JP3676771B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に係わり、特に、半導体層の一部をエッチングにより除去してメサ部を形成し、このメサ部の両側のエッチングにより除去された部分に埋込半導体層を有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてエピタキシャル結晶成長させる半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光通信の光源に用いられる半導体レーザは高効率、高出力が要求されている。この高効率、高出力が得られる埋込型の半導体レーザは例えば図6の断面形状を有する。
【0003】
n型InPで形成されたn型基板1の上面の中央部に台形形状を有するメサ部2が形成され、n型基板1の上面におけるメサ部2の外側には、それぞれ電流ブロック部3が形成されている。
【0004】
メサ部2においては、n型基板1に接するn型InPからなる第1のクラッド層4が形成されている。この第1のクラッド層4の上側にノンドープのInGaAs又はノンドープのInGaAsP又はこれらの組合せからなる多重量子井戸構造からなる活性層5が形成され、この活性層5の上側にp型InPからなる第2のクラッド層6が形成されている。
【0005】
メサ部2の側面7とn型基板1の上面8とに接する電流ブロック部3は、下側に位置するp型InPで形成されたp型電流ブロック層9と、上側に位置するn型InPで形成されたn型電流ブロック層10とで構成されている。
【0006】
メサ部2の上面と各電流ブロック部3の上面に、これらの上面を共通に覆うp型InPからなる第3のクラッド層12が形成されている。なお、p型電流ブロック層9の上端11は第3のクラッド層12に当接している。そして、この第3のクラッド層12の上側に、InGaAsP又はInGaAsからなるコンタクト層13が形成されている。このコンタクト層13の上面にp電極14が取付けられている。
さらに、n型基板1の下側にn電極15が取付けられている。
【0007】
このような両側面7を電流ブロック部3で挾まれたメサ部2を有する半導体レーザの製造方法を図7(a)(b)(c)(d)を用いて説明する。
【0008】
図7(a)に示すように、n型InPで形成されたn型基板1の上面に、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてn型の第1のクラッド層4を形成する。このn型の第1のクラッド層4の上面に、ノンドープのInGaAs又はノンドープのInGaAsP又はこれらの組合せからなる多重量子井戸構造の活性層5を形成する。この活性層5の上側に、p型の第2のクラッド層6を形成する。
【0009】
次に、p型の第2のクラッド層6の上側に、SiO2又はSiNxからなるマスクとなる層を形成する。さらに、形成されたマスクとなる層を、フォトリソグラフィ技術を用いて、ストライプ状にエッチングしてマスク16を形成する。このエッチングで形成されたマスク16の幅Wは、形成しようとするメサ部2における上面の幅より若干広い幅に設定する。
【0010】
次に、エッチング液として、例えば、塩酸、過酸化水素水、水の混合液を使用し、上方からマスク16以外の場所を選択的にエッチングを実施して、図7(b)示すように、台形形状を有するメサ部2を形成する。
【0011】
一般に、半導体層に対してエッチングを実施すると、半導体層は深さ方法にエッチングされると共に横(サイド)方向へもエッチングされる。したがって、図7(b)示すように、マスク16はエッチングされないので、マスク16の幅方向の先端部分においては、この先端部分の下側の半導体層が横(サイド)方向へエッチングされるので、マスク16の幅方向の先端部分は庇17として残る。
【0012】
この庇17の長さsとエッチング深さdとの関係は、図7(d)に示すように、深さ方向のエッチング速度Vdと横(サイド)方向のエッチング速度Vsとの比(Vs/Vd)で定まる。この速度比(Vs/Vd)は、エッチング液の特性によってほぼ定まる。
【0013】
次に、図7(c)に示すように、この両側に庇17が形成された状態のマスク16を残した状態で、メサ部2の側面7及びn型基板1の露出した上面8に囲まれる先にエッチングされた部分にp型電流ブロック層9を前述した有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて形成する。さらに、このp型電流ブロック層9の上側に、n型電流ブロック層10を同じく有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて形成する。そして、このp型電流ブロック層9とn型電流ブロック層10とで電流ブロック部3が構成される。
【0014】
その後、半導体層をマスク16のみを腐食する別のエッチングに浸してマスク16を除去した後に、メサ部2の上面及び両側の電流ブロック層3の上面を共通に覆うp型InPからなる第3のクラッド層12を形成する。さらに、この第3のクラッド層12の上面にInGaAsP又はInGaAsからなるコンタクト層13を形成し、最後に、このコンタクト層13の上面にp電極14を取付け、n型基板1の下側にn電極15を取付ける。
【0015】
図7に示した両側面7を電流ブロック部3で挾まれたメサ部2を有する半導体レーザの製造方法において、電流ブロック部3において仕様書通りの断面形状を得るためには、マスク16の庇17を残した状態で、エッチングされた部分に電流ブロック部3を有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてエピタキシャル結晶成長させることが実用化されている。
【0016】
この場合、マスク16の庇17の長さsとエッチング深さdとが、製造された半導体レーザの特性に大きな影響を与える。例えば、図8(a)に示すように、マスク16の庇17の長さsが過度に短いと、電流ブロック部3の上側のn型電流ブロック層10が庇17近傍で上方に大きく膨らみ、平坦性に欠ける。また、電流ブロック部3の下側のp型電流ブロック層9のメサ側面7方向の厚みが大きくなり、電流損失が大きくなり、製造された半導体レーザの効率が低下する。
【0017】
また、図8(b)に示すように、マスク16の庇17の長さsが過度に長いと、庇17の下側に結晶が成長しきれずに、空間18が生じたり、電流ブロック部3の下側のp型電流ブロック層9がメサ部2の側面7に対して結晶が十分成長しきれずに、p型電流ブロック層9の側面7に対向する部分の厚みが薄くなり、耐電圧が低下し、p電極14、n電極15間の印加可能電圧が低下し、半導体レーザとして高出力が得られない問題がある。
【0018】
さらに、図8(c)に示すように、エッチング深さd(メサ部2の高さ)が小さいと、p型電流ブロック層9のn型基板1に対向する部分の厚みが薄くなり、耐電圧が低下し、p電極14、n電極15間の印加可能電圧が低下し、半導体レーザとして高出力が得られない問題がある。
【0019】
特に、高出力型半導体レーザにおいては、高電流駆動時でも無効電流を抑制するためには、電流ブロック部3を十分厚くする必要がある。
【0020】
このように、エッチング深さdとマスク16の庇17の長さsとの関係によって、マスク部2の両側の電流ブロック部3の形状が大きく左右されるために、両者の関係が重要となる(例えば、特許文献1参照)。
【0021】
【特許文献1】
特開平7―162078号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、高出力、高効率の半導体レーザを実現するためには、エッチング深さdとマスク16の庇17の長さsとをそれぞれ独立して最適値に設定する必要がある。
【0023】
しかしながら、前述したように、深さ方向のエッチング速度Vdと横(サイド)方向のエッチング速度Vsとの速度比(Vs/Vd)は、エッチング液の特性によってほぼ定まる。したがって、最適のエッチング深さdを得るためにエッチング時間を設定した場合には、最適の庇17の長さsが得られない。逆に、最適の庇17の長さsを得るためにエッチング時間を設定した場合には、最適のエッチング深さdが得られない。
【0024】
このような不都合を解消するためには、目的とするエッチング深さdとマスク16の庇17の長さsとが同時に得られる速度比(Vs/Vd)を有するエッチング液を採用すればよいが、この目的とする速度比(Vs/Vd)を有するエッチング液を開発、又は選択することは非常に困難であり、かつ非常に煩雑である。
【0025】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、エッチングの深さとマスクの庇の長さとをそれぞれ目標のエッチングの深さとマスクの庇の長さに制御でき、各部の寸法精度を向上でき、歩留まりを向上でき、かつ高効率で高出力の特性が得られる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体層の一部をエッチングにより除去してメサ部を形成し、このメサ部の両側のエッチングにより除去された部分に埋込半導体層を有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてエピタキシャル結晶成長させる半導体装置の製造方法に適用される。
【0027】
そして、上記課題を解消するために、本発明の半導体装置の製造方法において、半導体層の一部をエッチングにより除去する工程は、半導体層の上面にメサ部の上面形状に対応するマスクを形成する工程と、半導体層におけるマスクから露出した部分に対して第1のエッチング液で第1回目のエッチングを実施する工程と、エッチングされた半導体層をマスクのみを腐食する第2のエッチング液に浸して、第1回目のエッチングによって形成されたマスクの庇部分を除去する工程と、半導体層における庇部分が除去されたマスクから露出した部分に対して第3のエッチング液で第2回目のエッチングを実施する工程とを含む。
【0028】
このように構成された半導体装置の製造方法においては、結果的に半導体層を2回に分けてエッチングすることになる。そして、全体のエッチング深さdは、1回目のエッチングによる深さd1と2回目のエッチングによる深さd2との合計のエッチング深さ(d1+d2=d)となる。また、1回目のエッチングで形成されたマスクの庇は、2回目のエッチングを実施する前に除去するので、2回のエッチングを終了した時点で残るマスクの庇の長さsは、2回目のエッチングで形成された庇の長さs2のみで定まる(s=s2)。
【0029】
したがって、最初に、目的の庇の長さsが得られる2回目のエッチングの時間t2を決定し、この時間t2だけ2回目のエッチングを実施した場合のエッチングによる深さd2を決定する。そして、目標のエッチング深さdから2回目のエッチングを実施した場合のエッチングによる深さd2を減じた値(d―d2)を1回目のエッチングのエッチング深さd1(=d―d2)になるように、1回目のエッチングの時間t1を決定する。
【0030】
よって、半導体層を2回に分けてエッチングすることにより、合計のエッチングの深dさとマスクの庇の長さsとをそれぞれ目標のエッチングの深さとマスクの庇の長さに確実に設定できる。
【0031】
また、別の発明においては、半導体層の一部をエッチングにより除去する工程は、半導体層の上面にマスクとなる層を形成する工程と、このマスクとなる層の上面にフォトレジストでメサ部の上面形状に対応するパターンを形成したのちマスクとなる層におけるパターン以外の部分を除去してマスクを形成する工程と、フォトレジストがマスク上に残留した状態で半導体層におけるマスクから露出した部分に対して第1のエッチング液で第1回目のエッチングを実施する工程と、エッチングされた半導体層をマスクのみを腐食する第2のエッチング液に浸して、第1回目のエッチングによって形成されたマスクの庇部分を除去する工程と、マスクの上面に残留するフォトレジストを溶剤を用いて除去する工程と、半導体層における庇部分が除去されたマスクから露出した部分に対して第3のエッチング液で第2回目のエッチングを実施する工程とを含む。
【0032】
このように構成された半導体装置の製造方法においても、半導体層を2回に分けてエッチングし、1回目のエッチングによって形成されたマスクの庇部分を除去した後に、2回目のエッチングを実施しているので、上述した発明の半導体装置の製造方法と同様に、合計のエッチングの深dさとマスクの庇の長さsとをそれぞれ目標のエッチングの深さとマスクの庇の長さに確実に設定できる。
【0033】
さらに、この発明においては、フォトレジストがマスク上に残留した状態で1回目のエッチングを実施し、フォトレジストがマスク上に残留した状態でマスクのみを腐食する第2のエッチング液に浸して、1回目のエッチングによって形成されたマスクの庇部分を除去している。
【0034】
この場合、1回目のエッチングによって形成されたマスクの庇部分の下面にはフォトレジストが付着していないので、この庇部分は下側から腐食される。すなわち、マスクのフォトレジストが付着しているメサ部の上面に対向する部分は確実に残り、マスクの庇部分のみが確実に除去できる。その後、マスクの上面に残留するフォトレジストを溶剤で除去すればよい。
【0035】
したがって、その後に実施する2回目のエッチングのエッチング精度を向上できる。
【0036】
さらに、別の発明は、上述した半導体装置の製造方法において、第1のエッチング液と第3のエッチング液とは同一のエッチング液に設定している。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1、図2、図3は本発明の第1実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す工程図である。図6に示す半導体装置としての半導体レーザ及び図7に示す従来の半導体装置の製造方法と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。なお、この第1実施形態においては、製造される半導体装置として図6に示した半導体レーザを例にして説明する。
【0038】
図1(a)に示すように、n型InPで形成されたn型基板1の上面に、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてn型のInPからなる第1のクラッド層4を形成する。このn型の第1のクラッド層4の上面に、ノンドープのInGaAs又はノンドープのInGaAsP又はこれらの組合せからなる多重量子井戸構造の活性層5を形成する。この活性層5の上側に、p型のInPからなる第2のクラッド層6を形成する。
【0039】
次に、図1(b)に示すように、p型の第2のクラッド層6の上側に、SiO2又はSiNxからなるマスクとなる層16aを形成する。このマスクとなる層16aの上面にメサ部2の上面形状に対応する形状をフォトレジスト19で形成する(図1(c))。このフォトレジスト19の幅Wは、形成しようとするメサ部2における上面の幅より若干広い幅に設定する。
【0040】
そして、このフォトレジスト19のパターンをマスクとなる層16aに転写することによって、図1(d)に示すように、マスクとなる層16aにおけるフォトレジスト19のパターン以外の部分を除去してマスク16を形成する。具体的には、弗化水素酸(HF)等のエッチング液に浸してマスクとなる層16aの露出部分を除去する。
【0041】
次に、第1のエッチング液として、例えば、塩酸、過酸化水素水、水の混合液を使用し、上方からマスク16以外の場所を選択的に時間t1だけ第1回目のエッチングを実施して、図2(e)に示すように、台形形状を有するメサ部2aを形成する。この時間t1の第1回目のエッチング工程によって、第2のクラッド層6、活性層5及び第1のクラッド層4は深さd1だけエッチングされる。さらに、この第1回目のエッチング工程によって、第2のクラッド層6、活性層5及び第1のクラッド層4は横(サイド)方向にもエッチングされ、結果として、マスク16の幅方向の先端部分に長さs1の庇17aが形成される。
【0042】
次に、例えば、前述した弗化水素酸(HF)等のSiO2又はSiNxからなるマスク16のみを腐食する弗化水素酸(HF)等からなる第2のエッチング液にこの図2(e)に示す半導体素子(半導体層)を浸して、第1回目のエッチングによって形成されたマスク16の幅方向の先端部分に長さs1の庇17aを除去する(図2(f))。具体的には、前述したように、第1回目のエッチングによって形成されたマスク16の庇17aの下面にはフォトレジスト19が付着していないので、この庇17aは下側から第2のエッチング液にて腐食される。
【0043】
次に、図2(g)に示すように、マスク16の上面に残留しているフォトレジスト19を例えばアセトン等の溶剤を用いて除去する。
【0044】
次に、第3のエッチング液として、第1のエッチング液と同一の塩酸、過酸化水素水、水の混合液を使用し、上方からマスク16以外の場所を選択的に時間t2だけ第2回目のエッチングを実施して、図2(h)に示すように、台形形状を有する最終のメサ部2を形成する。この時間t2の第2回目のエッチング工程によって第1のクラッド層4及びn型基板1は深さd2だけエッチングされる。さらに、この第2回目のエッチング工程によって、第2のクラッド層6、活性層5、第1のクラッド層4及びn型基板1は横(サイド)方向にもエッチングされ、結果として、マスク16の幅方向の先端部分に新たに長さs2の庇17が形成される。
【0045】
そして、この第1回目のエッチングによって形成されたエッチングの深さd1と第2回目のエッチングによって形成されたエッチングの深さd2とを加算した値(d1+d2)が最終の目標とするエッチングの深さd(=d1+d2)となる。さらに、この第2回目のエッチングによって形成されたマスク16の幅方向の先端部分に形成された庇17の長さs2が最終の目標とするの庇17の長さs(=s2)となる。
【0046】
次に、図3(i)に示すように、この両側に庇17が形成された状態のマスク16を残した状態で、メサ部2の側面7及びn型基板1の露出した上面8に囲まれる先に2回に亘ってエッチングされた部分にp型電流ブロック層9を前述した有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて形成する。さらに、このp型電流ブロック層9の上側に、n型電流ブロック層10を同じく有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて形成する。そして、このp型電流ブロック層9とn型電流ブロック層10とで電流ブロック部3が構成される。
【0047】
その後、半導体層をマスク16のみを腐食する前述した弗化水素酸(HF)等からなる第2のエッチング液に浸してマスク16を除去する(図3(j))。その後、メサ部2の上面及び両側の電流ブロック層3の上面を共通に覆うp型InPからなる第3のクラッド層12を形成する。さらに、この第3のクラッド層12の上面にInGaAsP又はInGaAsからなるコンタクト層13を形成する(図3(k))。
【0048】
最後に、図3(m)に示すように、このコンタクト層13の上面にp電極14を取付け、n型基板1の下側にn電極15を取付けて、半導体装置としての半導体レーザの主な製造工程を終了する。
【0049】
このように構成された半導体装置の製造方法においては、図4(a)に示すように、第1回目のエッチング工程により深さ方向に深さd1だけエッチングされ、マスク16の幅方向の先端部分に長さs1の庇17aが形成される。この長さs1の庇17aは、図4(b)に示すように、第2回目のエッチング工程の実施まえに除去される。そして、図4(c)に示すように、第2回目のエッチング工程により、深さ方向に深さd2だけさらにエッチングされ、マスク16の幅方向の先端部分に新たに長さs2の庇17が形成される。
【0050】
このように、結果的に、最終のエッチング深さdは、第1回目のエッチングによる深さd1と第2回目のエッチングによる深さd2との合計のエッチング深さ(d1+d2=d)となる。また、最終のマスク16の庇17の長さsは、2回目のエッチングで形成された庇の長さs2のみで定まる(s=s2)。
【0051】
したがって、前述したように、最初に、目的の庇17の長さsが得られる第2回目のエッチングの時間t2を決定し、この時間t2だけ第2回目のエッチングを実施した場合のエッチングによる深さd2を決定する。そして、目標のエッチング深さdから2回目のエッチングを実施した場合のエッチングによる深さd2を減じた値(d―d2)を第1回目のエッチングのエッチング深さd1(=d―d2)になるように、第1回目のエッチングの時間t1を決定する。
【0052】
よって、合計のエッチングの深さdとマスク16の庇17の長さsとをそれぞれ目標のエッチングの深さとマスクの庇の長さに確実に設定できる。
【0053】
したがって、目的の庇17の長さsが得られるので、p型電流ブロック層9のメサ部2の側面7に対向する部分の厚みやn型基板1の上面8に対向する部分の厚みが極端に大きくなったり、極端に小さくなったりしないので、半導体レーザとして安定した出力特性を得ることができる。
【0054】
例えば、第1回目のエッチングの時間t1=10分、第2回目のエッチングの時間t2=8分に設定することによって、エッチングの深さ(メサ高さ)d=2.5μm、マスク16の庇17の長さs=1.0μmが得られた。
【0055】
さらに、マスク16の庇17の長さsを最適値に維持した状態で、最終のエッチングの深さdを任意に設定できる。よって、エッチングの深さd(メサ部2の高さ)を大きく設定することによって、電流ブロック部3を十分厚くすることが可能となり、高電流駆動時でも無効電流を抑制することができ、高出力の半導体レーザを得ることができる。
【0056】
さらに、この第1の実施形態手法においては、図2(e)に示すように、マスク16の上面にフォトレジスト19を残した状態で、第1回目のエッチングを実施し、第1回目のエッチングで形成されたマスク16の庇17aをマスク16のみを腐食する弗化水素酸(HF)等からなる第2のエッチング液で除去している。この場合、マスク16のフォトレジスト19が付着しているメサ部2の上面に対向する部分は確実に残り、マスク16の庇17a部分のみが確実に除去できる。
【0057】
一般的に、半導体層をエッチングした後に、エッチングで除去した部分に対して、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて埋込成長を行う際には、エッチング表面をクリーンに保つ必要がある。したがって、半導体層をエッチングする際に表面にフォトレジスト19をマスク16の表面に残しておく事はエッチング表面を汚染する恐れがあるため従来はこの様な工程は行われなかった。
【0058】
しかし、今回、半導体層に対するエッチング工程を2回に分けて実施する事により、第1回目のエッチングの際にはフォトレジスト19をマスク16の表面に残していても、最終的なエッチング表面をクリーンに保つ事が可能となる。
【0059】
したがって、半導体層に対するエッチング工程を2回に分けて実施する事により、途中で余分なマスク16の庇17aを確実に除去する事ができ、エッチング深さdで示されるメサ部2の高さ、及びマスク16の庇17の長さsを最適な関係に安定して調整する事が可能となった。
【0060】
さらに、第1、第2のエッチング工程で使用する各エッチング液として、たとえ横(サイド)方向のエッチング速度Vsが大きいエッチング液を採用しても、十分なエッチングの深さdを確保しつつ、所望のマスク16の庇17の長さsを得ることができる。
【0061】
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す工程図である。図1〜図3に示す第1実施形態の半導体装置の製造方法と同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0062】
この第2実施形態の半導体装置の製造方法においては、マスクとなる層16aにおけるフォトレジスト19のパターン以外の部分を除去してマスク16を形成するまでの各工程は、図1(a)〜(d)で示した各工程と同一であるので、説明を省略する。
【0063】
そして、図5(d)は、マスク16を形成した状態を示す。この第2実施形態の半導体装置の製造方法においては、図5(d1)に示すように、マスク16の上面に残留しているフォトレジスト19を例えばアセトン等の溶剤を用いて除去する。
【0064】
フォトレジスト19がマスク16の上面から除去された状態において、図2(e)で示した同一条件で、上方からマスク16以外の場所を選択的に時間t1だけ第1回目のエッチングを実施して、図5(e1)に示すように、台形形状を有するメサ部2aを形成する。その結果、深さd1だけエッチングされる。さらに、マスク16の幅方向の先端部分に長さs1の庇17aが形成される。
【0065】
この状態で、マスク16のみを腐食する第2のエッチング液に図5(e1)に示す半導体素子(半導体層)を浸して、第1回目のエッチングによって形成されたマスク16の幅方向の先端部分に長さs1の庇17aを除去する(図5(f1)。この場合、マスク16の上面にはフォトレジスト19が形成されていないので、マスク16は全幅に亘って上面から順次エッチングされていく。しかし、マスク16の庇17aは上面と下面とからエッチングされていくので、マスク16の庇17aのエッチング速度は、メサ部2aに対向する部分に比較して、倍の速度である。
【0066】
したがって、マスク16の庇17aが完全にエッチングされた時点で、エッチングを停止すれば、マスク16の庇17aが除去されて、マスク16のメサ部2aに接している部分は薄い状態で残る。
【0067】
このマスク16の庇17aが除去された状態で、図2(h)に示す第3のエッチング液を使用して時間t2だけ第2回目のエッチングを実施して、図5(h1)に示すように、台形形状を有する最終のメサ部2を形成する。その結果、第2回目のエッチングによって深さd2だけエッチングされる。さらに、マスク16の幅方向の先端部分に長さs2の庇17が形成される。
【0068】
これ以降、電流ブロック部3を形成して、最終のp電極14、n電極15を取付けるまでの各工程は、第1実施形態の製造方法における図3(i)〜(m)の各工程と同一であるので、説明を省略する。
【0069】
このように構成された第2の実施形態の半導体装置の製造方法においても、最終のエッチング深さdは、第1回目のエッチングによる深さd1と第2回目のエッチングによる深さd2との合計のエッチング深さ(d1+d2=d)となる。また、また、最終のマスク16の庇17の長さsは、2回目のエッチングで形成された庇の長さs2のみで定まる(s=s2)。
【0070】
したがって、上述した第1実施形態の製造方法とほぼ同じ作用効果を得ることが可能である。
【0071】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。各実施形態の製造方法が適用される半導体装置として、半導体レーザを用いて説明したが、内部にメサ部が形成され、メサ部の両側を埋込半導体層を有する半導体装置であれば、半導体レーザに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0072】
また、各実施形態においては、第1回目のエッチング工程で用いる第1のエッチング液と第2回目のエッチング工程で用いる第3のエッチング液を同一のエッチング液で構成したが、第1のエッチング液と第3のエッチング液を互いに異なるエッチング液を採用してもよい。
【0073】
さらに、第1、第3のエッチング液として、臭化メタノール系、臭化水素酸系、飽和臭素水系の各エッチング液を用いてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体装置の製造方法においては、半導体層にマスクを設けて半導体層のマスク以外の部分をエッチングする際に、2回に分けてエッチングすることによって、エッチングの深さとマスクの庇の長さとをそれぞれ目標のエッチングの深さとマスクの庇の長さに制御でき、各部の寸法精度を向上でき、歩留まりを向上でき、かつ高効率で高出力の特性が得られる半導体装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す工程図
【図2】同じく第1実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す工程図
【図3】同じく第1実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す工程図
【図4】同第1実施形態の半導体装置の製造方法におけるエッチングの深さ及びマスクの庇の長さの決定方法を示す図
【図5】本発明の第2実施形態に係わる半導体装置の製造方法を示す工程図
【図6】一般的な半導体装置としての半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図7】従来の半導体装置の製造方法を示す工程図
【図8】従来の半導体装置の製造方法の問題点を説明するための図
【符号の説明】
1…n型基板
2…メサ部
3…電流ブロック層
4…第1のクラッド層
5…活性層
6…第2のクラッド層
7…側面
8…上面
9…p型電流ブロック層
10…n型電流ブロック層
12…第3のクラッド層
13…コンタクト層
14…p電極
15…n電極
16…マスク
16a…マスクとなる層
17、17a…庇
19…フォトレジスト
Claims (3)
- 半導体層の一部をエッチングにより除去してメサ部を形成し、このメサ部の両側の前記エッチングにより除去された部分に埋込半導体層を有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてエピタキシャル結晶成長させる半導体装置の製造方法において、
前記半導体層の一部をエッチングにより除去する工程は、
半導体層の上面に前記メサ部の上面形状に対応するマスクを形成する工程と、
前記半導体層における前記マスクから露出した部分に対して第1のエッチング液で第1回目のエッチングを実施する工程と、
前記エッチングされた半導体層を前記マスクのみを腐食する第2のエッチング液に浸して、前記第1回目のエッチングによって形成された前記マスクの庇部分を除去する工程と、
前記半導体層における前記庇部分が除去されたマスクから露出した部分に対して第3のエッチング液で第2回目のエッチングを実施する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 半導体層の一部をエッチングにより除去してメサ部を形成し、このメサ部の両側の前記エッチングにより除去された部分に埋込半導体層を有機金属気相成長(MOVPE)法を用いてエピタキシャル結晶成長させる半導体装置の製造方法において、
前記半導体層の一部をエッチングにより除去する工程は、
半導体層の上面にマスクとなる層を形成する工程と、
このマスクとなる層の上面にフォトレジストで前記メサ部の上面形状に対応するパターンを形成したのち前記マスクとなる層におけるパターン以外の部分を除去してマスクを形成する工程と、
前記フォトレジストが前記マスク上に残留した状態で前記半導体層における前記マスクから露出した部分に対して第1のエッチング液で第1回目のエッチングを実施する工程と、
前記エッチングされた半導体層を前記マスクのみを腐食する第2のエッチング液に浸して、前記第1回目のエッチングによって形成された前記マスクの庇部分を除去する工程と、
前記マスクの上面に残留するフォトレジストを溶剤を用いて除去する工程と、
前記半導体層における前記庇部分が除去されたマスクから露出した部分に対して第3のエッチング液で第2回目のエッチングを実施する工程と
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記第1のエッチング液と第3のエッチング液とは同一のエッチング液であることを特徴とする請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法。
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