JP3703566B2 - 易引裂性ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムの少なくとも長手方向の引裂直線性に優れ、かつ、優れた強度、耐熱性、寸法安定性を有し、菓子、漬物、味噌、スープ、ジャム、冷凍、冷蔵、レトルトパウチなどの食品をはじめ、医薬品、日用品、コスメティックスなどの包装材料として有用な二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品、医薬品、雑貨の包装には、各種のプラスチックフィルムを用いた包装袋が多く使用されており、二軸延伸プラスチックフィルムとヒートシール可能な無配向プラスチックフィルムを2層あるいは3層以上ラミネートした包装袋が広く使用されている。
二軸延伸ポリエステルフィルムは耐久性、防湿性、力学的強度、耐熱性、耐油性が優れており、チューブラー法、フラット式同時二軸延伸法、フラット式逐次二軸延伸法などを用いて製造した二軸延伸ポリエステルフィルムが食品包装分野などにおいて幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた包装袋は、引裂開封性が悪いという問題点を有している。開封性を良くするためにノッチを付与する方法があるが、ノッチから引き裂いた際に直線的に引き裂けない現象がしばしば発生し、内容物が飛散して無駄になるばかりでなく、クッキーなどの軟らかい菓子は開封時に割れたり、内容物が液体の場合には衣服を汚したりするトラブルが起こる場合がある。
【0004】
フィルムを引き裂いた際の直線性に優れる易開封性包装材料としては、一軸配向ポリオレフィンフィルムを中間層としてラミネートしたものがある。このようなものとしては、たとえば、二軸延伸ポリエステルフィルム/一軸延伸ポリオレフィンフィルム/無延伸ポリオレフィンフィルムの3層ラミネートフィルムがあるが、わざわざ中間層を設けなければならずコスト的に問題があり用途が限定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、二軸延伸ポリエステルフィルムの特長である低吸湿性、力学特性、保香性、耐熱性、耐油性、及び特に食品包装材料に要求される乾熱、湿熱環境下での寸法安定性を保持したまま、引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような課題を解決するために鋭意検討した結果、PETに、特定の変性PETを配合した原料を用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
PETに、分子量 1,000〜13,000のポリエチレングリコールを10〜40重量%含有した変性PET(A)を、PET/A=50/50 〜80/20 (重量比)の割合で混合した原料を用いて製造したフィルムであって、引張強度20〜35kgf/mm2 、乾熱収縮率3%以下( 160℃×15分)、ヘイズ5%以下の特性を有することを特徴とする少なくとも長手方向に引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルム。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるPETは、公知の製法、すなわち、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールからのエステル交換反応法、あるいは、テレフタル酸とエチレングリコールからの直接エステル化法によりオリゴマーを得た後、溶融重合、あるいはさらに固相重合して得られるが、本発明の効果を損ねない範囲であれば他の成分を共重合することができる。
【0009】
他の共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6 −ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコールや、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物が挙げられる。
【0010】
また、本発明における原料樹脂としては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどの他のポリマーを混合することができる。
【0011】
本発明において、ポリエチレングリコール(PEG)の分子量は 1,000〜13,000であることが必要であり、好ましくは 2,000〜10,000、さらに好ましくは 4,000〜8,000 である。
分子量が 1,000未満の場合には引裂直線性が得られず、13,000を超える場合には、機械的強度、寸法安定性、ヘイズなどの性能が低下し、また、安定したフィルムの引裂直線性が発現しにくい。
【0012】
本発明のフィルムにおいて、変性PET(A)を構成するPETとPEGの混合比率は、PET/PEG=60/40〜90/10(重量比)であり、好ましくは65/35〜85/15(重量比)、さらに好ましくは70/30 〜80/20 (重量比)である。
PEGが10重量%未満の場合、及び40重量%を超える場合には、機械的強度、寸法安定性、ヘイズなどの性能が低下し、また、安定したフィルムの引裂直線性が発現しにくい。
【0013】
また、本発明のフィルムを製造するためには、PETと変性PET(A)との混合比を、PET/A=50/50 〜80/20 (重量比)、好ましくは55/45〜75/25(重量比)、さらに好ましくは60/40 〜70/30 (重量比)とすることが必要である。
変性PET(A)が20重量%未満の場合には引裂直線性が得られず、50重量%を超える場合には、機械的強度、寸法安定性、ヘイズなどの性能が低下して実用性能に問題が生じる。
【0014】
本発明における変性PET(A)は、PETとPEGを押出機で溶融混練することによって得られるが、他の方法としては、PETの重合工程においてPEGを添加して重縮合して得ることもできる。
【0015】
本発明のフィルムの製造方法としては、たとえば、PETとPEGを所定の配合比でブレンドした後、2軸押出機を使用して溶融混練したものを、チップ状にペレタイズした変性PET(A)と、PETチップを混合したものを押出機に投入し、加熱溶融した後、Tダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、未延伸シートを製造する。
Tダイのダイオリフィスから押し出されたシートは、静電印加キャスト法などにより冷却ドラムに密着して巻きつけられて冷却される。次に、得られた未延伸シートは温度90〜 140℃で、縦横それぞれ 3.0〜5.0 倍の倍率で二軸延伸され、さらに、210 〜250 ℃で熱処理される。
【0016】
延伸温度が90℃未満の場合には、均質な延伸フィルムを得ることができない場合があり、 140℃を超えると、PETの結晶化が促進されて、透明性が悪くなる場合がある。また、延伸倍率が 3.0倍未満の場合には、得られる延伸フィルムの強度が小さく、袋にしたときにピンホールが発生しやすく、5.0 倍を超えると、延伸が困難となる。
また、熱処理温度が 210℃より低いと、得られる延伸フィルムの収縮率が大きくなり、製袋後の袋が変形する場合があり、また、250 ℃より高いと、フィルムの溶断が発生する場合がある。
【0017】
なお、二軸延伸方法としては、テンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸法のいずれでもよい。また、チューブラー法で二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0018】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは引張強度が 20 〜35kgf/mm2 の範囲にあることが好ましく、引張強度がこの範囲の値より小さいと実用強度が不足し、この範囲を超えても過剰品質となるばかりか、かえってフィルム製造時の操業性が低下し経済的に好ましくない。
また、引張伸度は、通常80〜 160%(長手方向と幅方向の平均値)の範囲にあることが好ましい。
【0019】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは乾熱収縮率が、 160℃×15分の処理で3%以下(長手方向と幅方向の平均値)の範囲であることが好ましく、3%を超えると印刷適性が悪化するので好ましくない。
【0020】
また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムはヘーズが、5%以下であることが好ましく、ヘーズが5%を超えるとフィルムの透明性が悪くなり、商品価値が損なわれる。
【0021】
本発明の二軸延伸フィルムには、コロナ放電処理、表面硬化処理、メッキ処理、着色処理、あるいは各種のコーティング処理による表面処理を付与することができる。
【0022】
【作用】
本発明においては、単にPETとPEGを溶融混合した原料を用いるのではなく、あらかじめPETとPEGとからなる変性PETを製造した後に、PETを溶融混合した原料を用いることにより、PEGがPETマトリックス中に適度に分散するために、優れた引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムが得られるものと考えられる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例の評価に用いた原料及び測定方法は、次のとおりである。
【0024】
(1)原料
PET:ユニチカ社製(相対粘度1.38dl/g)
PEG:三洋化学工業社製
【0025】
(2)測定方法
相対粘度;
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、濃度 0.5g/dl、温度20℃で測定した。
引裂直線性;
二軸延伸フィルムより長手方向(MD方向)に 205mm、幅方向(TD方向)に40mmの短冊状のフィルム片を切り出し、このフィルム片の一方の短辺の中央部に長さ5mmの切込みを入れた試料を10本作製する(図1)。
次に、切込みよりMD方向に手で引き裂き、図2(a) のように、引裂伝播端が切込みを入れた辺に向かい合う短辺に到達した試料本数をMD方向の引裂直線性の評価値とした。(評価値8以上を合格とした。)
TD方向の引裂直線性は、フィルムのTD方向に 205mm、MD方向に40mmの短冊状のフィルム片を切出したものを試料とした以外は、上記と同様に測定した。
なお、評価は、延伸後巻き取ったフィルムの左端部、中央部及び右端部それぞれについて実施した。
【0026】
ヘーズ(曇度);
15μm 厚のフィルムのヘーズを ASTM D103-61 に準拠して測定を行った。
乾熱収縮率;
フィルムのMD方向及びTD方向にそれぞれ標線をいれた短冊試料を切り出し、オーブン内で 160℃で15分間処理し、処理後の標線間寸法を20℃、65%RH平衡状態で測定した。
処理による縮み量の処理前寸法に対する百分率で表した。
引張強度;
幅10mm、長さ10cmの試料を用いて、ASTM-D882 に準じて測定した。
【0027】
実施例1
PETと分子量 6,000のPEGを、PET/PEG=75/25(重量比)の割合でチップ混合したものを2軸押出機で溶融混合して、チップ化して変性PET(A)(相対粘度 1.33 dl/g)を調製した。
次に、変性PET(A)とPETを35/65 (重量比)の割合でチップ混合したものを、コートハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を使用して、滞留時間5分、樹脂温度 270℃で溶融押出しし、20℃に温調されたキャストロールにピニングワイヤーに7kVの印加電圧をかけて密着急冷し、厚さ約 210μm の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートをロール縦延伸機で90℃で 3.8倍、テンター横延伸機で 120℃で 4.6倍延伸した後、横方向の弛緩処理を5%として、 230℃で熱処理を施し、室温まで除冷し、厚さ12μm の二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1に示した。
【0028】
実施例2〜8、比較例1〜7
変性PET(A)中のPEGの分子量、PEGとPETの混合比、変性PET(A)とPETの混合比を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1及び表2に示した。
【0029】
実施例9
エチレングリコールとテレフタル酸を 1.6/1.0(モル比)の配合比でそれぞれエステル化槽に供給し、温度 255℃で6時間反応させ、エステル化反応率95%のビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を得た。
次に、これを重合缶に移送し、触媒として三酸化アンチモンを酸成分に対して4×10-4モル%添加し、さらに、分子量 6,000のPEGを変性PET(A)中の組成比が25重量%となるように混合して減圧を開始し、最終的に1.3hPa以下の減圧下、温度 280℃で5時間重合し、相対粘度1.6 の変性PET(A)を得た。
次に、変性PET(A)とPETを35/65 (重量比)の割合でチップ混合したものを、コートハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を使用して、滞留時間5分、樹脂温度 270℃で溶融押出しし、20℃に温調されたキャストロールにピニングワイヤーに7kVの印加電圧をかけて密着急冷し、厚さ約 210μm の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートをロール縦延伸機で90℃で 3.8倍、テンター横延伸機で 120℃で 4.6倍延伸した後、横方向の弛緩処理を5%として、 230℃で熱処理を施し、室温まで除冷し、厚さ12μm の二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1に示した。
【0030】
実施例10〜11、比較例8〜10
変性PET(A)中のPEGの分子量、PEGとPETの混合比、変性PET(A)とPETの混合比を表1のように変更した以外は、実施例9と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1及び表2に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
実施例12〜19、比較例11〜18
実施例1、9及び比較例1、7で得られたフィルムを、表3に示す構成でドライラミネートを行い、製袋した後、引裂直線性の評価を実施した。
引裂直線性を評価した結果を表3に示す。
【0034】
包材構成成分の略号は次のものを示す。
PT1:実施例1で得られた二軸延伸フィルム
PT2:実施例9で得られた二軸延伸フィルム
PT3:比較例1で得られた二軸延伸フィルム
PT4:比較例7で得られた二軸延伸フィルム
LLDPE:線状低密度ポリエチレン(東京セロファン紙社製、TUX-TC、厚さ60μm )
ON:二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、厚さ15μm )
CPP1:無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製、厚さ30μm )
CPP2:無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製、厚さ60μm )
AL:アルミ箔(昭和アルミニウム社製、厚さ7μm )
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性、防湿性、力学的性質、耐熱性、耐油性を有すると共に、少なくとも長手方向に引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムが提供される。
また、本発明のフィルムを包装袋を構成するフィルムの少なくとも1層に用いることによって、優れた開封性を有する包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの引裂直線性評価に用いた試験片の形状を示す。
【図2】引裂試験における引き裂き後の試験片の形状を示す図であり、(a)は引裂直線性が良好な試料の引き裂き後の試験片の例、(b)は引裂直線性が不良な試料の引き裂き後の試験片の例を示す。
【符号の説明】
1 切込み
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムの少なくとも長手方向の引裂直線性に優れ、かつ、優れた強度、耐熱性、寸法安定性を有し、菓子、漬物、味噌、スープ、ジャム、冷凍、冷蔵、レトルトパウチなどの食品をはじめ、医薬品、日用品、コスメティックスなどの包装材料として有用な二軸延伸ポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品、医薬品、雑貨の包装には、各種のプラスチックフィルムを用いた包装袋が多く使用されており、二軸延伸プラスチックフィルムとヒートシール可能な無配向プラスチックフィルムを2層あるいは3層以上ラミネートした包装袋が広く使用されている。
二軸延伸ポリエステルフィルムは耐久性、防湿性、力学的強度、耐熱性、耐油性が優れており、チューブラー法、フラット式同時二軸延伸法、フラット式逐次二軸延伸法などを用いて製造した二軸延伸ポリエステルフィルムが食品包装分野などにおいて幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた包装袋は、引裂開封性が悪いという問題点を有している。開封性を良くするためにノッチを付与する方法があるが、ノッチから引き裂いた際に直線的に引き裂けない現象がしばしば発生し、内容物が飛散して無駄になるばかりでなく、クッキーなどの軟らかい菓子は開封時に割れたり、内容物が液体の場合には衣服を汚したりするトラブルが起こる場合がある。
【0004】
フィルムを引き裂いた際の直線性に優れる易開封性包装材料としては、一軸配向ポリオレフィンフィルムを中間層としてラミネートしたものがある。このようなものとしては、たとえば、二軸延伸ポリエステルフィルム/一軸延伸ポリオレフィンフィルム/無延伸ポリオレフィンフィルムの3層ラミネートフィルムがあるが、わざわざ中間層を設けなければならずコスト的に問題があり用途が限定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、二軸延伸ポリエステルフィルムの特長である低吸湿性、力学特性、保香性、耐熱性、耐油性、及び特に食品包装材料に要求される乾熱、湿熱環境下での寸法安定性を保持したまま、引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような課題を解決するために鋭意検討した結果、PETに、特定の変性PETを配合した原料を用いることにより、上記の課題が解決されることを見出し本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
PETに、分子量 1,000〜13,000のポリエチレングリコールを10〜40重量%含有した変性PET(A)を、PET/A=50/50 〜80/20 (重量比)の割合で混合した原料を用いて製造したフィルムであって、引張強度20〜35kgf/mm2 、乾熱収縮率3%以下( 160℃×15分)、ヘイズ5%以下の特性を有することを特徴とする少なくとも長手方向に引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルム。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明におけるPETは、公知の製法、すなわち、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールからのエステル交換反応法、あるいは、テレフタル酸とエチレングリコールからの直接エステル化法によりオリゴマーを得た後、溶融重合、あるいはさらに固相重合して得られるが、本発明の効果を損ねない範囲であれば他の成分を共重合することができる。
【0009】
他の共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6 −ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコールや、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物が挙げられる。
【0010】
また、本発明における原料樹脂としては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどの他のポリマーを混合することができる。
【0011】
本発明において、ポリエチレングリコール(PEG)の分子量は 1,000〜13,000であることが必要であり、好ましくは 2,000〜10,000、さらに好ましくは 4,000〜8,000 である。
分子量が 1,000未満の場合には引裂直線性が得られず、13,000を超える場合には、機械的強度、寸法安定性、ヘイズなどの性能が低下し、また、安定したフィルムの引裂直線性が発現しにくい。
【0012】
本発明のフィルムにおいて、変性PET(A)を構成するPETとPEGの混合比率は、PET/PEG=60/40〜90/10(重量比)であり、好ましくは65/35〜85/15(重量比)、さらに好ましくは70/30 〜80/20 (重量比)である。
PEGが10重量%未満の場合、及び40重量%を超える場合には、機械的強度、寸法安定性、ヘイズなどの性能が低下し、また、安定したフィルムの引裂直線性が発現しにくい。
【0013】
また、本発明のフィルムを製造するためには、PETと変性PET(A)との混合比を、PET/A=50/50 〜80/20 (重量比)、好ましくは55/45〜75/25(重量比)、さらに好ましくは60/40 〜70/30 (重量比)とすることが必要である。
変性PET(A)が20重量%未満の場合には引裂直線性が得られず、50重量%を超える場合には、機械的強度、寸法安定性、ヘイズなどの性能が低下して実用性能に問題が生じる。
【0014】
本発明における変性PET(A)は、PETとPEGを押出機で溶融混練することによって得られるが、他の方法としては、PETの重合工程においてPEGを添加して重縮合して得ることもできる。
【0015】
本発明のフィルムの製造方法としては、たとえば、PETとPEGを所定の配合比でブレンドした後、2軸押出機を使用して溶融混練したものを、チップ状にペレタイズした変性PET(A)と、PETチップを混合したものを押出機に投入し、加熱溶融した後、Tダイのダイオリフィスからシート状に押し出し、未延伸シートを製造する。
Tダイのダイオリフィスから押し出されたシートは、静電印加キャスト法などにより冷却ドラムに密着して巻きつけられて冷却される。次に、得られた未延伸シートは温度90〜 140℃で、縦横それぞれ 3.0〜5.0 倍の倍率で二軸延伸され、さらに、210 〜250 ℃で熱処理される。
【0016】
延伸温度が90℃未満の場合には、均質な延伸フィルムを得ることができない場合があり、 140℃を超えると、PETの結晶化が促進されて、透明性が悪くなる場合がある。また、延伸倍率が 3.0倍未満の場合には、得られる延伸フィルムの強度が小さく、袋にしたときにピンホールが発生しやすく、5.0 倍を超えると、延伸が困難となる。
また、熱処理温度が 210℃より低いと、得られる延伸フィルムの収縮率が大きくなり、製袋後の袋が変形する場合があり、また、250 ℃より高いと、フィルムの溶断が発生する場合がある。
【0017】
なお、二軸延伸方法としては、テンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸法のいずれでもよい。また、チューブラー法で二軸延伸フィルムを製造してもよい。
【0018】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは引張強度が 20 〜35kgf/mm2 の範囲にあることが好ましく、引張強度がこの範囲の値より小さいと実用強度が不足し、この範囲を超えても過剰品質となるばかりか、かえってフィルム製造時の操業性が低下し経済的に好ましくない。
また、引張伸度は、通常80〜 160%(長手方向と幅方向の平均値)の範囲にあることが好ましい。
【0019】
本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムは乾熱収縮率が、 160℃×15分の処理で3%以下(長手方向と幅方向の平均値)の範囲であることが好ましく、3%を超えると印刷適性が悪化するので好ましくない。
【0020】
また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムはヘーズが、5%以下であることが好ましく、ヘーズが5%を超えるとフィルムの透明性が悪くなり、商品価値が損なわれる。
【0021】
本発明の二軸延伸フィルムには、コロナ放電処理、表面硬化処理、メッキ処理、着色処理、あるいは各種のコーティング処理による表面処理を付与することができる。
【0022】
【作用】
本発明においては、単にPETとPEGを溶融混合した原料を用いるのではなく、あらかじめPETとPEGとからなる変性PETを製造した後に、PETを溶融混合した原料を用いることにより、PEGがPETマトリックス中に適度に分散するために、優れた引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムが得られるものと考えられる。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例の評価に用いた原料及び測定方法は、次のとおりである。
【0024】
(1)原料
PET:ユニチカ社製(相対粘度1.38dl/g)
PEG:三洋化学工業社製
【0025】
(2)測定方法
相対粘度;
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、濃度 0.5g/dl、温度20℃で測定した。
引裂直線性;
二軸延伸フィルムより長手方向(MD方向)に 205mm、幅方向(TD方向)に40mmの短冊状のフィルム片を切り出し、このフィルム片の一方の短辺の中央部に長さ5mmの切込みを入れた試料を10本作製する(図1)。
次に、切込みよりMD方向に手で引き裂き、図2(a) のように、引裂伝播端が切込みを入れた辺に向かい合う短辺に到達した試料本数をMD方向の引裂直線性の評価値とした。(評価値8以上を合格とした。)
TD方向の引裂直線性は、フィルムのTD方向に 205mm、MD方向に40mmの短冊状のフィルム片を切出したものを試料とした以外は、上記と同様に測定した。
なお、評価は、延伸後巻き取ったフィルムの左端部、中央部及び右端部それぞれについて実施した。
【0026】
ヘーズ(曇度);
15μm 厚のフィルムのヘーズを ASTM D103-61 に準拠して測定を行った。
乾熱収縮率;
フィルムのMD方向及びTD方向にそれぞれ標線をいれた短冊試料を切り出し、オーブン内で 160℃で15分間処理し、処理後の標線間寸法を20℃、65%RH平衡状態で測定した。
処理による縮み量の処理前寸法に対する百分率で表した。
引張強度;
幅10mm、長さ10cmの試料を用いて、ASTM-D882 に準じて測定した。
【0027】
実施例1
PETと分子量 6,000のPEGを、PET/PEG=75/25(重量比)の割合でチップ混合したものを2軸押出機で溶融混合して、チップ化して変性PET(A)(相対粘度 1.33 dl/g)を調製した。
次に、変性PET(A)とPETを35/65 (重量比)の割合でチップ混合したものを、コートハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を使用して、滞留時間5分、樹脂温度 270℃で溶融押出しし、20℃に温調されたキャストロールにピニングワイヤーに7kVの印加電圧をかけて密着急冷し、厚さ約 210μm の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートをロール縦延伸機で90℃で 3.8倍、テンター横延伸機で 120℃で 4.6倍延伸した後、横方向の弛緩処理を5%として、 230℃で熱処理を施し、室温まで除冷し、厚さ12μm の二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1に示した。
【0028】
実施例2〜8、比較例1〜7
変性PET(A)中のPEGの分子量、PEGとPETの混合比、変性PET(A)とPETの混合比を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1及び表2に示した。
【0029】
実施例9
エチレングリコールとテレフタル酸を 1.6/1.0(モル比)の配合比でそれぞれエステル化槽に供給し、温度 255℃で6時間反応させ、エステル化反応率95%のビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を得た。
次に、これを重合缶に移送し、触媒として三酸化アンチモンを酸成分に対して4×10-4モル%添加し、さらに、分子量 6,000のPEGを変性PET(A)中の組成比が25重量%となるように混合して減圧を開始し、最終的に1.3hPa以下の減圧下、温度 280℃で5時間重合し、相対粘度1.6 の変性PET(A)を得た。
次に、変性PET(A)とPETを35/65 (重量比)の割合でチップ混合したものを、コートハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を使用して、滞留時間5分、樹脂温度 270℃で溶融押出しし、20℃に温調されたキャストロールにピニングワイヤーに7kVの印加電圧をかけて密着急冷し、厚さ約 210μm の未延伸シートを得た。
得られた未延伸シートをロール縦延伸機で90℃で 3.8倍、テンター横延伸機で 120℃で 4.6倍延伸した後、横方向の弛緩処理を5%として、 230℃で熱処理を施し、室温まで除冷し、厚さ12μm の二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1に示した。
【0030】
実施例10〜11、比較例8〜10
変性PET(A)中のPEGの分子量、PEGとPETの混合比、変性PET(A)とPETの混合比を表1のように変更した以外は、実施例9と同様にして二軸延伸フィルムを得た。
得られた二軸延伸フィルムの引裂直線性を測定し、結果を表1及び表2に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
実施例12〜19、比較例11〜18
実施例1、9及び比較例1、7で得られたフィルムを、表3に示す構成でドライラミネートを行い、製袋した後、引裂直線性の評価を実施した。
引裂直線性を評価した結果を表3に示す。
【0034】
包材構成成分の略号は次のものを示す。
PT1:実施例1で得られた二軸延伸フィルム
PT2:実施例9で得られた二軸延伸フィルム
PT3:比較例1で得られた二軸延伸フィルム
PT4:比較例7で得られた二軸延伸フィルム
LLDPE:線状低密度ポリエチレン(東京セロファン紙社製、TUX-TC、厚さ60μm )
ON:二軸延伸ナイロン6フィルム(ユニチカ社製、厚さ15μm )
CPP1:無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製、厚さ30μm )
CPP2:無延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製、厚さ60μm )
AL:アルミ箔(昭和アルミニウム社製、厚さ7μm )
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、耐久性、防湿性、力学的性質、耐熱性、耐油性を有すると共に、少なくとも長手方向に引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルムが提供される。
また、本発明のフィルムを包装袋を構成するフィルムの少なくとも1層に用いることによって、優れた開封性を有する包装袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの引裂直線性評価に用いた試験片の形状を示す。
【図2】引裂試験における引き裂き後の試験片の形状を示す図であり、(a)は引裂直線性が良好な試料の引き裂き後の試験片の例、(b)は引裂直線性が不良な試料の引き裂き後の試験片の例を示す。
【符号の説明】
1 切込み
Claims (3)
- ポリエチレンテレフタレート(PET)に、分子量 1,000〜13,000のポリエチレングリコールを10〜40重量%含有した変性PET(A)を、PET/A=50/50 〜80/20 (重量比)の割合で混合した原料を用いて製造したフィルムであって、引張強度20〜35kgf/mm2 、乾熱収縮率3%以下( 160℃×15分)、ヘイズ5%以下の特性を有することを特徴とする少なくとも長手方向に引裂直線性を有する二軸延伸ポリエステルフィルム。
- 少なくとも1層に請求項1の二軸延伸ポリエステルフィルムを使用した積層フィルム。
- 請求項2の積層フィルムを使用し、易引裂方向が袋の引裂方向となるように製袋した易開封性包装袋。
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