JP3677705B2 - 軟弱地盤上の免震構造基礎 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軟弱地盤上の免震構造基礎に係り、特に軟弱地盤における基礎部分の水平変位を抑えて基礎部分に設けられた免震装置を有効に機能させるようにした軟弱地盤上の免震構造基礎に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ウォーターフロントと呼ばれる臨海地区において、中〜高層建物の建設が多く繰り広げられている。このような臨海地区は、過去に比較的浅海の沿岸範囲を埋め立てて造成した地域が多く、埋土及びその下層には、液状化のおそれのある砂質層や軟弱シルトや粘性土からなる軟弱地盤が厚く堆積していることが多い。
【0003】
ところで、地震時においてこれらの軟弱地盤では伝達される地震動のうち比較的長周期成分が卓越することが知られている。したがって、このような軟弱地盤上に免震構造基礎を備えた建物等を構築した場合、軟弱地盤において卓越した長周期成分が建物の固有周期に近くなって共振現象が生じ、建物の振動が著しく増幅されるおそれがある。このため、免震構造基礎を備えた建物は比較的良質な地盤上に構築されることが必要であった。
【0004】
これに対して出願人は図8に示した連続地中壁60を基礎とする構造物50を提案した(特開平8−27810号公報参照)。この構造物50は地表51から表層地盤52を貫いて支持地盤53に達するような基礎杭54と連続地中壁60が設けられ、その連続地中壁60を基礎として上部構造体(建物)を支持するようになっている。さらに連続地中壁60と上部構造体61の間に介在させた免震装置62の剛性を、上部構造体61の共振振動数が表層地盤52の共振振動数と異なるように設定した。
この結果、図示した連続地中壁60を有する構造物では、基礎杭54を囲むようにして設けられた連続地中壁60により基礎全体の剛性が高められ、連続地中壁60に囲まれた地盤部分の周期成分を短くできる一方、上部構造体61の下部に所定剛性を備えた公知の免震装置62(積層ゴムアイソレータ)を配置することにより上部構造体61の固有周期を長くし、共振振動数が一致するのを防止できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図8に示した基礎は多数の基礎杭54を囲むようにして鉄筋コンクリートの連続地中壁60を設けるため大規模な建物のように上部構造体61の重量が大きいものでは特に有効となるが、比較的小さな建物では基礎の建設コストが過大になるという問題がある。また、連続地中壁60と基礎杭との複合基礎のうち、壁厚が薄い連続地中壁60を精度よく構築しなければならず、施工が面倒である。
【0006】
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、地震時における基礎地盤の短周期成分を卓越させ、建物の固有周期と共振しないようにし、免震効果が確実に得られるようにした軟弱地盤上の免震構造基礎を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は基礎杭と、該基礎杭のうちの複数本を包含するように造成されたブロック状の地盤改良体とで上部構造物を支持する複合基礎構造からなり、前記ブロック状の地盤改良体の上面に構築される2重基礎底版の下側底版との間にせん断抵抗体を設けるとともに、前記2重基礎底版の下側底版と上側底版との間に免震装置を配設し、前記上側底版上に構築される上部構造物を支持することを特徴とする。
【0008】
このとき、前記ブロック状の地盤改良体はセメント硬化材を使用した深層混合撹拌構造体とすることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軟弱地盤上の免震構造基礎の一実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、上部構造物10の基礎構造20として本発明による免震基礎構造を適用した例を示した概略構造断面図の一部である。同図に例示した地層では表層の埋土層の下に軟弱層が分布している。この軟弱層としては液状化発生のおそれがある沖積砂層や軟弱シルト層、粘性土層が位置している。さらにその下には支持層として機能する比較的硬い粘性土層、洪積砂層及び砂礫層がある。たとえば支持層としての砂礫層はN値が50以上が得られる。
上部構造物10の基礎底版11は2重構造からなり、2枚の底版11A、11Bに挟まれた免震層12内に免震装置13が装備されている。本実施の形態では、免震層12における水平剛性を低減するために免震装置13として公知の積層ゴムアイソレータ(以下、アイソレータ13と記す。)が平面的に均等な間隔をあけて配設されている。アイソレータ13は柱伏に一致させるように配置してもよいし、上側底版11Aの剛性が十分高ければ柱位置に関係なく配置することも可能である。
一方、杭基礎21の先端21aは支持層に所定根入れ長分だけ根入れされている。この杭基礎21は本実施の形態では所要支持力の大きさから場所打ち杭が採用されているが、杭種は鋼管杭、既製PC杭等種々のものを現場状況、用途に応じて使用することができる。
【0010】
図1には杭基礎のほぼ中央位置にある複数本(図では9本)の杭21を取り囲むように地盤改良体30が形成されている。この地盤改良体30はソイルセメントからなる小径の柱状体を密接した状態でブロックとして杭21の周囲を取り囲み、同図(b)に示した平面形状としたものである。その施工深さは軟弱層の下端近くまで達している。
このように軟弱地盤において支持層まで到達する複数本の杭21のほぼ中央位置に、地盤改良体30を各杭と一体的に造成することにより、地震時において、地盤改良体30は高い剛性を発揮して基礎地盤全体の水平変位を極力抑えるように挙動する。
このように、杭基礎と地盤改良体30を含む基礎地盤は比較的短周期成分が卓越するように改良される。一方、図1(a)に示したように、上部構造物10は免震層12に配設されたアイソレータ13によって支持されている。このため、上部構造物10を支持する基礎部分の水平方向の剛性が低く押さえられ、上部構造物10の固有周期が比較的大きくなる。この結果、地震動のような短周期振動成分に対しての応答加速度は著しく小さくなり、上部構造物10の振動は大幅に改善される。
【0011】
なお、免震層12に配設されるアイソレータ13の基本構造、寸法、水平剛性等の特性は上部構造の規模等によって適宜設定でき、また減衰機構としての各種ダンパー(図示せず)を併設させることも可能である。
【0012】
以下、図1(a)の免震装置が据え付けられている基礎底版11下に施工された地盤改良体30の構成について説明する。図の簡略化のために杭21の符号を一部のみに付した。
地盤改良体30は、図1(a)、(b)に示したように、平面視して複数本の杭21を含むように底面のほぼ中央でマッシブなブロック形状をなしている。このため施工が容易で、また施工範囲の品質のばらつきも抑えることができる。地盤改良体30としての強度的な信頼性も高い。
【0013】
図2(a)は地盤改良体30を基礎底版11に対して2つのブロックで構築したものである。図示したように2つのブロックに分けることにより地震時に杭21の杭頭に作用するモーメントを分散させて基礎底版11の応力を小さくすることができ、部材厚等を薄くすることができる。また、図2(b)に示したように改良範囲を平面形状が円形をなし、全体が円筒形状となるように地盤改良体30を施工することも好ましい。この場合、改良体の強度、変位抵抗性における異方性をなくすることができ、地盤改良体30の地盤改良効果を全方向に対して発揮するようにできる。
【0014】
図3は図1に示した液状化の生じるおそれのある地盤において、上部構造物10の基礎底版11の外側にソイルセメント柱状体からなる外周壁31を構築した例を示したものである。同図に示したように外周壁31は、上部構造物10を支持する杭基礎21を取り囲むように閉合した状態で施工されている。
外周壁31は、当初は上部構造物10の地下部分の掘削段階から本体部分の構築の間、仮設構造として機能する。さらに本設時には液状化のおそれがある層の外周壁31内の地盤Ginと基礎周囲の地盤Goutとを分断するように機能する。このため地震動の継続する時間内に上部構造物10周辺の地盤Goutで局部的に上昇した過剰間隙水圧の範囲が、外周壁31に囲まれた地盤Gin内の範囲にまで及ぶのを阻止できる。したがって地盤Ginの範囲での過剰間隙水圧の上昇は周囲の地下水の影響を受けないため、最小限に抑えることができ、液状化の発生を防止ないしは軽減することができ、基礎の水平抵抗力の低下を防止できる。
【0015】
本実施の形態では、外周壁31として地盤改良体30と同等のソイルセメント柱列壁が使用されている。ソイルセメント柱列壁は、オーガー等を用いて、所定径に削孔された地盤部分の原位置土にセメント系硬化材を混合し、その混合部内にH形鋼等の応力負担材を挿入してソイルセメント部と応力負担材とを一体化させた柱状体を形成し、さらに柱状体を列方向に配列して1枚の壁体としたものである。
【0016】
図4は集合住宅のように、一方向に細長い平面形状をなす構造物の基礎に地盤改良体30を適用した例を示した概略平面図である。同図に示したように建物基礎の両端の妻部分に地盤改良体30を構築することにより偏心水平力によるねじれ挙動に対しても有効に作用することが可能である。
【0017】
なお、上述した地盤改良体30を構築するには、いわゆるセメント系深層混合工法であれば、ソイルセメントで形成する以外に、原位置攪拌式の他、噴射混合、置換式等の改良体形成方法の適用が可能である。また杭体を連結して構成されるブロックの形成手順、オーバーラップ量等についても従来の柱列壁あるいはブロックの構築の例と同様に行うことができる。
ソイルセメントに使用するセメント系硬化材としては、ポルトランドセメント、高炉セメントが一般的であるが、対象地盤の土の性状によってはシリカセメント、フライアッシュセメント等の混合セメントを使用することが可能である。
また、混和剤として遅延型のAE減水剤を使用して、セメントスラリーの状態を比較的長く保持させたり、ベントナイトを混和材として使用することも可能である。
【0018】
ところで、常時には上部構造物としての建物の荷重はそのほとんどが杭基礎によって負担されているため、地盤改良体が負担する建物鉛直荷重は小さく設定されている。このとき地震時に建物基礎底面から地盤改良体に伝達されるせん断力は、地盤改良体上面に作用する鉛直荷重に比例するので、地盤改良体が負担するせん断力が小さな値になることが予想される。そこで、あらかじめ建物底面と地盤改良体との間にせん断力を確実に伝達するためのせん断抵抗体を設けることが好ましい。これにより地震時のせん断力を建物底面から地盤改良体に確実に伝達することができるようになる。
【0019】
以下、建物基礎底面と地盤改良体の上面との間の接合面に形成されるせん断抵抗体の実施例を図5〜図7を参照して説明する。
図5(a)は地盤改良体上面30aに建物の基礎底版11の一部からなる突起41を突設させるようにしたものである。本例においては、地盤改良体30の最上層を打設する際に、所定形状の箱型枠を配設して改良体上面30aの所定位置に凹所を形成しておき、この凹所に基礎底版11を打設して突起41を形成するようになっている。同図(b)は、反対に地盤改良体上面30aに突起42を形成するようにした変形例である。本変形例では、地盤改良体30の最上層を打設する際に、所定形状に配設された型枠内も一体的に打設し、改良体からなる突起42とすれば良い。
このように建物基礎底面11aと地盤改良体上面30aとの間の接合面に所定形状の凹凸面が噛合した状態のせん断抵抗体が形成される。これにより建物基礎底面11aと地盤改良体上面30aとの一体化が図られることになる。この凹凸形状の噛合面の平面形状の例としては、図6の各図に示したような形状の他種々の形状とすることができる。いずれの形状もせん断力の作用方向(地震力入力方向)に対してせん断抵抗性の強弱の差が少なくなる形状が好ましい。そのため、地盤改良体上面30a全面にわたり、同心円状や格子状をなす凹凸形状のせん断抵抗体とすることが好ましい(図6(a)、(b)参照)。なお、この凹凸形状部は建物基礎の杭の施工間隔より細かくなるように設定することが好ましい。
【0020】
図5(c)はせん断抵抗体として、ダボ(dowel)を配設した例を示したものである。ダボ43は、まず位置決めのために下半分が地盤改良体30の最上層に所定間隔で埋設され、その状態で建物基礎底版11が地盤改良体30上に打設されるようになっている。このようにせん断抵抗体としてのダボ43全体が建物基礎底面11aと地盤改良体30との間の接合面位置に埋設されるので、建物からのせん断力が確実に地盤改良体30に伝達される。ダボとしては、短尺に切断したH形鋼、鋼管、コンクリート中詰め鋼管、プレキャストコンクリート(PCa)管、PCaパイル等を使用することができる。また、ダボの配列形状は図6(c)のように縦横にほぼ等間隔となるようにするのが好ましい。
【0021】
また、図7(a)、(b)に示したように地盤改良体30の上端外周を取り囲むように建物基礎底版11を構築することも可能である。この場合、既施工部分である地盤改良体30の外周側面の一部30bが型枠となるので、表面の汚れや付着物を除去するとともに、表面を目粗ししておくことが好ましい。このように建物基礎底面11aから包囲壁45を突設させ、地盤改良体30の上端部分を拘束することにより上部構造部としての建物10からのせん断力を確実に地盤改良体30に伝達することができる。なお、図5、図7の正面図では、図の簡単化のために一部の免震装置13及び杭21の図示を省略している。
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、地盤剛性を高めることにより、基礎地盤において、地震時に比較的短周期成分が卓越するようになり、建物の固有周期との共振を防止し、建物の免震効果を確実に発揮させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による軟弱地盤上の免震構造基礎の一実施の形態を示した正面図、平面図。
【図2】軟弱地盤上の免震構造基礎の他の実施の形態を示した平面図。
【図3】軟弱地盤上の免震構造基礎の他の実施の形態を示した平面図。
【図4】軟弱地盤上の免震構造基礎の他の実施の形態を示した平面図。
【図5】基礎底版と地盤改良体との間のせん断抵抗体を一部断面で示した正面図。
【図6】図5に示したせん断抵抗体の平面形状の例を示した部分平面図。
【図7】地盤改良体の上端部分の包囲壁の構成を示した部分正面図、平面図。
【図8】従来の軟弱地盤上の免震構造基礎の一例を示した正面図。
【符号の説明】
10 上部構造物
11 基礎底版
12 免震層
13 アイソレータ(免震装置)
20 基礎構造
21 杭
30 地盤改良体
31 外周壁
Claims (2)
- 基礎杭と、該基礎杭のうちの複数本を包含するように造成されたブロック状の地盤改良体とで上部構造物を支持する複合基礎構造からなり、前記ブロック状の地盤改良体の上面に構築される2重基礎底版の下側底版との間にせん断抵抗体を設けるとともに、前記2重基礎底版の下側底版と上側底版との間に免震装置を配設し、前記上側底版上に構築される上部構造物を支持することを特徴とする軟弱地盤上の免震構造基礎。
- 前記ブロック状の地盤改良体はセメント硬化材を使用した深層混合攪拌構造体であることを特徴とする請求項1記載の軟弱地盤上の免震構造基礎。
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| JP23182697A JP3677705B2 (ja) | 1997-08-13 | 1997-08-13 | 軟弱地盤上の免震構造基礎 |
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| JP23182697A Expired - Lifetime JP3677705B2 (ja) | 1997-08-13 | 1997-08-13 | 軟弱地盤上の免震構造基礎 |
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