JP3673666B2 - 転写媒体、転写画像の製造方法及び転写画像の形成された布帛 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被転写体上に転写により画像を形成する際に使用される転写媒体、これを用いた画像転写物の製造方法及び被転写布帛に関する。更に詳しくは、転写媒体を構成する色材保持層に画像を形成する際に、特に、水性インクを用いるインクジェット記録方法に好適に用いられる転写媒体、該転写媒体を使用し、被転写体上に画像を有する色材保持層を転写して転写画像を形成する画像転写物の製造方法、該製造方法によって得られる被転写布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性インク記録を代表するインクジェット記録方式としては、種々のインク吐出方式、例えば、静電吸引方式、圧電素子を用いてインクに機械的振動又は変位を与える方式、インクを加熱して発泡させ、その圧力を利用する方式等が知られており、これらのインク吐出方式によってインクの小滴を発生及び飛翔させ、それらの一部若しくは全部を被記録材に付着させて記録が行われる。かかるインクジェット記録方式は、騒音の発生が少なく、高速印字、カラー印字の行える簡易な方式として注目され、近年、これを利用した手軽にカラー印字の行えるインクジェットプリンタが広く普及している。
【0003】
近年、このように手軽にカラー印字が行えるインクジェットプリンタが普及したことによって、このインクジェットプリンタを利用して様々な被記録材へのカラープリントを行うことへの要求が高まっている。このような要求に対し、転写媒体(転写紙)にインクジェット記録方法で画像を形成し、その後その画像を他の被記録材に転写するプリント方法は、被記録材側の形態を選ばないこと、つまり、直接、プリンタでプリントすることが不可能な被記録材へも画像形成が行えることから、特に注目されている技術である。
【0004】
これまでにも、インクジェット記録方式を利用して画像を形成する形式の転写媒体はいくつか提案されている。特開平8−207426号公報では、インク受容層を熱可塑性樹脂、結晶性可塑剤及び粘着付与剤から構成することによって、加熱のみで被記録材に転写画像を貼着することが可能なインクジェット記録シートを提案している。又、特開平8−207450号公報では、支持体層と熱転写層とからなるシートおいて、熱転写層に粒状熱可塑性高分子樹脂、多孔質無機微粒子及びバインダー(結着剤)を含む構成の、インクジェット記録が可能で、熱転写可能な転写媒体が提案されている。更に、米国特許第5,501,902号明細書においても、上記構成に加え、カチオン性樹脂やインク粘度調整剤等を添加させた構成のインクジェット用転写媒体が提案されている。
【0005】
しかし、これらの従来技術においては、転写媒体へのインクジェット記録適性、転写の簡便性、被転写体に転写された転写物の堅牢性等を同時に満足し得るものではなかった。そこで、本発明者らは、特開平10−16382号公報において、支持体と離型層及び転写層とからなる転写媒体を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平10−16382号公報の転写媒体は、インクジェット記録適性、転写の簡便性、転写物の堅牢性においてバランスのとれたものであったが、柔軟な被転写体、例えば、布帛や紙等へ記録画像を転写した場合には、転写画像を形成した部分が被転写体が本来持つ風合いや手触りを損なわずに高品位な転写画像を形成するという点においては、充分なものとはいえなかった。特に、高画質カラープリンタに使用する場合には、インク打ち込み量が多くなるので転写層を厚くする必要があるので、この傾向が大きかった。更に、上記の転写媒体は離型層を有しているため、転写後に容易に支持体を取り除くことができ、転写画像形成の簡便性の点では優れるものであるが、大きいサイズの転写媒体を家庭用アイロン等で転写する場合には、上記の場合のように転写層が厚いと転写に要する時間が長くかかり、誰でもが大きいサイズの転写画像を良好な状態で形成できるという点でも充分なものとはいえなかった。
【0007】
従って、本発明の課題は、転写層が薄くても或いは、インク打ち込み量が増えたとしても、転写層を確実に転写でき画像自体も遜色のない状態を得ることのできる新規な構成を得ることにある。そこで、本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意検討の結果、インク中の色材とこの色材を溶解或いは分散させるため液媒体とに着目し、上記転写層を分離する境界を基準に、この色材を捕捉すべき層とこの液媒体を吸収すべき層との間に離型層でありながら、液媒体を移行できれば、高濃度で高品位の画像を形成でき、転写特性も良好となることを見出した。依って、本発明の目的は、転写媒体上に形成したインク記録物を被転写体へ転写し、布帛等の被転写体にプリント画像を形成する場合において、高濃度で、高品位なインク記録物の形成が簡便にできるのみならず、従来のものにも増して、転写過程を家庭等で更に容易にできる転写媒体、及びこれを用いた画像転写物の製造方法、該製造方法によって得られる被転写布帛を提供することにある。更に、本発明の目的は、高濃度で高品位な水性インク記録物の形成を可能とするために、水性インクを用いるインクジェット記録適性に優れており、且つ、水性インク記録物を転写した場合に、布帛等の被転写体の風合い維持に特に優れた効果を有する転写媒体、該製造方法によって得られる被転写布帛を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。即ち、本発明は、色材及び前記色材を溶解又は分散する液媒体を含むインクにより画像形成される色材保持層を分離可能に備えた転写媒体において、前記色材保持層を分離可能にすると共に前記液媒体を移行する分離層と、前記分離層を介して移行した前記液媒体を吸収する液媒体吸収層と、を有することを特徴とする転写媒体である。この発明によれば、転写される色材保持層が薄くても或いは、インク打ち込み量が増えたとしても、液媒体を色材保持層中から分離層を介して液媒体吸収層液に移行できるので、色材保持層の分離転写が確実になり、しかもインク画像自体も遜色のない状態を得ることができる。
【0009】
本発明は、さらに好ましくは、前記構成に対して以下の構成のいずれかを持つことで、後述する効果を得ることができる。
(1) 前記分離層は、離型剤を含むと共に多孔質構造をなしている転写媒体。
(2) 前記分離層は、前記液媒体吸収層に離型剤が形状を保って分散されている分散液を塗工してなる転写媒体。
(3) 前記分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaが、1以上である転写媒体。
(4) 前記色材保持層が、少なくとも熱可塑性樹脂粒子及び結着材が混合量比で1/2〜50/1の範囲内で有し、熱により被転写体に転写可能である転写媒体。
(5) 前記結着材が、熱可塑性樹脂及び/又はそのカチオン変性物である転写媒体。
(6) 前記色材保持層は、インクの色材を捕捉する樹脂又は細孔を有する転写媒体。
(7) 前記色材は、アニオン染料を含み、前記樹脂はカチオン樹脂である転写媒体。
(8) 前記転写媒体の色材保持層は、布帛への転写に用いられる転写媒体。
【0010】
また、本発明転写画像の製造方法は、少なくとも色材及び前記色材を溶解又は分散する液媒体を含むインクにより画像形成される色材保持層を分離可能に備えた転写媒体であって、前記色材保持層を分離可能にすると共に前記液媒体を移行する分離層と、前記分離層を介して移行した前記液媒体を吸収する液媒体吸収層と、を有することを特徴とする転写媒体の色材保持層に前記インクによる画像をインクジェット記録方式により形成する画像形成工程と、前記画像が形成された前記転写媒体を被転写体に重ねて前記色材保持層を前記被転写体に転写後、前記液媒体吸収層を前記色材保持層から剥離、分離して転写画像を形成する転写工程とを有する転写画像の製造方法である。また、本発明による転写画像の形成された布帛は、布帛に上記の転写画像の製造方法によって転写画像の形成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の態様を挙げて、本発明を詳細に説明する。
【0012】
前述したように本発明は、転写媒体を、画像を形成する際にインクが付与された場合に、インク中の色材を保持する色材保持層と、その下側に設けたインク中の液媒体を吸収するインク液媒体吸収層の層構造とし、且つ、転写後に該液媒体吸収層と色材保持層とが良好に剥離し、分離可能となるように構成する。例えば、水性インクを用いて画像を形成した場合に、色材保持層中にインク中の色材のみが捕捉され、一方、色材を溶解或いは分散させるための液媒体成分は速やかに液媒体吸収層へと移行する。
従って、色材保持層に高濃度で高品位の画像を形成することができ、更に、転写後において、液媒体吸収層は、色材保持層から容易に剥離されて取り除かれるので、色材のみが保持された薄層の色材保持層のみを被転写体に転写することができる結果、転写画像を形成した際に、布帛等の被転写体が本来もつ風合いや柔らかさが損なわれることがない。
【0013】
本発明の転写媒体は、液媒体吸収層と、インクの色材を保持するための色材保持層とを少なくとも有するが、先ず、この液媒体吸収層について説明する。
【0014】
かかる液媒体吸収層は、例えば、水性インク記録装置によって転写媒体にインクを付与して画像を形成した場合に、付与されたインク中の水や有機溶剤等の液媒体成分を可及的速やかに吸収し、且つ層内に収容できる能力(以下、これを液媒体吸収能と呼ぶ)を有するものであれば、いずれのものであってもよい。即ち、後述するように、基材上に液媒体吸収層を設けてもよいし、或いは、基材を用いずに液媒体吸収層自体をシート状或いはフィルム状等の形状となるように形成して、インク吸収能を有すると同時に、色材保持層を保持する支持体としての機能をも有するように構成してもよい。
【0015】
本発明において、上記したような機能を有する液媒体吸収層を形成する場合において、インク吸収能を発現させるための態様としては、例えば、下記に挙げる(a)又は(b)、或いは(a)及び(b)の組合せが挙げられる。
(a)インク中に含まれるビヒクル(本発明の場合には、水や溶剤等の液媒体成分を意味する)が良好に吸収できる材料を主体として形成した態様。
(b)ビヒクルが可及的速やかに吸収され収容できるように、液媒体吸収層内に物理的な空隙を形成した態様。
【0016】
上記(a)の態様を満足する液媒体吸収層を形成させるためには、インク中のビヒクルを良好に吸収し得る材料が必要となるが、このような材料としては、従来公知の水溶性樹脂や水膨潤性樹脂等を用いることができる。本発明の転写媒体の液媒体吸収層を形成する方法としては、例えば、これらの材料を主体として用い、従来公知の手法によってシート状やフィルム状に成形し、これを液媒体吸収層として色材保持層の支持体としての機能も兼ねさせるか、又は、後述する材料からなるシート状やフィルム状の基体上に、従来公知の手法によって水溶性樹脂や水膨潤性樹脂等を塗工して液媒体吸収層を形成する方法等を使用できる。
【0017】
又、液媒体吸収層を上記(b)に挙げた態様とするため、液媒体吸収層内にビヒクルを収容し得る空隙を形成する場合においても、下記に挙げるような従来公知の材料及び手法を用いることができる。例えば、主に顔料粒子と結着材からなる多孔性層、ろ紙やインクジェット用コート紙の支持体のように、主に繊維物質と結着材とからなる多孔性シート、更に、填料から構成される紙や合成紙等の多孔性シート等が挙げられ、いずれも本発明において好適に使用できる。又、不織布と呼ばれるシート等も、本発明に好適に使用できる。
【0018】
上記のような液媒体吸収層を形成する場合に、液媒体吸収層自体が色材保持層の支持体としての機能を発現しない態様においては、先に述べたように、別途基体を準備し、その少なくとも片面上に、先に述べたような材料で液媒体吸収層を形成することが好ましい。その場合に使用し得る基体としては、プリンタでの搬送に支障をきたさず、且つ、熱転写に耐え得る耐熱性を有していれば、いずれのものも使用できる。具体的には、例えば、ポリエステル、ジアセテート、トリアセテート、アクリル系ポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、セロハン、セルロイド等のプラスチックフィルムやシートや紙、布帛、不織布等のシートが挙げられる。この際に、柔軟性のある基体を用いると、被転写体の転写部が曲面であった場合においても、被転写体の形状に転写媒体を合わせることができるので、平面以外の形状の被転写体に対しても良好な転写画像の形成が可能となるので好ましい。
【0019】
又、液媒体吸収層の形成にあたり基体を使用する場合においては、基体の表面(液媒体吸収層を形成する面)に、アンカー剤等の化学的処理やUV照射等の物理的処理を施せば、液媒体吸収層との密着性を強固とできるので好ましい。本発明においては、後に説明するように、転写後に、液媒体吸収層と色材保持層とが容易に剥離し、分離できるようにしておくことを要するため、特に、液媒体吸収層の上に設ける色材保持層と液媒体吸収層との密着性よりも、基体と液媒体吸収層との密着性が大きくなるように構成することが好ましい。尚、本発明の転写媒体を構成する色材保持層については後述する。
【0020】
本発明の転写媒体においては、上記したようにして構成される高い液媒体吸収能を有する液媒体吸収層の上に、前述した機能を備えた分離層を有し、更にこの分離層上に色材保持層が形成されるが、本発明では、熱或いは圧力等の外的エネルギーをかけて色材保持層を被転写体上に転写した後に、液媒体吸収層が上記色材保持層から容易に剥離されることを要する。
【0021】
以下に、本発明で用いることのできる液媒体吸収層に対して施す離型処理について説明する。上記で説明した液媒体吸収層が有する液媒体吸収能を低下させずに、且つ、被転写体上に転写された後に、液媒体吸収層が該液媒体吸収層上に形成される色材保持層から容易に剥離される構成とするためには、本発明においては、下記の(1)又は(2)の態様、或いは(1)及び(2)の態様の組み合わせを利用し、液媒体吸収層と色材保持層との層間に、転写後に両層が容易に剥離できるようにするための分離層を設けることが好ましい。
(1)上記で説明した液媒体吸収層上に、オイル型又は溶剤型の離型剤溶液を塗工、含浸させて分離層を形成する態様。
(2)エマルジョン型、コンパウンド型や微粉体型のような離型剤が液内で形状を保って分散されている分散液を、液媒体吸収層上に塗工し、分離層を積層する態様。
【0022】
これらの態様は、一般的な離型紙の離型処理にも適用されているものであるが、従来の離型処理では、離型機能を発現させるベース紙の面上に、事前に目留め処理が施されており、本発明の転写媒体の必須の構成要件である液媒体吸収層に相当するものは存在していない。本発明においては、特に、液媒体吸収層の液媒体吸収能を低下させないような離型処理をして、液媒体吸収層と色材保持層とを剥離可能に形成することが重要である。本発明において、離型処理を施して分離層を設けたインク液媒体吸収層の、離型処理のされた側の面の吸収係数Kaは、1以上であることが好ましい。ここで吸収係数Kaは、ブリストウ法(J.TAPPIに記載の紙パルプ試験方法No.51)により以下のインク組成のブラックインクを用いて求めたものである。
【0023】
【外1】
【0024】
上記に挙げた(1)の離型処理の態様においては、使用する離型剤が均一な液状を有するため、この方法で液媒体吸収層上に離型処理を施した場合に、液媒体吸収層が特に、先に挙げた液媒体吸収層の(b)の態様の、多孔質構造を有する液媒体吸収層の場合であっても、液媒体吸収層内の微細孔を塞ぐことなく付与することができるため、上記の態様の液媒体吸収層の持つ高い液媒体吸収能が阻害されることがないので好ましい。
【0025】
但し、液媒体吸収層が、上記のような多孔質構造を有する場合には、液媒体吸収層の機能を低下させることなく、熱転写後の色材保持層との剥離機能を発現させるために、液媒体吸収層の態様によっても異なるが、離型剤の処理量を、従来の離型紙等で通常行なわれている処理量の少なくとも2倍以上にする必要がある。目安としては、1g/m2(固形分)以上とすることが好ましい。但し、処理量の上限は、使用する液媒体吸収層への影響を考慮して決定する必要がある。
【0026】
又、上記に挙げた(2)の態様の分離層においては、離型処理した場合に離型剤が微細な固体粒子として存在することになるため、液媒体吸収層上に離型剤を有する多孔質の分離層が形成されることになり、離型処理を施した場合に液媒体吸収層の液媒体吸収能が阻害されることがないので好ましい。この(2)の態様の離型処理方法は、先に述べた液媒体吸収層が、(A)及び(B)いずれの態様の場合においても好適に使用できる。
【0027】
本発明の転写媒体において、上記離型剤の塗工量としては、液媒体吸収層の有する液媒体吸収能を低下させることなく、転写等後において、液媒体吸収層と色材保持層との剥離機能を有効に発現させるために、1〜30g/m2の範囲となるようにすることが好ましい。より好ましい範囲としては、1〜20g/m2の範囲、更に好ましくは、2〜15g/m2の範囲である。
【0028】
本発明において、液媒体吸収層と色材保持層との層間に、転写後に両層を剥離するための分離層を形成するにあたっては、特に、上記した(2)の態様における場合のように、エマルジョン型、コンパウンド型や微粉体型のような離型剤を使用する場合には、これらの離型剤の結着材として、従来公知の水溶性樹脂、水膨潤性樹脂、熱可塑性樹脂等を使用することが好ましい。先にも述べたように、この場合においても、先に述べた液媒体吸収層の液媒体吸収能を低下させない範囲で結着材を使用することが必要となる。
【0029】
本発明の転写媒体において使用する、液媒体吸収層の上に形成する分離層に使用する離型剤の具体的な材質としては、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カスターワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、メチルヒドロキシステアレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート、グリセロールモノヒドロキシステアレート等の高級脂肪酸、或いはその金属塩、エステル等の誘導体、ポリアミド系樹脂、石油系樹脂、ロジン誘導体、クロマン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、酸化ポリオレフィン等のオレフィン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂等が挙げられる。又、この他に、シリコーン樹脂、フルオロシリコーン樹脂、フルオロオレフィンビニルエーテルターポリマー、パーフルオロエポキシ樹脂、パーフルオロアルキル基を側鎖に持つ熱硬化型アクリル樹脂、テフロン樹脂、フッ化ビニリデン系硬化型樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数組み合わせて使用できる。
【0030】
次に、上記した液媒体吸収層と共に本発明の転写媒体を構成する色材保持層について説明する。かかる色材保持層は、液媒体吸収層の上に設けられるが、インク中の色材を捕捉して保持し、且つ、転写後に、液媒体吸収層が剥離し、分離されて主に色材保持層が被転写体上に転写されて画像が形成されるように構成されるものであればいずれのものでもよい。即ち、本発明の転写媒体を構成する色材保持層は、例えば、インクジェット記録装置等の水性インク記録装置によって転写媒体に画像を記録する場合に使用するインクに侵されることなく、インク中の色材(染料や顔料)をできるだけ多く捕捉し保持できるものであることが好ましい。更に、画像形成に使用するインクの構成成分である色材以外の水や有機溶剤等の液体成分が、色材保持層の下層に設けられている液媒体吸収層へと速やかに導かれるように構成されることが好ましい。又、熱転写の際に容易に熱溶融して被転写体に良好に接着する材料を用い、更に、転写後には液媒体吸収層から容易に剥離されて色材保持層が主に転写されるように構成することが好ましい。
【0031】
又、かかる色材保持層は、層内に画像が形成された状態で被転写体の表面に転写され、使用に供されることになるので、洗濯や摩擦等に耐え得る材料で構成し、堅牢性に優れた転写画像を与えるものにすることが好ましい。更に、布帛等の被転写体に色材保持層によって転写画像を形成した場合に、布帛等が本来有する柔らかな風合いが、転写画像の形成部分において損なわれることがないように構成することが好ましい。
【0032】
上記に挙げた種々の要件を満足し得る色材保持層の好ましい態様としては、例えば、色材保持層を熱可塑性樹脂を主体として構成し、インクを付与する側の面から液媒体吸収層に至るまで連通する多孔質構造を有するものとすることが好ましい。更に、染料系のインクを使用する場合には、色材保持層中における染料の捕捉を確実にし、強固に保持されるようにするために、使用する染料のイオン性とは逆の対となるイオン性を有する樹脂を色材保持層中に内在させておくことが好ましい。又、顔料系のインクを使用する場合には、上記した色材保持層の多孔質構造を、使用する顔料粒子の粒径よりも小さい細孔径を有するものとし、色材である顔料粒子のみが色材保持層に捕捉され保持されるように構成することが好ましい。色材保持層中に、できるだけ多くのインク中の色材を捕捉させる態様としては、例えば、従来公知のインクジェット用熱転写媒体の色材保持層の形成の場合と同様に構成すればよい。
【0034】
本発明の転写媒体を構成する色材保持層の形成材料として使用する熱可塑性樹脂としては、非水溶性の熱可塑性樹脂であれば、いずれも好適に使用することができる。このような熱可塑性の樹脂としては、例えば、ポリエチエレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース系樹脂、ポリアクリルニトリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリチオコール、ポリスルフォン、ポリウレタン、その他これらの樹脂の共重合物、変成物等が挙げられる。中でも、ポリエチエレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、及びこれらの共重合物や変成物等がより好ましく用いることができる。
【0035】
又、本発明においては、色材保持層を形成する際に使用する熱可塑性樹脂を微粒子とすることが好ましい。更にこの場合には、形成される色材保持層中に、熱可塑性樹脂微粒子と、被膜を形成するための結着剤、更には、転写時に熱可塑性樹脂微粒子及び/又は結着剤を構成する樹脂を架橋するための架橋剤を含有させることが好ましい。このような態様とすれば、色材の捕捉及び保持が効率よく充分に行なわれ、画像濃度の高い高品位の画像を形成することができるのみならず、被転写体上に色材保持層を転写して転写画像を形成した場合に強固な画像を形成するのに有効である。
【0036】
更に、本発明で用いる熱可塑性樹脂微粒子としては、汎用のインクジェットプリンタで画像を形成した後、家庭等において手軽に転写することを可能にするような材料を用いることが好ましい。この点から、使用する熱可塑性樹脂は、融点が70℃〜200℃の範囲のものが好ましく、より好ましくは80℃〜180℃の範囲のもの、更に好ましくは、100℃〜150℃の範囲のものを使用することが好ましい。70℃よりも融点が低いものを使用した場合には、物流時又は保管時の条件によっては、微粒子が溶融して連続被膜化してしまう恐れがある。又、塗工後の乾燥温度は、熱可塑性微粒子の融点以下で行う必要があるので、製造効率の点からも70℃以上のものを使用することが好ましい。一方、融点が200℃よりも高い樹脂を使用した場合には、転写する際に高いエネルギーが必要となってしまい、本発明の目的の一つでもある、簡単に布帛等の被転写材上に転写画像を形成することが困難となる。
【0037】
又、本発明で使用する熱可塑性樹脂微粒子は、インク吸収性、画像の鮮明性の点から、その粒径が、0.05μm〜100μmの範囲であるものが好ましく、より好ましくは、0.2〜50μmの範囲のもの、更に好ましくは5〜20μmの範囲のものを使用するとよい。即ち、熱可塑性樹脂微粒子の粒径が0.05μmより小さい場合は、色材保持層として形成された場合に粒子間の空隙が小さくなり過ぎ、充分なインク中の色材の捕捉及び保持が効率よく充分に行なわれずに、良好な転写画像が得られない場合がある。一方、100μmよりも粒径が大きいと、画像の解像度が低くなり鮮明な画像が得られ難くなる。
【0038】
更に、本発明においては、熱可塑性樹脂微粒子として多孔性の微粒子を用いることが好ましい。即ち、色材保持層の構成材料として多孔性の熱可塑性樹脂微粒子を用いれば、色材保持層内における比表面積が増加するので、色材保持層でのインク中の色材の捕捉性がより向上し、薄い層厚でより多くの色材を保持することが可能となり、転写後の記録物の画像濃度が高められる。更に、色材保持層厚を薄くできるので、画像の転写がより容易となるだけではなく、特に被転写材として柔軟性に富んだ材料を用いた場合に、例えば、転写画像を布帛等の表面に形成した場合に、転写画像が形成された部分の風合いが損なわれずに柔らかい状態の、より好ましい画像転写物が得られる。
【0039】
更に、上記した熱可塑性樹脂微粒子と共に、本発明の転写媒体を構成する色材保持層の形成材料として好適に使用する結着材は、上記の粒子同士を結着し、薄膜状の色材保持層を形成できるものであれば特に制限はないが、被転写体への接着性、後述する色材保持層中での色材の捕捉性の点で、上記粒子と同様の非水溶性の熱可塑性樹脂やカチオン変性された熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0040】
又、本発明においては、先に述べたように、色材保持層を形成する場合に、熱可塑性樹脂の微粒子や結着剤又はその他の色材保持層中の材料と、若しくは被転写体と反応して架橋構造を構成し得る架橋剤を用いることが好ましい。架橋剤としては、このような機能を有するものであれば、従来公知のいずれの架橋剤を用いることもできる。例えば、熱又は光等のエネルギーによって、架橋反応を開始させることができるような架橋剤を、適宜に用いることができる。
【0041】
更に、本発明においては、色材保持層を形成する場合に、上記の構成に加えて、インク中の染料や顔料の色材をより効率よく捕捉させるために色材捕捉剤を用いることが好ましい。一般的に、インクジェット用インクに使用される色材には、アニオン性のものが多いことから、色材捕捉剤としては、カチオン性材料を使用することが好ましい。
【0042】
この際に使用することができるカチオン性材料としては、具体的には、下記のような材料が挙げられる。
例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の樹脂のカチオン化変性物、
アリルアミン、ジアリルアミン、アリルスルホン、ジメチルアリルスルホン、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のアミン系モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアモノスチレン、メチルエチルアミノスチレン、N−メチルアクリルアミド、N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、及びその4級化化合物等、側鎖に1〜3級アミン乃至4級アンモニウム塩基を有するアクリルモノマーの重合物及び共重合物等、
ジシアンアミド等、主鎖に1〜3級アミン乃至4級アンモニウム塩基を有する樹脂等が挙げられる。
【0043】
インクに使用する色材が顔料系である場合には、色材捕捉材として無機粒子を使用することが好ましい。本発明において使用し得る無機粒子としては、インク中の顔料を捕捉し、インク中の液体成分を吸収することができる連通した多孔質構造を有していれば、従来公知の無機粒子をいずれも使用できる。但し、本発明においては、インク中に含有させる顔料粒子よりも小さな細孔径を持つ無機粒子を使用することが好ましい。具体的には、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシム、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、クレイ、タルク、(塩基性)炭酸マグネシウム等が挙げられる。又、無機粒子の場合も、より空隙率の高い材料を用いることが好ましい。即ち、このような無機粒子を使用すれば、色材保持層におけるインク中の色材の捕捉及び保持の効率が高くなり、より鮮明な画像を得ることが可能となる。
【0044】
更に、本発明の転写媒体を構成する色材保持層を形成する場合には、色材保持層に使用する熱可塑性樹脂粒子と、結着材との混合比が、熱可塑性樹脂粒子/結着材=1/2〜50/1の範囲にあるようにすることが好ましく、より好ましくは、1/2〜20/1の範囲、更に好ましくは、1/2〜15/1の範囲とする。即ち、1/2よりも結着材量が多いと色材保持層における多孔性が低下して、特に、水性インクによって色材保持層に記録した直後におけるインク吸収性が低下するので、画像の解像性が低下し、高品位画像が得られない。一方、50/1よりも結着材量が少ないと、熱可塑性微粒子間、又は液媒体吸収層及び分離層との接着が充分でなくなり、充分な強度をもつ色材保持層が形成されにくくなるので好ましくない。
【0045】
本発明の転写媒体は、以上説明した構成を有するようにすることによって、従来の公知の転写媒体の場合よりも、色材を保持するための保持層の層厚を薄くすることが可能となる。即ち、本発明の転写媒体では、色材保持層の下側に設けられる液媒体吸収層が、インクのビヒクルである液体成分を収容する高い液媒体吸収能を有しているため、従来の転写媒体のように転写層のみで、付与されるインク成分のすべてを収容する必要がないからである。
【0046】
本発明において、色材保持層の厚さは、転写の簡便性や被転写体の風合い維持の向上等の点で薄ければ薄い程好ましいが、色材保持層中における色材の捕捉性や、得られる転写画像の堅牢性の向上を加味して、好ましくは5〜130μm、より好ましくは10〜110μm、更に好ましくは15〜100μmの範囲とするとよい。
【0047】
本発明の転写媒体を構成する上記した液媒体吸収層、色材保持層、及び分離層を形成する方法としては、上記で好適に挙げた材料を、適当な溶剤に溶解、又は分散させて塗工液を調製し、塗工する方法、フィルムを形成し、支持体上、又は、これらのフィルムを層状にラミネートする方法、或いは押し出し成型する方法等が挙げられる。塗工方式としては、ロールコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイズプレス法、シムサイザー法、スプレーコート法、グラビアコート法、カーテンコーター法等の従来公知の方式が使用可能である。
【0048】
本発明の転写媒体を構成する液媒体吸収層、色材保持層、及び分離層を形成する場合には、上記した材料以外に、その他の添加剤として、先に述べた架橋剤、その触媒、或いは、顔料分散剤、流動改良剤、消泡剤、発泡剤、浸透剤、着色剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、可塑剤等を適宜配合することができる。
【0049】
特に、色材保持層の転写性を向上させる目的で、先に述べた色材保持層の形成材料として好適な熱可塑性樹脂粒子に最適な可塑剤を配合することが好ましい。この際に使用される可塑剤としては、従来公知のものをいずれも用いることができる。具体的には、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、燐酸トリブチル、燐酸トリフェニル等の燐酸エステル、アジピン酸オクチル、アジピン酸イソノニル等のアジピン酸エステル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジエチルヘキシル、フマル酸ジブチル、トリメリット酸系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、ステアリン系可塑剤、塩化パラフィン、トルエンスルホンアミド及びその誘導体、p−オキシ安息香酸−2−エチルヘキシルエステル等が挙げられる。
【0050】
又、インク吸収性や物流時の保存性を向上させる目的で、界面活性剤を、色材保持層、液媒体吸収層及び分離層に配合することも好ましい態様である。この際に使用し得る界面活性剤としては、従来公知の物質をいずれも使用できる。例えば、陰イオン系の界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、りん酸エステル塩が挙げられ、陽イオン系の界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられ、両性系の界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン等が挙げられ、非イオン系の界面活性剤としては、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型の界面活性剤等が挙げられる。又、フッ素系の界面活性剤や反応性の界面活性剤等も含まれる。本発明においては、特に、非イオン性の界面活性剤やフッ素系の界面活性剤を使用することが好ましい。
【0051】
上記のような方法によって作製した本発明の転写媒体は、転写媒体の色材保持層にインクジェット記録方式で所望の画像を有する水性インク記録物を形成するための画像形成工程と、該画像形成工程によって画像が形成されている転写媒体の色材保持層側の面を被転写体の表面に重ね、色材保持層側の面とは逆のインクの液媒体吸収層のある背面から加熱して色材保持層を被転写体表面に転写し、その後、分離層を設けた上記液媒体吸収層を色材保持層から剥離し、分離して転写画像を形成する転写工程とを有する本発明の画像転写物の製造方法に好適に利用することができる。勿論、水性インク以外のインクを使用して画像を形成し、これを被転写体に転写して画像を形成することもできる。
【0052】
本発明の画像転写物の製造方法では、上記で説明した本発明の転写媒体の色材保持層に、先ずインクジェット記録方法により画像を形成し、次に、形成された画像を、布帛やフィルム等の被転写体と重ねた後、色材保持層側の面とは逆の液媒体吸収層のある転写媒体の背面から、アイロン或いは熱転写機等によって加熱して色材保持層を被転写体表面上に転写し、その後、分離層を設けた液媒体吸収層を色材保持層から剥離し、分離することによって布帛上に転写画像を形成する。この際、インクジェットプリンタは市販のプリンタをそのまま使用することができる。又、画像形成工程で用いるインクも、通常、インクジェットプリンタ用に市販されている水性インクを使用することができる。使用するインクを構成する色材も特に限定されるものではなく、従来公知のアニオン系の色材等を用いることができる。
【0053】
本発明の画像転写物の製造方法において使用する被転写体としては、特に限定はされないが、転写時における色材保持層との接着性の点で、布帛や紙の様な多孔質構造を持つものが好ましい。上記したように本発明の画像転写物の製造方法は、色材保持層に画像を形成し、該画像を布帛等の被転写体に転写して画像を形成するものであって、直接、布帛に画像を印刷して画像を形成する方式のものではないので、特に、布帛等の被記録材を構成している繊維材料等の種類に合わせて色材を変える必要はない。従って、被転写体に布帛を用い、上記のような画像転写物の製造方法によって、布帛上に転写画像を形成すれば、簡易な方法で、良好な画像が形成された被転写布帛が得られる。
【0054】
本発明の被転写布帛において使用し得る布帛は、特に限定されるものではなく、布帛を構成する材料としては、例えば、綿、麻、絹、毛、レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリル、アセテート、トリアセテート、ポリウレタン等、及びこれらの混紡繊維が挙げられる。又、これらの材料から形成される布帛は、織物、編物、不織布等のいずれの形態も使用できる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0056】
実施例1
本実施例においては、基体上にコーティングされたインク受容層を有するインクジェット用コート紙(キヤノン製 HR−101)を使用し、このインク受容層を、本実施例における液媒体吸収層に利用した。そして、該液媒体吸収層上に、離型剤として、シリコーンTPR6712、触媒CM670 東芝シリコーン(株)製を用いて、離型処理(約1g/m2)を施して分離層を形成した。分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaは55であった。
【0057】
次に、離型処理が施されて分離層が形成された面上に、下記の組成を有する色材保持層用塗工液(塗工液1)をメイヤーバーにより塗工し、その後、80℃に設定したオーブンにて乾燥して、約40μmの厚みの色材保持層を形成して、本実施例の転写媒体を得た。
【0058】
(塗工液1の組成)
・熱可塑性樹脂粒子:ナイロン樹脂多孔性粒子(オルガソール3501EXD NAT エルフ・アト・ケム(株)製 平均粒径 12μm)100重量部
・結着材:エチレン−アクリル酸エマルジョン(ハイテックE−8778 東邦化学工業(株)製 固形分25%) 240重量部
・水 100重量部
尚、本実施例では、水性インク記録装置として、後述するインクジェットプリンタBを使用した。
【0059】
実施例2
転写媒体の支持体としても機能する液媒体吸収層としてろ紙(No.5 東洋濾紙(株)製)を使用し、該液媒体吸収層上に、離型剤として、シリコーンTPR6712、触媒CM670 東芝シリコーン(株)製を用いて、離型処理(約1g/m2)を施して分離層を形成した。分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaは68であった。
【0060】
次に、この離型処理が施されて分離層が形成された面上に、下記の組成を有する色材保持層の形成用塗工液(塗工液2)をメイヤーバーによって塗工し、その後、80℃に設定したオーブンにて乾燥して、約60μm厚みの色材保持層を形成して、本実施例の転写媒体を得た。
【0061】
(塗工液2の組成)
・熱可塑性樹脂粒子:エチレン−酢酸ビニルエマルジョン(ケミパールV−300三井石油化学(株)製 平均粒径 6μm 固形分40%) 250重量部
・結着材:ウレタンエマルジョン(タケラックW−635C 武田薬品工業(株)製 固形分35%) 30重量部
・カチオン樹脂:アクリル系カチオン樹脂溶液(ELポリマーNWS−16 新中村化学工業(株)製 固形分35%) 30重量部
【0065】
実施例3
転写媒体の支持体として機能し、且つ液媒体吸収層としても機能する層として離型紙を使用した。その際の離型紙としては、ST60OKT−T リンテック(株)製を使用し、液媒体吸収層としての機能を有する側、即ち、目止め離型処理のされていない面に、下記のようにして離型処理を施して分離層を形成した。即ち、ポリエチレンエマルジョン(ケミパールW−400 三井石油化学(株)製 平均粒径6μm固形分40%)を塗工した後、70℃に設定したオーブンで乾燥して、約20g/m2の分離層を形成して離型処理を施した。分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaは1であった。
【0066】
次に、離型処理を施した面上に下記の組成の色材保持層用塗工液(塗工液3)をメイヤーバーにより塗工し、80℃に設定したオーブンにて乾燥し、約50μm厚みの色材保持層を形成して、本実施例の転写媒体を得た。
【0067】
(塗工液3の組成)
・熱可塑性樹脂粒子:ナイロン粒子(VESTAMELT 430 P1 ダイセル化学工業(株)製 平均粒径50μm) 100重量部
・結着材:ウレタンエマルジョン(タケラックW−635C 武田薬品工業(株)製 固形分35%) 60重量部
・無機粒子:アルミナ(AKP−15 住友化学工業(株)製) 3重量部
・水 30重量部
【0068】
実施例4
実施例3の場合と同様に、転写媒体の支持体として機能し、且つ液媒体吸収層としても機能する離型紙(ST60OKT−T リンテック(株)製)を使用し、液媒体吸収層としての機能を有する側に、下記のようにして離型処理を施して分離層を形成した。即ち、ポリエチレンエマルジョン(ケミパールW−400 三井石油化学(株)製 平均粒径6μm固形分40%)を塗工した後、70℃に設定したオーブンで乾燥して、約20g/m2の分離層を形成して離型処理を施した。分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaは1であった。
【0069】
次に、上記のようにして離型処理を施した面上に、下記の組成の色材保持層用塗工液(塗工液4)をメイヤーバーにより塗工し、80℃に設定したオーブンにて乾燥し、約40μm厚みの色材保持層を形成して、本実施例の転写媒体を得た。
【0070】
(塗工液4の組成)
・熱可塑性樹脂粒子:ナイロン粒子( VESTAMELT 430 P1 ダイセル化学工業(株)製 平均粒径50μm) 100重量部
・結着材:ウレタンエマルジョン(タケラックW−635C 武田薬品工業(株)製 固形分35%) 60重量部
・無機粒子:シリカ(ミズカシル P−78A 水澤化学工業(株)製 平均粒径 3μm) 3重量部
・カチオン樹脂:アクリル系カチオン樹脂溶液(ELポリマーNWS−16 新中村化学工業(株)製 固形分35%) 30重量部
・水 30重量部
【0071】
実施例5
実施例3の場合と同様に、転写媒体の支持体として機能し、且つ液媒体吸収層としても機能する離型紙(ST60OKT−T リンテック(株)製)を使用し、液媒体吸収層としての機能を有する側に離型処理を施した。即ち、ポリエチレンエマルジョン(ケミパールW−400 三井石油化学(株)製 平均粒径6μm 固形分40%)を塗工した後、70℃に設定したオーブンで乾燥して、約20g/m2の分離層を形成して離型処理を施した。分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaは1であった。
【0072】
次に、上記のようにして離型処理を施した面上に下記色材保持層用塗工液(塗工液5)をメイヤーバーにより塗工し、80℃に設定したオーブンにて乾燥し、約30μm厚みの色材保持層を形成し、本発明の転写媒体を得た。
【0073】
(塗工液5の組成)
・熱可塑性樹脂粒子:ナイロン樹脂多孔性粒子(オルガソール3501EXD NAT エルフ・アト・ケム(株)製 平均粒径12μm) 100重量部
・結着材:エチレン−アクリル酸エマルジョン(ハイテックE−8778 東 邦化学工業(株)製 固形分25%) 360重量部
・結着材:ウレタンエマルジョン(タケラックW−635C 武田薬品工業 (株)製 固形分35%) 30重量部
・無機粒子:シリカ(ミズカシル P−78A 水澤化学工業(株)製 平均粒径3μm) 4重量部
・カチオン樹脂:アクリル系カチオン樹脂溶液(ELポリマーNWS−16 新中村化学工業(株)製 固形分35%) 30重量部
・界面活性剤:フッ素系界面活性剤溶液(サーフロンS−131 セイミケミカル(株)製 固形分30%) 8重量部
・可塑剤:N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド(トップサイザー3号 富士アミドケミカル(株)製) 20重量部
・イソプロピルアルコール 300重量部
【0074】
比較例1
実施例1で液媒体吸収層(インク受容層)上に離型処理を施さなかったこと以外は同様にして、比較例の転写媒体を得た。
【0075】
比較例2
支持体としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(Q−80D 東レ(株)製 100μm)を使用し、該支持体上に離型処理(約1g/m2)を施した。この際、実施例1で分離層の形成に使用したと同様の、シリコーンTPR6712、触媒CM670 東芝シリコーン(株)製を離型剤として用いた。分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaは0.1であった。
【0076】
上記のようにして離型処理を施した支持体上に、下記の転写層用塗料(塗工液6)をメイヤーバーにより塗工し、80℃設定のオーブンにて乾燥し、約65g/m2(dry)転写層を形成し、本比較例の転写媒体を得た。
【0077】
(塗工液6の組成)
・熱可塑性樹脂粒子:ポリエステル系樹脂粒子(ニチゴーポリエスター MOP835F 日本合成化学(株)製) 100重量部
・結着材:水系エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(パインレックスOM− 4000(株)クラレ製) 25重量部
・無機粒子:シリカ(ニップシールHD 日本シリカ工業(株)製) 15重量部
・水: 100重量部
【0078】
<評価>
以上のように作成した実施例1〜5及び比較例1,2の転写媒体に、インクジェットカラープリンタを用いて、バックプリトフィルムモードで記録(鏡像印刷)を行った。この際に使用したインクジェットカラープリンタは、実施例1については、装置Bのヒューレットパッカード製 DJ−694cを用い、他の場合においては、いずれも装置Aのキヤノン(株)製BJC−600Jを用いて記録を行なった。
【0079】
次に、上記で得られた画像が記録された各転写媒体を用い、綿100%のTシャツ(BEEFY Hanes製)に、転写媒体の記録画像が形成されている色材保持層側をTシャツに重ね合わせ、転写媒体の色材保持層とは反対の液媒体吸収層を有する支持体側から熱転写機を用いて転写を行った。この際の熱転写条件は、熱板表面温度:180℃、転写圧力:80g/cm2、転写時間:15秒で転写を行なった。次に、転写媒体が充分に冷めてから、液媒体吸収層又は液媒体吸収層が設けられた基体からなる支持体を剥離し、分離して、被転写体であるTシャツ表面に転写画像が形成された水性インク記録物(被転写布帛)を得た。
【0080】
上記のような方法で作成した各被転写布帛について、下記の方法で下記の項目の評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0081】
(1)インクジェット適性
a)画像濃度
転写媒体の色材保持層への記録画像として、全画素に100%の記録密度のブラックインク記録のパッチ画像を転写媒体に形成し、その後、上記に従いTシャツに転写した。転写物の画像濃度を濃度計(マクべス濃度計RD−918)にてブラック濃度を測定した。
【0082】
b)画像品位
2色のパッチ画像を隣り合わせて転写媒体に形成し、その境界部の滲みの発生を目視で観察して評価した。その際、パッチ画像として、全画素に100%記録密度のイエローとシアン、ブルー及びレッドが隣接したものを形成し、夫々の色の境界部の滲みを目視で観察し、転写媒体に形成される画像の品位を評価した。評価基準は、下記の4段階で行った。
【0083】
A:すべての色同士の境界部で、滲みがなかったもの
B:2次色同士(ブルーとレッド間)の境界部のみに滲みがあったもの
C:2次色と1次色間(ブルーとシアン間)でも境界部滲みがあったもの
D:どのの境界部とも滲みがあった物
【0084】
(2)転写容易性
前記方法で作成した各Tシャツを、30℃のぬるま湯で2分間もみ洗いし、風乾した後、転写部がTシャツから脱落したり、浮きや剥がれがなくなるまでの転写時間(秒)を測定し、転写の容易さを評価した。
【0085】
(3)風合い維持性
上記のようにしてTシャツ上に画像が形成された各転写物の転写画像の部分について、JIS−L−1096 6.19.1 A法(45°カンチレバー法)による剛軟度(mm)に基づき測定した。そして、同様の方法で測定した転写媒体を転写する前の被転写体の剛軟度との差分を、本発明における風合い維持性とした。この場合には、数値が小さいほど、風合い維持性がよいといえる。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特に、優れたインクジェット記録適性が維持されて、高濃度の滲みのない高品位画像が形成され、同時に、被転写体への転写性に優れ、誰でもが容易に転写画像を形成することができ、更に、形成される転写画像は、布帛等の被転写体の風合いを損なうことがない転写媒体、及び該転写媒体を使用する画像形成方法及び被転写布帛が提供される。
Claims (11)
- 色材及び前記色材を溶解又は分散する液媒体を含むインクにより画像形成される色材保持層を分離可能に備えた転写媒体において、前記色材保持層を分離可能にすると共に前記液媒体を移行する分離層と、前記分離層を介して移行した前記液媒体を吸収する液媒体吸収層と、を有することを特徴とする転写媒体。
- 前記分離層は、離型剤を含むと共に多孔質構造をなしていることを特徴とする請求項1に記載の転写媒体。
- 前記分離層は、前記液媒体吸収層に離型剤が形状を保って分散されている分散液を塗工してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写媒体。
- 前記分離層の形成された液媒体吸収層の吸収係数Kaが、1以上である請求項3に記載の転写媒体。
- 前記色材保持層が、少なくとも熱可塑性樹脂粒子及び結着材が混合量比で1/2〜50/1の範囲内で有し、熱により被転写体に転写可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の転写媒体。
- 前記結着材が、熱可塑性樹脂及び/又はそのカチオン変性物である請求項5に記載の転写媒体。
- 前記色材保持層は、インクの色材を捕捉する樹脂又は細孔を有することを特徴とする請求項5に記載の転写媒体。
- 前記色材は、アニオン染料を含み、前記樹脂はカチオン樹脂である請求項7に記載の転写媒体。
- 前記転写媒体の色材保持層は、布帛への転写に用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の転写媒体。
- 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の転写媒体の色材保持層に前記インクによる画像をインクジェット記録方式により形成する画像形成工程と、前記画像が形成された前記転写媒体を被転写体に重ねて前記色材保持層を前記被転写体に転写後、前記液媒体吸収層を前記色材保持層から剥離、分離して転写画像を形成する転写工程とを有する転写画像の製造方法。
- 請求項10に記載の製造方法によって転写画像を形成したことを特徴とする布帛。
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