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JP3678089B2 - 焼却炉 - Google Patents
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JP3678089B2 - 焼却炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、廃棄物を焼却する焼却炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
雑芥や廃油などの廃棄物の焼却に関しては、公害防止対策上種々の規制があり、とくに近年ではその規制が厳しくなっている。一方、発生する廃棄物の内容は、雑芥,廃油,合成樹脂製品など多種多様であり、それらは分別してそれぞれ専用の焼却炉で焼却されている。そのため、このような廃棄物を一度に焼却できる焼却炉が望まれている。とくに、船舶等にあっては、設置スペースの点からこの傾向が強い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、この発明が解決しようとする課題は、多種多様の廃棄物を短時間で完全に焼却でき、有害燃焼生成物の排出量を低減した焼却炉を提供することである。
【0004】
請求項1に記載の発明は、廃棄物を収容する第一燃焼室2と、この第一燃焼室2の下方に配置された第二燃焼室4と、この第二燃焼室4と連通する煙道13とを備え、前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室4とを区画する隔壁7を種類の異なる廃棄物を置くためのロストル部5および炉床部6で構成するとともに、前記ロストル部5を前記第二燃焼室4のバーナ3に近い側に設け、前記炉床部6を前記バーナ3から遠い側に設けたことを特徴としている。
【0006】
請求項に記載の発明は、前記第一燃焼室の内側下部を狭めたことを特徴としている。
【0007】
請求項に記載の発明は、前記第二燃焼室内において、前記ロストル部と前記煙道との間に突出部を設けたことを特徴としている。
【0008】
さらに、請求項に記載の発明は、前記炉床部に突条部を設けたことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、主として固形廃棄物を収容する第一燃焼室と、この第一燃焼室の下方に配置された第二燃焼室とを備えた焼却炉において実現される。この焼却炉は、第二燃焼室にバーナを備えており、第一燃焼室に収容した廃棄物は、第二燃焼室におけるバーナの燃焼によって焼却される。
【0010】
前記焼却炉は、第一燃焼室と第二燃焼室とを区画する隔壁がロストル部および炉床部で構成されている。この隔壁において、好ましくは、バーナに近い側にロストル部を設け、遠い側に炉床部を設ける。また、第二燃焼室には、バーナとは反対側の位置に、この第二燃焼室と連通する煙道を設けている。この煙道は、ロストル部および第二燃焼室を介して第一燃焼室と連通している。
【0011】
以上の構成において、第一燃焼室には、主に固形廃棄物を収容する。このとき、生ゴミのように水分の多い廃棄物や紙束のような廃棄物は、ロストル部に置き、合成樹脂製品のように加熱によって流動状態となるような廃棄物は、炉床部に置く。また、廃ペンキや廃油などのような液体廃棄物は、空缶などの容器に入れた状態で、炉床部に置く。ここで、前記のような液体廃棄物や加熱によって流動状態となるグリースなどのような廃棄物が付着した布などは、加熱により液体廃棄物やグリースなどが流動状態となって分離するため、炉床部に置く。
【0012】
そして、バーナの燃焼を開始すると、まず第二燃焼室が加熱される。そして、第一燃焼室やその内部の廃棄物は、バーナの火炎からの輻射熱や対流熱がロストル部を介して伝達されることにより加熱される。第一燃焼室内の廃棄物が加熱され、廃棄物が燃焼し始めると、この廃棄物からは未燃分を含んだ燃焼ガス(以下、「可燃性ガス」という)が発生する。また、合成樹脂製品などの廃棄物は、加熱によって流動状態となるが、このような廃棄物からは流動状態になる過程において、また流動状態となった後も可燃性ガスが発生する。
【0013】
第一燃焼室で生じた可燃性ガスは、ロストル部を介して第二燃焼室内へ流入し、バーナの近傍,すなわち火炎の根元付近へ流入する。そして、可燃性ガスは、バーナの火炎と混合し、完全燃焼する。この可燃性ガスは、前記のように、燃焼反応が不十分であるため、有害な成分や多量の黒煙が含まれる場合があるが、バーナの火炎の根元付近へ合流させられるので完全燃焼する。そして、完全燃焼した排ガスは、煙道から煙突を介して排出される。
【0014】
また、第一燃焼室内の廃棄物,とくにロストル部に置いた廃棄物は、燃焼しながら小片に分解し、この小片がロストル部から第二燃焼室内へ落下していく。この廃棄物の小片は、第二燃焼室内で落下しながらバーナの火炎によって完全燃焼するため、灰の残留はほとんど無い。
【0015】
以上のように、この発明に係る焼却炉においては、第一燃焼室に収容した廃棄物を完全燃焼することができるため、煤,黒煙,可燃性ガスなどの有害燃焼生成物の排出量を低減することができる。
【0016】
前記第一燃焼室の内側下部は、狭くするのが好ましい。このような形状とすると、第一燃焼室で発生した可燃性ガスをバーナの火炎の形成部分へ向けて流通させることができる。そのため、可燃性ガスと火炎との接触が良好になり、可燃性ガスを完全燃焼させることができる。また、第一燃焼室の内側下部の形状を第二燃焼室へ向けて漸次狭くすると、燃焼中に分解した廃棄物の小片が、第二燃焼室内における火炎の形成部分へ向けて確実に落下する。そのため、廃棄物の小片と火炎との接触が良好になり、廃棄物の小片を完全燃焼させることができる。
【0017】
前記焼却炉においては、第二燃焼室内におけるロストル部と煙道との間に、突出部を設けることもできる。この突出部は、第一燃焼室からの可燃性ガスが、第二燃焼室の天井部分,すなわち隔壁の下面を伝わってそのまま煙道から排出されるのを防止するため、可燃性ガスと火炎との接触を良好にし、可燃性ガスを完全燃焼させることができる。
【0018】
前記焼却炉においては、炉床部に突条部を設けることもできる。この突条部は、炉床部の上面の一部を突出させて形成するほか、炉床部を構成する部材とは別の部材を炉床部の上面に設けることで形成する。この突条部は、加熱されて流動状態となった廃棄物や空缶などの容器からこぼれた液体廃棄物をせき止め、炉床部上に滞留させる。したがって、この突条部は、流動状態となった廃棄物や液体廃棄物がロストル部を介して第二燃焼室内へ流下するのを効果的に防止する。このように、炉床部に突条部を設けることにより、ガス化しきれていない廃棄物が第二燃焼室内へ流下するのを防止できるので、第二燃焼室内の燃焼状態が悪化して黒煙が発生することがなくなる。
【0019】
また、前記のように、炉床部に突条部を設けた構成とすると、炉床部に置く廃棄物のうち、加熱によって流動状態となる廃棄物の量を増やすことができる。すなわち、流動状態の廃棄物は、比較的粘性が高く、水のように簡単には流れない。そのため、突条部を設けなくても、流動状態の廃棄物が僅かであれば炉床部から流下しない。しかし、流動状態の廃棄物の量が多くなるほど、炉床部に広がって炉床部から流下し易くなるため、炉床部に置く廃棄物のうち、加熱によって流動状態となる廃棄物の量を制限する必要がある。そこで、前記のように、炉床部に突条部を設けると、この突条部は、流動状態の廃棄物をせき止め、多量の流動状態の廃棄物を炉床部上に滞留させることができる。したがって、炉床部に置く廃棄物のうち、加熱によって流動状態となる廃棄物の量を増やすことができる。
【0020】
さらに、前記焼却炉において、第一燃焼室には、空気供給手段,たとえば空気噴出ノズルを設けるのが好ましい。第一燃焼室に空気供給手段を設けると、廃棄物から可燃性ガスが発生するのを促進させたり、また可燃性ガスの発生が終わった廃棄物を効率よく完全燃焼させることができる。
【0021】
ここで、前記焼却炉において、第一燃焼室に空気供給手段を設けた場合、この空気供給手段から第一燃焼室への空気の供給量とバーナから第二燃焼室への空気の供給量のうち、少なくとも一方を調整しながら廃棄物の焼却を行うことができる。このように、各燃焼室への空気の供給量を調整しながら廃棄物の焼却を行う運転方法では、各燃焼室における廃棄物,廃棄物からの可燃性ガス,バーナからの燃料の燃焼状態に応じて、空気の供給量を適切に調整することができるため、各燃焼室における燃焼状態を良好に保つことができる。
【0022】
前記運転方法は、詳細には、少なくとも第一焼却工程と第二焼却工程とで廃棄物を焼却する。まず、第一焼却工程は、第一燃焼室において廃棄物の燃焼が始まったときに開始する。第一燃焼室で廃棄物の燃焼が始まると、前記のように、この廃棄物からは可燃性ガスが発生し始め、この可燃性ガスは第二燃焼室でバーナの火炎によって燃焼する。そこで、第一焼却工程では、第一燃焼室において廃棄物の燃焼が緩慢になり、可燃性ガスの発生が促進されるように、第一燃焼室への空気の供給量を調整するとともに、第二燃焼室において可燃性ガスおよびバーナからの燃料が完全燃焼するように、第二燃焼室への空気の供給量を調整する。そして、第一燃焼室で可燃性ガスの発生を促進させ、第二燃焼室へ流入する可燃性ガスを完全燃焼させる。
【0023】
そして、第一燃焼室において、廃棄物がほぼ燃え尽き、ほぼ炭化した状態となると、この廃棄物は所謂おき火燃焼状態となり、第一燃焼室内の温度が低下し始める。そこで、第一焼却工程を終了し、続いて第二焼却工程を開始する。
【0024】
前記第二焼却工程では、第一燃焼室への空気の供給量を第一焼却工程よりも増加させるとともに、第二燃焼室への空気の供給量を第一焼却工程よりも減少させる。第二焼却工程において、第一燃焼室への空気の供給量を増加させると、おき火燃焼状態の廃棄物が急速に燃焼し始めるため、廃棄物が短時間で完全燃焼する。また、第二焼却工程においては、廃棄物からの可燃性ガスの量が僅かとなっているか、あるいは無くなっているため、第二燃焼室内では、主にバーナからの燃料が燃焼している状態となる。そこで、第二燃焼室への空気の供給量を減少させることにより、第二燃焼室の温度低下を防止する。
【0025】
以上のように、前記焼却炉において、第一焼却工程と第二焼却工程とによって廃棄物を焼却するようにすると、廃棄物を短時間で効率よく完全に燃焼させることができる。
【0026】
このような運転方法において、第一焼却工程の前に予熱工程を行うのが好ましい。この予熱工程では、第一燃焼室への空気の供給量を少なくするか、または供給しないようにするとともに、第二燃焼室への空気の供給量を少なくすると、焼却炉を短時間で充分に予熱することができるため、焼却作業全体に要する時間を短縮することができる。
【0027】
ここで、この焼却炉に用いるバーナの燃料としては、通常の液体燃料(灯油,軽油,重油など)や気体燃料(都市ガス,天然ガス,プロパンガス,水素ガスなど)を用いることができるが、廃油やアルコール廃液のような可燃性廃液を使用することもでき、さらにこの可燃性廃液と液体燃料とを混合して使用することもできる。とくに、燃料として可燃性廃液を用いると、前記通常の燃料を消費することなく、可燃性廃液と廃棄物とを同時に焼却することができる。
【0028】
【実施例】
以下、この発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。ここで、図1は、この発明に係る焼却炉の一実施例の縦断側面を示す説明図であり、図2は、図1のII−II線に沿う断面の説明図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う断面の説明図であり、図4は、図1のIV−IV線に沿う断面の説明図であり、図5は、図1の要部を拡大して示す説明図であり、さらに図6は、この発明に係る焼却炉の一実施例における焼却作業時の空気量の調整内容および焼却炉出口の排ガス温度の変化を示す説明図である。
【0029】
図示する焼却炉1は、主に固形廃棄物を収容する第一燃焼室2を備えており、この第一燃焼室2の下部には、バーナ3を備えた第二燃焼室4を配置してある。前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室4との間は、ロストル部5および炉床部6で構成される隔壁7によって区画してある。
【0030】
前記第一燃焼室2は、その内側下部が、前記第二燃焼室4へ向けて漸次狭くなる形状となっている。すなわち、前記第一燃焼室2の幅方向の下部側壁8,8は、図2に示すように、前記バーナ3の軸線方向に対する幅が、前記第二燃焼室4に近づくほど狭くなっている。前記第一燃焼室2の側面には、廃棄物投入口9を設けてある。また、前記第一燃焼室2内における前記隔壁7の近傍には、空気供給手段として、所定個数の空気噴出ノズル10,10,…を配置してある。これらの空気噴出ノズル10は、前記各下部側壁8に適宜の間隔で配置してある。
【0031】
前記第二燃焼室4は、その内側上部が、頂部ほどその幅が狭くなる形状となっており、この実施例においては、図2および図3に示すように、前記第二燃焼室4の上方両隅部を曲面形状としている。そして、前記バーナ3は、前記第二燃焼室4の一方の側面(図1の左側の側面)に、ほぼ水平方向に火炎を形成するように配置してある。
【0032】
前記ロストル部5は、前記バーナ3に近い側に設けられており、前記ロストル部5によって、前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室4とが連通している。前記ロストル部5は、この実施例においては、図1および図2に示すように、前記第一燃焼室2の底部,すなわち前記各下部側壁8の下端における前記第二燃焼室4との連通部12を所定個数の閉鎖部材11,11,…によって選択的に塞ぐことによって構成している。すなわち、前記各閉鎖部材11は、隣り合う各閉鎖部材11との間に所定の間隔を隔てて、前記各下部側壁8のそれぞれによって支持させてある。したがって、前記各閉鎖部材11同士の間が、前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室4とを連通させる連通口(符号省略)となっている。
【0033】
ここで、前記各閉鎖部材11について、詳細に説明すると、前記各閉鎖部材11は、前記各下部側壁8と密嵌合するように、下方ほどその幅を狭くした形状,すなわち図2に示すように、逆台形形状としてある。
【0034】
前記炉床部6は、前記バーナ3から遠い側に設けられている。前記炉床部6は、この実施例においては、図1および図3に示すように、前記閉鎖部材11を所定個数互いに密着させた状態で配置し、前記連通部12を塞ぐことによって構成している。また、この実施例において、前記炉床部6の上面は、ほぼ平らな形状となっており、したがって前記炉床部6は、所謂平炉床として形成されている。
【0035】
前記第二燃焼室4における前記バーナ3に対向する側(図1の右側)には、煙道13を設けてある。この煙道13は、前記第二燃焼室4の側方にほぼ垂直方向に形成され、前記第一燃焼室2の側壁14によって前記第一燃焼室2と区画されている。すなわち、前記煙道13は、前記第二燃焼室4と直接的に連通し、また前記第二燃焼室4および前記ロストル部5を介して前記第一燃焼室2と間接的に連通している。
【0036】
さらに、前記隔壁7の下面には、前記ロストル部5と前記煙道13との間に、突出部15を設けてある。この突出部15は、この実施例においては、図1および図3に示すように、前記各閉鎖部材11のうち、前記ロストル部5と前記炉床部6との境界部分に位置する閉鎖部材11に設けてあり、この閉鎖部材11の下端を他の閉鎖部材11よりも下方へ突出させることによって形成している。
【0037】
また、前記突出部15の形成位置は、この実施例においては、前記ロストル部5と前記炉床部6との境界部分としているが、この位置に限定されるものではなく、前記ロストル部5と前記煙道13との間に形成することができる。また、前記突出部15は、前記隔壁7における前記ロストル部5と前記煙道13との間の一部分を突出させて形成するほか、前記ロストル部5と前記煙道13との間の全体を前記ロストル部5の下面より下方へ突出させて形成することもできる。
【0038】
また、前記突出部15の前記第二燃焼室4への突出量は、前記ロストル部5からの可燃性ガスが前記隔壁7の下面を伝わって前記煙道13へ向けてそのまま流通するのを防止できる高さとなっている。さらに、前記突出部15の突出量は、前記バーナ3からの火炎が直接当たらないように、また火炎の形成を阻害しないように設定されている。一方、前記突出部15の幅(図3の左右方向の寸法)は、前記と同様、前記ロストル部5からの可燃性ガスが前記隔壁7の下面を伝わって前記煙道13へ向けてそのまま流通するのを防止することができる幅となっている。この実施例においては、前記突出部15の幅は、前記連通部12の幅とほぼ同じとなっている。
【0039】
さて、前記炉床部6には、加熱によって流動状態となった廃棄物や空缶などの容器からこぼれた液体廃棄物が前記第二燃焼室4へ流下するのを防止するために、突条部16を設けてある。この突条部16は、この実施例においては、図5に詳細に示すように、前記炉床部6を構成する前記各閉鎖部材11のうちの前記ロストル部5側に位置する閉鎖部材11に一体的に形成してある。そして、前記突条部16の形成位置は、前記炉床部6の端部,すなわち前記炉床部6と前記ロストル部5との境界部としてある。
【0040】
さらに、前記突条部16の幅は、図3および図4に示すように、前記炉床部6の幅,すなわち前記突条部16を形成する閉鎖部材11の幅と同じとなっている。また、前記突条部16の前記炉床部6からの突出高さは、前記炉床部6に置く廃棄物の量,とくに流動状態となる廃棄物や液体廃棄物の量に基づいて、これらの流動状態の廃棄物をせき止めることができるように設定する。このように、前記炉床部6と前記ロストル部5との境界部に前記突条部16を設けると、前記炉床部6全体に流動状態の廃棄物や液体廃棄物を滞留させることができる。
【0041】
また、前記突条部16は、この実施例のように、1条のみならず、複数条設けることもできる。このように前記突条部16を複数条設ける場合、たとえば前記炉床部6を構成する前記各閉鎖部材11のそれぞれに形成することもできるし、前記各閉鎖部材11のうちの適宜の閉鎖部材11に形成することもできる。
【0042】
ここで、前記焼却炉1のその他の構成について説明すると、まず前記各空気噴出ノズル10には、第一空気供給ライン17を接続してある。また、前記バーナ3には、第二空気供給ライン18と燃料供給ライン19とを接続してある。前記第一空気供給ライン17および前記第二空気供給ライン18は、空気の供給量がそれぞれ個別に調整可能となっている。前記燃料供給ライン19は、この実施例では、燃料として、廃油を前記バーナ3へ供給する。
【0043】
つぎに、前記煙道13の終端には、排ガスの排出を促進するとともに、冷却を行うためのエゼクタ装置20を設けてある。このエゼクタ装置20を介して煙突(図示省略)が接続される。
【0044】
以下、前記焼却炉1による焼却作業について、図1〜図6を参照しながら説明する。ここで、前記焼却炉1は、予熱工程,第一焼却工程および第二焼却工程をこの順に行って廃棄物を焼却するように運転される。
【0045】
まず、前記廃棄物投入口9を開き、前記第一燃焼室2内へ廃棄物を収容する。このとき、生ゴミのように水分の多い廃棄物や雑誌などの紙束のような廃棄物は、前記ロストル部5に置き、合成樹脂製品のように加熱によって流動状態となるような廃棄物は、前記炉床部6に置く。また、廃ペンキや廃油などのような液体廃棄物は、空缶などの容器に入れた状態で前記炉床部6に置く。ここで、前記のような液体廃棄物や加熱によって流動状態となるグリースなどのような廃棄物が付着した布などは、加熱により液体廃棄物やグリースなどが流動状態となって分離するため、前記炉床部6に置く。
【0046】
そして、前記第一空気供給ライン17から前記各空気噴出ノズル10へ空気を供給するとともに、前記第二空気供給ライン18から前記バーナ3へ空気を供給する。このとき、前記各空気噴出ノズル10から前記第一燃焼室2への空気の供給量は、廃棄物が緩慢に燃焼し、可燃性ガスが発生するのを促進することのできる量とする。この空気の供給量は、所定時間で前記第一燃焼室2内の廃棄物を完全に焼却するときに必要な単位時間当たりの空気の供給量に対し、数分の一から数十分の一程度(たとえば、1/5〜1/50)の量であり、この実施例においては、1/10としてある。一方、前記バーナ3から前記第二燃焼室4への空気の供給量は、前記バーナ3へ供給される燃料,すなわち廃油に対してほぼ適正か若干多めの空気比となるように予め設定された量である。
【0047】
この状態で、前記燃料供給ライン19から前記バーナ3へ廃油を供給して着火し、予熱工程を開始する。この予熱工程では、まず前記第二燃焼室4が、前記バーナ3による直接的な加熱により、予熱される。この予熱工程では、前記バーナ3からの廃油のみが燃焼している状態であるため、後述する第一焼却工程よりも低空気比の燃焼となり、前記第二燃焼室4の予熱を短時間で行うことができる。
【0048】
そして、前記第二燃焼室4内において前記バーナ3によって発生した熱は、輻射熱としてまた対流熱として、前記ロストル部5を介して前記第一燃焼室2内へ伝わるため、前記第一燃焼室2も短時間で予熱される。前記第一燃焼室2の予熱により、前記第一燃焼室2内の廃棄物が加熱され、この廃棄物が燃焼し始めると、この廃棄物からは可燃性ガスが発生する。
【0049】
このとき、前記ロストル部5に、生ゴミのような水分を多く含んだ廃棄物を置いた場合、水分の蒸発が促進されるため、短時間で乾燥し、燃焼し始める。
【0050】
また、前記炉床部6に合成樹脂製品のような廃棄物を置いた場合、この廃棄物は、加熱されて流動状態となる。このような廃棄物からは流動状態になる過程において、また流動状態となった後も可燃性ガスが発生する。また、この流動状態の廃棄物は、前記突条部16によってせき止められ、前記炉床部6上に滞留した状態となる。そのため、ガス化しきれていない廃棄物が前記第二燃焼室4内へ流下し、前記第二燃焼室4内で煤や黒煙を生じながら燃焼するのを防止することができる。
【0051】
以上のようにして、廃棄物の燃焼が始まるが、予熱工程は、廃棄物の燃焼に先立って行われるため、廃棄物が燃焼し始めたときには、前記第一燃焼室2および前記第二燃焼室4の内部や壁面の温度は、この燃焼を維持するのに充分な温度に昇温している。
【0052】
さて、廃棄物の燃焼が始まると、前記のように、前記第一燃焼室2内への空気の供給量が少ないため、廃棄物は、若干の火炎を伴いながら燃焼し、同時に廃棄物からは可燃性ガスが発生する。この可燃性ガスは、前記ロストル部5を介して前記第二燃焼室4内へ流入し、前記バーナ3の火炎と混合し完全燃焼する。このように、廃棄物やこの廃棄物から発生した可燃性ガスが燃焼し始めると、この燃焼によって空気が消費されて空気比が低下することもあって、前記焼却炉1の出口,すなわち前記煙道13内における排ガス温度が急激に上昇する(図6参照)。
【0053】
この排ガス温度の変化は、前記煙道13に設けた温度検出手段(図示省略)によって検出し、前記煙道13内の排ガス温度が所定温度,たとえば800℃に達すると、第一焼却工程を開始する。この第一焼却工程では、前記バーナ3への空気の供給量を増加させる。このとき、前記バーナ3への空気の供給量の増加分は、廃棄物からの可燃性ガスを燃焼させることのできる量である。
【0054】
この第一焼却工程では、前記のように、前記バーナ3への空気の供給量,すなわち前記第二燃焼室内4への空気の供給量を増加させてあるため、前記第二燃焼室4内の空気比が高くなって、前記第二燃焼室4内における燃焼温度が制限される。そのため、前記煙道13内における排ガス温度が低く抑えられる。また、前記第二燃焼室4への空気の供給量は、可燃性ガスを燃焼させるのに十分な量としているため、不完全燃焼が生じることはない。
【0055】
ここで、前記ロストル部5は、前記バーナ3に近い側に設けてあるから、前記第一燃焼室2内の廃棄物から発生する可燃性ガスは、前記バーナ3の火炎の根元部分へ流入する。そのため、可燃性ガスと火炎との接触時間が長くなり、可燃性ガスは完全燃焼する。しかも、前記第一燃焼室2の内側下部を前記第二燃焼室4へ向けて狭めた形状としたので、前記バーナ3の火炎形成領域に可燃性ガスを集中させて流入させることができるため、可燃性ガスは、火炎と確実に接触し、完全燃焼する。
【0056】
また、この可燃性ガスは、前記ロストル部5を通過後、前記第二燃焼室4の天井部分,すなわち前記隔壁7の下面に沿って前記煙道13へ向けて流れようとするが、前記突出部15によって遮られるため、可燃性ガスが完全燃焼しないまま前記煙道13から排出されるのを防止できる。また、この可燃性ガスは、前記突出部15によって、その流れが下向きに変えられるため、前記バーナ3の火炎と良好に接触し、完全燃焼する。
【0057】
前記第一燃焼室2内の廃棄物のうち、前記炉床部6上の廃棄物は、可燃性ガスを生じながらそのまま燃焼していく。一方、前記ロストル部5上の廃棄物は、可燃性ガスを生じながら前記第一燃焼室2内で小片に分解しながら燃焼していく。とくに、生ゴミのような水分を多く含んだ廃棄物は、前記ロストル部5上で加熱されることにより乾燥が早められ、乾燥した部分が小片に分解しながら燃焼していく。そして、このような廃棄物の小片は、前記ロストル部5を介して前記第二燃焼室4内へ落下する間に、前記バーナ3の火炎により完全燃焼する。
【0058】
このように、前記ロストル部5上の廃棄物が小片に分解すると、廃棄物の表面積が広くなるため、燃焼し易くなり、また前記ロストル部5を介して前記第二燃焼室4内へ落下する際に、前記バーナ3からの火炎によって煽られて、さらに小片に分解されるため、短時間で完全燃焼する。
【0059】
しかも、前記第一燃焼室2の内側下部の形状を前記第二燃焼室4へ向けて漸次狭くしてあるから、廃棄物の小片の落下を促進して、前記第二燃焼室4へ確実に落下させることができ、さらにこの小片を前記バーナ3の火炎の形成部分へ向けて落下させることができるため、廃棄物の小片と火炎との接触が良好になり、廃棄物の小片を完全燃焼させることができる。そのため、煤,黒煙などが煙突から排出されることも無い。
【0060】
そして、廃棄物から可燃性ガスが発生しなくなるころには、廃棄物がほぼ燃え尽き、所謂おき火燃焼状態となる。したがって、おき火燃焼状態となるころには、発熱量が不足し、前記第一燃焼室2および前記第二燃焼室4の温度が低下し始める。このおき火燃焼状態となるまでの時間は、第一焼却工程を開始してから一定の時間で見積もることができる。この実施例では、第一焼却工程を開始してからたとえば40分経過したとき第一焼却工程を終了し、続けて第二焼却工程を開始する。
【0061】
この第二焼却工程においては、前記各空気噴出ノズル10への空気の供給量,すなわち前記第一燃焼室2への空気の供給量を増加させるとともに、前記バーナ3への空気の供給量,すなわち前記第二燃焼室4内への空気の供給量を減少させる。このとき、前記第一燃焼室2への空気の供給量は、所定時間で前記第一燃焼室2内の廃棄物を完全に焼却するときに必要な単位時間当たりの空気の供給量に対し、数分の一程度(たとえば、1/2〜1/4)の量であり、第一焼却工程における空気の供給量の数倍の量である。
【0062】
ここで、第一焼却工程から第二焼却工程へ移行したときの前記第一燃焼室2への空気の供給量の増加分は、予熱工程から第一焼却工程へ移行したときの前記第二燃焼室4への空気の供給量の増加分とほぼ同じになっている。また、第二焼却工程において、前記第二燃焼室4への空気の供給量は、予熱工程における前記第二燃焼室4への空気の供給量とほぼ同じになっている。
【0063】
さて、この第二焼却工程において、前記第一燃焼室2への空気の供給量を増加させると、おき火燃焼状態の廃棄物は急速に燃焼し始める。また、この第二焼却工程において、前記各空気噴出ノズル10からの空気は、前記第一燃焼室2内を攪拌するため、廃棄物は、さらに分解して小片となりながら燃焼する。したがって、この第二焼却工程においては、おき火燃焼状態の廃棄物を短時間で完全に燃焼させることができる。
【0064】
以上のように、前記焼却炉1によれば、前記第一燃焼室2に収容した廃棄物を完全燃焼させることができるため、煤,黒煙,可燃性ガスなどの有害燃焼生成物の排出を低減することができる。また、前記のような第一焼却工程と第二焼却工程によって廃棄物の焼却を行うことにより、複雑な燃焼制御を行うことなく、前記第一燃焼室2および前記第二燃焼室4への空気の供給量の制御のみで、廃棄物を短時間で効率よく完全燃焼させることができ、しかも前記のような有害燃焼生成物の排出を低減することができる。さらに、予熱工程では、前記第二燃焼室4へ供給する空気量を少なくして燃焼させているため、前記第一燃焼室2および前記第二燃焼室4を短時間で十分に予熱することができ、予熱工程の所要時間を短縮できる。
【0065】
さらに、前記焼却炉1においては、前記炉床部6に前記突条部16を設けた構成としてあるため、前記炉床部6に置く廃棄物のうち、加熱によって流動状態となる廃棄物の量を増やすことができる。すなわち、流動状態の廃棄物は、比較的粘性が高く、水のように簡単には流れない。そのため、前記炉床部6に前記突条部16を設けなくても、流動状態の廃棄物が僅かであれば、前記炉床部6から流下しない。しかし、流動状態の廃棄物の量が多くなるほど、前記炉床部6に広がって前記炉床部6から流下し易くなるため、前記炉床部6に置く廃棄物のうち、加熱によって流動状態となる廃棄物の量を制限する必要がある。そこで、前記のように、前記突条部16を設けると、前記突条部16は、流動状態の廃棄物をせき止め、多量の流動状態の廃棄物を前記炉床部6上に滞留させることができる。したがって、前記炉床部6に置く廃棄物のうち、加熱によって流動状態となる廃棄物の量を増やすことができる。
【0066】
しかも、前記焼却炉1において、前記突条部16は、前記炉床部6と前記ロストル部5との境界部に設けてあるため、前記炉床部6全体に流動状態の廃棄物を滞留させることができる。したがって、前記炉床部6上に滞留させることのできる流動状態の廃棄物の量が多くなるため、前記炉床部6上に置く廃棄物の量をさらに多くできる。
【0067】
ここで、前記焼却炉1において、前記炉床部6に前記突条部16を設けることによって流動状態の廃棄物の流下を防止する構成について、この発明に係る焼却炉を船舶用とした場合について説明する。一般に、船舶用焼却炉の場合においては、船舶の揺れにより、前記焼却炉1が傾く場合があるが、前記焼却炉1が傾いた場合、前記突条部16は、前記炉床部6からガス化しきれていない流動状態の廃棄物をせき止め、前記第二燃焼室4内へ流下するのを防止するため、煤や黒煙の発生が防止できる。とくに、前記のように、前記突条部16を複数条設けた構成とすると、船舶用焼却炉として一層効果的である。すなわち、前記のように、前記焼却炉1が傾いた場合、前記各突条部16のそれぞれが流動状態の廃棄物をせき止め、より多くの流動状態の廃棄物を前記炉床部6上に滞留させることができるため、前記第二燃焼室4への流下を防止できる。
【0068】
以上の説明では、前記隔壁7,前記ロストル部5,前記炉床部6,前記突出部15および前記突条部16は、前記第一燃焼室2の底部に前記閉鎖部材11を選択的に配置することによって構成しているが、これらの全てまたは一部を前記第一燃焼室2や前記第二燃焼室4を形成する際に一体的に構成することもできる。
【0069】
また、前記焼却炉1による焼却作業において、第二焼却工程の開始は、第一焼却工程を開始してから排ガス温度が所定温度以下となったときとすることもできる。たとえば、第一焼却工程を開始してから排ガス温度が870℃以下となったときとする。これは、図6に示すように、前記煙道13内の排ガス温度は、廃棄物の燃焼が始まると上昇し、ある温度に達した後低下していく点に着目したものである。さらに、第二焼却工程の開始は、第一焼却工程を開始してから所定時間経過後、排ガス温度が所定温度以下となったときとすることもできる。たとえば、第一焼却工程を開始して20分経過後であって、排ガス温度が870℃以下となったときとする。したがって、第一焼却工程や第二焼却工程の開始は、前記煙道13内の排ガス温度や第一焼却工程の開始からの時間に基づいて行うため、酸素濃度計などのような特殊なセンサを用いる必要がない。
【0070】
さらに、以上で説明した前記焼却炉1における運転方法では、第一焼却工程終了後直ちに第二焼却工程を行っているが、第一焼却工程の終了を待たずに第二焼却工程を開始することもできる。この場合には、第二焼却工程の開始時期を早める側において行う。たとえば、第一焼却工程をその開始後40分で終了する場合、第二焼却工程は第一焼却工程を開始してから35分経過後に開始するように構成する。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る焼却炉によれば、多種多様の廃棄物を短時間で完全に焼却することができ、しかも有害燃焼生成物の排出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る焼却炉の一実施例の縦断側面を示す説明図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面の説明図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面の説明図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿う断面の説明図である。
【図5】図1の要部を拡大して示す説明図である。
【図6】この発明に係る焼却炉の一実施例における焼却作業時の空気量の調整内容および焼却炉出口の排ガス温度の変化を示す説明図である。
【符号の説明】
2 第一燃焼室
3 バーナ
4 第二燃焼室
5 ロストル部
6 炉床部
7 隔壁
13 煙道
15 突出部
16 突条部

Claims (4)

  1. 廃棄物を収容する第一燃焼室2と、この第一燃焼室2の下方に配置された第二燃焼室4と、この第二燃焼室4と連通する煙道13とを備え、前記第一燃焼室2と前記第二燃焼室4とを区画する隔壁7を種類の異なる廃棄物を置くためのロストル部5および炉床部6で構成するとともに、前記ロストル部5を前記第二燃焼室4のバーナ3に近い側に設け、前記炉床部6を前記バーナ3から遠い側に設けたことを特徴とする焼却炉。
  2. 前記第一燃焼室2の内側下部を狭めたことを特徴とする請求項1に記載の焼却炉。
  3. 前記第二燃焼室4内において、前記ロストル部5と前記煙道13との間に突出部15を設けたことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の焼却炉。
  4. 前記炉床部6に突条部16を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼却炉。
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