JP3692682B2 - セラミックス成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックス成形体の製造方法に関する。
【0002】
本発明の鋳込み成形は、複雑形状または厚肉形状の製品に好適に用いられ、ネットシェイプが可能で、従来の鋳込み成形に比較して極めて短時間で成形体が得られる方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
近年、耐熱性、耐久性を要する機械構造用部品、装飾用部品および電子部品などに複雑形状のセラミックス部品が要求されるようになっている。
【0004】
そして、これら部品は要求される高い機能に応じて、複雑な形状をしていることが多い。セラミックスは耐熱性、耐久性、耐食性、耐摩耗性に優れているが、複雑な形状に成形したり、加工することが極めて難しいという問題があった。
【0005】
このため、種々の成形方法が検討され、鋳込み成形、射出成形、押出し成形、シート成形など、金型プレスやラバープレス成形では作製できなかった複雑形状がニアネットシェイプで簡単にできるようになっている。
【0006】
これらのうち、従来の鋳込み成形は泥漿を吸水性の鋳型に流し込み、着肉層を形成させることによって成形体を得る方法であった。この方法はプレス成形や塑性成形に比較して生産性に劣るものの、大型で複雑な形状を成形することができ、成形のための設備費が安価で少量生産に適した方法である。しかしながら、従来の鋳込み成形法では、鋳型を繰り返し使用することによって摩滅したり、目詰まりが生じたりして、結果的に寸法精度の低下や成形体の乾燥時にクラックを生じるなどの欠点があった。そこで、セラミックス粉末に混合する有機バインダーとして不飽和重合体とビニル基またはアクリル基を含む架橋結合体を主成分とするバインダーを用い、反応硬化させる鋳込み成形方法が特開平8−133844号公報に提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの有機バインダーは水溶性ではなく、有機溶剤にしか可溶でないため、飛散する有機溶剤の排気設備、人体への影響が懸念され実用的課題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、基本的には、下記の構成により達成できる。即ち、「アルミナ、ジルコニア、またはこれらの複合セラミックスの鋳込み成形をするに際し、水溶性のエポキシ系樹脂からなる架橋性成分とアミン系化合物を含む架橋結合体からなる架橋剤の混合物を主成分とする架橋性水溶性バインダーと、アルミナ、ジルコニア、またはこれらの複合セラミックス粉末との混合物を成形型中に充填し、反応硬化させて成形体を形成するセラミックス成形体の製造方法であって、前記架橋性水溶性バインダーに対する硬化剤の配合量を、前記架橋性水溶性バインダー10重量部に対して硬化剤が1〜4重量部となるように添加し、反応硬化した成形体を脱型後に加湿または調湿した雰囲気でセラミックス成形体を乾燥することを特徴とするセラミックス成形体の製造方法。」である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容を詳述する。
【0010】
本発明における架橋性水溶性バインダーとしては、架橋性成分と架橋剤の混合物であることが必要である。架橋性成分としては、水溶性のエポキシ系樹脂が必要であり、架橋剤としてはアミン系化合物が必要である。即ち、水溶性のエポキシ系樹脂とアミン系化合物を含む架橋結合体を主成分とするバインダーであり、このバインダーとセラミックス粉末との混合物を成形型中に充填し、反応硬化させて成形体を形成することが必要である。
【0011】
本発明の水溶性エポキシ樹脂は、最も一般的なグリシジルエーテル、グリシジルエステル、メチルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキサイド、エポキシ化ポリブタジエンなどの型があるが、グリシジルエーテル型が室温でも円滑に硬化が起こるので、反応硬化型樹脂として適している。
【0012】
これに分散剤として、市販のポリカルボン酸系またはポリアクリル酸系の分散剤を用いるのが好ましい。
【0013】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、アミノ基、カルボキシル基乃至はヒドロキシル基を有する化合物などがあり、とりわけアミン化合物がきわめて有効である。アミン化合物には、アンモニアのHが炭化水素に1、2、3個置き換わった第1、第2、第3アミンがある。また、1分子中のアミンの数によってモノアミン、ジアミン、トリアミン、ポリアミンと称され、さらに炭化水素の種類により、脂肪族、脂環族、芳香族アミンに分類される。本発明ではいずれのアミン系化合物を用いることも可能である。
【0014】
アミン系硬化剤によるエポキシ樹脂の硬化は、第1アミンの活性水素とエポキシ基が反応して第2アミンが生成し、この第2アミンがエポキシ基と反応して硬化する。さらに生成した第3アミンがエポキシ基を重合する。
【0015】
一般に硬化物が架橋高分子になるためには、硬化剤は1分子内に活性水素が3個以上必要で、アミノ基が2個以上必要である。そして、エポキシ樹脂に対する硬化剤の配合量はエポキシ基と活性水素が当モルのとき最適となり、実際には脂肪族、芳香族ポリアミンともに当モル配合の時に硬化物はガラス転移温度、耐熱性などが最良となる。
アミンによる硬化速度は、アミンの種類、配合量、エポキシ樹脂の種類によって異なる。
【0016】
グリシジルエーテル型の樹脂であるエピクロルヒドリン縮合物では、脂肪族アミンにより室温でほぼ硬化するが、芳香族アミンでは室温での硬化が遅く、加熱硬化が必要である。また、配合量が化学当量よりも極端に増減しないときは、アミン量が多いほど見かけの硬化が速く、配合量が少なくなると遅くなる。実用上はこれを利用して硬化速度の調整を行うことができる。
【0017】
粉末は、これまで鋳込み成形が難しいとされた、アルミナ、ジルコニア、およびこれらの複合セラミックスすべてに適用できる。ただし、あらかじめ原料粉末はよく粉砕、分散されていることが望ましい。
【0018】
セラミックス粉末100重量部に対し、純水を15〜70重量部用いる。15重量部未満では溶媒が不足するためスラリー粘度が高くなり、鋳型の細部まで泥漿が行き渡らず、成形性が低下する。70重量部では含水率が高くなりすぎて硬化後の離型が困難であり、また乾燥時間も長くなる。純水は、より好ましくは25〜50重量部用いると良好なスラリーが得られる。また、セラミックス粉末100重量部に対し、バインダー量2〜10重量部、分散剤0.1〜5重量部を用いることが好ましい。
【0019】
このように調製したスラリーをアトリションミル、ビーズミル、ボールミルなど一般的な粉砕機にて十分粉砕混合する。好ましくは、これに以下の硬化剤をバインダー10重量部に対して、硬化剤1〜4重量部となるように添加し、さらに数分から数十分間混合する。
【0020】
粉砕機の容器から別の容器にスラリーを取り出し、鋳型に流し込みを行う前に、10torr以下の減圧下で5分〜60分真空にて脱泡すると好ましい。鋳込みの方式は従来の鋳込み成形と同じく減圧、加圧、常圧のいずれかで行う。
【0021】
本発明の鋳込み成形において、成形体はかなりの水分量を保水したまま固化させるので、従来の鋳型のような石膏を用いると、スラリーから吸水されて成形体の形が歪んだり、クラックが生じたりするので、吸水性のない鋳込み型を用いることがきわめて重要な点である。吸水性のない鋳型材には、各種プラスチックスまたは金属を用いることが好ましい。
【0022】
あらかじめ、型の内面でスラリーと接触する面には、シリコン系またはフッ素系などの離型剤を塗布しておくと、型抜きがきわめて容易であり好ましい。
【0023】
反応硬化は、硬化剤を注入してから、常温にて2〜20時間で固化するので、ある程度の保型性を持ったところで型抜きを行う。目安としては、型を逆さまにしてもスラリーが垂れなくなったら型抜きが可能である。
【0024】
型から取り出したセラミックス成形体を、相対湿度40%乃至75%となるように加湿または調湿しながら乾燥するのが好ましい。急激に脱水して、クラックを発生させず、成形体の変形を防ぎ、効率よく乾燥を行うためである。成形体内部は特に乾燥しにくいので、ある程度乾燥したら恒温器内で50〜200℃で乾燥、または真空乾燥するか、電子レンジなどを用いてマイクロ波で保水している成形体の中心部を加熱し、保水量0.5重量%以下にすることが望ましい。
【0025】
乾燥後のセラミックスの鋳込み成形体は、セラミックスの種類によって1200〜2200℃で、大気中、不活性または還元雰囲気中、または減圧下で焼成する。必要に応じては加圧焼結することも必要となる場合がある。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明について、下記実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。
【0027】
実施例1
(セラミックスラリーの組成)
(1) 無機粉末
Y2O3が2.75モル%ZrO2ニ添加されたイットリア部分安定化ジルコニアを平均粒径0.12μmに調製し、これを原料粉末として用いた。上記粉末に焼結助剤として、Al2O3を0.375重量%添加した。
【0028】
(2) バインダー
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを用い、粉末100gに対し、5重量%用いた。
【0029】
(3) 分散剤
ポリアクリル酸界面活性剤を用い、粉末100gに対し1重量%用いた。
【0030】
(4) 溶媒
純水を用い、粉末100gに対し40重量%用いた。
【0031】
上記(1)〜(4)の原料をボールミルにて、80回転/分、24時間混合した。
【0032】
(鋳込み成形体の作製方法)
上記スラリーに硬化剤として、1−(2−アミノエチル)ピペラジンをバインダーに対し、重量比で5:1の割合となるように添加し、さらにボールミルにて5分間混合攪拌した。
【0033】
攪拌したスラリーをガラス容器に移し、減圧下で充分脱泡した後、型に流し込んで乾燥した。
【0034】
型材はポリプロピレン樹脂にて作製した非吸水性の材料であり、乾燥は常温にて湿度70%となるように調湿しながら行った。
【0035】
(乾燥、焼結方法)
ある程度硬化したところで成形体を型から取り出し乾燥した。乾燥は湿度75%となるように調湿された雰囲気で常温にて行った。この乾燥によって、ケーク状の固まりは強固な成形体となった。
【0036】
成形体を電気炉にて大気中で焼成した。焼成温度は1400℃、2時間とした。
【0037】
(焼結体の評価)
焼結体は走査型電子顕微鏡によって組織観察し、結晶粒径は0.3μmであることを確認した。また、X線回折により実質的に立方晶を含まない正方晶系ジルコニアであり、アルキメデス法による焼結体密度は6.06グラム/立方センチメートルであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明により、調製時にゲル化せず、常温でも流動性がきわめて良好で、鋳込み成形のみならず、射出成形、シート成形、押出し成形などにも適用できる技術が提供される。成形型に充填して、反応硬化した後は、フローマークや収縮によるクラックなどの発生が見られず、離型性も良好で、焼成後の焼結体にクラックや変形が発生しない量産効果の優れたセラミックス成形方法である。
Claims (4)
- アルミナ、ジルコニア、またはこれらの複合セラミックスの鋳込み成形をするに際し、水溶性のエポキシ系樹脂からなる架橋性成分とアミン系化合物を含む架橋結合体からなる架橋剤の混合物を主成分とする架橋性水溶性バインダーと、アルミナ、ジルコニア、またはこれらの複合セラミックス粉末との混合物を成形型中に充填し、反応硬化させて成形体を形成するセラミックス成形体の製造方法であって、前記架橋性水溶性バインダーに対する硬化剤の配合量を、前記架橋性水溶性バインダー10重量部に対して硬化剤が1〜4重量部となるように添加し、反応硬化した成形体を脱型後に加湿または調湿した雰囲気でセラミックス成形体を乾燥することを特徴とするセラミックス成形体の製造方法。
- セラミックスとしてジルコニアを用いることを特徴とする請求項1に記載のセラミックス成形体の製造方法。
- 前記架橋剤が1分子内に活性水素が3個以上で、アミノ基が2個以上のアミン系化合物を含む架橋結合体を主成分とする請求項1または2に記載のセラミックス成形体の製造方法。
- 前記水溶性のエポキシ樹脂が、グリシジルエーテル型であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックス成形体の製造方法。
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