空構造)にすれば、測定中に半導体ウェハ100の表面にゴミが付着することを防止することができる。なお、筐体40の内部に不活性ガス(例えばN2 )を供給する不活性ガス供給部を設けておき、筐体40内を不活性ガス雰囲気にするようにしてもよい。
【0045】
第3実施例においても、前述した図3あるいは図7に示す手順で絶縁膜表面の付着不純物量Nsの測定が実行される。第3実施例の装置では、レール62上を移動させるだけで、光照射の位置とC−V測定の位置とを交換することができるので、全体の処理時間を、第1および第2実施例よりもさらに短縮することができる。
【0046】
なお、光の光束の幅を比較的小さく絞るための開口部を光源部15の出射口以下の位置に設けるようにすれば、半導体ウェハ100上の特定の位置にのみ光を照射することも可能である。こうすれば、半導体ウェハ100上の複数の位置において付着不純物量Nsを測定することができるので、ウェハ表面近傍における付着不純物量の分布を測定することが可能である。なお、付着不純物量の分布測定を行う場合には、ウェハ表面上の測定位置を移動させるために、ステージ30に2次元的な移動機構を設けておくことが好ましい。
【0047】
D.第4実施例:
図10は、この発明の第4実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図である。この不純物量測定装置は、図9に示す第3実施例の装置における光学フィルタ20を分光器70に置き換え、また、光源部15と分光器70との間、および、分光器70の下側に光伝送管72,74を設けた構成を有している。光源部15と第1の光伝送管72と分光器70とは筐体40の外側に設けられており、第2の光伝送管74は筐体40を貫通している。なお、本実施例においては、光源部15と分光器70と光伝送管72,74とが本発明の光照射部に相当する。
【0048】
光源部15から出射された光は、第1の光伝送管72を介して分光器70に供給される。分光器70は、所望の単一波長の光を選択的に出射することができる。分光器70としては、例えば回折格子を用いた回折格子分光器を用いることが可能である。分光器70から出射された光は、第2の光伝送管74によって伝送される。
【0049】
第2の光伝送管74の下部の出射口76から出射された光は、半導体ウェハ100上の特定の位置を照射する。この時、ステージ30の図示しない2次元移動機構を用いれば、半導体ウェハ100表面の任意の位置を測定位置に設定することが可能である。
【0050】
第4実施例においても、前述した図3あるいは図7に示す手順に従って絶縁膜表面の付着不純物量Nsの測定が実行される。第4実施例の装置によれば、分光器70の設定を変更することによって、付着不純物の特定種類の化学結合を切るのに適した単一波長の光を半導体ウェハ100上に照射することが容易にできる。特に、絶縁膜中に複数種類の結合が含まれている場合に、照射光の波長を変える毎に付着不純物量の測定を実行すれば、各種の結合を分離して測定することが可能である。なお、第4実施例では、第3実施例と同様に付着不純物量の分布を測定することも可能である。
【0051】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
【0052】
(1)上記実施例ではC−V曲線の測定値としてフラットバンド電圧を利用して付着不純物量を決定したが、C−V曲線を用いる場合には他の測定値を利用してもよい。すなわち、C−V曲線は、絶縁膜の表面に存在するイオン化した付着不純物の影響を受けて変化(シフト)するので、例えば、基板と絶縁膜との界面においてフェルミ準位と真性フェルミ準位とが一致する「ミッドギャップ電圧」と呼ばれる測定値を用いてもよい。
【0053】
(2)上記実施例ではC−V曲線を用いて付着不純物量を決定したが、C−V曲線に限らず、イオン化した付着不純物量に関連した他の電気特性測定法を用いて決定することも可能である。例えば、SPV(Surface Photo Voltage )法や、表面電位測定法、マイクロ波光減衰法等を用いることもできる。一般には、絶縁膜の表面のイオン化した付着不純物量に関連した所定の電気特性を用いて付着不純物量を決定するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図。
【図2】第1実施例における付着不純物量の測定方法を示す説明図。
【図3】第1実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャート。
【図4】付着不純物に含まれる各種の共有結合の結合エネルギを示す説明図。
【図5】半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図。
【図6】この発明の第2実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図。
【図7】第2実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャート。
【図8】半導体ウェハに電圧を印加する場合の半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図。
【図9】この発明の第3実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図。
【図10】この発明の第4実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図。
【符号の説明】
12…直流電源
14…光源
15…光源部
20…光学フィルタ
25…電圧発生器
27…電圧印加用電極
30…ステージ
40…筐体
50…C−V測定部
62…レール
64…モータ
70…分光器
72,74…光伝送管
76…出射口
100…半導体ウェハ
101…半導体基板
102…絶縁膜
201…測定電極
300…コンピュータ
320…付着不純物量決定部
G…ギャップ
【発明の属する技術分野】
この発明は、基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウェハ等基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面には、有機物などの付着不純物が付着する場合がある。この付着不純物は、例えば、ウェハプロセスにおいて塗布されるフォトレジストを完全に除去できないときや、半導体ウェハの保管の際などに付着する。また、乾燥工程において残存する水分等も付着不純物となり得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
絶縁膜の表面に付着した付着不純物は、ウェハプロセスの膜形成工程において付着不純物が絶縁膜中に取り込まれてしまう場合がある。このような場合には、例えば、絶縁膜の耐圧の低下等の半導体デバイスの特性劣化を引き起こすため、付着不純物の量を評価したいという要望がある。
【0004】
この発明は、従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、半導体ウェハ等の基板の絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定することができる技術を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の方法は、基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する不純物量測定方法であって、(a)前記絶縁膜の表面に付着不純物が付着した状態で所定の電気特性の第1の測定値を求める工程と、(b)前記基板表面に光を照射することによって前記絶縁膜の表面の付着不純物をイオン化する工程と、(c)付着不純物がイオン化された状態において、前記所定の電気特性の第2の測定値を求める工程と、(d)前記第1と第2の測定値から、付着不純物がイオン化される前の状態における付着不純物量を決定する工程と、を備えることを特徴とする。
【0006】
基板表面の絶縁膜に光を照射すると、絶縁膜の表面に付着した付着不純物がイオン化される。したがって、この光の照射前と照射後において絶縁膜の表面の付着不純物の量に関連した電気特性の測定値を求めれば、これらの測定値から、光の照射前の状態における付着不純物の量を決定することができる。
【0007】
さらに、上記の不純物量測定方法において、前記工程(b)は、前記基板に電圧を印加して前記絶縁膜の表面に電子を供給することによって前記付着不純物をイオン化させる工程を含むことが好ましい。
【0008】
こうすれば、光照射によって付着不純物をイオン化させるとともに、電圧印加によっても付着不純物をイオン化させることができるので、光照射のみによってイオン化するときに比べて付着不純物を容易にイオン化させることができる。
【0009】
また、上記の不純物量測定方法において、前記光は、前記付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断してイオン化できるような特定の波長範囲の光であることが好ましい。
【0010】
こうすれば、付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断することができるので、特定の化学結合を含む付着不純物の量を、その特定の化学結合を含まない付着不純物の量と分離して決定することが可能となる。
【0011】
本発明の装置は、基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する不純物量測定装置であって、前記絶縁膜の表面に付着した付着不純物量に関連した所定の電気特性の特性値を求める電気特性測定部と、前記絶縁膜の表面の付着不純物をイオン化するために前記基板表面に光を照射する光照射部と、付着不純物がイオン化される前の状態において前記電気特性測定部によって求められた前記所定の電気特性の第1の測定値と、前記光照射部からの光照射によって付着不純物がイオン化された状態において前記電気特性測定部によって求められた前記所定の電気特性の第2の測定値とから、付着不純物がイオン化される前の状態における付着不純物の量を決定する付着不純物量決定部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
基板表面の絶縁膜に光照射部からの光を照射すると絶縁膜の表面に付着した付着不純物がイオン化される。したがって、この光の照射前と照射後において絶縁膜の表面の付着不純物の量に関連した電気特性の測定値を電気特性測定部で求めれば、この測定値から、光照射前の状態の付着不純物の量を決定できる。
【0013】
さらに、上記の不純物量測定装置において、前記基板に電圧を印加して前記絶縁膜の表面に電子を供給することによって前記付着不純物をイオン化させる電圧印加部を備えることが好ましい。
【0014】
こうすれば、光照射によって付着不純物をイオン化させるとともに、電圧印加部が電圧を印加することによっても付着不純物をイオン化させることができるので、光照射のみによってイオン化することに比べて付着不純物を容易にイオン化させることができる。
【0015】
また、上記の不純物量測定装置において、前記光は、前記付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断してイオン化できるような特定の波長範囲の光であることが好ましい。
【0016】
こうすれば、付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断することができるので、特定の化学結合を含む付着不純物の量を、その特定の化学結合を含まない付着不純物の量と分離して決定することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
A.第1実施例:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、この発明の第1実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図である。この光照射装置は、直流電源12および光源14を含む光源部15と、光学フィルタ20と、半導体ウェハ100を載置するためのステージ30とを備えている。光源14は、例えば水銀ランプであり、約200〜600nmの波長範囲の光を出射する。出射された光の中で、特定の波長範囲の光のみが光学フィルタ20を透過して半導体ウェハ100の表面を照射する。なお、この光照射装置が本発明における光照射部に相当する。
【0018】
図2は、第1実施例における付着不純物量の測定方法を示す説明図である。図3は、本実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャートである。ステップS1aでは、まず、半導体ウェハ100を対象として非接触C−V測定を実行し、第1のC−V曲線を求める。ここで使用される非接触C−V測定装置は、半導体ウェハ100の上方にギャップを隔てて測定電極201を位置決めし、この状態でC−V測定を行う装置である。このような非接触C−V測定装置の構成およびその測定原理については、本出願人により開示された特開平4−32704号公報および特開平4−328842号公報に記載されているので、ここではその詳細は省略する。なお、この非接触C−V測定装置が本発明における電気特性測定部に相当する。
【0019】
図2(A−1)は、非接触C−V測定装置において、測定電極201を半導体ウェハ100の表面の上方に約350オングストロームのギャップGを隔てて位置決めした状態を示している。絶縁膜102の表面に示す「SM」は付着不純物を表している。なお、この明細書においては、絶縁膜102の膜中にNaイオンなどの可動イオンが存在しない場合か、無視できる程度に少ない場合について説明する。
【0020】
図2(A−2)はステップS1aで得られた第1のC−V曲線F1を示すグラフである。なお、このC−V測定では、測定電極201と半導体ウェハ100の表面とのギャップG(図2(A−1))も測定される。
【0021】
図3のステップS2aでは、図1に示す光照射装置を用いて、半導体ウェハ100の表面に紫外光近傍の光を照射する。なお、絶縁膜102の厚みは約100〜1000オングストロームと極めて薄く、紫外光近傍の光に対してはほぼ透明であると考えることができる。したがって、光は絶縁膜102の表面の付着不純物SMを照射するとともに、半導体基板101と絶縁膜102との界面近傍も照射することができる。図2(B−1)は、光の照射によって絶縁膜102の表面の付着不純物SMがほとんどイオン化された状態を示している。
【0022】
図2(A−1)に示す絶縁膜102の表面の付着不純物SMは、前述したように、主として有機物である。これらの有機物は、共有結合によって多数の原子が結び付ついて形成されている。有機物に含まれる共有結合は、通常、その結合エネルギを超えるエネルギを与えることにより切断される。したがって、半導体ウェハ100の表面に照射された光は、付着不純物に含まれる共有結合を切断することが可能である。
【0023】
図4は、付着不純物に含まれる各種の共有結合の結合エネルギを示す説明図である。図4の左欄は共有結合の種類、中欄は各共有結合に対する結合エネルギ、右欄は結合エネルギに相当する光の波長を示している。上述のように図4の中欄に示す結合エネルギより大きなエネルギを有する光(右欄)を照射すれば、左欄に示す付着不純物の共有結合を切断することができる。例えば、「O−H」からなる共有結合を含む付着不純物に、その結合エネルギ(約462.8KJ/mol)より大きいエネルギを有する光を照射すれば「O−H」結合を切ることができる。この場合には、照射光として波長が約257.6nm以下の光を照射すればよい。したがって、約250〜約270nmの光を照射すれば、図4に示すほとんどの共有結合を切断することができる。このような光を照射すると、付着不純物の共有結合を形成する結合電子対は切断されて、付着不純物は不対電子を有する原子団(ラジカル)となる。このとき付着不純物は活性化された状態となっている。
【0024】
半導体ウェハ100に照射された光は、付着不純物の共有結合を切断するとともに、絶縁膜102を透過して半導体基板101に到達する。半導体基板101を照射した光は、半導体基板101中の電子にエネルギを与える。
【0025】
図5は、半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図である。図中、Eciは絶縁膜102の伝導帯の底のエネルギを示しており、Ecs,Evsはそれぞれ半導体基板101の伝導帯の底のエネルギおよび価電子帯の上端のエネルギを示している。光を照射すると、半導体基板101中の電子は、光からエネルギを与えられる。光のエネルギが、絶縁膜102のエネルギ障壁(絶縁膜102の伝導帯の底のエネルギEciと価電子帯の上端のエネルギEvsとの差)より大きい場合には、価電子帯の電子は絶縁膜102のエネルギ障壁を超えることができる。なお、シリコン基板にSiO2膜が形成されている場合のエネルギ障壁は約4.25eVであり、このエネルギを超える光を照射した場合には絶縁膜102の表面に到達し得る。前述した250〜270nmの光は、約4.5〜約5.0eV程度であるため、この光を照射した場合には、電子はエネルギ障壁を容易に超えることができる。
【0026】
絶縁膜102のエネルギ障壁を超えた電子は絶縁膜102内に移動して絶縁膜102の表面に到達する。絶縁膜102の表面に到達した電子は、光照射により活性化された付着不純物に取り込まれる。これにより、絶縁膜102の表面の付着不純物SMは負イオン化する。
【0027】
図3のステップS3aにおいては、図2(B−1)に示すように付着不純物SMがイオン化された状態で、第2回目の非接触C−V測定を実行し、第2のC−V曲線を求める。図2(B−2)はこうして得られた第2のC−V曲線F2を第1のC−V曲線F1とともに示している。第1のC−V曲線F1は絶縁膜102の表面の付着不純物SMがイオン化されていない状態における測定結果であり、また、第2のC−V曲線F2は絶縁膜102の表面の付着不純物SMがほぼすべてイオン化された状態(SM-)における測定結果である。
【0028】
ステップS4aにおいては、第1および第2のC−V測定結果から絶縁膜102の表面の付着不純物量を決定する。付着不純物イオンSM- は絶縁膜102の表面に局在しているので、第1と第2のC−V曲線におけるフラットバンド電圧のシフト量△Vfbは次の式(1)で与えられる。
【0029】
ΔVfb=−q・Ns・G/ε0 ・・・(1)
【0030】
ここで、qは電気素量、ε0 は真空の誘電率、Gは絶縁膜102と測定電極201とのギャップ、Nsは単位面積当たりの付着不純物量である。
【0031】
上記の式(1)を用いて、フラットバンド電圧のシフト量△Vfbから付着不純物量Nsを決定することができる。なお、式(1)に従った計算は、図示しないコンピュータに備えられた付着不純物量決定部によって実行される。
【0032】
このように、半導体ウェハ100に光を照射して付着不純物をイオン化すれば、所定の電気特性の測定値を求めることにより絶縁膜102の表面に付着した付着不純物の量を求めることが可能となる。
【0033】
B.第2実施例:
図6は、この発明の第2実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図である。この光照射装置は、図1に示す光照射装置とほぼ同じであるが、半導体ウェハ100に電圧を印加するための電圧発生器25と電圧印加用電極27とを備えている。電圧発生器25は、電圧印加用電極27と金属製のステージ30とに接続されており、これによりステージ30に載置された半導体ウェハ100に電圧を印加することができる。電圧印加用電極27としては、半導体ウェハに照射する紫外光近傍の光を透過するものが好ましく、例えば、ITO膜(In−Sn酸化膜)を石英ガラス上に形成したものなどを用いることができる。なお、本実施例の電圧発生器25と電圧印加用電極27とが本発明における電圧印加部に相当する。
【0034】
図7は、本実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャートである。ステップS1b,S3b,S4bの測定手順は図3に示すステップS1a,S3a,S4aの手順と同じなので詳細な説明は省略する。本実施例においては、ステップS2bにおいて付着不純物をイオン化させる方法が異なっている。すなわち、ステップS2bにおいては半導体ウェハ100に光を照射するとともに半導体ウェハ100に電圧を印加することにより絶縁膜102の表面の付着不純物SMをイオン化する。
【0035】
ステップS2bにおいて半導体ウェハ100に光を照射すると、前述のように、光に照射された付着不純物は、共有結合が切断され、活性化された状態で絶縁膜102の表面に存在する。このとき、半導体ウェハ100に電圧を印加することにより電子を絶縁膜102の表面に供給する。なお、半導体ウェハ100に印加する電圧は、60Hz程度の矩形波や正弦波などが適している。
【0036】
図8は、半導体ウェハに電圧を印加する場合の半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図である。図8(a)は電圧を印加していない状態におけるバンド図を示しており、図8(b)は電圧を印加した状態におけるバンド図を示している。電圧を印加する前においては、図8(a)に示すように照射された光によって十分なエネルギを得た電子が絶縁膜102のエネルギ障壁を超え、絶縁膜102の表面に達する。
【0037】
絶縁膜102がプラスで半導体基板101がマイナスとなるバイアス電圧を印加すると、エネルギバンド構造は、図8(a)に示すほぼ平坦な状態から図8(b)に示すように湾曲した状態へと変化する。図8(b)に示すようなエネルギバンド構造が大きく湾曲した状態では、半導体基板101内に形成された電界により、電子は絶縁膜102のエネルギ障壁を超えるエネルギを得る。この電子は絶縁膜102の表面に達することができ、光照射により活性化された付着不純物に取り込まれ、付着不純物を負イオン化する。
【0038】
このようにイオン化された付着不純物の量をステップS4b(図7)で算出することにより付着不純物量を決定することができる。
【0039】
このように光照射に加えて電圧を印加する場合には、光からエネルギを得た電子が図8(a)のように絶縁膜102のエネルギ障壁を超えられない場合、すなわち、光のエネルギが小さく半導体基板101から絶縁膜102の表面に電子が供給できない場合でも、絶縁膜102の表面に電子を供給することができるので、光照射により活性化された付着不純物を容易にイオン化することができる。
【0040】
したがって、光の波長範囲を特定の共有結合のみを切断するのに適した波長範囲に設定すれば、その特定の共有結合を含む付着不純物量をその結合を含まない付着不純物量と分離して測定することができる。すなわち、光の波長を、長波長から短波長へと順に変化させてゆけば、結合エネルギが小さい結合から順に切断してゆくことができる。こうすれば、特定の共有結合を含む付着不純物のみを光照射あるいは電圧印加によりイオン化して、その付着不純物量を求めることができる。なお、照射する光の波長範囲は、光学フィルタ20(図1)を交換することによって設定することができる。
【0041】
また、第1および第2においては、付着不純物として共有結合から形成されるものについて説明したが、共有結合から形成されている場合だけでなく、種々の化学結合、例えば、イオン結合や水素結合などから形成される付着不純物についてもイオン化させて、その量を決定することも可能性である。
【0042】
C.第3実施例:
図9は、この発明の第3実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図である。この不純物量測定装置の測定部は、筐体40の内部に収納されている。筐体40内には、光源部15と、光学フィルタ20と、電圧印加用電極27と、ステージ30と、測定電極201を有する非接触C−V測定部50と、ステージ30を水平方向に移動させるためのレール62と、レール62に沿ってステージ30を移動させるモータ64とが設けられている。なお、電圧印加用電極27とステージ30とに接続される電圧発生器については図示を省略している。
【0043】
非接触C−V測定部50は、前述した特開平4−328842号公報に記載されている非接触C−V測定装置とほぼ同様な基本構成を有する装置である。非接触C−V測定部50にはコンピュータ300が接続されている。コンピュータ300の内部には、付着不純物量決定部320が備えられており、これにより付着不純物量Nsが決定される。
【0044】
筐体40は密閉された防塵構造を有しており、ゴミ(例えば、有機物)が半導体ウェハ100の表面に付着しないようにされている。このような防塵構造については、本出願人により開示された特開平5−335393号公報に例示されているので、ここではその詳細は省略する。なお、真空ポンプを用いて筐体40の内部を真空にするようにしてもよい。筐体40内部を密閉構造(防塵構造や真空構造)にすれば、測定中に半導体ウェハ100の表面にゴミが付着することを防止することができる。なお、筐体40の内部に不活性ガス(例えばN2 )を供給する不活性ガス供給部を設けておき、筐体40内を不活性ガス雰囲気にするようにしてもよい。
【0045】
第3実施例においても、前述した図3あるいは図7に示す手順で絶縁膜表面の付着不純物量Nsの測定が実行される。第3実施例の装置では、レール62上を移動させるだけで、光照射の位置とC−V測定の位置とを交換することができるので、全体の処理時間を、第1および第2実施例よりもさらに短縮することができる。
【0046】
なお、光の光束の幅を比較的小さく絞るための開口部を光源部15の出射口以下の位置に設けるようにすれば、半導体ウェハ100上の特定の位置にのみ光を照射することも可能である。こうすれば、半導体ウェハ100上の複数の位置において付着不純物量Nsを測定することができるので、ウェハ表面近傍における付着不純物量の分布を測定することが可能である。なお、付着不純物量の分布測定を行う場合には、ウェハ表面上の測定位置を移動させるために、ステージ30に2次元的な移動機構を設けておくことが好ましい。
【0047】
D.第4実施例:
図10は、この発明の第4実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図である。この不純物量測定装置は、図9に示す第3実施例の装置における光学フィルタ20を分光器70に置き換え、また、光源部15と分光器70との間、および、分光器70の下側に光伝送管72,74を設けた構成を有している。光源部15と第1の光伝送管72と分光器70とは筐体40の外側に設けられており、第2の光伝送管74は筐体40を貫通している。なお、本実施例においては、光源部15と分光器70と光伝送管72,74とが本発明の光照射部に相当する。
【0048】
光源部15から出射された光は、第1の光伝送管72を介して分光器70に供給される。分光器70は、所望の単一波長の光を選択的に出射することができる。分光器70としては、例えば回折格子を用いた回折格子分光器を用いることが可能である。分光器70から出射された光は、第2の光伝送管74によって伝送される。
【0049】
第2の光伝送管74の下部の出射口76から出射された光は、半導体ウェハ100上の特定の位置を照射する。この時、ステージ30の図示しない2次元移動機構を用いれば、半導体ウェハ100表面の任意の位置を測定位置に設定することが可能である。
【0050】
第4実施例においても、前述した図3あるいは図7に示す手順に従って絶縁膜表面の付着不純物量Nsの測定が実行される。第4実施例の装置によれば、分光器70の設定を変更することによって、付着不純物の特定種類の化学結合を切るのに適した単一波長の光を半導体ウェハ100上に照射することが容易にできる。特に、絶縁膜中に複数種類の結合が含まれている場合に、照射光の波長を変える毎に付着不純物量の測定を実行すれば、各種の結合を分離して測定することが可能である。なお、第4実施例では、第3実施例と同様に付着不純物量の分布を測定することも可能である。
【0051】
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下のような変形も可能である。
【0052】
(1)上記実施例ではC−V曲線の測定値としてフラットバンド電圧を利用して付着不純物量を決定したが、C−V曲線を用いる場合には他の測定値を利用してもよい。すなわち、C−V曲線は、絶縁膜の表面に存在するイオン化した付着不純物の影響を受けて変化(シフト)するので、例えば、基板と絶縁膜との界面においてフェルミ準位と真性フェルミ準位とが一致する「ミッドギャップ電圧」と呼ばれる測定値を用いてもよい。
【0053】
(2)上記実施例ではC−V曲線を用いて付着不純物量を決定したが、C−V曲線に限らず、イオン化した付着不純物量に関連した他の電気特性測定法を用いて決定することも可能である。例えば、SPV(Surface Photo Voltage )法や、表面電位測定法、マイクロ波光減衰法等を用いることもできる。一般には、絶縁膜の表面のイオン化した付着不純物量に関連した所定の電気特性を用いて付着不純物量を決定するようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図。
【図2】第1実施例における付着不純物量の測定方法を示す説明図。
【図3】第1実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャート。
【図4】付着不純物に含まれる各種の共有結合の結合エネルギを示す説明図。
【図5】半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図。
【図6】この発明の第2実施例に使用される光照射装置の構成を示す概念図。
【図7】第2実施例における付着不純物量の測定手順を示すフローチャート。
【図8】半導体ウェハに電圧を印加する場合の半導体基板と絶縁膜との界面近傍におけるエネルギバンド図の概略を示す説明図。
【図9】この発明の第3実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図。
【図10】この発明の第4実施例としての不純物量測定装置の構成を示す概念図。
【符号の説明】
12…直流電源
14…光源
15…光源部
20…光学フィルタ
25…電圧発生器
27…電圧印加用電極
30…ステージ
40…筐体
50…C−V測定部
62…レール
64…モータ
70…分光器
72,74…光伝送管
76…出射口
100…半導体ウェハ
101…半導体基板
102…絶縁膜
201…測定電極
300…コンピュータ
320…付着不純物量決定部
G…ギャップ
Claims (6)
- 基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する不純物量測定方法であって、
(a)前記絶縁膜の表面に付着不純物が付着した状態で所定の電気特性の第1の測定値を求める工程と、
(b)前記基板表面に光を照射することによって前記絶縁膜の表面の付着不純物をイオン化する工程と、
(c)付着不純物がイオン化された状態において、前記所定の電気特性の第2の測定値を求める工程と、
(d)前記第1と第2の測定値から、付着不純物がイオン化される前の状態における付着不純物量を決定する工程と、
を備えることを特徴とする不純物量測定方法。 - 請求項1記載の不純物量測定方法であって、さらに、
前記工程(b)は、前記基板に電圧を印加して前記絶縁膜の表面に電子を供給することによって前記付着不純物をイオン化させる工程を含む、不純物量測定方法。 - 請求項1または2記載の不純物量測定方法であって、
前記光は、前記付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断してイオン化できるような特定の波長範囲の光である、不純物量測定方法。 - 基板表面近傍に形成された絶縁膜の表面に付着した付着不純物の量を測定する不純物量測定装置であって、
前記絶縁膜の表面に付着した付着不純物量に関連した所定の電気特性の特性値を求める電気特性測定部と、
前記絶縁膜の表面の付着不純物をイオン化するために前記基板表面に光を照射する光照射部と、
付着不純物がイオン化される前の状態において前記電気特性測定部によって求められた前記所定の電気特性の第1の測定値と、前記光照射部からの光照射によって付着不純物がイオン化された状態において前記電気特性測定部によって求められた前記所定の電気特性の第2の測定値とから、付着不純物がイオン化される前の状態における付着不純物の量を決定する付着不純物量決定部と、
を備えることを特徴とする不純物測定装置。 - 請求項4記載の不純物量測定装置であって、さらに、
前記基板に電圧を印加して前記絶縁膜の表面に電子を供給することによって前記付着不純物をイオン化させる電圧印加部を備える、不純物量測定装置。 - 請求項4または5記載の不純物量測定装置であって、
前記光は、前記付着不純物に含まれる特定種類の化学結合を切断してイオン化できるような特定の波長範囲の光である、不純物量測定装置。
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|---|---|---|---|
| JP12170498A JP3671285B2 (ja) | 1998-04-14 | 1998-04-14 | 不純物量測定方法および装置 |
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP12170498A JP3671285B2 (ja) | 1998-04-14 | 1998-04-14 | 不純物量測定方法および装置 |
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| JPH11297780A JPH11297780A (ja) | 1999-10-29 |
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| JP7083112B2 (ja) * | 2018-08-24 | 2022-06-10 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 半導体層と絶縁体層との界面特性の測定方法 |
-
1998
- 1998-04-14 JP JP12170498A patent/JP3671285B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH11297780A (ja) | 1999-10-29 |
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