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JP3678779B2 - 定着器用ロール - Google Patents
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は定着器用ロールに関し、特に電子写真複写機、電子プリンター等における未定着画像を紙等の記録材に熱定着するための定着器用ロールに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真複写機における定着器は、図1に示すように、例えば紙1の上に未定着トナー2を加熱ロール3及び加圧ロール4によりニップさせ、紙1に定着トナー5を熱定着させる方法が一般的である。なお、図1中の符号6は加熱ロール3に設けられたヒータ、符号7,8は夫々加圧ロール4を構成する芯金,シリコーンスポンジ層である。
【0003】
また、近年、軽量化,小型化,低電力化に伴い、図2及び図3(図2の部分詳細図)に示すように芯金7上に接着剤層11を介してシリコーンゴムスポンジ層12を設け、更にこのスポンジ層12上に接着剤層13を介して表面層としての厚み50〜70μmのフッ素樹脂チューブ14を設けた構成のゴムロールが使用されている。ここで、フッ素樹脂チューブ14を設けるのは、トナーと接するゴムロール表面の耐久性向上のためである。フッ素樹脂チューブ14の材料としては、一般的にデュポン社製のテフロン(商品名),PFA樹脂(パーフルオロアルキルビニルエーテル樹脂)が使用されている。
【0004】
図2の2層構造のゴムロールは、高ニップ,低荷重,小型化等の利点があり、広く使用されている。また、このゴムロールのシリコーンゴムスポンジ層に導電性を持たせたり、あるいはフッ素樹脂チューブに導電性を持たせることも可能であり、こうした導電性を持たせたゴムロールが実用化されている。
【0005】
図2のゴムロールは、一般的に以下のように製造されている。まず、一般的なパーオキシド架橋シリコーンゴムに代表的発泡ゴム押出機によりチュービングを行い、加熱発泡を経てシリコーンスポンジゴムチューブを得る。次に、芯金に接着剤を塗布し、前記チューブを芯金に固定接着させる。つづいて、このゴムロールの表面を研削加工により研磨し、ある所定の外径寸法に仕上げる。次いで、この研削されたシリコーンスポンジゴム層表面に接着剤を塗布し、この外周にフッ素樹脂チューブをかぶせ、図2のような2層構造のゴムロールを完成させる。ここで、前記フッ素樹脂チューブの内面は、金属ナトリウム−ナフタレン法,あるいはアンモニア法,スパッタエッチング法等により接着可能な面に処理が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に電子写真複写機等の定着装置では熱定着を行う目的で、150℃〜230℃まで加熱を行いトナーを定着させるために、スポンジゴムロールは熱膨脹によって正クラウン形状になるといった初期変動を起こす。この状態で紙等を定着装置に通過させると、紙等にカール及びシワが発生する。
【0007】
これらのカール及びシワの対策のために、通常ではスポンジゴムロールを逆クラウン形状に研削加工し使用する。しかし、この方法はスポンジゴムロールの硬度が高い場合には有効に作用するが、低硬度、例としてアスカーCスポンジ硬度計で30度以下になると、たとえ逆クラウン形状であってもカール及びシワの発生は避けられないという問題点を有する。
【0008】
そこで、逆クラウン量を多くする方法が考えられる。一般的に逆クラウン量は0.15mm以下に研削加工された値のものであるが、この値を大きくしてゆくと紙等の中心部のトナーが未定着画像となり、使用不能となる。
【0009】
本発明はこうした事情を鑑みてなされたもので、小型,軽量,低電力,低温定着が可能となるとともに、未定着画像を定着する際に紙等のカール及びシワの発生のない定着器用ロールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯金の周面に固定されたスポンジゴム層と、このスポンジゴム層の外周面に接着剤層を介して固定されたフッ素樹脂被覆層とを具備した定着器用ロールにおいて、前記スポンジゴム層の内部に中央部より両端部に向かって対称な中央振り分けの連続した螺旋状のスリットを設けることにより、加圧回転時に前記スリットの存在によりスポンジゴム層間でズレが生じ、中心部より両端部に傾斜引力が働くことを特徴とする定着器用ロールである。
【0011】
本発明において、スポンジゴム層の内部に中央部より両端部に向かって連続した螺旋状のスリットを設けることは、定着時の加圧回転によってロール中央部より両端部に向かって紙等が引き延ばされる効果(ネジの効果)により紙等のカール及びシワの発生を抑制することにある。ここで、この連続した螺旋状のスリットには、このスリットが等間隔の場合(図4)、このスリットが両端部に向って広がっているような不等間隔の場合(図5)、そして芯金の軸方向に対して角度が形成された傾斜型螺旋構造(図6)の3種類及びそれらの組合わせが考えられる。
【0012】
前記スポンジゴム層には一般的にシリコーンゴムが使用されるが、他にEPDMゴム,フッ素ゴム,ニトリルゴム,クロロプレンゴム,エピクロルヒドリンゴム,NBRゴム等の耐熱性を有するゴムならば使用可能であり、導電性,熱伝導性,誘電率特性,耐電性,スポンジ硬度,発泡度合,スポンジゴム層外径の形状等には特にとらわれない。また、スポンジゴム層の長手方向に貫通孔があってもかまわない。更に、スポンジゴム層に形成された螺旋状のスリットの形状は、中央部より端部に対称的に形成されるが、その中心が変動してもかまわない。これは、用紙のサイズによってロールの中心値が変動するためであり、中心より少し端部に変動しても十分使用に耐えられる。
【0013】
【作用】
本発明によれば、芯金上に形成されたスポンジゴム層内部に対称的に形成してなる螺旋状のスリットによって中心部より両端部に向って傾斜引力が働くことにより、紙等のカール及びシワの発生を抑えることができる。即ち、図7に示されるようにスポンジゴム層12は接着剤層13によりフッ素樹脂チューブ層14と固定されており、また同一のスポンジゴム層12は接着剤層11により芯金7と固定されていることがわかる。
このため、加圧回転変形においてこの自由な螺旋状のスリット15の存在によりスポンジ16a,16b間でズレが生じる。このズレと回転の作用によりカール及びシワのない用紙走行が可能となる。ここで、螺旋状のスリットの深さ、即ちスリットが芯金まで達しているかどうかにはとらわれない。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について説明する。
本発明に係る定着器用ロールは次のようにし製作した。
シリコーンゴム(商品名:KE903U、信越化学工業(株)製) 100重量部
シリコーンゴム用加硫剤(商品名:C-1 、信越化学工業(株)製) 1重量部
シリコーンゴム用加硫剤(商品名:C-3 、信越化学工業(株)製) 3重量部
シリコーンゴム用発泡剤(商品名:KEP-13、信越化学工業(株)製) 2重量部
上記コンパウンドを十分に混合し、シリコーンゴムコンパウンドを得た。
【0015】
次に、このシリコーンゴムコンパウンドをゴム押出機と加熱炉による250℃×20分の加熱発泡硬化により、内径φ9mm,外径22mmの中空のシリコーンゴムチューブを得た。つづいて、このシリコーンゴムチューブを外径φ10mmの芯金に接着剤を介して挿入接着し、スポンジゴムロールを形成した。
【0016】
次に、このスポンジゴムロールを外径φ20mmに研磨して表面がストレートなスポンジゴムロールを得た。つづいて、このスポンジゴムロール表面に信越化学工業(株)製のKE42RTVを均一に塗布した後、内径φ19.5mm、厚さ50μmのPFAフッ素樹脂チューブを挿入し、所定の外形φ20mmのロールを得た。このスポンジゴムロールの硬度は、アスカーCで32゜であった。
【0017】
また、上記研磨前のスポンジゴムロールを逆クラウン量0.1mm,0.2mm,0.3mmにそれぞれ研磨し、スポンジゴムロールを得た。ここで、逆クラウン量とは、図8を用いて説明すれば、ロールの一方の端部からの距離L1 でのロール径をD1 、他方の端部から距離L2 でのロール径をD2 、ロール中央でのロール径をD3 、ロールの全長をLとすれば、逆クラウン量=D1 −D3 =D2 −D3 とある。但し、L1 ,L2 は共にLの約10%である。
【0018】
これら逆クラウンロールとPFAチューブ被覆前の表面ストレート研磨スポンジゴムロールを含め、以下のようなスリットを施し、これらに上記したように接着剤を介して表面被覆層を固定しこれらを実施例1〜12とした。また、スリットを施さないロールを同様に作製し、これらを比較例1〜4とした。
【0019】
(A)左右対称等間隔ピッチのスリット(図4)。ここで、符号a,b,c,dは芯金の軸方向に沿うスポンジゴム層縁部でのスリット間の距離を示す。
(B)左右対称不等間隔ピッチのスリット(図5)。ここで、符号a〜dは上記と同様である。
【0020】
(C)左右対称等間隔ピッチの面傾斜スリット(図6)。図6において、x軸は面長方向,y軸は円周方向,z軸はスポンジゴム層の肉厚を夫々示し、それらは互いに直交している。
【0021】
つづいて、これらのスポンジゴムロール表面に信越化学工業(株)製のKE42RTVを均一に塗布した後、内径φ19.5mm、厚さ50μmのPFAフッ素樹脂チューブを挿入し、所定の外径φ20mmのロール12種類を得、これらを実施例1〜12とした。これらのロール硬度は、いずれもアスカーCで32°であった。また、上記実施例とは別にスリットを施さないことだけが違うスポンジゴムロールにPFAチューブを被せたロール4種類を同様に作製し、これらを比較例1〜4とした。
【0022】
なお、スポンジゴムロールのスリット形成は、旋盤上でスポンジゴムロールを回転させ、スポンジゴムロール表面にナイフをあてがい、中央部から端部に向かってネジを切るようにナイフを移動し、次にこのスポンジゴムロールを反転させ、中央部よりもう一方の端部に向かって同様にスリットを入れることによって行った。このときナイフの移動速度あるいは角度を制御することによって、上記(A)〜(C)のスリットを施したスポンジゴムロールを得た。また、上記(C)において実用的な角度は5゜以内と考えられる。
【0023】
こうして得られた定着器用ロール16種類の構成は以下の通りである。実施例1,4,7,10に係る定着器用ロールは、芯金7上にシリコーンスポンジ層11を介してPFAフッ素樹脂チューブ14を設け、かつ前記シリコーンスポンジ層11に左右対称で等間隔ピッチのスリット41を設けた構成になっており、逆クラウン量は夫々0.0,0.1,0.2及び0.3である。
【0024】
また、実施例2,5,8,11に係る定着器用ロールは、芯金7上にシリコーンスポンジ層11を介してPFAフッ素樹脂チューブ14を設け、かつ前記シリコーンスポンジ層11に左右対称で不等間隔ピッチのスリット51を設けた構成になっており、逆クラウン量は夫々0.0,0.1,0.2及び0.3である。
【0025】
更に、実施例3,6,9,12に係る定着器用ロールは、芯金7上にシリコーンスポンジ層11を介してPFAフッ素樹脂チューブ14を設け、かつ前記シリコーンスポンジ層11に左右対称で等間隔ピッチの面傾斜スリット61を設けた構成になっており、逆クラウン量は夫々0.0,0.1,0.2及び0.3である。
【0026】
比較例1,2,3,4に係る定着器用ロールは、芯金7上にスリットのない通常のシリコーンスポンジ層11を介してPFAフッ素樹脂チューブ14を設けた構成になっており、逆クラウン量は夫々0.0,0.1,0.2及び0.3である。
【0027】
以上のようにして作製したPFAフッ素樹脂チューブ被覆シリコーンゴムロールの通紙テストの結果を、下記「表1」,「表2」に示す。ここで、表1は比較例1〜4に係る3000枚通紙テストの結果であり、表2は実施例1〜12に係る3000枚通紙のテストの結果である。
【0028】
【表1】
Figure 0003678779
【0029】
【表2】
Figure 0003678779
【0030】
上記「表1」により、比較例1〜4の場合は逆クラウン量が小さくなるにつれてカール及びシワの発生枚数が多くなることが判明した。これに対し、「表2」からは、逆クラウン量がほとんどない場合(0.0mmの場合)、本実施例1〜3では若干のカール及びシワの発生が確認されたが、逆クラウン量が0.1〜0.3mmの場合、本実施例4〜12ではカール及びシワの発生が全くなかった。これにより、本発明が比較例と比べて優れていることが明らかになった。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、小型,軽量,低電力,低温定着が可能となるとともに、未定着画像を定着する際に紙等のカール及びシワの発生のない定着器用ロールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な定着器用ロールの模式図。
【図2】PFAフッ素樹脂チューブ被覆シリコーンゴムスポンジゴムロールの断面図。
【図3】図2に要部の拡大図。
【図4】左右対称等間隔スリットの模式図。
【図5】左右対称不等間隔スリットの模式図。
【図6】傾斜スリットの模式図。
【図7】本発明に係る定着器用ロールの効果の説明図。
【図8】本発明に係る定着器用ロールにおける逆クラウン量の説明図。
【符号の説明】
1…紙、 2…未定着トナー、 3…加熱ロール、
4…加圧ロール、 5…定着トナー、 6…ヒータ、
7…芯金、 11,13…接着剤層、 12…シリコーンスポンジ層、
14…フッ素樹脂チューブ、 41,51,61…スリット。

Claims (3)

  1. 芯金の周面に固定されたスポンジゴム層と、このスポンジゴム層の外周面に接着剤層を介して固定されたフッ素樹脂被覆層とを具備した定着器用ロールにおいて、前記スポンジゴム層の内部に中央部より両端部に向かって対称な中央振り分けの連続した螺旋状のスリットを設けることにより、加圧回転時に前記スリットの存在によりスポンジゴム層間でズレが生じ、中心部より両端部に傾斜引力が働くことを特徴とする定着器用ロール。
  2. 螺旋状のスリットが芯金の軸方向に対して一定のピッチをなす等間隔スリットあるいは不等間隔ピッチの連続したスリットであることを特徴とする請求項1記載の定着器用ロール。
  3. 螺旋状のスリットが芯金の軸方向に対して面角度で傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の定着器用ロール。
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