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JP3705683B2 - コンクリート供試体の耐久性試験方法、該方法に用いる超音波測定用コンクリート供試体容器、及び該容器を用いた凍結融解試験自動測定装置 - Google Patents
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JP3705683B2 - コンクリート供試体の耐久性試験方法、該方法に用いる超音波測定用コンクリート供試体容器、及び該容器を用いた凍結融解試験自動測定装置 - Google Patents

コンクリート供試体の耐久性試験方法、該方法に用いる超音波測定用コンクリート供試体容器、及び該容器を用いた凍結融解試験自動測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート供試体を急速に、且つ交互に繰り返して凍結融解することによってコンクリート供試体に生じる経時劣化を超音波発生装置を用いて自動測定して、コンクリート供試体の耐久性試験を容易に且つ経時的に精度よく行うことが可能なコンクリート供試体の耐久性試験方法、該方法に用いる超音波測定用コンクリート供試体容器、及び該容器を用いた凍結融解試験自動測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より行われているコンクリートの耐久性の試験方法としては、水中における凍結融解の急速繰り返しによって、コンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性を試験する凍結融解試験方法(JIS A6204)がある。コンクリートの耐久性に影響をおよぼす大きな要因の一つは、コンクリート中に存在している水の凍結融解に伴って起こる損傷にあると考えられるからである。上記したJISによって規定されている従来の耐久性の試験方法では、凍結融解サイクルの上限を200サイクルとし、その間に36サイクル以内に1回の間隔で、融解行程終了直後に、コンクリート供試体のたわみ振動の一次共鳴振動数の測定(JIS A1127)を行って耐久性指数を求めている。
【0003】
具体的には、先ず、コンクリートに所定の凍結融解サイクルを与えるのに必要な冷却及び加熱装置と、該装置によって冷却及び加熱される試験槽と、一定条件で養生された断面が1辺100mmの正方形である長さ400mmの直方体形状のコンクリート供試体を収納するための供試体容器とを用意し、冷媒が充填されている試験槽内に供試体容器を入れて、該容器内のコンクリート供試体を上記冷却及び加熱装置によって繰り返し凍結融解して、コンクリート供試体に強制的に劣化を生じさせる。次に、このような凍結融解サイクルを一定の回数続けた後、融解した直後のコンクリート供試体のたわみ振動の一次共鳴振動数を測定する。そして、この振動数の測定操作を凍結融解サイクルの一定の間隔毎に行うことによって、凍結融解によりコンクリート供試体に生じる経時劣化の変化を測定し、コンクリートの耐久性の試験方法としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来行われている方法では、たわみ振動の一次共鳴振動数を測定する場合に、コンクリート供試体を、水が充填されているコンクリート供試体容器内から手作業によって取り出し、コンクリート供試体の表面をブラシ等で表面を清浄にした後、水気をふき取ってから測定しているため、その作業に多大な労力を要している。更に、このようにして振動数を測定した後、直ちにコンクリート供試体をコンクリート供試体容器内に戻し、再び凍結融解サイクルを繰り返し、一定のサイクル終了後に再度上記のたわみ振動の一次共鳴振動数の測定操作を行う必要があるが、この際には、コンクリート供試体容器の内壁をよくすすぎ、新鮮な水に入れ換えるといった作業を行う必要もある。このように、従来行われているコンクリートの耐久性の試験方法は、非常に煩雑で多大な労力と時間を要するとうい問題を有していた。
【0005】
又、JISでは36サイクル以内に1回の間隔で振動数を測定することになっているが、凍結融解によって生じるコンクリート供試体の劣化の状態をより正確に精度よく測定するためには、凍結融解の1サイクル毎に測定することが好ましいが、1サイクル毎の測定を上記した従来の手作業による測定方法で行うのは困難であり、全サイクルにわたって経時劣化を逐一測定することは殆ど不可能であった。又、手作業で行う場合には、特に、繰り返し行われるたわみ振動の一次共鳴振動数の測定を、測定条件を常に一定にして測定することが困難であり、測定精度が劣るという問題もあった。
【0006】
これに対し、近年では、地球規模での環境保護が叫ばれており、一度使用したコンクリートを粉砕して再度使用する再生骨材コンクリートが使われ始めているが、再生骨材コンクリートは、天然骨材を使用したコンクリートに比べて耐久性に劣ることが知られている。構造物を建造する場合に、所望するよりも耐久性に劣るコンクリートを使用した場合には、構造物の強度や耐久性が損なわれることはもとより、安全性の面からも大きな問題を生じる恐れがある。そこで、再生骨材コンクリートを配合させた場合におけるコンクリートの凍結融解作用に対する抵抗性(耐久性)を容易に且つ正確に確認できる試験方法の開発が望まれている。更に、天然骨材を使用したコンクリートについては勿論のこと、特に、これ迄に使用実績の殆どなかった再生骨材コンクリートについては、耐久性の変化(劣化状態)に対するコンクリート内部の状態を物理的或いは化学的に確認することのできる試験方法の開発が望まれている。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、JISで使用しているのと同様のコンクリート供試体を、急速に交互に繰り返して冷却凍結及び加熱融解させることができ、この凍結融解を繰り返し強制的に行うことによってコンクリート供試体に生じる抵抗性の変化の程度(即ち、劣化の状態)を、精度よく正確に数値化することができ、且つ、重量物であるコンクリート供試体を供試体容器から試験のたび毎に出し入れすることなく、極めて容易に、試験にかかる時間を従来法に比べて格段に短縮して測定することができ、しかも、経時劣化の様子を全サイクルにわたって連続して自動測定することが可能なコンクリート供試体の耐久性試験方法を提供することにある。更に、本発明の目的は、上記した優れた効果を有するコンクリート供試体の耐久性試験方法を実現するための超音波測定用コンクリート供試体容器、該容器を用いた凍結融解試験自動測定装置を提供することにある。
又、本発明の別の目的は、凍結融解を繰り返し強制的に行うことによってコンクリート供試体に生じる経時劣化を連続自動測定するだけでなく、劣化が生じているのと同様の履歴を有するコンクリート供試体について、強度の測定試験等の破壊試験を同時に行うことによりコンクリートの劣化状態と他の特性とを比較検討することも可能なコンクリート供試体の耐久性試験方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、コンクリート供試体容器内に収納したコンクリート供試体の冷却凍結及び加熱融解を交互に繰り返し、凍結融解の一定のサイクル毎に、コンクリート供試体がコンクリート供試体容器内に保持されている状態で、超音波発生装置を用いて融解時直後のコンクリート供試体中を伝播する超音波の伝播速度を測定し、凍結融解の繰り返しにより生じるコンクリート供試体の経時劣化を自動測定することを特徴とするコンクリート供試体の耐久性試験方法、該方法に用いる超音波測定用コンクリート供試体容器、及び該容器を用いた凍結融解試験自動測定装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記した従来技術の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、凍結融解を繰り返し強制的に行うことによって生じるコンクリート供試体の劣化状態を測定する場合に、容器内からコンクリート供試体を外部に取り出さずにコンクリート供試体容器内に収納された状態で、コンクリート供試体内を伝播する超音波の伝播速度を測定することによって、コンクリート供試体に生じた劣化状態を精度よく正確に数値化できることを知見して本発明に至った。本発明者の検討によれば、特に、特定の構造を有するコンクリート供試体容器及び凍結融解試験自動測定装置を使用すれば、上記の効果が容易に得られることがわかった。即ち、上記のような構成とすることによって、重量物であるコンクリート供試体を、測定の度に供試体容器内から出し入れする必要がなくなるので、極めて容易にコンクリート供試体の劣化状態を知ることができ、しかも、試験にかかる時間を従来法に比べて格段に短縮することができる。又、コンクリート供試体の経時劣化の様子を凍結融解の1サイクル毎に逐一連続的に測定することが可能となるので、より正確さと精度に優れた試験結果を得ることが可能となる。更に、本発明の好ましい態様によれば、コンクリート供試体の劣化状態と同時に、コンクリート供試体の強度試験結果を得ることができるので、同一の試験で、より有用な解析をすることが可能となる。
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を更に詳細に説明する。
図1は、本発明のコンクリート供試体の耐久性試験方法を適用した本発明の凍結融解試験自動測定装置の模式的な説明概略図である。図1に示した装置は、大きくは、超音波発生装置aと、凍結融解槽bと、これらの装置を制御する制御部とからなる。制御部は、凍結融解槽bの冷却加熱制御を行う制御部dと、全体を制御するためのシステムコントローラーsを有している。そして、本発明の凍結融解試験自動測定装置の凍結融解槽b内には、少なくともコンクリート供試体容器が収納されていることを要するが、図1に例示した装置では、中央に超音波測定用コンクリート供試体容器c1が配置されており、その両側に、温度測定用のコンクリート供試体容器c2と、各種試験用のコンクリート供試体容器cが夫々配置されている。又、図1に示した装置では、これらのコンクリート供試体容器内への給排水手段を有しており、必要に応じて適宜に各容器内に水を充填するようにコントロールできる給排水部eが設けられている。
【0011】
先ず、図1に例示したような本発明の凍結融解試験自動測定装置の主要部である、超音波測定用コンクリート供試体容器について説明する。
(1)超音波測定用コンクリート供試体容器
本発明のコンクリート供試体容器は、コンクリート供試体を収納するための収納ケースと、超音波発振子xと超音波受振子yとを有し、該超音波発振子xと超音波受振子yとが夫々、収納ケース内のコンクリート供試体の対峙している2つの面に高密着部材を介して圧接して配置されるように構成されていることを特徴とする。このようなコンクリート供試体容器によれば、図3に示したように、収納ケース▲2▼の内部にコンクリート供試体fが収納された状態で、該コンクリート供試体fの上下の面に、必要に応じて高密着部材▲3▼を介して超音波発振xと超音波受振子yとが圧接配置することができるので、超音波発振xと超音波受振子yに接続されている不図示の超音波発生装置によって発生させた超音波を、安定した条件でコンクリート供試体内に伝播させることが可能となる。この結果、コンクリート供試体を容器内に収容した状態で、コンクリート供試体内を伝播する超音波伝播速度を自動測定することができ、更に、凍結融解の1サイクル毎に連続して超音波伝播速度を自動測定することも可能となり、凍結融解を行うことによってコンクリート供試体に生じる経時劣化を正確に精度よく測定でき、コンクリート供試体についての耐久性試験を容易に短時間に且つ正確に精度よくすることができる。
【0012】
ここで、コンクリート供試体の対峙している2つの面に超音波発振xと超音波受振子yとを圧接配置させる方法について説明する。即ち、凍結融解を行うことによってコンクリート供試体内部に生じる劣化の状態を、超音波発生装置を用いて正確に精度よく測定するには、一定条件下で測定することが好ましいが、このためには、超音波発振xと超音波受振子yとを、コンクリート供試体fの表面に何等かの力によって押し付け、超音波発振xと超音波受振子yとがコンクリート供試体の表面に安定して密着するような状態で取り付けて、一定加圧条件下で測定するとよい。
【0013】
図3に例示した本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器は、コンクリート供試体容器を縦方向に設置する方式のものであるが、この場合は、超音波発振子xは、容器の下部にセットされることになるため、超音波発振子xは、コンクリート供試体の重量で、高密着部材▲3▼を介してコンクリート供試体を圧接されているので、容器上部に設けられている超音波受振子yのように、圧接させるための部材▲4▼を設けなくてもよい。図3の例では、超音波受振子yをコンクリート供試体表面に圧接させる圧接部材▲4▼としてバネ状の圧接部材を使用しており、このバネの弾性によって、超音波受振子xはコンクリート供試体の表面に密着されている。更に、図3の例では、コンクリート供試体との密着性を向上させるため、超音波発振子xの下に緩衝材▲5▼を設けてあるが、本発明においては、緩衝材▲5▼は必ずしも必須ではない。この際に使用する緩衝シート▲5▼の形成材料としては、例えば、各種のゴムやエラストマー等のある程度の柔軟性と強度を有する材料を使用すればよい。
【0014】
一方、上部の超音波受振子yは、図3に例示した容器においては、圧接部材▲4▼の力により高密着部材▲3▼を介し、コンクリート供試体に超音波受振子yを一定の圧力をもって圧接させている。この際に使用する高密着部材▲3▼としては、超音波発振子及び受振子を、コンクリート供試体表面に安定して一定の圧力をもって密着して取り付けることができるように、滑りにくい、しかも超音波をよく伝播する材質で、ある程度の柔軟性と強度を有する、耐水性、耐寒性及び耐圧性に優れた材料によって形成することが好ましい。例えば、シリコーンゴムの板が好ましいが、本発明は、勿論これに限定されるものではない。
【0015】
図4に例示した本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器は、コンクリート供試体を、図3に示した場合と異なり、水平方向に設置する方式のものであるが、この場合は、超音波発振子xと受振子yとを、共にバネ状の圧接部材▲4▼の力によって高密着部材▲3▼を介してコンクリート供試体の表面に密着させている。この結果、超音波発振xと超音波受振子yとを、コンクリート供試体fの表面に一定の加圧条件で圧接させて、コンクリート供試体fの内部を伝播する超音波伝播速度を常に安定した状態で測定することが可能となる。尚、図3及び図4に示した例では、圧接部材▲4▼としてコイル状のバネを使用しているが、本発明は、これに限定されず、超音波発振子x及び/又は超音波受振子yとをコンクリート供試体の表面に一定の力で安定して圧接させることができるものであれば、板状バネや弾性体で圧接したり、螺子締めする等いずれの方法によってもよい。
【0016】
JIS A6204では、凍結融解の行程中、常に、約3mm厚の水で全面覆われた状態で行うように規定されている。従って、図3に示した例では、この規定に準じ、コンクリート供試体と、これを収納するための収納ケース▲1▼とを用い、コンクリート供試体を収納した場合に、コンクリート供試体の外壁と収納ケース▲1▼の内壁との間が約3mmの間隙を有するように構成し、その部分に水を充填することができるようにすることが好ましい。この場合に、上記の間隙への給排水の充填を容易に且つ必要に応じて適宜にできるようにするためには、図3に示したように、収納ケース▲1▼に、給排水口▲6▼と排水口▲7▼とを設け、これらの給排水口からの給排水をシステムコントローラーsによって制御する給排水部eで自動的に行えるように給排水手段を設けて構成するとよい。
【0017】
又、上記のような構成の本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器では、コンクリート供試体の出し入れを容易にすることができ、且つコンクリート供試体の全面を水で覆われた状態にした場合に容器からの水漏れを防ぐため、図3に示したように、収納ケース▲1▼の両端をフランジ形状とし、フランジ形状に合わせた金属板で挟み、ボルトネジ止め構造とすることが好ましい。又、収納ケース▲1▼の形成材料としては、水が充填されること、収納ケース▲1▼内に収納されるコンクリート供試体が重量物であり、且つ収納ケース▲1▼内でコンクリート供試体の冷凍凍結と加熱融解が繰り返し行われるため、耐水性、耐寒性および耐熱性に優れ、更に、凍結融解によって体積の膨張・収縮が起こるため、剛性の材料よりも柔軟性があり、伸びのある引張り強度に優れた材料を用いることが好ましい。このようなものとしては、例えば、天然ゴムや、IR、SBR、BR及びEPDM等の合成ゴムが挙げられ、特に、天然ゴムで形成すればよい。本発明は、勿論これに限定されるものではない。
【0018】
本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器の形状は、JIS A6204で規定されている凍結溶解用コンクリート供試体の形状が、断面が正方形でその一辺の長さが100mm、長さは400mmであるので、これに準じた寸法のコンクリート供試体を収納し得る供試体容器とすればよい。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、強度試験に用いられる直径100mm、長さ200mmの円柱状の供試体や、或いは、各種試験に合わせた形状・寸法の供試体容器を用いることもできる。
【0019】
次に、本発明の凍結融解試験自動測定装置を構成するその他の構成部材について説明する。
(2)超音波発生装置
コンクリート供試体中を伝播する超音波速度を測定して、凍結融解を繰り返すことによって生じるコンクリート供試体内部の損傷状態を検知してコンクリートの劣化状況を把握するために用いる。この方法は、非破壊検査法であるため、同じコンクリート供試体の経時劣化を連続且つ長期間にわたって測定することが出来る。本発明者らの検討によれば、例えば、繰り返し凍結融解によってコンクリート供試体にひび割れや空隙等の損傷が生じた場合には、損傷の程度により異なるが、健全なコンクリートに比べ5〜30%超音波伝播速度が遅くなる。更に損傷が大きい場合には、それ以上の遅れを生じる。
【0020】
コンクリート供試体中を伝播する超音波速度の測定は、先に説明した図3或いは図4に示したような構成の本発明の超音波測定用供試体容器c1の収納ケース▲1▼内に、JISの規格に準じた形状及び養生したコンクリート供試体fを設置し、そのままの状態で、超音波発生装置に接続されている超音波発振子xと超音波受振子yとにより、凍結融解の特定サイクル毎に、或いは、1サイクル毎に、コンクリート供試体が融解した直後に、超音波伝播速度を測定することができる。1サイクル毎に測定すれば、経時劣化を連続的にモニターすることが出来る。
【0021】
(3)凍結融解槽
本発明の凍結融解試験自動測定装置で使用するコンクリート供試体を繰り返し凍結融解するための凍結融解槽bは、適宜のサイクルで、安定してコンクリート供試体を凍結融解をすることができるものであれば、いずれのものでもよい。例えば、JIS 6204で使用されていると同様に、熱媒体方式を用いる方式のものでもよいが、強制空気循環方式で構成してもよい。最近は、冷凍機や恒温槽の性能が良くなり、強制空気循環方式でも十分に対応することができる。
熱媒体方式を採用すれば、強制空気循環方式よりも加熱冷却効率においては勝る。しかし、熱媒体にコンクリート供試体容器を浸す必要があるため、超音波発振子xや受振子yの形成材料を、使用する熱媒体に耐え得るタイプにしなければならない。このため、コンクリート供試体容器の取り扱い操作や恒温槽のメンテナンスの煩雑さは、強制空気循環方式に比べて劣る。
【0022】
凍結融解条件については、JIS A6204では、コンクリート供試体の中心温度が−18℃〜5℃(±2℃)の範囲と規定されている。又、凍結融解槽の熱媒体の温度が−25℃〜20℃の範囲とされている。そして、凍結融解1サイクルに要する時間は3時間以上4時間以内となっているので、これに準じて凍結融解槽の制御条件を設定する必要がある。この際、強制空気循環方式を用いる場合には、凍結融解槽内が空気のため、熱媒体方式を採用した場合に比べて熱伝導が劣り、冷却加熱条件も温和になるため、凍結融解槽の温度制御範囲を−30℃〜30℃の範囲に広げる必要がある。しかし、このように構成したとしても、コンクリート供試体の凍結融解条件に及ぼす影響は少なく問題はない。
【0023】
(4)給排水手段
先に説明したコンクリート供試体の全面を覆うようにして充填される容器内の水は、凍結融解サイクルを繰り返し行っている間に、コンクリート供試体からの溶出物や破砕物などにより汚れ、水の入れ換えが必要になる場合がある。本発明の凍結融解試験自動測定装置においては、先に説明したように、このような場合に、適宜に且つ容易に水の入れ換えを可能とするために給排水手段を設けることが好ましい。尚、水の汚れが少なく、又、超音波測定に支障がない場合は、水の入れ換えをせず長期サイクルの測定も可能である。
【0024】
先に述べたように、本発明の凍結融解試験自動測定装置は、上記したような構成部材からなり、少なくとも凍結融解槽b内に本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器c1が配置され、凍結融解槽b内て、コンクリート供試体fが、一定のサイクルで繰り返し凍結融解されるように構成されるが、本発明においては、この場合に、図1に示したように、凍結融解槽b内に超音波測定用コンクリート供試体容器c1とは別の温度測定用コンクリート供試体容器c2を配置した態様とすることが好ましい。このようにすれば、超音波測定用コンクリート供試体容器c1と共に凍結融解槽b内に併設されたコンクリート供試体容器c2に設けられた温度センサーからの温度情報により、凍結融解槽bの温度制御をより正確に行うことが可能となる。以下、この場合に使用する温度測定用コンクリート供試体容器c2について説明する。
【0025】
(5)温度測定用コンクリート供試体容器
図5に示すように、温度測定用コンクリート供試体容器c2は、先に説明した超音波測定用コンクリート供試体容器c1と略同様に構成されるが、超音波の伝播速度を測定するための超音波発振xと超音波受振子yの代わりに、温度センサーtの素子が、コンクリート供試体の中心部に位置するように設置されている。この結果、凍結融解槽b内で行われるコンクリート供試体に対する冷却凍結行程における冷却温度の制御管理と、加熱融解行程における加熱温度の制御管理のために用いることのできるコンクリート供試体の温度情報が、システムコントローラーsに出力され、凍結融解槽bの温度制御、及び超音波の伝播速度の測定のタイミングをより正確に行うことが可能となる。
【0026】
更に、本発明の凍結融解試験自動測定装置においては、図1に示したように、凍結融解槽b内に、超音波測定用コンクリート供試体容器c1とは別の、強度試験等の各種の試験に供されるコンクリート供試体を得るための各種試験用コンクリート供試体容器を配置しておくことも好ましい。即ち、超音波測定用コンクリート供試体を破壊試験に供することはできないが、このようにすれば、超音波測定用コンクリート供試体と同様の履歴を有するコンクリート供試体が得られるので、これをコンクリート供試体容器から取り出して、強度試験等の破壊試験等に用いることができる。この際、図1に示したように、複数本の各種試験用コンクリート供試体容器を配置しておけば、超音波伝播速度測定の値の変化に合わせて、供試体をコンクリート供試体容器から取り出して種々の破壊試験を行い、種々の特性について知見することが可能となるので、より有用な解析が可能となる。以下、この場合に使用する各種試験用コンクリート供試体容器cについて説明する。
【0027】
(6)各種試験用コンクリート供試体容器
図6に示すように、各種試験用コンクリート供試体容器cは、先に説明した超音波測定用コンクリート供試体容器c1とほぼ同様に構成されるが、超音波の伝播速度を測定するための超音波発振xと超音波受振子yが設けられておらず、コンクリート供試体の凍結融解のみを行う容器である。
図1に示したように、各種試験用コンクリート供試体容器を複数設けておけば、例えば、凍結融解サイクル毎に測定している超音波伝播速度の変化に合わせて、コンクリート供試体を適宜に凍結融解槽bから取り出して、寸法、質量、供試体の外観などを調べた後、強度試験等の破壊試験用の供試体として用いればよい。従って、各種試験用コンクリート供試体容器の形状や寸法は、超音波測定用コンクリート供試体と同様の形状の供試体が得られるものであっても良いが、より好適には、各種試験用に好適な形状の供試体に合わせ決めればよい。例えば、圧縮強度試験に用いる場合には、直径100mm、長さ200mmの円柱形供試体を収納し得る形状の供試体容器とすればよい。
【0028】
(7)システムコントローラー
本発明の凍結融解試験自動測定装置においては、上記した構成部材が、システムコントローラーsによって一括して制御できるように構成することが好ましい。この結果、特に好ましい本発明の態様によれば、温度測定用コンクリート供試体容器内に配置されている温度センサーtからの温度情報によって、凍結融解槽b内の温度管理を最適な条件で行うことが可能となり、繰り返し一定のサイクルで安定して、コンクリート供試体を急速に凍結融解することができる。更に、その1サイクル毎に、最良のタイミングでコンクリート供試体が融解した直後の一定の条件下に、コンクリート供試体の超音波伝播速度の測定が可能となって精度のよい測定がなされる。又、コンクリート供試体の全面を覆っている水の出し入れも、自動的に行えるように給排水部eの制御を行うこともできる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明のコンクリート供試体の耐久性試験方法による実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
<超音波法と強度試験の組合せによる経時劣化の測定>
本実施例では、図1に示した本発明の凍結融解試験自動測定装置を使用した。即ち、図1に示した装置を使用し、同一条件で同時に凍結融解処理を行うためのコンクリート供試体を、配合割合等について同一条件で複数本作製した。そして、その内の1本を凍結融解前の強度試験用供試体として残し、他の供試体の内の1本を、超音波測定用の供試体として超音波測定用コンクリート供試体容器c1の収納ケース内に収納し(図3参照)、コンクリート供試体の対峙した面に夫々超音波発振子と受振子とを取り付け、更に1本は、中心部に穴を空け温度測定用コンクリート供試体容器c2内に収納して、温度センサーtの素子が、コンクリート供試体の中心部に位置するように設置した(図5参照)。更に残りのコンクリート供試体は、強度試験用供試体として用いるために、各種試験用コンクリート供試体容器cの収納ケース内に、夫々収納した(図6参照)。そして、超音波測定用コンクリート供試体について、1サイクル毎に、200サイクル迄、コンクリート内部の超音波の伝播速度を測定した。
【0030】
図1に示した装置では、温度センサーtによってもたらされるコンクリート供試体の温度情報が、システムコントローラーsに出力されるように構成され、これに基づいて凍結融解槽bの温度制御を行うことができるように構成されているので、凍結融解槽bの温度制御が正確になされる。更に、上記の温度情報に基づいて、凍結融解の1サイクルが終了したことを確認しながら融解直後におけるコンクリート供試体の超音波の伝播速度の測定を行える。この結果、本実施例によって得られる情報量は従来の方法に比べて格段に多く、劣化状態を正確に且つ精度よく解析することができた。
又、上記で得られた凍結融解サイクルにおいて生じた超音波速度の変化に合わせ、適宜に強度試験用供試体の1本を凍結融解槽から取り出して強度試験を行った。この結果、破壊強度の値よって直接経時劣化を求めることができ、超音波伝播速度と強度との相関を求めることができた。
【0031】
これに対し、従来法のコンクリートの凍結融解試験方法では、供試体を破壊してしまう強度試験を行うことはできないので、1本の供試体について凍結融解開始直前におけるたわみ振動の一次共鳴振動と、一定の凍結融解サイクル毎におけるたわみ振動の一次共鳴振動を測定し、計算式により間接的に耐久性指数を出して経時劣化を求めている。しかも、測定の度に、水が充填されているコンクリート供試体容器の内からコンクリート供試体を取り出し、表面を清浄処理するという煩雑な作業の後に一次共鳴振動を測定をする必要があるので、本実施例の場合のように1サイクル毎に振動を測定することは困難であり、36サイクル以内に1回ずつのラフな測定が行われている。従って、このような情報量では充分な解析が行えない場合もあった。
【0032】
実施例2
<超音波法による経時劣化の測定>
本実施例では、図2に示した本発明の凍結融解試験自動測定装置を使用した。そして、配合割合や配合材料が異なる複数の供試体を作製し、その内の一本は、中心部に穴を空け温度測定用コンクリート供試体容器c2内に収納し、その他の供試体を超音波測定用コンクリート供試体容器c1内に夫々セットし、夫々について凍結融解サイクル毎に超音波伝播速度の変化を連続測定した。この結果、作製条件の異なる多数のコンクリート供試体について並列に凍結融解サイクル毎の超音波伝播速度の変化を連続測定することが可能となり、コンクリートの配合割合や配合材料が異なる複数のコンクリート供試体についての耐久性を迅速且つ容易に試験することができた。
【0033】
実施例3
<再生骨材コンクリートへの超音波法の適用例>
本実施例では、実施例2で使用したと同様の図2に示した本発明の凍結融解試験自動測定装置を使用した。そして、天然骨材コンクリートと現在注目されている再生骨材コンクリート(リサイクル骨材)について耐久性試験を行なった。天然骨材コンクリートAと、製造方法の異なる再生骨材コンクリートB、C及びDを使用して実施例1で作製したと同様の方法で4種類のコンクリート供試体を作製した。これらを超音波測定用コンクリート供試体容器c1内に夫々セットし、温度測定用コンクリート供試体容器c2内には、天然骨材コンクリートAと同様の供試体を入れて、夫々について凍結融解サイクル毎に超音波伝播速度の変化を連続測定した。この結果を図7に示した。
図7から明らかなように、天然骨材コンクリートAでは、100サイクル迄、コンクリート内部の超音波の伝播速度は変化しなかったが、再生骨材コンクリートBでは20サイクルを超えると徐々に伝播速度が遅くなり、84サイクルで測定不能となり、又、再生骨材コンクリートCでは46サイクルで、再生骨材コンクリートDでは13サイクルで測定不能となってしまった。これらの測定不能となった再生骨材コンクリートの供試体を取り出して観察したところ、外部及び内部に崩壊が見られた。
【0034】
【発明の効果】
上記で説明した本発明によれば、JISで使用しているのと同様のコンクリート供試体を、急速且つ安定して交互に繰り返し冷却凍結及び加熱融解させることによって強制的にコンクリート供試体を劣化させて、この劣化の程度を精度よく正確に数値化することができ、且つ、重量物であるコンクリート供試体を供試体容器から出し入れすることなく極めて容易に、試験にかかる時間を従来法に比べて格段に短縮して測定することができ、しかも、経時劣化の様子を全サイクルにわたって連続して自動測定することができるコンクリート供試体の耐久性試験方法が提供される。
又、本発明によれば、凍結融解を繰り返し強制的に行うことによってコンクリート供試体に生じる経時劣化を連続自動測定するだけでなく、劣化が生じているのと同様の履歴を有するコンクリート供試体について、強度の測定試験等の破壊試験を同時に行うことができる結果、コンクリートの劣化状態と他の特性とを比較検討することが可能となり、有用な解析結果を得ることが可能なコンクリート供試体の耐久性試験方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の凍結融解試験自動測定装置の模式な説明概略図である。
【図2】本発明の凍結融解試験自動測定装置の模式な説明概略図である。
【図3】本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器の一具体例を示す断面図である。
【図4】本発明の超音波測定用コンクリート供試体容器の別の具体例を示す断面図である。
【図5】本発明の凍結融解試験自動測定装置で使用する温度測定用コンクリート供試体容器の一具体例を示す断面図である。
【図6】本発明の凍結融解試験自動測定装置で使用する各種試験用コンクリート供試体容器の一具体例を示す断面図である。
【図7】本発明の凍結融解試験自動測定装置で1サイクル毎に測定した各種の供試体についての超音波伝播速度の測定結果である。
【符号の説明】
▲1▼:収納ケース
▲2▼:ボルト
▲3▼:高密着部材
▲4▼:圧接部材
▲5▼:緩衝材
▲6▼:給排水口
▲7▼:排水口
a:超音波発生装置
b:凍結融解槽
c:各種試験用コンクリート供試体容器
c1:超音波測定用コンクリート供試体容器
c2:温度測定用コンクリート供試体容器
d:冷却加熱制御部
e:給排水部
f:コンクリート供試体
g:冷却器
h:加熱器
s:システムコントローラー
t:温度センサー
p:給排水ポンプ
v1:給水バルブ
v2:排水バルブ
x:超音波発振子
y:超音波受振子

Claims (6)

  1. コンクリート供試体容器内に収納したコンクリート供試体の冷却凍結及び加熱融解を交互に繰り返し、凍結融解の一定のサイクル毎に、コンクリート供試体がコンクリート供試体容器内に保持されている状態で、超音波発生装置を用いて融解時直後のコンクリート供試体中を伝播する超音波の伝播速度を測定し、凍結融解の繰り返しにより生じるコンクリート供試体の経時劣化を自動測定することを特徴とするコンクリート供試体の耐久性試験方法。
  2. 請求項1に記載のコンクリート供試体の耐久性試験方法に使用する超音波測定用コンクリート供試体容器であって、コンクリート供試体を収納するための収納ケースと、超音波発振子xと超音波受振子yとを有し、該超音波発振子xと超音波受振子yとが夫々、収納ケース内のコンクリート供試体の対峙している2つの面に圧接して配置されるように構成されていることを特徴とする超音波測定用コンクリート供試体容器。
  3. 更に、収納ケース内に水を供給及び排水するための給排水手段が設けられている請求項2に記載の超音波測定用コンクリート供試体容器。
  4. 超音波発生装置と、コンクリート供試体容器内に収納されたコンクリート供試体の冷却凍結と加熱融解とを交互に繰り返すための凍結融解槽とを有し、コンクリート供試体が凍結融解する一定のサイクル毎に、上記超音波発生装置によって発生する超音波が、融解時のコンクリート供試体中を伝播する超音波伝播速度を連続自動測定できるように構成された凍結融解試験自動測定装置において、上記凍結融解槽内に1以上のコンクリート供試体容器を有し、且つコンクリート供試体容器の少なくとも1つが請求項1に記載の超音波測定用コンクリート供試体容器であることを特徴とする凍結融解試験自動測定装置。
  5. 凍結融解槽内に、超音波測定用コンクリート供試体容器とは別に、コンクリート供試体内部の温度を測定するための温度センサーを有する温度測定用コンクリート供試体容器が収納され、得られる温度情報に応じて凍結融解槽の温度制御及び超音波発生装置の制御が行われる請求項4に記載の凍結融解試験自動測定装置。
  6. 凍結融解槽内に、超音波測定用コンクリート供試体容器とは別に、各種試験用コンクリート供試体容器が収納されている請求項4又は請求項5に記載の凍結融解試験自動測定装置。
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