JP3703785B2 - 防水キーボードに使用されるプリント回路膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、防水キーボードの製造方法に関するものである。より具体的には、本発明は防水キーボードに使用されるプリント回路膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯型コンピューターとしてノートパソコンが広く使用されるようになってきている。ノートパソコンには超薄型ノートパソコンやオールインワン型ノートパソコンなどがある。ノートパソコンは本質的には入力装置、モニターおよび主演算装置で構成されている。入力装置としてはマウス、キーボード、音声認識入力システムなどのヒューマン・インターフェース装置(HID)が使用されている。
アプリケーション・プログラムのほとんどは、入力装置を介して操作される。使い勝手をよくするために、現在のノートパソコンはより軽量、そしてよりコンパクトに設計されている。
【0003】
加えて、入力装置の防水特性も、ノートパソコンの寿命を伸ばし得るので、重要である。従来のノートパソコンのキーボードの内部では、キーボードのプリント回路膜に通常防水被膜が施され、その回路を外部の湿気、水分あるいは液体との接触から保護している。
【0004】
図1は従来の防水キーボードのプリント回路膜の製造方法を示すフローチャートである。図1によれば、製造方法として回路層を形成するステップS100、絶縁層を形成するステップS102、防水被膜加工をおこなうステップS104、絶縁層に回路層を積層するステップS106、硬化処理をおこなうステップS108および打ち抜き加工をおこなうステップS110が示されている。
【0005】
ステップS100においては、ポリエチレン・テレフタレート(以下、PETと呼ぶ)製の膜上に導電体のパターンを印刷することにより回路層が形成される。
この導電体のパターンは複数の回路と複数の接点を有している。ステップS102においては、PET膜に、前記回路層の接点とそれぞれ対応する位置に複数の開口部を形成するよう打ち抜き加工をおこなうことにより、絶縁層が形成される。
【0006】
防水被膜は前記回路層または絶縁層に対して加工される。防水被膜加工をおこなう部位は、防水被膜加工後に形成されるべき位置決め穴に対応している。通常、防水被膜加工をおこなう領域は位置決め穴の直径よりも大きくされている。
【0007】
ステップS106においては、絶縁層が回路層に積層される。図2は絶縁層に回路層を積層して得られる従来のプリント回路膜を示す模式図である。図2において、回路層200は折り曲げられて第一の回路部200aと第二の回路部200bとに分けられている。絶縁層300が第一の回路部200aと第二の回路部200bの間に挟み込まれる。その後、絶縁層は回路層に積層される。
【0008】
図2において、回路層200の第一の回路部200aと第二の回路部200bには、回路がお互いにその位置が対応するように配置されている。第一の回路部200a上にはキーボードの各キーにそれぞれ対応する複数の接点202aおよびこれらの接点202aにそれぞれ電気的に接続された複数の回路204aが形成されている。第二の回路部200b上には接点202aにそれぞれ対応する複数の接点202bおよびこれらの接点202bにそれぞれ対応する複数の回路204bが形成されている。絶縁層300は接点202aおよび202bにそれぞれ対応する位置に複数の開口部302を有している。
【0009】
絶縁層300が回路層200に積層されると、接点202aおよび202bは絶縁層300の開口部302の内部に位置することになる。キーボードのいずれかのキーと第一の回路部200aが押し下げられると、第一の回路部200a上の接点202aは第二の回路部200b上の接点202bと電気的に接続され、これによって情報の入力がおこなわれる。
【0010】
図1に示されたとおり、絶縁層が回路層に積層されるステップS106の後、ステップS108において防水被膜の硬化処理がおこなわれる。防水被膜の硬化には通常、赤外線照射が用いられる。最後に、第一の回路部200a、絶縁層300および第二の回路部200bを有する硬化処理された層に、キーボードの位置決め機構にそれぞれ対応する位置と大きさの複数の位置決め穴が、打ち抜き加工によって形成される。
【0011】
図3A乃至3Dは従来のプリント回路膜が形成される工程を示す模式図である。図3Aにおいて、回路層を設ける。この回路層は第一の回路部200aと第二の回路部200bを有している。第一の回路部200aはその上に複数の接点202aと複数の回路(図示せず)を有している。第二の回路部200bはその上に1つの接点202bと回路(図示せず)を有している。絶縁層300は複数の開口部302を有している。防水被膜400は、接点202aおよび202bが開口部302の内部に位置するよう第一の回路部200a、絶縁層300および第二の回路部200bが配置された状態において、絶縁層300上の所定の領域に施される。
【0012】
図3Bにおいて、防水被膜が施された後、第一の回路部200aは、絶縁層300および第二の回路部200bとで積層され、多層膜を形成する。接点202aおよび202bが開口部302の内部に配置されている。
【0013】
図3Cにおいて、前記積層工程の後、第一と第二の回路部の間の防水被膜は赤外線によって硬化処理される。これにより、防水性が獲得される。
【0014】
図3Dにおいて、ステップS108の硬化処理の後、打ち抜き加工がおこなわれて複数の位置決め穴402が形成される。防水被膜が形成された領域は位置決め穴402の位置に対応しており、またこれらを覆っている。したがって、防水被膜400は位置決め穴402の側壁から湿気、水分または液体が多層膜内へ侵入することを防止している。
【0015】
図4は従来のプリント回路膜の位置決め穴と防水被膜を示す模式図である。図に示されたとおり、防水被膜400は打ち抜き加工がおこなわれて位置決め穴402が形成された後も完全には除去されていない。図3Dは図4のI-I線による断面図である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従来の防水キーボード用プリント回路膜の製造方法では、防水被膜は回路層と絶縁層の間に形成されている。したがって積層工程がおこなわれた後は、防水被膜の分布位置の調節が困難になる。しかも、積層工程の後に防水被膜を赤外線照射によって硬化処理する必要がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、プリント回路膜にレーザー溶着による防水加工をほどこして複数の防水領域を形成する、防水キーボード用のプリント回路膜の製造方法を提供することである。
【0018】
本発明の上記の、および他の目的を達成するため、防水キーボード用プリント回路膜の製造方法をここに提供する。まず、回路層と絶縁層が準備される。この回路層はキーボードの複数のキーにそれぞれ対応する複数の接点と、これらの接点にそれぞれ接続された複数の回路を有している。絶縁層は回路層の接点にそれぞれ対応する位置に複数の開口部を有している。回路層は折り曲げられており、絶縁層は回路層と絶縁層が積層されるよう、折り曲げられた回路層の間にはさみこまれている。積層工程の後、例えばレーザーを回路層と絶縁層に部分的に照射し、適切な位置に複数の防水領域を形成する防水加工がおこなわれる。その後、防水領域に打ち抜き加工がなされて複数の位置決め穴が形成される。
【0019】
回路層は、第一の基膜を準備し、この第一の基膜上に導電体のパターンを印刷することにより形成される。導電体のパターンはそれぞれ、接点と、接点に電気的に接続された回路とを有している。第一の基膜は、例えばPETでできたものである。導電体のパターンを形成する材料としては、例えば銀のペーストがある。
【0020】
絶縁層は例えば第二の基膜を準備し、この第二の基膜上に回路層の接点とそれぞれ対応する位置に複数の開口部を打ち抜くことにより形成される。第二の基膜は、例えばPETでできたものを使用できる。
【0021】
本発明のひとつの観点において、防水加工は焦点を有するレーザー光線を照射しておこなわれる。レーザー光線の焦点は回路層と絶縁層を部分的に溶着させることができる。
【0022】
本発明の別の観点からは、防水加工は回路層にマスクを設け、その回路層に焦線を有するレーザー光線を照射しておこなわれる。マスクは複数の開口部を有しており、その開口部を介して回路層の一部が露出している。露出している回路層には後の工程で焦線を有するレーザー光線が照射され、回路層と絶縁層とが溶着される。
【0023】
本発明において、レーザー光線の焦線は所定の方向に向かって掃射する。したがって、防水加工時のレーザー溶着効率が向上し、処理能力が著しく増大する。
【0024】
前記の概略的記述および以下の詳細な記述はいずれも例証的なものであり、請求項に記載された本発明に関する、更なる説明がなされることを前提とするものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態について、以下詳しく説明する。その例は添付の図面に図示されている。同一の、または類似の部材を記述または図示する場合は、可能な限り同一の符号が用いられている。
【0026】
図5は本発明の好適な実施の形態による防水キーボードに使用されるプリント回路膜の製造方法を示すフローチャートである。本発明による製造方法は、回路層の形成(S500)、絶縁層の形成(S502)、絶縁層と回路層の積層(S504)、防水加工(S506)および打ち抜き加工(S508)というステップを有するものである。
【0027】
ステップS500において、第一の基膜に導電体のパターンを形成することにより、回路層が形成される。導電体のパターンはそれぞれ接点と、それらの接点と電気的に接続された回路とを有している。第一の基膜上での導電体のパターンの形成は、印刷によっておこなうことができる。ステップS502においては、第二の基膜を打ち抜いて回路層の接点にそれぞれ対応する位置に複数の開口部を形成することにより、絶縁層が形成される。
【0028】
ステップS504においては、絶縁層が回路層に積層される。積層に先立ち、回路層が絶縁層の上に積み重ねられる。図6は本発明の好適な実施の形態に従い絶縁層に回路層を重ねて得られるプリント回路膜を示す模式図である。図6において、回路層600は折り曲げられて第一の回路部600aと第二の回路部600bとに分けられている。上記のとおり形成された絶縁層700が、第一の回路部600aと第二の回路部600bとの間にはさみこまれる。その後、絶縁層は回路層と積層される。
【0029】
また図6に関し、第一の回路部600aと第二の回路部600bはお互いに位置が対応する導電体のパターンを有している。第一の回路部600a上にはキーボードの各キーにそれぞれ対応する複数の接点602aおよびこれらの接点602aにそれぞれ電気的に接続された複数の回路604aが形成されている。第二の回路部600b上には接点602aにそれぞれ対応する複数の接点602bおよびこれらの接点602bにそれぞれ対応する複数の回路604bが形成されている。ステップS502にて形成された絶縁層700は接点602aおよび602bにそれぞれ対応する位置に複数の開口部702を有している。
【0030】
絶縁層700が回路層600に積層された後、おのおのの接点602aおよび602bは絶縁層700のおのおのの開口部702の内部に位置している。キーが押され、したがって第一の回路部600aが押し下げられると、第一の回路部600a上の接点602aは第二の回路部600b上の接点602bと電気的に接続され、これにより情報の入力がおこなわれる。
【0031】
図5に示されたとおり、ステップS504に続いて、ステップS506においてレーザー溶着法による防水加工がおこなわれる。最後に打ち抜き加工がおこなわれ、キーボードのキーの位置決め機構にそれぞれ対応する位置と大きさの複数の位置決め穴が形成される。
【0032】
図7A乃至7Eは本発明のひとつの実施の形態によるプリント回路膜の製造工程を示す模式図である。図7Aにおいて、回路層が準備される。この回路層は第一の回路部600aと第二の回路部600bとを有している。第一の回路部600aは複数の接点602aと、それらの上に複数の回路(図示せず)を有している。第二の回路部600bは複数の接点602bと、それらの上に複数の回路(図示せず)を有している。複数の開口部702を有する絶縁層700が準備される。
【0033】
図7Bにおいて、第一の回路部600aは絶縁層700および第二の回路部600bとで積層され、多層膜が形成される。したがって、接点602aのひとつは接点602bのうちの対応するひとつと一定の隙間を隔てて開口部702のひとつの内部に位置することになる。
【0034】
図7Cにおいて、上記の積層工程の後、レーザー800を用いて防水加工がおこなわれる。レーザーの種類としては、例えば二酸化炭素レーザー、ネオジム・YAGレーザー、あるいはダイオードレーザーが使用できる。レーザーは、焦点または焦線を有するレーザー光線を発射するものでもよい。
【0035】
図7Cおよび図7Dにおいて、レーザー800が第一の回路部600aと絶縁層700の間の界面を照射すると、第一の回路部600aと絶縁層700は溶融領域802において溶着される。また、レーザー光線800は第二の回路部600bと絶縁層700の間の界面を部分的に照射し、第二の回路部600bと絶縁層700を接合する。レーザー光線800により照射された部分を、溶融領域802と呼ぶこととする。溶融領域802はその後冷却される。冷却が完了すると溶融領域802は優れた防水性を獲得し、よってこれを防水領域804と呼ぶこととする。
【0036】
図7Eにおいて、打ち抜き加工がおこなわれて位置決め穴806が形成される。防水領域804は位置決め穴806に対応する位置にあり、位置決め穴806より大きい面積を有している。打ち抜き加工の後も、防水領域804はプリント回路膜内への水分や液体の侵入を防止することができる。
【0037】
図8は本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜上の防水領域と位置決め領域を示す模式図である。図に示されたとおり、防水領域804は位置決め穴806を取り囲んでいる。図7Eは図8のII-II線による模断面図である。
【0038】
図9Aおよび9Bは本発明の好適な実施の形態によるレーザー溶着加工を示す模式図である。図9Aに示されたとおり、レーザー溶着はレーザー光線の焦点902aを用いておこなわれる。
【0039】
図9Bに示されたとおり、レーザー溶着は代替的にレーザー光線の焦線902bを発生させておこなうこともできる。マスク906がプリント回路膜900の上に配置される。マスク906は複数の開口部908を有している。これらの開口部908はプリント回路膜上の、防水領域が形成されるべき位置にそれぞれ対応して配置されている。そうして焦線902bがプリント回路膜900上の、開口部908によって露出されている部分を、矢印904で示された方向に掃射する。この工程により、処理能力が著しく向上する。
【0040】
【発明の効果】
前記を鑑みれば、本発明による防水キーボード用のプリント回路膜の製造方法は少なくとも以下の利点を有している。
【0041】
1.本発明においては、防水被膜の形成工程は不要である。したがって、防水被膜の塗布に関わる困難な調整の問題は除去されている。
【0042】
2.プリント回路膜の防水加工のためにレーザー溶着法が用いられている。
【0043】
3.マスクを用いてレーザー溶着すべき部位を特定しているので、処理能力が著しく向上する。
【0044】
当業者にとっては、本発明の範囲と精神を逸脱することなく本発明の構成に対し様々な修正および変更を行いうることは明らかである。そのことに鑑み、本発明の修正および変更は、添付の請求項および同等の記述の範囲に属する限り、本発明の範疇に含まれるものである。
【0045】
添付の図面は本発明のよりよき理解のために供されるものであり、本明細書に編入されその一部をなすものである。各図面は本発明の実施の形態を図示するもので、本文の記述と相俟って本発明の原理を説明するためのものである。各図の内容は以下のとおり。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の防水キーボード用プリント回路膜の製造工程を示すフローチャート。
【図2】回路層と絶縁層を積層して形成される従来のプリント回路膜の模式図。
【図3A】従来のプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図3B】従来のプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図3C】従来のプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図3D】従来のプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図4】従来のプリント回路膜上の位置決め穴と防水被膜を示す模式図。
【図5】本発明の好適な実施の形態による防水キーボードに使用されるプリント回路膜の形成方法を示すフローチャート。
【図6】本発明の好適な実施の形態に従い絶縁層に回路層を重ねて得られるプリント回路膜を示す模式図。
【図7A】本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図7B】本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図7C】本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図7D】本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図7E】本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜の製造工程を示す模式図。
【図8】本発明の好適な実施の形態によるプリント回路膜上の防水領域と位置決め領域を示す模式図。
【図9A】本発明の好適な実施の形態によるレーザー溶着工程を示す模式図。
【図9B】本発明の好適な実施の形態によるレーザー溶着工程を示す模式図。
【符号の説明】
200 回路層
200a 回路部
200b 回路部
202a 接点
202b 接点
204a 回路
204b 回路
300 絶縁層
302 開口部
400 防水被膜
402 穴
600 回路層
600a 回路部
600b 回路部
602a 接点
602b 接点
604a 回路
604b 回路
700 絶縁層
702 開口部
800 レーザー
802 溶融領域
804 防水領域
806 穴
900 プリント回路膜
902a 焦点
902b 焦線
906 マスク
908 開口部
Claims (3)
- 複数の接点と前記複数の接点にそれぞれ接続された複数の回路を有する回路層を形成し;
前記複数の接点にそれぞれ対応する複数の第一の開口部を有する絶縁層を形成し;
前記回路層と前記絶縁層とを積層し;
前記回路層と前記絶縁層の界面に対し部分的にレーザー光線を照射し複数の防水領域を形成することにより防水加工をおこない;
前記防水領域内に打ち抜き加工をおこなうことによって防水領域で取り囲まれた複数の位置決め穴を形成することを特徴とする、防水キーボードに使用されるプリント回路膜の製造方法。 - 前記回路層の形成工程はさらに、
第一の基膜を形成し;
前記第一の基膜上に、複数の接点と前記複数の接点に電気的に接続される複数の回路を有する複数の導電体パターンを形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。 - 前記防水加工はさらに、
前記防水領域にそれぞれ対応する位置に設けられ前記回路層の一部を露出する複数の第二の開口部を有するマスクを前記回路層の上に配置し;
前記マスクの前記複数の第二の開口部を通じて前記回路層と前記絶縁層に対し焦線を有するレーザー光線を照射することにより前記防水領域を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
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