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JP3691685B2 - 血糖値上昇抑制剤 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物を有効成分とする血糖値上昇抑制剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病は、慢性高血糖とそれに伴う毛細血管障害に起因して引き起こされる各種合併症を総称したものである。慢性的に血糖値の高い状態が続くと、血中のブドウ糖がヘモグロビンや組織のタンパク質に結合してその機能を障害し、動脈硬化、網膜症、白内障、腎症、神経症、心筋梗塞、脳梗塞、下肢の壊疽などの合併症を引き起こす。さらに糖尿病では、免疫力が低下するために感染症にも罹りやすくなる。
【0003】
いったんこのような合併症が進行すると、回復が極めて困難になるため、糖尿病患者は症状のない段階で血糖値を上げない様にコントロールすることが肝要である。一般的に、糖尿病の治療薬としては、インスリンの投与が広く行われているが、その他、血糖降下剤をはじめとする様々な抗糖尿病剤が開発されている。例えば、天然物系では茶水溶性多糖成分のテアラクトンを有効成分とする血糖値降下剤(特開平4−124139号)、バナバ葉の熱水抽出画分を有効成分とする抗糖尿病剤(特開平7−228539号)、センブリより抽出単離したキサントン類の血糖降下剤(特開平7−206673号)、ローヤルゼリーに含まれるトランス−10−ヒドロキシデセン酸を有効成分とするインスリン様作用剤(特開平9−67252号)などがある。また、化学合成物では、モラノリンN−置換誘導体(特公昭59−43949号)、チアゾリジン化合物(特開平4−210977号)、イミダゾリル基を有する縮合7員環系化合物(特開平4−178381号)などがある。
【0004】
ところで、ローヤルゼリーは、ミツバチの分泌腺(下咽頭腺、大腮腺)から分泌される乳白色を帯びた強い酸味のある物質で、女王蜂を育てるための特別な餌となる物質である。ローヤルゼリーの成分についてはまだ不明の点もあるが、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、アセチルコリン、10−ヒドロキシデセン酸、ステロール、ホルモンなどの豊富な栄養分を含有し、更年期障害予防作用、抗貧血作用、老化防止、抗放射線作用、抗ガン作用、血流増加作用、抗動脈硬化作用(コレステロール低下作用、血圧正常化作用)、リウマチ・神経痛予防作用、健康増進作用などの人体に対して好ましい生理活性を持つことが知られている。そのため、古くから、生タイプ、カプセルタイプ、飲料タイプなどの健康食品、医薬品、化粧品などに利用されており、最近はアルコール抽出ローヤルゼリーやプロテアーゼ処理ローヤルゼリー等が開発され、これらを添加した飲料として摂取される場合が多くなってきた。例えば、本出願人による特許第2623044号(特開平5−123119号)には、基質に対する作用部位の異なる二種類以上のプロテアーゼで生ローヤルゼリーを処理することにより、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有し、しかも透明で安定性に優れ、飲料などにも添加しやすく、したがって経口摂取しやすい透明なローヤルゼリー分解物が得られることが開示されている。
【0005】
そして、酵素消化したローヤルゼリーの生理活性については、本出願人によるローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物で分子量3000以下のペプチドを有効成分として含有する経口摂取用育毛剤(特開平8−104645号)、同様に分子量3000以下のペプチドを有効成分として含有する感染防御機能増強剤(特開平8−59499号)が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に化学合成品は高い効果を得ることができるが、その反面副作用もあるため長期間に渡る投与には問題が多かった。一方、天然物抽出物は、安全性は高いものの十分な効果を示さないものが多く、また、その抽出・精製に手間のかかるものが多かった。
【0007】
例えば、上記トランス−10−ヒドロキシデセン酸は、生ローヤルゼリー中に約2%程度しか含有されておらず、その精製には手間とコストがかかっていた。そして、上記生理効果が期待されるトランス−10−ヒドロキシデセン酸の有効投与量は、通常100〜200mg/人(約60kg)/日であり、これを生ローヤルゼリー(採取された原液)で摂取しようとすると、大量の生ローヤルゼリー(25〜50g/人(約60kg)/日)を摂取しなければならなかった。
【0008】
生ローヤルゼリーは独特のエグ味及び臭気を有しており、食べる際に抵抗感を覚える人が多く、さらに、水に溶けず、加熱したり、低いpHではタンパク質が凝固・沈殿してしまうため、その使用範囲が限られており、手軽に摂取できるとは言い難かった。また、生ローヤルゼリーをアルコールなどで抽出した場合、豊富に含まれるタンパク質などの不溶性成分が除去されてしまい、ローヤルゼリーの有する様々な生理活性効果が期待できなかった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、血糖値上昇抑制効果と共に、他の様々な生理活性機能をも期待でき、安全で、経口摂取しやすく、手軽に摂取することのできる血糖値上昇抑制剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ローヤルゼリーの酵素分解物の生理活性を研究する過程で、ローヤルゼリーの酵素分解物が、血糖値上昇抑制効果を有することを見出し、この事実に基づき本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、ローヤルゼリーをペプシン及びパンクレアチンにより分解して得られる分子量500〜3,000のペプチドを含有することを特徴とする血糖値上昇抑制剤である。
【0012】
本発明によれば、後述する実施例に示されるように、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物により血糖値上昇抑制効果がもたらされるため、糖尿病の予防・改善効果が期待される。
【0013】
さらに、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物は、上述した育毛効果、感染防御機能増強効果の他に、カルシウム吸収促進効果(特願平10−90808号)を有しており、これらの生理活性機能も期待できる。
【0014】
そして、ローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物は、エグ味や臭気がなく、水に溶けやすく、熱やpHによるタンパク質の凝固・沈殿がないため、安全で、経口摂取しやすく、手軽に摂取することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の血糖値上昇抑制剤の有効成分であるローヤルゼリーのプロテアーゼによる分解物(以下、ローヤルゼリー分解物と略称する)は、ローヤルゼリーの懸濁液に、プロテアーゼ、好ましくは基質に対する作用部位の異なる二種類以上のプロテアーゼを、同時又は逐次添加して室温以上の温度に保持して酵素反応させることにより得ることができる。
【0017】
プロテアーゼとしては、基質に対する作用部位の異なる二種類以上を選択して用いることが必要であり、本発明においては、ペプシン及びパンクレアチンを用いる。
【0018】
プロテアーゼによる処理は、タンパク質の分解率を経時的に測定しながら行い、最終分解率は使用するプロテアーゼにより異なるが、分解率が好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上となるまで行うのがよい。なお、上記製造法の詳細は、前記特許第2623044号に記載されている。
【0019】
こうして得られたローヤルゼリー分解物は、分子量3,000以下のペプチドを含有しており、タンパク質が分解されてペプチド化している以外は、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有している(固形分中、タンパク質:36〜42%、糖質:45〜52%、脂質:13〜15%、デセン酸:5〜6%)。
【0020】
そして、このローヤルゼリー分解物は、そのまま食しても喉を刺すような刺激もなく、むしろ若干の旨味と甘さがあるものである。また、水溶液にしたときに透明で安定性に優れており、したがって、飲料などにも添加しやすく、経口摂取しやすいものである。
【0021】
上記ローヤルゼリー分解物は、そのまま溶液状で用いてもよく、凍結乾燥などの手段により粉末化してもよい。また、このようなローヤルゼリー分解物としては、例えば、「バイオサンローヤル」(商品名、株式会社バイオックス製)などの市販品を用いることもできる。
【0022】
本発明の血糖値上昇抑制剤は、上記ローヤルゼリー分解物を例えば、そのままカプセル剤などにしてもよく、適当な賦形剤を添加して錠剤などにしてもよい。また、ハチミツ、栄養ドリンク、清涼飲料などに添加・溶解させて、飲料などの流動状のものにすることもできる。飲料などに添加する場合、上記ローヤルゼリー分解物を乾燥物換算で0.5〜3重量%添加することが好ましい。
【0023】
本発明の血糖値上昇抑制剤の有効成分であるローヤルゼリー分解物の好ましい摂取量は、乾燥物換算で1日当たり0.5〜10gである。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
製造例
生ローヤルゼリー100gに温水を加えて、ローヤルゼリーの懸濁液1kgを調製し、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH4に調整した。この懸濁液に、哺乳動物の消化酵素であるペプシン(1:10,000、シグマ社製)0.1gを添加し、45℃、6時間酵素処理を行い、ペプシン処理液を得た。次に、このペプシン処理液を、20%水酸化ナトリウム溶液を用いてpH8に調整した後、哺乳類の消化酵素であるパンクレアチン(2,000,000単位/g、シグマ社製)0.1gを添加し、45℃、6時間酵素処理を行った。
【0025】
この酵素処理液を、80℃で10分間加熱して酵素を失活させた後、濾過して異物や不溶性残渣を除去して透明な溶液を得た。この溶液をはじめに用いた生ローヤルゼリーと同じ重さである100gまで減圧濃縮して、透明な溶液状のローヤルゼリー分解物を得た。
【0026】
なお、このローヤルゼリー分解物は、「バイオサンローヤル」(商品名、株式会社バイオックス製)として市販されているものと同様のものである。
【0027】
上記酵素処理時間は、酵素反応開始後0、2、4、6時間後にそれぞれタンパク質の分解率を以下に示す方法で測定し、分解率が最高に達した時点とした。
【0028】
タンパク質分解率の測定方法
サンプル2.0mlに、等量の10%トリクロル酢酸(TCA)を加えて遠心を行い、この上清を希釈した後、ローリー法で比色定量し、TCA可溶性成分の量の推移を調べた。なお、ローヤルゼリー中の粗タンパク質は、TCA溶液のかわりに等量の水を加えた溶液を用いて、同様に比色定量して求めた。そして、下記数1に示す式により、タンパク質の分解率を求めた。
【0029】
【数1】
分解率={(c−b)/(a−b)}×100%
a:ローヤルゼリー分解物の粗タンパク質含有量
b:ローヤルゼリー分解物のTCA可溶性成分の含有量
c:酵素処理サンプルのTCA可溶性成分の含有量
【0030】
上記方法により求めた6時間酵素(パンクレアチン)処理後のタンパク質の分解率は、91.6%であった。
【0031】
また、得られたローヤルゼリー分解物と、生ローヤルゼリーとに含まれる粗タンパク質について分子量分布をHPLCで測定し、比較した。その結果を図1に示す。図1中、Aは上記製造例で得られたローヤルゼリー分解物、Bは生ローヤルゼリーの結果を示す。
【0032】
図1の結果から、上記製造例で得られた透明なローヤルゼリー分解物中の粗タンパク質の分子量分布を、生ローヤルゼリー中の粗タンパク質の分子量分布と比較すると、製造例で得られたローヤルゼリー分解物中には、分子量10,000以上のものがほとんどなくなって、分子量500〜3,000のペプチドが主成分となっている。このことは、電気泳動等の結果からも確認した。
【0033】
すなわち、上記製造例で得られたローヤルゼリー分解物は、タンパク質が分解されてペプチド化している以外は、生ローヤルゼリーと同様な成分を含有し、ペプチドとしては、特に生理機能を有すると言われている分子量数百〜数千のペプチドを多く含有していることが分かる。
【0034】
なお、上記製造例で得られたローヤルゼリー分解物は、エグ味や臭気がなく、弱酸性の飲料に添加しても生ローヤルゼリーのように凝集沈殿することなく容易に溶解した。
【0035】
実施例
10週齢のKKAy系雄マウス(自然発症糖尿病モデルマウス)を用いて、生理食塩水投与群(以下、コントロール群という)、生ローヤルゼリー投与群(以下、生RJ群という)、ローヤルゼリー分解物投与群(以下、PRJ群という)に分け(各群6匹)、12時間毎の明暗サイクルの環境下で、固形飼料CA−1(商品名、日本クレア(株)社製)及び水は自由摂取として4週間飼育し、7日毎に血糖値を測定した。
【0036】
コントロール群においては、1回当たりの生理食塩水の投与量を500mg/匹とし、生RJ群及びPRJ群においては、1回当たりの生ローヤルゼリー及びローヤルゼリー分解物の投与量を、それぞれのデセン酸量が同じになるように決定し、生ローヤルゼリーは300mg/体重kg(乾燥物換算で105mg/体重kg)、ローヤルゼリー分解物(BX−7 L−50、商品名、株式会社バイオックス製)は730mg/体重kg(乾燥物換算で121mg/体重kg)とした。各被験物質は、必要量を小分けにして冷凍保存し、冷蔵下にて融解させた後、胃ゾンデを用いて28日間連続投与した。
【0037】
血糖値の測定は、測定日の午前9時及び午後3時(6時間絶食)に尾静脈から採血して血糖値測定器(製品名:エクザクテック2A、メデイセンスジャパン社製)を用いて行った。なお、午前9時の血糖値を満腹時血糖、午後3時(6時間絶食)の血糖値を空腹時血糖とした。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0003691685
【0039】
表1から分かるように、満腹時における血糖値は、投与7日目より、コントロール群に対して生RJ群及びPRJ群は低い値を示し、21日目以降は有意差(p<0.01)が認められた。そして投与28日目で、PRJ群が最も低い値を示した。また、空腹時における血糖値も同様に、生RJ群及びPRJ群がコントロール群に対して低い値を示し、14日目以降は、有意差(p<0.01)も認められた。また、投与21日目において、PRJ群が生RJ群に対して有意に低い値(p<0.05)を示した。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の血糖値上昇抑制剤は、ローヤルゼリー分解物を含有することにより、血糖値上昇抑制効果をもたらすことができ、糖尿病の予防・改善効果が期待できる。
【0041】
さらに、ローヤルゼリー分解物は、上記生理効果の他に育毛効果、感染防御機能増強効果、カルシウム吸収促進効果を有しており、これらの生理活性機能も期待できる。
【0042】
そして、ローヤルゼリー分解物は、エグ味や臭気がなく、水に溶けやすく、熱やpHによるタンパク質の凝固・沈殿がないため、安全で、経口摂取しやすく、手軽に摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製造例で得られたローヤルゼリー分解物中の粗タンパク質と、生ローヤルゼリー中の粗タンパク質の分子量分布を示す図である。

Claims (1)

  1. ローヤルゼリーをペプシン及びパンクレアチンにより分解して得られる分子量500〜3,000のペプチドを含有することを特徴とする血糖値上昇抑制剤。
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