JP3700935B2 - 嫌気性処理方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種工場、下水、し尿、畜産業施設等より排出される有機性の固形廃棄物等を対象とし、これを無害化する嫌気性汚泥床処理方法及び装置に関し、更に詳しくは、特に、ガス・液・固分離部(以下、「GSS部」とも記す)を多段に有する上向流嫌気性汚泥床処理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物を処理するメタン発酵処理法は、活性汚泥法等の好気性処理に比べると曝気のためのエネルギーが不要であり、余剰汚泥の発生量が少なく、発生するバイオガスからエネルギーを回収できるため、省エネルギーの点で優れている。しかし、メタン生成菌又はメタン発酵菌は増殖量が少なく、沈降性が悪いので微生物が処理水とともに流出しやすい。そのため、メタン発酵処理に用いる発酵槽内の微生物濃度を上げることが困難であった。さらに、コストや敷地等の面で問題点を抱えていた。
【0003】
微生物濃度の高い高効率型の発酵槽として、上向流嫌気性汚泥床法(以下、「UASB」とも記す)がある。これは近年普及してきた方法で、メタン菌等の嫌気性菌をグラニュール状に造粒化することにより、リアクター内のメタン菌の濃度を高濃度に維持できるという特徴があり、その結果、廃水中の有機物の濃度が相当高い場合でも効率よく処理できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物を対象とした従来のUASB処理法(図2)には、いまなお、以下に示すような課題がある。
(イ)有機性固形分を含む廃水を処理するとリアクター内に固形分が堆積し、グラニュール汚泥が処理水とともに流出し、処理性能が低下する。
(ロ)GSS部内部でスカムを形成し、発生ガスの捕集が困難となる。とりわけ、負荷が低く、発生ガス量が少ない場合には、発生ガスによるスカムの破壊・除去作用が小さく、スカムを形成しやすい。
(ハ)前記(ロ)の結果、GSS部での発生ガスを捕集し、排出する効果を失い、汚泥の多大な流出を招き、処理悪化の原因となる。
【0005】
このような実情に鑑み、本発明は、廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物を対象とした、高性能な上向流嫌気性汚泥床処理方法及び装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に記載する手段によって前記課題を解決した。
(1)有機性廃棄物を嫌気処理する方法において、装置本体側壁との角度が35度以下、かつ各占有面積が装置断面積の2分の1以上となる邪魔板により形成されるガス・液・固分離部を多段に有する上向流嫌気性汚泥床処理装置を用い、かつ、流入する有機性廃棄物を粉砕し、平均粒径200μm以下のスラリーとして供給し、更に、有機性廃棄物を含む被処理水を直接、もしくは希釈して、処理を行うことを特徴とする嫌気性処理方法。
【0007】
(2)被処理水に消泡剤を添加することにより、前記ガス・液・固分離部内部での発泡及びスカムの形成を防止することを特徴とする前記(1)記載の嫌気性処理方法。
(3)装置内に酸素を含有しない空気を吹き込み、汚泥層の攪拌及びガス・液・固分離部内部でのスカムの形成を防止し、かつ、装置内に吹き込まれた酸素を含有しない気体をガス・液・固分離部より排出することを特徴とする前記(1)又は(2)記載の嫌気性処理方法。
(4)流入する有機性廃棄物と前記嫌気性処理装置の処理水の一部とを混合し、酸発酵した後に嫌気性処理を行うことを特徴とする前記(1)記載の嫌気性処理方法。
【0008】
(5)ガス・液・固分離部を多段に有する上向流嫌気性汚泥床処理装置において、装置本体側壁との角度が35度以下、かつ各占有面積が装置断面積の2分の1以上となる邪魔板により形成されるガス・液・固分離部を多段に取り付け、流入する有機性廃棄物を平均粒径200μm以下に粉砕する粉砕機を設置してスラリー化した被処理水を流入する供給管を底部に設けたことを特徴とする嫌気性処理装置。
【0009】
本発明の骨子は、「流入する有機性廃棄物を粉砕し、平均粒径200μm以下のスラリーとし、原水を処理水の循環液や系外から供給する希釈水により必要に応じて適宜希釈を行う」ことにより、一貫して、流入水のリアクター内部における装置断面積基準の通水速度0.05〜5m/hとなるように調節することができるようにして、原水中の固形分はリアクター内にとどまることなく処理水とともに系外に流出することがないようにしたものであり、さらに、その際の嫌気性処理装置として、「装置本体側壁との角度が35度以下、かつ各占有面積が装置断面積の2分の1以上となる邪魔板により形成されるガス・液・固分離部を多段に有する上向流嫌気汚泥床処理装置」を用いることでリアクター内のガス・液・固分離性能が高まるため、リアクター内にグラニュール汚泥を高濃度に保持することが可能となり、廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物を対象とした高性能な上向流嫌気性汚泥床処理が達成できることにある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は、嫌気性処理方法を実施するのに好ましい本発明の上向流嫌気性処理装置の一形態の概要を例示した図である。
図1において、原水送液管1が連通し、上下を閉塞した筒状のリアクター2の内部の左右両側壁には、それぞれに一方の端部を固定し、他方の端部を反対側の側壁を反対側の側壁方向に向かって、下降しながら延びている邪魔板3が設置されている。
【0011】
邪魔板3は、上下方向に3箇所左右交互に設けてあって、リアクター2の側壁との間にそれぞれ鋭角の区分スラッジゾーン4a、4b、4cを形成している。
リアクター2の側壁と邪魔板3のなす角度θは35度以下の鋭角であり、占有面積は装置断面積の1/2以上である。
35度を越える角度の場合には、スラッジゾーン4a、4b、4cの邪魔板3にグラニュール汚泥が堆積し、流動性が不十分となり、デッドスペースが形成される。
また、邪魔板3の占有面積が1/2以下であると、発生ガスの捕捉が不十分となり、気液固の分離に不具合を生じる。つまり、リアクター2の中心よりガスが上方へ抜けてしまい後記のGSS部5にガスを十分に集積することができなくなる。
【0012】
区分スラッジゾーン4a、4b、4c上部はGSS部5を形成している。反応が開始すると発生ガスが集まる気相部5aには、外部と通じる発生ガス回収配管6への排出口を設けてある。
なお、気相部5aから接続されている発生ガス回収配管6の吐出口は、水を充填した水封槽7の水中内で開口している。開口位置は水圧が異なる適宜な水深位にあり、水封槽7には発生ガス回収配管6から吐き出されたガス流量を測定するガスメーター8を設けられている。ガスメーター8の先には、ガスホルダー11が設けられている。また、リアクター2の上端には上澄み液を排出する処理水配管9が開口している。
【0013】
リアクター2には嫌気性菌からなるグラニュール汚泥を投入して使用する。本発明の対象となる嫌気性処理は、30℃〜35℃を至適温度とした中温メタン発酵処理、50℃〜55℃を至適温度とした高温メタン発酵処理の温度範囲の嫌気性処理を対象としている。嫌気性菌からなるグラニュール汚泥を投入し、平均粒径200μm以下に粉砕した廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物15を含む原水を送液管1からリアクター2へ導入する。原水を処理水の循環液や系外から供給する希釈水等により必要に応じて適宜希釈を行い、流入する有機性廃棄物15の液化状況に応じて酸発酵処理を行うが、酸発酵処理は4時間から4日程度が妥当である。
【0014】
流入水のリアクター2内部での通水速度が0.05〜5m/hとなるように調節する。リアクター2内では嫌気性菌の介在によって有機性廃棄物が分解し、分解ガスが発生する。発生したガスは、各区分スラッジゾーン4a、4b、4c上端のGSS部5に別れて集まり、それぞれに気相部5aを形成し、発生ガス回収配管6を通じて水封槽7に至る。こうした発生ガスは、ガスメーター8でその排出量が記録され、ガスホルダー11に送られる。
【0015】
発生ガスの一部は、区分スラッジゾーン4a、4b、4c内でグラニュール汚泥に付着し、その見かけ比重を軽減させるとともに、グラニュール汚泥を同伴してGSS部5の水面に達する。こうした発生ガスは、気泡を形成して水面気泡部5bに一時的に滞留する。水面気泡部5bに集合した気泡はやがて破裂し、発生ガスとグラニュール汚泥とが分離され、グラニュール汚泥はもとの比重を回復して水中に潜り、発生ガスは発生ガス回収配管6から水封槽7を経由して、系外に排出される。有機物が分解して清澄になって水はリアクター2の上端から、処理水配管9を経由して系外に排出される。
【0016】
各GSS部5の気相部のガス圧は異なるので、その差圧は水封槽7で調整するとよい。原水送液側に近い順に水封圧は高く保つ必要がある。ガス回収の圧調整は、水封槽7を使う方法以外にも多くの方法がある。例えば圧力弁等を使用してもよい。
本発明の嫌気性処理方法においては、各区分スラッジゾーン4a、4b、4c毎に、そこで発生する発生ガスを回収できるため、リアクター2の単位断面積当たりの発生ガス量が少なくなる。
特に処理水を流出させる処理水配管9に最も近い所では、リアクター2の単位断面積当たりのガス量が小さくなる。そのため、グラニュール汚泥の系外流出量を極く少なくすることができる。
【0017】
GSS部5を多段に設置したリアクター2では、通水速度を0.05〜5m/h、好ましくは0.5〜5m/hとすることにより、グラニュール汚泥層の流動状態が良好となり、また、リアルター2内の90%以上のグラニュール汚泥は、粒径0.5〜1.5mmとなる。そのため、廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物15を粉砕機14で粉砕し、平均粒径を200μm以下、好ましくは50μm以下の原水とすることによって、グラニュール汚泥層の流動が良好になるため、有機性廃棄物由来の固形分がリアクター2内に堆積することなく、メタン発酵処理を受け、さらに、通水速度を0.05〜5m/hと高めることにより処理水とともに流出する。一方、原水に比べ、粒径、比重の大きいグラニュール汚泥はリアクター2内にとどまる。
【0018】
本発明の嫌気性処理は、30℃〜35℃を至適温度とした中温メタン発酵処理、50℃〜55℃を至適温度とした高温メタン発酵処理であり、水温が30℃以上であるため、リアクター2内の有機性廃棄物15を粉砕機14で粉砕し、平均粒径を200μm以下とした原水の粘性は低下する。そのため、原水の粘性によるグラニュール汚泥層の流動状態の悪化、及びグラニュール汚泥の系外への流出は生じない。
【0019】
発泡性の原水の場合には、GSS部5内の気相部5a及び発生ガス回収配管6が閉塞し、発生ガスの回収が困難となる。このような場合、リアクター2への流入水に予め消泡剤10を加えることにより、GSS部5内での発泡を抑えることができる。GSS部5内に消泡剤10を滴下、噴霧する方法に比べ、本手法は密閉空間での消泡に効果的である。消泡剤10は原水性状に応じた消泡効果を有し、発酵液の消泡に適した、中温(30〜35℃)あるいは高温(50℃〜55℃)において消泡効果をなくすことのない消泡剤を使用する。消泡剤10の種類としては、シリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤の何れも使用が可能である。また、原水の性状によっては、発泡を抑制することによりスカムの形成を防止することが可能となる。
【0020】
原水が高SSである場合には、GSS部5内の気泡部表面及び内部にスカムを形成するため、発生ガスの回収が困難となる。このような場合には、発生ガス吹き込み配管13を散気管12に接続し、ガスホルダー11内の発生ガスをGSS部5内に供給することによってスカムの破壊あるいはスカムの形成防止が可能となる。破壊されたスカムはリアクター2内の液の流れとともに処理水として排出される。
【0021】
各GSS部5で吹き込みガスを回収できるため、リアクター2の単位断面積当たりの発生ガス量が少なく、特に処理水を流出させる処理水配管9に最も近い所では、リアクター2の単位断面積当たりのガス量が小さくなり、グラニュール汚泥の系外流出量を極く少なくすることができる機能を損なわない。散気管12はリアクター2の下部あるいは各GSS部5の下部に配置する。吹き込みガスによりグラニュール汚泥層が攪拌され、グラニュール汚泥と流入廃水の接触は良好となり、特に、リアクター2本体内に流入する有機物負荷量が少ない場合には、これにより発生するガスの量も少ないため、吹き込みガスによるグラニュール汚泥層の攪拌の効果は大きい。
【0022】
なお、GSS部5内部のスカムを破壊・除去するためにGSS部5内に吹き込む気体は、窒素ガス等の酸素を含まない、メタン発酵等の生物処理に影響を与えない気体を使用できるが、嫌気性処理によって発生したガスを使用することが望ましい。ガスを吹き込む頻度は、廃水の性状にもよるが、1日に1回から1週間に1回とすることによって、GSS部5内部のスカムを破壊・除去の効果がある。また、ガスを吹き込む頻度を1日に1回以上とすることで、汚泥層の攪拌効果が、さらに高まる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0024】
実施例1
図3に、実験に用いた上向流嫌気性汚泥床装置の概要を示す。A系列は嫌気処理の従来法であり、(a)に従来法として図示するものである。B系列はUASBの従来法であり、(b)に示すように図2の構造を有するものである。C系列は傾斜する邪魔板を3個取り付け、装置側壁と邪魔板との角度を30度とし、原水に消泡剤を添加し、散気管から発生ガスを吹き込むスカムの破壊・除去機能を付加した系列である。C系列は本発明に基づく系列であり、(c)に示すように図1に示す構成からなるものである。
【0025】
液層部の容量は1m3である。リアクター内の水温は、56℃になるように温度制御されている。原水には、食品工場から排出される有機性廃棄物と活性汚泥処理設備の余剰汚泥の混合物を用いた。原水のTSは10g/リットル、CODCr(以下、「COD」と記す)は18g/リットルである。A系列及びB系列では原水を酸発酵処理した後、リアクターに供給した。C系列では原水を粉砕機で粉砕し、平均粒径を50μm以下として酸発酵処理をした後リアクターに供給した。
C系列での発生ガスの散気管からの吹き込みは、1日当たり2回とした。C系列では、流出液を原水とともにリアクターに流入させ、通水速度を1m/hに設定した。
【0026】
図4に実験経過と流出液の酢酸濃度、COD分解率の処理成績の変化を示し、(d)はCOD負荷の変化を、(e)は流出液酢酸濃度の変化を、(f)はCOD分解率の変化を示す。 A系列では90日後にCOD負荷を7kg/m3/dとしたところ、過負荷のため、流出液の酢酸濃度が1300mg/リットルと高くなり、分解率が30%まで低下した。100日後以降にCOD負荷を5kg/m3/dとしたところ、流出液の酢酸濃度は500mg/リットル以下で安定し、COD分解率は65%になった。
【0027】
B系列では、80日後にCOD負荷を4kg/m3/dとしたところ、過負荷のため、流出液の酢酸濃度が1300mg/リットルと高くなり、COD分解率が30%まで低下した。90日後以降にCOD負荷を3kg/m3/dとしたところ、流出液の酢酸濃度は500mg/リットル以下で安定し、COD分解率は65%になった。GSS部内部の発泡、スカムの形成が認められ、発生ガスの回収が不十分となり、また、原水の固形物成分がリアクター内に堆積したが、投入したCOD負荷が低く、発生ガス量も少ないため、発生ガスの上昇による汚泥層の攪拌が弱くなる。この結果、汚泥のデッドスペースが広がり、汚泥と流入廃水の接触が不十分となり、負荷を高めることが困難であった。
【0028】
一方、原水を粉砕機で粉砕し、平均粒径を50μm以下とし、GSS部を多段とすることでグラニュール汚泥保持性能が向上し、消泡剤を添加することことによってGSS部内部の発泡を抑制し、発生ガスを吹き込むことによりGSS部内部のスカム形成の防止、及びグラニュール汚泥層の良好な攪拌を行ったC系列では、110日後以降にCOD負荷15kg/m3/dで流出液の酢酸濃度が500mg/リットル以下、COD分解率75%の処理が可能であった。本発明法であるC系列では、従来法のA、B系列に比べ、3倍以上の高負荷処理が可能となり、COD分解率が向上した。
第1表に各系列の処理成績の比較を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例2
C,D系列ともに、傾斜する邪魔板を3ケ取り付け、装置側壁と邪魔板との角度を30度とし、原水に消泡剤を添加し、散気管から発生ガスを吹き込む、スカムの破壊・除去機能を付加した系列である。
液層部の容量は1m3である。リアクター内の水温は56℃になるように温度制御されている。原水には、食品工場から排出される有機性廃棄物及び活性汚泥処理設備の余剰汚泥の混合物を用いた。原水のTSは10g/リットル、CODCr(以下、CODと記す)は18g/リットルである。A系列及びB系列では原水を酸発酵処理した後、リアクターに供給した。C系列では原水を粉砕機で粉砕し、平均粒径を50μm以下として酸発酵処理した後、リアクターに供給した。D系列では平均粒径2mmの原水を粉砕しないで酸発酵処理した後、リアクターに供給した。C系列が本発明法である。
【0031】
C,D系列ともに発生ガスの散気管からの吹き込みは1日当たり2回とし、流出液を原水とともにリアクターに流入させ、通水速度を1m/hに設定した。
図5に実験経過と流出液の酢酸濃度、COD分解率の処理成績の変化を示し、(g)はCOD負荷の変化を、(h)は流出液酢酸濃度の変化を、(i)はCOD分解率の変化を示す。
C系列では、110日後以降にCOD負荷15kg/m3/dで流出液の酢酸濃度が500mg/リットル以下、COD分解率75%の処理が可能であった。
一方、D系列ではCOD負荷を1kg/m3/dで運転を行っていたが、20日後以降、流出液の酢酸濃度が1000mg/リットル以上と高くなり、COD分解率が30%以下に低下した。これは平均粒径2mmの固形分を含む廃水を処理することでリアクター内に固形分が堆積し、グラニュール汚泥が処理水とともに流出し、処理性能が低下したためである。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、装置本体側壁との角度が35度以下、かつ、各占有面積が装置断面積の2分の1以上となる邪魔板により形成されるガス・液・固分離部を多段に有する上向流嫌気性汚泥床処理装置を使用することにより、リアクター内の発生ガス・処理水・汚泥の分離性能が向上し、リアクター内のグラニュール汚泥保持量が高まり、かつ流入する有機性廃棄物を粉砕し、平均粒径200μm以下のスラリーとし、原水を処理水の循環液や系外から供給する希釈水により必要に応じて適宜希釈を行うことにより、一貫して、流入水のリアクター内部における装置断面積基準の通水速度が0.05〜5m/hとなるように調節することができ、それによって原水中の固形分はリアクター内にとどまることなく処理水とともに系外に流出させることができる。
さらに、消泡剤を添加することによって、前記ガス・液・固分離部内部での発泡及びスカムの形成を防止すること、及びガス・液・固分離部内部に酸素を含有しない気体を吹き込むことにより、このガス・液・固分離部内部でのスカムの形成を防止することができる。
これらにより、廃水中の有機性固形分、厨芥、その他の有機性廃棄物を対象とした高性能な上向流嫌気性汚泥床処理が達成できる嫌気性処理方法と、これを実施する装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の上向流嫌気性処理装置の一形態を例示した模式図。
【図2】従来の上向流嫌気性処理装置の一形態を例示した模式図。
【図3】実験に用いたA〜C系列で使用した処理装置を示す図であり、(a)はA系列で、(b)はB系列で、(c)はC系列でそれぞれ使用した処理装置である。
【図4】実施例1における実験経過と流出液酢酸濃度とCOD処理成績の変化を示す図であり、(d)はCOD負荷の変化を、(e)は流出液酢酸濃度の変化を、(f)はCOD分解率の変化を示す。
【図5】実施例2における実験経過と流出液酢酸濃度とCOD処理成績の変化を示す図であり、(g)はCOD負荷の変化を、(h)は流出液酢酸濃度の変化を、(i)はCOD分解率の変化を示す。
【符号の説明】
1 原水送液管
2 リアクター
3 邪魔板
4a 区分スラッジゾーン
4b 区分スラッジゾーン
4c 区分スラッジゾーン
5 GSS部
5a 気相部
5b 気泡部
6 発生ガス回収配管
7 水封槽
8 ガスメータ
9 処理水配管
10 消泡剤
11 ガスホルダー
12 散気管
13 発生ガス吹き込み配管
14 粉砕機
15 有機性廃棄物
21 流入原水
22 リアクター
23 汚泥層
24 処理水
25 GSS部
26 ガス排出管
27 攪拌装置
28 攪拌翼
29 モーター
Claims (5)
- 有機性廃棄物を嫌気処理する方法において、装置本体側壁との角度が35度以下、かつ各占有面積が装置断面積の2分の1以上となる邪魔板により形成されるガス・液・固分離部を多段に有する上向流嫌気性汚泥床処理装置を用い、かつ、流入する有機性廃棄物を粉砕し、平均粒径200μm以下のスラリーとして供給し、更に、有機性廃棄物を含む被処理水を直接、もしくは希釈して、処理を行うことを特徴とする嫌気性処理方法。
- 被処理水に消泡剤を添加することにより、前記ガス・液・固分離部内部での発泡及びスカムの形成を防止することを特徴とする請求項1記載の嫌気性処理方法。
- 装置内に酸素を含有しない空気を吹き込み、汚泥層の攪拌及びガス・液・固分離部内部でのスカムの形成を防止し、かつ、装置内に吹き込まれた酸素を含有しない気体をガス・液・固分離部より排出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の嫌気性処理方法。
- 流入する有機性廃棄物と前記嫌気性処理装置の処理水の一部とを混合し、酸発酵した後に嫌気性処理を行うことを特徴とする請求項1記載の嫌気性処理方法。
- ガス・液・固分離部を多段に有する上向流嫌気性汚泥床処理装置において、装置本体側壁との角度が35度以下、かつ各占有面積が装置断面積の2分の1以上となる邪魔板により形成されるガス・液・固分離部を多段に取り付け、流入する有機性廃棄物を平均粒径200μm以下に粉砕する粉砕機を設置してスラリー化した被処理水を流入する供給管を底部に設けたことを特徴とする嫌気性処理装置。
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