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JP3672385B2 - クローラベルト式車両 - Google Patents
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JP3672385B2 - クローラベルト式車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラベルト式車両の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
クローラベルト式車両として、例えば特開昭59−164270号公報「履帯を有する四輪駆動車」の技術がある。
上記技術は、その公報の第1図によれば、四輪駆動車2(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)の車体前部に前輪3を取付け、車体後部にタイヤ付き後輪4及びタイヤ付き遊動輪5を取付け、これら後輪4及び遊動輪5にゴム製の履帯6を掛け渡し、更に、後輪4と遊動輪5との間にタイヤ付き下部ローラ7(イコライザに相当。)を配置したものである。公報の第3図及び第4図によれば、下部ローラ7は、支持ブラケット13を介して車体に取付けるものであり、履帯6の内側に上方から当接する。履帯6は、内周面に且つ長手方向に多数の中央突出部8A…を備える。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のクローラベルト式車両の下部ローラ7は、履帯6を「点」で押えることになるので、履帯6を路面に向って押圧する接地長さは小さい。このため、履帯6の接地長さを大きくして接地力(グリップ)を高めるには、多数の下部ローラ7を走行方向に配置する必要があり、構成上複雑になりやすい。
【0004】
そこで、比較的簡単な構成でクローラベルトの接地力を高めるために、次のような構成が考えられる。
図11は従来のクローラベルト式車両のクローラ回りの概要図である。
クローラ100は、複数の車輪101,102間に、ゴム材からなるクローラベルト103を掛け渡し、このクローラベルト103を所定長さのスライダ(イコライザに相当。)104にて接地面105へ押圧するようにしたものである。106はスライダ104を押圧する、ばねである。
クローラベルト103は、スライダ104にて押圧されるので接地長さが大きくなり、その結果、接地力が高まる。
【0005】
しかし、このようなクローラ100は、クローラベルト103とスライダ104とが常に摺接するものであり、摩擦抵抗を低減する必要がある。
摩擦抵抗が過大であると、クローラ100の走行抵抗が過大になり、また、摩擦熱が発生するのでクローラベルト103の長寿命を図りにくい。
摩擦抵抗を小さくするためには、スライダ104の押圧力を低減すればよいが、これでは、クローラベルト103の接地力を高めることができない。
【0006】
そこで本発明の目的は、クローラベルトとイコライザとの間の摩擦抵抗を低減するとともに、クローラベルトの接地力を高めたクローラベルト式車両を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1は、車体に配置した複数の車輪間にクローラベルトを掛け渡し、このクローラベルトをイコライザにて接地面へ押圧するようにしたクローラベルト式車両において、前記イコライザは、2つの前記車輪の接線を結んだ直線上に所定長さのスライダにて前記クローラベルトを押圧し、前記クローラベルトは、前記スライダと摺接する部分に、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材をベルト長手方向に点在させつつ突設し、スライダをクローラベルトと離間させた構成にしたことを特徴とする。
請求項2は、請求項1において、前記2つの車輪は、クローラベルトが掛け渡されている車輪のうちの前端の車輪と後端の車輪であることを特徴とする。
請求項3は、請求項1において、前記スライダは、略直線状であることを特徴とする。
【0008】
イコライザのスライダは、2つの前記車輪の接線を結んだ直線上に、所定長さのスライダにて低摩擦部材を介してクローラベルトを接地面に押圧する。このため、ベルト長手方向に点在し、しかも、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材と、スライダとを摺接することになるので、低摩擦部材とスライダとの間の摩擦抵抗が小さくてすむ。また、スライダとクローラベルトとを離間させたので、この間に摩擦抵抗が発生しない。
従って、クローラベルトとイコライザとの間の摩擦抵抗を低減することができるので、その結果、クローラの走行抵抗及び摩擦熱を低減することができる。そして、摩擦熱が低減するので、クローラベルトの長寿命を図れる。しかも、クローラベルトの2つの前記車輪の接線を結んだ直線上に所定長さのスライダにて接地面へ適切な押圧力にて押圧することができ、スライダは、略直線状であることと相俟って、クローラベルトの接地力を高めることができる。
【0009】
請求項4は、前記低摩擦部材の、前記スライダと摺接する部分を円弧状としたことを特徴とする。
【0010】
低摩擦部材は、スライダと摺接する部分が円弧状なので、スライダとの接触面積が低減する。その結果、低摩擦部材とスライダとの間の摩擦抵抗を、より一層低減することができる。
【0011】
請求項5は、前記低摩擦部材を、前記クローラベルトと一体成形したことを特徴とする。
【0012】
低摩擦部材とクローラベルトとを一体成形したので、低摩擦部材の取付けが容易である。
【0013】
請求項6は、前記低摩擦部材を、前記クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂、低摩擦ゴム、鉄鋼材、又はアルミニウム材で構成し、また、前記スライダを、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂で構成したことを特徴とする。
【0014】
低摩擦部材とクローラベルトを複雑な構成にすることなく、イコライザとクローラベルトとの間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0015】
請求項7は、前記低摩擦部材を、前記クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦ゴムで構成し、また、前記スライダを、鉄鋼材又はアルミニウム材で構成したことを特徴とする。
【0016】
低摩擦部材とクローラベルトを複雑な構成にすることなく、イコライザとクローラベルトとの間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るクローラベルト式車両の側面図であり、クローラベルト式車両1は前輪をタイヤ、後輪をクローラとした、いわゆる、ハーフクローラ車である。
【0018】
詳しくは、クローラベルト式車両1は、前部のキャビン2と後部の荷台3とを備えた車体フレーム(車体)4に、駆動輪としての前輪5と、駆動輪としての後輪6と、これら前・後輪5,6の間に介在した遊転輪としての中間輪7と、これら後・中間輪6,7との間に介在したイコライザ8とを左右に取付け、後輪6と中間輪7とに(車輪間に)クローラベルト9を掛け渡すことでクローラを構成した、4輪駆動・クローラ式車両である。
【0019】
前輪5、後輪6及び中間輪7はゴム製空気入りタイヤを備え、このタイヤは、バルーンタイヤである。前輪5は、後輪6及び中間輪7よりも大径である。
車体フレーム4は、後部にトランスミッション11a付きエンジン11をブラケット4a,4aにて取付けたものである。
【0020】
ところで、クローラベルト式車両1は、前輪5のタイヤの接地面圧を0.1〜0.15kg/cm2の範囲に設定し、一方、クローラベルト9の接地面圧を0.04〜0.05kg/cm2の範囲に設定したものである。
【0021】
雪上等の軟弱地において、クローラベルト式車両1を走行時に、前輪5のタイヤの接地面圧が0.1kg/cm2より小さいと、前輪タイヤの沈み深さが過小になる。沈み深さが過小であると、雪や泥などに沈んだ部分の側面からの投影面積が小さいので、操舵抵抗も小さくなる。このため、操舵抵抗が小さくなり過ぎて、軟弱地で十分に操縦性を確保しにくくなる。
また、前輪5のタイヤの接地面圧が0.15kg/cm2より大きいと、前輪タイヤの沈み深さが過大になる。沈み深さが過大であると、雪や泥などの抵抗が大きくなるので、旋回性を高めにくくなり、特に、新雪でしかも未踏の地では顕著となる。
【0022】
一方、クローラベルト9の接地面圧が0.04kg/cm2より小さいと、クローラベルト9の沈み深さが過小になり、また、接地面圧が0.15kg/cm2より大きいと、クローラベルト9の沈み深さが過大になる。クローラベルト9の沈み深さが過小であったり過大であると、走行路面の走行抵抗が大きくなるので、走破性を高めにくくなり、特に、新雪でしかも未踏の地では顕著となる。
【0023】
従って、前輪5のタイヤの接地面圧及びクローラベルト9の接地面圧は、上記の範囲に設定することが好ましい。
接地面圧をこのような範囲に設定するために、トランスミッション11a付きエンジン11は、全体をクローラベルト9の前端と後端との間に配設したものである。
エンジン11は、後輪6の中心と中間輪7の中心との間に配設することが好ましく、更には、エンジン11のクランクシャフトの中心Cから後輪6の中心までの第1の距離L1と、クランクシャフトの中心Cから中間輪7の中心までの第2の距離L2との比率を、約2:1に設定することが最も好ましい。
また、前記第1の距離L1は、前輪5と後輪6との中心間距離(第3の距離としてのホイールベース)L3の約30%の割合にすることが好ましい。
更に、側面視で(この図において)、クローラベルト9のループ内に、トランスミッション11a付きエンジン11の一部を配設した。
【0024】
なお、荷台3は車体フレーム4の後部上部に一体に取付けた構成とした。14はマフラ、15は乗員用シート、16はステアリングハンドル、17はチェンジレバー、18はアクセルペダル、19はブレーキペダル、21はサイドブレーキ、22はフロントフェンダである。
【0025】
図2は本発明に係るクローラベルト式車両の平面図であり、キャビン2及び荷台3を外した姿を示す。なお、荷台3はこの図の想像線にて示す。
車体フレーム4は、前部にフロントサスペンション25と操舵装置30と前輪用駆動装置40とを備え、後部にリヤ懸架装置50と後輪用駆動装置60とを備える。
【0026】
操舵装置30は、想像線にて示すステアリングハンドル16の操舵力を伝達するためのタイロッド31、このタイロッド31の両端のタイロッドエンド32,32に連結したナックルアーム33,33、これらナックルアーム33,33と前輪5,5の支軸5a,5aとを連結したキングピン34,34等からなる。
【0027】
前輪用駆動装置40は、トランスミッション11aの前部から延びた推進軸41、この推進軸41に連結した差動装置42、この差動装置42と前輪5,5の支軸5a,5aとに連結した左右の駆動軸43,43からなる。
44は推進軸41の途中に介在したギヤボックスであり、このギヤボックス44は、前輪5を変速する変速機構、及び前輪5への動力伝達を入り・切りするクラッチ機構を内蔵したものである。
【0028】
リヤ懸架装置50は、車体フレーム4の後部に左右1対のスイングアーム51,51を上下揺動可能に取付け、これらスイングアーム51,51を走行方向後方へ延出し、その揺動先端間に揺動管(連結部材)52を掛け渡し、この揺動管52の両端部にサブビーム53,53を上下揺動可能に取付け、これらサブビーム53,53を走行方向前方へ延出し、その前端部に中間輪支軸54,54を回転可能に取付け、この中間輪支軸54,54の先端部に中間輪7,7を取付けて構成し、更に、オイルダンパ55…(…は複数を示す。以下同じ。)にて懸架するものである。
なお、オイルダンパ55…は図3にて詳述する。59は揺動可能なクロスロッドであり、左のサブビーム53と右のサブビーム53とを結合したものである。
【0029】
後輪用駆動装置60は、トランスミッション11aの後部から延びた推進軸61、この推進軸61に自在継手62を介して連結した差動装置63、及び差動装置63に連結した左右の駆動軸64,64からなり、この駆動軸64の両端部に後輪6,6を連結したものである。
差動装置63及び駆動軸64,64は、上記揺動管52と同心に配置し、しかも、揺動管52とともに揺動可能に連結することで、上記リヤ懸架装置50の一部を構成する。そして、揺動管52は、内部に挿通した駆動軸64,64を回転可能に支持したものである。
【0030】
図3は本発明に係るリヤ懸架装置の側面図であり、リヤ懸架装置50は、後部の荷台3にオイルダンパ(ショックアブソーバ)55,55を介してサブビーム53の前端部及び後端部を懸架したものである。
ところで、サブビーム53は、クローラベルト9(図1参照)の張力調整が可能な構成である。詳しくは、サブビーム53は、オイルダンパ55,55にて懸架したビーム部材56の前部側面に、ビーム延長部57を前後スライド可能に取付け、しかも、ビーム部材56とビーム延長部57とをターンバックル58にてスライド調整可能に連結した構成であり、ターンバックル58にてクローラベルト9の張力を調整する。
なお、ビーム延長部57は、前部に中間輪支軸54を備える。
【0031】
図4は本発明に係るクローラベルトの内周面展開図であり、図の上下方向がベルト長手方向である。
クローラベルト9は、ゴム材などの可撓性材料からなり、内周面に且つ幅方向両側に、タイヤのショルダ部に対する多数のサイドガイド部9f…を起設したものである。
詳しくは、クローラベルト9は、互いに所定の隙間S,Sを開けてベルト長手方向に延びた3列のベルト部(左ベルト部9aと中央ベルト部9bと右ベルト部9c)と、左ベルト部9aと中央ベルト部9bとを連結した多数の連結部9d…と、中央ベルト部9bと右ベルト部9cとを連結した多数の連結部9e…と、左ベルト部9a並びに右ベルト部9cに起設した多数のサイドガイド部9f…とからなる一体成形品である。
左・右ベルト部9a,9cは、サイドガイド部9f…を起設可能な程度の幅狭である。
【0032】
左右の連結部9d…,9e…及び左右のサイドガイド部9f…は、ベルト幅方向に一直線上に、且つ、ベルト長手方向に所定ピッチに配列したものである。
クローラベルト9は、左右の隙間S,Sを連結部9d…,9e…にてベルト長手方向に区分けすることにより、所定ピッチの排出開口部9g…を有し、これらの排出開口部9g…は、クローラベルト9の内周面に入り込んだ泥や雪などの異物を排出する役割を果たすために、内外貫通した開口である。
排出開口部9g…は、サイドガイド部9f…の内方近傍に配設した平面視略矩形状孔からなる。
【0033】
図5は図4の5−5線断面図であり、クローラベルト9は3列のベルト部9a,9b,9c及び左右の連結部9d…,9e…を貫通してベルト幅方向に延びる補強用芯材9hを埋設し、この補強用芯材9hは、クローラベルト9のベルト幅方向を補強する役割を果たすために、図4に示すようにベルト長手方向に所定ピッチで配列した芯金である。
連結部9d,9eは、クローラベルト9よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材9iにて周囲を覆った環状体であり、この低摩擦部材9iは、クローラベルト9と一体成形したものである。
なお、9j…は、クローラベルト9は接地面(外周面)に形成した凹凸パターン(トレッドパターン)である。
【0034】
図6は本発明に係るイコライザの断面図であり、イコライザ8をビーム部材56に取付けた姿を示す。
イコライザ8は、ビーム部材(車体)56に上下揺動自在に片持ち支持した板ばね71と、この板ばね71の揺動先端部に取付けて前記サイドガイド部9f…を案内する支持体74と、この支持体74に取付けてクローラベルト9を接地面に向って押圧する所定長さのスライダ75,75とを主要構成とし、更に、板ばね71と支持体74との間に弾性体73…を介在したものである。
【0035】
詳しくは、イコライザ8は、ビーム部材56の下面に基端部をボルト止めした板ばね71と、この板ばね71の揺動先端部に回転自在に取付けたベース72と、このベース72の下部にボルト止めした弾性体73…と、これらの弾性体73…の下部にボルト止めした支持体74と、この支持体74の下部に着脱可能に取付けた左右1対のスライダ75,75とからなる。
【0036】
板ばね71は、スライダ75,75を常に下方に付勢することにより、クローラベルト9を路面Fに向って押圧するリーフアームであり、このリーフアームは、スライダ75,75を上下揺動可能且つ前後揺動可能に支持する役割を果たす。そして、板ばね71は、車幅方向外方に延出した揺動先端部に、クローラベルト9の長手方向に貫通した筒状のボス71aを備える。
ベース72は、前記ボス71aに弾性ブッシュ72aを介してピン72bで回転自在に取付けた前後1対のブラケット72c,72c(この図では1つのみを示す。)と、これらのブラケット72c,72cに固定した平板状のベース板72dとからなる。
【0037】
図7は本発明に係るイコライザの分解斜視図である。
支持体74は、中央部の下向きチャンネルの基体74aと、この基体74aの左右に取付けた支持板74b,74bと、基体74aの左右に且つ支持板74b,74bの下面に取付けた支持環74cと、この支持環74cの下部に取付けた左右1対のスライダ取付レール74d,74dとからなる。
基体74aは、開放した下端部をリブ74eで補強し、支持板74bは、弾性体73…を介してベース72に取付け、支持環74cは、パイプからなる平面視略楕円形の環状体74cを左右2分割したものである。スライダ取付レール74dは、上側開放のボックスであり、このボックスは、側壁を支持環74cの下部に取付けたものである。
【0038】
スライダ取付レール74dは、クローラベルト9の長手方向(図の左右方向)に細長い平板体であり、更に、その長手方向両端部を上方に湾曲させた形状である。
スライダ75は、スライダ取付レール74dの下面全体に着脱可能に張付けた(ビス止めした)細長い平板体であり、この平板体はクローラベルト9よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦材からなる。
【0039】
図8は図6の8−8線断面図であり、イコライザ8が、所定長さのスライダ75にてクローラベルト9を押圧した姿を示す。
クローラベルト9は、スライダ75と摺接する部分に、低摩擦部材9i…をベルト長手方向に点在させつつ突設したものであり、このため、クローラベルト9とスライダ75とは、離間した構成である。低摩擦部材9i…は、スライダ75と摺接する部分が円弧状(環状体)である。
左右のスライダ75,75は、図1,図2,図3、図7及び図8で明らかなように平行し、直線状に前後方向に長さを有する。図1、図2、図3で理解し得るように、クローラベルト9の2つの車輪7,6の接線を結んだ該クローラベルト9の直線上に、略直線状のスライダ75,75が押圧して臨む。
【0040】
低摩擦部材9iとスライダ75の材料の組合せとしては、次のものがある。
(1)低摩擦部材9iを、ゴム材からなるクローラベルト9よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂、低摩擦ゴム、鉄鋼材、又はアルミニウム材で構成し、また、スライダ75を、クローラベルト9よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂で構成する。
(2)低摩擦部材9iを、ゴム材からなるクローラベルト9よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦ゴムで構成し、また、スライダ75を、鉄鋼材又はアルミニウム材で構成する。
【0041】
低摩擦樹脂は、例えば、塩化ビニル樹脂(PVC)や四ふっ化エチレン樹脂(商標名:テフロン)である。
低摩擦ゴムは、例えば、クローラベルト9と同様のゴム材に、ポリプロピレン樹脂の粉粒体を混練した材料である。
なお、低摩擦部材9iとスライダ75の材料の組合せは、上記組合せに限定するものではなく、低摩擦部材9iとスライダ75との間の摩擦抵抗を減少する組合せであればよい。
【0042】
低摩擦部材9iとスライダ75の材料を組合せて実験したところ、次のような結果を得た。
(1)比較例
クローラベルト9をゴム材で構成し、スライダ75を硬質塩化ビニル樹脂で構成した。この場合の摩擦係数(抵抗係数)は0.18であった。
(2)実施例
クローラベルト9を、このクローラベルト9と同様のゴム材にポリプロピレン樹脂の粉粒体を混練した材料で構成し、スライダ75を、硬質塩化ビニル樹脂で構成した。この場合の摩擦係数(抵抗係数)は0.08であった。
上記実験結果から、実施例の材料の組合せによる摩擦抵抗は、極めて小さいものであり、クローラベルト式車両1のクローラの改善に有効であることが判明した。
そして、上記実施例の材料の組合せからなる、低摩擦部材9iとスライダ75を取付けて、走行クローラベルト式車両1を走行実験したところ、クローラの駆動力特性を高めることができた。
【0043】
次に、上記構成のイコライザ8及びクローラベルト9の作用を、図8及び図9に基づき説明する。
図8において、イコライザ8のスライダ75は、低摩擦部材9i…を介してクローラベルト9を接地面に押圧する。このため、ベルト長手方向に点在し、しかも、クローラベルト9よりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材9i…と、スライダ75とを摺接することになるので、低摩擦部材9i…とスライダ75との間の摩擦抵抗が小さくてすむ。また、スライダ75とクローラベルト9とを離間させたので、この間に摩擦抵抗が発生しない。
従って、イコライザ8とクローラベルト9との間の摩擦抵抗を低減することができるので、その結果、クローラの走行抵抗及び摩擦熱を低減することができる。そして、摩擦熱が低減するので、クローラベルト9の長寿命を図れる。しかも、クローラベルト9を所定長さのスライダ75にて接地面へ適切な押圧力にて押圧するすることができるので、クローラベルト9の接地力を高めることができる。
また、低摩擦部材9i…は、スライダ75と摺接する部分が円弧状なので、スライダ75との接触面積が低減する。その結果、低摩擦部材9i…とスライダ75との間の摩擦抵抗を、より一層低減することができる。
【0044】
図9はクローラベルトの排出開口部の作用図である。
排出開口部9g,9gは、サイドガイド部9f,9fの近傍(ベルト幅端部)にある。このため、雪や泥などの異物が、クローラベルト9のベルト幅方向から内周面に入り込んだ後、サイドガイド部9f,9fに遮られて排出されない場合であっても、排出開口部9g,9gから外方へ、矢印にて示す如く速やかに排出される。
従って、クローラベルト9から雪や泥などの異物の排出効率が高い。その結果、雪や泥などの異物がタイヤのトレッドパターンに侵入することによる、目詰りが発生しにくい。このため、タイヤとクローラベルトとの間の摩擦抵抗が向上し、スリップの虞れがなく、タイヤからベルトへの動力伝達の効率を高めることができる。
【0045】
クローラベルト式車両1を雪上で走行実験したところ、クローラベルト9のベルト幅方向から内周面に入り込んだ雪を、排出開口部9g,9gから排出する作用が、目視にて確認することができた。
【0046】
ところで、排出開口部9gは、クローラベルト9のベルト幅中央に設けることもできる。しかし、タイヤのトレッド面とクローラベルト9との間に入り込んだ雪は圧縮されやすく、その結果、タイヤのトレッドパターンに侵入して目詰りが発生したり、クローラベルト9の内周面に固く付着して氷結する虞れが残る。その場合には、タイヤとクローラベルト9との間の摩擦抵抗が低下し、スリップの虞れがある。
従って、排出開口部9gは、図9に示すようにベルト幅両側に設けることが好ましい。
【0047】
図10は本発明に係るクローラベルトの変形例を示す断面図であり、図左右方向がベルト長手方向である。
変形例のクローラベルト9は、ベルト幅方向に延びた丸棒材からなる低摩擦部材9k…を、ベルト内周面から内方に突設したことを特徴とする。これらの低摩擦部材9k…は、補強用芯材9h…の真上に且つ補強用芯材9h…に沿って延出したものである。
この変形例によれば、低摩擦部材9k…を備えたクローラベルト9の構成が簡単になる。
【0048】
なお、上記実施の形態において、クローラベルト式車両1は、ハーフクローラ車に限定するものではない。
クローラベルト9は、可撓性材料製フレキシブルクローラベルトに限定するものではなく、剛性クローラベルトでもよい。
また、排出開口部9g…は、形状、寸法、配列位置を限定するものではなく、例えば、平面視丸孔形状でもよい。
更に、低摩擦部材9i…,9k…は、スライダ75をクローラベルト9と離間させる構成であればよく、形状、寸法、配列ピッチ、材料を限定するものではない。また、低摩擦部材9i…,9k…を回転可能な環状体としてもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、車体に配置した複数の車輪間にクローラベルトを掛け渡し、このクローラベルトをイコライザにて接地面へ押圧するようにしたクローラベルト式車両において、前記イコライザは、少なくとも2つの前記車輪の接線を結んだ直線上に、所定長さのスライダにて前記クローラベルトを押圧し、前記クローラベルトは、前記スライダと摺接する部分に、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材をベルト長手方向に点在させつつ突設し、スライダをクローラベルトと離間させた構成にしたことを特徴とする。
請求項2は、請求項1において、前記2つの車輪は、クローラベルトが掛け渡されている車輪のうちの前端の車輪と後端の車輪であることを特徴とする。
請求項3は、請求項1において、前記スライダは、略直線状であることを特徴とする。
【0050】
イコライザのスライダは、2つの車輪の接線を結んだ直線上に、所定長さのスライダにて低摩擦部材を介してクローラベルトを接地面に押圧する。このため、ベルト長手方向に点在し、しかも、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材と、スライダとを摺接することになるので、低摩擦部材とスライダとの間の摩擦抵抗が小さくてすむ。また、スライダとクローラベルトとを離間させたので、この間に摩擦抵抗が発生しない。
従って、クローラベルトとイコライザとの間の摩擦抵抗を低減することができるので、その結果、クローラの走行抵抗及び摩擦熱を低減することができる。そして、摩擦熱が低減するので、クローラベルトの長寿命を図れる。しかも、クローラベルトの2つの前記車輪の接線を結んだ直線上に所定長さのスライダにて接地面へ適切な押圧力にて押圧することができ、スライダは、略直線状であることと相俟って、クローラベルトの接地力を高めることができる。
【0051】
請求項4は、低摩擦部材の、スライダと摺接する部分を円弧状としたので、スライダとの接触面積が低減する。その結果、低摩擦部材とスライダとの間の摩擦抵抗を、より一層低減することができる。
【0052】
請求項5は、低摩擦部材とクローラベルトとを一体成形したので、低摩擦部材の取付けが容易である。
【0053】
請求項6は、低摩擦部材を、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂、低摩擦ゴム、鉄鋼材、又はアルミニウム材で構成し、また、スライダを、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂で構成したので、低摩擦部材とクローラベルトを複雑な構成にすることなく、イコライザとクローラベルトとの間の摩擦抵抗を低減することができる。
【0054】
請求項7は、低摩擦部材を、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦ゴムで構成し、また、スライダを、鉄鋼材又はアルミニウム材で構成したので、低摩擦部材とクローラベルトを複雑な構成にすることなく、イコライザとクローラベルトとの間の摩擦抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクローラベルト式車両の側面図
【図2】本発明に係るクローラベルト式車両の平面図
【図3】本発明に係るリヤ懸架装置の側面図
【図4】本発明に係るクローラベルトの内周面展開図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】本発明に係るイコライザの断面図
【図7】本発明に係るイコライザの分解斜視図
【図8】図6の8−8線断面図
【図9】本発明に係るクローラベルトの排出開口部の作用図
【図10】本発明に係るクローラベルトの変形例を示す断面図
【図11】従来のクローラベルト式車両のクローラ回りの概要図
【符号の説明】
1…クローラベルト式車両、5…前輪、6…後輪、7…中間輪、8…イコライザ、9…クローラベルト、9d,9e…連結部、9f…サイドガイド部、9g…排出開口部、9i,9k…低摩擦部材、75…スライダ。

Claims (7)

  1. 車体に配置した複数の車輪間にクローラベルトを掛け渡し、このクローラベルトをイコライザにて接地面へ押圧するようにしたクローラベルト式車両において、
    前記イコライザは、2つの前記車輪の接線を結んだ直線上に、所定長さのスライダにて前記クローラベルトを押圧し、
    前記クローラベルトは、前記スライダと摺接する部分に、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦部材をベルト長手方向に点在させつつ突設し、スライダをクローラベルトと離間させた構成にした、
    ことを特徴とするクローラベルト式車両。
  2. 前記2つの車輪は、クローラベルトが掛け渡されている車輪のうちの前端の車輪と後端の車輪であることを特徴とする請求項1記載のクローラベルト式車両。
  3. 前記スライダは、略直線状であることを特徴とする請求項1記載のクローラベルト式車両。
  4. 前記低摩擦部材は、前記スライダと摺接する部分を円弧状としたものであることを特徴とする請求項1記載のクローラベルト式車両。
  5. 前記低摩擦部材は、前記クローラベルトと一体成形したものであることを特徴とする請求項1又は請求項4記載のクローラベルト式車両。
  6. 前記低摩擦部材を、前記クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂、低摩擦ゴム、鉄鋼材、又はアルミニウム材で構成し、また、前記スライダを、クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦樹脂で構成したことを特徴とする請求項1、請求項4又は請求項5の何れかに記載のクローラベルト式車両。
  7. 前記低摩擦部材を、前記クローラベルトよりも摩擦抵抗の小さい低摩擦ゴムで構成し、また、前記スライダを、鉄鋼材又はアルミニウム材で構成したことを特徴とする請求項1、請求項4又は請求項5の何れかに記載のクローラベルト式車両。
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