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JP3677802B2 - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自動変速機の油圧制御装置に関し、特にトルクコンバータに充填される作動油の劣化を検出する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、トルクコンバータの作動油の劣化を検出する装置としては、特開平4−224363号公報に開示されている装置がある。
上記公報に記載の装置のトルクコンバータは、内燃機関(エンジン)のクランクシャフトに連結されているインペラと、作動油を介してインペラとの間でトルクの伝達を行い、出力軸に連結されるタービンと、タービンとインペラとを直結する、または、これらの間のスリップ量を制御する直結機構とを備えている。
【0003】
そして、この直結機構により微小スリップ制御を行ったときに、ハンチングまたは振動が発生したとき、作動油が劣化していると判断している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載の装置では直結機構を備えていなければ作動油の劣化を検出することができず、更に、振動又はハンチングを検出する手段を設ける必要があり構成が複雑となる。
本発明では、簡素な構成で、かつ、直結機構を備えていない自動変速機においても作動油の劣化を検出することができる装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の請求項1においては、図8に例示するように、内燃機関と歯車変速装置との間に設けられているトルクコンバータと、車両の運転状態毎にトルクコンバータの初期の入出力回転数差又は入出力回転数比を記憶している初期回転数記憶手段と、実際のトルクコンバータの入出力回転数差又は入出力回転数比を検出する回転数検出手段と、回転数検出手段により検出された入出力回転数差又は入出力回転数比と、回転数検出手段により入出力回転数差又は入出力回転数比が検出された時の運転状態の初期回転数記憶手段に記憶されている入出力回転数差又は入出力回転数比とに基づいてトルクコンバータの作動油の劣化を検出する劣化検出手段とを備えることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0006】
また、請求項2においては劣化検出手段は、回転数検出手段により検出された入出力回転数の差と入出力回転数が検出された時の運転状態の初期回転数記憶手段に記憶されている入出力回転数の差とに基づいてトルクコンバータの作動油の劣化を検出する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0007】
また、請求項3においては、トルクコンバータは、入力軸と出力軸とを直結またはスリップ制御するロックアップクラッチを備え、劣化検出手段により作動油の劣化が検出されると、ロックアップクラッチのスリップ制御時の目標スリップ量を補正する目標スリップ量補正手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0008】
さらに、請求項4においては、劣化検出手段により作動油の劣化が検出されると警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の自動変速機の油圧制御装置を提供する。
【0009】
【作用】
以上の構成を採ることにより、請求項1において、トルクコンバータは内燃機関と歯車変速装置との間に設けられており、初期回転数記憶手段は車両の運転状態毎にトクルコンバータの初期の入出力回転数を記憶している。
また、回転数検出手段は実際のトルクコンバータの入出力回転数を検出し、劣化検出手段は回転数検出手段により検出された入出力回転数と、回転数検出手段により入出力回転数が検出された時の運転状態の初期回転数記憶手段に記憶されている入出力回転数とに基づいてトルクコンバータの作動油の劣化を検出する。
【0010】
また、請求項2において、劣化検出手段は、回転数検出手段により検出された入出力回転数の差と入出力回転数が検出された時の運転状態の初期回転数記憶手段に記憶されている入出力回転数の差とに基づいてトルクコンバータの作動油の劣化を検出する。
また、請求項3において、トルクコンバータは、入力軸と出力軸とを直結またはスリップ制御するロックアップクラッチを備え、目標スリップ量補正手段は劣化検出手段により作動油の劣化が検出されると、ロックアップクラッチのスリップ制御時の目標スリップ量を補正する。
【0011】
さらに、請求項4において、警告手段は劣化検出手段により作動油の劣化が検出されると警告を行う。
【0012】
【実施例】
以下、図面にしたがって本発明の実施例を説明する。
図1は本発明を用いる第1実施例の自動変速機の概略構成図である。ただし、トルクコンバータ3に関しては上半分の断面図のみを示し、下半分は省略している。
【0013】
内燃機関(エンジン)1の出力回転は入力軸2を介してトルクコンバータ3に入力される。入力軸2にはトルクコンバータ3のフロントカバー4とインペラ5とが連結されている。タービン6はフロントカバー4内に回転自在に収容されており、出力軸7に固設されている。トルクコンバータ3は後述する直結機構のロックアップクラッチ8が開放されているときは、作動油を介してインペラ5とタービン6との間でトルク伝達を行う。トルクコンバータ3の出力軸は歯車変速装置12に接続されている。
【0014】
ロックアップクラッチ8は出力軸に固設されており、タービン6と一体に回転する。ロックアップクラッチ8とフロントカバー4との間には空間9が画成され手織り、この空間9はトルクコンバータ3のポート10に連通している。ポート10を介して空間9に作動油が供給されると、ロックアップクラッチ8にはこれをフロントカバー4から離反させる方向に油圧が作動する。又、トルクコンバータ3には別のポート11を有しており、このポートから作動油が供給されると、ロックアップクラッチにはこれをフロントカバー4に押し付ける方向に油圧が作動する。
【0015】
ポート10,11を介してトルクコンバータ3に供給される作動油は油圧制御装置13により制御されている。又、この油圧制御装置13は電子制御装置(ECU)14により制御されている。図2はこのECU14にて実行される処理を示すブロック図である。以下、図2にしたがって説明する。
まず、ECU14には各種センサからの信号が入力される。これらのセンサとして、本実施例では、トルクコンバータ3の入力回転数Np を検出する入力回転数センサ15,トルクコンバータ3の出力回転数NT を検出する出力回転数センサ16,車速Vを検出する車速センサ,スロットル開度θを検出するスロットル開度センサ,作動油温Tを検出する油温センサ,変速ギアの出力回転数N0 を検出する変速回転数センサを備えている。
【0016】
運転条件検出部141においては、ECU14に入力された信号から車両の運転状態を読み込み、車両の運転状態が変化していないか判定する。続くトルコン入出力回転差演算部142では、車両の運転状態が安定しているとき、トルクコンバータの入出力回転数差を入力および出力回転数センサの出力から算出する。又、トルコン入出力回転数マップ検索部では、このときの運転状態に対応するトルクコンバータ入出力回転数差の初期値をマップから検索する。
【0017】
劣化判定部144では、トルコン入出力回転数差演算部142にて算出された実測値と、トルコン入出力回転数マップ検索部にて検索された初期値とに基づいて作動油の劣化度合を判定する。そして、処理指令部145では劣化判定部にて判定された結果に基づいて、例えば、警告灯17を点灯させるべく信号を出力する。
【0018】
次に、以上のECU14にて実行される処理を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本フローチャートは所定時間毎に実行される。
また、本フローチャートは変速過度制御等の車両走行に必要な他の制御に比べて、優先度を低く設定している。
本処理が開始されると、まずステップ100にて、カウンタCの値をクリアする。このカウンタCは同じ運転条件が所定期間継続していることをカウントするためのカウンタである。続くステップ200では各種センサから入力される運転条件を読み込む。本実施例では、トルクコンバータ3の入力回転数Np ,出力回転数NT ,車速V,スロットル開度θ,作動油温T,変速ギア回転数から求まる変速ギア位置を運転条件として読み込む。
【0019】
ステップ300では、ステップ200で読み込んだ各運転条件が前回までに読み込んだ値の最大値より大きいか、また、最小値より小さいかを判断し、肯定判断されればステップ400に進み、その値を最大値、または、最小値として更新し、ステップ500に進む。ステップ300にて否定判断されたときには、そのまま、ステップ500に進む。
【0020】
ステップ500ではカウンタの値を1つインクリメントする。そして、ステップ600にてカウンタCの値が所定値Aより大きいか否かを判断し、所定値A以下のときは再びステップ200に戻り、ステップ200からステップ500までの処理を繰り返す。ステップ600にてカウンタCの値が所定値Aより大きいと判断されるとステップ700に進む。
【0021】
ステップ700では、各センサ入力の最大値と最小値との差が所定値B未満であるか否か、また、ギア位置に変化がないかを判断する。ここで、否定判断されると、ステップ200で読み込んだ運転条件をすべてクリアして、ステップ100に戻る。肯定判断されると、ステップ800に進み、作動油の劣化を検出する処理を開始する。
【0022】
まず、ステップ800では、図4に示す車速V,スロットル開度θ,作動油温Tとの3次元マップから、今回読み込んだ運転条件に対応するトルクコンバータの入出力回転数差の初期値NP-T を読みこむ。次に、ステップ900において、現在のトルクコンバータの入出力回転数差NRP-T をステップ300にて読み込んだ値を用いて次式より算出する。
【0023】
【数1】
NRP-T ={(MAXNP+MINNP)−(MAXNT+MINNT)}/2
ここで、MAXNPはトルクコンバータの入力回転数の最大値,MINNPはトルクコンバータの入力回転数の最小値,MAXNTはトルクコンバータの出力回転数の最大値,MINNTはトルクコンバータの出力回転数の最小値である。
【0024】
そして、ステップ1000において、作動油圧が劣化したか否かを次式により判定する。
【0025】
【数2】
abs(NP-T −NRP-T )>D
ここで、abs(NP-T −NRP-T )とは初期値NP-T と現在の値NRP-T との差の絶対値である。ここで、肯定判断されると作動油が劣化していると判断し、ステップ1100に進み、作動油の劣化を警告灯にて報せる。また、否定判断されたときには、ステップ1200に進む。
【0026】
つまり、本発明ではトルクコンバータの作動油が劣化するとその粘度が変化するためトルクコンバータの入出力関係が変化することを利用して劣化を検出している。
次に、本発明の作動油の劣化検出結果を用いて、作動油の劣化に伴うロックアップクラッチの目標スリップ量のずれを補正する実施例を第2実施例として図5を用いて説明する。なお、図3と同じ処理をするステップには図3と同じステップ番号を付し、説明を省略する。
【0027】
本処理が実行されると、ステップ100からステップ1000までは図3と同じ処理が実行される。ステップ1000にて肯定判断されたとき、つまり、作動油が劣化していると判断されたときは、ステップ2000に進み、図6に示すスリップ初期目標制御値を書き換える。
本実施例では初期目標制御値DSLから補正値ΔDSLを差し引いたものを新たに目標制御値DSLとする。又、図7に示すように、本実施例ではデューティ信号のオフ時間を制御値として与えているため、作動油が劣化したときに補正値ΔDSLを差し引くことにより、ロックアップクラッチは図1においてフロントカバーに押し付けられる方向に補正される。これは、作動油が劣化すると油の粘性が落ちるため、ロックアップクラッチがスリップしやすくなるためである。
【0028】
以上のように、第2実施例の構成を採ることにより、作動油が劣化しても容易にロックアップクラッチを目標スリップ量に制御することができる。
なお、上記各実施例において、運転条件を検出するためにスロットル開度を用いているが、これに限らず、エンジントルクを推定できる他の信号を用いてもよい。
【0029】
また、上記各実施例において、劣化判定を所定値Dをしきい値として判定しているが、しきい値を複数設けて、劣化度合を段階毎に検出し、また、表示するようにしてもよい。このとき、第2実施例における補正値ΔDSLも劣化度合に応じて、例えば劣化度合が大きいほど大きい値となるように値を定めてもよい。
また、本実施例において、作動油の劣化が検出された際に警告灯を点灯するようにしているが、他にも音声等により警告するようにしてもよい。
【0030】
また、上記各実施例において、初期のトルクコンバータの入出力回転数差と現在のトルクコンバータの入出力回転数差との差から作動油の劣化を検出しているが、これに限らず他にも、初期のトルクコンバータの入出力回転数差と現在のトルクコンバータの入出力回転数差との比、あるいは、初期のトルクコンバータの入出力回転数比と現在のトルクコンバータの入出力回転数比との差から作動油の劣化を検出するようにしてもよい。
【0031】
また、トルクコンバータの入出力回転数の初期値としては、あらかじめ設定された値でもよいし、あらかじめ設定された値を、車両にバッテリがつながれてから所定期間(例えば、数トリップ間,所定時間内等)に検出された実際のデータで補正するようにしてもよい。
更に、本実施例では、劣化が一度検出されると警告灯を点灯、または、目標スリップ量を補正するようにしているが、誤検出を防止するために所定回数劣化が検出されて初めてこれらの制御を実行するようにしてもよい。
【0032】
このように作動油の劣化判定を行うことにより、車両のユーザーに作動油の交換時期を伝えることもできる。また、作動油の劣化が検出される期間が極端に短いときには、自動変速機に異常があると判定するようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1または請求項2に記載の発明においては、トルクコンバータの初期の入出力回転数と現在の入出力回転数とを検出することにより、直結機構を備えていない自動変速機においても容易に作動油の劣化を検出することができる。
【0034】
また、請求項3に記載の発明においては、作動油が劣化してもロックアップクラッチの目標スリップ制御を良好に検出することができる。
更に、請求項4に記載の発明においては、作動油の劣化を警告手段により運転車等に知らせることにより、作動油の交換時期等を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に用いる自動変速機の概略構成図である。
【図2】第1実施例の電子制御装置のブロック図である。
【図3】第1実施例において、電子制御装置にて実行されるフローチャートである。
【図4】第1実施例において、入出力回転数差の初期値を求めるための3次元マップである。
【図5】第2実施例において、電子制御装置にて実行されるフローチャートである。
【図6】第2実施例において、目標スリップ量を求めるためのマップである。
【図7】第2実施例において、スリップ制御を実行するときの制御信号を説明するための説明図である。
【図8】本発明の構成要素を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 内燃機関(エンジン)
2 入力軸
3 トルクコンバータ
7 出力軸
8 ロックアップクラッチ
12 歯車変速装置
13 油圧制御装置
14 電子制御装置(ECU)
15 入力回転数センサ
16 出力回転数センサ
17 警告灯

Claims (4)

  1. 内燃機関と歯車変速装置との間に設けられているトルクコンバータと、
    車両の運転状態毎に前記トルクコンバータの初期の入出力回転数を記憶している初期回転数記憶手段と、
    実際の前記トルクコンバータの入出力回転数差又は入出力回転数比を検出する回転数検出手段と、
    前記回転数検出手段により検出された入出力回転数差又は入出力回転数比と、前記回転数検出手段により前記入出力回転数が検出された時の運転状態の前記初期回転数記憶手段に記憶されている入出力回転数差又は入出力回転数比とに基づいて前記トルクコンバータの作動油の劣化を検出する劣化検出手段とを備えることを特徴とする自動変速機の油圧制御装置。
  2. 前記劣化検出手段は、前記回転数検出手段により検出された入出力回転数の差と前記入出力回転数が検出された時の運転状態の前記初期回転数記憶手段に記憶されている入出力回転数の差とに基づいて前記トルクコンバータの作動油の劣化を検出する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  3. 前記トルクコンバータは、入力軸と出力軸とを直結またはスリップ制御するロックアップクラッチを備え、
    前記劣化検出手段により作動油の劣化が検出されると、前記ロックアップクラッチのスリップ制御時の目標スリップ量を補正する目標スリップ量補正手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の油圧制御装置。
  4. 前記劣化検出手段により作動油の劣化が検出されると警告を行う警告手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の自動変速機の油圧制御装置。
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