JP3705118B2 - 移動体検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地上を走行する移動体の通過を検知する移動体検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地上を走行する移動体の通過を検知する移動体検知装置としては、空港内において航空機や車両等の移動体の通過を検知するための移動体検知装置が知られており、例えば特開2000−268300号公報にて詳しく説明されている。この公報に記載の移動体検知装置では、GPS衛星から発信される電波を受信するためのアンテナを移動体の通路に埋設し、移動体の通過による電波の遮断に基づいて移動体の通過を検知している。また、移動体の走行によって生じる振動を検出する振動センサを設け、検出した振動の周波数成分に基づいて移動体の種別(航空機か車両か)を判定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術のように移動体の通過を検知するためのアンテナを地中に埋設する場合、埋設されたアンテナに電波が届くようにアンテナ上方には電波を透過させる開口部を設ける必要がある。なお、上記従来技術では、灯器用の筐体にアンテナを設置することから、開口部はガラスで構成される。
【0004】
移動体検知装置を空港内の通路に埋設する場合、航空機が開口部上を通過することもあるため、開口部には航空機の過重に耐えられるだけの強度が要求される。しかしながら、上記従来技術では開口部の強度について何ら考慮されていない。例えば、強度の低いガラスで開口部を構成する場合、航空機の過重に耐えられるように開口部を小さくしなければならず、開口部を透過する電波が少なくなるために移動体の検出感度が低下してしまう。
【0005】
本発明の目的は、移動体の過重に耐えることができ、かつ移動体の検出感度を高めることが可能な移動体検知装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の特徴は、衛星から発信される電波を受信するアンテナと、前記アンテナによって受信された電波の強度の変化に基づいて移動体の通過を検知する移動体検知部と、前記アンテナ及び前記移動体検知部とが収納される筐体とを有し、前記筐体が地中に埋設された移動体検知装置において、前記筐体は、前記アンテナの上部が開口されており、その開口部に衝撃を緩和するための衝撃緩和部を介して強度を保持するための強度保持部を配置したことにある。
【0007】
筐体の開口部に衝撃緩和部を介して強度保持部を設けたことにより、移動体の過重に耐えられる強度を保持しつつ開口部を広くすることができ、移動体の検出感度を高めることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の好適な一実施例である移動体検知装置の構成図である。なお、本実施例の移動体検知装置は、空港において、路面に埋設して使用し、誘導路やエプロン等を通行するパトロール車や作業車両等の車両(以下、車両という)や航空機の通過を検知するものである。また、本実施例では、受信する電波として、複数の衛星から途切れることなく安定して発せられるGPS電波を使用する。
【0009】
図1において、センサ基台10を地中に埋設し、センサ筐体11をセンサ基台10に設置する。電波の到来方向であるセンサ筐体11上部の開口部には、強度保持部12aが衝撃緩和部12bを介して設置される。ここで、強度保持部12aとしては、移動体位置検知装置の上面を航空機や車両等の重量物が通過しても破損することない強度の高い素材で、且つGPS電波を透過するような電波減衰率の小さい素材を採用する。ここで必要な強度とは、航空機の重量が掛かっても破損しない強度であり、運輸省の仕様から、32kgf/cm2の垂直荷重に耐え得ることである。一方、電波減衰率が小さい素材とは、誘電正接(tanσ)若しくは誘電損失が小さいことと等価であり、誘電正接tanσ<0.01であれば問題無く
GPS電波を通す。これらの基準に適合する素材としては、例えば、パイレックス強化ガラスやソーダ系強化ガラス,フリントガラス,バイコール,ケミカル強化ガラス等の強化ガラス,炭素繊維強化プラスティックやアラミド繊維強化プラスティック,ガラス繊維強化プラスティック等の強化プラスティック(FRP)、等の高硬度樹脂の素材が考えられるが、本実施例においては、特に強度が高い素材として、パイレックス強化ガラス若しくはソーダ系強化ガラスが好適である。
【0010】
また、強度保持部12aは、電波を良好に透過させる必要があるが、GPS電波は円偏波であるため、全ての方向について同様の開口幅が必要となる。すなわち、強度保持部12aの形状はGPSアンテナ13と同一形状且つ同一寸法が最小となるが、本実施例では、正方形や長方形等、角があると応力集中が発生するため、円形が好適である。さらに、より高い受信強度で受信する為には、常時、GPSアンテナ13とGPS衛星の間が開口部となっていることが望ましい。例えば、円形アンテナを使用する場合、GPSアンテナ13の直径をD1とし、
GPSアンテナ13を衝撃緩和部12b表面(すなわち地表面)から深さhの位置に設置し、GPS衛星のうち仰角がφ以上の衛星からの電波のみを使うものとすると、開口部はGPSアンテナ13と同心円で且つ直径D2が(数1)を満たすようにすれば良い。
【0011】
【数1】
例えば、GPSアンテナ13の直径D1=70mm,設置深さh=30mm,使用するGPS衛星の最低仰角φ=20°とすると、開口部の直径D2は、約92mm以上が良いということになる。また、GPSアンテナ13が長方形であれば、
D1を対角線長とすれば同様の計算式により、開口部の対角線長D2が求められる。
【0012】
一方、衝撃緩和部12bとしては、いわゆる弾性材料と総称されるゴムや低硬度樹脂のうち、GPS電波を透過するような電波減衰率が小さい素材である必要がある。弾性特性については特に制限は無いが、電波減衰率としては、強度保持部12aの材料と同様に、誘電正接tanσ<0.01 である必要がある。この基準に適合する材料として、シリコンゴム,フッ素ゴム等のゴムや、アクリル,ウレタン樹脂等があるが、本実施例においては、このうち、空港や一般道路等の屋外で年間を通じて使用可能とする為に、使用温度範囲が広い素材であるシリコンゴムを用いる。
【0013】
仕切り板12cで移動体検出装置内部の密閉性を高め、GPSアンテナ13をアンテナ台14に固定して取り付ける。これにより、GPSアンテナ13,移動体検知部15,加速度検出器16の設置してある空間への湿気の侵入を防げるため、強度保持部12aや衝撃緩和部12bが破損したり剥がれたりした場合でも、屋外において天候に関係なく、取外しや補修、交換作業を行うことが可能となる。なお、仕切り板12cの素材は、強度や弾性率の制約はなく、電波透過率のみであるが、強度保持部12aや衝撃緩和部12bと同様に、誘電正接tanσ<0.01 であれば、如何なる材料を用いてもよい。
【0014】
GPSアンテナ13の信号は、加速度検出器16の信号とともに、移動体検知部15へ入力される。移動体検知部15では、GPSアンテナ13の出力信号および加速度検出器16の出力信号をもとに、航空機及び車両の通過を検知する。移動体検知部15での検知結果は情報送信部17に入力され、情報送信部17により電力線18を用いて電力線搬送方式で送信される。なお、加速度検出器16は、センサ筐体11の振動を精度良く検出する為に、直接センサ筐体11に固定する。
【0015】
本実施例の移動体検知装置を用いた移動体位置検知システムの構成を図2を用いて説明する。なお、ここでは移動体検知部15aについて説明するが、移動体検知部15a〜15nは全て同様の構成である。移動体検知部15aには、GPSアンテナ13a及び加速度検出器16aから信号が入力される。GPSアンテナ13aからの信号は、GPS受信器20でデコードされ、移動体有無判定部21に送られる。移動体有無判定部21においては、GPS受信強度の変化から移動体の有無を判定する。加速度検出器16aからの信号は、増幅器22を介して振動特性解析部23に入力され、振動の周波数特性解析に用いられる。その結果は、移動体種別判定部24に送られ、特定周波数の実効値比を予め設定した値と比較して、振動の発信源が航空機か車両かを判定する。なお、移動体有無判定部21および移動体種別判定部24における信号処理は、特開2000−268300号公報に記載されているのと同様である。情報送信部17aを介して入力された交流電力は、AC/DCコンバータ25により直流電力に変換された後、GPS受信器20,移動体有無判定部21,増幅器22,振動特性解析部23,移動体種別判定部24のそれぞれに供給され、各構成は供給された電力により駆動する。移動体有無判定部21及び移動体種別判定部24での判定結果は、情報送信部17aへ送られ、電力線搬送により電力線18を通して情報統合部26へ集約される。なお、電力線は交流電源26により通電されている。情報統合部26に集約された、移動体検知部15a〜15nまでの全ての情報は、検知結果表示部28にて表示される。検知結果表示部28の表示例に関しても、特開2000−268300号公報に記載されている通りである。
【0016】
以上説明した本実施例によれば、高い強度を有する強度保持部と衝撃緩和部との組合せにより、開口部の大きさを大きくすることができるので受信感度の良い大型のアンテナを使用することができる。さらに、本実施例で示したように、
GPSアンテナ、移動体検知部、加速度検出器等を全て一体とすることで、製作及び費用の削減、工程の短縮が可能になる。
(実施例2)
本発明の他の実施例である移動体検知装置について図3を用いて説明する。本実施例は、埋設型航空灯火と一体型とし、強度保持性を灯器筐体にも持たせた点において実施例1と異なる。以下、実施例1と異なる部分について説明する。
【0017】
図3は、本実施例の構造図(縦断面図)を示す。地中に埋設した灯器基台30には灯器筐体31を設置する。ランプ32からの光は、反射鏡33で集光され、ガラスリング34を通して、外部に放出される。一方、GPSアンテナ35cは、衝撃緩和部35aと強度保持部35bで表面を覆って灯器筐体31の上部に埋め込む。また、加速度検出器36は、灯器筐体31内部に固定する。GPSアンテナ35c及び加速度検出器36の信号は、移動体検知部37に入力される。移動体検知部37においては、第一の実施例と同様に信号処理をし、航空機及び車両の通過を検知し、情報送信部38及び電力線39を通して、信号を送信する。
【0018】
本実施例では、GPSアンテナ35cの大きさと、ほぼ同等の大きさを有する衝撃緩和部35aと強度保持部35bを用いた為、これらの部分の水平面積を小さくでき、移動体の重量が直接係る比率を小さくすることができる。なお、移動体の重量のうち大部分は、灯器筐体に掛かることになるが、既存の灯器筐体は、航空機や車両の重量に十分耐え得る構造となっているため、破損に至ることは無い。
【0019】
また、本実施例では、衝撃緩和部35aと強度保持部35bを併設したが、上記理由により、この部分に係る荷重は小さく押えられる為、強度や衝撃を考慮せずに、単に電波の透過性の良い樹脂やガラス等を使用することも可能である。
【0020】
本実施例では、航空灯火と一体型としている為、設置空間の制約から、実施例1と比較してアンテナの大きさを小さくする必要がある。従って、受信感度が悪くなる点において不利な点はあるが、航空灯火と一体の移動体検知装置を提供することができ、新規導入やリプレース時の製造および施工費用を大幅に削減することが可能になるという利点がある。
【0021】
なお、実施例1及び実施例2では、GPS衛星のような同一周波数の電波を発信する複数の衛星を用いたが、GLONASSのように衛星毎に使用周波数の異なる航法衛星群を用いても、専用の周波数スキャン機能を有する受信器を用いることにより同様に実施することができる。
(実施例3)
本発明の他の実施例である移動体検知装置について図4を用いて説明する。本実施例は、移動体の荷重を支えるものとして、強度保持部以外に、強度補強部を設けた点、利用する電波として、GPS以外の放送波を用いた点において、前述の実施例とは異なる。以下、前述の実施例と異なる部分について説明する。
【0022】
図4は、本実施例の移動体検知装置を上方から見た図(水平面図)を示す。センサ筐体40に、衝撃緩和部41を介して強度保持部42を設置する。この設置方法は、実施例1と同様である。強度保持部42の下部にアンテナ43を設置する。さらに、本実施例の特徴である強度補強部44で、衝撃緩和部41の表面を補強する。本実施例では、使用する電波として一般の放送波、例えばテレビジョン放送波やFM放送波等を用いる。これらの放送波は、水平偏波であるため、本実施例のアンテナ43は、これに対応したアンテナを用いる。アンテナ43の長さや形状は、アンテナの方式により異なるが、例えば最も一般的なダイポールアンテナを用いた場合、使用放送波周波数の二分の一波長の長さの線状アンテナとする。また、強度保持部42の直径は、アンテナ43の全長よりも長くし、電波が良好に入射するようにする。さらに、強度補強部44に使用する鋼材は電波を通さないため、鋼材で補強した後の開口部が、受信対象の電波の透過を妨げることの無い配置にする必要がある。本実施例の場合、図4に示すように、強度補強部44を2つ用いて補強しているが、例えば、これを十字に配置すると、アンテナを横切る形になり、電波入射の妨げになるので避けるものとする。また、強度補強部44を用いて且つGPS電波を使用する場合については、強度補強部の開口部の大きさや形状が、実施例1で記述した大きさ以上になることが必要である。
【0023】
なお、以上の各実施例では、移動体の有無・種別に関する情報の伝送に電力線搬送方式を用いたが、電力線の他に情報伝送のための信号線を設けて、信号線により情報の伝送を行っても良い。情報伝送のための信号線を設けることによって、より多くの情報を伝送することが可能となる。また、上述した移動体検知装置は、空港における移動体の検知に限らず、一般道路等の移動体が通行する場所での移動体検知に幅広く適用可能である。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、筐体の開口部に衛星から発信される電波を良好に透過させる衝撃緩和部を介して強度保持部材を設けたことにより、移動体の過重に耐えられる強度を保持しつつ開口部を広くすることができ、かつ移動体の検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である移動体検知装置の構成図である。
【図2】図1の移動体検知装置を用いた移動体位置検知システムの構成図である。
【図3】本発明の他の実施例である移動体検知装置の構成図である。
【図4】本発明の他の実施例である移動体検知装置の構成図である。
【符号の説明】
10…センサ基台、11…センサ筐体、12a…強度保持部、12b…衝撃緩和部、12c…仕切り板、13…GPSアンテナ、14…アンテナ台、15…移動体検知部、16…加速度検出器、17…情報送信部、18…電力線。
Claims (5)
- 衛星から発信される電波を受信するアンテナと、前記アンテナによって受信された電波の強度の変化に基づいて移動体の通過を検知する移動体検知部と、前記アンテナ及び前記移動体検知部とが収納される筐体とを有し、前記筐体が地中に埋設された移動体検知装置において、前記筐体は、前記アンテナの上部が開口されており、その開口部に開口部の表面を覆い衝撃を緩和し衛星から発信される電波を良好に透過させる衝撃緩和部を介して強度を保持し衛星から発信される電波を良好に透過させる強度保持部を配置したことを特徴とする移動体検知装置。
- 前記衝撃緩和部は、誘電正接tanσが0.01 以下の弾性材料からなり、前記強度保持部は、誘電正接tanσが0.01 以下で32kgf/cm2の垂直荷重に耐え得る材料からなることを特徴とする請求項1記載の移動体検知装置。
- 前記衝撃緩和部は、シリコンゴム,フッ素ゴム,アクリル,ウレタン樹脂のいずれかからなり、前記強度保持部は、パイレックス強化ガラス,ソーダ系強化ガラス,フリントガラス,バイコール,ケミカル強化ガラス,炭素繊維強化プラスティック,アラミド繊維強化プラスティック,ガラス繊維強化プラスティックのいずれかからなることを特徴とする請求項1記載の移動体検知装置。
- 地中に埋設される灯器筐体内に収納される航空機誘導用の灯火と、該灯火の上側であって前記灯器筐体の上部に、衛星から発信される電波を受信するアンテナと、前記アンテナの上部が開口されており、その開口部に開口部の表面を覆い衝撃を緩和し衛星から発信される電波を良好に透過させる衝撃緩和部を介して強度を保持し衛星から発信される電波を良好に透過させる強度保持部を配置したことを特徴とする移動体検知装置。
- 前記開口部の上方に設けられた強度補強部を有することを特徴とする請求項1記載の移動体検知装置。
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