JP3676539B2 - 親水化被覆フィルム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム表面に親水性塗膜を形成してなる被覆フィルムに関し、特に耐屋外暴露汚染性の要求される用途に有用な親水化被覆フィルムに関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
プラスチックフィルムは、各種用途に応じて多様な材質のものが製造されており、例えば表面被覆に利用されるものとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン・パ−フルオロプロポキシビニルエ−テル共重合体(PFA)等が挙げられ、一般包装材料まで用途を拡げると、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリビニルアルコ−ル(PVA)、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体(EVOH)等が挙げられる。
【0003】
近年、ラミネ−ト鋼板や化粧板等の外装建材用途や、窓ガラス等への貼着シ−ト、農業用ビニルハウス等の用途などでは、プラスチックフィルムの機能として耐汚染性、防曇性等が要求され、それに伴ってフィルム表面に親水性を付与する処理が行われている。
【0004】
プラスチックフィルム自体ではPVAフィルムが最も親水性であるが、これをそのまま用いるとフィルム全体が吸水し屋外用途では乾湿の影響で急速に劣化してしまう。またEVOHフィルムでも親水性は不十分である。そこでプラスチックフィルム表面を親水化する手段としては、従来、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理や、フィルム上に更に親水性を有する被膜を形成する方法などが知られている。
【0005】
表面処理を施す方法では親水性が長く持続できないという問題があり、またフィルム上に更に親水性を有する被膜を形成する方法、例えば被膜中にエチルシリケートオリゴマーを混入させておき、表面に滲出したエチルシリケートオリゴマーを雨、空気中の水分などによって加水分解しシラノール基を生成させて被膜表面を親水化する方法では、被膜表面が親水化するまでに屋外放置で3〜6ヶ月間を必要とし、それまでは表面が疎水性で表面の耐暴露汚染性が悪く、表面に顕著な汚れを生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、余分な工程を必要とすることなく、屋外での使用において初期から被膜表面を親水化できて耐暴露汚染性に優れ、かつ耐久性等の膜性能も良好な被膜をプラスチックフィルム表面に形成してなる親水化被覆フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、オルガノシリケ−ト及び/又はその低縮合物を配合してなる被覆用組成物を塗布後その被膜表面を酸処理することによって、膜表面が初期から親水化された被覆フィルムが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、プラスチックフィルム上に、反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、下記一般式
Si(OR)4
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるアルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物を0.5〜50重量部を配合してなる被覆用組成物を塗布した後、その被膜表面を酸で処理し、水洗してなる親水化被覆フィルムを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記被覆用組成物に使用される反応硬化型樹脂組成物としては、従来公知の樹脂組成から適宜選択して使用できるが、耐汚染性の面からは、水酸基含有樹脂を基体樹脂とする樹脂組成物が好適である。
【0010】
水酸基含有樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコ−ン樹脂などを挙げることができる。アクリル樹脂はウレタン変性などの変性をされたものであってもよく、ポリエステル樹脂は、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂などのいずれであってもよい。該水酸基含有樹脂は、数平均分子量が1,000〜100,000、水酸基価が2〜200mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0011】
これらのうちアクリル樹脂としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有モノマ−と、スチレンや(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の他のモノマ−との共重合体などが例示できる。
【0012】
上記水酸基含有樹脂は架橋剤と組合せて使用することができ、該架橋剤としては、例えばアミノ樹脂及びポリイソシアネート化合物などが挙げられ、特にポリイソシアネ−ト化合物が好適である。該ポリイソシアネート化合物は、フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物であってもイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化したものであってもよい。
【0013】
上記ブロック化する前のポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
【0014】
イソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、例えばフェノール系、ラクタム系、アルコール系、オキシム系、活性メチレン系などのブロック化剤を使用することができる。
【0015】
また上記被覆用組成物に用いられる反応硬化型樹脂組成物として、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基、水酸基及びエポキシ基を必須官能基成分として、同一樹脂内又は混合樹脂内に含有し、さらに硬化触媒を含有する樹脂組成物が使用できる。かかる基体樹脂としては、例えば▲1▼水酸基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基含有樹脂の3成分を含有する樹脂混合物、▲2▼エポキシ基含有樹脂、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基含有樹脂の2成分の樹脂混合物であって、両者のいずれか一方又は両方に水酸基を含有する樹脂混合物、▲3▼水酸基、エポキシ基、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基を含有する樹脂が挙げられる。
【0016】
上記▲1▼〜▲3▼の樹脂としては、例えば特開平2−160879号公報に示されているように、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有モノマ−;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマ−;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、p−(トリメトキシシリルプロピル)−α−メチルスチレン、これらに基づくポリシロキサン系マクロモノマー等のシラン化合物;スチレンや(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の他のモノマ−から適宜選択し共重合させて得られるものが例示できる。
【0017】
硬化触媒として、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物及び錫キレート化合物から選ばれる少なくとも1種のキレート化合物を含有することが好ましい。上記キレート化合物の配合量は、樹脂固形分100重量部に対して0.2〜5重量%の範囲とすることが好適である。
【0018】
上記被覆用組成物に使用されるアルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物は、下記一般式
Si(OR)4
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるアルキルシリケ−ト及び/又はこれを縮合反応させて得られる約2〜10量体なる低縮合物である。該アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル基が挙げられる。該アルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物中の(OR)基は加水分解によって一部シラノ−ル基を生成していてもよい。
【0019】
上記アルキルシリケ−トの好ましい具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン及びこれらの縮合物が挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組み合わせたものも使用できる。
【0020】
上記アルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物は、前記反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは3〜40重量部配合される。該配合量が0.5未満では、被膜層の耐汚染性に劣り、一方50重量部を越えると被膜物性が低下するの好ましくない。
【0021】
上記被覆用組成物には、さらに必要に応じて、有機溶剤、着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0022】
本発明では、プラスチックフィルム表面に、上記被覆用組成物をスプレー、刷毛、ローラー、ナイフコ−タ−、リップコ−タ−、グラビアコ−タ−など従来公知の手段によって塗布して被膜層を設けるものである。被膜層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常、乾燥膜厚で0.5〜200ミクロン、好ましくは3〜100ミクロンの範囲であることが好適である。また被膜層は、常温〜200℃で約10秒〜10時間程度乾燥させる(熱風又は赤外線加熱)ことにより硬化させることができる。
【0023】
次いで本発明では、得られた被膜表面を酸で処理した後、該被膜表面に付着した酸を水洗して除去する。酸処理の方法としては、0.0001〜5N、好ましくは0.001〜1Nの硫酸や塩酸水溶液などを必要に応じて常温〜80℃に加温して用いて、約10秒〜10時間浸漬或いは噴霧などを行なうことが挙げられる。生産ラインの適性からは浸漬或いは噴霧を約5分以内、好ましくは約2分以内に行うことが望ましい。水洗後の乾燥は常温〜80℃で約1分〜1時間程度(熱風又は赤外線加熱)行なうことができる。
【0024】
上記プラスチックフィルムとしては、従来公知のものが使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン・パ−フルオロプロポキシビニルエ−テル共重合体(PFA)、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリビニルアルコ−ル(PVA)、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体(EVOH)、ポリカ−ボネ−ト、ポリアセタ−ル、AS樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑型プラスチックもしくは架橋型プラスチックフィルムなどを挙げることができる。またこれらプラスチックフィルムは紫外線吸収剤、充填剤、熱安定剤などを含むものであってもよい。これらのうち酸に弱いPETやEVALなどを用いる場合には酸処理時の液濃度や処理時間に留意する必要がある。
【0025】
また塗布に先立って、該プラスチックフィルム表面をコロナ放電などによる表面処理を施しておいてもよい。さらに必要に応じてプライマ−塗装、着色塗装などの下地塗装を施しておいてもよい。
【0026】
本発明のフィルムは、また必要に応じて、プラスチックフィルム層の片面(上記組成物による被膜と反対の面)に、接着剤層を介して、天然紙、合成紙などの紙類、及びこれらを組み合わせてなるフィルム類などを積層してもよく、また接着剤層を介してラミネ−ト金属板を形成してもよい。
【0027】
本発明の親水化被覆フィルムを適当な基材にラミネ−トするなどの方法を用いて外装建材用途などの屋外用途に供すると、親水性被膜層によって汚れが雨水などによって洗い流されやすくなり、良好な耐暴露汚染性を示すものである。
【0028】
本発明のフィルムは、外装建材用途だけでなく、防曇性が要求される農業用フィルムや結露防止が要求される浴室回りや窓ガラス、熱交換器などにも用いることができる。
【0029】
屋外暴露による被膜層の汚れの評価方法は、例えば、鋼橋塗装 Vol.21 No.4に建設省土木研究所、片脇氏らによって記載されており、目視官能評価と最も高い相関性を示したのは、明度差の測定結果であり、汚れを定量的に評価する方法として明度差(ΔL* )が最もよいことが記載されている。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。「部」及び「%」は、それぞれ重量基準によるものとする。
【0031】
被覆用組成物の作成
作成例1
加熱、保持したエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート100部中で、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート20部、スチレン15部、メチルメタクリレート10部及びエチルアクリレート30部のモノマー混合物を重合開始剤の存在下にて重合して固形分50%のアクリル樹脂溶液(1)を得た。得られた樹脂溶液(1)の樹脂固形分は、数平均分子量約6,000であり、エポキシ基量1.1当量/kg、珪素原子に直接結合するメトキシ基量2.9当量/kgを有していた。
【0032】
上記で得た固形分50%のアクリル樹脂溶液(1)200部に、硬化触媒であるトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム2部、及び「エチルシリケ−ト48」(コルコ−ト社製、テトラエチルシリケ−トの縮合物)10部を混合、撹拌して被覆用組成物▲1▼を得た。
【0033】
作成例2
加熱、保持したエチレングリコールモノエチルエーテル100部中で、スチレン30部、メチルメタクリレート30部、エチルアクリレート30部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部のモノマー混合物を重合開始剤の存在下にて重合して固形分50%のアクリル樹脂溶液(2)を得た。得られた樹脂溶液(2)の樹脂固形分は、数平均分子量約2,000、水酸基価43mgKOH/gを有していた。
【0034】
上記で得た固形分50%のアクリル樹脂溶液(2)を200部、「TPA−90E」(旭化成工業社製、N,N´,N''−トリス(6−イソシアネ−トヘキシル)イソシアネ−ト、固形分90%)30部、ジブチル錫ジラウレート0.065部、及び「エチルシリケ−ト48」(コルコ−ト社製、テトラエチルシリケ−トの縮合物)10部を混合、撹拌して被覆用組成物▲2▼を得た。
【0035】
作成例3
作成例1において、「エチルシリケ−ト48」10部のかわりに、テトラエチルシリケートを加水分解触媒である塩酸、少量の水及びエタノールの存在下に加水分解縮合して得られる固形分50%のエチルシリケート縮合体溶液20部を用いる以外は作成例1と同様にして被覆用組成物▲3▼を得た。
【0036】
該エチルシリケート縮合体は平均約4量体であり、示性式 Si(OC2 H5 )1.5 (OH)0.5 で表されるものであり、珪素原子に直接結合するエトキシ基の量は12.5当量/kgであった。
【0037】
作成例4
作成例2において、「エチルシリケ−ト48」10部のかわりに、作成例3で得た固形分50%のエチルシリケート縮合体溶液20部を用いる以外は作成例2と同様にして被覆用組成物▲4▼を得た。
【0038】
作成例5、6
作成例1及び作成例2において、夫々「エチルシリケ−ト48」10部を除く以外は作成例1及び作成例2と同様にして被覆用組成物▲5▼、▲6▼を得た。
【0039】
被覆フィルムの製造
実施例1〜8及び比較例1〜11
上記作成例で得た被覆用組成物▲1▼〜▲6▼を、透明で紫外線吸収剤を配合した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)(コロナ放電処理済)又は透明な厚さ50μmの塩化ビニルフィルム(PVC)に対して、乾燥膜厚で5μmとなるようバ−コ−タ−にて塗布し、同表に示す乾燥条件で焼き付けた後、必要に応じて該被覆フィルムを60℃に加温した0.1N硫酸水溶液に2分間浸漬し水洗・乾燥して各親水化被覆フィルムを製造した。
【0040】
次いで「レタンPG−80ホワイト」(アクリルウレタン塗料、関西ペイント社製)が塗装された錫メッキ鋼板(厚さ0.8mm)上にアクリル系接着剤を乾燥膜厚で約10μmになるように塗布し、この上から上記で得た各親水化被覆フィルムの被膜層を有さない面を重ね合わせて圧力をかけラミネ−トした後、約100℃で1分間乾燥して各試験板を作成し、これを下記試験に供した。尚、比較例11ではETFEフィルムをラミネ−トして試験に供した。結果を表1に示す。
【0041】
試験方法
初期被膜の外観:各試験板の被膜表面のチヂミ、ツヤボケを目視で観察し下記基準で評価した。
【0042】
○:全く異常が認められない
△:チヂミ、ツヤボケが認められる
×:チヂミ、ツヤボケが著しく認められる
初期フィルムの透明性:各試験板フィルムの透明性を目視で観察し下記基準で評価した。
【0043】
○:透明、異常なし ×:透明性が若干劣る
初期フィルムの光沢:JIS K−5400に従って60度グロスを測定した。
【0044】
初期被膜の付着性:JIS K−5400 8.5.3のクロスカットテ−プ法に従って行った。評価は10点満点で行った。
【0045】
初期の水接触角:塗装直後の試験板を温度20℃、湿度60%RHの室内に約1時間放置した後、試験板の被膜面に、0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクトアングルメータCA−X150型にて測定した。接触角が小さくなると親水性が強くなる。
【0046】
屋外暴露性:関西ペイント(株)東京工場、南面30度の角度に試験板を設置し、屋外暴露試験を行った。屋外暴露2週間後及び2年後の試験板の被膜表面について、(1)水接触角及び(2)暴露汚染性について評価を行った。
【0047】
(1)水接触角:上記初期板の水接触角の試験方法と同様に水滴の接触角を測定した。
【0048】
(2)暴露汚染性:暴露した試験板の暴露汚染性を目視で、及び暴露していない初期塗板との明度差(CIE表色系における明度差ΔL* 値)で評価した。ΔL* 値が大きいほど汚れが目立つ。目視による評価は下記基準にて行った。
【0049】
○:被膜面がほとんど汚れていない(ΔL* 値が3未満程度)
△:被膜面が少し汚れている(ΔL* 値が3以上、10未満程度)
×:被膜面が著しく汚れている(ΔL* 値が10以上程度)
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、オルガノシリケ−ト及び/又はその低縮合物を配合してなる被覆用組成物をプラスチックフィルムに塗布後その被膜表面を酸処理することによって、膜表面が初期から親水化された被覆フィルムが得られる。該フィルムは屋外においても親水性が持続して、表面の汚れが雨水などによって洗い流されやすくなり、良好な耐暴露汚染性を長期にわたって示すものである。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフィルム表面に親水性塗膜を形成してなる被覆フィルムに関し、特に耐屋外暴露汚染性の要求される用途に有用な親水化被覆フィルムに関する。
【0002】
【従来技術及びその課題】
プラスチックフィルムは、各種用途に応じて多様な材質のものが製造されており、例えば表面被覆に利用されるものとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン・パ−フルオロプロポキシビニルエ−テル共重合体(PFA)等が挙げられ、一般包装材料まで用途を拡げると、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリビニルアルコ−ル(PVA)、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体(EVOH)等が挙げられる。
【0003】
近年、ラミネ−ト鋼板や化粧板等の外装建材用途や、窓ガラス等への貼着シ−ト、農業用ビニルハウス等の用途などでは、プラスチックフィルムの機能として耐汚染性、防曇性等が要求され、それに伴ってフィルム表面に親水性を付与する処理が行われている。
【0004】
プラスチックフィルム自体ではPVAフィルムが最も親水性であるが、これをそのまま用いるとフィルム全体が吸水し屋外用途では乾湿の影響で急速に劣化してしまう。またEVOHフィルムでも親水性は不十分である。そこでプラスチックフィルム表面を親水化する手段としては、従来、プラズマ処理、コロナ処理等の表面処理や、フィルム上に更に親水性を有する被膜を形成する方法などが知られている。
【0005】
表面処理を施す方法では親水性が長く持続できないという問題があり、またフィルム上に更に親水性を有する被膜を形成する方法、例えば被膜中にエチルシリケートオリゴマーを混入させておき、表面に滲出したエチルシリケートオリゴマーを雨、空気中の水分などによって加水分解しシラノール基を生成させて被膜表面を親水化する方法では、被膜表面が親水化するまでに屋外放置で3〜6ヶ月間を必要とし、それまでは表面が疎水性で表面の耐暴露汚染性が悪く、表面に顕著な汚れを生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、余分な工程を必要とすることなく、屋外での使用において初期から被膜表面を親水化できて耐暴露汚染性に優れ、かつ耐久性等の膜性能も良好な被膜をプラスチックフィルム表面に形成してなる親水化被覆フィルムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、オルガノシリケ−ト及び/又はその低縮合物を配合してなる被覆用組成物を塗布後その被膜表面を酸処理することによって、膜表面が初期から親水化された被覆フィルムが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、プラスチックフィルム上に、反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、下記一般式
Si(OR)4
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるアルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物を0.5〜50重量部を配合してなる被覆用組成物を塗布した後、その被膜表面を酸で処理し、水洗してなる親水化被覆フィルムを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記被覆用組成物に使用される反応硬化型樹脂組成物としては、従来公知の樹脂組成から適宜選択して使用できるが、耐汚染性の面からは、水酸基含有樹脂を基体樹脂とする樹脂組成物が好適である。
【0010】
水酸基含有樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコ−ン樹脂などを挙げることができる。アクリル樹脂はウレタン変性などの変性をされたものであってもよく、ポリエステル樹脂は、オイルフリーポリエステル樹脂、油変性アルキド樹脂、ウレタン変性ポリエステル樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂などのいずれであってもよい。該水酸基含有樹脂は、数平均分子量が1,000〜100,000、水酸基価が2〜200mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0011】
これらのうちアクリル樹脂としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有モノマ−と、スチレンや(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の他のモノマ−との共重合体などが例示できる。
【0012】
上記水酸基含有樹脂は架橋剤と組合せて使用することができ、該架橋剤としては、例えばアミノ樹脂及びポリイソシアネート化合物などが挙げられ、特にポリイソシアネ−ト化合物が好適である。該ポリイソシアネート化合物は、フリーのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物であってもイソシアネート基をブロック化剤によってブロック化したものであってもよい。
【0013】
上記ブロック化する前のポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートもしくはトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネートもしくはイソホロンジイソシアネートの如き環状脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネートもしくは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートの如き芳香族ジイソシアネート類の如き有機ジイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ジイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した如き各有機ジイソシアネート同志の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等が挙げられる。
【0014】
イソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、例えばフェノール系、ラクタム系、アルコール系、オキシム系、活性メチレン系などのブロック化剤を使用することができる。
【0015】
また上記被覆用組成物に用いられる反応硬化型樹脂組成物として、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基、水酸基及びエポキシ基を必須官能基成分として、同一樹脂内又は混合樹脂内に含有し、さらに硬化触媒を含有する樹脂組成物が使用できる。かかる基体樹脂としては、例えば▲1▼水酸基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基含有樹脂の3成分を含有する樹脂混合物、▲2▼エポキシ基含有樹脂、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基含有樹脂の2成分の樹脂混合物であって、両者のいずれか一方又は両方に水酸基を含有する樹脂混合物、▲3▼水酸基、エポキシ基、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基を含有する樹脂が挙げられる。
【0016】
上記▲1▼〜▲3▼の樹脂としては、例えば特開平2−160879号公報に示されているように、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト等の水酸基含有モノマ−;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマ−;γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、p−(トリメトキシシリルプロピル)−α−メチルスチレン、これらに基づくポリシロキサン系マクロモノマー等のシラン化合物;スチレンや(メタ)アクリル酸のアルキルエステル等の他のモノマ−から適宜選択し共重合させて得られるものが例示できる。
【0017】
硬化触媒として、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物及び錫キレート化合物から選ばれる少なくとも1種のキレート化合物を含有することが好ましい。上記キレート化合物の配合量は、樹脂固形分100重量部に対して0.2〜5重量%の範囲とすることが好適である。
【0018】
上記被覆用組成物に使用されるアルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物は、下記一般式
Si(OR)4
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるアルキルシリケ−ト及び/又はこれを縮合反応させて得られる約2〜10量体なる低縮合物である。該アルキル基としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル基が挙げられる。該アルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物中の(OR)基は加水分解によって一部シラノ−ル基を生成していてもよい。
【0019】
上記アルキルシリケ−トの好ましい具体例としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン及びこれらの縮合物が挙げられる。これらのものは1種もしくは2種以上組み合わせたものも使用できる。
【0020】
上記アルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物は、前記反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは3〜40重量部配合される。該配合量が0.5未満では、被膜層の耐汚染性に劣り、一方50重量部を越えると被膜物性が低下するの好ましくない。
【0021】
上記被覆用組成物には、さらに必要に応じて、有機溶剤、着色剤、充填剤、流動調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤などを配合することができる。
【0022】
本発明では、プラスチックフィルム表面に、上記被覆用組成物をスプレー、刷毛、ローラー、ナイフコ−タ−、リップコ−タ−、グラビアコ−タ−など従来公知の手段によって塗布して被膜層を設けるものである。被膜層の膜厚は特に限定されるものではないが、通常、乾燥膜厚で0.5〜200ミクロン、好ましくは3〜100ミクロンの範囲であることが好適である。また被膜層は、常温〜200℃で約10秒〜10時間程度乾燥させる(熱風又は赤外線加熱)ことにより硬化させることができる。
【0023】
次いで本発明では、得られた被膜表面を酸で処理した後、該被膜表面に付着した酸を水洗して除去する。酸処理の方法としては、0.0001〜5N、好ましくは0.001〜1Nの硫酸や塩酸水溶液などを必要に応じて常温〜80℃に加温して用いて、約10秒〜10時間浸漬或いは噴霧などを行なうことが挙げられる。生産ラインの適性からは浸漬或いは噴霧を約5分以内、好ましくは約2分以内に行うことが望ましい。水洗後の乾燥は常温〜80℃で約1分〜1時間程度(熱風又は赤外線加熱)行なうことができる。
【0024】
上記プラスチックフィルムとしては、従来公知のものが使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン・パ−フルオロプロポキシビニルエ−テル共重合体(PFA)、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカ−ボネ−ト(PC)、ポリビニルアルコ−ル(PVA)、エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体(EVOH)、ポリカ−ボネ−ト、ポリアセタ−ル、AS樹脂、ABS樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑型プラスチックもしくは架橋型プラスチックフィルムなどを挙げることができる。またこれらプラスチックフィルムは紫外線吸収剤、充填剤、熱安定剤などを含むものであってもよい。これらのうち酸に弱いPETやEVALなどを用いる場合には酸処理時の液濃度や処理時間に留意する必要がある。
【0025】
また塗布に先立って、該プラスチックフィルム表面をコロナ放電などによる表面処理を施しておいてもよい。さらに必要に応じてプライマ−塗装、着色塗装などの下地塗装を施しておいてもよい。
【0026】
本発明のフィルムは、また必要に応じて、プラスチックフィルム層の片面(上記組成物による被膜と反対の面)に、接着剤層を介して、天然紙、合成紙などの紙類、及びこれらを組み合わせてなるフィルム類などを積層してもよく、また接着剤層を介してラミネ−ト金属板を形成してもよい。
【0027】
本発明の親水化被覆フィルムを適当な基材にラミネ−トするなどの方法を用いて外装建材用途などの屋外用途に供すると、親水性被膜層によって汚れが雨水などによって洗い流されやすくなり、良好な耐暴露汚染性を示すものである。
【0028】
本発明のフィルムは、外装建材用途だけでなく、防曇性が要求される農業用フィルムや結露防止が要求される浴室回りや窓ガラス、熱交換器などにも用いることができる。
【0029】
屋外暴露による被膜層の汚れの評価方法は、例えば、鋼橋塗装 Vol.21 No.4に建設省土木研究所、片脇氏らによって記載されており、目視官能評価と最も高い相関性を示したのは、明度差の測定結果であり、汚れを定量的に評価する方法として明度差(ΔL* )が最もよいことが記載されている。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。「部」及び「%」は、それぞれ重量基準によるものとする。
【0031】
被覆用組成物の作成
作成例1
加熱、保持したエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート100部中で、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート20部、スチレン15部、メチルメタクリレート10部及びエチルアクリレート30部のモノマー混合物を重合開始剤の存在下にて重合して固形分50%のアクリル樹脂溶液(1)を得た。得られた樹脂溶液(1)の樹脂固形分は、数平均分子量約6,000であり、エポキシ基量1.1当量/kg、珪素原子に直接結合するメトキシ基量2.9当量/kgを有していた。
【0032】
上記で得た固形分50%のアクリル樹脂溶液(1)200部に、硬化触媒であるトリス(アセチルアセトナト)アルミニウム2部、及び「エチルシリケ−ト48」(コルコ−ト社製、テトラエチルシリケ−トの縮合物)10部を混合、撹拌して被覆用組成物▲1▼を得た。
【0033】
作成例2
加熱、保持したエチレングリコールモノエチルエーテル100部中で、スチレン30部、メチルメタクリレート30部、エチルアクリレート30部及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部のモノマー混合物を重合開始剤の存在下にて重合して固形分50%のアクリル樹脂溶液(2)を得た。得られた樹脂溶液(2)の樹脂固形分は、数平均分子量約2,000、水酸基価43mgKOH/gを有していた。
【0034】
上記で得た固形分50%のアクリル樹脂溶液(2)を200部、「TPA−90E」(旭化成工業社製、N,N´,N''−トリス(6−イソシアネ−トヘキシル)イソシアネ−ト、固形分90%)30部、ジブチル錫ジラウレート0.065部、及び「エチルシリケ−ト48」(コルコ−ト社製、テトラエチルシリケ−トの縮合物)10部を混合、撹拌して被覆用組成物▲2▼を得た。
【0035】
作成例3
作成例1において、「エチルシリケ−ト48」10部のかわりに、テトラエチルシリケートを加水分解触媒である塩酸、少量の水及びエタノールの存在下に加水分解縮合して得られる固形分50%のエチルシリケート縮合体溶液20部を用いる以外は作成例1と同様にして被覆用組成物▲3▼を得た。
【0036】
該エチルシリケート縮合体は平均約4量体であり、示性式 Si(OC2 H5 )1.5 (OH)0.5 で表されるものであり、珪素原子に直接結合するエトキシ基の量は12.5当量/kgであった。
【0037】
作成例4
作成例2において、「エチルシリケ−ト48」10部のかわりに、作成例3で得た固形分50%のエチルシリケート縮合体溶液20部を用いる以外は作成例2と同様にして被覆用組成物▲4▼を得た。
【0038】
作成例5、6
作成例1及び作成例2において、夫々「エチルシリケ−ト48」10部を除く以外は作成例1及び作成例2と同様にして被覆用組成物▲5▼、▲6▼を得た。
【0039】
被覆フィルムの製造
実施例1〜8及び比較例1〜11
上記作成例で得た被覆用組成物▲1▼〜▲6▼を、透明で紫外線吸収剤を配合した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレ−トフィルム(PET)(コロナ放電処理済)又は透明な厚さ50μmの塩化ビニルフィルム(PVC)に対して、乾燥膜厚で5μmとなるようバ−コ−タ−にて塗布し、同表に示す乾燥条件で焼き付けた後、必要に応じて該被覆フィルムを60℃に加温した0.1N硫酸水溶液に2分間浸漬し水洗・乾燥して各親水化被覆フィルムを製造した。
【0040】
次いで「レタンPG−80ホワイト」(アクリルウレタン塗料、関西ペイント社製)が塗装された錫メッキ鋼板(厚さ0.8mm)上にアクリル系接着剤を乾燥膜厚で約10μmになるように塗布し、この上から上記で得た各親水化被覆フィルムの被膜層を有さない面を重ね合わせて圧力をかけラミネ−トした後、約100℃で1分間乾燥して各試験板を作成し、これを下記試験に供した。尚、比較例11ではETFEフィルムをラミネ−トして試験に供した。結果を表1に示す。
【0041】
試験方法
初期被膜の外観:各試験板の被膜表面のチヂミ、ツヤボケを目視で観察し下記基準で評価した。
【0042】
○:全く異常が認められない
△:チヂミ、ツヤボケが認められる
×:チヂミ、ツヤボケが著しく認められる
初期フィルムの透明性:各試験板フィルムの透明性を目視で観察し下記基準で評価した。
【0043】
○:透明、異常なし ×:透明性が若干劣る
初期フィルムの光沢:JIS K−5400に従って60度グロスを測定した。
【0044】
初期被膜の付着性:JIS K−5400 8.5.3のクロスカットテ−プ法に従って行った。評価は10点満点で行った。
【0045】
初期の水接触角:塗装直後の試験板を温度20℃、湿度60%RHの室内に約1時間放置した後、試験板の被膜面に、0.03ccの脱イオン水の水滴を形成し、水滴の接触角を協和化学(株)製、コンタクトアングルメータCA−X150型にて測定した。接触角が小さくなると親水性が強くなる。
【0046】
屋外暴露性:関西ペイント(株)東京工場、南面30度の角度に試験板を設置し、屋外暴露試験を行った。屋外暴露2週間後及び2年後の試験板の被膜表面について、(1)水接触角及び(2)暴露汚染性について評価を行った。
【0047】
(1)水接触角:上記初期板の水接触角の試験方法と同様に水滴の接触角を測定した。
【0048】
(2)暴露汚染性:暴露した試験板の暴露汚染性を目視で、及び暴露していない初期塗板との明度差(CIE表色系における明度差ΔL* 値)で評価した。ΔL* 値が大きいほど汚れが目立つ。目視による評価は下記基準にて行った。
【0049】
○:被膜面がほとんど汚れていない(ΔL* 値が3未満程度)
△:被膜面が少し汚れている(ΔL* 値が3以上、10未満程度)
×:被膜面が著しく汚れている(ΔL* 値が10以上程度)
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、オルガノシリケ−ト及び/又はその低縮合物を配合してなる被覆用組成物をプラスチックフィルムに塗布後その被膜表面を酸処理することによって、膜表面が初期から親水化された被覆フィルムが得られる。該フィルムは屋外においても親水性が持続して、表面の汚れが雨水などによって洗い流されやすくなり、良好な耐暴露汚染性を長期にわたって示すものである。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
Claims (3)
- プラスチックフィルム上に、反応硬化型樹脂組成物の樹脂固形分100重量部に対して、下記一般式
Si(OR)4
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基)で示されるアルキルシリケ−ト及び/又はその低縮合物を0.5〜50重量部を配合してなる被覆用組成物を塗布した後、その被膜表面を酸で処理し、水洗してなる親水化被覆フィルム。 - 反応硬化型樹脂組成物が、水酸基含有樹脂及びポリイソシアネ−ト化合物を含有するものである請求項1記載の親水化被覆フィルム。
- 反応硬化型樹脂組成物が、シラノ−ル基及び/又は加水分解性シリル基、水酸基及びエポキシ基を必須官能基成分として、同一樹脂内又は混合樹脂内に含有し、さらに硬化触媒を含有するものである請求項1記載の親水化被覆フィルム。
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