JP3685018B2 - 発光素子とその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、発光素子とその製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、半導体素子であり玉切れがなく、ON/OFF駆動特性に優れていることから、種々の用途に幅広く使用されている。
【0003】
また、最近では、表面実装が可能なチップタイプのLEDが多く使用されるようになってきている。
【0004】
このチップタイプLED(チップタイプの発光素子)は、電極リードが埋め込まれた例えば液晶ポリマーからなるパッケージの凹部に半導体LEDチップがダイボンディングされ、必要に応じてワイヤーボンディングがされた後にその半導体LEDチップを覆うように凹部内に透光性樹脂を充填することにより構成されている。
【0005】
また、一般に、半導体LEDチップは、GaN等の化合物半導体からなるp半導体層とn半導体層が直接接合してpn接合を形成するか、その間に活性層を挟持してダブルへテロ接合を形成して構成され、p半導体層とn半導体層との間に順方向の電圧が印加されることにより、pn接合部又は活性層で発光する。
【0006】
以上のように構成された発光素子において、半導体LEDチップから発せられた光は、透光性樹脂を介して前方に出射される。
【0007】
また、最近では、低消費電力でより明るい発光素子が求められており、半導体LEDチップの発光効率を高めるとともに、半導体LEDチップが発光した光を効率よく前方に出射させることができる光の取りだし効率の高い構造の検討が成されている。
【0008】
発光素子において光取りだし効率を向上させる有効な構造として本出願人は先に酸化チタン等の無機材料からなる拡散材を樹脂に分散させてパッケージの凹部の壁面にコートすることにより凹部壁面に光散乱層を形成する構造を提案した(特開平11−284234号公報)。この提案した構造によれば、半導体LEDチップから出力されて壁面に入射された光が光散乱層により散乱されて前方に出射される光を増加させることができ、その結果、光の取りだし効率を向上させることができる。
【0009】
光の取り出し効率を高める他の方法として、透光性樹脂に覆われたチップタイプLEDにおいて、半導体LEDチップと透光性樹脂との間に、半導体LEDチップの屈折率と透光性樹脂の屈折率との間の屈折率を有する中間層を設けることにより、光の取り出し効率を向上させることが考えられる。
【0010】
一方、一般に、シリコーン樹脂に比べて屈折率の高いエポキシ樹脂等を封止樹脂として用いると、シリコーン樹脂に比べてエポキシ樹脂の線膨張係数は大きいため、半導体LEDチップと基体とを電気的に結ぶ導電線が、主に導電線と基体との接合部において切れ乃至剥がれを発生するという問題が生じる可能性があった。
【0011】
そこで、本出願人は半導体LEDチップ及び導電線を線膨張係数の小さいシリコーン樹脂等の柔らかい樹脂で直接包囲してからエポキシ樹脂で覆うことにより、導電線の切れや剥がれ等を防止する発明を出願した(特開平8−335720)。
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、樹脂に酸化チタンが分散された光散乱層を有する発光素子は、酸化チタンに光が照射された時に生じる活性酸素により光散乱層を構成する樹脂が分解するという問題点があった。
【0013】
このために光散乱層と他の要素との界面が剥離したり、光散乱層自身にボイドが形成されたりする等の問題点により光散乱層が劣化し、発光素子において高い光取りだし効率を長期間安定して得ることが困難であった。
【0014】
また、pn接合部又は活性層で発光した光は、半導体LEDチップ内に存在する半導体層あるいはサファイア基板等から透光性樹脂に出射し、ついで透光性樹脂から空気中に出射され、利用される。
【0015】
しかしながら、半導体LEDチップを構成する材料の屈折率(例えば、GaNの屈折率:2.2程度、GaPの屈折率:3.3程度、サファイアの屈折率:4.0程度)に対して、透光性樹脂の屈折率(例えば、エポキシ樹脂の屈折率:1.5〜1.6程度、シリコーン樹脂の屈折率:1.4〜1.5程度)は小さいために、pn接合部又は活性層で発光した光は、半導体LEDチップと透光性樹脂との界面で全反射してしまい、効率の良い光の取り出し効率は得られにくかった(半導体LEDチップ内に戻った光は半導体層等により吸収される場合がある)。
【0016】
一方、半導体LEDチップと透光性樹脂との間に、半導体LEDチップの屈折率と透光性樹脂の屈折率との間の屈折率を有する中間層が設けられる。すなわち半導体LEDチップ上に、順に、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層(低屈折率樹脂の屈折率<高屈折率樹脂の屈折率<半導体LEDチップの屈折率)とが形成される方法において、高屈折率樹脂の材料として低融点ガラスが考えられるが、低融点ガラスをパッケージの凹部に塗布しようとすると低融点ガラスの硬化温度、すなわち融点でパッケージが融解してしまう。これは、例えば、屈折率が2の低融点ガラスの融点が400℃程度であるのに対して、熱可塑性樹脂の中で最高の耐熱性を有する液晶ポリマーの耐熱温度が350℃程度であるためである。
【0017】
また、仮にパッケージ以外の基体に低融点ガラスを塗布したとしても、低融点ガラスは無機物であるシリカを主成分とするため、従来通り低融点ガラスを硬化させた後、低融点ガラスの上に有機物であるエポキシ樹脂層を形成すると、その界面において剥離乃至ボイド等が発生してしまうという問題があった。
【0018】
また、半導体LEDチップを直接シリコーン樹脂等の柔らかい樹脂で包囲してからエポキシ樹脂で覆うことにより、金線の切れ乃至剥がれ等を防止するという発明においては、従来通りシリコーン樹脂を硬化させた後、前記シリコーン樹脂の上にエポキシ樹脂層を形成することにより金線の切れ乃至剥がれ等を防止することができる。
【0019】
しかしながら、LEDはその需要の高まりに伴い、さらに厳しい条件下での使用も考えられる。このような特殊な条件下においては、例えば、半導体LEDチップ上に第1樹脂層を形成し、さらにその上に第2樹脂層を形成したLEDの場合であると、第1樹脂層と第2樹脂層との界面にて剥離乃至ボイドが発生する可能性がある。
【0020】
一方、高屈折率シリコーン樹脂と一般に用いられる低屈折率シリコーン樹脂とを比較すると、高屈折率のシリコーン樹脂の方が柔らかく、外部からの衝撃に対して弱い。従って、発光素子表面を高屈折率のシリコーン樹脂とすると、若干の外部からの衝撃により封止樹脂が破れてしまう可能性があった。
【0021】
そこで、本発明は、上述した問題を解決し、長期間安定した高い光取り出し効率を得ることができる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述の目的を達成するため、本発明は、基体上に半導体LEDチップが設けられ、その半導体LEDチップを覆う透光性樹脂を有する発光素子において、上記基体と上記透光性樹脂との間に備えられた光散乱層は、上記半導体LEDからの光を散乱させる無機材料が分散されたガラス層と、該ガラス層の上に形成された樹脂層とを有しており、上記ガラス層と上記樹脂層との間に、上記ガラス層を構成するガラス材料から上記樹脂層を構成する樹脂材料へと組成が徐々に変化する組成傾斜層を有することを特徴とする。
【0023】
このようにすると、無機材料と樹脂層とが直接に接しないようにできるので、その無機材料による樹脂の劣化を防止でき、長期間にわたって安定した光散乱特性が得られる。また、このようにすると、ガラス層と樹脂層とを直接接触させた場合に比較して、ガラス層と樹脂層とをより強固に接合することができる。ここで、本願明細書で言うガラスとは、構成原子が規則的な配置をとっておらず、無秩序な構造を有する非晶質の無機物質をいう。
【0024】
また、本発明の発光素子は、上記基体が、凹部を有するパッケージであり、その凹部に収納された半導体LEDチップを覆うように、上記凹部に透光性樹脂が充填されてなることが好ましい。このように構成すると、上記凹部の壁面により光を反射して、効果的に上記パッケージの上方に光を出射することができ、また、無機材料と樹脂層とが直接に接しないようにできるので、その無機材料による樹脂の劣化を防止でき、長期間にわたって安定した光散乱特性が得られる。
【0025】
また、本発明に係る発光素子において、上記樹脂は、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂であることが好ましい。さらに、本発明に係る発光素子において、上記無機材料は酸化チタンとすることができる。本構成では、酸化チタンを樹脂に直接接触しないように光散乱層に分散させることができるので樹脂の劣化を防止でき、長期間安定した光散乱特性が得られる。
【0026】
また、本発明に係る発光素子の製造方法は、基体上に半導体LEDチップが設けられ、その半導体LEDチップを覆う透光性樹脂を有する発光素子の製造方法において、シリカ又はシロキサンを骨格とする無機物ゾルに上記半導体LEDからの光を散乱させる無機材料を混合することにより無機コーティング剤を作製する工程と、上記無機コーティング剤を上記基体に塗布して乾燥することによりゲル状の無機コーティング層を形成する工程と、上記ゲル状態の無機コーティング層の上に樹脂をコーティングすることにより樹脂層を形成する工程と、上記無機コーティング層と樹脂層とを硬化させる工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
このようにすると、ガラス層と、樹脂層と、ガラス層と樹脂層との間に位置する組成傾斜層からなる光散乱層を、凹部5cの底面及び側壁面に容易に形成することができる。
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
【0028】
以下、図1を参照しながら本発明に係る実施の形態1の発光素子について説明する。本発明に係る実施の形態1の発光素子は、パッケージ5の凹部5cの内部に半導体LEDチップ7が透光性樹脂6でモールドされてなる表面実装が可能なチップタイプの発光ダイオードであって、以下のように構成される。
【0029】
実施の形態の発光素子において、パッケージ5は、正負の端子である1対の電極端子5a,5b、半導体LEDチップを収納する凹部とを備えた、例えば液晶ポリマーなどにより構成される。また、半導体LEDチップ7は、例えばサファイア基板上に窒化ガリウム系半導体が成長されてなり、パッケージ5の凹部5cの底面にダイボンディングされ、その正負の電極がそれぞれ、パッケージ5の電極端子5a,5bにワイヤーボンディングにより接続される。そして、光散乱層10は、パッケージ5の凹部5cの底面及び側壁面に形成される。
【0030】
ここで、特に本実施の形態の発光素子では、光散乱層10が、TiO2粒子が分散されてなり凹部5cの底面及び側壁面に接するように形成されたガラス層1と、透光性樹脂6と接するように形成された樹脂層3と、ガラス層1と樹脂層3との間に位置する組成傾斜層2からなることを特徴としている。
【0031】
本実施の形態において、組成傾斜層2は、ガラス層1と接する部分では主としてガラス層1を構成するガラス材料からなり、樹脂層3と接する部分では主として樹脂層3を構成する樹脂材料からなり、ガラス層1と接する部分から樹脂層3と接する部分に向かってガラス材料から樹脂材料へと組成が徐々に変化する層である。
【0032】
以上のように構成された実施の形態の発光素子において、半導体LEDチップ7から出射された光は、上方(前方)に出射された光に加え、光散乱層10の方向に出射された光も光散乱層10で散乱されて上方(前方)に出射される。
【0033】
これにより、半導体LEDチップ7から出射された光は、上方(前方)に効率良く出射される。また、本実施の形態の発光素子では、光散乱層10において散乱粒子であるTiO2(酸化チタン)粒子を無機物であるガラス層1に分散させて樹脂材料が直接酸化チタン材料に接していないので、酸化チタンの酸化分解作用により樹脂を劣化させることがなく、長期間にわたって安定した光散乱特性が得られる。
【0034】
また、本実施の形態の発光素子では、ガラス層1と樹脂層3との間に組成傾斜層2を設けているので、酸化チタン粒子と樹脂との接触をより効果的に防止でき、組成傾斜層を形成していない場合に比較してさらに樹脂の劣化を効果的に防止できる。すなわち、ガラス層1と樹脂層3とを直接接触させると、その境界において酸化チタン粒子と樹脂とが接触する場合があり、その接触部分で樹脂が劣化することがある。
【0035】
しかしながら、本発明は、組成傾斜層2が存在する場合に限定されるものではなく、少なくとも光散乱粒子を含むガラス層とその上に形成された樹脂層とを備えていればよく、ガラス層と樹脂層とに分離することにより、従来例に比較して飛躍的に樹脂の劣化を防止することができる。
【0036】
また、本実施の形態の発光素子では、ガラス層1と樹脂層3との間に組成傾斜層2を設けているので、ガラス層1と樹脂層3とを直接接触させた場合に比較して、ガラス層1と樹脂層3とをより強固に接合することができる。
【0037】
また、本実施の形態の発光素子では、ガラス層1と樹脂層3との間に組成傾斜層2を形成しているので、比較的屈折率の大きいガラス層1と屈折率の小さい樹脂層3との間において屈折率を徐々に変化させることができる。これにより、ガラス層1と樹脂層3との間に不連続に屈折率が変化する境界が存在しないので、ガラス層1と樹脂層3との間の光の反射を防止できる。
【0038】
したがって、酸化チタン粒子によって反射散乱された光が、ガラス層1と樹脂層3との間で反射されることなく、透光性樹脂6を介して発光素子の上方に出射できるので、光取りだし効率(出射効率)をより高くできる。
【0039】
次に、本実施の形態の発光素子における光散乱層10の形成方法について説明する。
(1)まず、シリカを含むゾル又はシロキサンを骨格とする無機物ゾルをバインダーとして酸化チタンを混合することにより、酸化チタン含を含む無機コーティング剤を作製する。
(2)次に、酸化チタンを含む無機コーティング剤を半導体LEDチップが搭載されたパッケージ5の凹部5cの底面及び側壁面に所定の厚さに塗布することにより、無機コーティング層を形成する。
(3)次に、塗布された無機コーティング層を乾燥してゲル状態とし、その上にエポキシ樹脂又はシリコーン樹脂等の有機物である樹脂をコーティングすることにより、樹脂層を形成する。
(4)そして、その樹脂層の硬化温度で無機コーティング層と樹脂層とを同時に硬化する。
【0040】
このようにして、TiO2粒子が分散されたガラス層1と、樹脂層3と、ガラス層1と樹脂層3との間に位置する組成傾斜層2からなる光散乱層10を、凹部5cの底面及び側壁面に形成することができる。
【0041】
ここで、本発明において、ガラス層1を形成するための無機バインダーは、低温加熱又は常温乾燥によりガラス層を形成することができる、例えばシリカを含むゾル又はシロキサンを骨格とする無機物ゾルを主成分とする無機バインダーを用いることができる。尚、本発明において、低温加熱とは、樹脂層3を構成する樹脂を硬化させる硬化温度又はそれ以下の温度をいう。
【0042】
以上の実施の形態では、光散乱・拡散性を有する酸化チタンを例に説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、光散乱・拡散性を有しかつ光触媒作用する他の無機材料を用いた場合においても、本発明と同様の作用効果を有する。
【0043】
また、本発明では、光散乱・拡散性を有し光触媒作用を持たない、例えば、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等の種々の無機材料を用いることもできる。
【0044】
また、以上の実施の形態では、樹脂層3の材料としてエポキシ樹脂及びシリコーン樹脂を好ましい例として挙げたが、本発明はこれに限らず、ポリアミドやUV硬化樹脂等他の樹脂を用いてもよい。
【0045】
以上の実施の形態では、凹部5cを有するパッケージ5を用いた例で説明したが、本発明はこれに限らず、基板等の他の基体を用いた場合にも適用できる。
【0046】
例えば、基板上に半導体LEDチップが設けられ、その半導体LEDチップと該LEDチップの周りの基板上を覆うように透光性樹脂を形成した発光素子において、その基板に接するように酸化チタン等の無機材料が分散されたガラス層を形成し、該ガラス層の上に樹脂層を形成して、その上に透光性樹脂を形成するようにしてもよい。以上のようにしても実施の形態1の発光素子と同様の作用効果を有する。
[実施の形態2]
【0047】
以下、図2を参照しながら本発明に係る実施の形態2の発光素子について説明する。本発明に係る実施の形態2の発光素子は、パッケージ15の凹部15cの内部に、例えば実施の形態1に記載の半導体LEDチップ7が透光性樹脂でモールドされてなる表面実装が可能なチップタイプの発光ダイオードであって、以下のように構成される。
【0048】
実施の形態2の発光素子において、パッケージ15は、正負の端子である1対の電極端子15a,15bと、半導体LEDチップを収納する凹部とを備えた、例えば液晶ポリマー等により構成される。
【0049】
また、半導体LEDチップ7は、パッケージ15の凹部15cの底面に、接着剤16を介してダイボンディングされ、その正負の電極はそれぞれ金線等の導電線14を介してパッケージ15の電極端子15a,15bに接続される。そして、例えば、半導体LEDチップ7上に、順に、第1樹脂層11と、組成傾斜層12と、第2樹脂層13が形成される。
【0050】
ここで、特に本実施の形態の発光素子では、半導体LEDチップ7の上に、順に、第1樹脂層11と第1樹脂層11の上に形成される第2樹脂層13が形成され、かつ第1樹脂層11と第2樹脂層13との間に位置する組成傾斜層12を有することを特徴としている。
【0051】
本実施の形態において、組成傾斜層12は、第1樹脂層11と接する部分では主として第1樹脂層11を構成する樹脂材料からなり、第2樹脂層13と接する部分では主として第2樹脂層13を構成する樹脂材料からなり、第1樹脂層11と接する部分から第2樹脂層13と接する部分に向かって第1樹脂層11を形成する材料から第2樹脂層13を形成する材料へと組成が徐々に変化する層である。
【0052】
以上のように構成された実施の形態2の発光素子において、第1樹脂層11と第2樹脂層13との界面においては、不連続に屈折率が変化する境界が存在しないので、その境界により光を反射することなく、より良い光の取り出し効率を得ることができる。また、第1樹脂層11と第2樹脂層13とをより強固に接合することができるので、第1樹脂層11と第2樹脂層13の材料に係わらず、第1樹脂層11と第2樹脂層13との界面にて剥離乃至ボイドが発生することを防止することができる。
【0053】
さらに、第2樹脂層13の屈折率<第1樹脂層11の屈折率<半導体LEDチップ7の屈折率、という関係が成り立つ場合は、半導体LEDチップ7を第2樹脂層13のみで覆う場合に比較して、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0054】
また、少なくとも金線等の導電線と電極端子15a、15bとの接合部を、シリコーン樹脂等の線膨張係数の小さい樹脂層で覆うことにより、その部分における導電線の切れ等を防止することができる。
【0055】
次に、本実施の形態の発光素子における、組成傾斜層12の形成方法について説明する。
(1)まず、パッケージ15の凹部15cの底面にダイボンディングされた半導体LEDチップ7を覆うように第1樹脂層11の材料を所定の厚さに塗布することにより、第1樹脂層11を形成する。
【0056】
ここで、第1樹脂層11の材料の量等を調整することにより、導電線と電極端子15a、15bとの接合部を第1樹脂層11の材料で覆うか否かを決定することができる。
(2)次に、第1樹脂層11を硬化させずに、すなわちゲル状態時に、第1樹脂層11の上にさらに第2樹脂層13の材料を塗布し、第2樹脂層13を形成する。
(3)そして、両層が硬化する温度乃至時間で第1樹脂層11と第2樹脂層13を同時に硬化させる。
【0057】
このようにすると、第1樹脂層11と、第2樹脂層13と、第1樹脂層11と第2樹脂層13との間に位置する組成傾斜層12とを容易に形成することができる。
【0058】
また、実施の形態2では、第1樹脂層11乃至第2樹脂層13の材料として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、非晶性ポリアミド、UV硬化樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0059】
また、実施の形態2では、第1樹脂層11の形状は例えば図2に示すような滑らかな凸状であることが好ましい。これは、第1樹脂層11と第2樹脂層13との界面に入射する光はその入射角が小さくなるため、全反射することなく第2樹脂層13に出射し易いからである。しかしながら、実施の形態2においては、例えば、第1樹脂層11を半導体LEDチップ7の外形と平行な形状で設けられても同様の効果を有する。
【0060】
また、第1樹脂層11と第2樹脂層13との量には、特に限定されない。さらに、実施の形態2では、凹部15cを有するパッケージ15を用いた例で説明したが、本発明はこれに限らず、基体等の他の実装基板を用いた場合にも適用できる。
【0061】
例えば、図3に示すように、実施の形態1に記載の半導体LEDチップ7が接着剤22により基体21にダイボンディングされると共に、導電線20を介して基体21における電極端子21a、21bと電気的に接続されており、さらに半導体LEDチップ7上に、順に、第1樹脂層17と、組成傾斜層18と、第2樹脂層19を形成してもよい。
[実施例1]
【0062】
MOCVD(有機金属気相成長)法により、サファイア基板上にダブルへテロ構造の窒化物半導体層が積層され、その窒化物半導体層の同一面側にp電極とn電極とが形成された青色(470nm)LEDチップを多数用意する。
【0063】
次に、このLEDチップをダイボンダーにセットし、電極端子を有するパッケージの凹部にフェイスアップしてダイボンドする。ダイボンド後、パッケージをワイヤーボンダーに移送し、LEDチップのn電極をそれに対応するパッケージの電極端子に金線でワイヤーボンドし、p電極をもう一方の電極端子にワイヤーボンドする。
【0064】
次に、モールド装置に移送し、圧力補正式ディスペンサーでパッケージの凹部に、真空脱泡が行われた酸化チタンを50wt%混合したシリカ溶液を、半導体LEDチップが搭載されたパッケージの凹部の底面及び側壁面に所定の厚さに塗布する。
【0065】
次に、その酸化チタンが混合されたシリカ溶液を硬化反応させる前のゲル状態時に、さらにその上に同じく圧力補正式ディスペンサーで無色透明のシリコーン樹脂Aを注入する。なお、シリコーン樹脂Aは、屈折率1.41、硬度45shore(A)、粘度4000mPa・sである。
【0066】
その後、これを150℃×4時間で、シリカ溶液及びシリコーン樹脂Aを同時に硬化し、実施例1のLEDとする。
【0067】
次に、光散乱層を設けず、LEDチップ上を屈折率が1.41のシリコーン樹脂Aのみで覆う以外は実施例1の発光素子と同様に構成された比較のための発光素子を基準として、実施例1の発光素子の光出力比を求めたところ1.2倍となった。この実験結果より、光散乱層を設けることで、光出力は確実に向上することが明らかになった。
[実施例2]
【0068】
まず、実施例1と同様の青色(470nm)LEDチップを多数用意し、実施例1と同様の操作で電極端子を有するパッケージに金線を介して前記LEDチップをダイボンドする。
【0069】
次に、モールド装置に移送し、圧力補正式ディスペンサーでパッケージの凹部に無色透明のシリコーン樹脂BをLEDチップ及び金線全体を覆うように、凸状に注入する。シリコーン樹脂Bは、屈折率1.52、硬度25shore(A)、粘度1800mPa・sである。
【0070】
次に、シリコーン樹脂Bを硬化反応させる前のゲル状態時に、さらにその上に同じく圧力補正式ディスペンサーで無色透明の屈折率が1.41のシリコーン樹脂Aを注入する。その後、これを150℃×4時間で、各樹脂層を同時に硬化し、実施例2のLEDとする。
【0071】
次に、実施例1に示す比較のための発光素子を基準として、実施例2の発光素子の光出力比を求めたところ1.1倍となった。この実験結果より、実施例2の発光素子のように構成することで、光出力は確実に向上することが明らかになった。
【0072】
さらに、実施例2の発光素子を100個製造し、熱衝撃試験を行った。熱衝撃試験を−40℃×15分と100℃×15分とを1040サイクルの条件で行ったところ、100個全てにおいて、金線の切れ乃至剥がれは発生しなかった。
[実施例3]
【0073】
実施例3における発光素子は、第1樹脂層として屈折率が1.52のシリコーン樹脂B、第2樹脂層として屈折率が1.50のエポキシ樹脂を使用する以外は、実施例2と同様に構成される。ここで、特に、実施例3における発光素子では、金線を第2樹脂層のエポキシ樹脂で覆うことなく、金線全体を第1樹脂層のシリコーン樹脂Bで覆うことを特徴としている。
【0074】
次に、実施例1に示す比較のための発光素子を基準として、実施例3の発光素子の光出力比を求めたところ1.2倍となった。この実験結果より、実施例3の発光素子のように構成することで、光出力は確実に向上することが明らかになった。
【0075】
さらに、実施例3の発光素子を100個製造し、実施例2に示す熱衝撃試験を行ったところ、100個全てにおいて、金線の切れ乃至剥がれは発生しなかった。
[実施例4]
【0076】
実施例4における発光素子は、第1樹脂層として屈折率が1.60のエポキシ樹脂、第2樹脂層として屈折率が1.41のシリコーン樹脂Aを使用する以外は、実施例2の発光素子と同様に構成される。ここで特に、実施例4における発光素子では、金線と電極端子との接合部を第1樹脂層のエポキシ樹脂で覆わず、第2樹脂層のシリコーン樹脂Aで覆うことを特徴としている。
【0077】
次に、実施例1に示す比較のための発光素子を基準として、実施例4の発光素子の光出力比を求めたところ1.1倍となった。この実験結果より、実施例4の発光素子のように構成することで、光出力は確実に向上することが明らかになった。
【0078】
さらに、実施例3の発光素子を100個製造し、実施例2に示す熱衝撃試験を行ったところ、100個全てにおいて、金線の切れ乃至剥がれは発生しなかった。
[実施例5]
【0079】
実施例5における発光素子は、実施例1で述べた酸化チタンが50wt%混合されたシリカ溶液の光散乱層と、実施例2で述べた屈折率が1.52のシリコーン樹脂Bからなる第1樹脂層と屈折率が1.41のシリコーン樹脂Aからなる第2樹脂層、及び第1樹脂層と第2樹脂層との界面にて組成傾斜層が形成される以外は、実施例1と同様に構成される。
【0080】
ここで、特に、実施例5における発光素子では、光散乱層で覆われた以外の金線の部分を第1樹脂層のシリコーン樹脂Bで覆っている。
【0081】
次に、実施例1に示す比較のための発光素子を基準として、実施例5の発光素子の光出力比を求めたところ1.3倍となった。この実験結果より、実施例5の発光素子のように構成することで、光出力は飛躍的に向上することが明らかになった。
【発明の効果】
【0082】
以上説明したことから明らかなように、本発明の発光素子によれば、長期間安定した高い光取り出し効率をえることができる発光素子を提供することができる。また、本発明の発光素子の製造方法によれば、長期間安定した高い光取り出し効率をえることができる発光素子を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施の形態1の発光素子の構成を示す断面図である。
【図2】 本発明に係る実施の形態2の発光素子の構成を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る他の発光素子の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ガラス層
2,12,18…組成傾斜層
3…樹脂層
5,15…パッケージ
5a,5b,15a,15b,21a,21b…電極端子
5c,15c…凹部
6…透光性樹脂
7…半導体LEDチップ
10…光散乱層
11,17…第1樹脂層
13,19…第2樹脂層
14,20…導電線
16,22…接着剤
21…基体
Claims (5)
- 基体上に半導体LEDチップが設けられ、その半導体LEDチップを覆う透光性樹脂を有する発光素子において、
前記基体と前記透光性樹脂との間に備えられた光散乱層は、前記半導体LEDからの光を散乱させる無機材料が分散されたガラス層と、該ガラス層の上に形成された樹脂層とを有しており、
前記ガラス層と前記樹脂層との間に、前記ガラス層を構成するガラス材料から前記樹脂層を構成する樹脂材料へと組成が徐々に変化する組成傾斜層を有することを特徴とする発光素子。 - 前記基体は、凹部を有するパッケージであり、その凹部に収納された半導体LEDチップを覆うように、前記凹部に透光性樹脂が充填されてなる請求項1に記載の発光素子。
- 前記樹脂は、エポキシ樹脂又はシリコーン樹脂である請求項1または2に記載の発光素子。
- 前記無機材料は、酸化チタンである請求項1乃至3に記載の発光素子。
- 基体上に半導体LEDチップが設けられ、その半導体LEDチップを覆う透光性樹脂を有する発光素子の製造方法において、
シリカ又はシロキサンを骨格とする無機物ゾルに、前記半導体LEDからの光を散乱させる無機材料を混合することにより無機コーティング剤を作製する工程と、
前記無機コーティング剤を前記基体に塗布して乾燥することによりゲル状の無機コーティング層を形成する工程と、
前記ゲル状態の無機コーティング層の上に樹脂をコーティングすることにより樹脂層を形成する工程と、
前記無機コーティング層と前記樹脂層とを硬化させる工程とを含むことを特徴とする発光素子の製造方法。
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