JP3689772B2 - 高炉マッド用のバインダー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高炉マッド用のバインダーに関し、更に詳しくは、フェノール樹脂溶液を主成分とする改良された高炉マッド用のバインダーに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の高炉技術の進歩は、高炉の大型化や高圧操業下にみられるように目覚ましいものがあり、高炉の能力の増大に伴い、その出銑、出滓作業の主体をなす高炉用マッドに要求される性質も極めて厳しいものとなり、その解決が急務とされている。
【0003】
高炉用マッドとしての具備条件としては、以下の諸条件が要求されている。
イ.適切な可塑性を有し、マッドガンでの充填性が良好であること。
ロ.高炉の出銑口への充填後、強度発現が早く、初期強度が大きいこと。
ハ.高温下での結合強度が強いこと。
ニ.耐溶銑性および耐スラグ性の耐食性に優れること。
【0004】
通常高炉用マッドは、アルミナ、シャモット、粘土、マグネシア、炭化珪素、コークス粉などの耐火骨材に、15〜25重量%(内がけ)のバインダーを添加し、混合されて製造される。この際のバインダーとしては、フェノール樹脂溶液が適用されている。
【0005】
しかし、従来のフェノール樹脂溶液をバインダーとしたマッドでは、上記イ〜ロは満足しているが、最近の高炉操業の厳しさのため、満足する耐食性が得られがたく、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素などの耐火骨材の高品質化が進んでいるが、耐火骨材に比べ、耐火粉末同士の結合力即ちマトリックスの強化に限界があり、充分に満足する耐食性が得られていない。
【0006】
またその一例として、バインダーの添加量削減による揮発成分の減少即ち気孔率の低下によるマトリックスの強化があるが、この場合、可塑性に欠ける固いマッドになるため、マッドガンでの充填性が不可となり、強圧マッドガンを使用しても、充分に満足する耐食性が得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来通りマッドガンで充填出来る押出し性を有し、耐火粉末同士の結合力即ちマトリックスを強化しうる熱間強度や耐食性に優れる高炉マッド用バインダーを開発することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題は、フェノール樹脂溶液100重量部に対して、比表面積が10〜1000m2/gの超微粉であるカーボン粒子、或はこれと超微粉金属粒子及び(又は)金属化合物粒子を、2〜40重量部混合した組成物を、バインダーとして使用した場合に所望の高炉マッドがえられることを見出した。本発明はかかる知見に基づき完成されたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の高炉マッド用バインダーは、基本的には次の組成から成っている。
・ フェノール樹脂溶液・・・・・・・・・・・・・・・・100重量部
・ 超微粉であるカーボン粒子、或はこのカーボン粒子と同金属粒子及び(又は)同金属化合物粒子・・・・・・・・・・・・2〜40重量部
・ さらに必要に応じ液状金属アルコラート・・・0.01〜10重量部
【0010】
即ち、フェノール樹脂溶液に、比表面積が10〜1000m2/gの超微紛であるカーボン粒子、或はこれと更に同金属粒子及び(又は)同金属化合物とを、予め添加することにより、バインダーの揮発分を低減させ、一方、上記超微粒子をバインダー中に分散させるため、超微紛粒子による特異な流動性(レオロジー)がバインダーに付与され、従来通りマッドガンで充填できる押出し性を有し、しかも揮発分の低減した割合で、焼成後マッド材の気孔率が低下するため、耐火粉末同士の結合力即ちマトリックスの強化した熱間強度や耐食性に優れる高炉マッドを得ることが出来る。
【0011】
特に、超微粉のカーボンとしてのカーボンブラックはレオロジー性に優れ、耐溶銑性および耐スラグ性に優れた耐食性を発揮することが出来る。
【0012】
更に、金属アルコラートはアルミナ、マグネシア、ジルコニア、炭化珪素、黒鉛などの耐火骨材とのヌレ性が良好で、これ等耐火骨材表面にフェノール樹脂溶液と金属アルコラートの蒸気圧差を利用して選択的な吸着(蒸着)により金属アルコラートを優先的に被覆し、ついで加水分解により金属アルコラートの加水分解物を生成することが出来る。生成した金属アルコラートの加水分解物はアルミナ、マグネシア、ジルコニアなどの耐火骨材の場合は焼結材として作用する。また金属アルコラートが液状であるため、2種以上の金属アルコラートの組み合わせにより、既存のアルミナ、マグネシア、ジルコニアなどの焼結材では得られない全く新しい複合金属酸化物をも容易に耐火骨材の表面に被覆することができ、焼結を向上させることが可能である。
【0013】
更に、比表面積が10〜1000m2/gの超微粉であるカーボン粒子の場合、特にカーボンブラックの場合は、金属アルコラートにより超微粉のカーボン粒子を容易に分散し、更に、カーボン粒子を被覆した金属アルコラートの加水分解物によりカーボンの酸化防止、耐食性を向上させうる。その結果、従来のバインダーによる高炉マッドの問題点を解消でき、熱間強度や耐酸化性においても充分な特性を発揮し、過酷な条件での耐用性が著しく向上する。
【0014】
また、フェノール樹脂溶液に混ぜた金属アルコラート中の金属は、フェノール樹脂から生成の炭素と結合して、強固な炭化物を生成して熱間強度を向上させる。
【0015】
本発明に用いるフェノール樹脂溶液は公知のフェノール、クレゾールなどのフェノール類とホルムアルデヒドとを反応させて得られる公知のフェノール樹脂の溶液である。
【0016】
フェノール樹脂はノボラック型熱可塑性フェノール樹脂、レゾール型熱硬化性フェノール樹脂などの公知のフェノール樹脂であり、高炉マッドの貯蔵安定性の点からノボラック型熱可塑性フェノール樹脂が好ましい。
【0017】
本発明に使用するフェノール樹脂溶液の溶媒は、アルコールやエーテル類が使用される。アルコールとしては1価アルコールをはじめ、2価アルコール、3価アルコール等の多価アルコールが使用される。1価アルコールとしては炭素数6以下の例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル等のアルコールが例示できる。2価アルコールとしては、例えばエチレングリコール 、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類が、又3価アルコールとしては例えばグリセリンなどが例示出来る。またエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチレンエーテルなどのグリコールエーテルが好ましいものとして挙げられ、これ等溶媒は1種又は2種以上の組み合わせで用いることが出来る。上記溶媒は、マッドの混練時の安定性及び放置安定性の点からグリコール類が好ましい。
【0018】
本発明に使用するフェノール樹脂溶液中のフェノール樹脂量と溶媒量の割合はバインダーの不揮発分即ち残留炭素量および熱間強度の点から、フェノール樹脂40〜75重量%と溶媒25〜60重量%が好ましい。
【0019】
本発明に用いるカーボン粒子は、超微粉の黒鉛、活性炭、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラックなどが例示でき、特に、カーボンブラックが好ましく、塗料用カーボンブラック、インク用カーボンブラック、ゴムタイヤ用カーボンブラック等が例示できる。カーボン粒子の比表面積は流動性および耐食性の点から比表面積が10〜1000m2/gが好ましい。
【0020】
本発明に用いる金属粒子は超微粉末のSi、Al、Mg、Al−Mg、Tiなどが例示できる。金属粒子の比表面積は、流動性および耐食性の点から比表面積が10〜1000m2/gが好ましい。
【0021】
本発明に用いる金属化合物粒子は超微粉末のシリカ、アルミナ、酸化チタンなど金属酸化物やSiC、TiC、TiNなどが例示出来る。金属化合物粒子の比表面積は、流動性および耐食性の点から10〜1000m2/gが好ましい。
【0022】
本発明の超微粉末の粒子は平均粒径が10〜900nm、好ましくは12〜600nm程度のものである。
【0023】
本発明に用いるカーボン粒子、金属粒子あるいは金属化合物粒子の添加量は、フェノール樹脂溶液100重量部に対して、2〜40重量部が好ましく、特に、4〜30重量部が好ましい。添加量が2重量部未満では効果的な耐食性が得られず、40重量部をこえると流動性が低下しマッドガンでの充填性に欠ける。
【0024】
本発明に用いる金属アルコラートはM(OR)nで表される。ここで、M(OR)nのMとしては2〜4価の金属が使用され、好ましい金属としては、Si、Ai、Ti、Zr、B、Cr、Mg、Caなどを例示出来る。尚、nは2〜4の整数である。
【0025】
また、Rは炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基である。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、ter−ブチル等を例示出来る。
【0026】
これらの金属アルコラートは単体または混合して使用出来る。例えば、金属アルコラートが硼素アルコラート又は硼素アルコラートと金属アルコラート(但し硼素アルコラートを除く)との混合物である場合に熱間強度、耐酸化性および耐食性において特に優れる。これらの金属アルコラートは液状で使用される。
【0027】
また、カーボン粒子と金属シリコンおよび金属アルコラートを共存させる場合、シリコンオキサイド・ナイトライト(Si2ON2)を封孔中にウィスカーとして生成することができ、耐食性が更に向上する。
【0028】
これら金属アルコラートを調製する方法としては、特に限定されないが、例えば、各成分を室温で所定の割合で配合し、アルコール及びグリコール類などの溶媒を添加して製造することが出来る。
【0029】
金属アルコラートの添加量は特に限定されるものではないが、フェノール樹脂100重量%に対して、金属アルコラートの金属含有量が0.01〜10.0重量%が熱間強度、耐酸化性及び耐食性の向上の点で好ましい。金属含有量が0.01重量%未満では充分なる耐酸化性や耐食性が得られず、金属含有量が10.重量%をこえても熱間強度、耐酸化性及び耐食性が著しく向上せず、コスト高となる。
【0030】
バインダーの粘性は混練温度、混練作業性などから1000〜50000cps/30℃の粘度が好ましい。又、本発明のバインダーに必要に応じてヘキサメチレンテトラミン(ヘキサミン)等の硬化剤やポリオキシエチレンノニルフェノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、芳香族スルフォン酸ホルマリン縮合物の塩などの分散剤を配合することが出来る。これら分散剤は本発明のバインダーの使用時又は製造時に、カーボン粒子等の無機粒子の分散を助長する。
【0031】
本発明の高炉用バインダーは、従来の高炉用バインダーと同様に使用することが出来る。例えば本発明バインダーを15〜25重量%(内かけ)の割合で耐火骨材に配合し、混合、撹拌して使用すれば良い。尚、この際の混合、撹拌は100℃以下で行うのが良い。
【0032】
本バインダーを使用する際の耐火骨材としても、従来から使用されてきたものがいずれも使用出来、例えばアルミナ、シャモット、粘土、マグネシア、炭化珪素、コークス粉などの1種又は2種以上を好ましいものとして例示出来る。
【0033】
また、本発明バインダーを使用する際には、必要に応じ従来から使用されることのあるアルミニウム、珪素、アルミニウム−マグネシウム合金などの金属粉、炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si3N4)などの炭化物や窒化物、各種金属ファイバー、セラミックファイバー、カーボンファイバーなどのファイバー類を添加することも出来る。この際の金属粉、炭化物、窒化物の粒径は40μm程度が大部分であり、本発明の表面積が10〜1000m2/gの超微粉とは、根本的に異なっている。
【0034】
又、本発明のバインダーは公知の固形状あるいは粉末状のフェノール樹脂と併用して用いることも出来る。
【0035】
【発明の効果】
本発明のバインダーは、高炉用バインダーとして極めて優れたものであり、従来の高炉用バインダーの難点をうまく解決出来、その産業上の効果は極めて大きい。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。但し、下記例に於いて%とあるは重量%である。
【0037】
【実施例1】
融点65℃のノボラック型フェノール樹脂60%、エチレングリコール40%を100℃で加熱溶解したもの100重量部に、表1に示す超微粉粒子A〜Eを12重量部添加し、混合分散してバインダーA〜Eを得た。
【0038】
尚、表1のCは超微粉粒子中のカーボンブラック量、Mは超微粉粒子中の金属又は金属化合物の量である。
【0039】
【表1】
【0040】
これらのバインダーを用いて表2に示す耐火原料と60℃で60分混練し、可塑性のあるマッドを得た。このマッドについて各種物性を測定した。この結果を表3に示す。
【0041】
尚、表2の比較品1のバインダーは、融点75℃のノボラック型フェノール樹脂60%、エチレングリコール30%、ジエチレングリコール10%を100℃で加熱溶解した粘度41000cps/30℃のフェノール樹脂溶液である。
【0042】
比較品2は表2の電融アルミナなどの骨材配合に、予めカーボンブラックBを添加し、比較品1のバインダーで混合したマッドである。
【0043】
比較品3は比較品1のバインダーに、比表面積8m2/g、粒子径15000nmの人造黒鉛を12%添加したバインダー(バインダーF)である。
【0044】
比較品4は比較品1のバインダーに、比表面積1300m2/g、粒子径35nmの活性炭を12%添加したバインダー(バインダーG)である。
【0045】
また本発明のマッド材を使用した場合には、マッドガンの充填性も優れ、5分以内で硬化しマッドガン内の焼き付きもなく出銑時間が比較例の出銑口充填材に比較して大幅に改善された。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
〈測定法〉
なお、混練物の押出し性、気孔率、熱間曲げ強度の試験方法および評価は次の方法によった。
*混練物の押出し性;60℃の混練物をマッドガンにて押出し性を調べる。
《評価》押出し可能なもの:良好、押出し不可能なもの:不可
*気孔率;1400℃焼成後の気孔率である。
*熱間曲げ強度;40×40×160mmの供試体をN2気流中、電気炉600℃及び1400℃下での熱間曲げ強度を測定した。
*耐食性;1450℃での耐スラグ回転侵食性を評価する。従来品の侵食度を100として評価する。
耐食性 優 良 可 不可
侵食度 85以下 86〜95 96〜105 106以上
【0049】
【実施例2】
融点71℃のノボラック型フェノール樹脂45%、エチレングリコール35%、ジエチレングリコール20%を110℃で加熱溶解したもの100重量部に、表1に示すカーボンブラックBを5,30%添加し、混合分散してバインダーH,Iを得た。
【0050】
更に、上記バインダーHに金属アルコラートとしてトリメトキシ硼素及びトリエトキシ珪素をそれぞれ3%添加し混合して、バインダーJおよびKを得た。
【0051】
これらバインダーを用いて表4に示す耐火原料と60℃で60分混練し可塑性のあるマッドを得た。このマッドについて各種物性を測定した。この結果を表4に併記する。
【0052】
尚、比較品5は比較品1のバインダーに、表1のカーボンブラックBを60%添加し混合したバインダーLである。
【0053】
従来のバインダーを使用した比較品1に比べて、本発明6〜8のマッドは気孔率、熱間曲げ強度及び耐食性が優れており、特に、金属アルコラートを添加することにより、熱間曲げ強度及び耐食性がさらに向上する。
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
上述のように、本発明は新規な比表面積が10〜1000m2/gの超微粉であるカーボン粒子、またはこれと金属粒子或は(及び)金属化合物粒子とフェノール樹脂溶液を混合分散してなる組成物をバインダーとして、マッド用耐火原料に配合することにより、従来通りマッドガンで充填できる押出し性を有し、耐火粉末同士の結合力即ちマトリックスを強化しうる気孔率、熱間強度や耐食性に優れる高炉マッドを提供することができる。従って、その産業上の利用効果は極めて大きい。
Claims (5)
- フェノール樹脂溶液100重量部に対して、平均粒径10〜900nm、比表面積10〜100m 2 /gである超微粉カーボン粒子、或は該カーボン粒子と同超微粉金属及び(又は)同超微粉金属化合物粒子2〜40重量部を混合して得られることを特徴とする高炉マッド用バインダー。
- 超微粉カーボン粒子がカーボンブラックである請求項1に記載の高炉マッド用バインダー。
- フェノール樹脂溶液の濃度が40〜75重量%である請求項1又は2に記載の高炉マッド用バインダー。
- フェノール樹脂溶液の溶媒がグリコール類である請求項1〜3のいずれかに記載の高炉マッド用バインダー。
- 更に液状金属アルコラートを、フェノール樹脂溶液100重量部に対し、0.01〜10重量部添加した請求項1〜4のいずれかに記載の高炉マッド用のバインダー。
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