JP3672865B2 - 陰極線管の分割方法および陰極線管の分割装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パネル部とファンネル部のガラス組成が異なる廃陰極線管などを分割する陰極線管の分割方法および分割装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の資源の枯渇化や環境汚染などに関連して、家電製品のリサイクルへの要求が高まっている。例えば、テレビジョンやパソコン用表示装置をはじめとする各種表示装置などに使用されている陰極線管は、以前より回収(リサイクル)の必要性が論じられており、また実際に回収、再利用することが試みられている。
【0003】
カラーブラウン管などとして用いられている陰極線管は、蛍光膜が形成されたパネル部とファンネル部とをフリットガラスなどを用いて融着し、さらにファンネル部の他方の端部側に電子銃を備えたネック部を接合した構造を有している。このような陰極線管を回収、再利用する場合、まずパネル部とファンネル部には組成が異なるガラスが用いられているため、パネル部とファンネル部とに分割する必要がある。
【0004】
例えば、ファンネル部には鉛成分を20質量%以上含むガラスが用いられており、パネル部にはフェース面の着色対策などから鉛成分を実質的に含まないガラスが用いられている。このようなファンネル部とパネル部を有する陰極線管を回収、再利用するためには、まずパネル部とファンネル部とを分割し、これら各部用のガラスを個々に回収する必要がある。特に、各ガラス材料の再利用効率を向上させるためには、ファンネル用ガラスのパネル用ガラスへの混入を防ぐことが重要となる。
【0005】
ところで、使用済のテレビジョン装置やコンピュータ表示装置などから回収された陰極線管(廃陰極線管)をパネル部とファンネル部とに分割する方法としては、従来から、Ni−Cr線などの熱線をパネル部とファンネル部との接合部に押し当てて分割する方法(熱線加熱法(特開平9-171773号公報、特開平11-345569号公報など参照))、ガス燃焼炎でパネル部とファンネル部との接合部を加熱して分割する方法(ガス加熱法(特開2001-93423公報など参照))、レーザービームをパネル部とファンネル部との接合部に照射して分割する方法(レーザー照射法(特開平11-86734号公報など参照))、ブレードなどを用いて切断する方法などが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の陰極線管の分割方法のうち、一般的には熱線加熱法が適用されているが、この熱線加熱法は作業者の安全性の点で問題があることに加えて、熱線の接合部への押し当て工程に手間を要し、また分割が可能な温度まで加熱するのに時間を要することから、陰極線管を分割する際の処理工数並びに処理コストが増大しやすいという基本的な問題を有している。
【0007】
さらに、熱線と陰極線管との間にゴミなどの異物が存在していると、加熱が不均一になって切断精度が低下し、パネル用ガラスへのファンネル用ガラスの混入量が増大しやすいという問題がある。これはガラス材料の再使用率の低下を招くことになる。また、陰極線管の側面にテーパーがついていると熱線の当接位置がずれやすく、切断位置の精度がさらに低下してしまう。特に、20インチ以上の中・大型のブラウン管(陰極線管)は切断精度が低下しやすいことから、これらの改善が急務とされている。
【0008】
上記した熱線加熱法以外の分割方法のうち、ガス加熱法は熱線加熱法と同様に切断位置の精度が低下しやすく、ガラス材料の回収・再利用率が低いというような問題を有している。一方、レーザー照射法はスポット状のレーザー光で接合部分を加熱するため、パネル部とファンネル部とを分割可能な温度まで加熱するのに時間を要し、加えてレーザーを使用した分割装置自体が極めて高価になることから、分割処理工数並びに分割処理コストが増大してしまうというような問題を有している。
【0009】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、陰極線管を基本的にパネル部とファンネル部とに分割する際の作業時間の短縮並びに作業性の向上などを図ると共に、陰極線管の分割により得られるガラス材料の回収品質並びに再利用率を高めることを可能にした陰極線管の分割方法および分割装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の陰極線管の分割方法は、パネル部とファンネル部のガラス組成が異なる陰極線管を分割するにあたり、前記陰極線管のパネル部とファンネル部との接合部から1mm 以上離れかつ前記接合部から 20mm 以内の前記パネル部上に切断位置を設定し、前記切断位置に熱源からの光を集光して成形した線状熱ビームを照射して、前記パネル部に熱歪を発生させることにより、前記切断位置から前記陰極線管を分割することを特徴としている。
【0011】
本発明の陰極線管の分割方法の具体的な形態としては、例えば線状熱ビームにより陰極線管の切断位置に相当するパネル部を加熱する工程と、加熱後の陰極線管に衝撃を加えて、陰極線管を前記切断位置から分割する工程とを有する処理方法が挙げられる。
【0012】
本発明の陰極線管の分割方法においては、パネル部とファンネル部との接合部から所定距離(接合部から 1mm 以上離れかつ 20mm 以内)離れたパネル部上に切断位置を設定し、この切断位置の加熱に熱源からの光を集光して成形した線状熱ビームを使用している。集光式の線状熱ビームによれば、陰極線管の大きさや形状などに起因する加熱位置のずれを防止することができ、パネル部上に設定した切断位置を正確に加熱することができる。さらに、集光式の線状熱ビームによれば被加熱物としてのパネル部を短時間で効率よくかつ安全に急加熱することができる。
【0013】
このように、陰極線管のパネル部上に設定された切断位置を正確にかつ効率よく急加熱することによって、切断位置に相当するパネル部に密度の高い熱歪を線状熱ビームの照射ラインに沿って局部的に生じさせることができ、その後に衝撃(機械的な衝撃や熱衝撃)を加えることで、陰極線管を設定した切断位置から高精度にかつ容易に分割することができる。これは陰極線管の回収・再利用率の向上に大きく寄与するものである。
【0014】
本発明の陰極線管の分割装置は、パネル部とファンネル部のガラス組成が異なる陰極線管を分割する装置において、前記陰極線管を保持する保持手段と、熱源からの光を集光して線状熱ビームを出射する熱ビーム源を有し、前記陰極線管の切断位置に前記線状熱ビームを照射して加熱する加熱手段と、前記陰極線管のパネル部とファンネル部との接合部から1mm 以上離れかつ前記接合部から 20mm 以内の前記パネル部上に前記切断位置が設定されるように、前記陰極線管と前記熱ビーム源との相対的な位置関係を制御する位置制御手段とを具備することを特徴としている。
【0015】
本発明の陰極線管の分割装置は、前記線状熱ビームにより加熱された前記陰極線管に衝撃を印加する衝撃印加手段を具備することが好ましい。
【0016】
このような本発明の陰極線管の分割装置においては、陰極線管の切断位置(パネル部とファンネル部との接合部から所定距離(接合部から 1mm 以上離れかつ 20mm 以内)離れたパネル部上に設定)の加熱に、集光式線状熱ビームを出射する熱ビーム源を使用しているため、陰極線管を上記した切断位置から高精度にかつ短時間で効率よく分割することができる。また、従来のレーザー照射装置などを用いた分割装置に比べて、装置コストを大幅に削減することが可能となると共に、装置の安全性を高めることができる。
【0017】
本発明の分割装置には、陰極線管の大きさに応じて、熱ビーム源の位置を調整する機構を有する加熱手段を採用することができる。これにより、種々の大きさの陰極線管の分割作業を一つの装置で実施することが可能となる。
【0018】
また、本発明の陰極線管の分割装置において、加熱手段は陰極線管の少なくとも一辺の切断位置に線状熱ビームを照射する熱ビーム源を有していればよいが、例えば陰極線管の少なくとも二辺の切断位置に線状熱ビームを同時に照射する、2つ以上の熱ビーム源を有する加熱手段を使用してもよい。このような構成によれば、陰極線管の分割に要する作業時間ならびに作業効率をより一層向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の陰極線管の分割方法を適用した分割装置の第1の実施形態の概略構成を示す正面構成図、図2は図1に示す分割装置の平面構成図である。これらの図において、1は分割する陰極線管2の保持台を兼ねるターンテーブルである。なお、ターンテーブル1は陰極線管2が載置される受け台であってもよいし、あるいは陰極線管2を真空吸引して保持する吸引保持部であってもよい。
【0020】
分割する陰極線管2としては、カラーテレビジョン装置やコンピュータ表示装置をはじめとする各種表示装置などから回収された廃陰極線管、あるいは陰極線管の工程不良品などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。分割対象の陰極線管2は、ガラス組成が異なるパネル部2aとファンネル部2bとを有しており、これらはフリットガラス2cにより接合されている。このような陰極線管2を基本的にはパネル部2aとファンネル部2bとに分割する。
【0021】
この実施形態の分割装置は、パネル部2aとファンネル部2bをそれぞれ構成するガラス材料の組成が異なる陰極線管2を分割する場合において、各ガラス材料(パネル用ガラスとファンネル用ガラス)の回収品質、並びに再利用率を高めることを可能にしたものである。例えば、パネル部2aは鉛成分の含有量が5質量%以下のガラス材料からなり、ファンネル部2bは鉛成分を20質量%以上含有するガラス材料からなる。パネル部2aを構成するガラスとしては、実用的には鉛成分を含まないガラス材料が用いられる。また、陰極線管2の大きさは特に限定されるものではないが、本発明の分割装置は20インチ以上の中・大型の陰極線管(ブラウン管)2の分割に好適である。
【0022】
ターンテーブル1には回転軸3が接続されており、この回転軸3を介してモータ(例えばステッピングモータ)4の駆動力を伝達することによって、陰極線管2を回転させるように構成されている。回転用モータ4の駆動力は伝導平歯車などを介して回転軸3に伝達される。陰極線管2の回転駆動は、断続的な回転あるいは連続回転のいずれであってもよく、後述する陰極線管2の具体的な加熱方法に応じて適宜設定される。
【0023】
回転軸3は上下動ベース板5に支持されており、この上下動ベース板5はボールネジ6と連動するように構成されている。ボールネジ6には駆動力伝達系7を介して昇降用モータ8の駆動力が伝達される。すなわち、昇降用モータ8を駆動させることによって、上下動ベース板5と連動してターンテーブル1が昇降するように構成されている。このターンテーブル1の昇降機構は、陰極線管2の切断位置Pを制御する位置制御手段として機能するものである。陰極線管2の切断位置Pは、パネル部2aとファンネル部2bとの接合部2cから所定距離離れたパネル部2a上に設定される。この切断位置Pについては後に詳述する。
【0024】
陰極線管2の切断位置Pの制御は、昇降用モータ8を後述するセンサ16と連動させて自動制御とすることもできるし、また作業者が昇降用モータ8のスイッチをオン・オフすることで手動制御としてもよい。手動で位置制御する場合には、作業者が手回しハンドルを回すことによりターンテーブル1を昇降させるように構成してもよい。なお、陰極線管2の切断位置Pは、後述する加熱手段としての熱ビーム源の上下位置を調整することで制御することも可能である。このように、位置制御手段は陰極線管2と後述する熱ビーム源との相対的な位置関係を制御することが可能であればよい。
【0025】
上述したターンテーブル1に保持された陰極線管2の外周側には、陰極線管2の切断位置Pに線状熱ビームを照射して、切断位置Pに相当するパネル部2aの温度を所定の温度まで加熱する加熱手段が配置されている。この加熱手段としては、熱源からの光を集光して線状熱ビームを出射する熱ビーム源、例えば近赤外線ラインヒータ9が用いられる。熱ビーム源としての近赤外線ラインヒータ9はターンテーブル1の外周側に設置されている。
【0026】
図3は熱ビーム源として用いられる近赤外線ラインヒータ9の要部構成の一例を示す断面図である。同図に示す近赤外線ラインヒータ9は、熱源として高出力が可能なライン型のハロゲンランプ10を有しており、このライン型ハロゲンランプ10は反射ミラー11のランプ収容部12内に配置されている。反射ミラー11は、ランプ収容部12の周囲に配置された反射面11aを有している。ライン型ハロゲンランプ10から放射された近赤外線は、反射ミラー11の反射面11aにより集光されて線状熱ビームXに成形され、この線状熱ビームXが被加熱物(ここでは陰極線管2)に照射される。
【0027】
上述した近赤外線を集光して線状熱ビームXとする近赤外線ラインヒータ9は、熱源がハロゲンランプ10であるため、従来の熱線加熱などに比べて作業者の安全性を確保することができるだけでなく、線状熱ビームXにより加熱を行うことから、陰極線管2の所定の切断位置Pを高精度に急加熱することができる。すなわち、陰極線管2の大きさや形状などに起因する加熱位置のずれを防止することができ、パネル部2a上に設定した切断位置Pを正確に加熱することが可能となる。例えば、近赤外線ラインヒータ9によれば、陰極線管2を非接触で1200℃程度まで効率よく短時間で加熱することができる。従って、レーザー光などを利用した従来の加熱装置に比べて、加熱時間(すなわち分割作業時間)を短縮することができ、さらに装置コストも大幅に低減することが可能となる。
【0028】
なお、ここでは熱ビーム源として高効率ハロゲンランプ10からの近赤外線を集光して線状熱ビームを出射する近赤外線ラインヒータ9について説明したが、熱ビーム源はこれに限られるものではなく、陰極線管2の分割に必要な熱量を有する線状熱ビームを出射し得るものであれば各種の集光式ラインヒータを用いることができる。線状熱ビームによる加熱効率を考慮すると、集光する光は近赤外線(例えば波長0.8〜2.5μmの光(電磁波))が有効であるが、例えば波長2.5〜25μm程度の赤外線などを用いてもよい。さらに、熱源の出力を十分に高めることが可能であれば、可視領域の光を集光して線状熱ビームとしてもよい。このように、ライン状の熱ビームを得ることが可能であれば、種々の熱ビーム源を使用することができる。
【0029】
図1および図2に示す分割装置の加熱手段は、陰極線管2の二辺の切断位置Pに線状熱ビームXを同時に照射することができるように、2つの近赤外線ラインヒータ9を熱ビーム源として有している。これら2つの近赤外線ラインヒータ9は、所定の間隙をもって平行配置されている。なお、近赤外線ラインヒータ9を2つ使用する場合には、L字状に配置するようにしてもよい。また、陰極線管2の四辺の切断位置Pに対して線状熱ビームXを同時に照射するように、近赤外線ラインヒータを4つ使用することも可能である。なお、熱ビーム源としての近赤外線ラインヒータ9は少なくとも1つ有していればよい。
【0030】
分割処理が施される陰極線管2は、上述したような近赤外線ラインヒータ9に囲まれた位置に配置される。ここで、分割処理が施される陰極線管2は、種々の大きさのもの(例えば14〜35インチのブラウン管)があるため、この実施形態の分割装置は陰極線管2の大きさに応じて、近赤外線ラインヒータ9の位置(前後位置)を調整する位置決め機構を有している。すなわち、近赤外線ラインヒータ9はスライドテーブル13に固定されており、このスライドテーブル13はエアーシリンダ14により前後方向に移動可能とされている。近赤外線ラインヒータ9の位置はスライドテーブル13を前後させることで調節される。
【0031】
近赤外線ラインヒータ9の先端にはストッパ15が配置されており、このストッパ15を陰極線管2に当接させることで、近赤外線ラインヒータ9を所定の位置、すなわち線状熱ビームXが陰極線管2の外周部に集光する位置に配置される。また、一方の近赤外線ラインヒータ9の上部には上下位置用センサ16が設置されている。この上下位置用センサ16は陰極線管2の切断位置Pと近赤外線ラインヒータ9との相対位置を自動制御する際に用いられる。すなわち、陰極線管2を昇降させる際に、上下位置用センサ16で接合部(フリットガラスの出っ張り)2cを検出することで、予めセンサ16との上下方向の位置関係が設定させている近赤外線ラインヒータ9の位置は、陰極線管2の切断位置Pと相対する位置に自動制御される。なお、陰極線管2の切断位置Pを手動制御する場合には、センサ16を省いてもよい。
【0032】
さらに、近赤外線ラインヒータ9が配置されている架台17には、近赤外線ラインヒータ9を前方方向に移動させた際の位置を検出する前後位置用センサ18が設置されている。この前後位置用センサ18は近赤外線ラインヒータ9の前後位置を検知することによって、陰極線管2の大きさを検出するものであり、これにより近赤外線ラインヒータ9からの線状熱ビームXの照射時間を自動制御することができる。
【0033】
例えば図4に示すように、近赤外線ラインヒータ9の初期位置Aと各陰極線管2の大きさに応じた位置(例えばB、Cなど)に、近接センサやリミットスイッチなどからなる前後位置用センサ18を設置する。位置B、Cなどに設置されるセンサ18b、18cは、それぞれ陰極線管2の大きさに応じて、ストッパ15が陰極線管2に当接して近赤外線ラインヒータ9が停止する位置に設けられている。従って、近赤外線ラインヒータ9の停止位置を前後位置用センサ18で検知することによって、陰極線管2の大きさを検出することができる。なお、センサ18aは初期位置Aの検出に用いられる。
【0034】
このようにして、前後位置用センサ18で検出した陰極線管2の大きさに基づいて、予め設定された時間だけ近赤外線ラインヒータ9から線状熱ビームXを照射することによって、線状熱ビームXの照射時間を自動制御することができる。照射時間は線状熱ビームXによっても異なるため、照射条件(加熱条件)に応じて適宜設定される。照射時間の設定時間の一例を挙げるとすれば、例えば14〜20インチの陰極線管2であれば10秒、21〜27インチの陰極線管2であれば14秒、28インチ≦の陰極線管2であれば20秒というように、予め前後位置用センサ18で検出する陰極線管2の大きさに対応させて設定しておく。
【0035】
上述した実施形態による陰極線管2の分割装置においては、以下のようにして陰極線管2の分割処理が行われる。まず、分割対象の陰極線管2をターンテーブル1上に載置する。陰極線管2はターンテーブル1のほぼ中央に載置するものとするが、陰極線管2のセンターが多少ずれていても、2つの近赤外線ラインヒータ9のストッパ15で陰極線管2を挟むことによって、陰極線管2と分割装置のセンターが調整される。
【0036】
次に、図5(a)に示すように、昇降用モータ8を動作させてターンテーブル1上に配置された陰極線管2を昇降させ、近赤外線ラインヒータ9から出射される線状熱ビームXが陰極線管2の切断位置Pに照射されるように、陰極線管2と近赤外線ラインヒータ9との相対的な位置関係を制御する。この陰極線管2と近赤外線ラインヒータ9との相対位置制御は、前述したようにセンサ16を利用して自動制御としてもよいし、あるいは作業者が陰極線管2の位置を調節する手動制御であってもよい。
【0037】
ここで、陰極線管2の切断位置Pは、前述したようにパネル部2aとファンネル部2bとの接合部2cから所定距離離れたパネル部2a上に設定される。このように、陰極線管2をパネル部2a上に設定された切断位置Pから分割することによって、例えば鉛成分を実質的に含まないパネル用ガラス中に鉛成分を20質量%以上含むファンネル用ガラスが混入することを防止することができる。さらに、本発明では陰極線管2の分割(加熱)に集光式の線状熱ビームXを用いているため、陰極線管2の切断位置Pを高精度に制御することができ、各部用のガラスをそれぞれ効率よく回収、再利用することが可能となる。
【0038】
切断位置Pは、例えば図6に示すように、パネル部2aとファンネル部2bとの接合部2cから1mm以上離れ(距離L1≧1mm)、かつ接合部2bから20mm以内(距離L2≦20mm)の範囲(図6は切断に適する範囲を射線領域で示している)とすることが好ましい。切断位置Pを接合部2cから1mmに達しない位置とすると、僅かな切断誤差や切断形状の悪化などによって、パネル用ガラス中にファンネル用ガラスが混入しやすくなる。一方、切断位置Pを接合部2cから20mmを超えて離れた位置とすると、ファンネル用ガラス中へのパネル用ガラスの混入量が増大し、回収したファンネル用ガラスの再生品質が低下する。切断位置Pは例えば接合部2cから10mm程度の位置に設定することが望ましい。
【0039】
次いで、図5(b)に示すように、2つの近赤外線ラインヒータ18をそれぞれエアーシリンダ14により前方に移動させる。近赤外線ラインヒータ9はそれぞれストッパ15が陰極線管2に当接するまで移動させる。この停止位置において、近赤外線ラインヒータ9から出射される線状熱ビームXは陰極線管2の外周部に集光される。この状態で、陰極線管2の例えば長手方向の対向する二辺の切断位置Pに、近赤外線ラインヒータ9から線状熱ビームXを照射して、切断位置Pに相当するパネル部2aを所定の温度まで加熱する。
【0040】
この際の加熱時間は線状熱ビームXの種類や陰極線管2の大きさなどによっても異なるが、例えば10〜25秒程度とすることが好ましい。近赤外線ラインヒータ9からの線状熱ビームXによれば、このような加熱時間でパネル部2aを分割可能な温度、例えば80〜1000℃程度の温度まで加熱することができ、さらにパネル部2aに密度の高い熱歪を発生させることができる。
【0041】
次に、近赤外線ラインヒータ9を後退させた後、陰極線管2を90°回転させる。この状態で2つの近赤外線ラインヒータ9を再度前進させ、陰極線管2の残りの二辺(例えば短手方向の対向する二辺)の切断位置Pに近赤外線ラインヒータ9から線状熱ビームXを照射し、上記した第1工程と同様にパネル部2aに密度の高い熱歪を発生させる。加熱条件などは第1工程と同様とする。
【0042】
上述した加熱工程の後に、陰極線管2にハンマーなどで作業者が機械的な衝撃を加えることによって、図5(c)に示すように、陰極線管2を切断位置Pから高精度にかつ効率よく分割することができる。なお、集光式の線状熱ビームXによれば、陰極線管2の切断位置Pに相当するパネル部を急速に加熱することができるため、線状熱ビームXの加熱に基づく熱衝撃のみで陰極線管2を分割することができる場合もある。
【0043】
陰極線管2を分割処理するにあたって、線状熱ビームXで陰極線管2の切断位置Pを急加熱することによって、切断位置Pに相当するパネル部2bには密度の高い熱歪が線状熱ビームXの照射ラインに沿って局部的に生じる。このような熱歪が生じた状態の陰極線管2に機械的な衝撃などを加えることによって、陰極線管2を設定した切断位置Pから高精度にかつ容易に分割することができる。具体的には、切断位置Pのずれが防止され、さらに切断形状を良好に保つ(例えば大きなバリなどを発生させない)ことができる。
【0044】
このようにして、陰極線管2を分割してパネル用ガラスおよびファンネル用ガラスを回収することによって、各部用のガラスの回収品質並びに再利用率をそれぞれ高めることが可能となる。具体的には、パネル用ガラス中へのファンネル用ガラスの混入を実質的に零とし、かつファンネル用ガラス中へのパネル用ガラス中の混入を10%以下とすることができる。これは陰極線管の回収・再利用率の向上に大きく寄与するものである。
【0045】
さらに、陰極線管2を短時間で効率よく分割することで、陰極線管2の分割に要する処理工数並びに処理コストを削減することが可能となる。また、従来のレーザー照射装置などを用いた分割装置に比べて、集光式の線状熱ビームXを利用した加熱機構によれば、装置コストを大幅に削減することができ、さらに作業の安全性を高めることも可能となる。これも分割に要する処理コストの削減などに寄与するものである。
【0046】
次に、本発明の陰極線管の分割方法を適用した分割装置の第2の実施形態について、図7を参照して説明する。図7は第2の実施形態による陰極線管の分割装置の概略構成を示す正面構成図である。同図に示す陰極線管の分割装置は、図1および図2に示した第1の実施形態による分割装置の各構成要素に加えて、加熱手段により所定の温度まで加熱された陰極線管2の切断位置P近傍に衝撃を印加する機構を具備している。
【0047】
すなわち、陰極線管2の外周部側には、冷却媒体を陰極線管2の切断位置P近傍に吹き付けるノズル21が配置されている。ノズル21は陰極線管2の対角線上に位置するように2つ配置されている。これらノズル21はコンプレッサ22に接続されており、近赤外線ラインヒータ9で所定の温度まで加熱した陰極線管2の切断位置P近傍にエアーを吹き付けるように構成されている。なお、冷却媒体はエアーに限らず、窒素ガスのような不活性ガスであってもよく、特に限定されるものではない。
【0048】
このように、近赤外線ラインヒータ9を用いた加熱工程で密度が高い熱歪が生じている陰極線管2の切断位置P近傍に、エアーを吹き付けて熱衝撃を印加することによっても、陰極線管2を切断位置Pから高精度にかつ効率よく分割することができる。この実施形態の分割装置によれば、陰極線管2の加熱工程から衝撃の印加工程までを全て自動化することが可能となり、分割作業の効率をより一層向上させることが可能となる。なお、陰極線管2の切断位置P近傍への衝撃印加手段は、上述した冷却媒体を吹き付ける機構に限られるものではなく、例えばエアーシリンダなどを利用して、機械的な衝撃(殴打による衝撃)を印加するような構成とすることも可能である。
【0049】
上述した各実施形態においては、陰極線管2への線状熱ビームの照射を断続的に行う例について説明したが、本発明における線状熱ビームの照射はこれに限られるものではなく、例えば陰極線管2を連続的に回転させながら線状熱ビームを連続照射してもよい。このような場合には、近赤外線ラインヒータ9などの熱ビーム源を回転する陰極線管2に追従可能に構成する。例えば、熱ビーム源を前後に移動可能とする圧縮バネなどを利用して陰極線管の回転に追従させる。
【0050】
また、上述した各実施形態では陰極線管2を加熱した後に衝撃を加えることで陰極線管2を分割する方法並びに装置について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば予め陰極線管の接合部分近傍に分割用の傷を形成し、この傷の部分に線状熱ビームを照射して陰極線管を所定の温度まで加熱することによっても、陰極線管を所定の切断位置から分割することができる。分割用の傷は作業者が形成してもよいし、また傷形成機構を採用することも可能である。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の陰極線管の分割方法および分割装置によれば、陰極線管の分割に要する作業時間の短縮並びに作業性や安全性の向上を図った上で、陰極線管を設定した切断位置から高精度に分割することができる。従って、陰極線管の分割により得られるガラス材料の回収品質並びに再利用率を高めることが可能となる。さらに、装置コストの削減ならびに安全性の向上などを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態による陰極線管の分割装置の概略構成を示す正面構成図である。
【図2】 図1に示す陰極線管の分割装置の平面構成図である。
【図3】 図1に示す陰極線管の分割装置で使用した近赤外線ラインヒータの要部構成を示す断面図である。
【図4】 図1に示す陰極線管の分割装置における近赤外線ラインヒータの移動位置の検知およびそれに基づく陰極線管の大きさの検出構成を説明するための図である。
【図5】 図1に示す分割装置を用いた陰極線管の分割工程の要部を示す図である。
【図6】 本発明による陰極線管の分割位置の例を示す図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態による陰極線管の分割装置の概略構成を示す正面構成図である。
【符号の説明】
1……保持台を兼ねるターンテーブル,2……陰極線管,2a…パネル部,2b…ファンネル部,4……回転用モータ,8……昇降用モータ,9……近赤外線ラインヒータ,10……ライン型ハロゲンランプ,13……スライドテーブル,14……エアーシリンダ,21……冷却媒体吹付け用ノズル
Claims (2)
- パネル部とファンネル部のガラス組成が異なる陰極線管を分割するにあたり、
前記陰極線管のパネル部とファンネル部との接合部から1mm 以上離れかつ前記接合部から 20mm 以内の前記パネル部上に切断位置を設定し、前記切断位置に熱源からの光を集光して成形した線状熱ビームを照射して、前記パネル部に熱歪を発生させることにより、前記切断位置から前記陰極線管を分割することを特徴とする陰極線管の分割方法。 - パネル部とファンネル部のガラス組成が異なる陰極線管を分割する装置において、
前記陰極線管を保持する保持手段と、
熱源からの光を集光して線状熱ビームを出射する熱ビーム源を有し、前記陰極線管の切断位置に前記線状熱ビームを照射して加熱する加熱手段と、
前記陰極線管のパネル部とファンネル部との接合部から1mm 以上離れかつ前記接合部から 20mm 以内の前記パネル部上に前記切断位置が設定されるように、前記陰極線管と前記熱ビーム源との相対的な位置関係を制御する位置制御手段と
を具備することを特徴とする陰極線管の分割装置。
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-
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