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JP3679006B2 - 光ディスク情報書込制御方法およびその装置 - Google Patents
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JP3679006B2 - 光ディスク情報書込制御方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク情報書込制御方法およびその装置に係り、詳しくは、レーザビームによって情報の書込・読出を行う光ディスク装置に対し、特に情報を正確に書込むための書込制御方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータシステムの大容量化に伴い、書き換え可能な大容量ファイルとして、光磁気ディスク、相変化光ディスク等の光ディスクへの期待が高まっている。そのため、大容量の文書データや画像情報(イメージ情報)を、光学的にディスク状の媒体に記録する光ディスク装置の開発が行われており、すでにOA市場をねらった製品が出ている。
【0003】
光ディスクにおける情報記録は、ディスク媒体上へのレーザビーム照射による熱的効果によって、例えば媒体の磁化を反転させたり、あるいは媒体の結晶状態を変化させることにより行われる。記録方式の中でも、特に書込ビット(例えばレーザ照射)および非書込ビット(例えばレーザ非照射)の長さが情報を担ういわゆる長穴記録においては、正確なビット形状を媒体上に書込むことが読取りエラーを減らし装置の信頼性を高める上で特に重要である。
なお、本発明の適用対象である光ディスクは長穴記録方式のものであれば、光磁気ディスク等も含むものである。
【0004】
長穴記録の一例としてコンパクトディスク形式の信号(以下、CD信号という)を図30に示すが、この例ではHigh信号(“H”)およびLow信号(“L”)は3τから11τ(τは単位周期=230ns)の長さを持っており、これらHigh、Lowの長さが情報を担っている。
【0005】
従来の光ディスク装置においては、例えば5τのHigh信号については5τ(230ns×5=1150ns)の時間だけレーザを照射し、Low信号についてはレーザを照射しないといった方法で媒体上へ書込を行っている。
【0006】
この場合、媒体が一定速度で回転しているため書込情報のパルス幅nτ(n=3〜11)は媒体上のビット長さをnL(L:時間τに相当する媒体上の単位長さ)に変換され、記録される。この様子の一例は図31(a)、(b)のように示される。
【0007】
ところが、このような従来の光ディスク情報書込制御方法およびその装置にあっては、より高密度記録を行うために媒体の回転速度を遅く(Lを短く)していくと、当該ビット書込に際して発生する熱の影響により、例えばn≧7という長いビットについては図31(c)に示すようなビット形状が書込まれてしまい、情報読取りに際しC/N比が劣化して読取エラーを生じるという問題点があった。
【0008】
この問題に対処するため、High信号に相当するレーザビームを間欠的(パルス状)に印加することが行われており、例えば次に掲げる文献(1)〜(6)にその方法が開示されている。
(1) 特開昭63−160017号公報
(2) 特開昭63−263632号公報
(3) 特開昭62−229542号公報
(4) 特開昭63−266632号公報
(5) 特開昭63−153726号公報
(6) 特開昭63−266633号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公知の方法では、媒体の回転速度を遅くしていった場合のC/N比の劣化をある程度以下にすることはできない。
すなわち、媒体の回転速度を遅くしていった場合には、当該ビット書込に際して発生した熱のみならず、直前のビット書込に際して発生した熱の残り(余熱)の影響も大きくなるため、ビット間スペースの長さ(直前のスペース長)によって当該ビットの書込開始位置が異なってしまう現象が生じ、その結果、マーク長が変動してしまうからである。
【0010】
上記公知の方法は当該書込ビットの熱に対する対策にはなるものの、直前ビットからの余熱に対する対策は何らなされておらず、高密度書込時のC/N比劣化対策が十分とは言えない。
【0011】
また、直前ビットからの余熱対策に関連するものとして、
(7) 特開昭63−269321号公報
(8) 特開昭63−302424号公報
(9) 特開昭64−59633号公報
記載の技術がある。
【0012】
しかしながら、上記公報(1)〜(9)に記載されている内容は、後述するごとく、本発明の課題を何ら解決するものではない。
【0013】
上記文献記載の各技術について、具体的に述べると、次の通りである。
(1) 特開昭63−160017号公報
この装置では、レーザ光を制御する手段が信号ビットの長さに応じた時間内でレーザ光を複数パルスに分割して付与するように構成されており、レーザ光制御手段は前記信号ビットの長さに応じてレーザ光を分割するとともに、分割レーザ光パルスの各先頭パルス幅を後続パルスより大とし、さらに、分割レーザ光パルスの各先頭パルスのパルス強度を後続パルスより大としている。
したがって、パルス状レーザ光による書込みについては述べているものの、具体的なパルス化手段については何ら記述されておらず、上記問題点を解決するには至っていない。
【0014】
(2) 特開昭63−263632号公報
この装置では、レーザ光を制御する手段が信号ビットの長さに応じた時間内でレーザ光をその照射すべき期間の終了直前で分割させた2パルスとして付与するように構成されており、上記特開昭63−160017号公報に記載のものを、更に簡略化して同様の効果を得ようとしているが、上記同様の理由で問題点を解決できるものではない。
【0015】
(3) 特開昭62−229542号公報
記録媒体の記録層の記録感度に適合した光ビーム照射時間に対応する予め定められたパルス幅のパルスを一定周期で発生するパルス発振器と、このパルス発振器から出力されるパルス信号のレーザ駆動回路への導出を記録パルス発生器から出力される記録パルスに応じて制御するゲート回路とを具備し、前記レーザ駆動回路がゲート回路の出力によってレーザ光源の光出力を制御するものである。
しかし、CD信号をパルス化する手段に関するものであり、しかもパルス幅は一定で、かつ記録パルス内で変更することは原理的にできない。
【0016】
(4) 特開昭63−266632号公報
光、電子線などのエネルギービームを照射して記録媒体の原子配列の変化によって記録を行う情報の記録方法において、エネルギースポットの中心が記録点の端から端まで通過する時間より短いパルス幅の単一又は複数のパルスで記録点を形成している。しかし、パルス状のレーザビームにより書込みを行い、パルス幅はビット長の3/4より狭くすればより好ましく、1/2より狭くすればさらに好ましく、1/4より狭くすれば特に好ましいことが述べられているのみで、パルス化の方法等については何ら述べられていない。
【0017】
(5) 特開昭63−153726号公報
連続する放射線パルスからなる1個の群の内の各放射線パルスのエネルギー量は、1個の放射線パルスにより生じる情報体中の温度上昇とその群の内の以前の放射線パルスにより既に発生している温度との合計が常に一定となる条件を考慮してその群の内の位置によって決めようとするもので、方法および装置に関する全9項のクレームからなっている。これは、本願明細書中に引用した論文の共著者による出願で論文とほぼ同様の内容であり、問題点を完全に解決できるものではない(詳細は後述)。
【0018】
(6) 特開昭63−266633号公報
書込み信号パルスを始端部、中間部、終端部の3部分に分割することが開示されている。ただし、各部分の各々のパルス幅が独立に設定できること、各々のパルスの発生を独立に禁止するパルス禁止手段等は開示されておらず、後にも述べるように最適の書込みビット形状を得る目的には適さず、問題点を完全に解決できるものではない。また、本願発明の主要な構成要件である、直前のスペース長に応じて書込信号の長さを制御することについては何ら記述されていない。
【0019】
(7) 特開昭63−269321号公報
レーザ光制御手段が、長いビットを形成する場合にレーザ光の照射時間を短めにしたり、また、直前のブランク長が短いビットを形成する場合に前記レーザ光の照射時間を短めにすることを特徴とするものである。CD原盤や追記型ディスク等、膜の溶融によるビットの形成を前提に考えており、しかも、直前のブランク長が短いビットを形成する場合に、レーザ光の照射時間を短めにする具体的な手段が何ら示されていない。さらに、通常書込であり、パルス化書込については何ら記述されていない。したがって、上述した問題点を解決できる具体的技術の示唆はない。
【0020】
(8) 特開昭63−302424号公報
レーザ光制御手段が、直前のブランク長が短いビットを形成する場合にはレーザ光の照射時間を短めにし、直前のブランク長が長いビットを形成する場合にはレーザ光の照射開始を早めるもので、上記第7の公報記載の技術と同様ほぼ同じ内容で、具体的技術手段、パルス化書込については何ら記述されておらず問題点を解決できる具体的技術の示唆はない。
【0021】
(9) 特開昭64−59633号公報
ビット位置記録の光ディスク装置において書込間隔が短い場合に後続の書込ビット径が大きくなってしまう現象をさけるため、ビット間隔を検出して、間隔が短い場合には書込レーザパワーを小さくするものである。パルス間隔を検出し、それに応じてレーザ光量を変えることは開示されている。ただし、本例はマーク長記録ではなく、ビット位置記録であり、前提とする記録方式が全く異なる。したがって、上記(7)、(8)の公報記載の技術と同様に問題点を解決できるものではない。
【0022】
そこで本発明は、高密度書込を行った場合でも、正確な記録ビット形状、つまり書込開始位置が規定位置の所定形状の記録ビットを維持してC/N比の良い再生信号を得ることのできる光ディスク情報書込制御方法およびその装置を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明による光ディスク情報書込制御方法は上記目的達成のため、当該ビット書込に際して発生した熱の影響のみならず、直前のビット書込に際して発生した余熱の影響をも補正するものである。
【0024】
すなわち、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御方法において、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号部に相当する情報信号の長さを順次認識し、前記マーク信号部に相当する情報信号を、第1〜第n(n(整数)≧2)の複数パルスからなる一連のパルス列に構成するとともに、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスをそれぞれ異なったタイミングで発生させる複数の第1パルス通過路を設け、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスを、前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに対応する前記第1パルス通過路に通過させて、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスの発生位置を前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに応じて変えるように制御し、該制御された第1パルスと、該第1パルスに続く第2〜第nパルスとで前記一連のパルス列を構成することで、前記スペース長に対応して前記一連のパルス列を変化させ、該一連のパルス列を光照射手段に印加することでマーク信号部の書込みを行うようにしたことを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御装置において、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号部に相当する情報信号の長さを順次認識するスペース認識手段と、前記マーク信号部に相当する情報信号の長さに対応する、第1〜第n(n(整数)≧2)の複数パルスからなる一連のパルス列を生成するパルス制御手段と、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスをそれぞれ異なったタイミングで発生させる複数の第1パルス通過路を設け、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスを、前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに対応する前記第1パルス通過路に通過させて、前記先頭の第1パルスの発生位置を前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに応じて変えるように制御する第1パルス発生位置制御手段と、を備え、前記パルス制御手段は、該制御された第1パルスと、該第1パルスに続く第2〜第nパルスとで前記一連のパルス列を構成することで、前記スペース長に対応して前記一連のパルス列を変化させ、該一連のパルス列を光照射手段に印加することでマーク信号部の書込みを行うようにしたことことを特徴とする
た、本発明は、請求項1記載の構成に加え、書込が行われる光ディスク媒体の半径位置に応じて前記第1パルスの発生位置を制御することを特徴とする。
また、本発明は、請求項1又は3記載の構成に加え、前記スペース信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを開始し、前記マーク信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを終了するカウンタ手段により、前記スペース信号部に相当する情報信号の長さを認識することを特徴とする
た、本発明は、請求項2記載の構成に加え、前記パルス制御手段は、書込が行われる光ディスク媒体の半径位置に応じて前記第1パルスの発生位置を制御することを特徴とする。
また、本発明は、請求項2又は5記載の構成に加え前記スペース認識手段は、前記スペース信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを開始し、前記マーク信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを終了するカウンタ手段を有することを特徴とする。
【0026】
また、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御方法において、前記マーク信号部に相当する情報信号を一連のパルス列となすとともに、前記パルス列を構成する各パルスの幅を、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号部に相当する情報信号に応じて制御し、該制御されたパルス列を光照射手段に印加して書込みを行うようにしたことを特徴とする。
【0027】
また、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御方法において、前記マーク信号部に相当する情報信号を一連のパルス列となすとともに、前記パルス列を構成する各パルスの振幅を、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号部に相当する情報信号に応じて制御し、該制御されたパルス列を光照射手段に印加して書込みを行うようにしたことを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御方法において、前記マーク信号部に相当する情報信号を一連のパルス列となすとともに、該各パルス列の一部または全部を、該各パルス列の最終パルスの位置が一定となるよう、直前のスペース長に応じて時間圧縮を行い、該時間圧縮された前記各パルス列を光照射手段に印加して書込を行うようにしたことを特徴とする。
【0029】
また、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書込むための情報書込制御方法において、前記マーク信号部に相当する情報信号を、
a)書込可能な温度まで媒体の温度を速やかに上昇させる開始部と、
b)上昇した媒体の温度を放熱とバランスして保持する中間部と、
c)レーザビーム照射終了に伴って起こる温度降下を所定条件に保つ終了部と、の3つの部分に分け、前記マーク信号部に相当する情報信号を、各パルスのパルス幅がそれぞれ好適な条件となるように、前記3つの部分それぞれに対してパルス化を行うことにより、前記マーク信号部に相当する情報信号の長さに対応する一連のパルス列となし、前記マーク信号部に相当する情報信号の長さが情報に対応して変わった際には、前記パルス列の前記中間部のパルスの数を変えるようになし、かつ、前記3つの部分のうち少なくとも開始部のパルス列の長さを、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にあるスペース信号部に相当する情報信号の長さに応じて制御し、該制御されたパルス列をレーザ照射手段に印加して書込を行うようにしたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための光ディスク情報書込制御装置において、前記マーク信号部に相当する情報信号を一連のパルス列にするパルス化手段と、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号に相当する情報信号の長さを認識するスペース認識手段と、該スペース認識手段の認識結果に基づいて、前記各パルス列の一部または全部を、前記各パルス列の最終パルスの位置が一定となるよう時間圧縮する時間圧縮手段と、を設けたことを特徴とする。
【0031】
また、本発明は、光ディスク媒体に対しレーザ照射手段によりレーザを照射して記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書込むための光ディスク情報書込制御装置において、開始部制御信号、中間部制御信号および終了部制御信号を生成する制御信号発生手段と、該各制御信号に基づいて前記マーク信号部に相当する情報信号を、書込可能な温度まで媒体の温度を速やかに上昇させる開始部と、上昇した媒体の温度を放熱とバランスして保持する中間部と、レーザビーム照射終了に伴って起こる温度降下を所定条件に保つ終了部との3つの部分に分け、前記3つの部分それぞれに対してパルス化を行って前記マーク信号部に相当する情報信号の長さに対応する一連のパルス列を生成するパルス化手段と、前記3つの部分のうち少なくとも開始部のパルス列の長さを、前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にあるスペース信号に相当する情報信号の長さに応じて制御するパルス列制御手段と、を設けたことを特徴とする。
【0032】
また、本発明は、請求項6記載の構成に加え、前記パルス列を構成する各パルスのパルス幅を独立に設定できる手段を持つことを特徴とする。
また、本発明は、請求項6または請求項7記載の構成に加え、前記パルス列制御手段は、書込が行われる光ディスク円板の半径位置に応じて前記一連のパルス列の少なくとも一部を制御することを特徴とする。
また、本発明は、請求項6記載の構成に加え、書込マーク直前のスペース長を認識するスペース認識手段の認識結果に基づいて前記パルス列の光出力の振幅を制御することを特徴とする。
【0033】
本発明では、記録ビットの書込信号がパルス化されるとともに、該パルス化された前記記録ビットの書込信号のパルス列の長さおよび/または振幅が、該書込信号の直前にあるスペース信号の長さに応じて制御される。そのため、前記記録ビット直前の記録ビット書込に際して発生した熱の影響をも効果的に補正することができ、マーク長・スペース長の如何にかかわらず良好なビット形状が得られる。
したがって、高密度書込を行った場合でも、簡単なハードウエアを付加するだけで正確な記録ビット形状が書込まれ、C/N比の良い、高品質の再生信号が得られる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0035】
『従来技術の問題点の分析』
まず、本発明者は前述の問題点の正確な分析とその解決策について検討した。前記第1の問題点、すなわち高密度記録を行うために媒体の回転速度を遅くした場合、正常なビット形状が書込まれなくなる現象は、次のように考えることができる。媒体の回転速度が通常の回転速度の場合にはレーザビーム照射による媒体の局部的な温度上昇と媒体の放熱による温度降下が一定のバランスを保ち、熱的効果による書込みが行われる境界(以下、書込境界)はほぼレーザビームに一致している。したがって、例えば11τのビットを書込んだとすると、媒体上には長さ11L、幅d(d:レーザビームの直径)のビットが形成される。
【0036】
一方、高密度記録のために媒体の回転速度を遅くすると、単位面積当りのレーザビーム照射エネルギーが大きくなるため、放熱による温度降下が間に合わなくなり、照射時間が長くなるにつれ、熱が徐々に蓄積されてビーム照射位置の前後の位置にも熱が流れ出していく。熱的効果によって一定時間に書込を行うために必要なレーザビームのエネルギーには下限が存在するから、例えば回転速度を1/2にした場合でもレーザビームのエネルギーを1/2にして書込むわけにはいかず、必ず上記現象が発生する。
【0037】
したがって、例えば7τ以上といった長いビットを書込む場合、レーザビームが2L位置、3L位置、4L位置と進むに従って熱の蓄積が大きくなり、徐々に隣接位置への熱の影響が増大するとともに、書込境界もレーザビーム径dを越えて拡がっていく。ビットの終端、すなわち上記例では7L位置付近では直後にレーザビーム照射が終了し、放熱による温度降下が支配的になるから書込境界はほぼビーム径となる。
【0038】
このようなモデルを考えると、図31(c)に示すビット形状が説明できる。特に、結晶状態(結晶相)の変化により反射率を変えて記録を行う相変化型媒体においては、溶融状態からの急冷あるいは徐冷によって結晶状態を変化させHigh・Low情報を書込むため、隣接位置からの熱の流れ出しの影響が顕著である。
【0039】
一例として急冷によってHigh情報を書込むタイプの相変化型媒体を考えてみるに、書込ビット長がある程度以上長くなって(例えば7τ以上)隣接位置への熱の影響があると、例えば3τ位置では4τ位置からの熱の流れ出しの影響を受け、4τ位置では5τから、以後順次nτ位置では(n+1)τ位置からの熱の流れ出しの影響を受けてしまい、結果的に急冷ではなく徐冷に近い条件となってしまう。このような状態ではある程度以上長いビットのHigh情報書込は非常に不安定となる。長いビットを書込む場合にも安定なHigh書込状態を得ること、すなわち安定な急冷状態を実現するためには書込ビット長nτ(n=3 〜11)の間でレーザビームを間欠的(パルス状)に照射し、書込を行うことが有効である。これについては、D.J.Gravesteijn et al "Phase-change optical data storage in GaSb",Applied Optics, 26, 4772(1987)に4.3MHz(τ=230ns)の周波数で80ns幅を持つパルス列による書込が記述されている。
【0040】
本発明者は、種々のHigh書込ビット長(以下マーク長)を上記文献の例に従って媒体上に書込み、ビット形状の観察を行った。その結果、上記文献に記されているように、一定のパルス幅を持つパルス列による書込では、該パルス幅を変えてやっても、また光パワーを適当に変えてやってもマーク長3τから11τにわたって良好なビット形状を実現するパルス幅条件を見出すことはできなかった。すなわち、マーク長が最も短い3τの場合にはパルス幅180nsのパルス3個で書き込んだときに良好なビット形状が得られたが、この条件の11個のパルスでマーク長が最も長い11τを書込むと、光エネルギーが大きすぎて、前記従来例として示した連続光による書込と同様なビット形状の異常が起こってしまった。
逆に11τの場合に良好なビット形状を与える120nsのパルス幅条件では、光エネルギーの不足により3τのビットを正常に書込むことができなかった。
【0041】
マークを構成する前記パルス列のパルス幅を変えて記録する方法は前述したように特開昭63−266633号公報に開示されている。この開示例ではパルス列を始端部、中間部、終端部の3部分に分け、始端部および終端部のパルス幅を中間部のパルス幅より大きくするものである。ただ、ここに開示されている方法では始端部(以下開始部と称する)、中間部、終端部(以下終了部)の各部を複数のパルスで構成した場合、各部内のパルス各々のパルス幅を独立に設定することができないため、種々のパルス幅の組み合わせのもとで最適の書込ビット形状を得る目的には適さない。
【0042】
そこで本発明者は、前記マークを構成するパルス列の各パルス幅を独立に設定できる後述する装置を考え、種々のパルス幅の組み合わせのもとで種々のマーク長を書込むとともに、書込まれたビット形状の観察を行った。
【0043】
図1は上記観察結果より得られた好適な書込パルス条件の一例と、そのときの書込ビット形状を示すものである。具体的には、図1(a)は7τのHigh情報(マーク)と7τのLow情報(スペース)とを繰り返す入力信号を用い、パルス周期T=τ(230ns)として第1パルス幅200ns、第2パルス幅150ns(開始部)、第3パルス幅120ns、第4〜第6パルス幅100ns(中間部)、第7パルス幅130ns(終了部)の条件で書込を行った場合の書込ビット形状を示したものである。連続したレーザビームによる書込(前記図30(c))に比べてビット形状の著しい改善が見られた。
【0044】
また、図1(b)には7τのスペース、11τのマークに対し、第1パルス幅200ns、第2パルス幅150ns(開始部)、第3パルス幅120ns、第4〜第10パルス幅100ns(中間部)、第11パルス幅130ns(終了部)の条件で書込んだビット形状を示す。同様に図1(c)には、7τのスペース3τのマークに対し、第1パルス幅200ns、第2パルス幅150ns(開始部)、第3パルス幅130ns(終了部、この場合には中間部パルスは出ない)の条件で書込んだビット形状を示す。何れも同図(a)と同様に良好なビット形状が得られた。
【0045】
この実験結果の物理的意味を考察してみるに、
▲1▼ 媒体を書込可能な温度まで速やかに上昇させる部分……(開始部)
▲2▼ 開始部で上昇した温度を媒体の放熱とバランスして保つ部分……(中間部)
▲3▼ レーザビーム照射終了に伴って起こる温度降下を好適条件に保つ部分……(終了部)
という以上3つの機能からなっていると解釈することができる。したがって、マーク長の変化に際し、中間部のパルスを増減し、中間部の長さを変えることは、単に温度を保持する機能を持つ部分の長さを変えているにすぎず、マーク長にかかわらず良好なビット形状が得られることが十分理解できる。
ただ、中間部パルスについては図1(a)、(b)に示すように、その先頭パルスのパルス幅を他のパルス幅より広くする方がより良好なビット形状が得られる。
【0046】
さて、これまで述べてきた実験ではマーク長のみに注目し、スペース長については便宜上一定としてきた。しかしながら、実際のCD信号では3τから11τまでの長さを持つマークおよびスペースの組合わせにより情報を記録している。したがって、マークを書込んだ後、次にマークを書込むまでのスペースは3τから11τの間で常に変化している。特に媒体の急冷あるいは徐冷によって結晶状態を変化させ、記録を行う相変化型媒体においては、直前のビットを書込んだ際の余熱の影響が懸念される。
【0047】
前記余熱の影響を明確に把握するために、スペース長を3τから11τまで変化させ、それに伴うマーク長の変化を観察した。図32はこの様子を示したものである。
記録媒体には(In0.40Sb0.600.94Ge0.06の組成を持つ記録膜を60nm製膜したものを用い、線速度1.2m/sの条件で実験した。
【0048】
横軸には注目する書込マーク直前のスペース長をとり、書込マーク長が3τ7τおよび11τの場合の結果を示す。図中の×はパルス化を行わない通常書込(レーザパワー 5mW)、○は前述した好適パルス条件でパルス化を行った場合(レーザパワー12mW)のデータである。
【0049】
通常書込の場合には直前のスペース長が3τと11τとでは書込マーク長の差が300ns(1.3τ相当)にも達してしまい、マーク長を正しく判別することは全く不可能である。
【0050】
パルス化書込を行った場合には直前のスペース長3τと11τの場合における書込マーク長の差は150nsとなり確かに改善されてはいる。しかしながら、この値とてもτ(=230ns)の値の65%に相当し、読取時における各マーク長の判別基準である0.5τを越えているため、すべてのマーク長を正しく判別することはできない。
【0051】
このように余熱の影響が大きいため、従来の技術によりパルス化を行っただけでは、CD信号に代表される実際の長穴記録信号を正確に書込み、正確に読取ることはできない。
【0052】
以下に示す実施例は上記問題点を解決し、CD信号に代表される長穴記録信号を正確に書込み、C/N比の良い、高品質の再生信号を得ることができる光ディスク情報書込制御方法およびその装置を提供するものである。
【0053】
『第1実施例』
図2〜図7は本発明に係る光ディスク情報書込制御方法およびその装置の第1実施例を示す図である。図2は光ディスク情報書込制御装置の全体構成図であり、この図において、該書込制御装置は大きく分けて、入力CD信号D0 (記録ビットの書込信号に相当)が入力し、該CD信号D0 を予め定められた範囲で遅延する第1の遅延回路(第1の遅延手段)1と、第1の遅延回路1で遅延されたCD信号(第1の遅延信号D1 )を予め定められた範囲でさらに遅延する第2の遅延回路(第2の遅延手段)2と、これら第1、第2の遅延回路1、2の出力信号(第1、第2の遅延信号D1 、D2 )から開始部制御信号A、中間部制御信号B、終了部制御信号Cを生成する制御信号発生回路(制御信号発生手段)3と、これら各制御信号により記録ビットの書込信号、すなわち入力CD信号D0 を開始部、中間部および終了部の3つの部分に分け、それぞれに応じたパルスを発生するパルス化回路(パルス化手段)4と、前記入力CD信号D0 の直前にあるスペース長を認識し、該スペース長に応じてパルス列の長さを制御するパルス列制御回路(パルス列制御手段)10と、により構成される。
【0054】
パルス化回路4からのパルス化出力はレーザダイオード5に入力されており、レーザダイオード5はこのパルス化出力に基づいてレーザビームを発生する。レーザビームはレンズ6を通し集光されて回転軸7を中心として回転している光ディスク媒体8に照射され長穴記録が行われる。上記レーザダイオード5およびレンズ6はレーザ照射手段9を構成する。
【0055】
第1の遅延回路1および第2の遅延回路2としては、例えばクロックに同期した遅延が得られるシフトレジスタ等のディジタル的手段が望ましいが、遅延線等のアナログ的手段であってもよい。また、本実施例では第1の遅延時間をτ、第2の遅延時間を2τとして説明するが、これは本質的なものではなく、符号規格により予め定められた最小スペース長(CD信号の場合は3τ)以下であればよく、また、1.5τ、0.25τといった小数でもかまわない。
【0056】
パルス化回路4の詳細は図3のように示され、図3では便宜上1組のパルス化回路4のみを示しているが、実際上は開始部、中間部、終了部のそれぞれについて図3に示す回路が必要である。
【0057】
図3において、パルス化回路4はクリア回路11、カウンタ12、遅延回路13、デコード回路14、パルス幅設定回路15および集合回路としてのオアゲート16により構成される。クリア回路11は遅延回路17、インバータ18およびナンドゲート19からなり、各制御信号A、B、Cの立下りエッジに同期してカウンタ12をクリアさせる信号を発生し、カウンタ12のクリア端子に出力する。カウンタ12のカウントイネーブル端子には各制御信号A、B、Cが入力され、クロック端子にはパルス化クロックが入力される。いま、最初に制御信号Aがカウンタ12に入力される場合を例にとると、カウンタ12は同信号が“H”になるとカウントを開始し、“L”になるとカウントを停止する。このとき、クリア回路11からは遅延回路17の遅延時間(例えば50ns)で決まるパルス幅のクリアパルスがカウンタ12のクリア端子に加えられ、カウンタ12の内容は“0”にリセットされる。
【0058】
具体的には、図4に示すように2τの幅をもつ制御信号Aが入力すると、カウンタ12の内容は0→1→2→0と変化する。カウンタ12の出力である20 桁(A,Aバー)、21 桁(B,Bバー)、22 桁(C,Cバー)、23 桁(D,Dバー)は次段のデコード回路14に入力されており、デコード回路14は、例えばアンドゲート20a〜20n(本実施例ではn=15)により構成される。n=15としているのは、“1”から“F”までの15個を用い、“0”を用いていないからである。
【0059】
また、パルス幅設定回路15はモノマルチバイブレータ21a〜21n(本実施例ではn=15)からなり、これらには例えば、モノマルチバイブレータ21aに代表として示すようにボリウムからなるパルス幅調整手段22が設けられている。なお、これは他のモノマルチバイブレータ21b〜21nについても同様であり、したがって、後述の第1パルス……第nパルスの各パルス幅を独立に設定することが可能である。
【0060】
ここで、カウンタ12の内容が“0”のときにはA=B=C=D=0、Aバー=Bバー=Cバー=Dバー=1であり、デコード回路14の入力のうち、すべてが“1”となる組合わせはないから、デコード回路14の出力側は“0”のままで何ら信号が現れない。一方、カウンタ12の内容が“1”のときには、A=Bバー=Cバー=Dバー=1、A=B=C=D=0であるから、A・Bバー・Cバー・Dバーの入力組合わせをもつアンドゲート20a の出力側にだけ適当に遅延(例えば50ns)されたパルス化クロックが現れ、モノマルチバイブレータ21a をトリガする。カウンタ12の内容が“2”のときには、B=Aバー=Cバー=Dバー=1、Bバー=A=C=D=0となるから、アンドゲート20b にだけパルス化クロックが現れ、モノマルチバイブレータ21b をトリガする。以下、カウンタ12の内容が“3,4,5…15”となるに従い順次図示はしていないが、モノマルチバイブレータ21c 、21d ……21n をトリガする。すなわち、モノマルチバイブレータ21a 〜21n は開始部制御信号Aによって発生すべき第1パルス、第2パルス……第nパルス(n=15)を発生する。なお、第4図に示す例のように開始部制御信号Aの幅が2τであり、これを変化させない場合にはアンドゲートおよびモノマルチバイブレータはそれぞれ2個だけでよい。
【0061】
モノマルチバイブレータ21a〜21nの出力は集合回路としてのオアゲート16で合成され、第1パルス、第2パルス……第nパルスが時間軸上に順次現れる開始部パルスとなって出力される。中間部パルス、終了部パルスも上記開始部パルスと全く同様にして作られ、出力される。さらに、開始部パルス、中間部パルス、終了部パルスは図示しない集合回路(図4の集合回路と同様)によって合成され、図4の最下端に示すパルス化出力となってレーザダイオード5に印加される。
【0062】
次に、制御信号発生回路およびパルス列制御回路を説明するにあたり、まず、図4に示すタイミングチャートを参照して制御信号発生回路の基本動作を説明する。
入力CD信号D0 は第1の遅延回路1を通って第1の遅延回路D1 となり、同信号D1 はさらに第2の遅延回路2を通って第2の遅延信号D2 となる。なお、本実施例では、便宜上第1の遅延時間をτ、第2の遅延時間を2τとして説明するが、これは本質的なものではなく、符号規格により予め定められた最小スペース長(CD信号の場合は3τ)以下であればよく、また、1.5τ,0.25τといった小数でもかまわない。
【0063】
制御信号発生回路3に入った前記信号D0 、D1 、D2 は論理演算が施され、A=D1 ・(D1 バー・D2 バー)、B=(D0 ・D1 )・(D1 ・D2 )およびC=(D1 ・D2 )・Bバーという制御信号が形成される。
【0064】
ここに「・」は論理積を「バー」は否定を表す。制御信号Aは開始部制御信号、Bは中間部制御信号、Cは終了部制御信号となる。入力CD信号D0 に対する各制御信号A、B、Cのタイミングは図4に示されるが、開始部制御信号Aのパルス幅は第2の遅延回路2の遅延時間(図3の例では2τ)に一致し、終了部制御信号Cのパルス幅は第1の遅延回路1の遅延時間(図3の例ではτ)に一致し、さらに、中間部制御信号Bのパルス幅は入力CD信号のパルス幅から第1および第2の遅延回路1、2の遅延時間を引いたものに一致する。これは、前記制御信号A、B、Cを形成する論理演算から得られる当然の結果である。したがって、開始部制御信号Aのパルス幅および/または終了部制御信号Cのパルス幅を変更する場合には、第2の遅延回路2の遅延時間および/または第1の遅延回路1の遅延時間を変更すればよい。
【0065】
各制御信号A、B、Cはパルス化回路4に入り、各制御信号A、B、Cのパルス幅に応じた数でかつ適当なパルス幅を持つパルスに変換され、レーザダイオード5を駆動して光ディスク媒体8に照射され、長穴記録が行われる。
【0066】
次に、図5〜図7を参照してパルス列制御回路の動作を説明する。パルス列制御回路ではまず、スペース長がこの信号長より短い場合にマーク長(最終的にはパルス列の長さ)を減ずる基準信号を発生する。基準信号の発生は図5に示すようにクリア端子を持つモノマルチバイブレータ43、遅延回路44、45、インバータ46、47およびアンドゲート48、ナンドゲート49を備えてパルス列制御回路42を構成し、そのタイミングチャートを図6に示すように、入力CD信号の立下りでリセットし、D0 信号よりτだけ遅れたD1 信号の立下りでセットする回路とし、これから基準信号Eを発生している。なお、50はボリウムからなるモノマルチバイブレータ43のパルス幅調整手段であり、基準信号長を、例えば7τに調整するものである。
【0067】
図7はマーク3τ、スペース3τ、マーク3τ、スペース7τ、マーク5τのCD信号を例に取ったタイミングを示すものである。なお、(ア)は入力CD信号D0 、(イ)は第1遅延信号D1 、(ウ)は第2遅延信号D2 、(エ)は第3遅延信号D3 、(オ)はD0 ・D1 、(カ)はD1 ・D2 、(キ)はD1・D3 、(ク)は中間部制御信号B(B=(D0 ・D1 )・(D1 ・D2 ))、(ケ)は信号A(A=D1 ・(D1 ・D2 )バー)、(コ)は終了部制御信号C(C=(D1 ・D2 )・Bバー)、(サ)は開始部補助信号D(D=D1 ・(D1 ・D3 )バー)、(シ)はリセット信号、(ス)はセット信号、(セ)は基準信号E(E=7τ)、(ソ)は信号F(F=D・E)、(タ)は信号A′(A′=A・Fバー)、(チ)はパルス化クロックT(T=τ)、(ツ)はパルス化出力である。
【0068】
図7において、基準信号Eは本来7τの長さを持っているが、これ以前にリセット信号がくると(図7の例では5τ)“L”となり、τ後のセット信号で再び“H”にセットされ、7τ後に“L”となる。基準信号Eがセットされるタイミングは第1の遅延出力D1 の立下りに一致しているから、D1 のタイミングを基準としてみれば、マークの始まり部分においてEが“H”ならば直前のスペース長は7τより短く、Eが“L”ならば7τ以上であると判定できる。
【0069】
スペース長が7τより短い場合に、マーク長を短くし、パルス列を制御するためには開始部補助信号Dを使用する。信号Dは、第1遅延信号D1 をマーク長を短くしたい長さだけ(図7の例ではτ)遅延した第3遅延信号D3 を用いて、D=D1 ・(D1 バー・D3 バー)の演算で作られる。次に基準信号EからD・E=F(マーク長制御信号)を作り、さらに、A・Fバー=A′を作って開始部制御信号とする。A′は直前のスペース長が基準信号より短いときには開始位置がτだけ遅れ、基準信号長以上のときにはAと同じ開始位置となる。終了位置はAと全く同じであるから、直前のスペース長の長短に応じて書込マーク長を制御できるわけである。制御信号発生回路の基本動作の項で述べたA、B、Cの各制御信号に代えて、A′、B、Cを各制御信号としてパルス化回路4に入力することにより、直前のスペース長に応じた長さのパルス列を持つパルス化出力(図7下端)が得られる。
【0070】
以上のことから、本実施例では記録ビットの書込信号を3つの部分に分け、該3つの部分それぞれをパルス化し、該パルス化された各パルスのパルス幅が各々独立に設定できるので、前記3つの部分それぞれに最適な条件で媒体にレーザビームを照射することができる。さらに書込信号直前のスペース長を判断し、該スペース長に応じて出力パルス列の長さを制御できるので、直前の書込ビットからの余熱の影響を効果的に補正することができ、高密度書込を行った場合でも正確な記録ビット形状を維持して、C/N比の良い再生信号を得ることができる。
【0071】
なお、以上の説明ではパルス化回路のカウンタを2進4桁としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、桁数を増しさらに多くのパルス幅設定回路を付加することができることは言うまでもない。また、第1〜第nパルスを発生するモノマルチバイブレータの代わりにカウンタ等のディジタル的手段でパルス幅を決定してもよいことは勿論である。
【0072】
さらに、パルス列制御回路の基準信号の発生にアナログ的なモノマルチバイブレータを用いたが、カウンタ等ディジタル的な手段により実現してもよいことは勿論である。また、上記説明では便宜上基準信号を1個だけとした例を示したが、これを複数個とし、複数個の開始部補助信号を組合わせて、例えばスペース長3τ〜4τではマーク長−τ、5τ〜7τではマーク長−0.5τ、8τ〜11τではマーク長そのままといった、よりきめ細かな制御をしてもよいことは言うまでもない。
【0073】
『第2実施例』
図8は本発明の第2実施例を示す図であり、本実施例はパルス化クロックの周期Tを(1/2)・τとしたものである。すなわち、図8に作動のタイミングチャートを示すように、本実施例ではパルス化の分解能が第1実施例の倍となるため、よりきめ細かなパルス幅設定を行うことができる。この場合、開始部のパルスのパルス幅条件を第1実施例と同じにしたければ、モノマルチバイブレータ21aおよびモノマルチバイブレータ21cのパルス幅設定を第1実施例と同じに設定し、モノマルチバイブレータ21bおよびモノマルチバイブレータ21dについてはパルスの後縁がモノマルチバイブレータ21aまたはモノマルチバイブレータ21cで設定したパルスの後縁を越えないように小さなパルス幅に設定しておけばよい。
【0074】
図3に示すパルス化回路4ではモノマルチバイブレータ21a、モノマルチバイブレータ21b……モノマルチバイブレータ21nの出力は集合回路であるオアゲート16により論理的に合成されるから、2つのパルスを同時に発生しても故障等が生じることは全くない。あるいは、モノマルチバイブレータ21aおよびモノマルチバイブレータ21cを(1/2)・τに設定し、残りのパルス幅をモノマルチバイブレータ21bおよびモノマルチバイブレータ21dで設定してもよい。なお、これは終了部についても全く同様である。また、パルス化クロックの周期を(1/3)・τ、(1/4)・τとより細かくして分解能を上げてもよいことは言うまでもない。
【0075】
『第3実施例』
図9〜図11は本発明の第3実施例を示す図であり、本実施例では、図9に示すようにパルス化回路(パルス化手段)31から複数のパルス化出力(Ch1とCh2の2チャネル)を第1、第2の光出力発生回路32、33にそれぞれ出力し、これからレーザダイオード34に供給するとともに、各チャネルの開始部、中間部、終了部各々の第1パルス、第2パルス……第nパルスの発生を各々独立に禁止するパルス禁止手段35を設けた点が特徴である。
【0076】
パルス禁止手段35はスナップスイッチ等のスイッチ群により構成され、具体的には図10に示すように示される。すなわち、デコード回路14としてのアンドゲート20a……20nの次段にはパルス禁止手段35aが設けられてモノマルチバイブレータ36a〜36nに接続され、さらに集合回路37aでまとめられてパルス化出力のチャネル1を発生させている。また、同様に他方のパルス禁止手段35bが設けられてモノマルチバイブレータ38a〜38nに接続され、さらに集合回路39でまとめられて、パルス化出力のチャネル2を発生させている。
【0077】
図11は第3実施例のタイミングとレーザダイオード34の光出力の様子を示すもので、マーク長5τ、開始部制御信号Aの幅2τ、終了部制御信号Cの幅τ、パルス化クロックT=(1/2)・τの場合を一例として示している。
【0078】
本実施例ではT=(1/2)・τとしているから、開始部は4個、終了部は2個、中間部は最大16個のパルス禁止手段35が有効となる。また、同図(b)に○×で示すようにチャネル1、チャネル2のパルス禁止手段35a、35bを設定すると、各チャネルのパルス化出力は同図(c)に示すようになる。チャネル1およびチャネル2の出力はそれぞれ第1光出力発生回路32および第2の光出力発生回路33に接続されているから、レーザダイオード34の光出力は同図(d)に示すように先頭の2個のパルスについては通常より大きい第2の大きさの光出力に、その他のパルスについては通常の第1の大きさの光出力となる。
【0079】
このように、パルス化回路31を複数チャネルとし、かつ各パルスの発生を各々独立に禁止するパルス禁止手段35を持つことにより、前記各実施例のようにパルス幅だけではなく、光出力をも変えることができるため、より細かく最適な書込条件を定めることができる。
【0080】
なお、本実施例ではチャネル数を2としたが、さらに3以上とし、よりきめ細かに光出力を変えるようにしてもよい。また、パルス禁止手段には必ずしもスイッチを持つ必要はなく、当該位置のパルス発生手段を削除したり、結線をはずす等の手段を用いてもよいことは勿論である。
【0081】
『第4実施例』
図12、図13は本発明の第4実施例を示す図であり、本実施例は前記「従来技術の問題点の分析」の項で述べた直前の書込ビットから来る余熱の影響を補正する手段として、直前のスペース長に応じて書込開始部パルスの光出力を制御するものである。制御信号としては第1の実施例で示したマーク長制御信号Fを用いる。すなわち、図12に示すように、第3実施例の構成として示した図9の構成の一部にマーク長制御信号Fの入力する光出力制御回路51が設けられ、第2の光出力発生回路33に接続されている。そして、光出力制御回路51により図13に示すタイミングチャートで示すように、マーク長制御信号Fに基づき直前のスペース長に応じて書込開始部パルスの振幅が変えられて、光出力がきめ細かく制御される。したがって、本実施例の方法でも余熱の影響を効果的に補正することができる。
【0082】
また、上記説明では便宜上基準信号Eを1個だけとし、マーク長制御信号Fも1個だけとした例を示したが、第1実施例と同様に複数個の基準信号E1 〜En から複数個のマーク長制御信号F1 〜Fn を作り、光出力制御回路で各々のマーク長制御信号に応じた大きさの光出力を出すように構成し、よりきめ細かな制御を行っても良いことは言うまでもない。
【0083】
『第5実施例』
図14は本発明の第1、第2実施例によって余熱の影響を補正した結果を示す図、図15〜図17は本発明の第5実施例を示す図である。なお、本実施例は請求項1、2、4、6に記載の発明に対応する。
【0084】
第1実施例では以前に書込んだビットからの余熱の影響を補正するため、直前のスペース長の長さに応じて発生パルスの数を増減することによりマーク書込開始位置を制御している。図14は第1実施例に第2実施例を適用した場合、すなわちパルス化クロックを(1/2)τとし、前述した好適な書込パルス条件(パルス化クロックτ)の各パルス幅をほぼ半分とした書込パルス条件のもとで、余熱補正0.5τ(前記第3の遅延信号D3 の遅延時間0.5τ)、基準信号長6τ(直前のスペース長が3τ〜5τのときだけ余熱補正がかかる)とした場合の余熱補正の様子を示したものである。図中の○は余熱補正なし、Δが上記条件で余熱補正を行った場合である。補正により直前のスペース長が3τ〜5τのときには書込マーク長が約0.5τ短くなったため、読取信号の判別基準である±0.5τ以内に収まるようになり、余熱補正の効果が現れている。
【0085】
しかしながら、この方法では書込開始位置の分解能がパルス化クロックの周期で制限されてしまう。したがって、よりきめ細かい補正を行いたい場合、例えば書込開始位置を直前のスペース長が1τ変化するたびに10nsずつ変化させたい場合には、周期10ns(周波数100MHz)のパルス化クロックが必要となり、一般に使われているTTLでは実現が困難である。また、直前のスペース長が3τから11τまでの間で1τ変化するごとに対応して書込開始位置を制御したい場合には9個の基準パルスが必要であり、ハード量もかなり増加してしまう。
【0086】
第5実施例は、このようなきめ細かな書込開始位置制御を簡単なハードウエアで実現しようとするものである。図15はそのために必要な部分の構成を示す図であり、この図において、本実施例のパルス列制御回路は、必要な数だけ設けられた先頭パルス(図3に示す開始部第1パルス)の通過路群54と、直前のスペース長を認識するスペース認識手段55と、認識結果に応じて先頭パルスの通過路を選択する通過路選択手段56とを含んで構成される。スペース認識手段55はスペース長を1τ単位で計数するカウンタ57と、インバータ58、59と、遅延回路60と、ナンドゲート61と、カウンタ57の出力信号が入力するデコード回路としてのアンドゲート62a〜62nとにより構成される。また、通過路群54は先頭パルスの通過路としての直列接続したディレイライン(DL)63a〜63nにより構成され、通過路選択手段56は各スペース長およびディレイライン63a〜63nの出力が入力するアンドゲート64a〜64nと、集合回路としてのオアゲート65とにより構成され、オアゲート65からは先頭パルス出力として先に示した図3におけるモノマルチバイブレータ21aのトリガ信号が発生する。
【0087】
以上の構成において、図16にタイミングチャートを示すように、第1の遅延信号D1 の反転信号D1 バーをカウンタ57のイネーブル端子に入力しておくと、スペース部が入力され、D1 バーが“H”になるとカウンタ57はクロックの計数を開始する。スペース部が終わり、マーク部が入力されると、D1 バーは“L”になり、カウンタ57は直前の内容を維持したまま停止する。すなわち、マーク部が始まった時点でカウンタ57は直前のスペース長の情報を蓄積するメモリとして機能する。したがって、カウンタ57の内容をデコードすることにより、マーク部が始まった時点では直前のスペース長に対応する1個のデコーダ出力だけが“H”となる。図16には3デコーダ(スペース長3τに対応)と10デコーダ(スペース長10τに対応)の出力を一例として示す。この出力を使って先頭パルスの通過路を選択する。カウンタ57はD1 バーの立上りでリセットされ、次のスペース長のカウントを開始する。
【0088】
一方、先の図3に示すモノマルチバイブレータ21aのトリガとなる先頭パルス(開始部第1パルス)はその前で取り出されて先頭パルス通過路群54としてのディレイライン63a〜63nに入る。該通過路群54は従属接続されたディレイライン63a〜63n(DL11、DL10……DL3 )で構成され、各ディレイライン63a〜63nに付けられた添字は直前のスペース長に対応する。各ディレイライン63a〜63nの出力には前記デコード回路としてのアンドゲート62a〜62nの出力によって制御されるアンドゲート64a〜64nが接続されているから、直前のスペース長に応じた遅延時間の経路を通ったパルスだけが取り出されてモノマルチバイブレータ21a(図3参照)をトリガする。このようにしてマーク部直前のスペース長の認識とそれに応じた先頭パルス発生位置の制御が行われる。
【0089】
なお、各ディレイライン63a〜63nに、例えば5ns単位でタップを設けておくことにより、この分解能で先頭パルス発生位置を制御することができ、一般に使われるTTLで10ns以下の分解能を達成することができる。
【0090】
上記説明では通過路選択手段56を1個とし、開始部第1パルスだけを遅延させて余熱補正を行ったが、通過路選択手段56を複数個とし、開始部第1〜第nパルスを遅延させて余熱補正を行うこともできる。この場合、スペース認識手段55は1個でよい。さらに、開始部第1〜第nパルス各々に対応する各々の通過路選択手段の遅延時間を、例えば、直前のスペース長が3τのときの第1パルスの遅延時間を150nsとし、第2パルスの遅延時間を140ns、……第nパルスの遅延時間を(150−10n)ns、というように徐々に変えたり、或いは直前のスペース長が10τのときの第1パルスの遅延時間を20nsとし、第2パルスの遅延時間を15ns、……第nパルスの遅延時間を(20−5n)nsというように徐々に変えてやれば、図17に示すような出力パルス列を得ることができ、よりきめ細かな余熱補正を行うことができる。
【0091】
『第6実施例』
図18、図19は本発明の第6実施例を示す図である。なお、本実施例は請求項3、5に記載の発明に対応する。第5実施例で述べた直前のスペース長に応じた先頭パルス位置の制御は、長穴記録のうちでもCD(コンパクトディスク)に代表される回転線速度一定の記録には適しているものの、光磁気ディスクに代表される回転角速度一定の記録には、そのままでは適用できない。すなわち、回転角速度一定の記録では回転半径が大きい円板外周部に行くほど線速度が速くなり、時間的に同じ長さの信号を記録しても媒体上の記録長さは内周部に比べて長い。したがって、直前のスペース長が同じでも、外周部では内周部に比べ媒体上の距離が遠く余熱の影響は少ない。
そこで、第6実施例は円板の回転半径に応じて前記各ディレイライン63a〜63nの遅延時間を変えるようにしたものである。
【0092】
本実施例の適用対象である回転角速度一定の記録においては、光ヘッドの位置あるいは媒体中に記録されたアドレスから現在の回転半径位置を知ることができるような手段が設けられており、この手段は、例えば2進符号で表された信号などが一般的である。そのため、本実施例では図19に示すようにデコード回路としてのアンドゲート71a〜71nに2進信号で表された半径位置信号を入力し、適当な数だけ設けられた半径位置デコーダとしてのアンドゲート71a〜71nの出力は該当するただ1個だけが“H”となる。各アンドゲート71a〜71nの出力S1 〜Sn は図18に示すように半径位置選択ゲートとしてのn群のアンドゲート72A1 〜72An 、72B1 〜72Bn 、……72N1 〜72Nn に入力されており、これらの各ゲートの他の入力端子はディレイライン63a〜63nの出力タップ1、2……nに接続されている。また、各ゲート72A1 〜72An 、……72N1 〜72Nn の出力は群ごとにまとめられオアゲート73a〜73nに入力され、その次段には第5実施例と一部が共通のスペース認識手段55が設けられている。したがって、半径位置選択ゲートの出力S1 〜Sn のうち1個を“H”とすることにより、ディレイライン63a〜63nの出力タップ1、2……nのうちの1つが選択され、この出力タップを通った先頭パルス信号だけが次段のディレイラインに入力されるとともに、その後の論理処理により先頭パルス出力となる。
【0093】
なお、各ディレイライン63a〜63nの入力と出力タップ間の遅延時間は各ディレイラインで同一とする必要はなく、ディスク媒体の特性に応じて設定してやればよい。また、直前のスペース長に応じた通過路の選択手段は第5実施例と全く同様である。
【0094】
上記説明では先頭パルス(開始部第1パルス)だけで余熱補正する例を示したが、第5実施例と同様に、図18、図19に示す回路を複数個用意し、開始部第1パルス〜第nパルスを使った余熱補正を行ってもよいことは言うまでもない。
【0095】
『第7実施例』
図20〜図27は本発明の第7実施例を示す図である。本実施例は直前のスペース長に応じた余熱補正を、前述した各実施例より更にきめ細かに行うものである。
【0096】
図21に示す本実施例のパルス列制御回路80はスペース認識回路81と時間圧縮回路82とで構成される。
スペース認識回路81は図15に示したスペース認識手段55と同様の回路で、直前のスペース長3τ〜11τに応じたスペース長信号を発生する。
【0097】
時間圧縮回路82は電圧制御遅延回路83と遅延時間制御回路84とで構成される。電圧制御遅延回路83は印加された制御電圧によってその遅延時間が変わる回路で、可変容量ダイオードとインダクタンスを組み合わせた、一般にはVCVDL(Voltage Controlled Variable Delay Line)と呼ばれている素子で構成される。本実施例ではジェーピーシー社製の素子を2個使用して、図22に示すように、0〜15Vの制御電圧に対して1020ns〜700nsの可変範囲を得ている。
【0098】
さて、上記電圧制御遅延回路33に、例えば図23に示す長さ3τ(690ns)の鋸歯状制御電圧を印加した場合を考えると、電圧制御遅延回路83の遅延時間は横軸の経過時間に対して図24に示すように変化する。経過時間0のタイミングで電圧制御遅延回路83に入力されたパルスは同遅延回路83内を伝播するが、その伝播中にも遅延回路83の遅延時間は図24に示すように刻々と変化している。したがって、パルスは入力タイミングにおける遅延回路83の遅延時間(1020ns)と定常状態における遅延時間(700ns)との平均値、すなわち(1020+700)/2=860nsだけ遅延されて出力端に現れる。また、経過時間300nsのタイミングで入力されたパルスはそのタイミングにおける遅延回路83の遅延時間が880nsであるから(880+700)/2=790nsだけ遅延される。このように鋸歯状制御電圧が印加された時点から遅れて入力されたパルスほど遅延時間が少なくなる。ただし、690ns以上遅れて入力されたパルスについてはもはや制御電圧が印加されていないため、遅延時間はすべて700nsとなる。
【0099】
図25に上記原理に基づいてパルス列の時間圧縮を行った一例を示す。直前のスペース長3τにおける余熱補正値を160nsとし、これに相当する鋸歯状制御電圧を(b)に示す15V、690nsとしている。また、入力パルス列としては(a)に示すマーク長4τの好適なパルス化を施したものとする。
【0100】
第1パルスの前縁は遅延され、 860ns後に出力される。また、第1パルスの後縁は 100ns後に入力されるから、上記原理より(974+700)/2=837ns だけ遅延され、経過時間の原点を基準とすれば837+100=937ns の時点で出力される。したがって、出力パルス列の第1パルス幅は937-860=77nsとなる。同様に第2パルスの前縁は 948ns、後縁は1025nsとなり、パルス幅は第1パルスと同様77nsとなる。以下同様に、第3パルスは前縁1036ns、幅62ns、第4パルスは前縁1125ns、幅46ns、第5、第6パルスの前縁はそれぞれ1213ns、1301ns、幅はそれぞれ46ns、39nsとなる。第7パルスが入力される時点では制御電圧は定常状態となっているから、第7および第8パルスはそのまま 700nsだけ遅延されて出力される。このようにして(c)に示す出力パルス列が得られる。実際には様々のマーク長およびスペース長が組み合わされたパルス列が入力されるが、その最終パルス後縁の位置は全て入力パルスから 700nsだけ遅れた位置を保っている。すなわち、入力信号のマーク長、スペース長の関係を保ちながら、各パルス列の先頭から鋸歯状制御電圧幅に相当する部分のパルス列だけが余熱補正のために時間圧縮される。
【0101】
図17に示す第5実施例の方法では、第1パルスを160ns遅らせ、第2、第3、第4パルスをそれぞれ150ns、140ns、130ns遅らせて余熱補正を行ったとしても、各スペース部分が圧縮されるだけで各パルス幅そのものは変化しない。一方、本実施例の方法では各スペース部分のみならず各パルス幅も同じ割合で圧縮されることが大きな特徴である。
【0102】
図25(a)に示すパルス列を例にとって説明すると、パルス幅の合計は590nsであり、パルス列の長さ885nsに対する割合(パルス化率)は約67%である。一方、図17に示す第5実施例の方法ではパルス幅の合計は同じで、パルス列の長さだけが885−160=725nsとなるから、パルス化率は590/725=0.81、81%と入力パルス列より大きくなってしまう。これに対して、本実施例の方法ではパルス幅の合計は487nsであり、パルス化率は487/725=0.67、約67%となり、入力パルス列のパルス化率と同じになる。
【0103】
パルス化率は書込レーザビームのエネルギー密度とも考えることができ、これを好適なパルス条件である入力パルス列と同じに保つことは、余熱補正を行った際にもより正確なビット形状を書込めることを意味している。
【0104】
また、余熱補正の範囲も開始部パルスに限ることなく中間部パルスにまで及ぼすことができる。すなわち、本実施例の時間圧縮による余熱補正では、原理的にどのような形状、組合わせのパルス列が入力されても、補正範囲全域にわたって該入力パルス列を相似的に圧縮することができる。したがって、前述した各実施例のようにパルス列が開始部、中間部、終了部に必ずしも分離されている必要はなく、例えば、3τ〜11τのマーク長各々が全く異なった組合わせのパルス列で構成されている場合でも、余熱補正を効果的に行うことができる。
【0105】
図26に遅延時間制御回路84の一例を示す。遅延時間制御回路84は前記第1遅延信号D1 から制御電圧幅に等しい幅のパルスを作る補正範囲設定回路90と、該パルスを鋸歯状波に変換する鋸歯状波発生回路91と、スペース認識手段55、81の結果に応じて好適な余熱補正のための遅延時間を設定する遅延時間設定回路92と、出力波形を15Vを基準とした波形に変換する引算回路93とで構成される。
【0106】
補正範囲設定回路90はモノマルチバイブレータ94で構成され、図27(a)に示すような入力信号D1 の各マーク立上りで始まる一定幅のパルス(図27(b)参照)を発生する。パルス幅はボリウム94Rで設定でき、この例ではパルス幅3τ(690ns)としている。
【0107】
前記パルスは微分回路95による鋸歯状波発生回路91で図27(c)のように変換され、遅延時間設定回路92に入る。なお、Rfはオペアンプのフィードバック抵抗で、これを調整することにより鋸歯状波の直線性を変えることができる。
【0108】
遅延時間設定回路92は各スペース長に対応する9組の増幅器96とスイッチ手段97とで構成される。各増幅器96の増幅率はRf/Rで決まるため、各増幅器96のフィードバック抵抗Rf3〜Rf11を変えることによって出力鋸歯状波のピーク値を変えることができ、各増幅器96の出力を図27(d)に示すように設定することができる。各増幅器96の出力にはアナログスイッチ等のスイッチ手段97が接続されており、該スイッチは前記スペース認識手段55から出力されるスペース長信号によって制御される。したがって、スイッチ手段97の出力側にはスペース長(余熱補正値)に応じたピーク電圧をもつ唯一個の鋸歯状波が現れる。
【0109】
引算回路93は1倍の反転増幅器98であり、オペアンプと抵抗Re、Rsにより構成され、入力端子間の差を出力する。正入力端子が15Vに接続されているため、負入力端子に入力される鋸歯状波を引算した図27(e)に示す波形が出力される。なお、Reはスイッチ手段97がすべてオフの場合に負入力端子を0Vに保つためのものである。引算回路の出力は鋸歯状制御電圧として電圧制御遅延回路に印加され、前述した時間圧縮が行われる。
【0110】
上記各回路に使われるオペアンプは15V以上の出力電圧がとれるもので、高速、高スルーレートのものが望ましく、例えばLH0032CG等を使用するのがよい。
【0111】
なお、上記一例では補正範囲設定回路90と鋸歯状波発生回路91をモノマルチバイブレータ94とオペアンプによる微分回路95で構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば非対称時定数を持つモノマルチバイブレータのベース側に発生する鋸歯状波を利用して二つの回路を一体化してもよいことは勿論である。
【0112】
図20に本実施例による好適な余熱補正結果の一例を示す。図中の○が補正なし、△が補正ありのデータである。書込パルス列は図25(a)に示した好適なパルス条件とし、直前のスペース長3τ時の補正値(最大補正)を160ns、スペース長4τ時の補正値を100ns、以下順次60ns、30ns、20ns、とし、スペース長8τ以上はすべて10nsとした。若干の非直線性はあるものの、ほぼ完全な余熱補正が行われている。
【0113】
『第8実施例』
図28、図29に第8実施例を示す。第7実施例では余熱補正の範囲(鋸歯状波制御電圧の幅)を3τとして説明してきた。これはCD信号の最小マーク長が3τであり、補正範囲を例えば5τ以上とするとマーク長3τの場合のパルス列の最終パルス位置が規定の位置から大きく遅れてしまう問題が生ずるためである。ところが一方では、7τ以上といった長いマーク長のパルス列に対しては、例えば5τ以上のより広範囲の補正を行い、入力パルス列とより相似に近いパルス列としたい要請もある。本実施例は、より広範囲の補正を行った場合にも短いマーク長のパルス列の最終パルスが規定位置に出るようにするものである。
【0114】
図28に本実施例の遅延時間制御回路を示す。この遅延時間制御回路は図26の回路と一部が異なり、引算回路101の負入力側を選択的に0電位に接続するスイッチ102と、該スイッチ102の開閉タイミングを制御するスイッチ制御回路103と、第1遅延信号を反転してスイッチ制御回路103に入力するインバータ104とを持つことを特徴としている。スイッチ制御回路103には例えば第1遅延信号D1 バーといったスイッチ制御信号が入力される。D1 バーはマーク時にLow、スペース時にHighとなるから、これをスイッチ制御回路103で適当なタイミングに調整してスイッチを制御してやれば、引算回路101の負入力側の電圧をマークが終わる寸前には必ず0Vとなるようにすることができる。
【0115】
前記補正範囲設定回路90で4τのパルス幅が設定され、マーク長3τのパルス列が前記電圧制御遅延回路83に入力される場合を考えると、引算回路101の入力波形は図29(a)に示す波形となり、出力波形は同図(b)に示す波形となる。したがって、引算回路101の出力波形を前記電圧制御遅延回路83に印加すると、該遅延回路83の遅延時間はマーク長3τのパルス列の最終パルスが入力される寸前に定常状態に復帰する。よって、最終パルスが出力されるタイミングは他のマーク長のパルス列の最終パルスと同様に、入力時点+700nsの位置となる。
【0116】
なお、前記補正範囲設定回路90で設定されたパルス幅より長いマーク長のパルス列については、該設定されたパルス幅の制御信号が定常状態になるまで前記スイッチ102がオフとなっているため、何ら影響はない。
【0117】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、高密度書込を行った場合にも隣接書込位置からの余熱の影響を効果的に補正して、正確な記録ビット形状、つまり書込開始位置が規定位置の所定形状の記録ビットを書込むことができ、C/N比の良い高品質の再生信号を得ることができる。
【0118】
また、本発明の装置構成によれば、簡単なハードウェアを付加するだけで上記余熱の影響を効果的に補正して上記記録ビット形状を書込むことができ、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するために好適な書込パルス条件の一例と書込ビット形状を示す図である。
【図2】第1実施例の全体構成図である。
【図3】第1実施例のパルス化回路のブロック図である。
【図4】第1実施例の基本動作を示すタイミングチャートである。
【図5】第1実施例の基準信号発生回路の回路図である。
【図6】第1実施例の基準信号発生回路のタイミングチャートである。
【図7】第1実施例のパルス列制御回路のタイミングチャートである。
【図8】第2実施例のタイミングチャートである。
【図9】第3実施例のパルス化回路の出力系統を示す図である。
【図10】第3実施例のパルス禁止手段の詳細な回路図である。
【図11】第3実施例のタイミングチャートである。
【図12】第4実施例のパルス化出力信号の出力系統を示す図である。
【図13】第4実施例の光出力の制御のタイミングチャートである。
【図14】第1、第2実施例によって余熱の影響を補正した結果を示す図である。
【図15】第5実施例のパルス列制御回路の要部の構成を示すブロック図である。
【図16】第5実施例のタイミングチャートである。
【図17】第5実施例の複数の通過路選択手段によるパルス出力を示す図である。
【図18】第6実施例の先頭パルス発生のための回路を示す図である。
【図19】第6実施例の半径位置の選択のための回路を示す図である。
【図20】第7実施例の余熱補正の一例を示す図である。
【図21】第7実施例のパルス列制御回路の構成を示す図である。
【図22】第7実施例の電圧制御遅延回路の特性を示す図である。
【図23】第7実施例の鋸歯状制御電圧と遅延時間を示す図である。
【図24】第7実施例の電圧制御遅延回路の特性を示す図である。
【図25】第7実施例の時間圧縮による余熱補正を施した出力パルス列を示す図である。
【図26】第7実施例の遅延時間制御回路の回路図である。
【図27】第7実施例の遅延時間制御回路の各部の動作波形を示す図である。
【図28】第8実施例のより広範囲の余熱補正を行う遅延時間制御回路を示す図である。
【図29】第8実施例の遅延時間制御回路の各部の動作波形を示す図である。
【図30】CD信号の一例を示す図である。
【図31】従来の方法による記録ビットの形状を示す図である。
【図32】直前のスペース長による書込マーク長の変化を示す図である。
【符号の説明】
1:第1の遅延回路(第1の遅延手段)
2:第2の遅延回路(第2の遅延手段)
3:制御信号発生回路(制御信号発生手段)
4、31:パルス化回路(パルス化手段)
5:レーザダイオード
8:光ディスク媒体
9:レーザ照射手段
10、80:パルス列制御回路(パルス列制御手段)
32:第1の光出力発生回路
33:第2の光出力発生回路
35:パルス禁止手段
51:光出力制御回路
54:通過路群
55:スペース認識手段
56:通過路選択手段
81:スペース認識回路(スペース認識手段)
82:時間圧縮回路(時間圧縮手段)
83:電圧制御遅延制御回路
84:遅延制御回路
90:補正範囲設定回路
91:鋸歯状波発生回路
92:遅延時間設定回路
93101:引算回路
94:モノマルチバイブレータ
95:微分回路
96:増幅器
97:スイッチ手段
102:スイッチ
103:スイッチ制御回路

Claims (6)

  1. 記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御方法において、
    前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号部に相当する情報信号の長さを順次認識し、
    前記マーク信号部に相当する情報信号を、第1〜第n(n(整数)≧2)の複数パルスからなる一連のパルス列に構成するとともに、
    前記一連のパルス列の先頭の第1パルスをそれぞれ異なったタイミングで発生させる複数の第1パルス通過路を設け、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスを、前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに対応する前記第1パルス通過路に通過させて、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスの発生位置を前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに応じて変えるように制御し、
    該制御された第1パルスと、該第1パルスに続く第2〜第nパルスとで前記一連のパルス列を構成することで、前記スペース長に対応して前記一連のパルス列を変化させ、
    該一連のパルス列を光照射手段に印加することでマーク信号部の書込みを行うようにしたことを特徴とする光ディスク情報書込制御方法。
  2. 記録ビットの長さが情報を担う情報記録を行う光ディスクに、マーク信号部とスペース信号部で構成された情報信号を書き込むための情報書込制御装置において、
    前記マーク信号部に相当する情報信号の直前にある、スペース信号部に相当する情報信号の長さを順次認識するスペース認識手段と、
    前記マーク信号部に相当する情報信号の長さに対応する、第1〜第n(n(整数)≧2)の複数パルスからなる一連のパルス列を生成するパルス制御手段と、
    前記一連のパルス列の先頭の第1パルスをそれぞれ異なったタイミングで発生させる複数の第1パルス通過路を設け、前記一連のパルス列の先頭の第1パルスを、前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに対応する前記第1パルス通過路に通過させて、前記先頭の第1パルスの発生位置を前記認識されたスペース信号部に相当する情報信号の長さに応じて変えるように制御する第1パルス発生位置制御手段と、を備え、
    前記パルス制御手段は、該制御された第1パルスと、該第1パルスに続く第2〜第nパルスとで前記一連のパルス列を構成することで、前記スペース長に対応して前記一連のパルス列を変化させ、
    該一連のパルス列を光照射手段に印加することでマーク信号部の書込みを行うようにしたことを特徴とする光ディスク情報書込制御装置。
  3. 書込が行われる光ディスク媒体の半径位置に応じて前記第1パルスの発生位置を制御することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク情報書込制御方法。
  4. 前記スペース信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを開始し、前記マーク信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを終了するカウンタ手段により、前記スペース信号部に相当する情報信号の長さを認識することを特徴とする請求項1又は3に記載の光ディスク情報書込制御方法。
  5. 前記パルス制御手段は、書込が行われる光ディスク媒体の半径位置に応じて前記第1パルスの発生位置を制御することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク情報書込制御装置。
  6. 前記スペース認識手段は、前記スペース信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを開始し、前記マーク信号部の開始を示す制御信号が入力されるとカウントを終了するカウンタ手段を有することを特徴とする請求項2又は5に記載の光ディスク情報書込 制御装置。
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