JP3697170B2 - 容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣接する少なくとも一対の面が外側に凸に湾曲した容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、CRT,コンピュータ等の各種機器の筐体として、デザイン上の要請、或いは人間工学上の要請等に基づき、隣接する少なくとも一対の面が外側に凸に湾曲した容器を使用する場合がある。この種の容器としては、大多数は合成樹脂の射出成形によって作成したものが採用されている。射出成形では、金型を製造してそれぞれのニーズに応じた自由な曲面形状を提供することができる。このため、上記デザイン上の要請等に充分に応え得る所望の曲面を有する容器が作成できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、射出成形で使用する金型には、その製造に多大な時間と製造コストとが必要となる。このため、新たな形状の容器を作成する場合には、多大な準備期間と投資とが必要であった。特に、モデルチェンジ等に伴って新たな形状の容器を試作する場合、少数の試作品を作成するために多大な準備期間と投資とが必要となり、投資効率が悪かった。そこで、本発明は、隣接する少なくとも一対の面が外側に凸に湾曲した容器であって、新たな形状のものであっても容易にかつ安価に作成可能な容器を提供することを目的としてなされた。
【0004】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、
隣接する少なくとも一対の面が、外側に凸に湾曲した容器であって、
折り線に沿って折り曲げられることにより上記一対の面を形成する1枚の板材と、
該板材の折り曲げによって得られる面の内、外側に凹である面を、上記折り線の少なくとも一部とは平行しない軸を中心に湾曲させてその面を外側に凸となるように矯正する矯正部材と、
を備え、
上記折り線が、上記板材の面に沿って一方が凸になるように、一定方向に曲がって形成されたことを特徴としている。
【0005】
このように構成された本発明では、1枚の板材を折り線に沿って折り曲げることにより、隣接する一対の面を形成することができる。また、上記板材の折り曲げによって得られる面の内、外側に凹である面は、矯正部材によって外側に凸となるように矯正される。
【0006】
上記板材の形状や上記折り線の形状は、プレス加工や切削加工によって容易にかつ自由に加工することができる。また、これらの加工は射出成形に比べて極めて容易に実施できる。このため、本発明では、新たな形状の容器も容易にかつ安価に作成することができる。しかも、本発明では、上記隣接する一対の面が外側に凸に湾曲するように上記矯正部材で矯正しているので、上記一対の面がいずれも外側に凸に湾曲した所望の形状を容易にかつ安価に得ることができる。
【0007】
従って、本発明によれば、隣接する少なくとも一対の面が外側に凸に湾曲した容器において、新たな形状のものであっても容易にかつ安価に作成することができる。また、上記矯正は、上記外側に凹である面を、上記折り線の少なくとも一部とは平行しない軸を中心に湾曲させて行われる。このため、その湾曲時には折り線近傍に適度な応力が加わり、容器の形状も安定して維持することができる。
【0009】
しかも、本発明では、上記折り線が、板材の面に沿って一方が凸になるように、一定方向に曲がって形成されている。このため、上記板材をその折り線に沿って折り曲げれば、折り線の外側(凸になった側)に配設される面は、自然に外側に凸となるように湾曲する。このため、矯正部材としては、上記折り線の内側(凹になった側)に配設される面に対して外側に凸となるように矯正するものを設ければよい。従って、本発明では、上記効果に加えて、構成を一層簡略化することができるといった効果が生じる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成に加え、
上記矯正部材が滑らかに湾曲した端縁を有し、上記面をその端縁に沿って接着することによって上記矯正を行うことを特徴としている。
本発明では、矯正部材が滑らかに湾曲した端縁を有しており、上記矯正は、矯正すべき面をその端縁に沿って接着することによって行われる。このため、矯正によって得られる湾曲面の形状を所望の形状とすることが、簡単な構成によって実現できる。従って、本発明では、請求項1記載の発明の効果に加えて、構成を一層簡略化すると共に湾曲面を一層所望の形状に近いものとすることができるといった効果が生じる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成に加え、
上記一対の面が、互いに平行または直交する方向に湾曲することを特徴としている。
本発明では、上記一対の面が、互いに平行または直交する方向に湾曲しているので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、その形状を一層安定して維持することができると共に、製造が容易になるといった効果が生じる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、
上記板材が樹脂によって構成されたことを特徴としている。
上記のように矯正部材による矯正を行う際には、板材を変形させる必要が生じる。樹脂は、比較的良好な強度を有するにも拘わらず、比較的弱い力で容易に変形させることができる。本発明では、樹脂によって板材を構成しているので、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、良好な強度を確保すると共に比較的弱い力で容易に製造することができるといった効果が生じる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明が適用された容器としての筐体の一部を構成する正面パネル1の構成を表す斜視図である。図1に示すように、この正面パネル1は、外側に凸に湾曲した第1の面1aと第2の面1bとを隣接して備えると共に、第2の面1bには、図示しない電源スイッチを露出させるためのスイッチ穴3が形成されている。この正面パネル1は、図2に裏面図を示す板材10と、図3(A),(B)に平面図及び側面図を示す矯正部材としての竜骨20とによって、次のように容易にかつ安価に製造することができる。
【0014】
図2に示すように、板材10の裏面(図1に表れた面の裏側)には、板材10を折り曲げることによって第1の面1a,第2の面1bを形成するための折り線としての折り溝11と、他の部材を固定して上記筐体を組み立てるための組立溝12,13,14,15,16と、板材10を外側に凸に湾曲させるための第2の溝17,第1の溝18,第3の溝19とが切削加工によって形成されている。また、板材10には、前述のスイッチ穴3も穿設されている。なお、板材10は、樹脂製の平板に上記溝等を切削加工して容易に得られるものである。また、板材10の表面は平滑に構成されている。
【0015】
折り溝11は、下方が凸になるように板材10の裏面上で一定方向に(下に凸に)曲がって形成され、V字状の断面を有している。また、折り溝11は、板材10の左右両端縁まで貫通している。組立溝12は板材10の下端近傍に水平方向に形成され、組立溝13は折り溝11を挟んで組立溝12と平行に形成され、組立溝14は板材10の上端から少し間隔を開けて同じく水平方向に形成されている。この組立溝12〜14は、矩形の断面を有しており、板材10の左右両端縁に至る手前で途切れている。更に、組立溝15,16も矩形の断面を有し、板材10の左右両端縁近傍で、組立溝13,14を繋ぐように上下方向に形成されている。
【0016】
第2の溝17及び第1の溝18は直線状に連接されると共に、折り溝11と交差するように上下方向に形成され、左右方向に多数平行に並べて配設されている。また、第2の溝17及び第1の溝18は矩形の断面を有しており、組立溝12,13に至る手前で途切れている。第3の溝19は、板材10の上端縁と組立溝14との間に上下方向に形成され、左右方向に多数平行に並べて配設されている。また、第3の溝19も矩形の断面を有しており、板材10の上端縁または組立溝14に至る手前で途切れている。このように、第2の溝17,第1の溝18,第3の溝19はいずれも両端が板材10の端縁や他の組立溝12〜14に至る手前で途切れているので、板材10はこの溝17〜19の配列方向に沿って滑らかに湾曲させることができる(特許第3081205号参照)。
【0017】
一方、折り溝11は前述のように板材10の左右両端縁まで貫通している。このため、板材10はこの折り溝11に沿ってくっきりと折り曲げることができ、これによって第1の面1a及び第2の面1bが得られる。このとき、下側の第2の面1bは第2の溝17の配列方向に沿って自然に外側に凸となるように湾曲するが、上側の第1の面1aには外側に凹となるように湾曲する力が作用する。そこで、正面パネル1では、図3に示す竜骨20を組立溝13に固定することによって、第1の面1aを外側に凸となるように矯正している。
【0018】
図3に示すように、竜骨20は滑らかに凸に湾曲した端縁20aを有しており、その端縁20aの片側から鍔部21が突出している。この鍔部21は、組立溝13に精密に嵌合する幅を有している。そこで、端縁20aに接着剤を塗布し、鍔部21を下側に配設して組立溝13に嵌合させ板材10に接着すれば、図4に示すように、第1の面1aを外側に凸となるように矯正することができる。しかも、第1の面1aの形状は、端縁20aに沿った所望の形状となる。更に、このとき、組立溝15,16とを除いては端縁20aとの対向部に板材10の溝が存在しないので、上記接着は極めて有効に行うことができる。以上の作業により、外側に凸に湾曲した第1の面1a及び第2の面1bを隣接して備えた正面パネル1を、容易にかつ安価に製造することができる。
【0019】
しかも、板材10の形状や折り溝11の形状は、プレス加工や切削加工によって容易にかつ自由に加工することができる。また、これらの加工は射出成形に比べて極めて容易に実施できる。このため、本実施の形態では、新たな形状の容器も容易にかつ安価に作成することができる。
【0020】
なお、本発明は上記実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。但し、上記実施の形態では、面1b側に竜骨20を必要としないので構成を一層簡略化することができる。また、上記実施の形態でも組立溝12(面1b側)や組立溝14にも竜骨20を接着してもよく、その場合、上記湾曲した曲面形状を一層安定して所望の形状にすることができる。
【0021】
また、図5に示す板材110のように、第1の溝18を組立溝13と平行に形成し、板材110をその部分で上下方向に湾曲させてもよい。この場合、図6に示すように、第1の面101aの湾曲方向と第2の面101bの湾曲方向とが互いに直交するように構成された正面パネル101を得ることができる。更に、上記各実施の形態では折り溝11によって折り線を構成しているが、折り線は、短い間隔で連接された穴によって構成してもよい。この穴の形態も、丸穴であっても長丸穴であってもよく、貫通穴であっても非貫通穴であってもよい。
【0022】
また、矯正部材は竜骨20に限定されるものではなく、例えば、板材10の左右両端縁を紐などの構成を介して互いに引き寄せるものであってもよい。更に、本発明は上記実施の形態のように樹脂で構成した容器に限らず、アルミニウム,銅等の金属、または木、合板など、その他の材料によって構成した容器にも適用することができる。但し、樹脂は、比較的良好な強度を有するにも拘わらず、比較的弱い力で容易に変形させることができる。このため、上記実施の形態では、良好な強度を確保すると共に比較的弱い力で容易に製造することができるといった効果が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用された正面パネルの構成を表す斜視図である。
【図2】 その正面パネルを構成する板材の構成を表す裏面図である。
【図3】 その正面パネルを構成する竜骨の構成を表す平面図(A)及び側面図(B)である。
【図4】 その竜骨の作用を表す説明図である。
【図5】 板材の変形例の構成を表す裏面図である。
【図6】 その板材から得られる正面パネルの構成を表す斜視図である。
【符号の説明】
1…正面パネル 1a…第1の面 1b…第2の面 3…スイッチ穴
10…板材 11…折り溝 12,13,14,15,16…組立溝
17…第2の溝 18…第1の溝 19…第3の溝 20…竜骨
20a…端縁 21…鍔部
Claims (4)
- 隣接する少なくとも一対の面が、外側に凸に湾曲した容器であって、
折り線に沿って折り曲げられることにより上記一対の面を形成する1枚の板材と、
該板材の折り曲げによって得られる面の内、外側に凹である面を、上記折り線の少なくとも一部とは平行しない軸を中心に湾曲させてその面を外側に凸となるように矯正する矯正部材と、
を備え、
上記折り線が、上記板材の面に沿って一方が凸になるように、一定方向に曲がって形成されたことを特徴とする容器。 - 上記矯正部材が滑らかに湾曲した端縁を有し、上記面をその端縁に沿って接着することによって上記矯正を行うことを特徴とする請求項1記載の容器。
- 上記一対の面が、互いに平行または直交する方向に湾曲することを特徴とする請求項1または2記載の容器。
- 上記板材が樹脂によって構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
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