JP3684556B2 - 溶融スラグの水砕処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は溶融スラグの水砕処理方法に関する。都市ごみ、下水処理汚泥、産業廃棄物等、各種の廃棄物を焼却処理すると、焼却残渣が発生する。焼却残渣は、焼却炉に残る焼却灰と、焼却炉の排ガス処理系で捕捉される、主として排ガス処理系の集塵装置で捕捉される飛灰とに大別されるが、かかる焼却残渣は一般に、これを減容化及び安定化するため、溶融炉で溶融処理される。焼却残渣を溶融炉で溶融処理すると、溶融スラグが生成するが、溶融スラグは溶融炉の炉壁に開設されているスラグ排出口から通常はオーバーフローで排出される。スラグ排出口からオーバーフローで排出された溶融スラグは、そのままでは取扱いができないため、一般に水砕処理され、水砕スラグとなる。水砕スラグは埋立処分されるか又は土木建築材料等として利用されるが、いずれにしても該水砕スラグには重金属類の溶出が少ない安定なものであることが求められる。本発明は、得られる水砕スラグから重金属類が溶出するのを低減できる、溶融スラグの水砕処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶融炉のスラグ排出口から排出された溶融スラグの水砕処理方法として、スラグ排出口を臨んでその下方に水槽を設置し、この水槽に水を貯留して、スラグ排出口から排出された溶融スラグを水槽の貯留水中に落下させることが行なわれている(特開昭62−172107)。この場合、水砕効率を上げるため、スラグ排出口と水槽との間にノズルを装備し、このノズルから落下途中の溶融スラグへ水を噴射することも行なわれており、また水槽中の貯留水に水流を形成させるため、貯留水の一部を抜き出して循環させることも行なわれている。そして水槽中の貯留水は水砕処理に伴って汚染されるので、その一部を抜き出して排水処理設備へ供した後に放水し、その一方で不足分に見合う貯留水をノズルからの噴射水の形で或は直接に水槽へ補給することが行なわれている。ところが、かかる従来法によると、実際問題として、水槽から掻き出した水砕スラグが多量の重金属類を溶出するという欠点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来法では、得られる水砕スラグが多量の重金属類を溶出する点である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、溶融炉のスラグ排出口から排出された溶融スラグを水砕処理するに際し、溶融スラグを水砕処理する水槽中の貯留水の一部を抜き出して濾過し、抜き出した貯留水に含まれている重金属類の粒子を濾別した後、濾過水を水槽へ返送することを特徴とする溶融スラグの水砕処理方法に係る。
【0005】
本発明では、溶融スラグを水砕処理する水槽中の貯留水の一部を抜き出して濾過し、抜き出した貯留水に含まれている重金属類の粒子を濾別した後、濾過水を水槽へ返送する。水砕スラグそれ自体は、その形態からして、重金属類の溶出が殆どない極めて安定なものであるが、前述した従来法では実際のところ、水槽から掻き出した水砕スラグについて溶出試験(環境庁告示第13号、昭和48年)を行なうと、重金属類の溶出が多い。そこでその原因を追究したところ、水槽から掻き出した水砕スラグの表面に該水槽の貯留水中に含まれている重金属類が付着するためであることが判った。溶融炉のスラグ排出口からオーバーフローで排出された溶融スラグはその下方に設置されている水槽の貯留水中に落下する。この際、未溶融の焼却残渣、ダスト、溶融塩等が貯留水中に落下するのを完全には避けられず、これらに起因して、溶融スラグの水砕処理に伴い貯留水が汚染され、貯留水に含まれてくる重金属類の濃度が高くなり、この重金属類が水砕スラグの表面に付着した状態で水槽から掻き出されるのである。実際、水槽から掻き出した水砕スラグについて、溶出試験の結果で鉛濃度が0.078mg/リットルのものを充分に水洗浄すると、鉛濃度が0.007mg/リットルになる。
【0006】
したがって、得られる水砕スラグの重金属類溶出量を低減させるためには、水槽の貯留水を常時できるだけ清浄に保つことが重要である。その方法としては、もともと水槽の貯留水はその一部を抜き出して排水処理設備に供し、その一方で抜き出した貯留水に見合う量の新たな水を水槽へ補給しているところ、水槽から抜き出す貯留水の量を多くして、これに見合う大量の新たな水を水槽へ補給することが考えられる。しかしながら、このような方法は、相応に大きな排水処理設備を必要とし、実際的でない。そこで水槽の貯留水を常時できるだけ清浄に保つ実際的な方法について検討したところ、貯留水に含まれている重金属類はその殆どが粒子の形態で存在しており、したがってかかる貯留水の一部を抜き出して濾過し、抜き出した貯留水に含まれている重金属類の粒子を濾別した後、濾過水を水槽へ返送すればよいことを見出した。表1は濾過径の異なる3種の濾紙を用いて、溶融スラグの水砕処理に伴い汚染された貯留水を濾過したときの、濾過水中の鉛濃度の測定結果を例示するものであるが、この表1からも、貯留水中において重金属類の殆どが粒子の形態で存在していることが判る。
【0007】
【表1】
【0008】
本発明において、水槽から抜き出して濾過する貯留水の量は、焼却残渣の性状、溶融炉の種類や大きさ、更には水槽の形状や大きさ等にもよるが、通常、溶融処理する焼却残渣量(トン/時)の3〜30倍量(m3/時)とする。水槽から抜き出した貯留水の濾過に用いる装置は、それが該貯留水に含まれている粒子状の重金属類を濾別できるものであれば特に制限されないが、濾材として濾布、濾紙、砂、セラミック粒、プラスチック粒、ウォールナッツ、珪藻土等を用いたものが有利であり、なかでも砂を用いたものすなわち砂濾過装置が好ましい。濾過はケーク濾過或は清澄濾過のどちらでもよく、濾過に際しては加圧操作或は減圧操作を施すこともできる。濾過に先立って、水槽から抜き出した貯留水に無機系凝集剤や有機高分子系凝集剤を加えて凝集処理を行なうのも有効である。水槽の貯留水はそのpHを11以下のアルカリ性に維持するのが好ましい。鉛、銅、亜鉛等の重金属類はアルカリ性下において溶解度が低いからであるが、余りにもアルカリ性にすると、なかには逆に溶解度が高くなる重金属類もあり、作業者にとっても危険であるからである。
【0009】
【実施例】
図1は本発明の一実施状態を略示する系統図である。溶融炉11で都市ごみの焼却残渣Aを溶融処理している。焼却残渣Aを溶融処理すると、溶融スラグBが発生するが、溶融スラグBは溶融炉11の炉壁に開設されたスラグ排出口12からオーバーフローで排出されている。スラグ排出口12の下方には水槽21が設置されており、水槽21には貯留水22が蓄えられている。スラグ排出口12からオーバーフローで排出された溶融スラグBは水槽21の貯留水22へ自重で落下し、ここで水砕処理されて、水砕スラグCとなっている。水槽21には掻き出しコンベア23が装備されており、水砕スラグCは掻き出しコンベア23で水槽21から掻き出されている。
【0010】
水槽21の貯留水22はその一部がポンプ31で抜き出され、抜き出された貯留水22の一部が排水処理設備32で排水処理された後に放水されており、抜き出された貯留水22の残部が循環水として水槽21へ返送されていて、排水処理設備32へ供された貯留水22に見合う量の新たな補給水が水槽23へ補給されている。一方、水槽21の貯留水22はその一部がポンプ41で抜き出され、抜き出された貯留水22は濾過装置42で濾過されて、ここで貯留水22に含まれる粒子状の重金属類が濾別された後、濾過水が水槽21へ返送されている。
【0011】
実施例1
図1の系統図にしたがい、下記の条件下で溶融スラグを水砕処理した。24時間連続して水砕処理したときの、貯留水の鉛濃度は2.4mg/リットルであり、また水槽から掻き出した水砕スラグの鉛溶出量(環境庁告示第13号、昭和48年)は0.027mg/リットルであった。
条件:
焼却残渣の溶融処理量=都市ごみの焼却灰を1トン/時、貯留水量=200m3、貯留水のpH=8.1、排水処理設備に供した貯留水量=2m3/時、濾過装置に供した貯留水量=5m3/時、使用した濾過装置=大同ハイドロメーション社製の超急速濾過装置(商品名インデプスフィルタ)
【0012】
比較例1
図1の系統図にしたがい、実施例1と同じ条件下で溶融スラグを水砕処理した。但しここでは、水槽から貯留水の一部を抜き出して濾過装置に供する操作を行なわなかった。24時間連続して水砕処理したときの、貯留水の鉛濃度は6.5mg/リットルであり、また水槽から掻き出した水砕スラグの鉛溶出量は0.078mg/リットルであった。
【0013】
【発明の効果】
既に明らかなように、以上説明した本発明には、得られる水砕スラグからの重金属類の溶出を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施状態を示す系統図。
【符号の説明】
11・・・溶融炉、12・・・スラグ排出口、21・・・水槽、22・・・貯留水、23・・・掻き出しコンベア、31,41・・・ポンプ、32・・・排水処理設備、42・・・濾過装置
Claims (2)
- 溶融炉のスラグ排出口から排出された溶融スラグを水砕処理するに際し、溶融スラグを水砕処理する水槽中の貯留水の一部を抜き出して濾過し、抜き出した貯留水に含まれている重金属類の粒子を濾別した後、濾過水を水槽へ返送することを特徴とする溶融スラグの水砕処理方法。
- 水槽の貯留水をpH11以下のアルカリ性に維持する請求項1記載の溶融スラグの水砕処理方法。
Priority Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP12944895A JP3684556B2 (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 溶融スラグの水砕処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP12944895A JP3684556B2 (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 溶融スラグの水砕処理方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08301636A JPH08301636A (ja) | 1996-11-19 |
| JP3684556B2 true JP3684556B2 (ja) | 2005-08-17 |
Family
ID=15009735
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP12944895A Expired - Lifetime JP3684556B2 (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 溶融スラグの水砕処理方法 |
Country Status (1)
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1995
- 1995-04-27 JP JP12944895A patent/JP3684556B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| JPH08301636A (ja) | 1996-11-19 |
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