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JP3680422B2 - ホスホニウムクロライドの製法 - Google Patents
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JP3680422B2 - ホスホニウムクロライドの製法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホスホニウムブロマイドからホスホニウムハイドロジェンジクロライドを経由してホスホニウムクロライドを製造する方法に関する。ホスホニウムクロライドは各種反応の触媒(相間移動触媒、重合触媒、ハロゲン化物のハロゲン交換反応触媒など)として有用である。
【0002】
【従来の技術】
ホスホニウムブロマイドからホスホニウムクロライドを製造する方法としては、ホスホニウムブロマイドをイオン交換樹脂で処理する方法〔J.Am.Chem.Soc.,70,737(1948)〕が知られている。
しかし、この方法では、多量のイオン交換樹脂が必要とされるだけでなく、イオン交換樹脂の再生が必要になり、しかも再生の際には塩素イオンや臭素イオンを含む多量の廃液が出るという問題がある。また、その收率はテトラフェニルホスホニウムクロライドで79%程度に過ぎず、得られたホスホニウムクロライドには多量の水が含まれていて加熱乾燥を行うと一部が分解して塩素イオン量が減少するという問題もある。
【0003】
その他、テトラフェニルホスホニウムブロマイドをテトラフェニルホスホニウムフルオロボレートに変換した後に、これを塩化カリウムで処理してテトラフェニルホスホニウムクロライドを得る方法〔日本化学雑誌,86,112(1965)〕も知られている。
しかし、この方法では、テトラフェニルホスホニウムブロマイドをテトラフェニルホスホニウムフルオロボレートに変換する際にホウフッ化銀が必要とされるため、臭化銀が廃棄物として多量に生成するという問題がある。また、ホウフッ化銀は高価であるという問題もある。
【0004】
一方、ホスホニウムハライドからホスホニウムハイドロジェンジハライドを製造する方法としては、液化ハロゲン化水素でホスホニウムハライドを処理する方法〔Z.anorg.allg.Chem.,551,179(1987)〕が知られている。
しかし、この方法では、例えば、ホスホニウムブロマイドからはホスホニウムハイドロジェンブロマイドクロライドが得られるのみで、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドは得られない。即ち、この方法では、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドを得るにはホスホニウムクロライドを出発物質として用いる必要があり、合成の容易なホスホニウムブロマイドからホスホニウムハイドロジェンジクロライドを直接得ることは困難であった。また、液化ハロゲン化水素の取扱いも容易ではなく煩雑であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、イオン交換樹脂による処理等の煩雑な操作を行うことなく、また高価な薬品を使用して多量の廃棄物を出すようなこともなく、ホスホニウムブロマイドからホスホニウムクロライドを收率よく容易に製造することを課題とする。また、本発明は、ホスホニウムブロマイドからホスホニウムハイドロジェンジクロライドを直接かつ容易に製造することも課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、ホスホニウムブロマイドを溶解した塩酸を冷却して、析出するホスホニウムハイドロジェンジクロライドを分離し、次いで得られたホスホニウムハイドロジェンジクロライドを加熱して塩化水素を除去することを特徴とするホスホニウムクロライドの製法、及びホスホニウムブロマイドを溶解した塩酸を冷却して、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドを析出させることを特徴とするホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製法によって達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明で使用されるホスホニウムブロマイドは化学構造式(I)で示される化合物である。
【0008】
【化1】
Figure 0003680422
(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。)
【0009】
前記のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜12のアルキル基が挙げられ、これらは更に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等を置換基として有していても差し支えない。
前記のアラルキル基としては、ベンジル基等の炭素数7〜13のアラルキル基が挙げられ、これらは更に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等を置換基として有していても差し支えない。
前記のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらは更に炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子等を置換基として有していても差し支えない。
1 、R2 、R3 、R4 は互いに同一であっても異なっていてもよく、またこれらのうちの任意の2つが結合していても差し支えない。
【0010】
ホスホニウムブロマイドを具体的に挙げると、例えば、
テトラフェニルホスホニウムブロマイド、1−ナフチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、p−メチルフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、p−ビフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、p−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、p−エトキシフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、m−シアノフェニルトリフェニルホスホニウムブロマイド、p−クロロフェニルホスホニウムブロマイド等のR1 、R2 、R3 、R4 の全てがアリール基であるテトラアリールホスホニウムブロマイド、
メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のR1 、R2 、R3 、R4 の1つがアルキル基で、3つがアリール基であるアルキルトリアリールホスホニウムブロマイド、
ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のR1 、R2 、R3 、R4 の1つがアラルキル基で、3つがアリール基であるアラルキルトリアリールホスホニウムブロマイド、が挙げられる。
【0011】
本発明で使用される塩酸は、濃度が通常5〜40重量%、好ましくは10〜37重量%の塩酸である。この塩酸は、臭素イオン等の無機不純物を実質的に含まない塩酸(濃塩酸など)又は塩化水素を予めイオン交換水で希釈するか、又は濃塩酸又は塩化水素を反応系でイオン交換水と混合して、所定の濃度に希釈することによって調製される。塩酸の使用量は、ホスホニウムイオン(ホスホニウム塩)1当量に対して塩素イオン(塩酸)として通常5〜200当量、好ましくは10〜100当量である。
【0012】
本発明の方法では、ホスホニウムブロマイドを110℃以下、好ましくは30〜110℃、更に好ましくは50〜110℃で塩酸に加熱溶解させた後に、この塩酸を80℃以下、好ましくは−20〜75℃、更に好ましくは0〜70℃に冷却することにより、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドを結晶として析出させることができる。そして、濾過等により分離されたホスホニウムハイドロジェンジクロライドは塩酸で洗浄されて、減圧下又は不活性ガス(アルゴン、窒素等)気流中、20〜150℃、好ましくは40〜110℃で乾燥される。
得られたホスホニウムハイドロジェンジクロライドは臭素イオンを含んでいるが、塩酸から析出させる操作を更に繰り返すなどの方法によって臭素イオンの含量を低減させることができる。この操作は、例えば、上記のホスホニウムブロマイドと同様に、得られたホスホニウムハイドロジェンジクロライドを塩酸に加熱溶解させ、次いで冷却することによって行われる。
【0013】
上記のようにしてホスホニウムブロマイドから直接に製造されたホスホニウムハイドロジェンジクロライドは、減圧下、50〜350℃、好ましくは100〜300℃で加熱することによって、塩化水素が除去されてホスホニウムクロライドに変換される〔Z.anorg.allg.Chem.,551,179(1987)参照〕。このとき、加熱時間は圧力や温度により異なる。
また、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドは、常圧下、乾燥した不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等)気流中で、減圧下の場合と同様に加熱してもホスホニウムクロライドに変換することができる。この加熱処理は上記の減圧下での加熱処理と組み合わせて行っても差し支えない。
以上のように、本発明では、非常に簡単な操作によって、ホスホニウムハイドロジェンジクロライド及びホスホニウムクロライドを製造できる。
【0014】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドの收率(モル%)はホスホニウムブロマイドに対して求めた。
実施例1
〔テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造〕
2L容のガラス製フラスコに、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(0.32197mol)、イオン交換水(310.5ml)及び36重量%塩酸(1080ml)を入れて加熱攪拌して85℃で溶解させた。次いで、この溶液を攪拌しながら15℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を吸引濾過により分離して28重量%塩酸(60.0ml)で2回洗浄した後、アルゴン気流中、50〜95℃で乾燥してテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドを收率98%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドをイオンクロマトグラフィーで分析したところ、臭素イオンが1.8重量%含まれていた。
【0015】
実施例2
〔テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造〕
2L容のガラス製フラスコに、実施例1で得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド(0.31269mol)、イオン交換水(300.0ml)及び36重量%塩酸(1010ml)を入れたほかは、実施例1と同様にして、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドを收率96%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドには臭素イオンが0.16重量%含まれていた。
【0016】
実施例3
〔テトラフェニルホスホニウムクロライドの製造〕
実施例2で得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド(4.86mmol)をU字管に入れて、1mmHgの減圧下、220℃で2時間加熱した後、更にアルゴン気流中、220℃で2.5時間加熱して、テトラフェニルホスホニウムクロライドを定量的に得た。得られたテトラフェニルホスホニウムクロライドには臭素イオンが0.17重量%含まれていた。
【0017】
実施例4
〔テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造〕
50ml容のガラス製フラスコに、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(4.77mmol)と36重量%塩酸(14.0ml)を入れて加熱攪拌して75℃で溶解させた。次いで、この溶液を攪拌しながら20℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を吸引濾過により分離して36重量%塩酸(1.0ml)で2回洗浄した後、減圧下、60℃で乾燥して、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドを收率84%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドには臭素イオンが2.3重量%含まれていた。
【0018】
実施例5
〔テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造〕
50ml容のガラス製フラスコに、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(2.38mmol)とイオン交換水(3.0ml)を入れて加熱攪拌して90℃で溶解させた。この溶液に攪拌下で36重量%塩酸(12.5ml)を15分間で滴下した。このとき、塩酸を滴下するにつれて結晶が析出するが、90℃で攪拌を続けると溶液は均一になった。次いで、溶液を攪拌しながら20℃まで冷却して結晶を析出させ、実施例4と同様に結晶の分離、洗浄及び乾燥を行って、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドを收率92%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドには臭素イオンが1.2重量%含まれていた。
【0019】
実施例6
〔テトラフェニルホスホニウムクロライドの製造〕
実施例5で得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド(0.61mmol)をU字管に入れ、アルゴン気流中、220℃で4時間加熱して、テトラフェニルホスホニウムクロライドを收率96%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムクロライドには臭素イオンが1.4重量%含まれていた。
【0020】
実施例7
〔テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造〕
テトラフェニルホスホニウムブロマイドを2.44mmol、イオン交換水を4.0ml、36重量%塩酸を9.0mlに変えたほかは、実施例5と同様にして、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドを收率89%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドには臭素イオンが2.0重量%含まれていた。
【0021】
実施例8
〔テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造〕
20ml容のガラス製フラスコに、実施例7で得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド(1.22mmol)、イオン交換水(0.5ml)及び36重量%塩酸(4.0ml)を入れて加熱攪拌して90℃で溶解させた。次いで、この溶液を攪拌しながら20℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を吸引濾過により分離して36重量%塩酸(0.5ml)で2回洗浄した後、減圧下、60℃で乾燥して、テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドを收率89%で得た。得られたテトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドには臭素イオンが0.26重量%含まれていた。
テトラフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製造の結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003680422
【0023】
実施例9
〔ベンジルトリフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド及びベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドの製造〕
100ml容のガラス製フラスコに、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド(4.64mmol)とイオン交換水(10.0ml)を入れて加熱攪拌して80℃で懸濁させておいた。次いで、この溶液に攪拌下で36重量%塩酸(20.0ml)を加えて80℃で攪拌を続けた。溶液が均一になった後、溶液を攪拌しながら20℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を吸引濾過により分離して、60℃、2mmHgで2時間減圧乾燥して、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドとベンジルトリフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライドの混合物を收率94%で得た。元素分析の結果(C:75.97重量%、H:5.63重量%)、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(A)とベンジルトリフェニルホスホニウムハイドロジェンジクロライド(B)の割合はA:B=1:0.12であった。得られた混合物には臭素イオンが0.87重量%含まれていた。
【0024】
【発明の効果】
本発明により、従来のように、イオン交換樹脂による処理等の煩雑な操作を行うことなく、また高価な薬品を使って多量の廃棄物を出すようなこともなく、ホスホニウムブロマイドからホスホニウムクロライドを收率よく非常に容易に製造できる。また、本発明により、ホスホニウムブロマイドからホスホニウムハイドロジェンジクロライドを直接かつ非常に容易に製造することもできる。

Claims (4)

  1. ホスホニウムブロマイドを溶解した塩酸を冷却して、析出するホスホニウムハイドロジェンジクロライドを分離し、次いで得られたホスホニウムハイドロジェンジクロライドを加熱して塩化水素を除去することを特徴とするホスホニウムクロライドの製法。
  2. ホスホニウムブロマイドを溶解した塩酸を冷却して、ホスホニウムハイドロジェンジクロライドを析出させることを特徴とするホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製法。
  3. ホスホニウムブロマイドがテトラアリールホスホニウムブロマイドであることを特徴とする請求項1記載のホスホニウムクロライドの製法。
  4. ホスホニウムブロマイドがテトラアリールホスホニウムブロマイドであることを特徴とする請求項2記載のホスホニウムハイドロジェンジクロライドの製法。
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