JP3676996B2 - 非可逆回路素子及びアイソレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波帯などの高周波帯域で使用されるアイソレータ、サーキュレータ等に用いられる非可逆回路素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のアイソレータに用いられる非可逆回路素子は、例えば図13に示す構造の磁性組立体50が備えられている。この磁性組立体50は、矩形板状のフェライトからなる磁性体55と、その下面に添わせて設けられた金属板からなる共通電極54と、この共通電極54から放射状に3方向に延出形成されて磁性体55の表面側に巻き掛けられた第1の中心導体51と第2の中心導体52と第3の中心導体53とから構成されている。
前記第1の中心導体51と第2の中心導体52と第3の中心導体53は互いに磁性体55に沿って折り曲げられ、磁性体55の表面側において互いに略120゜の交差角度でもって重ねられている。なお、図面では省略されているが、中心導体51、52、53どうしは絶縁シートにより磁性体55の表面側において個々に絶縁されている。
また、先の3つの中心導体51、52、53の先端部側は磁性体55の側方に突出するように配置されて各ポート部P1、P2、P3とされている。そして、各ポート部P1〜P3に図示略の整合用のコンデンサを接続し、ポート部の1つに先のコンデンサを介して終端抵抗を接続し、これらを永久磁石とともに磁気回路を構成する磁性体ヨーク内に収納し、磁性組立体50に別途配置した永久磁石で直流磁界を印加できる構成とすることでアイソレータが構成される。
【0003】
前述の各中心導体51〜53は、図14の展開図で示すようにアース部となる共通電極54において連設一体化され、共通電極54から3方向に突出形成されていて、これらの中心導体51〜53は前記磁性体55に対して所定の角度で精度良く組み付けられるように図14の折曲部Xの位置において屈曲されるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来構成のアイソレータにあっては、中心導体51〜53の磁性体55への組み付け精度、導体間隔、中心導体の交差角度が非可逆回路素子としての電気的特性を決定する重要な要素であり、これらの値が設計値からわずかでも変動すると、アイソレータとしての性能劣化の原因となる。
特にこの種のアイソレータは近年の高周波回路の小型化に伴い、全体として4〜5mm角の大きさに形成されるようになってきているが、このような微細な部品において先の中心導体51〜53の磁性体55への組み付け精度、導体間隔、交差角度を厳格に調整するこは、図13と図14に示す構造の非可逆回路素子50においては難しい状況になってきている。
【0005】
例えば、前記従来構成の非可逆回路素子50にあっては、中心導体51〜53を磁性体55の側面に沿って正確に図14の折曲部Xの位置において折り曲げて磁性体55に添わせる必要があるが、全体として4〜5mm角の大きさのアイソレータにおいて中心導体51〜53の折曲部Xの位置がわずかでもずれると、磁性体55の表面側において交差させる中心導体51〜53の交差角度が大きく変動することとなる。また、中心導体51〜53の折曲部Xを磁性体55の側面のエッジ部分に添わせて正確に位置合わせして慎重に折り曲げる必要があり、磁性組立体50の組み立て作業性が悪いものであった。
【0006】
本発明は以上の背景に基づいてなされたもので、磁性体に対して中心導体を正確かつ容易に巻き付けて磁性組立体を得ることができ、よって特性が良好な非可逆回路素子とアイソレータを提供することを目的の1つとする。
更に本発明は、横長型あるいは縦長型の磁性体基板の長手方向に隣接させてコンデンサ基板を効率よく配置することで小型化したアイソレータを提供することを目的の1つとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、平行な2辺を有する略長方形状の磁性体基板と、この磁性体基板の裏面側に配置された板状の共通電極と、この共通電極外周部の3方向に延設された第1の線路導体と第2の線路導体と第3の線路導体と、前記第1の線路導体に設けられて前記磁性体基板の表面側に折曲される第1の中心導体と、前記第2の線路導体に設けられて前記磁性体基板の表面側に折曲される第2の中心導体と、前記第3の線路導体に設けられて前記磁性体基板の表面側に折曲される第3の中心導体とが具備されてなり、前記磁性体基板の平行な2辺の各端部側に前記各中心導体を折曲するための受面が形成され、前記第1の中心導体と第2の中心導体とが、前記磁性体基板の前記受面を介して前記磁性体基板の表面側に折曲され、かつ、この磁性体基板の表面側において前記磁性体基板の対角線に沿うように配置され、前記共通電極の周縁部が前記磁性体基板の周縁部に添わされて前記共通電極の外形形状が前記磁性体基板の外形形状に沿う形状とされ、前記第1の線路導体が前記共通電極に接続された部分と、前記第2の線路導体が前記共通電極に接続された部分と、前記第3の線路導体が前記共通電極に接続された部分のうち、少なくとも1つの部分の両側に、前記共通電極の周縁部を刻設してなる凹部が形成されて前記少なくとも1つの線路導体の線路長が延長されてなることを特徴とする。
第1と第2の中心導体が磁性体基板の一面側から表面側にかけて受面を介して折曲されて巻き込まれているので、中心導体が受面を介して正確な位置で確実に折曲されて磁性体基板の表面側に巻き込まれる結果、磁性体基板に対して中心導体を確実な位置に設置できる。即ち、中心導体が受面を介して折り曲げられる結果、中心導体の折り曲げ加工に伴う変形も抑制されるので、各中心導体が所定の角度で磁性体基板に対して折り曲げられる。
よって特性が良好で安定化された高品質の非可逆回路素子が得られ、非可逆回路素子の組立作業の生産性も向上する。
線路導体の付け根の部分に対応する共通電極の周縁部に凹部を刻設することで線路導体の見かけの線路長が長くなる。線路導体の線路長が長くなることで線路導体のインダクタンスが大きくなり、共振容量が相対的に小さくなるので非可逆回路素子の小型化に寄与する。また、同じインダクタンスを確保するならば磁性体基板の面積を小さくできる結果、非可逆回路素子の小型化に寄与する。
共通電極の全体形状を磁性体基板に近い形状とすることで共通電極を磁性体基板の一面側に収まりよく配置できる。
【0008】
本発明は前記課題を解決するために、請求項1に記載の平行な2辺が前記磁性体基板の長手方向の辺を形成し、前記線路導体に接続される全てのコンデンサ基板が前記平行な2辺に沿って配置されてなることを特徴とする。
コンデンサ基板が磁性体基板の長手方向に沿ってその幅方向両側に配置されていると、磁性体基板の両側に収まり良くコンデンサ基板を配置することができ、その結果として磁性体基板とコンデンサ基板を含めた非可逆回路素子全体としての小型化をなし得る。このコンデンサ基板が細長い形状であれば、長い形状の磁性体基板の両側に設置しても、非可逆回路素子全体としての幅を不用に大きくすることがなく、小型化をなし得る。
【0010】
本発明は前記課題を解決するために、前記第1の線路導体の幅方向中央部と前記第2の線路導体の幅方向中央部にそれらの長さ方向に沿うスリット部が形成されて前記第1の線路導体と前記第2の線路導体が2本の分割導体に分けられてなることを特徴とする。
各線路導体が2本の分割導体に分割されていると、相互インダクタンスが発生し、線路導体として同じ導体長でも、分割した構成の方がより大きなインダクタンスが得られる。
【0011】
本発明は前記課題を解決するために、前記分割導体が前記磁性体基板の他面側に折曲されて前記共通電極の表面側において重ねられ、各分割導体どうしの重ねられた部分が前記共通電極の表面側において平面視的に位置ずれされて配置されたことを特徴とする。
分割導体どうしの重ねられた部分が平面視的に位置ずれされて配置されるので、磁性体基板の他面側において分割導体が均等に収まり良く配置される。
【0012】
本発明は前記課題を解決するために、前記磁性体基板の表面側において前記第3の中心導体が前記第1の中心導体及び第2の中心導体に対して平面視重ねられ、前記第1の中心導体と第2の中心導体に対する前記第3の中心導体の重なり部分の全てが平面視的に位置ずれされてなることを特徴とする。
分割導体どうしが3本重ねられる部分が発生しないので、磁性体基板の表面側において分割導体の2本重なり部分と3本重なり部分の発生に起因する凹凸の発生が少なくなり、磁性体基板表面側における凹凸が少なくなる。
【0013】
本発明は前記課題を解決するために、前記第3の中心導体が前記磁性体基板の表面側において平面視前記第1の中心導体と第2の中心導体と交差するように折曲されて重ねられ、前記第3の線路導体が2本の分割導体に分けられ、前記2本の分割導体がそれらに非平行部分を含むことを特徴とする。
更に本発明は、前記第3の中心導体が前記磁性体基板の表面側において平面視前記第1の中心導体と第2の中心導体と交差するように折曲もしくは湾曲されて重ねられ、前記第3の線路導体が2本の分割導体に分けられ、前記2本の分割導体が並行状態とされたまま折曲もしくは湾曲されてなることを特徴とする。
【0014】
第3の線路導体において分割導体が互いに非平行となる部分を含むので、第3の線路導体が磁性体基板と重なる部分の長さが実質的に長くなり、広帯域な通過特性を有する非可逆回路素子が提供される。また、低周波化するためには各線路導体を長くしてインダクタンスを大きくする必要があるが、本発明においては、第3の中心導体において、第3の線路導体が長さ方向中央部側において互いに離れる方向に折曲(屈曲)もしくは湾曲されてなるが、もしくは、互いに平行でかつ折曲もしくは湾曲されてなるが、第3の線路導体の長さが実質的に長くなって、インダクタンスが大きくなり、低周波化と小型化を両立することができる。
【0015】
本発明は前記課題を解決するために、前記コンデンサ基板のうち、少なくとも1つが前記複数の線路導体に接続された共通のコンデンサ基板とされたことを特徴とする。
共通のコンデンサ基板とすることで必要とする容量を小さなコンデンサ占有面積で稼ぐことができる。
【0016】
本発明は前記課題を解決するために、前記磁性体基板が、相対向する2辺の各端部側に斜面状の受面を有する平面視略矩形状にされてなることを特徴とする。平面視略矩形状の磁性体基板として斜面状の受面とすることで、受面を介して正確な位置で確実に中心導体を折曲できて磁性体基板の他面側に巻き込むことができる結果、磁性体基板に対して中心導体を確実な位置に設置できる。即ち、中心導体を受面を介して確実に折り曲げることができる結果、中心導体の折り曲げ加工に伴う変形も抑制できるので、各中心導体が所定の角度で磁性体基板に対して折り曲げられる。
よって特性が良好で安定化された高品質の非可逆回路素子が得られ、非可逆回路素子の組立作業の生産性も向上する。
【0017】
本発明は前記課題を解決するために、前記共通電極が、相対向する2辺とこれら2辺の各端部どうしを接続する1つ以上の辺とから区画される形状の平面視横長型あるいは縦長型とされ、その周縁部の少なくとも一部を前記磁性体基板の周縁部に添わせて磁性体基板の一面側に配置されてなることを特徴とする。
共通電極の一部形状を磁性体基板に近い形状とすることで共通電極を磁性体基板の一面側に収まりよく配置できる。
【0019】
本発明のアイソレータは前記課題を解決するために、先のいずれかに記載の構成の非可逆回路素子を備えたことを特徴とする。
これにより、先の種々の特徴を有する非可逆回路素子を備えたアイソレータを提供できる。
【0020】
本発明のアイソレータは前記課題を解決するために、前記請求項1〜11のいずれかに記載の前記第1の線路導体と前記第2の線路導体と前記第3の線路導体にコンデンサ基板が接続され、前記3つの線路導体のうちの1つに抵抗素子が接続され、前記磁性体基板と前記線路導体と前記コンデンサ基板と前記抵抗素子がケース体に収納されてなることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
図1〜図6は本発明に係る非可逆回路素子を備えたアイソレータの第1の実施の形態を示すもので、この形態のアイソレータ1は、上ヨーク2と下ヨーク3とで構成される磁気閉回路内に、永久磁石などからなる磁石部材4と強磁性体からなる磁性体基板5と線路導体6、7、8とこれら線路導体6、7、8を接続した共通電極10と磁性体基板5の周囲に配置されたコンデンサ基板11、12と終端抵抗13とを備えて構成されている。
【0022】
前記上ヨーク2と下ヨーク3は軟鉄などの強磁性体からなり、図4と図5に示すように4角形状の箱型に形成されている。なお、それらヨークの表裏面にはAgメッキなどの導電層が被覆形成されていることが好ましい。また、側面視略コ字型の上ヨーク2は側面視略コ字型の下ヨーク3に嵌め込み自在の大きさとされており、上ヨーク2と下ヨーク3の互いの開口部分を嵌め合わせることで両者を一体として箱型の磁気閉回路を構成することができるように構成されている。
即ち、下ヨーク3は図4に示すように平面視矩形状の底板3aとこの底板3aの相対向する2辺側に立設された側壁部3bとから構成される側面コ字型に形成されるとともに、上ヨーク2は図5に示すように平面矩形状の天板2aとこの天板2aの相対向する2辺側に立設された側壁部2bとから構成される側面コ字型に形成され、上ヨーク2の側壁部2b、2bと下ヨーク3の側壁部3b、3bとを互い違いに配置してヨーク2、3を嵌め合わせることで箱型の磁気閉回路が構成されてるように形成されている。なお、これらのヨーク2、3の形状はこの実施形態の如くコ字型に限るものではなく、複数のヨークで箱型の閉磁器回路を構成するものであれば、任意の形状で差し支えない。
【0023】
前記の如く嵌め合わされた下ヨーク2と上ヨーク3が囲む空間には、換言すると下ヨーク2と上ヨーク3からなる閉磁気回路内には、先の磁性体基板5と3本の線路導体6、7、8とこれら線路動体6、7、8を接続した共通電極10とからなる磁性組立体15が収納されている。
前記磁性体基板5は、フェライト等の強磁性体からなり、図2に示すように平面視横長の略長方形板状とされている。より詳細には、相対向する横長の2つの長辺5a、5aと、これらの長辺5a、5aに直角向きの短辺5b、5bと、前記長辺5a、5aの両端部側に位置して各長辺5aに対して150゜の角度で傾斜し(長辺5aの延長線に対しては30°の傾斜角度で傾斜し)、個々に先の短辺5bに接続する4つの傾斜辺5cとから構成される平面視横長の略長方形状とされている。従って磁性体基板5の平面視4つのコーナ部には、それぞれ長辺5aに対する150°傾斜(短辺5bに対して130°傾斜)の傾斜面(受面)5dが形成されている。
【0024】
また、この磁性体基板5においては、その横方向、即ち長手方向の幅と、その縦方向、即ち長手方向に直交する方向の幅との比、即ち縦横比が25%(1:4)以上、80%(4:5)以下の範囲、即ち平面視横長であることが好ましい。なお、ここで、図1に示すものは平面視横長の磁性体基板5であるが、図1を90゜回転させた横方向から見ると、磁性体基板5は縦長形状となる。よって本発明では、磁性体基板5は横長形状でも縦長形状でも全く等価のものと考える。
【0025】
先の3本の線路導体6、7、8と共通電極10は図3の展開図に示すように一体化されてなり、3本の線路導体6、7、8と共通電極10とを主体として電極部16が構成されている。この共通電極10は、平面視先の磁性体基板5とほぼ相似形状の金属板からなる本体部10Aから構成されている。即ち、本体部10Aは相対向する2つの長辺部10a、10aと、これらの長辺部10a、10aに直角向きの短辺部10b、10bと、前記長辺部10a、10aの両端部側に位置して各長辺部10aに対して150°の角度で傾斜し、先の短辺部10bに対しては130°の傾斜角度で接続する4つの傾斜部10cとから構成される平面視略長方形(矩形状)とされている。
【0026】
そして、先の共通電極10の4つのコーナ部の傾斜部10cのうち、一方の長辺部側の2つの傾斜部10cから第1の線路導体6と第2の線路導体7が延出形成されている。まず、先の2つの傾斜部10cの一方から、第1の基部導体6aと第1の中央導体6bと第1の先端部導体6cからなる第1の線路導体6が延出形成される一方、先の傾斜部10cの他方から、第2の基部導体7aと第2の中央導体7bと第2の先端部導体7cとからなる第2の線路導体7が延出形成されている。前記基部導体6a、7aはいずれも傾斜部10cを延長するように傾斜部10cと同じ幅に形成されていて、基部導体6a、7aはそれらの中心軸線を共通電極10の長辺部10aに対して150゜の傾斜角度で傾斜させて設けられている。次に、前記中央導体6b、7bはいずれも共通電極10の短辺部10bに対して平行に、換言すると基部導体6a、7aの中心軸線(長さ方向)に対して150゜の傾斜角度で形成され、更に先端部導体6c、7cはいずれも共通電極10の長辺部10aに対して150゜傾斜とされている。
これらのことから、接続導体6a、7aの中心軸線どうしがなす角度θ1は図3に示すように60°とされており、先端部導体6c、6cの中心軸線どうしがなす角度θ2は図3に示すように120゜とされている。
【0027】
次に、前記第1の線路導体6の幅方向中央部には、共通電極10の外周部から基部導体6aと中央導体6bを通過し先端部導体6cの基端部まで到達するスリット部18が形成され、このスリット部18を形成することにより中央部導体6bが2本の分割導体6b1、6b2に分割され、基部導体6aも2本の分割導体6a1、6a2に分割され、前記第2の線路導体7の幅方向中央部にも同様のスリット部19が形成され、このスリット部19を形成することにより中央部導体7bが2本の分割導体7b1、7b2に分割され、基部導体7aも2本の分割導体7a1、7a2に分割されている。
前記スリット部18の共通電極10側の端部は接続導体6aを通過して共通電極10の外周部から若干深い位置まで到達することで凹部18aを形成し、第1の線路導体6の線路長を若干長くしているとともに、前記スリット部19の共通電極10側の端部も接続導体7aを通過して共通電極10の外周部まで到達することで凹部19aを形成し、第2の線路導体7の線路長を若干長くしている。
【0028】
一方、前記共通電極10の他方の長辺部10a側の中央部に第3の線路導体8が延設されている。この第3の線路導体8は共通電極10から突出形成された第3の基部導体8aと第3の中央導体8bと第3の先端部導体8cとから構成されている。前記第3の基部導体8aは、共通電極10の長辺側中央部からほぼ直角に延出形成された2本の短冊状の分割導体8a1、8a2からなり、2本の分割導体8a1、8a2の間にはスリット20が形成されている。前記第3の中央導体8bは、先の分割導体8a1に接続する平面視L字状の分割導体8b1と先の分割導体8a2に接続する平面視L字状の分割導体8b2とからなり、分割導体8b1と分割導体8b2は、これら分割導体8a1、8a2の実質的な導体長を長くするために、互いの中央部を離間するようにして分割導体8a1、8a2から延設され、分割導体8b1と8b2とから菱形の中央導体8bが構成されている。
【0029】
更に、これらの分割導体8b1、8b2の先端側はL字型の第3の先端部導体8cに一体化されている。この第3の先端部導体8cは、先の分割導体8b1、8b2を一体化して先の分割導体8a1、8a2と同じ方向に向けて延出形成された接続部8c1とこの接続部8c1に対してほぼ直角方向に延出形成された接続部8c2とから構成されている。
【0030】
次に、前記共通電極10の一方の長辺部10a側において、第3の線路導体8の分割導体8a1、8a2の両側部分には、共通電極10の長辺部10aを一部切り欠く形で3つの凹部10eが形成され、これらの凹部10eを形成することで第3の線路導体8の線路長が若干長くされている。更に、前記共通電極10の一方の長辺部10aにおいて3つの凹部10eのうちの両側2つの凹部10eの外側、換言すると凹部10eと傾斜部10cとの間の部分に、先の分割導体8a1、8a2と平行な向きに台形型の支持片21が延出形成されるとともに、共通電極10の他方の長辺部10a側の中央部にも平面視長方形状の支持片22が延出形成されている。これら支持片21、22はコンデンサ基板11、12のアース電極とされており、コンデンサ基板11、12の一面に電気的に接続され、更に他面側は後述するように各先端部導体6c、7c、8cと電気的に接続されている。
【0031】
前記の如く構成された共通電極10は、その本体部10Aを磁性体基板5の裏面側(一面側)に添わせ、第1の線路導体6と第2の線路導体7と第3の線路導体8とを磁性体基板5の表面側(他面側)に折り曲げて磁性体基板5に装着され、磁性体基板5とともに磁性組立体15を構成している。即ち、第1の線路導体6の分割導体6a1、6a2を磁性体基板5の1つの傾斜面5dの縁に沿って折り曲げ、第2の線路導体7の分割導体7a1、7a2を磁性体基板5の他の1つの傾斜面5dの縁に沿って折り曲げ、第3の線路導体8の分割導体8a1、8a2を磁性体基板5の長辺5aの縁に沿って折り曲げ、第1の線路導体6の中央導体6aを磁性体基板5の表面側(他面側)に磁性体基板表面側の対角線に沿って添わせ、第2の線路導体7の中央導体7bを磁性体基板5の表面側(他面側)に磁性体基板表面の対角線に沿って添わせ、更に第3の線路導体8の中央導体8bを磁性体基板5の表面部の中央部分に沿って添わせることで共通電極10が磁性体基板5に装着されて磁性組立体15とされている。
【0032】
なお、ここで記載されている対角線とは、図2に示すように磁性体基板5を平面視した場合に、各長辺5aと各短辺5bとの延長線が交わる位置を略長方形状の磁性体基板5の頂点と仮定し、これら4つの頂点のうち、対向する頂点どうしを結ぶ線分を対角線L1、L2と定義する。
更に、前記導体部8b1、8b2は磁性体基板5の表面側に配置されるが、磁性体基板5の表面側に添わせられる分割導体8b1あるいは分割導体8b2の長さは図2に示す磁性体基板5の縦幅(横長長方形状の磁性体基板5の幅方向に沿う幅)の105%以上とすることが好ましい。このようにすることで分割導体8b1、8b2の実質的な導体長を長くして非可逆回路素子としての低周波化と小型化を両立させることが可能となる。
【0033】
以上のように第1〜第3の線路導体6、7、8を磁性体基板5の表面側に装着することで、図1Aに示すように第1の線路導体6と第2の線路導体7は個々に磁性体基板5の対角線L1、L2に沿って重ねて配置され、第1の中心導体6bと第2の中心導体7bは磁性体基板5の表面上において平面視120゜の傾斜角度で交差されて重ねられている。また、第1〜第3の中心導体6b、7b、8bの重なり状態において、第1の中心導体6bの分割導体6b1、6b2と、第2の中心導体7bの分割導体7b1、7b2とが重ねられた部分は、磁性体基板5の表面側において平面視的に全て位置ずれされて配置され、分割導体6b1、6b2と分割導体7b1、7b2とが重ねられた部分は磁性体基板5の表面上において重ならないように配置されている。
【0034】
さらに、分割導体6b1、6b2と分割導体7b1、7b2とが重ねられた部分に対してこれらの部分を避けるように第3の中心導体8bの分割導体8b1、8b2が配置されている。従って、磁性体基板5の表面上において、分割導体6b1、6b2と分割導体7b1、7b2と分割導体8b1、8b2がこれらの組み合わせのうち、2本重なって配置されることはあっても、3本が重ねられる部分は生じないように配置されている。
なお、図1(A)では略したが、磁性体基板5と第1の線路導体6と第2の線路導体7と第3の線路導体8との間には各々に図1(B)に簡略的に示すように絶縁シートZが介在されて各線路導体6、7、8は個々に電気的に絶縁されている。
【0035】
次に、前記磁性組立体15は下ヨーク3の底部中央側に配置され、下ヨーク3の底部側の磁性組立体15の両側部分には平面視細長で先の磁性体基板5の半分程度の厚さの板状のコンデンサ基板11、12が収納され、コンデンサ基板12の一側部側には終端抵抗13が収納されている。より詳細には、先の磁性組立体15の磁性体基板5の長さが下ヨーク3の内幅とほぼ同じに形成され、磁性体基板5の幅(長手方向に直交する方向の幅)が下ヨーク3の内幅よりも小さく形成されているので、磁性体基板5を下ヨーク3の内部に図1に示すように平面視横長になるように収納した状態において、磁性体基板5の幅方向両側には図1に示すようにコンデンサ基板11、12を収納可能な空間部が形成され、それらの空間部にコンデンサ基板11、12と終端抵抗13が収納されている。
【0036】
そして、先の第1の線路導体6の先端部導体6cを先のコンデンサ基板11の一側端部に形成されている電極部11aに電気的に接続し、先の第2の線路導体7の先端部導体7cを先のコンデンサ基板11の他側端部に形成されている電極部11bに電気的に接続し、先の第3の中央導体8の先端部導体8cをコンデンサ基板12と終端抵抗13に電気的に接続して磁性組立体15にコンデンサ11、12と終端抵抗13とが接続されている。なお、終端抵抗13を接続しなければ、サーキュレータとして作用する。
【0037】
前記先端部導体7cの部分が接続されたコンデンサ基板11の端部側に非可逆回路素子1としての第1ポートP1が形成され、先端部導体6cの部分が接続されたコンデンサ基板11の端部側に非可逆回路素子1としての第2ポートP2が形成され、先端部導体8cの部分が接続された終端抵抗13の端部側が非可逆回路素子1としての第3ポートP3とされている。
【0038】
この形態の非可逆回路素子1において、第1ポートP1と第2ポートP2に沿う方向に平行な方向のコンデンサ基板11の長手を非可逆回路素子1全体の同方向の長手(換言すると、下ヨーク3の同方向の長さ)の65%以上、100%以下とすることが好ましい。この範囲の長さの中でも75%以上、100%以下であることがより好ましい。
次に第1ポートと第2ポートに沿う方向に直交する方向においては、コンデンサ基板11の幅が非可逆回路素子1全体の同方向の長さの(換言すると下ヨーク3の同方向の長さの)15%以上、45%以下であることが好ましい。この範囲の幅の中でも30%以上、45%以下であることがより好ましい。
【0039】
また、下ヨーク3と上ヨーク2との間の空間部において磁性組立体15はその空間部の厚さの半分程を占有する厚さに形成されているので、磁性組立体15よりも上ヨーク2側の空間部分には、図6にも示すスペーサ部材30が収納され、該スペーサ部材30に磁石部材4が設置されている。
先のスペーサ部材30は、上ヨーク2の内部に収納可能な大きさの平面視矩形板状の基板部31と、この基板部31の底部側の4隅の各コーナ部分に形成された脚部31aとからなり、基板部31において脚部31a…が形成されていない側の面(上面)に円型の収納凹部31bが形成され、該収納凹部31bの底面側には基板部31を貫通する矩形型の透孔31cが形成されている。
【0040】
そして、先の収納凹部31bに円盤状の永久磁石からなる磁石部材4が嵌め込まれ、この磁石部材4を備えた状態のスペーサ部材30がそれらの4つの脚部30aで先のコンデンサ基板11、12とこれらに接続されている第1の先端部導体6c、7c、並びに、終端抵抗13とこれに接続されている先端部導体8cの先端部を下ヨーク3の底部側に押さえ付け、スペーサ部材30の底部により磁性組立体15を下ヨーク3の底面側に押さえ付けた状態でヨーク2、3の間に収納されている。
なお、スペーサ部材30の4つの脚部31aにより先のように先端部導体6c、7c、8cを押さえ付けることにより第1の線路導体6と第2の線路導体7と第3の線路導体8とに張力を付加した状態でこれらを磁性体基板5の表面側に押さえ付けていると同時に、スペーサ部材30の底面によりこれら第1の線路導体6と第2の線路導体7と第3の線路導体8を押さえ付けることでこれらを磁性体基板5の表面側に押さえ付け、これにより磁性組立体16を下ヨーク3の底部側に固定している。
【0041】
図1〜図6に示す本実施の形態のアイソレータ1は、第1の線路導体6と第2の線路導体7がいずれも磁性体基板5の平面状の受面5d、5dを介して折り曲げられ、第3の線路導体8が磁性体基板5の長辺5aに沿って折り曲げられているので、各線路導体6、7、8における中央導体6b、7b、8bの折り曲げ部分が磁性体基板5の表面側において正確な角度、例えば第1の線路導体6と第2の線路導体7においては120゜の角度に折り畳まれる。即ち、平面状の受面5dの縁の直線部分を介しての折り畳み作業となるので、中央導体6b、7bを磁性体基板5の表面側において正確に120゜の角度で交差させて折曲することが容易にできるようになる。従って、入力側の線路導体から磁性体基板5に入力された信号を出力側に効果的に伝搬させることができ、低損失でしかも広帯域な通過特性を発揮できる。従って磁性組立体15の磁気特性として好適なものが確実に得られるようになる。
【0042】
また、磁性体基板5の表面側に折り畳まれた中央導体6b、7b、8bは図1に示すように重ねられるが、この重ねた状態において、中央導体6b、7b、8bの各々において2本に分割されている分割導体6b1、6b2、7b1、7b2、8b1、8b2の各々が個々に重ねられる。しかし、これらの分割導体6b1、6b2、7b1、7b2、8b1、8b2の重ねられた部分においてはいずれかの2つの分割導体のみの重ね部とされ、3つの分割導体が重ねられてはいない。これは、2本の中央導体6、7を2分割した上に、中央導体8bを広げた状態の2分割構造として中央導体6b、7bに対する重ね部分を避けることができるような重ね構造としたためである。
【0043】
このような重ね構造にすることで3つの分割導体が重なることを避けることができ、これによりスペーサ部材30の底部で中央導体6b、7b、8bを磁性体基板5に押し付ける際に中央導体6b、7b、8bの重なり部分を均一に押さえ付けることができる。ここで例えば、分割導体が3本重なる部分が生じると、分割導体が2本重なった部分よりも3本重なった部分の方が厚くなるので、この3本重なった部分にはスペーサ部材30の強い押し付け力が作用する反面、他の2本重なった部分にはスペーサ部材30の押し付け力が十分に作用しなくなるので、中央導体6b、7b、8bに均等に押さえ付け力を作用させてこれらの全てを均等に支持することができなくなるおそれが高くなる。
【0044】
また、前述の如く中央導体8bの分割導体8b1、8b2を非平行もしくは平行でかつ折曲もしくは湾曲するように分割したことにより、入力側の線路導体から入力された信号を効果的に高周波フェライト製の磁性体基板5上を伝搬させ、出力することができ、広帯域な通過特性を発揮させることができる。
また、低周波化するためには各線路導体6、7、8を長くしてインダクタンスを大きくする必要があるが、本発明においては、第3の中心導体8bにおいて、第3の線路導体8が長さ方向中央部側において互いに離れる方向に折曲(屈曲)もしくは湾曲されてなるが、もしくは、互いに平行でかつ折曲もしくは湾曲されてなるが、これにより第3の線路導体8の長さが実質的に長くなって、インダクタンスが大きくなり、低周波化と小型化を両立することができる。
【0045】
次に、本実施の形態では電極部16の本体部10Aを磁性体基板5とほぼ同じ平面視形状としてあるが、このようにすることで本体部10Aがその下に位置する下ヨーク3に広い面積で接触できるので抵抗が低くなり、損失を小さくすることができる。
【0046】
次に、先に説明したごとく第1の線路導体6と第2の線路導体7と第3の線路導体8の各々の付け根の部分には、凹部18a、19a、10eが形成されており、各線路導体の線路長が若干長くされているので、各中心導体6、7、8のインダクタンスが大きくなり、共振容量の面積を小さくできる、換言するとコンデンサ基板11、12の面積を小さくできる効果があり、非可逆回路素子1としての全体の小型化に寄与する。
【0047】
図7Aは、先の実施の形態のアイソレータ1が組み込まれる携帯電話装置の回路構成の一例を示すもので、この例の回路構成においては、アンテナ40にアンテナ共振器41が接続され、アンテ共振器41の出力側にローノイズアンプ(増幅器)42とフィルタ48と選択回路43を介して受信回路44が接続され、アンテナ共振器41の入力側に先の実施の形態のアイソレータ1とパワーアンプ(増幅器)45と選択回路46を介して送信回路47が接続され、選択回路43、46に分配トランス49が接続されて構成されている。
先の構成のアイソレータ1は図7Aに示すような携帯電話装置の回路に組み込まれて使用され、アイソレータ1からアンテナ共振器41側への信号は低損失で通過させるが、その逆方向の信号は損失を大きくして遮断するように作用する。これにより、増幅器45側のノイズ等の不要な信号を増幅器45側に逆入力させないという作用を奏する。
【0048】
図7Bは図1から図6に示した構成のアイソレータ1の動作原理を示すものである。図7Bに示す回路に組み込まれているアイソレータ1は、符号▲1▼で示す第1ポートP1側から符号▲2▼で示す第2ポートP2方向への信号は伝えるが、符号▲2▼の第2ポートP2側から符号▲3▼の第3ポートP3側への信号は終端抵抗13により減衰させて吸収し、終端抵抗13側の符号▲3▼で示す第3ポートP3側から符号▲1▼で示す第1ポートP1側への信号は遮断する。
従って図7(A)に示す回路に組み込んだ場合に先に説明した効果を奏することができる。
【0049】
図8は、本発明に係る第2の実施の形態の非可逆回路素子に適用される電極部35を示すもので、この形態の電極部35において先の実施の形態の電極部16と同じ構成要素には同一の符号を付してそれらの部分の説明を省略する。
この形態の電極部35において先の実施の形態の電極部16と異なるのは、第1の線路導体6と第2の線路導体7において共通電極10の本体部10Aに対する付け根の部分の各々に前記第1の基部導体6aと同じ程度の長さ(深さ)の凹部10fを各々形成し、各線路導体6、7の線路長を更に長く形成した点に特徴がある。また、第3の線路導体8の付け根の部分にも先の凹部10fと同等の長さ(深さ)の凹部10gを形成することで第3の線路導体8の線路長も更に長くされている。
【0050】
この図の実施の形態の如く、共通電極10の本体部10Aに先の実施の形態よりも更に深い凹部10f、10gを形成して線路導体6、7、8の実効の線路長を長くした構造を採用しても良い。この場合、凹部10f、10gを形成した部分側まで絶縁層を配置し、各線路導体6、7、8を磁性体基板5の裏面側において個々に絶縁する構成とする必要がある。また、線路導体8は後述する実施の形態のごとく分割導体8b1、8b2を平行に、かつ、折曲もしくは湾曲して形成させても良い。
以上の構造を採用することで、中心導体6、7、8のインダクタンスが更に大きくなるので、共振容量の面積を小さくできる、換言するとコンデンサ基板11、12の面積を小さくできる効果があり、非可逆回路素子1としての全体の小型化に寄与する。
【0051】
図は、本発明に係る第3の実施の形態の非可逆回路素子に適用される電極部36を示すもので、この形態の電極部36において先の第1の実施の形態の電極部16と同じ構成要素には同一の符号を付してそれらの部分の説明を省略する。
この形態の電極部36において先の実施の形態の電極部16と異なるのは、第3の線路導体80の中央導体80bが分割導体80b1と8b2に分割されている点であり、分割導体80b1は分割導体8b2と非平行ではなく、分割導体8b2に平行になるように屈曲されている。従って第3の中央導体80bはL字型に形成されている。なお、第3の中央導体80bは折曲(屈曲)された形状に記載されているが、湾曲された形状あるいは折り曲げ部分にアールが付けられた形状でも良いのは勿論である。更にこれらの分割導体はL字型に限らず、ジグザグ状、波形等に折曲された形状でも良いのは勿論である。
このような形状とした分割導体80b1、8b2を備えた第3の線路導体80を備えた構造であっても、線路導体80bの実質的な導体長を長くして非可逆回路素子としての低周波化と小型化を両立させることができる。
【0052】
図10は本発明に係る非可逆回路素子(アイソレータ)の第4の実施の形態を示すもので、この形態のアイソレータ50は、上ヨーク51と下ヨーク52とからなる閉磁気回路の内部に、換言すると、上ヨーク51と下ヨーク52の間に、4角板状の永久磁石からなる磁石部材55とスペーサ部材56と磁性組立体57とコンデンサ板58、59、60と終端抵抗61とこれらを収容する樹脂ケース62とを収容して構成されている。
前記磁性組立体57は先の第1の実施の形態の電極部16と同等の電極部16が平面視略長方形状の磁性体基板65に巻き付けられて構成されている。この磁性体基板65は先の形態の横長の磁性体基板5とほぼ同じ形状であるが若干正方形状に近い長方形板状とされている。
図10に示す構造のアイソレータ50においても先の実施の形態のアイソレータ1と同等の効果を得ることができる。
【0053】
図11は磁性体基板の他の形態を示すもので、この形態の磁性体基板60は平面視略長方形状で4つの角部にL字型の切欠状の受部61を有する形状とされ、1つの受部61を構成する2つ平面のうちの一方の平面が線路導体6を折り返すための受面61aとされ、他の1つの受部61を構成する2つ平面のうちの一方の平面が線路導体7を折り返すための受面61bとされ、これらの受面61a、61bにより電極部16の第1の中央導体6bと第2の中央導体7bとが正確に折り返されるように構成されている。
この形態の磁性体基板60においても平面視横長の略長方形状とされ、詳細には、相対向する長辺60a、60aとそれらに直角方向に延在された短辺60b、60bと先に説明した受部61を構成する2つの辺とから平面視略長方形状の磁性体基板60が構成されている。
この磁性体基板60を用いることでも先の第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0054】
図12は磁性体基板の更に他の例を示すもので、この形態の磁性体基板70は平面視略長方形状で4つの角部に平面状の受部71を有し、短辺側が曲線とされた略レーストラック形状とされている。この形状も本発明においては略長方形状の概念に含めるものとする。より詳細には、磁性体基板70は相対向する長辺70a、70aとこれらの長辺70a、70aの端部どうしを接続する楕円弧状の短辺70b、70bとからなり、長辺70a、70aの端部に形成された平面状の受部71、71と長辺70aにより先に説明した電極部16の第1の中央導体6bと第2の中央導体7bと第3の中央導体8を正確に折り返しできるように構成されている。
この磁性体基板70を用いることでも先の第1の実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、第1と第2の中心導体を平行な2辺を有する略長方形状の磁性体基板の一面側から表面側にかけて受面を介して折曲して巻き込んでいるので、中心導体を受面の縁を介して正確な位置で確実に折曲して磁性体基板の表面側に巻き込むことができる結果、磁性体基板に対して中心導体を確実な位置に設置できる。即ち、中心導体を受面の縁を介して折り曲げる結果、中心導体の折り曲げ加工に伴う変形も抑制されるので、各中心導体を所定の角度で磁性体基板に対して折り曲げることができる。
よって特性が良好で安定化された高品質の非可逆回路素子が得られ、磁性組立体を備えた非可逆回路素子としての組立作業の生産性も向上する。
【0056】
また、本発明により、線路導体の付け根の部分に対応する共通電極の周縁部に凹部を刻設することで線路導体の見かけの線路長を長くすることができる。線路導体の線路長が長くなることで線路導体のインダクタンスが大きくなり、共振容量が相対的に小さくなるので非可逆回路素子の小型化に寄与する。また、同じインダクタンスを確保するならば磁性体基板の面積を小さくできる結果、非可逆回路素子の小型化に寄与する。
更に本発明により、共通電極の全体形状を磁性体基板に近い形状とすることで共通電極を磁性体基板の裏面側に収まりよく配置できる。
【0058】
本発明において、分割導体どうしの重ねられた部分が平面視的に位置ずれされて配置される場合、磁性体基板の他面側において分割導体が平面視的に均等に収まり良く配置される。更に、第1の線路導体と第2の線路導体と第3の線路導体の分割導体どうしの重なり部分の全てが平面視的に位置ずれされていると、分割導体どうしが3本重ねられる部分が発生しないので、磁性体基板の他面側において分割導体の2本重なり部分と3本重なり部分の発生に起因する凹凸の発生が少なくなり、磁性体基板他面側における凹凸が少なくなる。
【0059】
本発明においてコンデンサ基板のうち、少なくとも1つを複数の線路導体に接続する共通のコンデンサ基板とすることで大きな容量を小さいなコンデンサ占有体積で稼ぐことができ、非可逆回路素子としての小型化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは本発明の第1の実施の形態に係るアイソレータの一部分を取り除いた状態を示す平面図、図1Bは同アイソレータの断面図である。
【図2】 図2は本発明に係るアイソレータに用いられる磁性体基板の一例を示す平面図。
【図3】 図3は本発明に係るアイソレータに用いられる電極部の展開図である。
【図4】 図4Aは本発明に係るアイソレータの下ヨークを示す平面図、図4Bは同下ヨークの側面図である。
【図5】 図5は同アイソレータの上ヨークを示す側面図である。
【図6】 図6は同アイソレータに備えられるスペーサ部材の一例を示す斜視図である
【図7】 図7Aはこの種のアイソレータが備えられる電気回路の一例を示す図、図8Bはアイソレータの動作原理を示す図である。
【図8】 図8は本発明に係るアイソレータの電極部の第2の例を示す図である。
【図9】 図9は本発明に係るアイソレータの電極部の第3の例を示す図である。
【図10】 図10は本発明に係るアイソレータの他の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図11】 図11は本発明に係るアイソレータに適用される磁性体基板の他の例を示す平面図である。
【図12】 図12は本発明に係るアイソレータに適用される磁性体基板の別の例を示す平面図である。
【図13】 図13は従来の磁性組立体の一例を示す斜視図である。
【図14】 図14は従来の磁性組立体に適用されている電極部の展開図である。
【符号の説明】
1…アイソレータ、2…上ヨーク、3…下ヨーク、4…磁石部材、5…磁性体基板、5d…受面、6…第1の線路導体、6b…第1の中央導体、6b1、6b2…第1の分割導体、7…第2の線路導体、7b…第2の中央導体、7b1、7b2…第2の分割導体、8…第3の線路導体、8b…第3の中央導体、8b1、8b2…第3の分割導体、10e…凹部、10f、10g…凹部、11、12…コンデンサ基板、13…終端抵抗、16…電極部、18、19…スリット部、18a、19a…凹部、30…スペーサ部材、40…電極部、50…アイソレータ、60、70…磁性体基板、L1、L2…対角線。
Claims (10)
- 平行な2辺を有する略長方形状の磁性体基板と、この磁性体基板の裏面側に配置された板状の共通電極と、この共通電極外周部の3方向に延設された第1の線路導体と第2の線路導体と第3の線路導体と、前記第1の線路導体に設けられて前記磁性体基板の表面側に折曲される第1の中心導体と、前記第2の線路導体に設けられて前記磁性体基板の表面側に折曲される第2の中心導体と、前記第3の線路導体に設けられて前記磁性体基板の表面側に折曲される第3の中心導体とが具備されてなり、
前記磁性体基板の平行な2辺の各端部側に前記各中心導体を折曲するための受面が形成され、前記第1の中心導体と第2の中心導体とが、前記磁性体基板の前記受面を介して前記磁性体基板の表面側に折曲され、かつ、この磁性体基板の表面側において前記磁性体基板の対角線に沿うように配置され、
前記共通電極の周縁部が前記磁性体基板の周縁部に添わされて前記共通電極の外形形状が前記磁性体基板の外形形状に沿う形状とされ、
前記第1の線路導体が前記共通電極に接続された部分と、前記第2の線路導体が前記共通電極に接続された部分と、前記第3の線路導体が前記共通電極に接続された部分のうち、少なくとも1つの部分の両側に、前記共通電極の周縁部を刻設してなる凹部が形成されて前記少なくとも1つの線路導体の線路長が延長されてなることを特徴とする非可逆回路素子。 - 前記平行な2辺が前記磁性体基板の長手方向の辺を形成し、前記線路導体に接続される全てのコンデンサ基板が前記平行な2辺に沿って配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の非可逆回路素子。
- 前記第1の線路導体の幅方向中央部と前記第2の線路導体の幅方向中央部にそれらの長さ方向に沿うスリット部が形成されて前記第1の線路導体と前記第2の線路導体が個々に2本の分割導体に分割されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の非可逆回路素子。
- 前記分割導体が前記磁性体基板の表面側に折曲されて前記共通電極の表面側において重ねられ、各分割線路どうしの重ねられた部分が前記共通電極の表面側において平面視的に位置ずれされて配置されたことを特徴とする請求項3に記載の非可逆回路素子。
- 前記磁性体基板の表面側において前記第3の中心導体が前記第1の中心導体及び第2の中心導体に対して平面視重ねられ、前記第1の中心導体と第2の中心導体に対する前記第3の中心導体の重なり部分の全てが平面視的に位置ずれされてなることを特徴とする請求項4に記載の非可逆回路素子。
- 前記第3の中心導体が前記磁性体基板の表面側において平面視前記第1の中心導体と第2の中心導体と交差するように折曲もしくは湾曲されて重ねられ、前記第3の線路導体が2本の分割導体に分けられ、前記2本の分割導体に非平行部分が含まれてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非可逆回路素子。
- 前記第3の中心導体が前記磁性体基板の表面側において平面視前記第1の中心導体と第2の中心導体と交差するように折曲もしくは湾曲されて重ねられ、前記第3の線路導体が2本の分割導体に分けられ、前記2本の分割導体が並行状態とされたまま折曲もしくは湾曲されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非可逆回路素子。
- 前記コンデンサ基板のうち、少なくとも1つが前記複数の線路導体に接続された共通のコンデンサ基板とされたことを特徴とする請求項2に記載の非可逆回路素子。
- 前記請求項1〜8のいずれかに記載の非可逆回路素子を備えたことを特徴とするアイソレータ。
- 前記請求項1〜8のいずれかに記載の前記第1の線路導体と前記第2の線路導体と前記第3の線路導体にコンデンサ基板が接続され、前記3つの線路導体のうちの1つに抵抗素子が接続され、前記磁性体基板と前記線路導体と前記コンデンサ基板と前記抵抗素子がケース体に収納されてなることを特徴とするアイソレータ。
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