JP3702863B2 - 白色発光素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単一の素子構造で照明用、表示用、液晶バックライト用などに利用できる演色性に優れた白色を発生することができる軽量、小型、長寿命の白色発光素子に関するものである。
【0002】
小型の発光素子として数多くの発光ダイオード(LED;light emitting diode)や、半導体レーザ(LD;laser diode)が製造され販売されている。輝度の高いLEDとして、赤色LED、黄色LED、緑色LED、青色LEDなどが市販されている。赤色LEDはAlGaAs、GaAsPなどを活性層としているLEDである。黄色、緑はGaPを発光層とするLEDがある。橙色・黄色はAlGaInPを発光層とするLEDによって作り出す事ができる。
【0003】
広いバンドギャップのバンド間遷移を要求する青色が最も難しくて困難であった。SiC、ZnSe、GaN系のものが試みられ競っていたが輝度高く寿命の長いGaN系が圧倒的に優れていることがわかり勝敗は既に付いている。GaN系のLEDは実際には活性層がInGaNなのでInGaN系LED、InGaN−LEDなどと以後書く事にするが、基板はサファイヤで層構造の主体はGaNである。これらのLEDやLDなどの半導体発光素子はバンドギャップ遷移を利用するから当然にスペクトル幅の狭い単色の発光である。そのままでは半導体素子によって複合的な色を作ることはできない。
【0004】
【従来の技術】
照明用光源は単色光源では役に立たない。液晶用バックライトも単色光源は不可である。照明には白色光源が必要である。特に演色性の高い白色が望ましい。液晶用バックライトにも白色光源が必要である。照明用光源としては今もなお白熱電球や蛍光灯が専ら使われている。白熱電球は演色性が高いので照明として好適なのであるが、効率が悪いし寿命も短くかさばるという欠点がある。蛍光灯は寿命が短く重量物が必要であり大型の重い装置となる。
【0005】
より小型、より長寿命、より高効率、より安価な白色光源の出現がつとに待たれるところである。軽量・小型・長寿命・高効率ということであれば、それはもう半導体素子しかないと思われる。
【0006】
事実、青色LED、緑色LED、赤色LEDが存在するのであるから、これらの光の三元色を組み合わせれば白色が合成される筈である。青、緑、赤の3種類のLEDをパネルに一様に取り付けて同時に発光させると白色となる筈である。そのような3色混合LEDはすでに提案され一部に実施もされているようである。3色混合で白色ができるのだが分離した単色に見えてはいけないので高密度に3種のLEDを分布させなければならない。
【0007】
それに3種類のLEDは電流・電圧・発光特性がみんな違うので電源を別にしなければならず3電源となる。輝度にばらつきがあって揃えるのが難しい。そのような問題があるが何よりも3種類のLEDを多数並列密集させるので高価な光源となってしまう。
【0008】
高価な光源では普及しないし役に立たない。より低コストの小型白色発光素子を半導体デバイスとして作りたいものである。単一の発光素子を利用した半導体発光素子の公知技術として二つのものがある。一つはInGaN−LED(GaN基板上の発光素子)をYAG蛍光体で包囲した複合LEDである。もう一つはZnSe−LEDのZnSe基板に不純物をドープして蛍光体としZnSe−LED発光部(ZnCdSe)の青色によってZnSe蛍光部を励起(SA発光と呼ぶ)して黄色・橙色を発生させ青色と黄色・橙色の複合によって白色を得るものである。簡単に前者をGaN系白色発光素子(A)、後者をZnSe系白色発光素子(B)と呼ぼう。それぞれについて説明する。
【0009】
(A)GaN系白色発光素子(YAG+InGaN−LED;図3)
これはInGaN−LEDを用いるもので、例えば、
▲1▼ 「光機能材料マニュアル」光機能材料マニュアル編集幹事会編、オプトエレクトロニクス社刊、p457、1997年6月に説明されている。図3にその構造を示す。
【0010】
Γ型リード2の水平部分に凹部3を設け、凹部3の底にInGaN−LED4を取り付ける。凹部3にはCe添加YAG蛍光材を分散させた樹脂5を収容する。YAG蛍光材には青色光を吸収して、よりエネルギーの低い黄色を発生するという性質がある。そのようにある材料がエネルギーの高い光を吸収して電子励起され励起電子が元のレベルに戻る時に出すエネルギーの低い光を蛍光と言う。それを出す材料を蛍光材と言う。いろいろなレベルを経由して元の準位に戻るのでエネルギーの広がりがあり蛍光のスペクトルは広い。エネルギーの損失分は熱になる。
【0011】
InGaN−LED4の電極6、7はワイヤ8、9によってリード2とリード10に接続される。リード2、10の上部や蛍光剤樹脂5は透明樹脂20によって覆われる。それによって砲弾型の白色発光素子が製作される。InGaN−LEDは絶縁性のサファイヤ基板を用いるから底面にn電極を設けることができず上面2箇所にn電極、p電極が形成されワイヤが2本必要である。
【0012】
これはInGaN系青色LED4の周りを、YAG蛍光剤を分散させた樹脂層5で包囲し、蛍光剤によって青色光Bの一部を黄色光Yに変換し、元の青色光Bと黄色光Yを合成することによって、白色W(=B+Y)を実現している。単一の発光素子で白色を作ることができる。ここでYAG蛍光剤としてCe賦活されたものを使用している。InGaN−LEDの青色光Bとして460nmの光を使用する。YAGで変換された黄色光Yの中心波長は570nm程度である。つまりYAGは460nmの青色光を吸収して570nm程度にブロードなピークをもつ黄色光に変換するのである。
【0013】
発光素子のInGaN−LEDは高輝度で長寿命だから、この白色発光素子も長寿命という利点がある。しかしYAGが不透明な材料なので青色光が強く吸収されてしまい、しかも変換効率は良くない。これは色温度7000K程度の白色発光素子を実現している。
【0014】
(B)ZnSe系白色発光素子(ZnCdSe発光、ZnSe基板蛍光剤;図4)
これは青色光源としてInGaN−LEDでなくZnCdSe−LEDを使う。蛍光を利用するが独立した蛍光材を用いない。優れて巧妙な素子である。本出願人になる、
【0015】
▲2▼ 特願平10−316169号「白色LED」
【0016】
によって初めて提案されたものである。図4に示すLEDの構造を示す。GaN基板でなくZnSe基板22を用いる。不純物ドープされたZnSe基板22の上にZnCdSeエピタキシャル層23よりなる発光層を設ける。ZnCdSe層23は485nmの青色を出す。ZnSe基板22には、I、Al、In、Ga、Cl、Brのいずれかが発光中心としてドープしてある。不純物ドープZnSe基板22は青色の一部を吸収して585nmに中心をもつブロードな黄色光を発生する。青色光Bと黄色光Yが合成されて、白色Wを作り出す(W=B+Y)。
【0017】
実際には図4のZnCdSe−LEDもリードに付け透明樹脂で囲んで図3の素子のように砲弾型の発光素子にするのであるがそれは図示を略した。これはn型ZnSe基板に不純物ドープしてn型基板自体を蛍光板として利用する。エピ層のZnCdSeは青色を発し、ZnSe基板は黄色の蛍光を発生する。両者が合わさって白色Wとなる。
【0018】
LEDであるから基板は必須である。基板は発光層の物理的な保持機能の他に蛍光板としても機能している。つまり基板を二重に有効利用する精緻な構造となっている。YAGのような独立の蛍光剤が不要である。それが大きい利点である。
【0019】
不純物ドープZnSeの発光のことをSA発光(self activated)と呼ぶ。これは、485nmの青色光と中心波長585nmの黄色光を使用し、10000K〜2500Kの間の任意の色温度の白色を実現している。ZnSe基板を薄くするか不純物濃度を下げると蛍光が劣勢になりZnCdSe発光層の青色光が有力になる。色温度の高い白色が得られる。ZnSe基板を厚くするか不純物濃度を上げると蛍光が優越するから色温度の低い白色が得られる。そのようにちょっとした工夫でいろいろな色温度の白色を得ることができる。
【0020】
先述のようにバンドギャップの広い半導体としてZnSe、SiC、GaNの3つがある。SiCは間接遷移で効率が悪く初めから競争にならない。単結晶基板を製造できるZnSeが一次有力であったが、現在はサファイヤ基板上のGaN、InGaN薄膜によるInGaN青色光が長寿命、高輝度、低コストの青色LEDとして勝利を納めている。InGaN/サファイヤ−LEDは、より波長の短い(エネルギーの高い)青色光を発生できるし、長寿命であり高輝度である。
【0021】
ZnSeは寿命が短くエネルギーが低い(波長が長い)ので青色光LEDとして遅れをとったが、この白色発光素子Bでは基板自体を蛍光板とし特別な蛍光剤を不要とし経済性に優れ低コストの白色発光素子に成長する可能性がある。
本発明は、白色発光素子に関するものである。特に演色性に優れ長寿命・軽量・小型の白色発光素子に関する。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
白色発光素子を特に照明用光源として使用する場合、演色性が重要になる。演色性というのは白熱電球の発光スペクトル形状を100%として、それにどれだけ近似しているかで定義される白色を評価するパラメータである。白熱電球は波長λで分布関数を書くと
【0023】
【数1】
【0024】
のようなスペクトルを持っている。exp()の中に1/λがあるから、すぐに立ち上がり最大値λmaxにいたるが、その後1/λ5のなだらかな減衰になる。そのように広いスペクトルをもち多様な色を含むので目に優しい白色となる。演色性というのは白色発光素子の発光スペクトルがどれほど式(1)の分布に近いかということである。蛍光灯は当然白熱電球よりも演色性は劣り86%程度である。ということは86%を越えないと蛍光灯以上に優れた白色とは言えない訳である。
【0025】
従来例のAやBのように青色発光LEDの青色光の一部を黄色光に変換することによる白色発光素子では高い演色性を得る事は難しい。その理由は二つある。
【0026】
[理由1] 青色光発光素子(ZnSe−LED、InGaN−LED)が発光するのは青色光の単色であるから本来狭いスペクトル幅しか持っていない。その狭スペクトル青色光が一方にあるから演色性が悪い。
【0027】
[理由2] 青色光を変換して得られた黄色光に、緑色成分や赤色成分が不足している。YAGで変換した蛍光は黄色であって緑や赤が欠ける。また不純物ドープZnSeで変換した蛍光も黄色であって緑成分を全く含まない。赤成分も不足している。やはり白熱電球にとって代わろうとするのであれば、赤や緑など広範な範囲のスペクトルを平等に含むものでなければならない、と思う。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明の白色発光素子は、紫外光を発生するInGaN−LEDと、塊状のZnS第1蛍光板と、塊状のZnSSe又はZnSe第2蛍光板とよりなり、InGaN−LEDの紫外光によって、ZnS第1蛍光板を励起して青色光蛍光を発生させ、青色光蛍光によってZnSe又はZnSSe第2蛍光板を励起して黄色蛍光を発生させ、外部に青色光蛍光と黄色光蛍光を放出することによって白色を合成する。ZnSSeというのは正確にはZnSxSe1−xのことであるが本明細書においては簡単のため混晶比xを省略することもある。
【0029】
つまり本発明には3種類の発光部分がある。
A.紫外光(UV)発光InGaN−LED
B.青色光(B)蛍光発生ZnS第1蛍光板
C.黄色光(Y)蛍光発生ZnSSe(ZnSe)第2蛍光板
そして外部へ出る光Wは青色光と黄色光だけとする。つまりW=B+Yとする。
【0030】
紫外光用のLEDを使う。それが一つの特徴である。紫外光は可視光ではないから外部に出てはいけない。紫外光は外部に出ないようにし第1蛍光板で全部を青色の蛍光に変換させるようにする。青色光の蛍光によって第2蛍光板を励起して黄色光を発生させる。だから蛍光現象を2段階で利用するのである。多くの準位からの電子遷移に基づく蛍光はもともとブロードなスペクトルをもつ。LED光のような急峻なスペクトルを持たない。青色光も黄色光も蛍光なのでスペクトルが広い。広いスペクトルが重なり合うので広い分布の白色ができる。当然に白熱電球の分布に似てくる。だから演色性も高揚する。
【0031】
紫外光の発光波長は340nm〜400nmのものとする。InGaNのLEDでもGaNの比率の高いLEDを用いる必要がある。そのような短波長の紫外光はZnSe系のLEDでは発生させることができない。InGaNに限定される。
【0032】
蛍光は励起光より必ず波長が長くなるのであるから、青色光の蛍光を得るためには青色光のLEDでは役に立たない。それよりもエネルギーの高い、紫外光の光源が不可欠である。幸いな事に赤色発光素子として開発されたInGaNのLEDは青色紫色など可視光を発光することもできるがGaの混晶比を増やすことによって紫外光をも出す事ができる。本発明はInGaN系で紫外光を発光する白色発光素子を根元的な光源として2段階蛍光現象を利用して演色性の優れた白色を作り出そうとするものである。
【0033】
紫外光LED+2段階蛍光が本発明の骨子である。紫外光は外部に出ず蛍光の二種類(青蛍光、黄蛍光)が外部に出てゆく。蛍光はもともとスペクトル幅が広いので演色性という点では有利なのである。そのように2段階蛍光によって白色を創造するというのは本発明が最初である。真に優れた着想であると言わねばならない。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明者は上記の課題を解決するために蛍光材を検討した。その結果、3族元素または7族元素が混入したZnS結晶を紫外線で励起して、青色光を発光させ、その青色光で3族または7族元素が混入したZnSe(またはZnSSe混晶)を励起して黄色光を発生させ、青色光と黄色光を混ぜ合わせるようにした白色発光素子を発明した。
【0035】
本発明は、一つのLED光源と2種類の蛍光を利用している。→によって蛍光板の変換作用を表現すると本発明の素子の作用は以下のように略記できる。
【0036】
第1の蛍光材はバンドギャップの広い半導体であるZnSであり、第2の蛍光材はよりバンドギャップの狭い半導体であるZnSxSe1−x(0≦x<1)である。
【0037】
図7はその原理を説明するための略図である。下からInGaN−LED/ZnS/ZnSSeよりなる構造である。LEDの紫外光でZnSを励起して青色光蛍光を発生させ、青色光によってZnSSeを励起して黄色光蛍光を発生させる2段階蛍光を示す。
【0038】
図8は下からInGaN−LED/ZnS/ZnSe(ZnSSe)よりなる構造で、発光波長の領域を略示したものである。340nm〜400nmのInGaN・LED紫外光を、ZnSで480nm中心の青色光に変え、青色光をZnSSeによって585nm中心の黄色光に変換している。340nmはZnSのバンドギャップであり、それ以上の波長でZnSを励起すべきだということを意味する。465nmはZnSeのバンドギャップ波長で、それ以上の波長でZnSeを励起すべきだということを意味する。
【0039】
[1.第1蛍光板(ZnS)]
ZnSの結晶にAl、In、Ga、Cl、Br、Iの何れかの不純物を添加すると蛍光を生ずるようになる。それはバンドギャップエネルギーより低いエネルギーの蛍光であり伝導帯の下にできるドナーと価電子帯の上にできるアクセプタの間で電子が遷移することによっておこる蛍光だと考えられる。上記の不純物はそのような比較的深いドナー、アクセプタを形成するのであろうと考えられる。浅いレベルであれば単に伝導性を与えるだけであるが深いレベルなので電子、正孔が安定して存在し光照射によってやっと励起されてドナー・アクセプタ遷移を引き起こすのであろう。レベルがたくさんできるので蛍光の準位も多数あり、それがスペクトルの幅を広くしているのであろう。
【0040】
ZnSからの青色光(蛍光)は中心波長が480nm近辺の光であるが、波長スペクトルは青−緑−黄緑に及ぶ広い波長分布を持っている。それは多数のレベル間の遷移が重畳したものであるからである。
【0041】
ZnSは400nm以下のエネルギーの高い紫外光よって励起されて先述の480nmに中心をもち青・緑・黄緑に広がる蛍光を発生する。それよりエネルギーの低い青色光のLED光ではZnSから蛍光を引き出すことができない。だからLEDは400nm以下の紫外光とする。励起光の波長の下限(エネルギーの上限)は340nmである。その理由については後に詳しく述べる。
【0042】
紫外光の定義であるが、厳密に定義するものもあり厳密でないものもある。13nm〜393nmが紫外光だという定義もある。そうなると本発明が励起光として用いる波長帯(340nm〜400nm)の内393nm〜400nmの7nm分は紫外光でなく紫色と言うべきである。しかし、それは面倒なので、本明細書では400nmまでを紫外光と表現することもある。
【0043】
[2.第2蛍光板(ZnSxSe1−x)]
ZnSxSe1−x(0≦x<1;ZnSeを含む)の結晶にAl、In、Ga、Cl、Br、Iの何れかの不純物を添加すると蛍光を生ずるようになる。それはバンドギャップエネルギーより低いエネルギーの蛍光であり伝導帯の下にできるドナーと価電子帯の上にできるアクセプタの間で電子が遷移することによっておこる蛍光だと考えられる。上記の不純物はそのような比較的深いドナー、アクセプタを形成するのであろうと考えられる。浅いレベルであれば単に伝導性を与えるだけであるが深いレベルなので電子、正孔が安定して存在し光照射によってやっと励起されてドナー・アクセプタ遷移を引き起こすのであろう。レベルがたくさんできるので蛍光の準位も多数あり、それがスペクトルの幅を広くしている。そのようなことは第1蛍光材のZnSと同様である。しかしZnSよりバンドギャップが狭いから蛍光のエネルギーも低く(波長が長く)なる。
【0044】
蛍光材としてのZnSe(ZnSSe)は480nm近辺の波長の光で効率よく励起され中心波長585nmの黄色光を発する。中心波長は585nmであるが実際はその両側に幅広く広がっている。ZnSe蛍光の波長スペクトルは黄緑−黄色−赤色に及ぶ広い波長分布を持っている。
【0045】
ZnSeに比率xでZnSを混合したZnSSeはバンドギャップがZnSeより広いので不純物ドープによるドナー・アクセプタの高さの差も広くなり蛍光の波長が短くなる。ZnSSeの場合は、480nmより短い光でよく励起されて585nmより短い波長にピークをもつ蛍光を発生する。つまり赤成分が弱くなり黄色成分が増える。目的とする白色のスペクトルによって第2蛍光板の硫黄Sの混晶比xを0から増やすことにすればよい。
【0046】
[3.二つの蛍光の合成]
第1蛍光板のZnSからの青色光と第2蛍光板ZnSe(又はZnSSe)からの黄色光を合わせると、可視領域の全域をカバーする波長スペクトルを持つ白色となる。いずれもスペクトル幅の広い蛍光を組み合わせたものだから演色性の高い白色を実現することができる。
【0047】
そのために第1蛍光板(ZnS)の厚みF、第2蛍光板(ZnSSe)の厚みHには、ある制限が課されることになる。
【0048】
それはInGaN−LEDの紫外光が第1蛍光板で完全に吸収されること、青色光蛍光が第2蛍光板で完全に吸収されない事という二重の条件が必要だからである。
【0049】
LEDからの光、第1蛍光板からの光は二次元的な広がりを持つが、ここでは簡単に一次元の問題として考える。LEDの紫外光のZnS第1蛍光板での吸収係数をαとする。ZnS蛍光板の端から内部に向けて縦方向に座標zを考える。第1蛍光板の始端での強度を1とすると第1蛍光板内部z点での紫外光の強度はexp(−αz)によって表現される。蛍光板の裏側では(z=F)紫外線強度はexp(−αF)となる。
【0050】
紫外線が全部吸収されて青色光蛍光に変換されるのが最も良い。しかし上の値が0にはならないから、せいぜい0.1以下あるいは0.01以下というように決める。例えば第1蛍光板の終わりでの紫外線強度が0.1以下だとするべきならば、
【0051】
exp(−αF)≦0.1 (2)
【0052】
となって、第1蛍光板の厚みの範囲が決まる。
【0053】
F≧2.3/α (3)
【0054】
となるし、0.01以下だとすべきならば
【0055】
F≧4.6/α (4)
【0056】
となる。そのように第1蛍光板の厚みの下限は決まるが上限は決まらない。厚すぎるとコスト高になるので上限は経済性などから決めれば良いことである。
【0057】
第2蛍光板は少し事情が異なる。第2蛍光板(ZnSSeまたはZnSe)青色光蛍光の吸収係数をβとする。第2蛍光板の始端z=Fでの青色光蛍光の強度をB0とすると、蛍光板内部の点(F<z≦F+H)での青色光蛍光の強度は、B0exp(−β(z−F))によって表現される。青色光蛍光から黄色光蛍光への第2蛍光板での変換効率をγとする。黄色光生成は青色光の強度に比例するから、黄色光蛍光の強度Y(z)は
【0058】
dY=γB0exp(−β(z−F))dz (5)
【0059】
という微分方程式を満足する筈である。これは簡単に積分することができて
【0060】
Y=(γB0/β){1−exp(−β(z−F))} (6)
【0061】
となる。第2蛍光板(ZnSeまたはZnSSe)の終端z=F+Hでの青色光蛍光Bと、黄色光蛍光Yの強度はそれぞれ
【0062】
B=B0exp(−βH) (7)
【0063】
Y=(γB0/β){1−exp(−βH)} (8)
【0064】
となる訳である。本発明の白色は、青色光蛍光Bと黄色光蛍光Yを適当な比率で加え合わせることによって合成される。その比率は
【0065】
【数2】
【0066】
によって与えられる。
【0067】
β、γは不純物ドープ量などで変化させる事ができるパラメータである。Hは第2蛍光板の厚みである。B/Y比(青/黄の比率)を変更したいという場合、ドープ量を変化させることも有効であるが第2蛍光板厚みHを変化させることによっても可能である。
【0068】
逆に言えば、予め所望のB/Y比が与えられ、変換効率β、γも決まっているのであれば、式(9)が第2蛍光板の厚みHを決める決定方程式だということになる。
【0069】
[4.耐水性の問題]
YAGの場合でもそうであるが蛍光剤というのはできるだけ光を受け易いように微小な粉末にして透明の媒体の中に薄く分散する。それが普通の使い方である。しかしZnS系やZnSe系の蛍光剤は耐水性に欠ける。つまり粉末にすると水を吸収してしまい劣化する。ZnS、ZnSeが蛍光剤としてこれまで利用されなかったのは不純物添加によって蛍光を発生するということが分かっても強い吸収性のため信頼性が低く蛍光剤として使いにくいという問題があったからである。
【0070】
だからZnSeやZnSはYAGのような蛍光剤としての実績がない。しかし考えてみれば蛍光剤を微小粉末にしなければならないのは、それが光に対し不透明だからである。不透明な蛍光剤で光が中へ入って行かないので、できるだけ直径の小さい微粉末とする必要があったのである。微小粉末にするとプラスチックやガラスに分散してあっても容易に吸水して急速に劣化する。そのような理由で蛍光剤は吸水性があってはならないとされて来たのである。
【0071】
[5.塊状の蛍光板]
粉末は実効的な表面積が広いので水が容易に滲みる。表面積が狭ければ水が内部へ入りにくいはずである。ZnSやZnSeの著しい吸水性を克服するには微小粉末にせず、その反対で粒径の大きい多結晶にする、あるいは全体を単結晶にすれば良いのである。粒界から水が入り浸透するのだから多結晶でも粒径が大きいと吸水性は減るはずである。単結晶にすれば、より吸水性は減少するであろう。表面から水が浸透するとしても内部まで水が入るのには時間がかかるし充分に厚いと最早内部まで水が浸透できない。
【0072】
本発明者は、粉末状の蛍光剤を使用する代わりに、塊状の単結晶もしくは多結晶ZnS(若しくはZnSe)から構成される蛍光板を使用すればよい、ということに気付いた。そうすれば、蛍光材体積に対する表面積の割合が非常に小さくなるので、耐水性が格段に向上する。塊状の蛍光材をプラスチックやガラスで被覆すれば容易に水が浸透できないはずである。
【0073】
[6.励起光の波長の制限]
従来の蛍光物質のように微粉末として分散したのは励起光に対し、それが不透明であり内部へ入って行かないものだからである。本発明では吸収性を克服するため塊状の蛍光材を用いる。塊状とすると光に対して不透明であってはいけない。不透明だと励起光が内部へ入らず蛍光物質の大部分が無駄になるからである。ということは励起光に対し蛍光材を透明としなければならないということである。それは新しい拘束条件となる。
【0074】
どうすればよいのか?もともとZnSeやZnSは可視光に対して透明に近く(わずかに黄色を帯びる)て、ある程度の紫外光に対しても透明である。しかしZnS、ZnSeの吸収端波長(バンドギャップ波長)より短い紫外光はすぐに吸収してしまう。それはどのようなものでも共通の性質である。そこで本発明は励起光の波長を蛍光材の方から限定する。励起光波長をΛrとすると、それを蛍光材のバンドギャップ波長(吸収端波長)λgよりも長いものとする。
【0075】
Λr>λg (10)
【0076】
とするのである。これは励起光のエネルギーの下限を決定する。上限は先ほど述べたように、それを励起して蛍光を発生しうるという点で決定する。
【0077】
両方の蛍光材について共通に言えば、蛍光板を構成するZnS結晶やZnSe結晶の禁制帯幅(バンドギャップ)より小さなエネルギーを持った励起光を使用するということである。
【0078】
そうすれば、励起光に対する蛍光板の吸収係数が小さくなり、蛍光板内部まで励起光が進入し、蛍光板全体で発光することになる。だから表面の影響が小さくなる。それは吸収性を克服するために課されることになった条件である。
【0079】
室温でのZnSSeのバンドギャップEgは
【0080】
Eg=2.7+1.63x−0.63x2 (eV) (11)
【0081】
によって近似される。単位はeVである。1239をバンドギャップで割ったものが吸収端波長(バンドギャップ波長)λg(nm)である。
【0082】
λg(nm)=1239/Eg (12)
【0083】
(11)式によってZnSe、ZnSや、ZnSSeのバンドギャップEgが分かる。
【0084】
[7.InGaN−LEDの波長の制限]
ZnS結晶の禁制帯幅は室温で3.7eVであるから吸収端波長は約340nm(λg1とする)である。塊の内部まで励起光が浸透するようにするため(Λr>λg1という制限)ZnS結晶は340nmより長波長で励起すれば良いということが分かる。それが励起光波長の下限を与える。上限は先述のようにZnSから蛍光を出させるという条件で400nm以下だというように決まる。だからZnSを励起するInGaN−LEDの励起波長Λrは、
【0085】
340nm≦Λr≦400nm (13)
【0086】
ということになる。これは紫外(340〜393nm)と紫(394〜400nm)を含むが簡便に紫外光と呼ぶことにする。InGaNのGaの比率を上げることによって、そのような短い波長の紫外光を発生することができるようになる。
【0087】
[8.ZnS蛍光板の波長の制限]
青色光蛍光波長をΛqによって表現する。それはZnSe蛍光板では励起光だからΛによって表現している。ZnSe蛍光板がどのような波長の光を出せばよいのか?それは第2蛍光板の材料によるわけである。第2蛍光材としてZnSeを用いる場合を考える。ZnSe結晶の禁制帯幅は室温で2.7eVであり対応する吸収端波長は460nm(λg2とする)である。内部まで励起光が入るという条件(Λq>λg2)を満足するため、ZnSe蛍光板は465nmより長波長で励起すれば良い。
【0088】
第1のZnS蛍光板から発せられた青色光の中心波長は約480nm(Λq)である。これは465nm(λg2)より長波長である要件(Λq>λg2)を満たしている。480nm中心といっても広がりがあり、第1蛍光板ZnSが発生する蛍光は465nmより短い波長成分をも含むのであるが、それは少ない。
【0089】
そもそもZnSeは480nm程度の青色で良く励起され黄色の蛍光を発生する。だからZnSの発生する蛍光が480nm中心だというのは好都合なことである。
【0090】
第2蛍光板をZnSSe混晶にするとバンドギャップ波長(λg3とする)が465nmより短くなる(λg2>λg3)。だからZnSの青色光蛍光(480nm中心;Λq>λg2)は依然としてΛq>λg3という条件を満足し第2蛍光板の内部まで深く浸透することができる。混晶の第2蛍光板も黄色の蛍光を発生するが中心波長が585nmよりも短波長側へよる。そうすると、緑がかった白色ができる。
【0091】
[9.蛍光材にドープする不純物濃度]
ZnS結晶やZnSe結晶が青色光や黄色光を発するためには、Al、In、Ga、Cl、Br、Iの何れかの不純物をドープ(混入)する必要がある。その濃度が小さすぎるとあまり発光しない。少なくとも1×1017cm−3以上の濃度の不純物の混入が必要である。変換効率βは不純物濃度に比例して増大する。不純物濃度は重要な設計パラメータとなる。これらの不純物は意図的に添加することもできる。そうでなくてZnSe、ZnSの製造方法によっては、製造工程でいずれかの不純物が前記の濃度以上に含まれるという場合もある。その場合は意図的にその不純物を添加する必要はない訳である。
【0092】
[10.蛍光板の熱処理]
ZnSe結晶、ZnSSe結晶、ZnS結晶は粒界が大きい方が吸水しないので良いと説明した。平均粒径が蛍光板の厚み以上にすると一層良い。単結晶とすると粒界がないから、より好ましい。それは結晶の態様のことである。ヨウ素輸送法でこれらの多結晶や単結晶ができるが、そのままでは欠陥が多くて品質が悪い。そこで、Zn雰囲気で、ZnSe結晶、ZnSSe結晶、ZnS結晶を、1000℃程度の高温で熱処理して結晶の欠陥を減少させる。そうすることによって蛍光を強化することができる。非発光損失をも抑制できる。
【0093】
[11.蛍光板のミラー研磨]
ZnS蛍光板やZnSe蛍光板の励起光が入射する側の面は、入射効率を高めるためにミラー研磨することが望ましい。加えて、反射防止膜を形成すれば、より好ましいと考えられる。蛍光板のそれ以外の面に関しては、必ずしもミラー研磨する必要はないが、加工上の必要に応じてミラー研磨しても構わない。
また蛍光板内で発生した青色光や黄色光の出射効率を高めるための表面加工を施すのも有用である。
【0094】
【実施例】
[実施例1(図1)]
図1に本発明の実施例にかかる白色発光素子の断面図を示す。Γ型リード30とL型リード32を組み合わせた2本のリードがある。組み合わせのためにΓ型リード30の壁面には狭い通し穴33が穿孔してある。その通し穴にL型リード32の先端を挿入するようにして組み合わせる。Γ型リード30は上方に開口する広い凹部34を有する。凹部34の底部にサファイヤ基板上にInGaN層を形成した紫外光LED35を電極36、37を下にして実装してある。だからサファイヤ/InGaN−LED35はサファイヤ基板が上にエピタキシャル層が下にある。二つの電極36、37も下向きになっている。一方の電極36はΓ型リード30に接合される。他方の電極37は他方のL型リード32に接合されている。そのように裏返しにInGaN−LED35を取り付けているからワイヤは不要である。しかしそれに限らずサファイヤ基板を下向きにして電極が上を向くように取り付け2本のワイヤで電極とリードを接続してもよい(図3のように)。電極、リードの接続形式は自由である。
【0095】
InGaN−LED35のすぐ上にZnSよりなる第1蛍光板38が載せられている。InGaN−LEDの紫外光を青色光に変換するための第1蛍光板38である。第1蛍光板38の上に、ZnSe第2蛍光板39が搭載してある。第2蛍光板は青色光を黄色光蛍光に変換するためのものである。この例ではZnSe第2蛍光板39が少し狭いが、その外側から直接に青色光が上方へ出てゆくようにしているのである。第2蛍光板39/第1蛍光板38/LED35の上を覆うように拡散剤を分散させた透明樹脂40が凹部34に充填されている。第1蛍光板で青色光蛍光が、第2蛍光板で黄色光蛍光が生成され、それが上向きに放射される。拡散剤でその光が散乱されて適度に青色光と黄色光が混合して上から見ると白色に見えるのである。
【0096】
次にそのような白色発光素子の製造方法を述べる。ヨウ素を輸送媒体とする化学輸送法(CVT)でZnS単結晶とZnSe単結晶を作製した。化学輸送法というのは容器の下に置いたZnS、ZnSe多結晶をヨウ素雰囲気で加熱しSeとZnI2またはSとZnI2として蒸発させ、上部に置いたより低温の種結晶の上に固化させ単結晶を成長させる方法である。図5に化学輸送法を示す。
【0097】
反応炉86の下方にZnSe(またはZnS)多結晶87を置く。反応炉86の上方にサセプタ88を介してZnSe(またはZnS)種結晶89を取り付ける。反応炉86の雰囲気はヨウ素である。多結晶87のある下方を高温T1に、種結晶89のある上方を低温T2にする。高温(T1)側で
【0098】
2ZnSe+2I2→2ZnI2+Se2 (14)
【0099】
という反応が起こる。ZnI2、Se2は拡散によって上昇し天井の種結晶89に至る。これは低温T2であるから反対の反応が起こり、
【0100】
2ZnI2+Se2→2ZnSe+2I2 (15)
【0101】
となる。生成したZnSeが種結晶89の下面に堆積してゆく。気体であるヨウ素I2は拡散によって下方へ戻りZnSe多結晶87に再び接触し式(14)の反応を引き起こす。そのような繰り返しによって単結晶のZnSeを成長させることができる。その手法はZnSやZnSSeの混晶にも用いることができる。成長速度は1mm/日といった程度である。
【0102】
得られたZnS単結晶から切り出した厚み300μm、面方位(100)のZnS結晶基板をZn雰囲気中、1000℃で熱処理をした。
【0103】
Zn中の熱処理は結晶欠陥を減らすために行う。それはZnSe、ZnS、ZnSSeのどれでも同じ装置で行うことができる。図6は熱処理室90を示す。ZnSe単結晶基板89をその中に置いてZn雰囲気で1000℃、50時間熱処理する。その後−60℃/分の割合で降温して常温に到る。ZnSの場合はそれより少し高い温度で熱処理する。その方法や効果はほぼ同じである。
【0104】
そのZnS結晶基板の両面をミラー研磨した後、スクライブブレークし、400μm角、厚み200μmのZnS蛍光板38を作製した。
【0105】
同様に、ZnSe単結晶から切り出した厚み200μm、面方位(100)のZnSe基板をZn雰囲気1000℃で熱処理した。このZnSe基板を両面ミラー研磨した後、スクライブブレークして300μm角、厚み100μmのZnSe蛍光板39を作製した。
【0106】
またサファイヤ基板を使用したInGaN活性層を持つ発光波長380nmの青色LEDチップ35を準備した。このLEDチップ35を図1にあるようにフリップチップ型に実装し、LEDの上側(サファイヤ基板の上側)にZnS蛍光板38を透明樹脂を介して貼り付けた。
【0107】
さらにZnS蛍光板38の上にZnSe蛍光板39を透明樹脂を介して貼り付けた。LEDチップ35とZnS蛍光板38とZnSe蛍光板39全体を、拡散剤(SiC粉末)を分散させた透明樹脂40で覆ってやり、更に全体を透明樹脂によって樹脂モールドして砲弾型の白色発光素子を作製した。この白色発光素子に通電して発光させたところ、色温度5000Kの白色を得ることができた。色温度の低い白色を生成できるということである。
【0108】
分光してスペクトルを調べた。発光スペクトルを図2に示す。横軸は波長(nm)、縦軸は相対発光強度である。発光強度は400nmから立ち上がり、450nm〜490nmに高い分布をもつ。それが第1蛍光板ZnSによる蛍光の分布である。ZnSの蛍光は青色光から緑まで広がっている。
【0109】
それらより長波長側に、585nmに中心をもち、530nm〜650nmに渡るなだらかなピークがある。それは第2蛍光材ZnSeによる蛍光のスペクトルである。これは黄色が中心であるが、赤にも緑にも広がりがある。両方の蛍光板からの発光は互いに重なり合い可視領域全体に及ぶ発光が得られている。450nm〜480nmの青色光の強度を1として495nm〜520nmの緑が少し弱いが、それでも0.78以上の強度がある。だから440nm〜650nmに広がった理想的な白色のスペクトルを与える。平均演色評価係数を計算すると89となった。3波長型の蛍光灯並みの高い演色性を有しているということが判明した。
【0110】
【発明の効果】
紫外線発光LEDを使用した白色発光素子の作製において、演色性が高い白色発光素子が製造可能になった。演色性が良いので照明用にできる白色である。一つの素子では照明として不十分であるが、本発明の白色発光素子を多数マトリックス状に配列すれば充分な光量を作り出すことができる。実績のあるサファイヤ基板InGaN−LEDのpn接合によって発光するのだから長寿命である。蛍光材は吸水性のあるZnSe、ZnS、ZnSSeを用いるが塊としており内部まで水が入らないようにしている。だから蛍光板も長寿命となる。その点で白熱電球や蛍光灯に勝る。
【0111】
2段階の蛍光現象を利用したものであるが励起光は蛍光板のバンドギャップよりも低いエネルギーを持つものとするから蛍光板の内部まで浸透して蛍光を発生する。内部まで到達できるような波長であるから、その一部は蛍光板を透過することもできる。だから2段階蛍光で両方の蛍光を足し合わせたものを外部へ放射するようにできる。発光ダイオードと同じ形状にできるから一つの素子は軽量小型である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Γ型リードとL型リードを組み合わせてなるΓ型リードの凹部に紫外線発光InGaN−LED、ZnS第1蛍光板、ZnSe第2蛍光板を積層し、上部を拡散剤を分散した透明樹脂によって覆い全体を透明の樹脂でモールドした本発明の実施例にかかる砲弾型白色発光素子の縦断面図。
【図2】紫外線発光InGaN−LED、ZnS第1蛍光板、ZnSe第2蛍光板を積層してなる本発明の実施例にかかる白色発光素子の発光スペクトル図。横軸は波長(nm)、縦軸は相対発光強度である。
【図3】▲1▼「光機能材料マニュアル」光機能材料マニュアル編集幹事会編、オプトエレクトロニクス社刊、p457、1997年6月、によって提案されたYAG/InGaN白色発光素子の断面図。
【図4】▲2▼特願平10−316169号「白色LED」によって初めて提案された不純物ドープZnSe基板の上にZnCdSeエピタキシャル発光層を設けZnCdSeの青色光発光をZnSe基板で黄色光蛍光に変え青色光と黄色光を合成して白色を得るようにしたZnCdSe/ZnSe白色発光素子の概略構造図。
【図5】ZnSe多結晶からZnSe単結晶を製造する化学輸送法を説明するための断面図。
【図6】熱処理室においてZnSe単結晶をZn雰囲気で熱処理している状態を説明するための断面図。
【図7】ZnSSe/ZnS/InGaN−LEDよりなる本発明の白色発光素子において、InGaN−LEDの紫外光をZnS蛍光板によって青色光蛍光に変換し、その一部の青色光によって、ZnSSe蛍光板によって黄色光蛍光に変換し、青色光と黄色光を合成することによって白色とする本発明の原理を示す説明図。
【図8】ZnSe/ZnS/InGaN−LEDよりなる本発明の実施例にかかる白色発光素子において、340nm〜400nmのInGaN−LEDの紫外光によって、ZnS蛍光板を励起し480nm中心波長の青色光蛍光を発生させ、その青色光蛍光によってZnSe蛍光板を励起して585nm中心波長の黄色光蛍光を発生させ、中心波長480nmの青色光蛍光と、中心波長585nmの黄色光蛍光を合成して白色とする原理を説明する図。
【符号の説明】
2 Γ型リード
3 凹部
4 青色光InGaN−LED
5 蛍光剤を分散させた透明樹脂
6 電極
7 電極
8 ワイヤ
9 ワイヤ
10 I型リード
20 透明樹脂
22 不純物ドープZnSe基板
23 ZnCdSe発光層
30 Γ型リード
32 L型リード
33 通し穴
34 凹部
35 紫外光InGaN−LED
36 電極
37 電極
38 ZnS第1蛍光板
39 ZnSe第2蛍光板
40 拡散剤を分散させた透明樹脂
42 透明モールド樹脂
86 反応炉
87 ZnSe(ZnS)多結晶
88 サセプタ
89 ZnSe(ZnS)種結晶
90 熱処理室
Claims (5)
- 340nm〜400nmの紫外光を発光するInGaN−LEDと、Al、In、Ga、Cl、Br、Iのうち少なくとも一つの元素を不純物として1×1017cm−3以上の濃度で含みInGaN−LEDからの紫外光を480nm中心で400nm〜490nmに広がりをもつ青色光に変換する塊状であって平均粒径が厚みよりも大きい多結晶であるか単結晶であるZnS結晶からなる第1の蛍光板と、Al、In、Ga、Cl、Br、Iのうち少なくとも一つの元素を不純物として1×1017cm−3以上の濃度で含み前記青色光の一部を585nm中心の黄色光に変換する塊状のZnSe結晶もしくはZnSSe結晶からなる第2の蛍光板とよりなり、大気中で使用でき、ZnS結晶より出る蛍光の青色光とZnSe/ZnSSe結晶より出る蛍光の黄色光を混ぜ合わせることによって白色を合成する事を特徴とする白色発光素子。
- 第2の蛍光板を構成するZnSe結晶もしくはZnSSe結晶の平均粒径を蛍光板の厚みより大きくすることを特徴とする請求項1に記載の白色発光素子。
- 第2の蛍光板であるZnSe蛍光板もしくはZnSSe蛍光板を単結晶ZnSeもしくは単結晶ZnSSeによって構成する事を特徴とする請求項1又は2に記載の白色発光素子。
- Zn雰囲気中で熱処理をしたZnS結晶を第1の蛍光板として使用する事を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の白色発光素子。
- Zn雰囲気中で熱処理をしたZnSe結晶もしくはZnSSe結晶を第2の蛍光板として使用する事を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の白色発光素子。
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