JP3674861B2 - 純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マグネシウム合金材の表面処理技術に係り、特に、耐食性がよくないマグネシウム合金の欠点を避けるために、板材の表面を母材よりも耐食性良好な純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金は、アルカリ水溶液に対しては比較的侵されないが、酸、塩類の水溶液に著しく侵される。防食のために表面処理が行われ、化成処理、陽極酸化処理等が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
マグネシウム合金の表面処理において、上記の化成処理における実用の浴組成はクロム酸(六価クロム)を含有した浴が多く、公害問題等において使用が厳しい。また、陽極酸化処理による陽極酸化被膜の厚さは薄い。さらに、マグネシム合金は大気中で燃焼しやすく、極めて危険である。また、マグネシウム合金において、溶融亜鉛めっきを行った場合、溶融亜鉛とマグネシウム合金との反応が激しく、マグネシウム合金が溶解し、マグネシウム合金の形状が変形するので、マグネシウム合金に溶融亜鉛めっきを行うことは、非常に困難である。
【0004】
亜鉛によるマグネシウム合金と純アルミニウムとの接合においては、以下の問題点が挙げられる。
(1)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面に亜鉛が現れた場合、耐食性が劣化する場合がある。
(2)亜鉛によるマグネシウム合金と純アルミニウムとの接合において、マグネシウム合金と純アルミニウムとの界面では、所々に隙間等が生じる場合がある。
(3)マグネシウム合金と溶融亜鉛との反応が激しく、溶融亜鉛によって、マグネシウム合金が溶解し、マグネシウム合金の形状が変形する場合がある。
【0005】
また、純アルミニウムと純アルミニウム同士との接合(溶接)あるいはマグネシウム合金とマグネシウム合金同士との接合(溶接)においては、以下の問題点が挙げられる。
(1)溶接部における割れ、気孔等の欠陥が生じる。
(2)アルミニウム、マグネシウムは酸化されやすいので、溶接時は、シールドガス等が必要である。特にマグネシウムは、高温で酸化しやすく、燃焼するので、極めて危険である。
(3)溶接後の歪みがある。
【0006】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、マグネシウム合金の耐食性を向上させるために、マグネシウム合金が燃焼または溶解せずに、安全にマグネシウム合金と純アルミニウムとの接合ができ、さらに、被覆層(純アルミニウム)の厚さが十分あり、隙間、剥離、歪み、割れ等がなく、マグネシウム合金及び純アルミニウムの融点(約600〜660℃)以下で接合できる純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、電気炉で純アルミニウム上に亜鉛粒、ビスマス粒(添加量0.1%〜1%)、アンチモン粒(添加量0.1%〜1%)を入れて、純アルミニウム上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合する手段よりなるものである。
【0008】
また、請求項2の発明は、電気炉で純アルミニウム上に亜鉛粒、ビスマス粒(添加量0.1%〜1%)、アンチモン粒(添加量0.1%〜1%)を入れて、純アルミニウム上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合し、その後、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行う手段よりなるものである。
【0009】
ここで、請求項2の好ましい態様として、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いて、純アルミニウムのコーティング処理を行ってもよい。また、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工によって、純アルミニウムのコーティング処理を行ってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をより具体的に説明する。純アルミニウムとマグネシウム合金との接合は、以下のとおりである。
(イ)電気炉で加工した純アルミニウム板上に亜鉛粒、ビスマス粒、アンチモン粒を入れて、純アルミニウム板上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合する。
(ロ)純アルミニウムの端をフライス加工を行い、マグネシウム合金と純アルミニウムを同じ大きさに加工する。
(ハ)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面を純アルミニウムでコーティングを行う。純アルミニウムのコーティング法は、次の(1)、(2)の二通りである。
(1)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いて、純アルミニウムのコーティング処理を行う。
(2)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工によって、純アルミニウムのコーティング処理を行う。
【0011】
図1(A)〜(D)は、純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法の模式図を示す。
(イ)電気炉内で加工した純アルミニウム板上において、亜鉛粒、ビスマス粒、アンチモン粒を入れる。(図1(A)参照)
(ロ)純アルミニウム表面上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金が溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態の亜鉛合金の上にマグネシウム合金を乗せ、圧力を加え、純アルミニウムとマグネシウム合金を接合する。(図1(B)参照)
(ハ)純アルミニウムの端をフライス加工を行い、マグネシウム合金と同じ大きさにする。(図1(C)参照)
(ニ)純アルミニウムとマグネシウム合金との接合側周面は、亜鉛層あるいは隙間があるので、その接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行う。(図1(D)参照)
【0012】
純アルミニウムとマグネシウム合金との接合実験後、試料を切断し、断面の組織観察等を行い、界面における隙間、剥離等を調べた。さらに、ディスクグラインダまたはフライス加工によるコーティングにおける接合側周面の観察を行った。
【0013】
純アルミニウムとマグネシウム合金(AZ91)との界面または接合側周面において、剥離、隙間等がない場合を「○」、界面または接合側周面において、剥離、隙間等がある場合を「×」して評価を行った。
【0014】
【純アルミニウムとマグネシウム合金との接合の実施例】
純アルミニウム板(長さ30mm×幅25mm×厚さ10mm)にエンドミルによる平面削り加工(長さ25mm×幅20mm×深さ5mm)を行った。図2は、加工した純アルミニウム板の断面の概略図を示す。加工した純アルミニウム板に亜鉛粒(純度99.9%)、アンチモン粒(純度99%、粒径2〜5mm)、ビスマス粒(純度99.9%、粒径2〜5mm)を添加し、炉内温度440℃〜450℃で溶融状態にした。なお、炉内温度が亜鉛合金の溶融温度より約20℃程高いのは、炉外にて圧力を加える場合、温度が約20℃程下がるのを考慮したためである。圧力を加えるときに温度の低下がない場合には、炉内温度420℃〜430℃になる。
【0015】
溶融温度420℃より低い温度の場合、亜鉛合金が溶解せず、接合ができなかった。
溶融温度が430℃以上を越えた場合、接合の際にマグネシウム合金が溶解して、接合が困難になった。
【0016】
アンチモン、ビスマスを添加した理由として、溶融亜鉛の流動性の向上を目的とした。ただし、ビスマス、アンチモンの添加量が0.1%より少ない場合、マグネシウム合金と亜鉛との界面において、隙間等が生じた。ビスマスの添加量が1%より越えた場合、マグネシウム合金が溶解して、接合が困難となった。アンチモンの添加量が1%より越えた場合、溶解が困難であった。
【0017】
マグネシウム合金板は、AZ91(合金番号JIS)(長さ20mm×幅15mm×厚さ10mm)で、ブリネル硬さ50のものを使用した。純アルミニウム板は純度99%以上、ブリネル硬さ20以上のものを使用した。また、純アルミニウムのディスク(純度99.5%以上、形状(直径80mm、厚さ2mm))または(2)フライス加工による棒(純度99.5%以上、形状(直径10mm、長さ200mm))のブリネル硬さは、例えば、19以下を使用した。
【0018】
圧力は、2×104N/mm2〜2×105N/mm2で行った。なお、マグネシウム合金は溶融亜鉛中にすぐに溶解するので、亜鉛が420℃〜430℃の溶融状態で接合を行った。接合実験の結果は、表1に示す。また、表1は、(1)ディスクグラインダまたは(2)フライス加工による純アルミニウムのコーティング実験の結果も併せて示す。表より、亜鉛のみの場合を除いて、純アルミニウムとマグネシウム合金との界面における隙間、剥離等は生じなかった。亜鉛のみの場合、マグネシウム合金と亜鉛層との界面には、隙間等があった。純アルミニウムとマグネシウム合金との接合側周面における純アルミニウムのコーティングは、(1)、(2)の方法において、隙間等の問題は生じなかった。
【0019】
【表1】
【0020】
溶融温度が420℃〜430℃(炉内温度440℃〜450℃)でいずれも純アルミニウムとマグネシウム合金の融点(約600〜660℃)以下であるため、純アルミニウムとマグネシウム合金が融点以下で有する以下の利点を損なうことがない。
・変形が少ない。(低温で接合するので、変形が少ない)
・マグネシウム合金板、純アルミニウム板との酸化を防ぐ。(固相で接合するので、低温で行うため、アルミニウム及びマグネシウム表面の著しい酸化を防ぐことができる。表面が酸化されると、濡れ性が悪くなり、接合できなくなる。)
・低温で接合するので、アルミニウム及びマグネシウム表面の酸化を防ぐためのシールドガス等が不要である。
【0021】
【発明の効果】
以上の記載より明らかなように、請求項1〜請求項2の発明に係る純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法によれば、純アルミニウム及びマグネシウム合金の融点約600〜660℃の以下の温度である溶融温度420〜430℃の範囲内で純アルミニウムとマグネシウム合金とを接合させることができ、マグネシウム合金が燃焼することなく、安全かつ容易にマグネシウム合金と純アルミニウムを接合することが可能となり、従って、純アルミニウムとマグネシウム合金の融点以下(約600〜660℃)(固相接合)で有する前記した利点、つまり、
・変形が少ない。(低温で接合するので、変形が少ない)
・マグネシウム合金板、純アルミニウム板との酸化を防ぐ。(固相で接合するので、低温で行うため、アルミニウム及びマグネシウム表面の著しい酸化を防ぐことができる。表面が酸化されると、濡れ性が悪くなり、接合できなくなる。)
・低温で接合するので、アルミニウム及びマグネシウム表面の酸化を防ぐためのシールドガス等が不要である。
等の利点をそのまま享受することができ、これにより、マグネシウム合金の耐食性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2の発明に係る純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法によれば、前記の効果に加えて更に、純アルミニウムとマグネシウム合金との接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行うことによって、接合側周面の耐食性を向上させることが可能となる。
【0023】
また、請求項3によれば、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いることによって、純アルミニウムによる接合側周面のコーティング処理を容易に行うことが可能である。
【0024】
また、請求項4によれば、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工を行うことによって、純アルミニウムによる接合側周面のコーティング処理を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法の模式図である。
【図2】この発明の実施例で使用した加工した純アルミニウム板の断面の概略図である。
【発明の属する技術分野】
この発明は、マグネシウム合金材の表面処理技術に係り、特に、耐食性がよくないマグネシウム合金の欠点を避けるために、板材の表面を母材よりも耐食性良好な純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネシウム合金は、アルカリ水溶液に対しては比較的侵されないが、酸、塩類の水溶液に著しく侵される。防食のために表面処理が行われ、化成処理、陽極酸化処理等が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
マグネシウム合金の表面処理において、上記の化成処理における実用の浴組成はクロム酸(六価クロム)を含有した浴が多く、公害問題等において使用が厳しい。また、陽極酸化処理による陽極酸化被膜の厚さは薄い。さらに、マグネシム合金は大気中で燃焼しやすく、極めて危険である。また、マグネシウム合金において、溶融亜鉛めっきを行った場合、溶融亜鉛とマグネシウム合金との反応が激しく、マグネシウム合金が溶解し、マグネシウム合金の形状が変形するので、マグネシウム合金に溶融亜鉛めっきを行うことは、非常に困難である。
【0004】
亜鉛によるマグネシウム合金と純アルミニウムとの接合においては、以下の問題点が挙げられる。
(1)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面に亜鉛が現れた場合、耐食性が劣化する場合がある。
(2)亜鉛によるマグネシウム合金と純アルミニウムとの接合において、マグネシウム合金と純アルミニウムとの界面では、所々に隙間等が生じる場合がある。
(3)マグネシウム合金と溶融亜鉛との反応が激しく、溶融亜鉛によって、マグネシウム合金が溶解し、マグネシウム合金の形状が変形する場合がある。
【0005】
また、純アルミニウムと純アルミニウム同士との接合(溶接)あるいはマグネシウム合金とマグネシウム合金同士との接合(溶接)においては、以下の問題点が挙げられる。
(1)溶接部における割れ、気孔等の欠陥が生じる。
(2)アルミニウム、マグネシウムは酸化されやすいので、溶接時は、シールドガス等が必要である。特にマグネシウムは、高温で酸化しやすく、燃焼するので、極めて危険である。
(3)溶接後の歪みがある。
【0006】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、マグネシウム合金の耐食性を向上させるために、マグネシウム合金が燃焼または溶解せずに、安全にマグネシウム合金と純アルミニウムとの接合ができ、さらに、被覆層(純アルミニウム)の厚さが十分あり、隙間、剥離、歪み、割れ等がなく、マグネシウム合金及び純アルミニウムの融点(約600〜660℃)以下で接合できる純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、電気炉で純アルミニウム上に亜鉛粒、ビスマス粒(添加量0.1%〜1%)、アンチモン粒(添加量0.1%〜1%)を入れて、純アルミニウム上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合する手段よりなるものである。
【0008】
また、請求項2の発明は、電気炉で純アルミニウム上に亜鉛粒、ビスマス粒(添加量0.1%〜1%)、アンチモン粒(添加量0.1%〜1%)を入れて、純アルミニウム上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合し、その後、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行う手段よりなるものである。
【0009】
ここで、請求項2の好ましい態様として、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いて、純アルミニウムのコーティング処理を行ってもよい。また、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工によって、純アルミニウムのコーティング処理を行ってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明をより具体的に説明する。純アルミニウムとマグネシウム合金との接合は、以下のとおりである。
(イ)電気炉で加工した純アルミニウム板上に亜鉛粒、ビスマス粒、アンチモン粒を入れて、純アルミニウム板上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合する。
(ロ)純アルミニウムの端をフライス加工を行い、マグネシウム合金と純アルミニウムを同じ大きさに加工する。
(ハ)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面を純アルミニウムでコーティングを行う。純アルミニウムのコーティング法は、次の(1)、(2)の二通りである。
(1)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いて、純アルミニウムのコーティング処理を行う。
(2)マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工によって、純アルミニウムのコーティング処理を行う。
【0011】
図1(A)〜(D)は、純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法の模式図を示す。
(イ)電気炉内で加工した純アルミニウム板上において、亜鉛粒、ビスマス粒、アンチモン粒を入れる。(図1(A)参照)
(ロ)純アルミニウム表面上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金が溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態の亜鉛合金の上にマグネシウム合金を乗せ、圧力を加え、純アルミニウムとマグネシウム合金を接合する。(図1(B)参照)
(ハ)純アルミニウムの端をフライス加工を行い、マグネシウム合金と同じ大きさにする。(図1(C)参照)
(ニ)純アルミニウムとマグネシウム合金との接合側周面は、亜鉛層あるいは隙間があるので、その接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行う。(図1(D)参照)
【0012】
純アルミニウムとマグネシウム合金との接合実験後、試料を切断し、断面の組織観察等を行い、界面における隙間、剥離等を調べた。さらに、ディスクグラインダまたはフライス加工によるコーティングにおける接合側周面の観察を行った。
【0013】
純アルミニウムとマグネシウム合金(AZ91)との界面または接合側周面において、剥離、隙間等がない場合を「○」、界面または接合側周面において、剥離、隙間等がある場合を「×」して評価を行った。
【0014】
【純アルミニウムとマグネシウム合金との接合の実施例】
純アルミニウム板(長さ30mm×幅25mm×厚さ10mm)にエンドミルによる平面削り加工(長さ25mm×幅20mm×深さ5mm)を行った。図2は、加工した純アルミニウム板の断面の概略図を示す。加工した純アルミニウム板に亜鉛粒(純度99.9%)、アンチモン粒(純度99%、粒径2〜5mm)、ビスマス粒(純度99.9%、粒径2〜5mm)を添加し、炉内温度440℃〜450℃で溶融状態にした。なお、炉内温度が亜鉛合金の溶融温度より約20℃程高いのは、炉外にて圧力を加える場合、温度が約20℃程下がるのを考慮したためである。圧力を加えるときに温度の低下がない場合には、炉内温度420℃〜430℃になる。
【0015】
溶融温度420℃より低い温度の場合、亜鉛合金が溶解せず、接合ができなかった。
溶融温度が430℃以上を越えた場合、接合の際にマグネシウム合金が溶解して、接合が困難になった。
【0016】
アンチモン、ビスマスを添加した理由として、溶融亜鉛の流動性の向上を目的とした。ただし、ビスマス、アンチモンの添加量が0.1%より少ない場合、マグネシウム合金と亜鉛との界面において、隙間等が生じた。ビスマスの添加量が1%より越えた場合、マグネシウム合金が溶解して、接合が困難となった。アンチモンの添加量が1%より越えた場合、溶解が困難であった。
【0017】
マグネシウム合金板は、AZ91(合金番号JIS)(長さ20mm×幅15mm×厚さ10mm)で、ブリネル硬さ50のものを使用した。純アルミニウム板は純度99%以上、ブリネル硬さ20以上のものを使用した。また、純アルミニウムのディスク(純度99.5%以上、形状(直径80mm、厚さ2mm))または(2)フライス加工による棒(純度99.5%以上、形状(直径10mm、長さ200mm))のブリネル硬さは、例えば、19以下を使用した。
【0018】
圧力は、2×104N/mm2〜2×105N/mm2で行った。なお、マグネシウム合金は溶融亜鉛中にすぐに溶解するので、亜鉛が420℃〜430℃の溶融状態で接合を行った。接合実験の結果は、表1に示す。また、表1は、(1)ディスクグラインダまたは(2)フライス加工による純アルミニウムのコーティング実験の結果も併せて示す。表より、亜鉛のみの場合を除いて、純アルミニウムとマグネシウム合金との界面における隙間、剥離等は生じなかった。亜鉛のみの場合、マグネシウム合金と亜鉛層との界面には、隙間等があった。純アルミニウムとマグネシウム合金との接合側周面における純アルミニウムのコーティングは、(1)、(2)の方法において、隙間等の問題は生じなかった。
【0019】
【表1】
【0020】
溶融温度が420℃〜430℃(炉内温度440℃〜450℃)でいずれも純アルミニウムとマグネシウム合金の融点(約600〜660℃)以下であるため、純アルミニウムとマグネシウム合金が融点以下で有する以下の利点を損なうことがない。
・変形が少ない。(低温で接合するので、変形が少ない)
・マグネシウム合金板、純アルミニウム板との酸化を防ぐ。(固相で接合するので、低温で行うため、アルミニウム及びマグネシウム表面の著しい酸化を防ぐことができる。表面が酸化されると、濡れ性が悪くなり、接合できなくなる。)
・低温で接合するので、アルミニウム及びマグネシウム表面の酸化を防ぐためのシールドガス等が不要である。
【0021】
【発明の効果】
以上の記載より明らかなように、請求項1〜請求項2の発明に係る純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法によれば、純アルミニウム及びマグネシウム合金の融点約600〜660℃の以下の温度である溶融温度420〜430℃の範囲内で純アルミニウムとマグネシウム合金とを接合させることができ、マグネシウム合金が燃焼することなく、安全かつ容易にマグネシウム合金と純アルミニウムを接合することが可能となり、従って、純アルミニウムとマグネシウム合金の融点以下(約600〜660℃)(固相接合)で有する前記した利点、つまり、
・変形が少ない。(低温で接合するので、変形が少ない)
・マグネシウム合金板、純アルミニウム板との酸化を防ぐ。(固相で接合するので、低温で行うため、アルミニウム及びマグネシウム表面の著しい酸化を防ぐことができる。表面が酸化されると、濡れ性が悪くなり、接合できなくなる。)
・低温で接合するので、アルミニウム及びマグネシウム表面の酸化を防ぐためのシールドガス等が不要である。
等の利点をそのまま享受することができ、これにより、マグネシウム合金の耐食性を向上させることができる。
【0022】
また、請求項2の発明に係る純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法によれば、前記の効果に加えて更に、純アルミニウムとマグネシウム合金との接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行うことによって、接合側周面の耐食性を向上させることが可能となる。
【0023】
また、請求項3によれば、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いることによって、純アルミニウムによる接合側周面のコーティング処理を容易に行うことが可能である。
【0024】
また、請求項4によれば、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工を行うことによって、純アルミニウムによる接合側周面のコーティング処理を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法の模式図である。
【図2】この発明の実施例で使用した加工した純アルミニウム板の断面の概略図である。
Claims (4)
- 電気炉で純アルミニウム上に亜鉛粒、ビスマス粒(添加量0.1%〜1%)、アンチモン粒(添加量0.1%〜1%)を入れて、純アルミニウム上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合することを特徴とする純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法。
- 電気炉で純アルミニウム上に亜鉛粒、ビスマス粒(添加量0.1%〜1%)、アンチモン粒(添加量0.1%〜1%)を入れて、純アルミニウム上のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金を溶融状態にし、420℃〜430℃の溶融状態のビスマス、アンチモンを含む亜鉛合金上にマグネシウム合金を乗せた後、圧力を加えて、マグネシウム合金と純アルミニウムを接合し、その後、マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面に純アルミニウムのコーティングを行うことを特徴とする純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法。
- マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム製ディスクを装着したディスクグラインダを用いて、純アルミニウムのコーティング処理を行う請求項2記載の純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法。
- マグネシウム合金と純アルミニウムとの接合側周面にこれらよりも硬度の小さい純アルミニウム棒状の工具を用いて、フライス加工によって、純アルミニウムのコーティング処理を行う請求項2記載の純アルミニウムとマグネシウム合金との接合法。
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