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JP3671594B2 - 電気泳動装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気泳動装置に関し、電気泳動中に水蒸気または水滴によって蓋が曇らない電気泳動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気泳動は生化学の基礎研究を始め、各種検査等、幅広い産業分野において用いられている普遍的な分析技術であるが、水平型サブマリン電気泳動装置は核酸の分析に汎用されている。この水平型サブマリン電気泳動装置は、電源のほか、陰陽の両電極が箱型の水槽の底部に装備されるだけの簡単な構成によるが、通常、安全のための透明蓋が泳動槽の上部に設置される。電気泳動中には、緩衝液の温度上昇によって不可避的な水蒸気の発生があり、蓋に曇りや結露が起って泳動槽内部の観察が極めて困難であった。例えば常温下では、電気泳動開始後5分以内で完全に内部が観察できなくなる。
【0003】
また、蓋を開放した際に水滴によって電源部を濡らすなど危険な事態を招くおそれがあった。さらに簡便のために、使用者が蓋を除いたまま使用するなど、使用上や構造上の安全性に問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、一般的に多用されている水平型サブマリン電気泳動装置などの電気泳動装置において、電気泳動槽の蓋が、電気泳動に伴って生ずる水蒸気によって曇ったり結露せず、蓋を開けることなく、蓋を通して電気泳動槽内部の観察が容易で、かつ安全な電気泳動装置を構築することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討したところ、電気泳動装置に空気の吸引口および排出口を設け、電気泳動槽と蓋との空間内の空気を流動させることにより、特に蓋の下面(電気泳動槽に蓋を被せたとき、電気泳動槽内の底部に対向する蓋の面)が常に流動する空気に晒されることにより、発生した水蒸気が効率よく除かれ、蓋の曇りおよび結露が完全に防止できることを見い出した。すなわち、本発明は、水平型サブマリン電気泳動槽と、該電気泳動槽の開口を覆う透明ないし半透明な蓋と該電気泳動槽と蓋との空間内の空気を強制的に外部に排出する手段または外部の空気を強制的に該空間内に吸引する手段と、空気の吸引口および排出口を有する電気泳動装置であって、前記蓋は、一端部が頂部で、該一端部から該一端部と対向する他端部へ進むに従って漸次勾配が大きくなるように下方に湾曲し、その下面がアーチ状に湾曲した天板を有し、前記空気の吸引口は前記天板の一端部の周縁に設けられ、前記空気の排出口は前記天板の他端部の周縁に設けられている、電気泳動装置である。
【0006】
本発明において用いられる電気泳動槽は、電気泳動中に緩衝液の温度の上昇により水蒸気が発生し得るものであり、代表的には水平型サブマリン電気泳動槽が挙げられる。水平型サブマリン電気泳動槽は、アガロースゲル、ポリアクリルアミドゲルなどの泳動用担体を保持するための凸状のプラットホームを底部に有する。
【0007】
本発明において蓋は、電気泳動槽に蓋を被せたとき電気泳動槽内を目視可能とすべく、不透明でないもの、即ち有色または無色の透明ないし半透明なものであれば良い。蓋の形状も平板状や方形状など特に制限されず、電気泳動槽の開口を覆い、吸引口および排出口を除いて電気泳動槽を密閉できるものであれば良い。さらに蓋の材質も特に制限されず、通常は透明なプラスチックが使用される。
【0008】
空気の吸引口および排出口は、電気泳動槽または蓋のいずれに設けられていても良いが、流動する空気を蓋の下面に効率良く晒すべく、蓋の下面の周縁に空気の吸引口を設け、蓋の下面の該吸引口に対向する、蓋の下面の周縁に、空気の排出口を設けることが好ましい。
【0009】
本発明の電気泳動装置は、電気泳動槽と蓋との空間内の空気を強制的に外部に排出する手段(以下「排出手段」という。)および外部の空気を強制的に該空間内に吸引する手段(以下「吸引手段」という。)のうち少なくとも一の手段を有している。これら排出手段および吸引手段は、排出口および吸引口の内部または外部に恒久的または一時的に装着されるファンやポンプなどにより実現される。
【0010】
【作用】
本発明の電気泳動装置によれば、電気泳動装置に設けられた空気の吸引口および排出口と、排出手段または吸引手段とによって、外部の空気が吸引口から強制的に吸引され、空間内に発生した水蒸気とともに排出口から強制的に排出される。従って、蓋の下面に曇りや結露が発生するのを防止することができ、蓋を開けることなく、透明ないし半透明な蓋を通して電気泳動槽内部の観察を容易に、かつ安全に行うことができる。
【0011】
特に蓋の下面の周縁に空気の吸引口を設け、蓋の下面の該吸引口に対向する周縁に空気の排出口を設けることにより、流動する空気を蓋の下面に効率良く晒すことができ、蓋の下面に曇りや結露が発生するのをより効率良く防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の電気泳動装置の一態様を示す図であり、電気泳動槽1の上部には、下面がアーチ状に湾曲した蓋2が設けられている。電気泳動槽1の底部には凸状のプラットホーム3が形成され、その泳動方向両端部には、陰陽の両電極(図示せず)が形成されている。電気泳動槽1を覆う蓋2は、泳動方向の一端部(図1においては右側端部)が頂部となり、泳動方向の他端部へと進むに従って、漸次勾配が大きくなる形状をしており、全体が透明なプラスチックで構成されている。
【0013】
蓋2の頂部の側面には、その上部(蓋2の下面側)であって、なおかつ泳動方向に対してほぼ直角をなす方向の中央部よりもいずれかの隅に偏った位置に、円形状の吸引口4が穿孔されている。吸引口4の外側には吸引手段としてファン5が蓋2に取り付けられている。また、吸引口4の内側には、透明なプラスチック製の導風板6が泳動方向に対して角度θをなして蓋2内に取り付けられている。吸引口4を偏った位置に設け、導風板6を取り付けることにより、一のファン5によっても蓋2の下面の全面に沿って効率良く空気を移動させることができる。角度θは電気泳動槽1や蓋2の形状、大きさなどにより異なるが、一般的に30〜50°、好ましくは35〜45°程度に設定する。
【0014】
蓋2の泳動方向の他端部(図1においては左側端部)の全体がスリット状の排出口7となり、電気泳動槽1に発生した水蒸気が効果的に外部へ排出される。従って、図1(d)に示すように、蓋2の下面の周縁に設けられた空気の吸引口4に対向する周縁に空気の排出口7を設けることにより、流動する空気を蓋2下面に効率良く晒すことができ、蓋2の下面に曇りや結露が発生するのをより効率良く防止することができる。
【0015】
電気泳動槽1と蓋2とはヒンジ8で結合されており、蓋2の左側端部を右側へ持ち上げて蓋2を開けることができる。そして、電気泳動槽1のプラットホーム3上にアガロースゲル9を保持する。図2は、電気泳動中の図1の電気泳動装置の動作を示す図であり、図2において破線は水蒸気の動きを、実線の矢印は空気の流れを示す。
【0016】
商用交流電源10から直流電源11を経て得られる直流電流は、陰陽の白金電極12によって、緩衝液13中に電場を形成し、この電場内に置かれたゲル9の試料溝14に試料を入れる。試料は電場方向(図2においては左方向)に移動する。このときファン5によって空気が外部から吸引され、蓋2の吸引口4から蓋内部の下面に沿って流れ、緩衝液13から発生する水蒸気を捕捉しながら排出口7から排出される。
【0017】
図3は、本発明の電気泳動装置の他の態様を示す図であり、電気泳動槽1を覆う蓋2の一方端部に着脱可能な電源ユニット15が設けられている点が特徴である。電源ユニット15は、電源コードから供給される交流電流を直流電流に変換する機能を有しており、また蓋2に穿孔された吸引口4へ外部の空気を送るためのファン5を有している。図3に示すように、蓋2は電気泳動槽1の底部全面が見える構造に限らず、少なくともアガロースゲル9中の試料の流れを観察できるものであれば良い。本態様によれば、外付けの商用交流電源、直流電源やファンが不要であり、コンパクトである。
【0018】
以上の態様においては、吸引口4側に吸引手段としてのファン5を設けているが、排出口7側に排出手段としてのファンを設けたり、あるいは吸引口4側に設けられたファン5の送風方向を逆にして、排出口7から外部の空気を取り入れ吸引口4から外部へ排出するようにしてもよい。
【0019】
【実施例】
電気泳動中に緩衝液から発生する水蒸気による曇りおよび結露が、電気泳動槽の蓋の下面に空気を経常的に送ることによって、効果的に除かれるかの検討は、図3に示すような装置を用いて行った。
【0020】
緩衝液は一般に汎用されるトリス−酢酸緩衝液またはトリス−ホウ酸緩衝液を用い、ゲルを入れない状態で、まず、ファンを作動させないで7V/cmの定電圧で通電した。いずれの緩衝液も室温から始め、約5分で細かい水滴が蓋下面に付着し、内部の観察が困難になった。約10分で内部は完全に観察不能になり、水滴が凝集し始め、約20分で水滴がしたたるようになった。30分後のトリス−酢酸緩衝液の温度は約5度上昇し、トリス−ホウ酸緩衝液の場合、約3度上昇した。通電を始めてから5分以降、内部の観察は全く不能であった。
【0021】
次に、装置のファンを動作させながら同様の条件で通電した。90分の通電により緩衝液の温度は、トリス−酢酸緩衝液の場合、室温(22度)から12度上昇し、トリス−ホウ酸緩衝液の場合、室温から8度上昇していたが、全く蓋の曇りは見られなかった。引き続く90分間の通電によっても、全く蓋の曇りは見られず、このとき、トリス−酢酸緩衝液の場合、室温から21度上昇し、トリス−ホウ酸緩衝液の場合、室温から15度上昇していた。さらに引き続く90分の通電によっても、同様、全く曇らなかった。このとき、トリス−酢酸緩衝液の場合、室温から28度上昇し、トリス−ホウ酸緩衝液の場合、室温から19度上昇していた。
【0022】
実際の条件に近い状態を再現するため、0.8%、1.0%および1.2%アガロースゲルを装置内に入れて同様に検討したところ、上記と全く同様の結果が得られた。
【0023】
【発明の効果】
本発明の電気泳動装置では、蓋に沿って常時一定方向に空気が流れ、電気泳動によって必然的に発生する水蒸気が効率良く捕捉され、排出される。このため、蓋の内部が曇ったり、結露することなく、電気泳動中に電気泳動槽の内部が容易に観察可能になる。従って、より安全で確実な電気泳動が保証される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気泳動装置の一態様を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は(b)の破線で囲まれた部分の断面図、(d)は電気泳動槽蓋内の空気の流れの模式図である。
【図2】電気泳動中の図1の電気泳動装置の動作を示す構造図である。
【図3】本発明の電気泳動装置の他の態様を示す構造図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
1 電気泳動槽
2 蓋
4 吸引口
5 ファン
7 排出口

Claims (1)

  1. 水平型サブマリン電気泳動槽と、該電気泳動槽の開口を覆う透明ないし半透明な蓋と該電気泳動槽と蓋との空間内の空気を強制的に外部に排出する手段または外部の空気を強制的に該空間内に吸引する手段と、空気の吸引口および排出口を有する電気泳動装置であって、
    前記蓋は、一端部が頂部で、該一端部から該一端部と対向する他端部へ進むに従って漸次勾配が大きくなるように下方に湾曲し、その下面がアーチ状に湾曲した天板を有し、
    前記空気の吸引口は前記天板の一端部の周縁に設けられ、前記空気の排出口は前記天板の他端部の周縁に設けられている、電気泳動装置
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