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JP3686466B2 - 荷電粒子線装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は荷電粒子線装置、更に詳しく言えば、一つの荷電粒子源から発生した荷電粒子線で、二つ以上の観察対象の情報を得る荷電粒子線装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
二つの観察対象に一つの荷電粒子線を通し、二つの観察対象の情報を含んだ像を得る荷電粒子線装置の例としては、文献アイイーイーイー トランスアクション オン マグネティクス 12巻 1号 1月 1976年 34頁−39頁(IEEE TRANSACTION ON MAGNETICS、VOL.MAG−12、NO.1、JANUARY 1976 p34−39)がある。この文献では、荷電粒子線装置として、透過型電子顕微鏡が用いられた。この荷電粒子線装置は、図11に示すように、まず、電子線EBをアモルファスの薄膜Dに通し、対物レンズOLを介して面D’に結像し、拡大レンズDLによって明視野像をネガ(Photo Plate)に撮る。次に、対物レンズOLの下に磁界Fを設置し、磁界Fにより歪んだ薄膜Dの明視野像を先に撮ったネガに重ね焼きしている。
【0003】
この荷電粒子線装置では一つの電子線が用いられ、歪んでいない薄膜の像と磁界で歪んだ薄膜の像の二つの像が一枚のネガに重ね焼きされる。このとき一枚の画像には、一つの観察対象である薄膜の情報と、もう一つの観察対象である磁界の情報とが含まれる。上記文献では、薄膜と磁界との二つの観察対象に関する情報を、一つのネガ、すなわち像に含ませることのできる装置が述べられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記文献に記載された従来技術を用いて、磁界Fで歪ませた薄膜の像を得るためには、薄膜Dと磁界Fの間にある対物レンズOLの励磁を調整し、薄膜の像を磁界Fの場所から少しずれた位置D’に結像させることが必要である。さらに、像に含まれる歪みの大きさを変えるためには、薄膜と磁界の間にある対物レンズOLの励磁を変化させて、薄膜の結像位置D’を変える必要がある。
【0005】
一般に、磁界レンズの励磁が変化すると、電子ビーム軸中心に電子ビーム軸と垂直な面で像は回転する。上記荷電粒子線装置も、対物レンズOLとして動作している磁界レンズの励磁が変化すると、薄膜と磁界を重ね合わせた像では、薄膜の像が磁界に対して回転したように観察される。しかし、例えば、薄膜Dの像が面内で格子状の様な方向性を有するものとすると、薄膜像の磁界による歪み量の調整を行うために、磁界レンズの励磁を変化させれば、薄膜の像が磁界に対して回転し、薄膜の歪み自体を観察する場合に、非常に不都合である。また、薄膜と磁界との関係に限らず、二つの試料の重ね合わせ像の中で、その方向性が観察にとって重要な場合には、像としての修整も困難であり、この回転現象が問題となる。
【0006】
従って、本発明の目的は、二つ以上の観察対象の間にある磁界レンズの励磁の変化によって生じる相対的回転現象を無くし、重ね合せ像における対象物の相対的な角度の関係を一定に保つことができる荷電粒子線装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の荷電粒子線装置では、一つの荷電粒子源から発生した荷電粒子線を複数の観察対象に通し、上記複数の観察対象に関する情報を得る荷電粒子線装置において、荷電粒子線の軌道上の異なる位置に、上記観察対象を保持する複数のステージを備え、上記複数のステージの間に一つ以上の磁界レンズを備え、上記複数のステージの少なくとも一つが、荷電粒子線の軌道方向と平行な軸を中心に回転する機能を備える。観察対象物は、荷電粒子線を部分的に通すことのできる試料、あるいは荷電粒子線を一様に通すことのできる試料、あるいは磁界、あるいは電界で構成される。また、観察対象に関する情報は、二次元面への投影像である。また、上記ステージの回転は、磁界レンズの励磁電流と連動して制御される。さらに、ステージの少なくとも一つは、荷電粒子線の軌道方向に垂直な面内方向に移動するように構成されている。
【0008】
また、好ましい実施の形態によれば、上述の構成に加え、少なくとも一つのステージと磁界レンズとの間に荷電粒子線の偏向手段を付加する。上記偏向手段は、磁界レンズの励磁電流と連動する制御ができる様に構成される。
【0009】
さらに、本発明の他の実施の形態では、一つの荷電粒子源から発生した荷電粒子線を二つ以上の観察対象に通し、二つ以上の観察対象に関する情報を得る荷電粒子線装置において、荷電粒子線の軌道上の異なる位置に、観察対象を保持する二つ以上のステージを備え、二つ以上のステージの間に二つ以上の磁界レンズを備える。ここで、ステージの間に備えた二つ以上の磁界レンズのうちの一つの磁界レンズの励磁電流の変化によって生じる二次元面への投影像の回転に対し、逆向きの回転を与えるように、他の磁界レンズの励磁電流を連動制御するように構成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は本発明による荷電粒子線装置の第1の実施の形態を示す。本実施の形態では、荷電粒子線として、電子線を用いた場合で説明する。
【0011】
試料台3に保持された対象物7に、電子源1から発生した電子線2を通す。さらに、試料台3を透過した電子線2を磁界レンズ5に通し、磁界レンズ5の下に設置した試料台4に保持された対象物8に通す。試料台3は、第1のアクチュエータ13によって、その位置を電子線2に垂直な面内で移動させる。また、試料台4も、第2のアクチュエータ15によって、その位置を電子線2に垂直な面内で移動させる。試料台4は、電子線の進行方向に平行な軸を中心に回転することができ、この回転駆動も、アクチュエータ15によって行われる。アクチュエータ13及びアクチュエータ15は、それぞれ制御手段20中のアクチュエータ制御手段14及びアクチュエータ制御手段16によって制御される。
【0012】
以下、例として、対象物7が図2(a)に示されるようなメッシュ7A(例えばCu,5μm〜50μm方形)で、対象物8が図2(b)に示されるような粒子8A(例えばFeの結晶で10−100nm)の集合体である場合で説明する。磁界レンズ5を用いて、対象物7の像を対象物8の設置された位置にほぼ合わせ結像させる。さらに、撮像部6に映し出される重なりの像を観察しながら、図3(a)に示したようにメッシュ7Aの方向と粒子8Aの方向が合うように調節する。調節は、図1で示したスイッチ21をオフにして、アクチュエータ制御手段16で試料台4を回転させることにより行う。
【0013】
次に、試料7のフォーカスを微調整するために、レンズ電流制御手段17によってレンズ電源19を制御し、磁界レンズ5の励磁電流を微小に変化させると、図3(b)に示すように、対象物7のメッシュの像7Aが、対象物8の粒子の像8Aに対してΔθだけ回転する。さらに、相対的な倍率の微小な変化も生じる。倍率については図1には示されていないレンズを付加し、これを用いたり、あるいは撮像後の画像処理を行うことにより補正する。以下は倍率に関しての説明は省く。ここで、図1中のスイッチ21をオンにして、レンズ電源19の出力側に取り付けられたレンズ電流モニタ手段18の検出結果を、アクチュエータ制御手段16に送る。検出結果は調整前後の電流値、あるいは電流値の変化分である。この値を基にアクチュエータ制御手段16が、アクチュエータ15を動かし、試料台4に保持された対象物8を回転させる。
【0014】
一般に、磁界レンズ5の軸上磁界Bと像の回転角θとの関係は、Φを軸上電位として、
【0015】
【数1】
Figure 0003686466
【0016】
で表される。物面と像面が磁界レンズの磁界Bの外にあれば、Nをターン数、Iを電流として、
【0017】
【数2】
Figure 0003686466
【0018】
であるので、kを定数として、
【0019】
【数3】
Figure 0003686466
【0020】
と表すことができる。式(3)より、回転角の変化Δθは、電流値の変化ΔIとの関係を用いて以下のように示すことができ、これを用いて試料8を回転させ回転角を補正制御する。
【0021】
【数4】
Figure 0003686466
【0022】
この回転の制御により、観察された像は、図4のように、対象物7のメッシュと対象物8の粒子に生じた像の相対的な回転を打ち消すことができる。
上記実施の形態では、試料台4に回転機構を備えたが、これを試料台4ではなく、試料台3に取り付けて、試料台3に対して上記の回転補正の制御を行っても、同様に回転補正ができる。
【0023】
(第2の実施の形態)
図5は本発明による荷電粒子線装置の第2の実施の形態を示す。第1の実施の形態と同じように、構成は、一つの電子源1、試料台3に保持された試料7、試料台4に保持された試料8、試料台3と試料台4との間に磁界レンズ5、下に撮像部6を備えている。本実施の形態では、試料台3に回転機能を備えているが、試料台4に備えても同様の効果がある。さらに、本実施の形態では、磁界レンズ5と試料台4との間に偏向器9を備えている。尚、本実施の形態も図1の実施の形態と同様に、荷電粒子線として電子線2を用いた場合で説明する。
【0024】
まず、一つの電子源1から発生させた電子線2は試料7、磁界レンズ5、偏向器9及び試料8に通し、第1の実施の形態と同様に、撮像部6で二つの試料の重ね合わせ像を得る。ここで、磁界レンズ5の励磁を変化させると、回転が生じたように観察される。このため、第1に実施の形態と同じように、レンズ電源19の出力をレンズ電源モニタ手段18で検出する。スイッチ21をオンにし、この結果を回転機能を有する試料台3のアクチュエータ制御部14に入力し、励磁電流の変化分だけ、試料7を回転させる。回転角は、第1の実施の形態と同様に計算で求める。この結果、角度の補正が行え、試料7と試料8の方向を合わせることができる。
【0025】
しかし、上記の回転補正だけでは、図6に示したように矢印方向に画像の相対的なシフト成分が残る。この相対的なシフトは、電子線2が磁界レンズ5の軸外を通ることによって生じる現象であった。このため、本実施の形態では、図5に示したように磁界レンズ5と試料台4との間に偏向器9を備えた。偏向器9には、偏向器電源24の出力電流が流され、偏向器電源24は偏向器電源制御手段25によって制御される。ここで、スイッチ22をオンにし、偏向器電源制御手段25に上述のレンズ電流モニタ手段18で検出した電流を入力し、画像のシフトに相当した分だけ逆向きにシフトさせる。レンズ電流に対する像のシフト量と方向は、予め調べておいた値を制御に用いる。この結果、像のシフト成分を除去することができる。
【0026】
(第3の実施の形態)
図7は本発明による荷電粒子線装置の第3の実施の形態を示す。本実施の形態では、偏向器10が試料台3と磁界レンズ5との間に設置されたものである。図7において、図5と同一の構成要素には同じ番号を付している。本実施の形態では、偏向器10を使って、電子線2が磁界レンズ5の中心軸上を通るようにしている。これにより、軸外を通ることによって、像が相対的にシフトして観察される現象を回避した。
【0027】
また、上記の像のシフトは、例えば電子線2の進行方向に垂直な面内で移動することのできるアクチュエータ15を用いてもよい。この場合は、図5または図7のスイッチ23をオンにし、アクチュエータ制御手段16で試料台4を動かし、像をシフトさせる。これによっても上記のシフトを修整できる。
【0028】
(第4の実施の形態)
図8は本発明による荷電粒子線装置の第4の実施の形態を示す。本実施の形態では、試料台3、試料台4の間に二つの磁界レンズ5及び11を設けた。一つの電子源1から発生させた電子線2は試料7を通過する。さらに、磁界レンズ5、補助磁界レンズ11を通過し、2つの磁界レンズ5、11で、試料8の位置に試料7の像を結像させる。さらに、電子線2を試料8に通し、撮像部6で二つの試料の重ね合せ像を得る。まずスイッチ21をオフにし、アクチュエータ制御手段14で試料台3の試料7を回転させ、重ね合わせ像の回転角度を調整する。
【0029】
次に、磁界レンズ5の励磁を変化させる。前記実施の形態と同様に、試料8の位置に結像させた試料7の像が回転する。ここで、レンズ電流モニタ手段18でレンズ電源19の出力を検出し、これをレンズ電源制御部17に送る。レンズ電源制御部17では、第1の実施の形態と同様に、検出された励磁電流の変化から回転角を算出する。そして、これを基に回転を補うように補助レンズ電源28を制御する。これにより、逆向きの回転が像に与えられるように補助磁界レンズ11の励磁が変化する。撮像部6で得られる像では、磁界レンズ5の励磁の変化によって、回転した像が、逆方向の励磁の変化によって元の向きに戻り、相対的な回転を回避できる。
【0030】
本実施の形態では、磁界レンズ5の励磁の変化に補助磁界レンズ11の励磁を追従させる方式をとったが、逆に、補助磁界レンズ11を変化させ、これに磁界レンズ5を追従させてもよい。また、本実施の形態では、レンズ電源検出手段18を用いて、励磁電流をレンズ電流制御手段17に入力したが、これを行わず、レンズ電源制御部17の内部で、二つのレンズ電源の調整を同時に行ってもよい。また、レンズの連動を用いずに、スイッチ21をオンにし、試料7の回転による補正を行っても同様の効果がある。
【0031】
(第5の実施の形態)
図9は本発明による荷電粒子線装置の第4の実施の形態を示す。本実施の形態では、図8の試料8を磁気ヘッド部材のような磁界発生部材12に取り替え、試料8の粒子をこれまでの試料7の位置に設置しものである。磁界レンズ5と補助磁界レンズ11で、磁界発生部材12の中心に試料8の像を結像させた場合、図10(a)に示したように、得られる像には粒子と部材の影だけが、殆ど歪みのない状態で観察される。次に、スイッチ21をオンにし、磁界レンズ5の励磁の変化に伴う像の回転を、試料台4の回転で補正するようにする。この状態で、磁界レンズ5の励磁を変化させ、結像位置を磁界発生部材の中心から少しずらすと、像は図10(b)のようになり、磁界の発生している空間が歪んで観察される。観察された像では、磁界に対して角度一定なメッシュを基準として、電子線の磁界による偏向角度を求めることができる。この結果、磁界発生部材12からの漏洩磁界を定量的に測定することができる。
また、図9では磁界を用いたが、磁界の代わりに電界を用いた場合でも、画像の歪み量から、空間の電界強度を定量的に求めることができる。
【0032】
【発明の効果】
一つの荷電粒子源から発生させた荷電粒子線で、二つ以上の観察対象の重ね像を得る場合に、観察対象間の磁界レンズの励磁変化により生じる像の相対的な回転補正ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による荷電粒子線装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における試料7及び8を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における試料像を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における二つの試料像の回転補正を行った試料像を示す図である。
【図5】本発明による荷電粒子線装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図6】二つの試料像の相対的位置ずれが生じた例を示す図である。
【図7】本発明による荷電粒子線装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図8】本発明による荷電粒子線装置の第4の実施の形態を示す図である。
【図9】本発明による荷電粒子線装置の第5の実施の形態を示す図である。
【図10】本発明による荷電粒子線装置の第5の実施の形態における粒子と磁界の重ね合わせ像の例を示す図である。
【図11】従来の荷電粒子線装置の要部構成図である。
【符号の説明】
1…電子源、2…電子線、3…試料台A、4…試料台、5…磁界レンズ、
6…撮像部、7…対象物、8…対象物、9…偏向器、10…偏向器、
11…補助磁界レンズ、12…磁界発生部材、13…アクチュエータ、
14…アクチュエータ制御手段、15…アクチュエータ、
16…アクチュエータ制御手段、17…レンズ電流制御手段、
18…レンズ電流モニタ手段、19…レンズ電源、20…制御手段、21…スイッチ、22…スイッチ、23…スイッチ、24…偏向器電源、25…偏向器電源制御手段、28…補助レンズ電源、29…補助レンズ電流モニタ手段。

Claims (2)

  1. 一つの荷電粒子源から発生した荷電粒子線を第1の観察対象に通し、第1の観察対象を通過した荷電粒子線を第2の観察対象に通し、上記二つの観察対象に関する情報を得る荷電粒子線装置において、
    上記荷電粒子線の軌道上の異なる位置に、上記観察対象を保持する二つの試料台を備え、上記二つの試料台の間に一つ以上の磁界レンズを備え、上記試料台の少なくとも一つを荷電粒子線の軌道方向と平行な軸を中心に回転させる回転駆動手段を備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 一つの荷電粒子源から発生した荷電粒子線を第1の観察対象に通し、第1の観察対象を通過した荷電粒子線を第2の観察対象に通し、上記二つの観察対象に関する情報を得る荷電粒子線装置において、上記荷電粒子線の軌道上の異なる位置に、上記観察対象を保持する二つの試料台を備え、上記二つの試料台の間に二つ以上の磁界レンズを備えたことを特徴とする荷電粒子線装置。
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