JP3678120B2 - 偏光光照射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子の配向膜に偏光光を照射して液晶を光配向させるための偏光光照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、透明基板の表面に形成した配向膜に、液晶を所望の方向に配向させる処理(配向処理) を施し、該透明基板を2枚、配向膜を内側にして、所定の間隔の隙間を保つように貼り合せ、該隙間に液晶を注入したものである。
配向膜の配向処理に関し、配向膜に所定の波長の偏光光を照射し露光処理することにより配向を行なう光配向と呼ばれる技術がある。
現在最も一般的に使用される、TN液晶と呼ばれる液晶表示素子は、液晶の配向方向が、2枚の透明基板の間で90°回転するように作られている。したがって、配向方向の異なる配向膜を形成した2枚の透明基板が必要となる。
また、液晶表示素子の1つの画素を2つもしくはそれ以上に分割し、分割した画素毎に液晶の配向方向を変えることにより、液晶表示素子の視野角を改善することが行われている。この方法は画素分割法、あるいはマルチドメイン法と呼ばれている。
光配向を上記画素分割法に適用する場合には、マスクを用いて、基板に形成された画素の分割した一つの部分に偏光光を照射し、次にマスクを交換し、分割した他の部分に、前記とは偏光方向を変えた光を照射する。
【0003】
上記のように、配向膜に偏光光を照射する光配向用偏光光照射装置においては、照射する偏光光の偏光方向を、任意の方向に変更できる装置が望ましい。本出願人は、先に特願平11−7618号において、該光照射装置内に設けた偏光素子を回転させることにより、基板を回転させることなく、基板に照射される偏光光の方向を変更できる、光照射装置を提案している。
【0004】
図11に偏光光の方向を変更できる光照射装置の構成例を示す。
図11において、ランプ1からの光は、楕円集光鏡2で集光され、第1平面鏡3によって光路が折り返され、偏光素子8に入射する。偏光素子8は例えば複数のガラス板を、光軸に対してブリュースタ角だけ傾けて配置したものであり、P偏光光は透過し、S偏光光の大部分が反射する。これにより、所望の消光比を有する偏光光が得られる。
偏光素子8から出射した偏光光(P偏光光) はインテグレータレンズ4に入射後、シャッタ5を介して第2平面鏡6によって折り返され、コリメータレンズ7に入射し、平行光とされた後、マスクMを介してワークW(基板)の配向膜に照射される。
偏光素子8は、光照射装置内において、偏光素子8に入射する光芒の中心を中心軸として、回転自在に設けられており、該偏光素子8を回転させることにより、配向膜に照射される偏光光の方向を、任意に変更・設定することができる。
なお、上記のように偏光素子8を回転させる代わりに、配向膜が形成されたワークWを載置するワークステージ(図示せず)を回転させるようにした装置もある。
【0005】
光照射装置においては、照射面積、照度分布、ワークに照射される光の平行度などの、光学設計上の問題から、必要とされる光路長が決まる。光照射装置を小型化し、かつ該光路長を確保するために、図11に示す第1平面鏡3、第2平面鏡6のようなミラーにより、光路を折り返す。
上記該平面鏡は石英板にアルミ等の金属を蒸着したミラーが用いられる。傷防止のためにミラー面にフツ化マグネシウム(MgF2 )、二酸化ケイ素(SiO2 )、酸化アルミニウム(Al2 O3 )などの保護膜が、通常、数十〜百数十nmの厚さで蒸着されている場合が多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
光配向膜を配向させるためには、所定の波長であって、所定の値以上の消光比を有する偏光光が必要である。これは配向膜の物性により決まる。
消光比とは光に含まれるP偏光成分とS偏光成分の割合である。光配向膜を配向させるためには、消光比10:1以上が望ましいとされている。また、波長は250nm〜350nmの範囲の紫外光を使用する場合が多い。
ところが、図11の装置において、偏光素子から、直線偏光に近い(消光比の良い、例えば20:1〜15:1)偏光光を出射しても、ワークに照射される偏光光の偏光方向を変えようとして偏光素子を回転させると、消光比が低下し( 例えば6:1)、所望の消光比が得られない場合が生じた。
例えば、ブリュースタ角に配置されたガラスを偏光素子とすると、該偏光素子から出射される偏光光(P偏光)は直線偏光である。一般に、直線偏光光をミラーにより反射すると、場合によって反射光は位相のずれにより楕円偏光になることが知られている。これが消光比の低下する原因である。
【0007】
楕円偏光になる理由については次に簡単に説明する。
図12は、偏光素子から直線偏光光が出射し、ミラーに入射角45°で入射し、反射している状態を示す図である。偏光素子から出射する偏光光は紙面に対し上下方向の電場を有している(偏光方向が紙面上下方向である) とする。
図12において、偏光素子から出射される偏光光の光軸と、偏光光の電場の方向とによって決まる平面を平面Aとする。一方、ミラーへの入射光(即ち偏光素子からの出射光)の光軸と、ミラーからの反射光の光軸とによって決まる平面を平面Bとする。図12は、平面Aと平面Bとが互いに平行な場合である。
ここで、偏光素子を、光軸を回転軸として回転させると、平面Aと平面Bとは互いに平行ではなくなり、偏光素子が図12の状態から90°傾いたところで、平面Aと平面Bとは互いに直交する関係となる。
ミラーの反射面において、ミラーに入射する光の、平面Bに平行な成分をP偏光成分、平面Bに垂直な成分をS偏光成分という。
【0008】
平面Aと平面Bとが平行または垂直の関係にある時は、ミラーに入射する偏光光の電場の方向(偏光方向)は、P偏光成分、またはS偏光成分しか有さない。ところが、平面Aと平面Bとが平行または垂直の関係にない場合、例えば、ミラーに入射する直線偏光光の電場の方向(偏光方向)が、図13に示すような場合、ミラーに入射する光は、P偏光成分とS偏光成分とを有することとなる。
一般に、光はミラーにより反射すると位相がずれ、その位相のずれ量は、P偏光成分とS偏光成分とでは異なることが知られている。ミラーに入射する偏光光が、P偏光成分、または、S偏光成分しか持たない場合(平面Aと平面Bとが平行または垂直の関係にある場合)は、反射による位相のずれが生じても、反射光はP偏光成分、または、S偏光成分しか持たないので、反射光は入射光の消光比と同じ直線偏光光となる。
ところが、図13のように、偏光光が、P偏光成分とS偏光成分の両方を有するようにミラーに入射すると、上記したように、反射するP偏光成分の位相のずれ量と、S偏光成分位相のずれ量とが異なるために、P偏光成分とS偏光成分との間に位相差が生じ、反射光は図14に示すような楕円偏光になる(詳しくは、例えば「応用物理ハンドプック」応用物理学会編、丸善株式会社、平成2年3月30日発行、P20〜P22を参照)。
【0009】
即ち、理想的な直線偏光光(消光比が無限大)であっても、平面Aと平面Bとが平行または垂直の関係にない場合、ミラーから出射される光は楕円偏光となる。そして楕円偏光の消光比は、該楕円の長径に対する短径の比で表されるので、消光比は低下する。
したがって、図11の装置において、ワークWに照射される偏光光の偏光方向を変えようとして偏光素子8を回転させると、上記したように平面Aと平面Bとが平行または垂直の関係ではなくなり、第2平面鏡によって反射されると楕円偏光となり、ワークWに照射される偏光光の消光比が低下する。
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、偏光光を反射ミラーに入射し、該反射ミラーにより反射した偏光光を、光配向膜が形成されたワークに照射する光配向用偏光光照射装置において、反射ミラーに入射する偏光光の偏光方向を変化させても、ワークに照射される偏光光の消光比が、偏光素子から出射する偏光光の消光比に対して低下することのない偏光光照射装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
ミラーに入射する直線偏光光の方位角をα、ミラーの反射によって生じるP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差をΔとすると、反射光の楕円偏光の長軸と短軸との長さの比で決まる楕円率角εとの間には、 sin2ε= sin2α× sinΔという関係が成り立つ(例えば、「光学的測定ハンドブツク」、朝倉書店、1981年7月25日発行P412参照)。
また、消光比=(1/ tanε)2 :1と表すことができる。これより、楕円率角εが小さいほど高い消光比が得られることがわかる。仮に、消光比が∞:1の直線偏光光をミラーに入射した時、ε=0の場合、反射光の消光比は∞:1となる。
一方、 sin2ε= sin2α× sinΔより、Δ=0であればε=0となり、この時の消光比は偏光光の偏光方向にかかわらず、消光比は∞:1となる。Δが大きくなるとεはαまで大きくなり得る。その場合、ミラーに偏光方向が45°傾いた偏光光が入射すると、反射光の消光比は1:1となる。
したがって、反射光の消光比を低下させないためには、理想的にはΔ=0またはΔ≒0になるように反射ミラーを構成すればよい。
上記式に基づき計算すると、消光比15:1の偏光光をミラーに入射した時、消光比10:1の反射光を得るためには、Δ≦±20°、消光比12:1の反射光を得るためには、Δ≦±15°、消光比13.5:1の反射光を得るためには、Δ≦±10°である必要がある。
【0011】
前記したように光配向膜を配向させるためには、消光比10:1以上が望ましい。そのためには上述したようにΔ≦±20°であることが必要であり、Δ≦±20°とするためには、次のような手段が考えられる。
P偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差のΔは、ミラーに入射する光の波長、入射角度に依存する。さらにミラーの表面に保護膜を形成する場合には、該膜の種類、膜厚に依存する。したがって、以下に説明するように、ミラーへの偏光光の入射角、保護膜の厚さを適切に設定したり、P偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを打ち消すようなミラーの配置とすればよい。
(1)ミラー表面に膜を形成すると、ミラーに光が入射した時、膜表面で反射する光の位相に対して、膜を透過してミラー表面で反射する光の位相が、膜の光学的厚さに依存して遅れる。
この膜形成による位相のずれを利用すれば、反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを小さくすることができる。
この位相のずれ量の差Δはミラーへの偏光光の入射角に依存する。また、光配向に用いられる波長は光配向膜の種類により決まる。したがって、光学的な設計により定まるミラーへの偏光光の入射角と、光配向膜を配向させるために要求される波長に応じて、ミラー表面に形成する保護膜の種類、及び膜の光学的厚さを選定すれば、Δ≦±20°とすることができ、消光比を10:1以上にすることができる。
(2)反射ミラーに入射する偏光光の入射角度を小さくすれば、反射光におけるP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを小さくすることができる。
したがって、複数の反射ミラーを組み合わせ、各反射ミラーに入射する偏光光の入射角度が小さくなるようにすれば、Δ≦±20°とすることができ、消光比を10:1以上にすることができる。
(3)同じ材質の第1及び第2の反射ミラーを用い、第1の反射ミラーの入射光の光軸と反射光の光軸とにより決まる平面に対して、第2の反射ミラーの入射光の光軸と反射光の光軸とにより決まる平面が垂直になるように、かつ、第1の反射ミラーへの入射角度と第2の反射ミラーへの入射角度とが等しくなるように、上記第1と第2の反射ミラーを配置すれば、第1のミラーの反射によって生じた位相差を、第1のミラーの反射により打ち消すことができる。
したがって、少なくとも第1、第2の2枚の反射ミラーを用い、反射ミラーを上記配置とすることにより、P偏光成分とS偏光成分の位相のずれを無くすことができ、第2の反射ミラーで反射された偏光光を直線偏光とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の第1の実施例の偏光光照射装置の構成を示す。図1において、前記図11に示したものと同一のものには同一の符号が付されており、本実施例においては、第2の平面鏡6の表面に誘電体膜(保護膜)11が形成されている。該誘電体膜の材質、膜厚は、第2の平面鏡6への偏光光の入射角と、ワークW上に形成された光配向膜を配向させるために要求されている波長に応じて、反射する偏光光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δが20°以下になるように選定されている。上記第2の平面鏡6は例えばアルミミラーであり、その表面に形成される誘電体膜11(以下、保護膜11という)としては、例えばフッ化マグネシウム(MgF2 )膜、あるいは二酸化ケイ素(SiO2 )膜を用いることができる。
【0013】
図1において、ランプ1からの光は、楕円集光鏡2で集光され、第1平面鏡3によって光路が折り返され、偏光素子8に入射する。偏光素子8は例えば前記したように、複数のガラス板を、光軸に対してブリュースタ角だけ傾けて配置したものであり、P偏光光は透過し、S偏光光の大部分を反射する。これにより、所望の消光比を有する偏光光が得られる。
偏光素子8から出射した偏光光(P偏光光) はインテグレータレンズ4に入射後、シャッタ5を介して、表面に上記保護膜11が形成された第2平面鏡6によって折り返され、コリメータレンズ7に入射し、平行光とされた後、マスクMを介してワークW(基板)の配向膜に照射される。
偏光素子8は、前記したように光照射装置10内において、偏光素子8に入射する光芒の中心を中心軸として、回転させることができ、該偏光素子8を回転させることにより、配向膜に照射される偏光光の方向を、任意に変更・設定することができる。
【0014】
次に、上記第2平面鏡6に形成する保護膜11の種類、および膜厚の選定について説明する。
図2に、直線偏光光が純アルミミラー(保護膜なし)によって反射された場合の、反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ(計算値) を示す。同図は、偏光光のミラーへの入射角が45°(即ち反射ミラーにより光路を90°折り返す) の場合を示し、前記図12において平面Aと平面Bが45°で交わる場合を示している(この場合が反射光の消光比が最も低下する)。
同図において、横軸は入射する偏光光光の波長(nm)、縦軸はP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ(°)である。
なお、現状において光配向には波長250nm〜350nm付近の光が用いられているので、以下では主として偏光光がこの波長範囲の場合について説明する。
【0015】
上記波長領域において、前記図12における平面Aと平面Bとの関係が垂直・平行でなくとも、前記したようにΔ=0であれば消光比の低下は生じない。
しかし、図2から明らかなように、この波長範囲においてΔ=−30°〜−20°であり、反射による消光比の低下が生じる。
図3〜図5は図2のアルミミラーの表面に、フッ化マグネシウム(MgF2 )膜を形成した場合の、位相のずれ量の差Δを示したものであり、フッ化マグネシウム(MgF2 )膜の膜厚0nm、50nm、75nm、100nm、125nmの場合を示す。
図3〜図5において、横軸は入射する偏光光光の波長(nm)、縦軸はP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ(°)であり、図3は偏光光のミラーへの入射角が30°、図4は入射角が45°、図5は入射角が50°の場合を示している。
【0016】
例えば、反射ミラーへの偏光光の入射角が45°の場合は、図4に示すように、波長範囲250nm〜350nmにおいては、膜厚100nm,125nmのいずれの場合もP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δが20°以下となり、膜厚が100nmの場合、上記位相のずれ量の差Δが最も小さくなる。
前記図12に示した平面Aと平面Bの交わる角度が45°であって、15:1の消光比を有する偏光光が反射ミラーに入射角45°で入射した場合、前記したようにΔ≦±20°であれば、反射光の消光比が、10:1になる。ここで、偏光光の消光比15:1は一般的な偏光素子により得ることができる偏光光の消光比である。
反射光の消光比10:1は、現在の所、光配向膜を配向するために要求される消光比であり、反射ミラーによる反射光の消光比が10:1であれば、実用上、問題は生じない。
さらに、Δ≦±15°であれば、同様の条件下で、反射光の消光比が12:1以上になる。さらに、Δ≦±10°であれば、反射光の消光比が13.6:1以上になる。すなわち、位相のずれ量の差Δが小さくなるほど、入射光の消光比を良くすることで、より消光比の良い反射光を得ることができる。
【0017】
図6は、アルミミラーの表面に二酸化ケイ素(SiO2 )膜を形成した場合の、位相のずれ量の差Δを示したものであり、前記と同様、二酸化ケイ素(SiO2 )膜の膜厚0nm、50nm、75nm、100nm、125nmの場合を示す。同図の横軸は入射する偏光光の波長(nm)、縦軸はP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ(°)であり、偏光光のミラーへの入射角が45°の場合を示している。図6においては、上記波長範囲において膜厚75,100,125nmのいずれもΔが20°以下となり、100nmの場合、Δが最も小さくなる。
【0018】
ここで、反射ミラー上に形成する保護膜11の膜厚は次のように計算される。以下では、偏光光のミラーへの入射角を45°(即ち反射ミラーにより光路を90°折り返す) 、前記図12に示した平面Aと平面Bが交わる角度を45°とした場合(この場合が反射光の消光比が最も悪化する) について計算する。
保護膜11に入射する光の波長をλとし、該波長における保護膜の屈折率をn1 、大気の屈折率をn0 、反射ミラーへの入射角をφ0 とすると、P偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ=0となる膜厚dは、以下のように求められる(例えば「光学的測定ハンドブツク」、朝倉書店、1981年7月25日発行P256〜259参照)。
膜厚dは次の(1)(2)式で表すことができる。ここで、(2)式中のA,B,Cは、上記n1 ,d,φ0 ,λ,Δ,等により定まる値である。膜厚dは実数でなければならないから、次の(3)式が成立しなければならない。
【0019】
【数1】
【0020】
Xは多価関数なので、上記式の解は複数個存在する。上記式から求まるdの内、最小の解と次に小さい解とをそれぞれd1,d2とすると、波長が250nm〜350nmの範囲においては、0.75×d1<d<1.25×d2の範囲であれば、P偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ(ΔP−ΔS)≦±20°となり、0.84×d1<d<1.18×d2の範囲であれば、Δ≦±15°となり、反射光の消光比の低下を防ぐことができる。
以上に基づき、前記図1に示した第2平面鏡6上に形成する膜厚を次のように選定することができる。
(1) ワークW上に形成する光配向膜に応じた偏光光の波長範囲、保護膜11の種類を選定する。また、要求される消光比に基づきP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを求める。
(2) 光照射装置の光学設計を行い、第2平面鏡6に入射する偏光光の入射角を求める。
(3) 偏光光の波長範囲、保護膜11の種類と第2平面鏡6に入射する偏光光の入射角、上記位相のずれ量の差Δに基づき、前記図3〜図6に示したグラフ等を用いて保護膜11の膜厚を選定する。
【0021】
図7に本発明の第2の実施例の偏光光照射装置の構成を示す。図7において、前記図1に示したものと同一のものには同一の符号が付されており、本実施例においては、第2の平面鏡6の代わりに2枚の平面鏡6a,6b(第2、第3の平面鏡という)を用いて、平面鏡6a,6bへの偏光光の入射角を適宜選択し、光配向膜に照射する平面鏡6bの反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを小さくするようにしたものである。
図7において、図1と同様、ランプ1からの光は、楕円集光鏡2で集光され、第1平面鏡3によって光路が折り返され、偏光素子8に入射する。偏光素子8は例えば前記したように、複数のガラス板を、光軸に対してブリュースタ角だけ傾けて配置したものであり、P偏光光は透過し、S偏光光の大部分を反射する。これにより、所望の消光比を有する偏光光が得られる。
偏光素子8から出射した偏光光(P偏光光) はインテグレータレンズ4に入射後、シャッタ5を介して、第2の平面鏡6aに入射し、その反射光はさらに第3の平面鏡6bで折り返され、コリメータレンズ7に入射し、平行光とされた後、マスクMを介してワークW(基板)の配向膜に照射される。
偏光素子8は、前記したように光照射装置10内において、偏光素子8に入射する光芒の中心を中心軸として、回転させることができ、該偏光素子8を回転させることにより、配向膜に照射される偏光光の方向を、任意に変更・設定することができる。
【0022】
図8に、反射ミラー(保護膜なし)への入射角度を変化させた時の、反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを示す。その他の偏光光の偏光方向などの条件は上記と同じであり、横軸が入射光の波長(nm)、縦軸が反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δ(°)である。入射角度は、0,15°,22.5°,30°,45°,60°の場合について計算した。
同図から明らかなように、波長250〜350nmの範囲においては、反射ミラー(保護膜なし)への入射角度が小さくなるほど、反射光の位相のずれ量の差Δは小さくなる。すなわち、反射光の位相のずれ量の差Δを小さくするためには、ミラー(保護膜なし)への入射角度をなるべく小さくすれば良いことがわかる。
【0023】
従って、上記反射ミラー(保護膜なし)を使用して偏光光を90°折り返した後、配向膜にその反射光を照射する場合、図9(b)のように、1枚のミラーにより入射角度45°で反射させて90°折り返すと、配向膜に照射される反射光の位相のずれ量の差Δは20°よりも大きくなるが、図9(a)のように、2枚の上記反射ミラー(保護膜なし)を使用し、22.5°で2回反射させて90°折り返すと、配向膜に照射される反射光の位相のずれ量の差Δは20°よりも小さくなり、ワークWに照射される偏光光の消光比が良くなる。
ただし、ミラーによる反射の回数が増えると光量が低下し、必要な光量が得られなくなる。また、照射エリアの確保等光学設計が非常に複雑になるため、反射させる回数と角度とは適宜選択する必要がある。
【0024】
なお、上記第1の実施例と第2の実施例を組み合わせて偏光光照射装置を構成してもよい。例えば、第2の実施例において、第2、第3平面鏡6a,6b上に入射する偏光光の入射角と、光配向膜を配向させるために要求される波長に応じて保護膜の種類、及び膜の光学的厚さを選定し、第2、第3平面鏡6a,6b上に保護膜を形成し、第3平面鏡6bによる反射光のP偏光光とS偏光光の位相のずれ量の差Δが所望の値以下になるようにすれば、消光比の低下を防ぐことができる。
【0025】
図10は本発明の第3の実施例を示す図であり、同図は、前記図1に示した偏光光照射装置における第2の平面鏡の部分のみを示しており、その他の構成は省略されている。図9において(a)は斜視図、(b)は同図(a)をA方向から見た図、(c)は同図(a)をB方向から見た図である。
本実施例は、図1において第2の平面鏡6の代わりに2枚の平面鏡6a,6b(第1の平面鏡6a,第2の平面鏡6bという)を用い、2枚の平面鏡6a,6bにより位相差のずれを打ち消すように偏光光を反射させるようにしたものである。
図10において、第1の平面鏡6a,第2の平面鏡6bは、同じ材質からなるミラーであり、同図では第1の平面鏡6aの入射光の光軸と反射光の光軸とにより決まる平面に対して、第2の平面鏡6bの入射光の光軸と反射光の光軸とにより決まる平面が垂直になるように折り返し、偏光光の第1の平面鏡6aへの入射角度と第2の平面鏡6bへの入射角度とが等しくなるようにミラーを配置している。第1の平面鏡6a,第2の平面鏡6bは、同じ材質からなるミラーであればよく、両平面鏡6a,6b上に前記した保護膜が形成されていても保護膜の種類、膜厚が同じであればよい。
【0026】
図10において、同図に示すXYZの直交座標系で説明すると、X軸に平行な入射光が第1の平面鏡6aに入射角45°で入射し、Y軸に平行な光を反射する。このY軸に平行な光が、第2の平面鏡6bに入射角45°で入射し、Z軸に平行な光を反射する。
図10に示すように平面鏡を配置すると、第1の平面鏡6aに入射する光のP偏光成分とS偏光成分が、90°回転して第2の平面鏡6bに入射する。すなわち、第1の平面鏡6aに入射する光のP偏光成分とS偏光成分とが、第2の平面鏡6bに入射する光のP偏光成分とS偏光成分とにおいて逆になる。
このため、第1の平面鏡6aで反射した時に遅れた成分が、第2の平面鏡6bで反射した時に、その分早くなる。すなわち、第1の平面鏡6aで生じた位相のずれが、第2の平面鏡6bで反射された時に打ち消されることになる。
したがって、第2の平面鏡6bによる反射光は、第1の平面鏡6aに入射する偏光光と同等の直線偏光光となる。これにより、反射光の消光比の低下を防ぐことができる。
【0027】
図10では図示しやすい一例を示しているが、第1の平面鏡6aの入射光の光軸と反射光の光軸で定まる平面に対して、第2の平面鏡6bの入射光の光軸と反射光の光軸で定まる平面が直交するように第1、第2の平面鏡6a,6bが配置され、第1、第2の平面鏡6a,6bへの偏光光の入射角が等しければ、第1の平面鏡6aで生じた位相のずれを第2の平面鏡6bで打ち消すことができ、第1、第2の平面鏡6a,6bの入射角は図10に示すように45°でなくてもよい。
【0028】
なお、上記の実施例においてはランプからの光を偏光素子により直線偏光させているが、これに限るものではなく、レーザ装置を用いて偏光光を得るように構成しても良い。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)偏光光照射装置において、偏光光を反射する反射ミラーにおける反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δが反射ミラーの入射する偏光光の電場の方向にかかわらず20°以下になるように構成したので、偏光素子から出射する直線偏光光の偏光方向を変化させても、反射ミラーによる反射光が、所望の波長において楕円率角おさえることができ、反射光の消光比の低下を防ぐことができる。
(2)光配向膜が形成されたワークに対し、所望の波長及び消光比の偏光光を、ワークを回転させることなく任意の偏光方向で照射することができる偏光光照射装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の偏光光照射装置の構成を示す図である。
【図2】直線偏光光が純アルミミラーによって反射された場合の、反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを示す図である。
【図3】アルミミラーの表面にフッ化マグネシウム(MgF2 )膜を形成した場合の位相のずれ量の差Δ(入射角30°の場合)を示す図である。
【図4】アルミミラーの表面にフッ化マグネシウム(MgF2 )膜を形成した場合の位相のずれ量の差Δ(入射角45°の場合)を示す図である。
【図5】アルミミラーの表面にフッ化マグネシウム(MgF2 )膜を形成した場合の位相のずれ量の差Δ(入射角50°の場合)を示す図である。
【図6】アルミミラーの表面に二酸化ケイ素(SiO2 )膜を形成した場合の、位相のずれ量の差Δ(入射角45°の場合)を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施例の偏光光照射装置の構成を示す図である。
【図8】反射ミラーへの入射角度を変化させた時の、反射光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差Δを示す図である。
【図9】2枚の反射ミラーを用いた場合と1枚の反射ミラーを用いた場合の反射ミラーへの入射角を説明する図である。
【図10】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図11】偏光光の方向を変更できる光照射装置の構成例を示す図である。
【図12】偏光素子から直線偏光光が出射しミラーに入射角45°で入射し、反射している状態を示す図である。
【図13】図12における平面A、Bが平行もしくは直交していない場合におけるP偏光光とS偏光光成分を示す図である。
【図14】楕円偏光を説明する図である。
【符号の説明】
1 ランプ
2 楕円集光鏡
3 第1平面鏡
4 インテグレータレンズ
5 シャッタ
6,6a 第2平面鏡
6b 第3平面鏡
7 コリメータレンズ
8 偏光素子
9 アライメント顕微鏡
10 光照射装置
11 保護膜
Claims (3)
- 偏光光を反射ミラーに入射し、該反射ミラーの反射光を光配向膜に照射する光配向用偏光光照射装置であって、上記反射ミラーが、入射する上記偏光光の光軸と偏光光の電場の方向とで定まる第1の平面と、入射する上記偏光光の光軸と反射ミラーの反射光の光軸とにより定まる第2の平面とが平行でない、もしくは、直交していない状態に配置された光配向用偏光光照射装置において、
上記反射ミラーへの偏光光の入射角度に応じて、反射ミラーの表面に形成する誘電体膜の膜厚及び材質を選択することにより、上記反射ミラーの反射光中の光配向膜を配向させるために要求されている波長の光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差が20°以下になるようにした
ことを特徴とする偏光光照射装置。 - 偏光光を反射ミラーに入射し、該反射ミラーの反射光を光配向膜に照射する光配向用偏光光照射装置であって、上記反射ミラーが、入射する上記偏光光の光軸と偏光光の電場の方向とで定まる第1の平面と、入射する上記偏光光の光軸と反射ミラーの反射光の光軸とにより定まる第2の平面とが平行でない、もしくは、直交していない状態に配置された光配向用偏光光照射装置において、
上記反射ミラーとして、複数の反射ミラーを組み合わせて用いることにより、上記光配向膜に照射される上記反射ミラーの反射光中の光配向膜を配向させるために要求されている波長の光のP偏光成分とS偏光成分の位相のずれ量の差が20°以下になるようにした
ことを特徴とする偏光光照射装置。 - 偏光光を反射ミラーに入射し、該反射ミラーの反射光を光配向膜に照射する光配向用偏光光照射装置であって、上記反射ミラーが、入射する上記偏光光の光軸と偏光光の電場の方向とで定まる第1の平面と、入射する上記偏光光の光軸と反射ミラーの反射光の光軸とにより定まる第2の平面とが平行でない、もしくは、直交していない状態に配置された光配向用偏光光照射装置において、
上記反射ミラーとして、同じ材質からなる第1及び第2の反射ミラーを用い、第1の反射ミラーの入射光の光軸と反射光の光軸とにより決まる平面に対して、第2の反射ミラーの入射光の光軸と反射光の光軸とにより決まる平面が垂直になるように、かつ、第1の反射ミラーへの入射角度と第2の反射ミラーへの入射角度とが等しくなるように、上記第1と第2の反射ミラーを配置した
ことを特徴とする偏光光照射装置。
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