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JP3700606B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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JP3700606B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は車両用制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11-146503号は、シリーズ型のハイブリッド車両における効率向上を狙いとして、車両走行状態に基づき必要な電力を発電する技術が開示されている。走行状態の変化に伴い電動機の出力は時々刻々変化するが、その出力変化に対応して過不足なく電力をリアルタイムに発電機から供給することができれば、バッテリにおける電力損失を最小限にとどめ、エンジンの出力を効率良く電動機へ伝達することができる。
【0003】
【発明が解決しようとしている問題点】
上記車両においては、電動機で使用する電力をリアルタイムに発電機から供給し、バッテリの充放電を最小限にすることにより、電力損失を低減できるだけでなく、バッテリ搭載容量を最小限にすることができる。バッテリはハイブリッド車両において大きなコスト及び重量割合を占めているため、それを小型化することができれば、コストだけでなく燃費や動力性能まで大きな効果が得られる。
【0004】
しかし、その一方で、バッテリ搭載容量を小さくすると次のような問題が生じる。すなわち、車両が加速時のように電動機が力行している場合には上記のとおりに発電機から必要な電力をリアルタイムに供給すればよいが、減速時に電動機で電力を回生する場合、バッテリが小さいとこの回生電力を全て蓄えることができなくなるという問題がある。
【0005】
そこで、特開平8-79914号では、減速時に回生電力が余剰となる場合に、発電機を力行させてエンジンを回転させることにより電力が消費されるようにし、バッテリが過充電になることを防止している。
【0006】
しかしながら、特開平8-79914号には、減速時における発電機の出力指令を走行用モータの回生制動電力と一致させる旨の記載があるものの、発電機と走行用モータをどのように制御してそれを実現するか開示されていない。燃料カット時は、燃料噴射量(あるいは吸入空気量)によるエンジントルクの制御ができないので、これを考慮した発電機と走行用モータの制御が必要であり、この制御が適切に行われないと、燃料カット時に電力収支のバランスが崩れ、バッテリの充電状態が適正値からずれてしまう。
【0007】
本発明は、かかる技術的課題を鑑みてなされたもので、減速時(燃料カット時)における発電機の出力指令(消費電力)を走行用モータの回生制動電力と一致させる具体的な制御内容を提示することを目的とする。
【0008】
【問題点を解決するための手段】
第1の発明は、エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段とを備え、目標発電機回転速度算出手段が、燃料カット時、前記目標電動機回生電力を前記エンジンブレーキトルクで除して目標発電機回転速度を算出することを特徴とするものである。
【0010】
の発明は、エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、車両の目標駆動力を前記車両運転条件に基づき算出する手段と、前記電動機のトルクを前記目標駆動力に基づき制御する手段とを備え、前記目標駆動力を算出する手段が、燃料カット中か否かに応じて前記目標駆動力の算出に使用するマップを切り換えることを特徴とするものである。
【0011】
の発明は、エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、前記電動機の効率を算出する手段と、前記発電機の効率を算出する手段と、燃料カット時、前記電動機及び発電機の効率が低いほど燃料カット時の減速度が大きくなるように前記目標駆動力を前記電動機効率及び発電機効率に基づき補正する手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
の発明は、エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、非燃料カット時に対応した前記発電機の目標回転速度を算出する手段とを備え、前記目標発電機回転速度算出手段は、前記燃料カット時の目標発電機回転速度が前記非燃料カット時に対応した目標発電機回転速度よりも小さいときは前記非燃料カット時に対応した目標発電機回転速度を前記発電機の目標回転速度とすることを特徴とするものである。
【0013】
【作用及び効果】
したがって、上記車両においては、減速時、車両駆動用の電動機を発電機として機能させて電力の回生が行われ、回生された電力が発電機の力行により消費されるがそのときの運転条件に基づき推定されるエンジンブレーキトルクと電動機の目標回生電力とに基づき発電機の目標回転速度が設定されるので、発電機の回転速度を適切に制御し、かつ必要十分な電力だけを発電機の力行により消費することができる。発電機の目標回転速度は、例えば、推定したエンジンブレーキトルクで電動機の目標回生電力を除することにより算出することができる(第の発明)。これにより、減速時(燃料カット時)においても電動機と発電機とで電力収支を一致させることができ、電力回生を行っているにもかかわらずバッテリから発電機に電力を供給する必要が生じたり、バッテリが過充電状態になったりするのを防止できる。
【0014】
また、第3の発明によれば、前記電動機及び発電機の効率が低いほど燃料カット時の減速度が大きくなるよう燃料カット時の目標駆動力が前記電動機及び発電機の効率に基づき補正されるので、燃料カット時に運転者に与える減速感を従来のガソリンエンジン搭載車両と同様のものとすることができる。また、発電機の力行により適切に余剰電力を消費しながらも発電機回転速度の変動を生じないので電力変動を抑制でき、バッテリへの負荷を極力低減することができる。
【0016】
さらに、第の発明によれば、発電機の目標回転速度が変動するのが抑えられるので、燃料カット移行時に一時的に回転が低下することを防止でき、発電機の回転変動を小さくすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は本発明が適用される車両のシステム構成図である。この車両では、従来の機械式変速機に代えて、無段変速機として機能する電気パワートレイン5がエンジン1に接続されている。電気パワートレイン5は、主に発電機として使用される第1の回転電機(以下、発電機)2と主に電動機として使用される第2の回転電機(以下、電動機)4とで構成される。発電機2のロータ軸がエンジン1のクランク軸に連結され、電動機4のロータ軸(以下、出力軸)6は減速機を介して駆動軸(駆動輪が取付けられる回転軸)に連結される。
【0019】
発電機2、電動機4は永久磁石式交流同期モータ等の交流機であり、それぞれインバータ8に接続されている。発電機2、電動機4の回転速度はインバータ8の駆動周波数に応じて制御され、インバータ8の駆動周波数の比が電気パワートレイン5の入出力軸の回転速度比(変速比)となる。インバータ8にはさらにバッテリ9(リチウムバッテリあるいはニッケル水素バッテリ等)が接続されている。
【0020】
発電機2と電動機4の間にはクラッチ3が介装されており、このクラッチ3が締結されるとエンジン1と出力軸6が直結状態となってエンジン1で直接出力軸6を駆動することができる。クラッチ3は例えば電気パワートレイン5の発電機回転速度と電動機回転速度が一致したときに締結され、発電機2と電動機4における損失を抑制して車両の燃費性能を向上させることができる。
【0021】
また、電気パワートレイン5には、発電機2のロータ回転速度(以下、発電機回転速度)Niを検出する発電機回転速度センサ24と、電動機4のロータ回転速度(以下、電動機回転速度)Noを検出する電動機回転速度センサ21とが取付けられている。
【0022】
一方、エンジン1の吸気通路には電子制御式スロットル装置14が設けられており、スロットル開度は必要とされる発電電力に応じて設定される目標エンジントルクが実現されるよう運転者のアクセル操作とは独立して制御される。エンジン1にはこの他、吸入空気量を検出するエアフローメータ13、クランク角を検出するクランク角センサ23が設けられている。
【0023】
統合コントロールユニット(GCU)10は、基本的には、アクセル操作量センサ22によって検出されたアクセル操作量等に基づき運転者が要求する駆動力を求め、要求駆動力が実現されるようにトランスミッションコントロールユニット(TCU)12を介して電動機4のトルク制御を行う。また、電動機4の駆動出力(消費電力)に見合った発電電力が得られるようにトランスミッションコントロールユニット12を介しての発電機2の回転速度制御及びエンジンコントロールユニット(ECU)11を介してのエンジン1のトルク制御も併せて行う。
【0024】
さらに、統合コントロールユニット10は、車両減速時(燃料カット時)は、電動機4を発電機として機能させることにより電力を回生し、さらにこの回生電力を発電機2を電動機として力行させることによって消費し、減速時においても電力収支をバランスさせる。
【0025】
図2は、統合コントロールユニット10が行う車両制御の内容を示したブロック図である。
【0026】
これについて説明すると、ブロックB1ではアクセルペダル操作量APO[deg]と車速VSP[km/h]とに基づき、目標駆動力tFd0[N]が算出される。目標駆動力tFd0は、具体的には、アクセルペダル操作量APOと車速VSPに従って所定の目標駆動力マップを参照して算出される。駆動力マップはエンジンに燃料を供給している状態に合わせて設定してある。アクセルペダル操作量APOはアクセル操作量センサ22で検出され、車速VSPは電動機回転速度21センサで検出した電動機4の回転速度No[rpm]に定数G1を乗じて算出される。車両の駆動輪の半径をr[m]、電動機4の出力軸から駆動輪軸までの減速比をRとしたとき、定数G1はG1=2×π×r×60/(R×1000)により計算される値である。
【0027】
ブロックB2では目標駆動力tFd0[N]に車速VSP[m/s]を乗じて目標電動機出力tPo00[W]が算出される。車速VSPは電動機回転速度センサ22で検出した電動機回転速度No[rpm]に定数G2を乗じて算出される。定数G2はG1=2×π×r/(R×60)により計算される値である。
【0028】
ブロックB3では目標電動機出力tPo00[W]にフィルタ処理が施される。このフィルタ処理は電動機4の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行われる。
【0029】
ブロックB4では車速VSP[km/h]に基づき燃料カット時の目標駆動力tFd_d[N]が算出される。具体的には、車速VSPに従って燃料カット時目標駆動力テーブルを参照して燃料カット時目標駆動力tFd_dが算出される。燃料カット時目標駆動力tFd_dは極低車速の範囲を除き負の値(車両が電動機4を駆動することを示す)に設定される。
【0030】
ブロックB5では、燃料カット時目標駆動力tFd_d[N]に車速VSP[m/s]を乗じて燃料カット時の目標電動機回生電力tPo_d[W]が算出される。燃料カット時目標電動機回生電力tPo_dは、電動機4の回生出力(=電動機4の回生駆動により単位時間当たりに消費される車両の運動エネルギー)の目標値を表す。
【0031】
ブロックB6では、燃料カット判定フラグfFCUTに基づいて目標電動機出力の選択が行われ、フラグfFCUTがゼロ(非燃料カット)のときはフィルタ処理後の目標電動機出力tPo0[W]が選択され、フラグfFCUTが1(燃料カット)のときは燃料カット時の目標電動機回生出力tPo_d[W]が選択される。
【0032】
なお、フラグfFCUTは、図3に示すように、アクセルペダルが全閉(アクセル操作量APOが略ゼロ)であるか否かをヒステリシス付きで判定するとともに(ブロックB41)、車速が所定車速以上であるか否かをヒステリシス付きで判定し(ブロックB42)、両判定結果をAND処理(ブロックB43)することによって設定される。
【0033】
ブロックB7ではブロックB6で選択された目標電動機出力を電動機回転速度No[rad/s]で除し、目標電動機トルクtTo[Nm]が算出される。電動機回転速度No[rad/s]は電動機回転速度センサ21で検出した電動機回転速度No[rpm]に定数G3(=2×π/60)を乗じて算出される。
【0034】
算出された目標電動機トルクtToはトランスミッションコントロールユニット12に送られ、目標電動機トルクtToに基づき電動機4のトルクが制御される。特に、目標電動機トルクtToが負の値である場合、トランスミッションコントロールユニット12は電動機4の回生トルクを制御することになる。
【0035】
ブロックB8では電動機回転速度No[rpm]と目標電動機トルクtTo[Nm]とに基づき電動機効率EFFmが算出される。ブロックB9では目標電動機出力tPo00[W]を電動機効率EFFmで除し、電動機4の消費電力tPg[W]が算出される。燃料カットが行われない場合は、電動機4が消費する電力を過不足なく発電機2で発電するダイレクト配電を行うので、電動機消費電力tPgは発電機2の目標発電電力を表している。
【0036】
ブロックB10では、発電機回転速度Ni[rpm]とエンジントルクとに基づき、発電機効率EFFgが算出される。発電機回転速度Niは発電機回転速度センサ24で検出される。また、エンジントルクの値としては、後述するブロックB22の出力(目標エンジントルクtTe[Nm])にブロックB11で所定の遅れ処理を施した値、あるいは後述するブロックB19の出力(エンジンブレーキトルクTe_d[Nm])の何れかをブロックB12で選択した値が使用される。
【0037】
ブロックB12では燃料カット判定フラグfFCUTがゼロ(非燃料カット)のときブロックB11の出力が、フラグfFCUTが1(燃料カット)のときブロックB19の出力が選択される。
【0038】
ブロックB13では目標発電機発電電力tPg[W]を発電機効率EFFgで除し、発電機回生出力tPe[W]が算出される。発電機2はエンジン1によって駆動されるので、tPeは目標エンジン出力を表している。ブロックB14では目標エンジン出力tPe[W]を車速VSP[m/s]で除し、第2目標駆動力tFd[N]が算出される。
【0039】
ブロックB15では、この第2目標駆動力tFd[N]と車速VSP[km/h]とに基づき、目標発電機回転速度tNi0[rpm]が算出される。具体的には、第2目標駆動力tFdと車速VSPに従って所定の出力配分マップを参照することにより目標発電機回転速度tNi0が算出される。
【0040】
ここで出力配分マップは、例えば図4のようになっている。これは例えば以下の考え方に基づいて定めることができる。図5、図6は、車速及びアクセル操作量に応じてエンジンの運転点を定める方法(出力配分を定める方法)の基本的な考え方を示したものである。
【0041】
運転者が加速しようとしてアクセルペダルを踏み増していった場合、車両の出力すなわち電動機4の出力はそれに応じて上昇する(図5)。そして、同じ出力をエンジン1から発生する場合、それぞれの出力に対して最も燃費が良くなる運転点をトレースするように、力行時の出力配分(エンジン及び発電機のトルクと回転速度の組み合わせ)を定めることができる(図6)。
【0042】
一方、アクセル全閉時は、エンジン回転速度に応じてエンジントルクは決まっているので、この場合は出力配分の設定方法に自由度は無く、電動機4の出力に応じてエンジントルクとエンジン回転速度の組み合わせは一義的に決まる。
【0043】
このようにして求めた、電動機出力に応じて求められる目標発電出力と目標発電機回転速度の例を図7に示す。最良燃費線やアクセル全閉時トルク線は一通りしかないので、燃費のみを考慮して出力配分を決めるのであれば、図7に示す関係を用いて目標発電出力から目標発電機回転速度を定めることができる。
【0044】
ただし、出力が等しくても、車速が低い領域ではあまりエンジントルクを大きな設定にしてしまうと音振性能が悪化するような場合、このような領域では回転をある程度高くしたいという要求がある。そこでこの様な要求に対応できるよう、車速に応じた設定の自由度を持たせる構成として、本例では出力配分を車速と駆動力に応じたマップとしている。図4は図7の関係を単純にマップへ置き換えたものである。
【0045】
以上のようにして図4に示すような出力配分マップが設定され、出力配分マップもエンジンが燃料カット状態あるいは燃料供給状態に応じて設定される。
【0046】
図2に戻り、ブロックB16では目標発電機回転速度tNi0[rpm]にフィルタ処理が施される。このフィルタ処理は、発電機2の見かけ上の制御応答速度を遅くするために行われる。このフィルタ処理はブロックB3のフィルタ処理と同じものである。
【0047】
ブロックB17では燃料カット時の目標駆動力tFd_d[N]に電動機効率EFFmを乗じて、燃料カット時の電動機4の発電電力(回生電力)tPg_d[W]が算出される。燃料カット時は、電動機4が回生した電力が過不足なく発電機2で消費されるので、tPg_dは燃料カット時の目標発電機消費電力でもある。
【0048】
ブロックB18ではこの目標発電機消費電力tPg_d[W]に発電機効率EFFgを乗じ、燃料カット時の発電機出力tPe_d[W]が算出される。燃料カット時は、発電機2がエンジン1を回転駆動するので、tPe_dは燃料カット時の目標エンジンブレーキ出力を表す。
【0049】
ブロックB19では発電機回転速度Ni[rpm](=エンジン回転速度)に基づき、燃料カット時のエンジンブレーキトルクTe_d[Nm]が算出される。具体的には、Niに従ってエンジンプレーキトルクテーブルを参照してTe_dが設定され、Te_dは負の値に設定される。Te_dが負の値ということは発電機2がエンジン1を駆動することを示す。
【0050】
ブロックB20では燃料カット時の目標エンジンブレーキ出力tPe_d[W]を燃料カット時のエンジンブレーキトルクTe_d[Nm]で除し、燃料カット時の目標発電機回転速度tNi_d[rad/s]が算出される。
【0051】
ブロックB21では燃料カット判定フラグfFCUTに基づいて最終的な目標発電機回転速度tNifが選択される。フラグfFCUTがゼロ(非燃料カット)のときはフィルタ処理後の目標発電機回転速度tNi[rpm]が、フラグfFCUTが1(燃料カット)のときは定数G4(=1/G3)を用いて単位換算した燃料カット時の目標発電機回転速度tNi_d[rpm]が最終的な目標電動機回転速度tNifとして選択される。
【0052】
そして、この最終的な目標発電機回転速度tNifはトランスミッションコントロールユニット12に送られ、このtNifに基づき発電機2の回転速度が制御される。
【0053】
一方、ブロックB22では、目標エンジン出力tPe[W]を発電機回転速度Ni[rad/s]で除し、目標エンジントルクtTe[Nm]が算出される。発電機回転速度Ni[rad/s]は発電機回転速度センサ24で検出した発電機回転速度Ni[rpm]に定数G3を乗じて算出される。
【0054】
算出された目標エンジントルクtTeはエンジンコントロールユニット11に送られ、目標エンジントルクtTeに基づきエンジン1のトルクが制御される。具体的には、電子制御式スロットル装置14のスロットル開度が制御され、エンジン吸入空気量が調整される。ただし、燃料カット判定フラグfFCUTが1の場合はエンジン1への燃料供給がカットされるので、この場合エンジン1のトルク制御は中断される。
【0055】
なお、非燃料カット時のエンジントルクはスロットル開度制御に対して所定の遅れを持って追随するのが一般的であることから、ブロックB3やブロックB12のフィルタ処理はこのようなエンジンの応答遅れに電動機や発電機の制御を同期させるために施されている。これに対し、燃料カット時のエンジンブレーキトルクには上記のような遅れがないので、燃料カット時の目標電動機出力や目標発電機回転速度にはフィルタ処理を施していない。
【0056】
上記制御を行うことにより、燃料カット時の電動機4によって回生された電力と発電機2を力行させることによる消費電力とを一致させることができ、減速時においても電力収支をバランスさせてバッテリ充電状態(SOC)の変動を抑制することができる(図10(a)、(b)のSOCの欄参照)。
【0057】
続いて本発明の第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態は第1の実施形態を改良したものである。
【0058】
上記第1実施形態では、燃料カット時、目標駆動力テーブルに設定されたtFd_dに応じた減速度で車両を減速させることができる。しかし、第1の実施形態では、減速に伴う回生出力を電動機4と発電機2の効率分だけ小さくしたものが発電機出力(目標エンジンブレーキ出力)となるので、このときの目標発電機回転速度Ni_dは低速側となる傾向にあり、燃料カット時に発電機及びエンジンの回転速度の低下を招きやすい(図10(b)のNiの欄参照)。
【0059】
そこで、この第2の実施形態では、電動機4と発電機2の効率に基づき燃料カット時の目標駆動力tFd_dの絶対値が大きくなるように補正し、燃料カット移行時の発電機回転速度(エンジン回転速度)の低下を防止する(図11(a)のNiの欄参照)。
【0060】
図8は第2実施形態における統合コントロールユニット10の制御ブロック図である。
【0061】
先の実施形態と同じ部分には同じ引用番号を付し、異なる部分についてのみ説明すると、ブロックB30では、車速VSP[km/h]に基づき、燃料カット時の目標駆動力の基本値tFd_d0[N]が算出される。
【0062】
ブロックB31では燃料カット時の目標駆動力の基本値tFd_d0[N]に車速VSP[m/s]を乗じて燃料カット時の目標エンジンブレーキ出力(発電機出力)tPe_d[W]が算出される。
【0063】
ブロックB32では燃料カット時の発電機出力tPe_d[W]を発電機効率EFFgで除し、燃料カット時の発電機要求電力(=目標電動機発電電力)tPg_dが算出される。
【0064】
ブロックB33ではtPg_d[W]を電動機効率EFFmで除し、燃料カット時の目標電動機回生出力tPo_d[W]が算出される。
【0065】
上記処理によれば、燃料カット時の車両減速度は燃料カット時の目標駆動力テーブルにより設定されたtFd_d0相当の減速度より大きくなり、減速度は発電機効率EFFg、電動機効率EFFmが低くなるほど大きくなるが、これは通常のガソリンエンジン車でトランスミッションのフリクションが大きいほどアクセルペダルを戻して減速する際の減速度が大きくなることに対応する。
【0066】
続いて本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は第1あるいは第2の実施形態を改良したものである。
【0067】
上記第1、第2の実施形態では、燃料カット移行直後に発電機回転速度(エンジン回転速度)が一時的に変動する(図10(b)、図11(a)のNiの欄参照)。これはブロックB19のエンジンブレーキトルクテーブルがエンジン回転速度(=発電機回転速度)に対して割り付けてあることによる。
【0068】
例えば、現在の回転速度に基づきエンジンブレーキトルクTe_dを求め、このTe_dに基づいて目標発電機回転速度Ni_dを求めた場合に、それが現在の発電機回転速度Niよりも高いとその新しい目標値Ni_dに発電機回転速度が調整されるが、その調整後の回転速度に応じたTe_dが前回のTe_dよりも大きな値になり、これに基づく新しい目標発電機回転速度が最初の値よりも低くなると、今度は発電機回転速度の目標値が低下することになる。このような回転速度の変動は計算が収束するまで数回繰り返される。
【0069】
図9は第3の実施形態における統合コントロールユニット10の制御ブロック図であり、第2の実施形態を改良したものである。
【0070】
この第3の実施形態では、第2の実施形態と異なり、上記発電機回転速度の変動を極力低減するために、出力配分マップから求めた目標発電機回転速度tNi(非燃料カット時に対応した目標発電機回転速度)と、燃料カット時の目標発電機回転速度tNi_dのうち大きいほうを減速時の最終的な目標発電機回転速度として選択するブロックB40がブロックB20の後段に設けられている。これにより、目標発電機回転速度の変動が抑えられ、図11(b)のNiの欄に示すように、目標発電機回転速度の変動を防止することができ、結果として上記計算をすみやかに収束させることができる。
【0071】
なお、ここでは第3の実施形態を第2の実施形態の改良として説明したが、第1の実施形態のブロックB20の後段にブロックB40を追加し、発電機回転速度の変動を抑えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される車両のシステム構成図である。
【図2】統合コントロールユニットの制御内容を示すブロック図である。
【図3】燃料カット判定処理の内容を示すブロック図である。
【図4】出力配分マップの一例である。
【図5】出力配分を定める方法を説明するための図である。
【図6】同じく出力配分を定める方法を説明するための図である。
【図7】目標発電量と目標発電機回転速度の関係を示したテーブルである。
【図8】第2の実施形態を示すブロック図である。
【図9】第3の実施形態を示すブロック図である。
【図10】本発明の作用を説明するためのタイムチャートであり、(a)は本発明を適用しない場合の作用、(b)は第1の実施形態の作用を示す。
【図11】本発明の作用を説明するためのタイムチャートであり、(a)は第2の実施形態の作用、(b)は第3の実施形態の作用を示す。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
4 電動機
9 バッテリ
10 統合コントロールユニット(GCU)
11 エンジンコントロールユニット(ECU)
12 トランスミッションコントロールユニット(TCU)
14 電子制御式スロットル装置
21 電動機回転速度センサ
22 アクセル操作量センサ
23 クランク角センサ
24 発電機回転速度センサ

Claims (4)

  1. エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、
    燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
    燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、
    燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、
    燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、
    を備え
    前記目標発電機回転速度算出手段は、燃料カット時、前記目標電動機回生電力を前記エンジンブレーキトルクで除して目標発電機回転速度を算出することを特徴とする車両制御装置。
  2. エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、
    燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
    燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、
    燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、
    燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、
    車両の目標駆動力を前記車両運転条件に基づき算出する手段と、
    前記電動機のトルクを前記目標駆動力に基づき制御する手段と、
    を備え、
    前記目標駆動力を算出する手段は、燃料カット中か否かに応じて前記目標駆動力の算出に使用するマップを切り換えることを特徴とする車両制御装置。
  3. エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、
    燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標 電動機回生電力算出手段と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
    燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、
    燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、
    燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、
    前記電動機の効率を算出する手段と、
    前記発電機の効率を算出する手段と、
    燃料カット時、前記電動機及び発電機の効率が低いほど燃料カット時の減速度が大きくなるように前記目標駆動力を前記電動機効率及び発電機効率に基づき補正する手段と、
    を備えたことを特徴とする車両制御装置。
  4. エンジンと、前記エンジンの出力軸に連結された発電機と、車両の駆動軸に連結された電動機と、前記発電機及び前記電動機に接続されるバッテリとを備えた車両の制御装置において、
    前記車両の運転条件を検出する運転条件検出手段と、
    前記エンジンが燃料カット中か否かを前記運転条件に基づき判定する燃料カット判定手段と、
    燃料カット時における前記電動機の目標回生電力を前記運転条件に基づき算出する目標電動機回生電力算出手段と、
    前記エンジンの回転速度を検出するエンジン回転速度検出手段と、
    燃料カット時のエンジンブレーキトルクを前記エンジン回転速度に基づき算出するエンジンブレーキトルク算出手段と、
    燃料カット時の前記発電機の目標回転速度を前記目標電動機回生電力と前記エンジンブレーキトルクとに基づき算出する目標発電機回転速度算出手段と、
    燃料カット時、前記電動機の回生トルクを前記目標電動機回生電力に基づき制御すると共に、前記発電機の回転速度を前記目標発電機回転速度に基づき制御する制御手段と、
    非燃料カット時に対応した前記発電機の目標回転速度を算出する手段と、
    を備え、
    前記目標発電機回転速度算出手段は、前記燃料カット時の目標発電機回転速度が前記非燃料カット時に対応した目標発電機回転速度よりも小さいときは前記非燃料カット時に対応した目標発電機回転速度を前記発電機の目標回転速度とする、
    ことを特徴とする車両制御装置。
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