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JP3698108B2 - 気密漏れ検査方法及び装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘリウムガス等の漏洩検査媒体(トレーサガス)を用いて、検査対象物の気密漏れ検査を行う方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
検査対象物の微少な気密漏れに対する検査方法には、従来技術として、検査対象物から漏れ出たトレーサガスの量を検出するヘリウムリークディテクタ(ヘリウム漏洩検出器)を用いた検査法がある。この方法としては、図2A及び図2Bに示されるように真空式ヘリウムリーク検査方法とスニファ式ヘリウムリーク検査方法の2つの方法がある。
【0003】
図2Aに示されるように真空式は、排気ポンプ3より排気され真空下にある真空容器2内に検査対象物1を収容し、トレーサガスであるヘリウムを検査対象物1中に加圧封入し、検査対象物1から真空容器2内に漏れ出たヘリウムを検出器(ヘリウムリークディテクタ)4に導入し、ヘリウムの質量分析を利用して検出するという手法である。なお、符号5は検出器4のための排気ポンプ5であり、符号6は、バルブのコントロールやデータを取得するための制御機器である。
しかし、この方法で微少量の漏れを高速、高精度に検出しようとした場合、検査対象物1を真空容器2内に入れ、検査対象物の周囲、即ち真空容器2内を真空化した上で検出器4を接続して使用しなければならない。また、真空容器2の内部は、繰り返し使用時にヘリウムの吸着を可能な限り減らすように面精度の高いものにする必要がある。
【0004】
また、この方法で大型のもの、複雑な形状のものを検査しようとする場合、真空容器2が大型となり、その耐久性や面精度を確保するために多大な労力やコストを必要とするという問題がある。また、検査時間を短縮するためには大容量の真空容器2内をできるだけ短時間で真空引きするために、真空引きのためのポンプを高能力のものにする必要があり、更なるコストアップとなるという問題もある。
更には、この真空式の検査方法を利用するには、検査対象物1の形状は真空容器2に入るものに制限されるという問題がある。
【0005】
一方、もう一つの従来技術である図2Bに示されるスニファ式ヘリウムリーク検査方法は、ヘリウムを加圧封入された検査対象物1は大気下にさらされたままの状態で置かれ、検出器(ヘリウムリークディテクタ))4′に接続されたスニファプローブ7を検査対象物1の外面に当接させて走査し、検査対象物1内部からのヘリウムの漏れを検出するものである。なお、符号5′は検出器4′内を排気するための排気ポンプであり、符号6′は、データ取得等のための外部機器である。
このスニファ式による方法は、検査対象物1の漏れ位置や大雑把な漏れ量を知るには有効な手法であるが、漏れ量の定量化や高精度化の実現は困難であるという問題がある。
【0006】
また、スニファプローブの往復運動の途中が壁や管やワイヤ等で複雑に入り込んだ状態になっている場合には、スニファプローブが検査対象物の検査部近傍にまで近づくことができず、正確な検査ができない。この問題を解決するものとして、特開2001−228045号公報により開示されたリーク検知装置が知られている。この公知のリーク検知装置は、スニファプローブの吸込口を取付手段によって検査対象物の検査部近くに着脱可能に取り付けられるようにしたものである。しかしながら、この装置においても、漏れ位置をかなり正確に特定できるが、漏れ量の定量化や高精度化は達成できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、その目的は、以下のことを一挙に実現するにある。
(1)小型の検査対象物に対する検査、或いは比較的大型の検査対象物であっても検査部位を限定した検査に対して微少量の気密漏れ検査の低コスト化を実現する。
(2)比較的大型又は複雑な形状のものの検査においても、検査対象物全体を真空容器に入れることなく大気下での検査を可能とする。
(3)大気圧下の検査においても従来のスニファ式ヘリウムリークディテクタとは異なり、漏れの定量化、高精度検出を実現する。
(4)気密漏れ検査において、検査対象物に対する制約を緩和する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載の気密漏れ検査方法及び装置を提供する。
請求項1に記載の気密漏れ検査方法は、検査対象物の検査部位を囲むように形成されたカバー内、及び検出器内にそれぞれ独立した気体の定常流れを発生させる初期化段階と、検査対象物内にトレーサガスを加圧封入し、カバーを検査部位に装着する検査前段階と、カバーから吸引された漏れトレーサガスを含む気体を検出器に導入して漏れを計測する計測段階と、計測後に気体の流路系を形成する流路及び機器類をクリーンアップする浄化段階とを具備している。これにより、検査対象物全体を真空容器に入れることなく大気下での検査が可能であると共に、漏れ量の定量化、高精度化が実現できる。
【0009】
請求項2の該方法は、初期化段階におけるカバー内を流れる気体の定常流れと検出器内を流れる気体の別の定常流れとが同一流量となるように調整されるもので、これにより、一層の漏れ量の定量化や高精度化が実現できる。
請求項3の該方法は、流路系を形成している流路及び機器類をクリーンアップする浄化段階が、3つのモードを含んでいるものであり、これによって、流路及び機器類全体が完全にクリーンアップされ、トレーサガスがカバー内や流路及び機器類内に残留することがなく、高精度な計測が可能となる。
【0010】
請求項4の該方法は、トレーサガスの成分が大気中に存在する場合は、漏れがないときの出力と漏れを発生させているときの出力との差分によって計測を行うものであり、これによって、大気中成分の変動の影響を軽減している。
請求項5に記載の気密漏れ検査装置は、請求項1〜4の方法の発明を物の発明である装置発明にしたものであり、その作用効果は、方法の発明と同様である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態の気密漏れ検査方法及び装置について説明する。図1は、本発明の気密漏れ検査装置の全体構成を示す図である。本発明の気密漏れ検査装置は、検査対象物10の検査部位を囲うカバー11、気体の流路を切り替え制御する第1〜第5の複数のバルブ12〜16、検査対象物10から漏れたヘリウムの質量分析を行うヘリウム検出器(ヘリウムリークディテクタ)17、流路内に気体の流れを生み出すための第1と第2の2つの排気ポンプ18,19、流路内の気体の流れを管理するための圧力計20及び流量計21とそれらの出力をもとに流れの状態を制御する圧力制御機器22及び流量制御機器23、検査対象物10内部を真空引きした後にトレーサガス(ヘリウム)を加圧封入するための真空装置(図示せず)と加圧装置(図示せず)、及び装置全体の一連の動作制御やデータ処理等を行うための制御機器24とから構成されている。
【0012】
カバー11は、検査対象物10が小型のものであればその全体を、大型のものであれば検査対象部位だけを囲うことができ、カバー11の一方は検出器17へ通ずる流路へ接続され、他方が大気に開口している。したがって、開口された方から積極的にカバー11内に空気を流すことで、検査対象物10から漏れ出たトレーサガスを逃がさないようにして検出器17に導くことができる。
【0013】
本発明の検査装置においては、第1〜第5のバルブ12〜16を適宜切り替え操作することで、検査対象物10からのトレーサガスの漏れをカバー11からヘリウム検出器17に導入するテスト流路系と、カバー11内の大気の定常流れ及びヘリウム検出器17内の同様な大気の定常流れとを作る二系統の初期流路系と、機器及び流路内のクリーンアップを図る浄化流路系等の流路系を形成することができる。
【0014】
以下、本発明の検査装置の作動について説明する。
まず、検査装置の初期状態においては、第1〜第5のバルブ12〜16は図1のような状態になっており、カバー11から吸引された気体は、第1バルブ12及び第2バルブ13を経由して第1排気ポンプ18から排気される。一方、第2排気ポンプ19によって大気吸引口aされた大気は、第3バルブ14及び第4バルブ15を通り、ヘリウム検出器17を経由して第2排気ポンプ19から排気される。第1及び第2排気ポンプ18,19の手前には、それぞれ流量計21が設けられており、流量制御機23からの指令によって、これら二系統の初期流路系の気体の流量は同じになるように調整されている。初期状態において、このような定常流れを予め作っておくことにより、検査の高精度化、高速化を実現している。
【0015】
検査対象物10からのトレーサガスの漏れ計測時においては、第1バルブ12と第3バルブ14とが図1の状態から切り替え操作され、カバー11から吸引された気体は、第1バルブ12→第3バルブ14→第4バルブ15→ヘリウム検出器17→第2排気ポンプ19という経路で流れる。このとき、検査対象物10にトレーサガス(ヘリウム)を封入する前であれば、周囲の環境の大気中のヘリウム量を計測し、検査対象物10にトレーサガスを加圧封入後であれば、大気中のヘリウムに加えて検査対象物10からの漏れによるヘリウム量を計測することになる。このときも、気体の流量は初期状態のときと同じになるように調整されている。
【0016】
計測後の機器及び流路内のクリーンアップと復帰動作は3モードある。
まず、第1モードでは第1〜第5のバルブ12〜16を初期状態(図1の状態)に戻してカバー11から第1バルブ12及び第2バルブ13を経て第1排気ポンプ18に至る流路と、カバー11内部とに残留したヘリウムを取り除き空気置換する。このとき同時に検査対象物10からトレーサガスであるヘリウムを減圧し回収する。更に、もう一方の大気吸引口aから第3バルブ14と第4バルブ15及びヘリウム検出器17を経て第2排気ポンプ19に至る流路と、検出器17内部の分析管内部との残留ヘリウムを取り除き空気置換する。
【0017】
第2モードでは、第1〜第4バルブ12,13,14,15を図1の状態から切り替えて、カバー11から第1バルブ12→第3バルブ14→第4バルブ15→第2バルブ13を経由して第1排気ポンプ18に至る流れを作り、第1、第3バルブ12,14間及び第3、第4バルブ14,15間の流路内の残留ヘリウムを取り除き空気置換する。また、同時に第5バルブ16を図1の状態から切り替えて、大気吸引口bから第5バルブ16、ヘリウム検出器17を経由して第2排気ポンプ19に至る流れを作り、ヘリウム検出器17内のヘリウム除去を継続するとともに、流路が閉塞して第4バルブ15とヘリウム検出器17間が真空引きされることにより、第4バルブ15や流路内に吸着しているヘリウムを吸い出してしまうことを防いでいる。
【0018】
第3モードでは、計測時と同様に第1バルブ12及び第3バルブ14のみを図1の状態から切り替える。これにより、第4バルブ14とヘリウム検出器17の間に残留したヘリウムを取り除くことができる。ただし、このとき検出器17の分析管内に再度ヘリウムが導入される場合があるので、復帰動作は上述した第1モードから第3モードまでを数回繰り返す。
【0019】
制御機器24のデータ処理部では検出器17からの出力を随時モニタし、大気中のヘリウム量の値と大気中のヘリウムと漏れヘリウムとの加算量の値とから漏れ量の演算を行ったり、大気中のヘリウム量の値から周辺環境を監視したり、検査装置のクリーンアップ状態の監視などを行う。
【0020】
なお、以上の説明においては、トレーサガスとしてヘリウムを使用する場合について説明しているが、トレーサガスとしてはヘリウムに限らず炭酸ガスやメタン等も使用可能である。また、検出器もヘリウムリークディテクタのような質量分析を使ったものに限らず、他の検出器も使用可能である。即ち、炭酸ガスやメタン等のトレーサガスを使用し、レーザ光の吸収を検出するなど、他のガスと検出法の組み合わせによることも可能である。
【0021】
以上説明したように、本発明においては、小型の検査対象物に対する検査、或いは比較的大型の検査対象物であっても、検査部位を限定した検査に対して検査対象物全体を真空容器に入れることなく大気下での検査が可能となるので、検査が低コストとなる。
また大気圧下の検査において従来のスニファ式ヘリウムリークディテクタとは異なり、テスト流路系とは別系統の流路系で予めカバー内に気体の定常流れを作り出しておき、検査時にその流れを検出器に導くことができる構造となっていること、及び検査前後の余分なトレーサガスがカバー内や流路内に残留するのを防止できる構造となっていることから、漏れ量の定量化や高精度化が可能となり、安定した検査ができ、製品の品質が安定する。
また、トレーサガスの成分が大気中に存在する場合は、漏れがないときの出力と漏れを発生させているときの出力との差分を検査毎に調べることによって、大気中成分の変動の影響を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の気密漏れ検査装置の全体構成を示す図である。
【図2】(a)は、従来の真空式ヘリウムリーク検査方法を、(b)は、従来のスニファ式ヘリウムリーク検査方法を説明する図である。
【符号の説明】
10…検査対象物
11…カバー
12〜16…第1〜第5バルブ
17…(ヘリウム)検出器
18,19…第1、第2排気ポンプ
20…圧力計
21…流量計
22…圧力制御機器
23…流量制御機器
24…制御機器

Claims (5)

  1. 検査対象物中にトレーサガスを加圧封入し、該検査対象物からのトレーサガスの漏れを検査する気密漏れ検査方法において、この方法が、以下の各段階、
    (1)前記検査対象物の検査部位を囲むように形成され、一方が大気に開放され、他方が流路に接続しているカバー内に、第1排気ポンプにより気体の定常流れを発生する第1の流路系と、この第1の流路系とは独立していて、大気吸引口から大気を吸引して検出器を経由して第2排気ポンプより排出する大気の流れを発生する第2の流路系とを形成する初期化段階と、
    (2)前記検査対象物内にトレーサガスを加圧封入すると共に、前記カバーを前記検査対象物の検査部位を囲むように装着する検査前段階と、
    (3)漏れ計測時に、前記第2排気ポンプにより前記カバーから吸引された漏れトレーサガスを含む気体を前記検出器に導入する流路系に切り替えて、前記検査部位からの漏れを計測する計測段階と、
    (4)計測後に、気体の流路系を形成する流路及び機器類をクリーンアップする浄化段階と、
    を具備することを特徴とする気密漏れ検査方法。
  2. 前記初期化段階において、前記第1の流路系と前記第2の流路系とを流れる気体の流量が同じになるように調整されることを特徴とする請求項1に記載の気密漏れ検査方法。
  3. 前記浄化段階が、前記初期化段階の2つの独立した前記第1と第2の流路系を形成し、それぞれの流路系を形成する流路及び機器類をクリーンアップする第1モードと、前記第1排気ポンプにより、計測時の流路系の一部流路と機器類とをクリーンアップする流路系と、この流路系とは独立し、前記第2排気ポンプにより別の大気吸引口から大気を吸引して前記検出器をクリーンアップする流路系とを形成する第2モードと、計測時の流路系を形成して、残余の流路をクリーンアップする第3モードとの3つのモードを含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の気密漏れ検査方法。
  4. トレーサガスの成分が大気中に存在する場合は、前記計測段階が、漏れがないときの前記検出器の出力と漏れが発生しているときの前記検出器の出力の差分によって計測を行っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の気密漏れ検出方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の気密漏れ検査方法を実施するための気密漏れ検査装置が、
    カバー(11)から第1バルブ(12)、第2バルブ(13)を通って第1排気ポンプ(18)から排気される第1の流路系と、
    大気吸引口(a)から第3バルブ(14)、第4バルブ(15)を通りヘリウム検出器(17)を経て第2排気ポンプ(19)から排気される第2の流路系と、
    前記カバー(11)から前記第1バルブ(12)、前記第3バルブ(14)、前記第4バルブ(15)を通り前記ヘリウム検出器(17)を経て前記第2排気ポンプ(19)から排気されるヘリウムによるテスト流路系と、
    前記カバー(11)から前記第1バルブ(12)、前記第3バルブ(14)、前記第4バルブ(15)および前記第2バルブ(13)を通って前記第1排気ポンプ(18)から排気される浄化流路系と、
    大気吸引口(b)から第5バルブ(16)を通り前記ヘリウム検出器(17)を経て前記第2排気ポンプ(19)から排気される別の浄化流路系と、
    を有していて、これらの流路系が前記第1〜第5バルブの切り替え操作により確立されることを特徴とする気密漏れ検査装置。
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