JP3703366B2 - 汚染土壌、スラリー等の浄化方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染土壌、スラリー等の浄化方法に関し、一般廃棄物や産業廃棄物等の最終処分場における浸出水、汚染土壌、スラリー等に含まれた有害疎水性有機物を脱着する技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、土壌やスラリー中に含まれる疎水性有害有機物、例えばダイオキシン類、PCB類、芳香族炭化水素類などは、固相粒子に非常に強く吸着されており、一般的に処理が非常に困難である。bioremediation等の微生物によって有機物を消化する生物学的処理方式では、水相に含まれる有機物しか処理できない場合が多い。また、揮発性の高い物質に関しては、熱脱着により固相からの分離も可能であるが、沸点の高い物質には対応できず、焼却等非常に処理コストの高い方式で対応せざるを得なかった。
【0003】
例えば、固形物中のダイオキシン類を、1200度以上の高温度条件下において溶融する溶融処理法や、370度以上、22MPa以上の高温度、高圧力条件下において処理する超臨界処理法がある。あるいは、処理対象物に水素供与体、アルカリ、溶媒を添加した後に、窒素雰囲気下で、350度程度に加熱処理するアルカリ触媒分解法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、疎水性有機物に汚染された土壌は、汚染物質が固相に強く吸着しているために浄化が困難であり、bioremediationなどの処理を行なっても土壌中の汚染物濃度が変化しなくなるなど限界があった。さらに、浄化を行なうためには上述した土壌の焼却等の処理コストが高い方式しかなく、現実的でなかった。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、疎水性有機物を、常温、常圧の下で少ないエネルギーによって固相から脱着することができる汚染土壌、スラリー等の浄化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の汚染土壌、スラリー等の浄化方法は、反応槽に貯留した固液混相の処理対象物に、疎水性有機物に対する吸着能を有する球状樹脂を添加し、槽内の水面付近に浮遊する球状樹脂を槽底部へ巡廻させて槽内で球状樹脂を循環しながら、槽内に配置した超音波発信体から処理対象物へ固相に振動抽出作用を及ぼす超音波を照射し、振動抽出作用によって疎水性有機物を固相から液相に移行させて脱着し、界面活性剤と疎水性有機物との結合によって固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止するとともに、脱着した疎水性有機物を球状樹脂に吸着するものである。
【0007】
上記した構成により、処理対象物に含まれたダイオキシン類等の疎水性有機物は、固相の土壌粒子表層に吸着し、あるいは途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する。
【0008】
土壌粒子表層に吸着した疎水性有機物は液相と接していれば平衡状態を保つように土壌から脱着する。このため、液相の疎水性有機物を球状樹脂によって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じることにより、平衡を保つように土壌から疎水性有機物が脱着し、土壌中の汚染物濃度が低下して処理対象物の浄化が進行する。球状樹脂は槽内を流動することにより、疎水性有機物との接触頻度が高まり、吸着効率が向上する。
【0009】
しかし、途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する疎水性有機物は、非常に強く土壌粒子に吸着されており、液相中へ殆ど移行しない形態となって存在している。
【0010】
このため、処理対象物の固相に作用する超音波を照射し、その振動エネルギーによって疎水性有機物を液相ヘ移行しやすい形態に変化させて固相から液相に移行させる。この振動抽出作用によって抽出した疎水性有機物は再び固相に再吸着し易いが、界面活性剤が疎水性有機物と結合することによって、固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止し、疎水性有機物を液相に留める。この液相の疎水性有機物を球状樹脂によって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じ、土壌から疎水性有機物が脱着することを促進し、処理対象物の浄化を行なう。
【0011】
スラリーの浄化が終了したら、球状粒子はオーバーフロー水と共に槽外へ取り出す。球状樹脂は水に浮くので容易に回収できる。回収効率を上げるため反応槽内に水を入れてもよい。取り出した球状樹脂はトルエン等の溶剤で洗浄して再生し再利用する。溶剤中に溶け込んだ疎水性有機物は別途処理をする。処理済みのスラリーは底部より引き抜いて脱水等の処理を施す。
【0012】
振動抽出作用を及ぼす超音波は、処理対象物の物性、例えば疎水性有機物の種類や組成、汚泥や土壌の性状によって異なり、あるいは反応槽の形状によって異なるので、経験則として予め求める。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、反応槽1に貯留する処理対象物2は、産業廃棄物等の最終処分場における埋立地浸出水、汚染土壌、スラリー等であり、ダイオキシン類、PCB類、芳香族炭化水素等の疎水性有機物を含んでいる。
【0014】
反応槽1には、固液混相の処理対象物2を供給する供給系3と、界面活性剤を投入する薬剤供給系4と、疎水性有機物に対する吸着能を有する球状樹脂(XAD2)aを投入する吸着剤供給系5とを接続しており、槽上部と槽底部を連通して循環系6を設け、循環系6から分岐して処理スラリーを取り出す排出系7を設けており、循環系6の上部にオーバーフロー用のバルブ8を設けている。球状樹脂(XAD2)は、巨大網状構造をもった合成吸着剤であって、硬くて、かつ不溶性であって多孔性ポリマーの球状樹脂である。その物性を表1に示す。
【0015】
【表1】
反応槽1の内部には、超音波発信体9(ホーン)を設けており、超音波発信体9は導波管10を通して超音波発振器11に接続している。超音波発振器11は処理対象物2の固相に振動抽出作用を及ぼす超音波振動を発振するものである。超音波発信体9は電圧を受けて発振するセラミック等の振動子を使用することもできる。
【0016】
超音波発信体9から発信する超音波、つまり振動抽出作用を及ぼす超音波の周波数は、処理対象物2の物性、例えば疎水性有機物の種類や組成、汚泥や土壌の性状によって異なり、あるいは反応槽1の形状によって異なるので、経験則として予め求める。
【0017】
以下、上記した構成における作用を説明する。供給系3から反応槽1へ処理対象物2を供給し、所定量の処理対象物2を反応槽1に貯留する。薬剤供給系4から所定量の界面活性剤、例えばLAS(アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)を、CMC濃度(臨界ミセル濃度)以上に保たれるように添加し、吸着剤供給系5から適当量の球状樹脂aを投入する。循環系6を通して槽内の水面付近に浮遊する球状樹脂aを処理対象物2とともに槽底部に巡廻し、処理対象物2およぼ球状樹脂aを槽内で循環流動させる。
【0018】
処理対象物2に含まれたダイオキシン類等の疎水性有機物は、固相の土壌粒子表層に吸着し、あるいは途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する。
【0019】
土壌粒子表層に吸着した疎水性有機物は液相と接していれば平衡状態を保つように土壌から脱着する。このため、液相の疎水性有機物を球状樹脂aによって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じることにより、平衡を保つように土壌から疎水性有機物が脱着し、土壌中の汚染物濃度が低下して処理対象物2の浄化が進行する。このとき、球状樹脂aが槽内を流動することにより、疎水性有機物との接触頻度が高まり、吸着効率が向上する。
【0020】
しかし、途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する疎水性有機物は、液相に接するだけでは、その低い溶解度のために脱着することが困難である。
【0021】
このため、超音波発振器11で発振する超音波を導波管10を通して超音波発信体9から処理対象物2へ照射し、その振動エネルギーによって疎水性有機物を固相から液相に移行させる。この振動抽出作用によって抽出した疎水性有機物は再び固相に再吸着し易いが、界面活性剤が疎水性有機物と結合することによって、固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止し、疎水性有機物を液相に留める。一方、液相に移行した疎水性有機物を球状樹脂aによって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じ、土壌から疎水性有機物が脱着することを促進し、処理対象物2の浄化を行なう。
【0022】
球状樹脂aはバルブ8を開栓してオーバーフロー水と共に槽外へ取り出す。球状樹脂は水に浮くので、容易に回収できる。回収効率を上げるため反応槽内に水を入れてもよい。取り出した球状樹脂はトルエン等の溶剤で疎水性有機物を抽出・洗浄し、再利用する。
【0023】
以下に、上述した構成の実証試験について説明する。図2は水相と土壌の2相モデルの概念図である。土壌に吸着している汚染物には比較的に弱い力で土壌に吸着して早く水相へ移行するものと、強力に吸着して殆ど水中へ移行しないものとがある。弱い吸着物の割合をFで示し、強い吸着物の割合を1−Fで示しており、Fが大きい程に土壌浄化は容易となる。
【0024】
【数1】
この2相モデル方程式は、土壌中の初期汚染物量S0がx時間後にどの程度(Sx)になるかを示したモデル式である。図3は上記のモデル方程式のグラフ図であり、弱い吸着物の割合Fが大きい程に汚染物がたくさん落ちるので最終的な(Sx)は小さくなり、早い脱着の定数k1が大きい程に汚染物が早く落ちるのでカーブの傾きは急になる。
【0025】
図4は、ある汚染土壌を水中で反転攪拌して汚染物を洗い流した2相モデルの結果を示すものであり、ナフタリンは68%、フェナントレンは46%、ピレンは42%が早く水中へ移行している。
【0026】
図5は、同じ汚染土壌を界面活性剤の存在下で超音波処理した後に反転攪拌した2相モデルの結果を示すものであり、ナフタリンは93%、フェナントレンは94%、ピレンは90%が早く水中へ移行しており、浄化効率が確実に上がっていることを示している。
【0027】
図6は、図5に示した処理を行なった後の弱い吸着物の割合Fを示しており、他の物質に関しても、界面活性剤の存在下で超音波処理することが有効であることが伺える。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、処理対象物に球状樹脂と界面活性剤を添加して超音波を照射することにより、処理対象物から疎水性有機物を脱着するとともに、脱着した疎水性有機物を界面活性剤で液相に留めながら球状樹脂で吸着して、処理対象物から疎水性有機物を分離して浄化することができる。したがって、ダイオキシン類、農薬等の疎水性有機物を、常温、常圧の下で少ないエネルギーによって固相から脱着し、汚染土壌、スラリー等の浄化を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における浄化装置の模式図である。
【図2】水相と土壌の2相モデルの概念図である。
【図3】モデル方程式のグラフ図である。
【図4】ある汚染土壌を水中で反転攪拌した2相モデルの結果を示すグラフ図である。
【図5】同汚染土壌を界面活性剤の存在下で反転攪拌するとともに超音波処理した2相モデルの結果を示すグラフ図である。
【図6】図5に示した処理を行なった後の弱い吸着物の割合Fを示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 反応槽
2 処理対象物
3 供給系
4 薬剤供給系
5 吸着剤供給系
6 循環系
7 排出系
8 バルブ
9 超音波発信体
10 導波管
11 超音波発振器
a 球状樹脂
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染土壌、スラリー等の浄化方法に関し、一般廃棄物や産業廃棄物等の最終処分場における浸出水、汚染土壌、スラリー等に含まれた有害疎水性有機物を脱着する技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、土壌やスラリー中に含まれる疎水性有害有機物、例えばダイオキシン類、PCB類、芳香族炭化水素類などは、固相粒子に非常に強く吸着されており、一般的に処理が非常に困難である。bioremediation等の微生物によって有機物を消化する生物学的処理方式では、水相に含まれる有機物しか処理できない場合が多い。また、揮発性の高い物質に関しては、熱脱着により固相からの分離も可能であるが、沸点の高い物質には対応できず、焼却等非常に処理コストの高い方式で対応せざるを得なかった。
【0003】
例えば、固形物中のダイオキシン類を、1200度以上の高温度条件下において溶融する溶融処理法や、370度以上、22MPa以上の高温度、高圧力条件下において処理する超臨界処理法がある。あるいは、処理対象物に水素供与体、アルカリ、溶媒を添加した後に、窒素雰囲気下で、350度程度に加熱処理するアルカリ触媒分解法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、疎水性有機物に汚染された土壌は、汚染物質が固相に強く吸着しているために浄化が困難であり、bioremediationなどの処理を行なっても土壌中の汚染物濃度が変化しなくなるなど限界があった。さらに、浄化を行なうためには上述した土壌の焼却等の処理コストが高い方式しかなく、現実的でなかった。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、疎水性有機物を、常温、常圧の下で少ないエネルギーによって固相から脱着することができる汚染土壌、スラリー等の浄化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の汚染土壌、スラリー等の浄化方法は、反応槽に貯留した固液混相の処理対象物に、疎水性有機物に対する吸着能を有する球状樹脂を添加し、槽内の水面付近に浮遊する球状樹脂を槽底部へ巡廻させて槽内で球状樹脂を循環しながら、槽内に配置した超音波発信体から処理対象物へ固相に振動抽出作用を及ぼす超音波を照射し、振動抽出作用によって疎水性有機物を固相から液相に移行させて脱着し、界面活性剤と疎水性有機物との結合によって固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止するとともに、脱着した疎水性有機物を球状樹脂に吸着するものである。
【0007】
上記した構成により、処理対象物に含まれたダイオキシン類等の疎水性有機物は、固相の土壌粒子表層に吸着し、あるいは途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する。
【0008】
土壌粒子表層に吸着した疎水性有機物は液相と接していれば平衡状態を保つように土壌から脱着する。このため、液相の疎水性有機物を球状樹脂によって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じることにより、平衡を保つように土壌から疎水性有機物が脱着し、土壌中の汚染物濃度が低下して処理対象物の浄化が進行する。球状樹脂は槽内を流動することにより、疎水性有機物との接触頻度が高まり、吸着効率が向上する。
【0009】
しかし、途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する疎水性有機物は、非常に強く土壌粒子に吸着されており、液相中へ殆ど移行しない形態となって存在している。
【0010】
このため、処理対象物の固相に作用する超音波を照射し、その振動エネルギーによって疎水性有機物を液相ヘ移行しやすい形態に変化させて固相から液相に移行させる。この振動抽出作用によって抽出した疎水性有機物は再び固相に再吸着し易いが、界面活性剤が疎水性有機物と結合することによって、固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止し、疎水性有機物を液相に留める。この液相の疎水性有機物を球状樹脂によって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じ、土壌から疎水性有機物が脱着することを促進し、処理対象物の浄化を行なう。
【0011】
スラリーの浄化が終了したら、球状粒子はオーバーフロー水と共に槽外へ取り出す。球状樹脂は水に浮くので容易に回収できる。回収効率を上げるため反応槽内に水を入れてもよい。取り出した球状樹脂はトルエン等の溶剤で洗浄して再生し再利用する。溶剤中に溶け込んだ疎水性有機物は別途処理をする。処理済みのスラリーは底部より引き抜いて脱水等の処理を施す。
【0012】
振動抽出作用を及ぼす超音波は、処理対象物の物性、例えば疎水性有機物の種類や組成、汚泥や土壌の性状によって異なり、あるいは反応槽の形状によって異なるので、経験則として予め求める。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、反応槽1に貯留する処理対象物2は、産業廃棄物等の最終処分場における埋立地浸出水、汚染土壌、スラリー等であり、ダイオキシン類、PCB類、芳香族炭化水素等の疎水性有機物を含んでいる。
【0014】
反応槽1には、固液混相の処理対象物2を供給する供給系3と、界面活性剤を投入する薬剤供給系4と、疎水性有機物に対する吸着能を有する球状樹脂(XAD2)aを投入する吸着剤供給系5とを接続しており、槽上部と槽底部を連通して循環系6を設け、循環系6から分岐して処理スラリーを取り出す排出系7を設けており、循環系6の上部にオーバーフロー用のバルブ8を設けている。球状樹脂(XAD2)は、巨大網状構造をもった合成吸着剤であって、硬くて、かつ不溶性であって多孔性ポリマーの球状樹脂である。その物性を表1に示す。
【0015】
【表1】
反応槽1の内部には、超音波発信体9(ホーン)を設けており、超音波発信体9は導波管10を通して超音波発振器11に接続している。超音波発振器11は処理対象物2の固相に振動抽出作用を及ぼす超音波振動を発振するものである。超音波発信体9は電圧を受けて発振するセラミック等の振動子を使用することもできる。
【0016】
超音波発信体9から発信する超音波、つまり振動抽出作用を及ぼす超音波の周波数は、処理対象物2の物性、例えば疎水性有機物の種類や組成、汚泥や土壌の性状によって異なり、あるいは反応槽1の形状によって異なるので、経験則として予め求める。
【0017】
以下、上記した構成における作用を説明する。供給系3から反応槽1へ処理対象物2を供給し、所定量の処理対象物2を反応槽1に貯留する。薬剤供給系4から所定量の界面活性剤、例えばLAS(アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム)を、CMC濃度(臨界ミセル濃度)以上に保たれるように添加し、吸着剤供給系5から適当量の球状樹脂aを投入する。循環系6を通して槽内の水面付近に浮遊する球状樹脂aを処理対象物2とともに槽底部に巡廻し、処理対象物2およぼ球状樹脂aを槽内で循環流動させる。
【0018】
処理対象物2に含まれたダイオキシン類等の疎水性有機物は、固相の土壌粒子表層に吸着し、あるいは途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する。
【0019】
土壌粒子表層に吸着した疎水性有機物は液相と接していれば平衡状態を保つように土壌から脱着する。このため、液相の疎水性有機物を球状樹脂aによって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じることにより、平衡を保つように土壌から疎水性有機物が脱着し、土壌中の汚染物濃度が低下して処理対象物2の浄化が進行する。このとき、球状樹脂aが槽内を流動することにより、疎水性有機物との接触頻度が高まり、吸着効率が向上する。
【0020】
しかし、途上粒子微細間隙内孔に付着し、あるいは土壌粒子中に含まれる有機物と複雑に絡みあって存在する疎水性有機物は、液相に接するだけでは、その低い溶解度のために脱着することが困難である。
【0021】
このため、超音波発振器11で発振する超音波を導波管10を通して超音波発信体9から処理対象物2へ照射し、その振動エネルギーによって疎水性有機物を固相から液相に移行させる。この振動抽出作用によって抽出した疎水性有機物は再び固相に再吸着し易いが、界面活性剤が疎水性有機物と結合することによって、固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止し、疎水性有機物を液相に留める。一方、液相に移行した疎水性有機物を球状樹脂aによって吸着し、液相の疎水性有機物濃度を減じ、土壌から疎水性有機物が脱着することを促進し、処理対象物2の浄化を行なう。
【0022】
球状樹脂aはバルブ8を開栓してオーバーフロー水と共に槽外へ取り出す。球状樹脂は水に浮くので、容易に回収できる。回収効率を上げるため反応槽内に水を入れてもよい。取り出した球状樹脂はトルエン等の溶剤で疎水性有機物を抽出・洗浄し、再利用する。
【0023】
以下に、上述した構成の実証試験について説明する。図2は水相と土壌の2相モデルの概念図である。土壌に吸着している汚染物には比較的に弱い力で土壌に吸着して早く水相へ移行するものと、強力に吸着して殆ど水中へ移行しないものとがある。弱い吸着物の割合をFで示し、強い吸着物の割合を1−Fで示しており、Fが大きい程に土壌浄化は容易となる。
【0024】
【数1】
この2相モデル方程式は、土壌中の初期汚染物量S0がx時間後にどの程度(Sx)になるかを示したモデル式である。図3は上記のモデル方程式のグラフ図であり、弱い吸着物の割合Fが大きい程に汚染物がたくさん落ちるので最終的な(Sx)は小さくなり、早い脱着の定数k1が大きい程に汚染物が早く落ちるのでカーブの傾きは急になる。
【0025】
図4は、ある汚染土壌を水中で反転攪拌して汚染物を洗い流した2相モデルの結果を示すものであり、ナフタリンは68%、フェナントレンは46%、ピレンは42%が早く水中へ移行している。
【0026】
図5は、同じ汚染土壌を界面活性剤の存在下で超音波処理した後に反転攪拌した2相モデルの結果を示すものであり、ナフタリンは93%、フェナントレンは94%、ピレンは90%が早く水中へ移行しており、浄化効率が確実に上がっていることを示している。
【0027】
図6は、図5に示した処理を行なった後の弱い吸着物の割合Fを示しており、他の物質に関しても、界面活性剤の存在下で超音波処理することが有効であることが伺える。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、処理対象物に球状樹脂と界面活性剤を添加して超音波を照射することにより、処理対象物から疎水性有機物を脱着するとともに、脱着した疎水性有機物を界面活性剤で液相に留めながら球状樹脂で吸着して、処理対象物から疎水性有機物を分離して浄化することができる。したがって、ダイオキシン類、農薬等の疎水性有機物を、常温、常圧の下で少ないエネルギーによって固相から脱着し、汚染土壌、スラリー等の浄化を行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における浄化装置の模式図である。
【図2】水相と土壌の2相モデルの概念図である。
【図3】モデル方程式のグラフ図である。
【図4】ある汚染土壌を水中で反転攪拌した2相モデルの結果を示すグラフ図である。
【図5】同汚染土壌を界面活性剤の存在下で反転攪拌するとともに超音波処理した2相モデルの結果を示すグラフ図である。
【図6】図5に示した処理を行なった後の弱い吸着物の割合Fを示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 反応槽
2 処理対象物
3 供給系
4 薬剤供給系
5 吸着剤供給系
6 循環系
7 排出系
8 バルブ
9 超音波発信体
10 導波管
11 超音波発振器
a 球状樹脂
Claims (1)
- 反応槽に貯留した固液混相の処理対象物に、疎水性有機物に対する吸着能を有する球状樹脂を添加し、槽内の水面付近に浮遊する球状樹脂を槽底部へ巡廻させて槽内で球状樹脂を循環しながら、槽内に配置した超音波発信体から処理対象物へ固相に振動抽出作用を及ぼす超音波を照射し、振動抽出作用によって疎水性有機物を固相から液相に移行させて脱着し、界面活性剤と疎水性有機物との結合によって固相に対する疎水性有機物の再吸着を防止するとともに、脱着した疎水性有機物を球状樹脂に吸着することを特徴とする汚染土壌、スラリー等の浄化方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000159279A JP3703366B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 汚染土壌、スラリー等の浄化方法 |
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| JP2000159279A JP3703366B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 汚染土壌、スラリー等の浄化方法 |
Publications (2)
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|---|---|
| JP2001334290A JP2001334290A (ja) | 2001-12-04 |
| JP3703366B2 true JP3703366B2 (ja) | 2005-10-05 |
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| JP2000159279A Expired - Fee Related JP3703366B2 (ja) | 2000-05-30 | 2000-05-30 | 汚染土壌、スラリー等の浄化方法 |
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|---|---|
| JP (1) | JP3703366B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN106977076A (zh) * | 2017-05-02 | 2017-07-25 | 温州广德建设有限公司 | 市政污泥处理方法 |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| JP4654134B2 (ja) * | 2006-02-10 | 2011-03-16 | 本多電子株式会社 | 揮発性有機化合物汚染土壌の浄化システム、及びその浄化方法 |
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