JP3685108B2 - 電気負荷の駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気負荷に対して台形波状の電流を出力する電気負荷の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば車両に設けられたランプやコイルなどの電気負荷をオンオフ駆動する場合、その通断電時の急峻な電流変化によりノイズが発生し、車両に搭載されたラジオや他の制御回路に悪影響を与える虞がある。特に、こうした電気負荷は通電に伴う発熱によってそのインピーダンスが変化するため、通電開始直後のインピーダンスの低い状態では定常通電時よりも電流変化が大きくなり、ノイズが一層増大する傾向がある。特開2000−138570号公報に開示された電気負荷の駆動装置は上記問題を解決することを目的としてなされたものであり、図4に示す電気的構成を有している。
【0003】
すなわち、この負荷駆動回路1は、バッテリ2からランプなどの負荷3に至る通電経路上に介在する抵抗4とMOSトランジスタ5、駆動指令信号Saに従って台形波信号Sbを生成する台形波発生回路6、およびこの台形波信号Sb(電流指令信号)と抵抗4により検出された電圧値(電流検出信号)とを比較してMOSトランジスタ5のゲート電圧VGSを制御する電流制御回路7から構成されている。
【0004】
台形波発生回路6は、図示しないコンデンサ、充電用の定電流回路、放電用の定電流回路などから構成されており、コンデンサの両端子間に生成される台形波信号Sbの上底部の電圧(以下、上辺電圧と称す)は一定値とされている。電流制御回路7は、グランド電位を基準とする上記台形波信号Sbを反転させてバッテリ電位VBを基準とする台形波信号Scを生成する電圧変換回路8と、この反転後の台形波信号Scと抵抗4の両端電圧とを比較して両電圧が一致するようにMOSトランジスタ5のゲート電圧VGSを制御する誤差増幅回路9とから構成されている。
【0005】
この構成によれば、負荷3に流れる電流(負荷電流)は、負荷3の駆動開始時にあっては台形波信号Sbの電圧上昇に伴って一定の傾きで増加し、負荷3の駆動停止時にあっては台形波信号Sbの電圧下降に伴って一定の傾きで減少する。そして、駆動指令信号Saを周期的なパルス信号とすれば、そのデューティ比を変化させることにより負荷3(ランプ)を調光することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、負荷3が自動車に搭載されたランプのような場合、ランプ交換に際して常に同じ種類のランプが装着されるとは限らず、使用者の選択によって定格電流の異なったランプつまりインピーダンスの異なったランプが装着される場合がある。また、上述したように通電に伴う発熱によってそのインピーダンスが変化する。
【0007】
上記負荷駆動回路1においては、使用が予想されるランプのうち最もインピーダンスの小さい特定のランプが接続された状態で、台形波信号Sbが上辺電圧に達するまでの間MOSトランジスタ5が飽和領域で動作し、台形波信号Sbが上辺電圧に達した時点でMOSトランジスタ5が線形領域で動作するように台形波信号Sbの上辺電圧が決められている。このように上辺電圧を決めることにより、より大きいインピーダンスを持つランプが接続された場合において、MOSトランジスタ5のドレイン損失の増大を防止することができる。
【0008】
また、台形波状の負荷電流について立上り時間と立下り時間が短いほどノイズが増大し、立上り時間と立下り時間が長いほどMOSトランジスタ5のドレイン損失が増大する。さらに、ノイズとドレイン損失は、最もインピーダンスの小さい上記特定のランプが接続された状態で最大となる。そこで、このランプが接続された状態においてノイズとドレイン損失のそれぞれが許容値以下となるように、負荷電流の立上り時間と立下り時間の最大値が決められており、その最大値に対応して台形波信号Sbの傾きが一定値に決められている。
【0009】
しかしながら、上記特定のランプよりもインピーダンスの大きいランプが接続された場合には、台形波信号Sbが上辺電圧に達する前の時点で負荷電流の増加が停止するため、負荷電流の立上り時間と立下り時間は上記最大値よりも短くなる。つまり、ノイズを低減する上では、負荷3のインピーダンスによらず負荷電流の立上り時間および立下り時間を上記許容されている最大値に設定することが好ましいにもかかわらず、従来の負荷駆動回路1では不必要に短い立上り時間、立下り時間となっており、更なるノイズ低減を図ることができなかった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、電気負荷に対して台形波状の電流を通電するものにおいて、通断電により発生するノイズを一層低減できる電気負荷の駆動装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した手段によれば、電流駆動手段は、電気負荷に流れる負荷電流を検出し、その電流検出信号と信号生成手段により生成された台形波状の電流指令信号との比較に基づいて電気負荷に台形波状の電流を出力する。これにより、電気負荷への通電開始時および通電停止時における負荷電流の変化率を制限でき、負荷電流の急峻な変化により発生するノイズを低減できる。また、電気負荷への印加電圧ではなく負荷電流を直接制御しているので、電流歪みが小さくなりノイズの低減効果が高まる。
【0012】
この場合、例えば発生ノイズ、電流駆動手段の損失などが許容値以下となるように、負荷電流の基準立上り時間と基準立下り時間が予め設定されている。傾き制御手段は、計測手段により計測された負荷電流の立上り時間および立下り時間がそれぞれ基準立上り時間および基準立下り時間に等しくなるように、電流指令信号の漸増割合および漸減割合を制御する。その結果、負荷電流は、電気負荷のインピーダンスにかかわらず、基準立上り時間をかけて増加し、基準立下り時間をかけて減少するようになる。すなわち、負荷電流の立上りと立下りは、上記電流駆動手段の損失などから許容される範囲内において最小の変化率に制御されるので、発生するノイズを一層低減することができる。
【0013】
請求項2に記載した手段によれば、電流指令信号の漸増割合および漸減割合すなわち負荷電流の変化率が予め設定された規制値を超えないように制限されるので、インピーダンスが低い電気負荷を接続した場合に発生ノイズが許容値を超えて増大することを防止することができる。
【0014】
請求項3に記載した手段によれば、電気負荷の両端電圧の立上り時間および立下り時間を計測することにより、等価的に負荷電流の立上り時間および立下り時間を計測することができる。電流指令信号が第2レベルつまり台形波の上底部にある時は、負荷電流も台形波の上底部となっている。そこで、この検出された上底電圧(上辺電圧)に対して相異なる所定の比率を持つ第1基準電圧と第2基準電圧との間を変化するのに要する時間を測定することにより、両端電圧つまりは負荷電流の立上り時間および立下り時間(または立上り時間および立下り時間の上記比率に応じた時間)を得ることができる。
【0015】
請求項4に記載した手段によれば、駆動開始指令が与えられると第1の電流出力回路からコンデンサに対し供給される充電電流によってコンデンサの電圧が第1レベルから第2レベルまで漸増し、駆動停止指令が与えられるとコンデンサから第2の電流出力回路に流れる放電電流によってコンデンサの電圧が第2レベルから第1レベルまで漸減する。
【0016】
請求項5に記載した手段によれば、負荷電流の立上り時間と基準立上り時間との差分が演算され、その差分に基づいて第1の電流出力回路の出力電流(充電電流)の大きさが制御される。また、負荷電流の立下り時間と基準立下り時間との差分が演算され、その差分に基づいて第2の電流出力回路の出力電流(放電電流)の大きさが制御される。これにより、負荷電流の立上り時間と立下り時間とを独立して制御できる。
【0017】
請求項6に記載した手段によれば、傾き制御手段の第1および第2の電流制御手段は、コンデンサ、充電回路および放電回路からなる充放電回路として構成され、信号生成手段の第1および第2の電流出力回路の出力電流は、その充放電回路から出力される電圧により制御される。ここで、例えば負荷電流の立上り時間が基準立上り時間よりも長い場合(差分が正の場合)には、コンデンサが充電されて制御電圧が増加し第1の電流出力回路の出力電流が増加することにより、電流指令信号の立上り時間が短くなるように制御される。負荷電流の立下りについても同様となる。
【0018】
請求項7に記載した手段によれば、負荷電流制御手段は、電流検出信号と電流指令信号との差分が小さくなるように、直流電源から電気負荷に至る通電経路に設けられたスイッチ手段の開閉状態を制御する。これにより、電流駆動手段は電気負荷に電流指令信号に追従した台形波状の電流を出力することができる。
【0019】
請求項8に記載した手段によれば、駆動指令信号はデューティ比が制御された周期的なパルス信号(例えばPWM信号)であるため、その各周期ごとに、計測手段による負荷電流の立上り時間および立下り時間の計測と、傾き制御手段による電流指令信号の漸増割合および漸減割合の制御が行われる。これにより、負荷電流の立上り時間および立下り時間を常に且つ精度良く基準値に一致させることができ、ノイズの確実な低減が図られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図3を参照しながら説明する。図1は、電気負荷の駆動装置である負荷駆動回路の電気的構成を示している。この負荷駆動回路11は、外部から入力される駆動指令信号Saに基づいて、負荷12(電気負荷に相当)例えば車両のヘッドライト、インストルメントパネルに設けられた各種のランプ、室内灯などを点灯・消灯制御および調光制御するものである。
【0021】
負荷駆動回路11は、IC13と、これに外付けされた抵抗R11(電流検出手段に相当)およびNチャネル型のパワーMOSトランジスタQ11(スイッチ手段に相当)とから構成されている。IC13の入力端子14には外部から駆動指令信号Saが与えられ、電源端子15、16にはそれぞれバッテリ17(直流電源に相当)の正極端子、負極端子が接続されるようになっている。
【0022】
電源端子15と検出端子18との間には負荷12に流れる電流(負荷電流IL )を検出するための上記抵抗R11が接続され、検出端子18、出力端子19、検出端子20にはそれぞれMOSトランジスタQ11のドレイン、ゲート、ソースが接続されている。MOSトランジスタQ11はハイサイドスイッチとして機能し、そのソースとバッテリ17の負極端子との間には上記負荷12が接続されるようになっている。
【0023】
IC13は、台形波発生回路21(信号生成手段に相当)、電流制御回路22(負荷電流制御手段に相当)、立上り・立下り時間計測回路23(計測手段に相当し、以下において計測回路23と称す)、傾き制御回路24(傾き制御手段に相当)から構成されている。電流制御回路22、抵抗R11およびMOSトランジスタQ11からなる回路は、本発明でいう電流駆動手段に相当する。また、図示しないが、IC13は、バッテリ電圧VBから制御用の電源電圧Vddを生成する電源回路と、電圧VBより少なくともMOSトランジスタQ11のしきい値電圧Vtだけ高い昇圧電圧Vcpを生成するチャージポンプ回路とを備えている。以下、各回路についての構成を説明する。
【0024】
台形波発生回路21は、駆動指令信号Saに従って台形波信号Sb(電流指令信号に相当)を生成するものである。電源電圧Vddを供給する電源線25と電源端子16に接続されたグランド線26との間には、定電流回路27(第1の電流出力回路に相当)とスイッチ回路28と定電流回路29(第2の電流出力回路に相当)とが直列に接続されている。定電流回路27とスイッチ回路28との共通接続点とグランド線26との間には、コンデンサC11が接続されている。定電流回路27、29は、それぞれ傾き制御回路24から与えられる制御電圧Va、Vbに応じてその出力電流値が変化するようになっている。また、スイッチ回路28は、駆動指令信号SaがHレベルの時(駆動指令時)にオフとなり、Lレベルの時(停止指令時)にオンとなるトランジスタから構成されている。
【0025】
電流制御回路22は、電圧変換回路30と誤差増幅回路31とから構成されている。このうち電圧変換回路30は、グランド線26を基準電位とする台形波信号Sbを反転させて電源端子15の電位を基準電位とする台形波信号Scを生成するものである。オペアンプ32は、電源線25から電源電圧Vddの供給を受けて動作し、その非反転入力端子は上記台形波発生回路21の出力端子に接続されている。また、オペアンプ32の出力端子および反転入力端子は、それぞれNPN形トランジスタQ12のベースおよびエミッタに接続されている。トランジスタQ12のコレクタは抵抗R12を介して電源端子15に接続され、エミッタは抵抗R13を介してグランド線26に接続されている。
【0026】
誤差増幅回路31は、反転後の台形波信号Scと抵抗R11の両端電圧とを比較して両電圧が一致するようにMOSトランジスタQ11のゲート電位を制御するものである。この誤差増幅回路31は、チャージポンプ回路(図示せず)から電源線33を介して昇圧電圧Vcpの供給を受けて動作するオペアンプ34と、電源線33とグランド線26との間に接続されたプッシュプル回路35とから構成されている。プッシュプル回路35は、NPN形トランジスタQ13とPNP形トランジスタQ14とから構成されている。
【0027】
オペアンプ34の非反転入力端子は検出端子18に接続され、反転入力端子は抵抗R12とトランジスタQ12のコレクタとの共通接続点に接続されている。トランジスタQ13、Q14の共通のベースはオペアンプ34の出力端子に接続され、共通のエミッタは抵抗R14を介して出力端子19に接続されている。
【0028】
なお、オペアンプ34のオフセット電圧が正側に現れると、台形波信号Sbが0Vであっても微小な負荷電流IL が流れる虞がある。そこで、本実施形態では、オペアンプ34の入力段を構成する差動増幅回路(図示せず)において、各入力端子に対応する負荷トランジスタのサイズが異なる値に設定されており、これによりオフセット電圧が必ず負側に現れるようになっている。
【0029】
計測回路23は、サンプル・ホールド回路36(電圧検出手段に相当)、分圧回路37(基準電圧生成手段に相当)、および時間計測回路38(計時手段に相当)から構成されている。
【0030】
サンプル・ホールド回路36は、検出端子20の電圧すなわち負荷12の両端電圧VL を分圧し、その分圧した電圧VL'を制御信号Sdに同期して保持するものである。検出端子20とグランド線26との間には分圧用の抵抗R15、R16が直列に接続されており、その分圧点はボルテージ・フォロアの形態をなすオペアンプ39の非反転入力端子に接続されている。オペアンプ39の出力端子は、Nチャネル型のMOSトランジスタQ15のドレイン・ソース間を介して、ボルテージ・フォロアの形態をなすオペアンプ40の非反転入力端子に接続されており、その非反転入力端子とグランド線26との間にはホールド用のコンデンサC12が接続されている。
【0031】
分圧回路37は、上記オペアンプ40の出力端子とグランド線26との間に直列に接続された抵抗R17、R18、R19から構成されている。これらR17、R18、R19の抵抗値は1:8:1の比率に設定されており、分圧ノードn1、n2にはそれぞれ電圧VL'の0.9倍、0.1倍の値を持つ基準電圧VL1、VL2(第1基準電圧、第2基準電圧に相当)が生成されるようになっている。
【0032】
時間計測回路38は、電圧VL'と基準電圧VL1とを比較するコンパレータ41、電圧VL'と基準電圧VL2とを比較するコンパレータ42、および論理回路43から構成されている。論理回路43は、コンパレータ41、42の比較信号Se、SfがそれぞれLレベル、Hレベルの期間、すなわち電圧VL'が基準電圧VL1とVL2との間を変化している期間Hレベルとなり、それ以外の期間Lレベルとなるパルス信号Sgを出力するようになっている(図2(h)参照)。
【0033】
台形波状の電圧VL'の立上り時間は、電圧が0Vから増加し始めた時点から上底部の電圧に達し増加が停止した時点までの時間として定義され、電圧VL'の立下り時間は、電圧が上底部の電圧から減少し始めた時点から0Vになって減少が停止した時点までの時間として定義される。これは、負荷12の両端電圧VL および負荷電流IL についても同様である。この定義によれば、時間計測回路38が出力するパルス信号SgのHレベルの時間(以下、パルス幅と称す)は、立上り時間または立下り時間の0.8倍の時間に等しくなる。
【0034】
傾き制御回路24は、計測回路23で計測された立上り時間、立下り時間とIC13の端子44からクロック信号Shとして与えられる基準立上り時間Ta、基準立下り時間Tb(本実施形態ではともに200μs)とがそれぞれ一致するように、台形波発生回路21の定電流回路27、29を制御するものである。基準立上り時間Taと基準立下り時間Tbは、通断電時の発生ノイズおよびMOSトランジスタQ11のドレイン損失がそれぞれ許容値以下となるように予め決められている。
【0035】
変換回路45は、クロック信号Shを計数し、パルス信号Sgの立上りに同期して基準立上り時間Taまたは基準立下り時間Tbの0.8倍の時間(160μs)だけHレベルとなる周期的な基準パルス信号Siを出力するようになっている。減算回路46は、パルス信号Sgのパルス幅から基準パルス信号Siのパルス幅を減算するようになっており、充放電制御回路47は、この減算により得られた差分に基づいて充放電回路48、49に対し駆動信号Sj1とSj2、Sj3とSj4を出力するようになっている。
【0036】
充放電回路48は、電源線25とグランド線26との間に接続された定電流回路50、スイッチ回路51、52、抵抗R20の直列回路、およびスイッチ回路51、52の共通接続点とグランド線26との間に接続されたコンデンサC13から構成されている。同様に、充放電回路49は、電源線25とグランド線26との間に直列接続された定電流回路53、スイッチ回路54、55、抵抗R21、およびスイッチ回路54、55の共通接続点とグランド線26との間に接続されたコンデンサC14から構成されている。スイッチ回路51、52、54、55は、それぞれ駆動信号Sj1、Sj2、Sj3、Sj4がHレベルの期間オンされるようになっている。
【0037】
充放電回路48、49から出力される制御電圧Va、Vbは、それぞれ駆動指令信号Saに同期してサンプル・ホールド回路56、57により保持され、さらにクランプ回路58、59を介して台形波発生回路21の定電流回路27、29に与えられている。ここで、クランプ回路58、59(傾き制限手段に相当)は、制御電圧Va、Vbが予め決められた規制電圧を超えないように制限するものである。
【0038】
なお、減算回路46、充放電制御回路47および充放電回路48が本発明でいう第1の電流制御手段に相当し、減算回路46、充放電制御回路47および充放電回路49が本発明でいう第2の電流制御手段に相当する。
【0039】
次に、負荷駆動回路11の動作について図2および図3も参照しながら説明する。
図2は、負荷12例えばランプを調光制御するために、駆動指令信号Saとして所定のデューティ比および所定の周波数(例えば100Hz)を持つPWM信号を入力した時の各部の波形を示している。図に示す(a)〜(h)の各波形は、それぞれ以下の信号、電圧、電流を表している。
【0040】
(a)…駆動指令信号Sa
(b)…台形波信号Sb
(c)…台形波信号Sc
(d)…MOSトランジスタQ11のゲート電圧VGS
(e)…負荷12の両端電圧VL (負荷電流IL )
(f)…比較信号Se
(g)…比較信号Sf
(h)…パルス信号Sg
【0041】
まず、図2を参照しながら負荷駆動回路11の基本動作を説明する。
駆動指令信号SaがLレベルからHレベルに変化すると(時刻t11)、台形波発生回路21においてスイッチ回路28がオフとなり、コンデンサC11の両端電圧すなわち台形波信号Sbは定電流回路27から流れ込む電流によって0V(第1レベルに相当)から一定の傾きで上昇する。
【0042】
電流制御回路22は、台形波信号Sbを反転した台形波信号Scと抵抗R11の両端電圧とが一致するようにMOSトランジスタQ11のゲート電位(つまりはゲート電圧VGS)を制御するので、負荷電流IL は台形波信号Sbに従って増加する。なお、負荷電流IL は、ゲート電圧VGSがMOSトランジスタQ11のしきい値電圧Vtに達した時点で流れ始めるため、その流れ始めは時刻t11よりも若干遅れる。
【0043】
台形波信号Sbに従って負荷電流IL が増加し、やがて時刻t14において電流飽和状態に達すると、台形波信号Sbの上昇にもかかわらず負荷電流IL の増加が停止する。この電流飽和状態とは、MOSトランジスタQ11が線形領域で動作している状態であって、バッテリ電圧VBのほぼ全電圧が負荷12に印加されている状態である。この時の負荷電流IL (以下、飽和負荷電流ILmと称す)は、負荷12の抵抗値をRL としてほぼVB/RL となる。
【0044】
これ以降は、台形波信号Scと抵抗R11の両端電圧とに偏差が生じるため、オペアンプ34の出力電圧すなわちMOSトランジスタQ11のゲート電位は昇圧電圧Vcpまで急峻に上昇する。台形波信号Sbは、電源電圧Vddに対し定電流回路27の動作電圧だけ低い上辺電圧(第2レベルに相当)に達した時刻t15において上昇を停止する。
【0045】
その後、時刻t16において台形波信号ScがHレベルからLレベルに変化すると、台形波発生回路21においてスイッチ回路28がオンとなり、コンデンサC11の両端電圧(台形波信号Sb)は、定電流回路29の出力電流と定電流回路27の出力電流との差の電流によって一定の傾きで下降する。そして、ゲート電圧VGSがしきい値電圧Vt付近にまで低下した時刻t17以降、負荷電流IL は台形波信号Sbに従って減少し、やがてゲート電圧VGSがしきい値電圧Vtを維持できなくなった時刻t20において負荷電流IL が0となる。
【0046】
このように、負荷電流IL は、電流非飽和状態の期間にあっては台形波信号Sbに追従して増減するが、電流飽和状態の期間(時刻t14から時刻t17までの期間)にあっては飽和負荷電流ILmに制限される。従って、従来のように台形波信号Sbの傾きが一定値に決められている場合、負荷電流IL の立上り時間および立下り時間は負荷12のインピーダンス(抵抗値)に応じて変化する。
【0047】
これに対し、本実施形態では、負荷電流IL の立上り時間および立下り時間が、負荷12のインピーダンス(抵抗値)にかかわらず、それぞれ基準立上り時間Taおよび基準立下り時間Tbに等しくなるように制御される。以下、この制御について説明する。
【0048】
制御信号Sdは、駆動指令信号SaがHレベルからLレベルに変化する時(時刻t6、t16、…)に一時的にHレベルとなる。サンプル・ホールド回路36は、制御信号SdがHレベルとなる度に、負荷12の両端電圧VL を分圧した電圧VL'をコンデンサC12に保持する。この保持される電圧は、台形波状波形を持つ両端電圧VL の上辺電圧Vm を分圧した電圧Vm'である。
【0049】
このように、計測回路23は負荷12の両端電圧VL を検出しているが、負荷12の両端電圧VL は負荷電流IL に比例するため、実質的に負荷電流IL を検出していることと等価である。従って、両端電圧VL は本発明でいう電流検出信号に相当する。なお、以下においては、説明の便宜上抵抗R15を0と仮定し、電圧VL'に替えて両端電圧VL を用い、電圧Vm'に替えて上辺電圧Vm を用いて説明する。
【0050】
コンパレータ41は、両端電圧VL と基準電圧VL1(=0.9×Vm )とを比較し、コンパレータ42は、両端電圧VL とVL2(=0.1×Vm )とを比較する。時刻t6において保持された上辺電圧Vm は、時刻t7から時刻t10までの立下り時間および時刻t11から時刻t14までの立上り時間の測定に用いられ、時刻t16において保持された上辺電圧Vm は、時刻t17から時刻t20までの立下り時間および時刻t21から時刻t24までの立上り時間の測定に用いられる。
【0051】
論理回路43から出力されるパルス信号Sgは、両端電圧VL の立上り期間および立下り期間に対応してHレベルとなり、そのパルス幅はそれぞれ両端電圧VL の立上り時間および立下り時間の0.8倍の時間に等しくなる。一方、基準パルス信号Siも両端電圧VL の立上り期間および立下り期間に対応してHレベルとなり、そのパルス幅はそれぞれ基準立上り時間Taまたは基準立下り時間Tbの0.8倍の時間となっている。
【0052】
充放電制御回路47は、両端電圧VL の立上りおよび立下りの度にパルス信号Sgのパルス幅と基準パルス信号Siのパルス幅とを比較し、両端電圧VL の立上り時には駆動信号Sj1、Sj2を介して充放電回路48を制御し、両端電圧VL の立下り時には駆動信号Sj3、Sj4を介して充放電回路49を制御する。立上り時においては以下のように制御され、立下りにおいても同様の制御となる。
【0053】
▲1▼(パルス信号Sgのパルス幅>基準パルス信号Siのパルス幅)の場合
両パルス幅の差に相当する時間だけ駆動信号Sj1がHレベルとなる。この時、定電流回路50によりコンデンサC13が充電され、その両端電圧すなわち制御電圧Vaが上昇する。この上昇により台形波発生回路21の定電流回路27の出力電流が増加し、台形波信号Sbひいては負荷電流IL および両端電圧VL の立上り時の増加割合が高まる。その結果、立上り時間が短くなり基準立上り時間Taに一致するようになる。
【0054】
▲2▼(パルス信号Sgのパルス幅<基準パルス信号Siのパルス幅)の場合
両パルス幅の差に相当する時間だけ駆動信号Sj2がHレベルとなる。この時、抵抗R20によりコンデンサC13が放電され、制御電圧Vaが下降する。この下降により定電流回路27の出力電流が減少し、台形波信号Sbひいては負荷電流IL および両端電圧VL の立上り時の増加割合が減少する。その結果、立上り時間が長くなり基準立上り時間Taに一致するようになる。
【0055】
▲3▼(パルス信号Sgのパルス幅=基準パルス信号Siのパルス幅)の場合
駆動信号Sj1、Sj2がともにLレベルとなる。この時、制御電圧Vaは変化せず、定電流回路27の出力電流値は現在値のまま保持される。その結果、立上り時間と基準立上り時間Taとが一致した状態が持続する。
【0056】
図3は、インピーダンス(抵抗)の異なる負荷12を接続した場合における負荷電流IL の波形を示している。ここで(a)に示した場合のインピーダンスが最も大きく、(c)に示した場合のインピーダンスが最も小さい。この図3(a)、(b)に示すように、負荷電流IL の立上り時間および立下り時間は、負荷12のインピーダンスによらず、それぞれ基準立上り時間Taおよび基準立下り時間Tbに等しく制御されている。
【0057】
これに対し、図3(c)においては、負荷電流IL の立上り時間および立下り時間がそれぞれTc(>Ta)およびTd(>Tb)となっている。これは、傾き制御回路24に設けられたクランプ回路58、59が、台形波発生回路21の定電流回路27、29の出力電流を一定値以下に制限して、負荷電流IL の変化率を規制値以下に制限しているためである。この変化率の規制値は、許容される発生ノイズに基づいて予め決められている。
【0058】
以上説明したように、負荷駆動回路11は、抵抗R11により負荷電流IL を検出し、その検出した負荷電流IL と台形波信号Scとが一致するように負荷12に台形波状の電流を出力するので、負荷12への通電開始時および通電停止時における負荷電流IL の急峻な変化を抑制でき、電流変化に起因して生じるノイズを低減することできる。この場合、負荷12の電圧ではなく電流IL を直接制御しているので、電流歪みを小さくできノイズの低減効果が一層高まる。
【0059】
ところで、負荷駆動回路11が駆動する負荷12例えばランプは、通電に伴う発熱等によってそのインピーダンス(抵抗値)が変化する。また、ランプ交換に際して定格電流の異なったランプつまりインピーダンスの異なったランプが装着される場合がある。
【0060】
こうした事情の下で、計測回路23は、負荷電流IL と比例関係にある負荷12の両端電圧VL の立上り時間および立下り時間を測定し、傾き制御回路24は、その立上り時間および立下り時間がそれぞれ基準立上り時間Taおよび基準立下り時間Tbに等しくなるように台形波信号Sbの漸増割合および漸減割合を制御する。これにより、負荷電流IL は、負荷12のインピーダンス(抵抗値)にかかわらず、基準立上り時間Taをかけて増加し、基準立下り時間Tbをかけて減少するようになる。
【0061】
すなわち、負荷電流IL の立上りと立下りは、駆動される負荷12によらず、MOSトランジスタQ11のドレイン損失などから許容される範囲内において最小の変化率に制御されるので、負荷12の通断電時に発生するノイズをより低減することが可能となる。その結果、車両に搭載されたラジオや他の制御装置などに与えるノイズが減少し、ラジオノイズをより低減できるとともに他の制御装置をより安定して動作させることができる。
【0062】
また、負荷12は駆動指令信号Saに従ってPWM駆動されており、両端電圧VL の立上り時間および立下り時間の測定には、PWM信号の各周期毎にサンプル・ホールド回路36により保持された最新の上辺電圧Vm が用いられるため、測定誤差が低減して高精度の制御が可能となる。
【0063】
さらに、クランプ回路58および59は、それぞれ台形波信号Sbの漸増割合および漸減割合すなわち負荷電流IL の変化率が予め設定された規制値を超えないように制限するので、インピーダンスが低い負荷12が接続された場合においても、発生ノイズが許容値を超えて増大することを防止することができる。
【0064】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように変形または拡張が可能である。
スイッチ手段であるMOSトランジスタQ11は、負荷12からグランド線に至る通電経路に、ローサイドスイッチとして機能するように設けてもよい。この場合、MOSトランジスタQ11とグランド線との間に抵抗R11を設けるようにする。また、スイッチ手段としてバイポーラトランジスタやIGBTなどを用いても良い。
【0065】
計測回路23は負荷12の両端電圧VL を検出することにより等価的に負荷電流IL を検出したが、これに替えて抵抗R11の両端電圧を利用しても良い。また、抵抗R11とは別に電流検出用の抵抗を設けても良い。さらに、ホールCTなど直接的に負荷電流IL を検出する電流検出手段を設けても良い。
【0066】
クランプ回路58および59は、低インピーダンスの負荷12が接続される虞がある場合など必要に応じて設ければ良い。
コンデンサC13、C14にはそれぞれ制御電圧Va、Vbのホールド作用があるため、サンプル・ホールド回路56、57を省略しても良い。また、コンデンサC11、C13、C14はIC13に内蔵したが、サイズが大きくなる場合には外付けとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す負荷駆動回路の電気的構成図
【図2】駆動指令信号SaとしてPWM信号を入力した時の各部の信号、電圧、電流を示す波形図
【図3】インピーダンスの異なる負荷を接続した場合における負荷電流の波形図
【図4】従来技術を示す図1相当図
【符号の説明】
11は負荷駆動回路(駆動装置)、12は負荷(電気負荷)、17はバッテリ(直流電源)、21は台形波発生回路(信号生成手段)、22は電流制御回路(負荷電流制御手段)、23は立上り・立下り時間計測回路(計測手段)、24は傾き制御回路(傾き制御手段)、27は定電流回路(第1の電流出力回路)、29は定電流回路(第2の電流出力回路)、36はサンプル・ホールド回路(電圧検出手段)、37は分圧回路(基準電圧生成手段)、38は時間計測回路(計時手段)、58、59はクランプ回路(傾き制限手段)、Q11はパワーMOSトランジスタ(スイッチ手段)、R11は抵抗(電流検出手段)である。
Claims (8)
- 外部から入力される駆動指令信号に従い駆動開始指令時に第1レベルから第2レベルまで漸増し、駆動停止指令時に第2レベルから第1レベルまで漸減する台形波状の電流指令信号を生成する信号生成手段と、
直流電源から電気負荷に至る通電経路に設けられ、前記電気負荷に流れる負荷電流を検出してその電流検出信号と前記電流指令信号との比較に基づいて前記電気負荷に台形波状の電流を出力する電流駆動手段と、
前記電流指令信号の漸増に対応した前記負荷電流の立上り時間および前記電流指令信号の漸減に対応した前記負荷電流の立下り時間を計測する計測手段と、
前記計測された立上り時間と予め設定された基準立上り時間および前記計測された立下り時間と予め設定された基準立下り時間がそれぞれ等しくなるように前記信号生成手段における電流指令信号の漸増割合および漸減割合を制御する傾き制御手段とを備えていることを特徴とする電気負荷の駆動装置。 - 前記傾き制御手段は、前記電流指令信号の漸増割合および漸減割合が予め設定された規制値を超えないように制限する傾き制限手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の電気負荷の駆動装置。
- 前記計測手段は、
前記電流指令信号が前記第2レベルにある時の前記電気負荷の両端電圧を検出する電圧検出手段と、
この電圧検出手段の検出電圧に対して予め設定された相異なる比率を持つ第1基準電圧と第2基準電圧とを生成する基準電圧生成手段と、
前記電気負荷の両端電圧が前記第1基準電圧と前記第2基準電圧との間を変化するのに要する時間を測定する計時手段とから構成されていることを特徴とする請求請1または2記載の電気負荷の駆動装置。 - 前記信号生成手段は、
前記電流指令信号を出力するコンデンサと、
出力する電流の大きさを制御可能であって前記コンデンサに対し充電電流を供給する第1の電流出力回路と、
出力する電流の大きさを制御可能であって前記コンデンサに対し放電電流を供給する第2の電流出力回路とを備えて構成されていることを特徴とする請求請1ないし3の何れかに記載の電気負荷の駆動装置。 - 前記傾き制御手段は、
前記計測手段により測定された立上り時間と前記基準立上り時間との差分に基づいて前記第1の電流出力回路の出力電流の大きさを制御する第1の電流制御手段と、
前記計測手段により測定された立下り時間と前記基準立下り時間との差分に基づいて前記第2の電流出力回路の出力電流の大きさを制御する第2の電流制御手段とから構成されていることを特徴とする請求請4記載の電気負荷の駆動装置。 - 前記第1および第2の電流出力回路は、入力された制御電圧に応じた電流を出力するように構成され、
前記第1および第2の電流制御手段は、それぞれ
前記制御電圧を出力するコンデンサと、
前記差分が正の場合前記コンデンサを充電する充電回路と、
前記差分が負の場合前記コンデンサを放電する放電回路とを備えて構成されていることを特徴とする請求請5記載の電気負荷の駆動装置。 - 前記電流駆動手段は、
前記直流電源から前記電気負荷に至る通電経路に設けられたスイッチ手段と、
前記負荷電流を検出して前記電流検出信号を出力する電流検出手段と、
前記電流検出信号と前記電流指令信号との差分に基づいて前記スイッチ手段を制御する負荷電流制御手段とから構成されていることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の電気負荷の駆動装置。 - 前記駆動指令信号は、デューティ比が制御された周期的なパルス信号であることを特徴とする請求請1ないし7の何れかに記載の電気負荷の駆動装置。
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