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JP3685481B2 - 粒度分布に優れたセリウム系研摩材粒子粉末、該粒子粉末を含有する研摩材スラリー及び該粒子粉末の製造方法 - Google Patents
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粒度分布に優れたセリウム系研摩材粒子粉末、該粒子粉末を含有する研摩材スラリー及び該粒子粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒子粉末の粒度分布の幅がコントロールされており、特に精密な研摩に好適なセリウム系研摩材粒子粉末、及び該粒子粉末を含有するセリウム系研摩材スラリー、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セリウム系粒子粉末を含有する研摩材は、その優れた研摩効率と、研摩材スラリーに添加される多彩な添加剤の機能によって、その用途を急速に広げており、特に従来の光学用ガラスレンズやガラス基板のみならず、高密度磁気記録媒体用ガラス基板、高精細液晶ディスプレイ用ガラス基板、半導体基板など、特に精密を要する研摩において多用されている。
【0003】
このような電子材料関係用途では、生産性のための高い高速研摩性のみならず、最終研摩工程においても、優れた鏡面性や洗浄性が求められており、その技術要求のレベルも日々高いものとなってきている。
【0004】
セリウム系研摩材の製造に用いられる原料としては、炭酸希土、水酸化希土、シュウ酸希土等の希土原料、あるいはこれらを焼成して得られる酸化希土原料がある。これらの希土原料は、一般にバストネサイト系希土原料あるいはバストネサイト系以外のセリウム含有希土原料から、一部の希土(Nd、Pr等)及び放射性元素等を公知の化学的処理によって除去することにより製造されている。
【0005】
このような原料を用いた場合、一般的に以下の方法でセリウム系研摩材は製造される。すなわち、上記希土原料をスラリー化し、湿式粉砕し、必要に応じて鉱酸で処理した後、フッ酸やフッ化アンモニウム等で化学的処理を行う。そして、得られたスラリーをろ過、乾燥した後、焙焼する。その後、粉砕及び分級して、所望の粒径を有する研摩材粒子粉末を得ることができる。
【0006】
研摩材に求められる重要な特性として、この研摩粒子粉末の粒径が挙げられる。すなわち、研摩評価において研摩速度、いわゆる研摩値を高めたい場合、研摩材の粒子粉末を大きくすることで調整できることが知られている。また、粒径が大きすぎると、研摩速度は高くなるが、ガラス等の研摩面に傷等の欠陥が発生し、鏡面性が低下することが知られている。また、研摩後の研摩面に残留している研摩粒子粉末の洗浄性についても重要な評価特性であるが、これも粒径に大きく影響を受ける。すなわち、粒径が小さいと研摩面への粒子の付着性が強くなり、洗浄が困難となってしまう。近年特に求められている精密研摩における優れた表面性を得るために、研摩材粒子の小粒径化が進むことに起因した、研摩材粒子粉末の洗浄性や残存する研摩材粒子の存在は大きな問題となっていた。
【0007】
研摩材のこのような問題点を解決するために、近年、研摩スラリーに添加される添加剤について、さまざまな改良がなされてきた。研摩液のpHや、無機/有機系の分散剤、洗浄剤等について、さまざまな改良がなされている一方、これらの添加剤を使用することに伴う、環境への負荷も問題とされており、生分解性の高い添加剤を使用した研摩スラリーについても開発が進められている。
【0008】
一方で、酸化セリウムの粒径に関しては、例えば、フランス国特許出願公開第2583034号公報には、比表面積が10m2/g以下で、凝集体の大きさが0.2〜5.0μmであり、凝集体の平均粒径が0.5〜1.5μmである酸化第二セリウムが開示されている。また、特開平01−52610号公報には、凝集体の平均粒径が0.2〜1μmであり、凝集体の大きさの分散指数が0.3〜0.5である微細かつ狭い粒径分布を有する酸化第二セリウムが開示されている。しかしながら、これらの文献には、研摩材としての研摩特性に対して、粒度分布に起因する効果が示されておらず、また、高い研摩値を維持しつつ、優れた研摩表面および研摩後の洗浄性を有する研摩材粒子粉末としての機能については、まったく記載されていない。すなわち、フランス国特許出願公開第2583034号公報および特開平1−52610号公報における凝集体の粒度分布は、現在の研摩材に求められている研摩精度や洗浄性に関して、十分満足できるレベルに到達しているとは言いがたいものである。
【0009】
また、金属酸化物およびその製造方法として特開平7−187613号公報が挙げられ、6以上の面と有する多面体粒子よりなり、数平均粒径が0.1μm以上300μm以下であり、構成する粒子の累積粒度分布の微粒側から累積10%、累積90%の粒径をそれぞれD10、D90としたとき、D90/D10が10以下である粒度分布を有する、α−アルミナ粉末を除く金属酸化物粉末およびその製造方法が開示されている。また、粒度分布の幅が狭くなることで、凝集性が改善される旨の記載があり、その凝集性は走査型電子顕微鏡写真と累積粒度分布による凝集粒子径より求められる、とされている。同公報によれば、実施例27で試薬の硫酸第二セリウムを用い、酸化セリウムを得られることが記載されているが、工業的な原料として試薬のような純度の高い原料を使用する事は困難であり、また、セリウム及びセリウム以外の希土類を含有する研摩材としての効果、及び研摩評価に対する粒度分布に関する改良については十分なものとはいえなかった。
【0010】
研摩値、研摩表面および研摩後の洗浄性に関する問題は、もともと研摩材粒子の粒径に原因があり、それを研摩材以外の物質を添加すること等で対処しようとしてきた。しかし、研摩材粒子そのものでこのような問題点が解決できること、もしくは改善できることが本質的に重要であるが、従来技術において十分解決されたとはいえない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑み、研摩力及び研摩精度を落とすことのないように研摩材の粒径を最適化したセリウム系研摩材粒子粉末、セリウム系研摩材スラリー、及びセリウム系研摩材の製造方法を提供する事を課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討の結果、研摩材粒子粉末の平均粒径だけに注目せず、その粒度分布の幅を狭くすることで、本課題を解決することができることを見出した。
すなわち本発明のセリウム系研摩材粒子粉末は、酸化セリウム(CeO)を全希土酸化物(TREO)に対して、30〜80重量%含有しているセリウム系研摩材粒子粉末であって、粒子粉末の粒度分布測定で、小粒径側からの累積粒度分布度数において10%、50%、90%の粒径(μm)をそれぞれd10、d50、d90とした場合、下記(1)式及び(2)式を満足することを特徴とする。
0.1≦d50≦3 ・・・(1)
90/d10≦15 ・・・(2)
【0013】
さらに、本発明のセリウム系研摩材スラリーにおいては、上記(1)式及び(2)式を満たす研摩材粒子粉末を含有するものとする事である。
【0014】
さらに、本発明のセリウム系研摩材の製造方法においては、セリウム系化合物を粉砕、焙焼、分級して得られるセリウム系研摩材粒子粉末の製造方法において、分級工程において分級点を大粒径側と小粒径側のそれぞれ1回づつ、もしくはそれ以上の回数の分級を行うことである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセリウム系研摩材粒子粉末、セリウム系研摩材スラリー、及びセリウム系研摩材粒子粉末の製造方法について詳細に説明する。
本発明のセリウム系研摩材粒子粉末は、粒子粉末の粒度分布測定で、累積粒度分布度数において、小粒径側からの累積粒度分布度数において10%、50%、90%の粒径(μm)をそれぞれd10、d50、d90とした場合、上記(1)式及び(2)式を満足することを特徴とするものである。
【0016】
本発明はセリウム系研摩材粒子粉末として、酸化セリウム(CeO)を全希土酸化物(TREO)に対して30〜80重量%含有している。この範囲以下では、研摩作用を有する酸化セリウムの含有量が少ないため、十分な研摩速度を得ることが困難となる。逆に、この範囲を超えると、セリウム以外の希土類の含有率が少なくなり、特に酸化セリウムに比べて焙焼時のフッ素保持能力の高いLaやPrの酸化物の存在量が低下するため、特にガラス研摩時に必要とされるフッ素により発現する化学的研摩が行われず、研摩表面の微細な凹凸の修正ができない。
【0017】
また、必要以上にセリウム含有率の高い希土酸化物を原料とするためには、セリウム以外の希土を分離除去する必要があり、生産コスト的にも問題が大きい。上記記載の酸化セリウムの含有率においては、バストネサイト精鉱や酸化希土、炭酸希土というような従来から用いられている研摩材用原料を任意に選択でき、それらの原料を用いて研摩材粒子粉末を製造する場合、TREO含有量が研摩材粒子粉末重量に対して、75〜99重量%であり、さらにTREO中に含有されるCeOが30〜80重量%であることが必要である。また、TREO中の酸化ランタン及び酸化プラセオジムの合計が20〜70重量%であることが、特に水を分散媒とする研摩材スラリー用途としてのセリウム系研摩材粒子粉末には必要である。これらの化合物は、酸化セリウムより親水性が高く、したがって水を媒体とした分散において、酸化セリウムだけを含有するものよりも、高い分散性を有するためである。
【0018】
従来技術によると、研摩材粒子の粒径の測定としては、空気透過法などを用いた平均粒径の測定を行うことで対応してきたが、さらに、マイクロトラックなどを用いた粒度分布測定装置によって、直接的に粒度を測定できるようになってきた。そこで、小粒径側からの累積粒度分布度数に基づき、50個数%の粒径をもって、d50と称し、この値の大小のみで研摩材の評価を行ってきた。しかしながら、研摩材の研摩評価はこの平均粒径やd50の値だけでは十分とは言えず、研摩評価における不良発生の原因を精査した結果、本発明者らは、研摩材粒子粉末の粒度分布に注目し、この粒度分布と研摩評価に相関性があることを見出した。
【0019】
すなわち、研摩粒子の粒径が大きい場合、研摩速度が高く、また、研摩後の表面洗浄性も優れているが、スラリー中での沈降性が大きく、また、研摩表面の傷の原因となる。一方、研摩粒子の粒径が小さい場合、研摩表面の平滑性は優れているが、研摩速度は小さく、また、研摩後の洗浄が困難となる。通常の研摩材はこのような粒径の異なる粒子が共存しており、それぞれの特徴を残したまま研摩用途に使用されているため、粒径に依存する研摩評価を悪化させないため、研摩条件や研摩材スラリーへ添加剤を共存させるなどの工夫が必要とされていたが、本発明のように、必要とする研摩粒子粉末の粒径の幅を狭くすることで、このような問題を解決することができる。
【0020】
本発明では、研摩粒子の大きさとその粒度分布に特徴を有するセリウム系研摩材粒子粉末に関するものである。本発明において、粒子粉末の粒度分布を測定する方法としては、顕微鏡等によって直接粒径を測定する方法、コールターカウンタのような電気的信号から測定する方法、マイクロトラックなどのレーザー光の反射や散乱を利用した測定方法などさまざまなものがあるが、粒度分布を測定できる方法であればいずれの方法を用いても良い。本発明の平均粒径が0.1〜3μm程度の粒子粉末の粒度分布を測定する方法としては、レーザー光散乱法を利用したマイクロトラックを用いる方法が多用されている。また、マイクロトラックにて測定する場合、原理的には体積粒子径を測定するので、累積粒度分布度数としては体積粒度分布度数であり、この場合、d10、d50、d90の粒径の値(μm)は小粒径側からの体積累積粒度分布度数で10%、50%、90%における粒径を意味する。
【0021】
本発明における研摩粒子粉末のd50の値としては、0.1≦d50≦3とする必要がある。より好ましくは0.3≦d50≦2.5、さらに好ましくは0.5≦d50≦2.0とする必要がある。d50の値が3μmを超えると、研摩速度は高いが、研摩表面に傷等が発生して、研摩精度が低下するので好ましくない。また、d50の値が0.1未満では、研摩表面の平滑性は優れているが、実用的な研摩速度は得られにくい。このd50の測定については、例えば、上述のマイクロトラックによる測定では、小粒径側からの体積累積粒度分布度数により、50重量%に相当する粒径の大きさで表現する。
【0022】
また、小粒径側からの累積粒度分布度数において、10重量%と90重量%に相当する粒径をそれぞれd10、d90とした場合、d90/d10≦15とする必要がある。より好ましくはd90/d10≦10、さらに好ましくはd90/d10≦7とする必要がある。d90/d10>15だと、粒度分布の幅が広いため、上述した大粒径に起因する傷の問題及び小粒径粒子に起因する洗浄不良が改善できない。
【0023】
本発明の研摩材スラリーは、上記粒子粉末を媒質とし、水や有機溶剤などの溶媒に分散させたものである。このような分散によっても、本発明の粒子粉末が有する粒径の特徴は損なわれず、このスラリーを研摩用途に用いた場合、優れた研摩性能及び研摩後の洗浄性に関する特徴を有する。研摩用途としては、コスト及び安全性の面から水を用いることが好ましく、また、公知である分散剤、pH調整剤、安定化剤などのような添加剤についても、必要に応じて併用することもできる。
【0024】
また、本発明のセリウム系研摩材粒子粉末の製造方法は、セリウム系化合物を粉砕、焙焼、分級して得られるセリウム系研摩材粒子粉末の製造方法において、分級工程において分級点を大粒径側と小粒径側のそれぞれ1回ずつ、もしくはそれ以上の回数の分級を行うことである。以下、その製造方法について詳しく記載する。
【0025】
まず、本発明において、原料とされるセリウム系化合物は、従来用いられたバストネサイト精鉱の粉砕品や酸化希土原料、炭酸希土原料などを、そのまま用いることができる。研摩材粒子粉末としては、希土類含有率は高いほうが好ましく、研摩材粒子粉末重量に対してTREO重量が好ましくは75wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上を含有できるような組成を有する原料を選択すればよい。さらに、TREO重量に対する酸化セリウムの含有率としては好ましくは30wt%〜80wt%、さらに好ましくは、40wt%〜70wt%であれば、研摩用途として十分な研摩値を得ることができる。
【0026】
また、これらの原料中にはTREO重量に対して、La酸化物(La)及び/またはプラセオジム酸化物(Pr11)を1重量%以上含有していることが好ましい。これらの化合物は、後の焙焼工程において、熱により気散しやすいフッ素成分を研摩材粒子に固定する作用が高いため、フッ素を含有することでもたらされる化学的研摩効果を本発明の研摩材粒子粉末にもたらすことができる。
【0027】
これらの原料は、湿式にて分散し、さらに粉砕することで微粒子粉末を得る。このとき用いられる溶媒としては、好ましくは水であり、また、粉砕する装置としてはボールミル、アトライタ、ビーズミルなど、必要に応じて使用できる。このときの粉砕条件としては、平均粒径としてd50が0.1〜3μmとなるように、粉砕装置に応じて設定すれば良いが、ここで重要なことは、過剰粉砕となって微粒子を多量に発生させないことである。ここで得られるd50のさらに好ましい範囲としては、0.2〜2.5μm、さらに好ましくは0.3〜2.0μmである。
【0028】
このように湿式で粉砕された研摩材粒子粉末は必要に応じてフッ素系化合物によって化学的処理をされる。このとき、濃フッ酸のように化学作用の激しい処理剤を使用すると、粒度の大小によって化学作用の受け方に大きな差を生じるため、後工程で行われる焙焼時に、焼結等の速度にばらつきを生じさせ、ひいては最終の粒度分布に悪影響を与える原因となる。したがって、化学的処理に用いられるフッ素化合物としては、10mol/リットル以下の濃度に希釈したフッ酸や、フッ化アンモニウム等の塩類を含有する水溶液を用いるのが好ましい。研摩材粒子粉末中に含有されるフッ素含有率としては、F元素重量に換算して、10wt%以下、好ましくは0.01〜8wt%、さらに好ましくは0.05〜7wt%である。
【0029】
このようにして処理されたスラリーをろ過、洗浄、焙焼、粉砕して、研摩材原料粉末とする。このとき焙焼条件は研摩粒子の大きさに影響を与えることが知られている。本発明においては、焙焼最高温度を800℃〜1200℃とし、この温度範囲における保持時間を1〜6時間であるが、さらにこの焙焼温度までに到達する粉体に対する昇温速度を100℃/分以下となるように設定することが重要である。すなわち、高い研摩値を有するためには、研摩粒子の成長を促す必要があり、そのためには十分な焙焼を行うことが必要であるが、過剰な温度下における焙焼や急激な温度上昇を伴う焙焼は、異常粒子成長や、研摩材微粒子の焼結速度においてばらつきの原因となるため避けなければならない。特にこの焙焼工程を注意して行い、研摩材粒子に対して均一かつ穏やかに焙焼を行える装置では、粗粒子の発生を十分防止することができるので、分級工程に対する負荷を軽減することができる。
【0030】
このようにして得られた研摩材粒子粉末について、通常、10μmを超える粒径を有する粗粒子を除去して研摩材となる。このときの分別方法としては、通常分級と呼ばれる工程にて処理される。分級する方法としては乾式のまま風力分級機等で分級する方法、又は再度溶媒に分散させた後、湿式にてサイクロン等で分級することが行われている。
【0031】
本発明において、このように粗粒子を除去した研摩材粒子粉末は、上記記載の粉砕、化学処理、焙焼等の工程を最適化して、粒度分布のばらつきをある程度抑えたものとなっている。しかしながら、上記工程に対する生産設備などからの負荷が大きい場合、最終工程で行われる分級処理を最適化することでも、本発明における粒度分布の幅の狭いものとすることができる。すなわち、分級点を大粒径側と小粒径側のそれぞれ1回づつ、もしくはそれ以上の回数の分級を行うことで、粗粒子のみならず、微粒子を除去することで、粒度分布の幅の狭い研摩材粒子粉末を得ることができる。このときに設定する分級点としては、大粒径側では10μm以下、好ましくは9μm以下、さらに好ましくは8μm以下で行い、小粒径側では、0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上で設定すれば良い。この設定で少なくとも大粒径側において、分級点以上の大きさの粗粒子を除去し、さらに小粒径側において、分級点以下の大きさの微粒子を除去することによって、粒度分布の狭い研摩材粒子粉末が得られる。
【0032】
このときに使用できる分級方法は、湿式及び乾式のいずれの方法でも使用でき、また、1回目に行う分級点の設定としては、大粒径側と小粒径側のどちらを行っても良い。また、分級精度をさらに要求される場合、大粒径側及び/又は小粒径側の分級を繰り返し行っても良く、そのときの分級点の設定は前述した大粒径側と小粒径側の範囲内で変化させても良い。また、前述の粗粒子除去を1回目の分級とし、小粒径側で再度分級することを2回目の分級として処理しても良い。分級の順序及び回数は、それぞれの分級装置の特徴と求められる研摩粒子粉末の粒度分布及び分級に供用する粉末中の研摩粒子粉末の粒度分布に応じて設定すれば良い。
【0033】
本発明における研摩材粒子粉末は、その粒子粉末の粒度分布の幅が狭いことであるが、特に微粒子の少ないことが現在研摩材として求められているものである。精密研摩ができるような平均粒径を有する研摩材粒子粉末であっても、研摩後の洗浄性が悪く、研摩表面に残存してしまうような微粒子を含有するものは、精密研摩用途として用いることができない。残存研摩材の発生については、小さい研摩材粒子が研摩表面に付着していることが原因であり、これを低減させた研摩材粒子粉末が必要とされているためである。したがって、分級をおこなう場合、特に微粒子を除去する小粒径側の分級が重要であり、この微粒子除去のための分級を複数回行うことも、精密研摩用研摩材粒子粉末の製造として行うこともできる。
【0034】
このような微粒子除去の目的として使用できる分級機としては、一般には湿式分級機より乾式分級機のほうが優れており、例えば、日鉄鉱業(株)製 エルボジェット、ホソカワミクロン(株)製 ファインシャープセパレーター、三協電業(株)製 バリアブル・インパクタ、セイシン企業(株)製 スペディッククラシファイア、日本ドナルドソン(株)製 ドナセレック、安川商事(株)製 ワイエムマイクロカット、その他各種エアーセパレータ、ミクロンセパレーター、ミクロプレックス、アキュカットなどの乾式分級装置などが使用できるがこれらに限定されるわけではない。一方、粗粒子除去の目的では、上記乾式分級装置だけでなく、湿式分級機も十分使用が可能であり、例えば、円筒型遠心分離機や分離板型遠心分離機なども使用することができる。本発明においてはこれらの分級機を単独で、あるいは個別に組み合わせることによって、小粒径側と大粒径側のそれぞれ1回づつ、またはそれ以上の回数の分級を行うことも任意にできる。
【0035】
このようにして得られたセリウム系研摩材粒子粉末は、窒素ガスを用いたBET法による比表面積として、1〜15m/g、より好ましくは1.5〜10m/gである。15m/gを超える比表面積を有する場合、研摩速度が小さいため、また、1m/g未満では研摩傷が生じるため、研摩材粒子粉末として好ましくない。
また、研摩後の表面を重視する仕上げ研摩用研摩材粒子粉末としては、比較的粒径の小さい研摩材が好ましく、比表面積の値として5〜10m/gが好適であるが、このような粒径の小さい研摩材において、従来問題となっていた研摩後の洗浄性を改善し、残存研摩材を防止する上で、本発明に記載の粒度分布に優れたセリウム系研摩材粒子粉末によって、特に大きな効果が得られる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
〔実施例1〕
バストネサイト精鉱(精鉱中に含有される全酸化希土が89重量%、全酸化希土中に含有される酸化セリウムが51重量%、全酸化希土中に含有される酸化ランタンと酸化プラセオジムの合計が47重量%)を原料とし、これに溶媒として水を加え、湿式ボールミルを使用して湿式粉砕した。このとき、湿式ボールミルへ供給するスラリー濃度として、原料と水とが重量比で1:1となるようにした。また、粉砕は、後述する粉砕粒子粉末の粒度分布測定において、d50が0.5μmとなるまで粉砕を続けた。その後、フィルタープレスでろ過をし、研摩材粒子粉末を含有するケーキを得た。得られたケーキを乾燥した後、あらかじめ1000℃に保持した電気炉で焙焼し、この温度を3時間保持した後、放冷した。得られた粉末を粉砕し、分級点として10μmとなるように設定した乾式分級機によって、粗粉を除去したセリウム系研摩材粒子粉末を得た。
さらに、この粒子粉末に対して、分級点を2μmに変更し、再度分級を行い、微粉を除去した粉末を得た。
得られた粉末は以下の方法で評価し、得られた結果を表1に示す。
【0038】
〔粒度分布測定〕
得られた研摩材粒子粉末の粒度分布の測定は以下のように行った。
研摩材粒子粉末又は、粒子粉末を含むスラリーを試料とし、粒子粉末として約0.1gを0.1wt%ヘキサメタ燐酸ナトリウム水溶液100mlに入れ、超音波ホモジナイザー((株)日本精機製作所 MODEL US-300T)にて300Wで10分間かけて分散した。得られた分散液を一部取り、マイクロトラック(日機装(株) マイクロトラックMK−II 粒度分析計 SPA MODEL7997−20)にて、粒度分布を測定した。得られたデータに基づいて、各測定チャンネルに設定された粒径を上限とする粒度分布についてのグラフを図1に、さらに小粒径よりの体積累積粒度分布度数で10%、50%、90%における粒径の値(μm)をそれぞれd10、d50、d90として表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0003685481
【0040】
〔比表面積測定〕
試料を精秤し、比表面積測定装置(湯浅アイオニクス(株)製 全自動表面積測定装置 マルチソーブ12型)を使用して、窒素ガス吸着BET1点法によって測定した。結果を表1に示す。
【0041】
〔研摩評価〕
得られたセリウム系研摩材粒子粉末を用いて、以下の条件で研摩評価を行った。
<研摩材スラリーの調整>
得られた研摩材粒子粉末を水に分散させ、濃度10重量%のスラリーとした。このスラリーは研摩試験中、攪拌機を用いて常に混合した。
<研摩試験>
試験装置としてオスカー型研摩試験機(台東精機(株)社製 HSP−2I 型)を使い、ポリウレタン製の研摩パッドを用い、60mmφの平面パネル用ガラスを被研摩材料とし、上記研摩材スラリーを500ml/分の速度で供給しながら研摩面に対する圧力設定を1000g/cmとし、及び研摩機の回転速度を1700rpmに設定し、5分間研摩した。研摩後のガラスを純水中で1分間超音波洗浄し、さらに純水による流水洗浄を行い、無塵状態で乾燥させた。
<研摩試験の評価方法>
研摩値の評価は、研摩前後におけるガラスの重量の減少を測定し、実施例1を100とした場合の相対値に換算して研摩値とした。
また、研摩表面の傷の有無、及び残存している付着研摩材粒子の有無については、研摩後のガラスの表面に光源として30万ルックスのハロゲンランプを照射して、反射法にて観察した。傷に関しては、傷の程度及びその数を観察して点数付けを行い、100点満点からの減点方式にて評価した。また、研摩後のガラスを光学顕微鏡で観察することで、ガラス表面に残存している研摩材の有無を確認した。結果を表1に示す。
【0042】
〔実施例2〕
実施例1と同じ原料を用い、実施例1と同様に湿式粉砕を行った。得られたスラリーを濾過し、乾燥後、昇温速度を200℃/hrに設定した電気炉に入れ、室温より1000℃まで昇温した後、1000℃で3時間保持して焙焼を行った。得られた粉末を実施例1に準じて粉砕、分級を行い、粗粒子及び微粒子を除去した研摩材粒子粉末を得た。
得られた粉末は、実施例1に準じて評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0043】
〔実施例3〕
原料として、セリウム系希土類酸化物(希土類酸化物全重量に対して、全酸化希土含有率が99重量%、全酸化希土中に含有される酸化セリウム含有率が60重量%、全酸化希土中に含有される酸化ランタンと酸化プラセオジムの合計が38重量%)を原料とし、これを用いてセリウム系研摩材粒子粉末を製造した。まず、原料と水とを、重量比で1:2となるようにしたスラリーをアトライタへ供給し、湿式粉砕した。粉砕は粉砕粒子粉末の粒度分布測定において、d50が0.5μmとなるまで粉砕を続けた。得られたスラリーにフッ化アンモニウムをスラリー中の濃度が0.1mol/リットルとなるように加え、2時間攪拌を行うことで穏やかにフッ化処理を行い、その後ろ過した。得られたケーキを乾燥した後、実施例2と同じように電気炉で焙焼し、さらに放冷、粉砕、分級を行ってセリウム系研摩材粒子粉末を得た。
得られた粒子粉末を実施例1に準じて評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0044】
〔実施例4〕
原料として、セリウム系希土類炭酸塩(希土類炭酸塩前重量に対して、全酸化希土含有率が70重量%、全酸化希土中に含有される酸化セリウム含有率が61重量%、全酸化希土中に含有される酸化ランタンと酸化プラセオジムの合計が37重量%)を原料とし、これを用いてセリウム系研摩材粒子粉末を製造した。まず、原料と水とを、重量比で1:2となるようにしたスラリーをアトライタへ供給し、湿式粉砕した。粉砕は粉砕粒子の粒度分布測定において、d50が0.5μmとなるまで粉砕を続けた。得られたスラリーにフッ化アンモニウムをスラリー中の濃度が0.1mol/リットルとなるように加え、2時間攪拌を行うことで穏やかに反応させ、その後ろ過した。得られたケーキを乾燥した後、実施例2と同じように電気炉で焙焼し、さらに放冷、粉砕、分級してセリウム系研摩材粒子粉末を得た。
得られた粒子粉末を実施例1に準じて評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0045】
〔実施例5〕
原料として、実施例4で使用したセリウム系希土類酸化物と実施例5で使用したセリウム系炭酸塩を50重量%ずつ混合したものを原料とし、これを用いてセリウム系研摩材粒子粉末を製造した。まず、原料と水とを、重量比で1:2となるようにしたスラリーをアトライタへ供給し、湿式粉砕した。粉砕は粉砕粒子の粒度分布測定において、d50が0.5μmとなるまで粉砕を続けた。得られたスラリーにフッ化アンモニウムの濃度が0.1mol/リットルとなるように加え、2時間攪拌を行うことで穏やかに反応させ、その後ろ過した。得られたケーキを乾燥した後、実施例2と同じように電気炉で焙焼し、放冷、粉砕、分級してセリウム系研摩材粒子粉末を得た。
得られた粒子粉末を実施例1に準じて評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0046】
〔比較例1〕
実施例1と同じ原料を用い、焙焼まで実施例1と同様に処理を行った。得られた焙焼後の粉末を、分級点が10μmに設定した乾式分級機によって、粗粒子を除去し、その後実施例1と同様に処理を行い、研摩材粒子粉末を得た。
得られた粒子粉末を実施例1に準じて評価を行い、得られた結果を表1に示す。
【0047】
比較例1に対して、実施例1〜5では、分級処理を進めていくことで粒度分布の幅が狭くなり、研摩評価としても優れた評価が得られることがわかる。また、粉砕時のスラリー濃度や焼成温度を最適化することで、原料の依存性がなく、分級に頼ることのない粒度分布及び研摩評価に優れた研摩材粒子粉末が得られることがわかる。また、特に焙焼時における昇温速度を限定することにより、粗粒子が低減されるため、さらに小粒径側の分級を行うことで、本発明に記載の粒度分布が優れ、研摩後の残存研摩材の少ない研摩材粒子粉末を得ることができる。
これに対して、比較例1は、微粒子の研摩材粒子が多数存在しているため、d10の値が小さく、したがって研摩後の残存研摩材が多く存在しており、洗浄性に優れた研摩材粒子粉末とはいえるものではなかった。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の粒度分布を有する研摩材粒子粉末を使用することで、研摩後の研摩表面に傷がなく、研摩表面に残存する研摩材粒子が少ないことにより、高い研摩評価を得ることができるため、特に光学用ガラスレンズやガラス基板、高密度磁気記録媒体用ガラス基板、高密度磁気記録媒体用アルミニウム基板、高精細液晶ディスプレイ用ガラス基板、電子素子用シリコン基板など、特に精密を要する研摩用途に使用することができる。

Claims (3)

  1. 酸化セリウム(CeO)を全希土酸化物(TREO)に対して30〜80重量%含有し、かつ、フッ素重量換算でフッ素含有率が0.01〜8重量%であるセリウム系研摩材粒子粉末において、
    粒子粉末の粒度分布測定で、小粒径側からの累積粒度分布度数において10%、50%、90%の粒径(μm)をそれぞれd10、d50、d90とした場合、下記(1)式及び(2)式を満足することを特徴とするセリウム系研摩材粒子粉末。
    0.1≦d50≦3・・・(1)
    90/d10≦8.28・・・(2)
  2. 請求項1に記載のセリウム系研摩材粒子粉末を含有することを特徴とする、セリウム系研摩材スラリー。
  3. 請求項1記載のセリウム系研摩材粒子粉末の製造方法であって、
    セリウム系化合物を粉砕、焙焼、分級する工程を含み、
    分級工程において、分級点を10μm以下とする大粒径側の分級と、分級点を0.1μm以上とする小粒径側の分級を、それぞれ少なくとも1回ずつ行う工程を含むセリウム系研摩材粒子粉末の製造方法。
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