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JP3707622B2 - 金属シリサイドターゲット材 - Google Patents
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、半導体デバイスに使用される電極形成あるいは配線形成等に使用される金属シリサイドターゲット材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のLSIの高集積化に伴い、LSIの電極および配線としてタングステンシリサイドあるいはモリブデンシリサイド膜が用いられている。
これらのシリサイド膜を形成する方法としては、スパッタリング法、化学蒸着法等が使用されており、特に膜の生産性、再現性および作業の安全性から、スパッタリング法が主流となっている。このスパッタリング法は、タングステンとシリコンで構成されるターゲットを用いて、アルゴン等の不活性ガスイオンをターゲット表面に衝突させ、放出される微細な粒子を薄膜として形成させる方法である。
具体的なターゲット組成としては、化学量論的な金属シリサイドMSi2では、形成する金属シリサイド膜に大きな引張応力がかかるため、シート抵抗が増大しない範囲で化学量論組成よりもシリコンを高めた組成のターゲットが通常使用されている。
【0003】
また、上述したターゲットとしては、使用中の割れの発生を防止するため、薄膜の均一性、低抵抗性などを確保するため、あるいはスパッタ時の局部放電によりターゲット表面に突起が生じ、パーティクルが発生するのを防止するために、高密度で不純物の少ないターゲットを製造する方法が検討されている。
例えば、特開昭61−145828号公報では、高純度高融点金属粉末と高純度シリコン粉末を混合、加圧成形、加熱焼結して焼結体を得た後、電子ビーム溶解してシリサイド溶製品を得る方法が開示されている。
また、特開昭61−141673号公報あるいは特開昭61−141674号公報では、モリブデン粉末あるいはタングステン粉末とシリコン粉末を混合後、成形、シリサイド化の後にペレットを粉砕し、ホットプレスによる焼結体を得る方法によって高密度ターゲットを得ている。
【0004】
また、特開昭63−219580号公報に記載されるように、組織の微細化のために、モリブデンやタングステン等の高融点金属粉末とシリコン粉末とを真空中でシリサイド反応させ、得られた仮焼体を熱間静水圧プレスする方法も提案されている。
さらに、最近では、特公平6−41629号公報に記載されるように、パーティクルの低減に炭素量が関係することに着目して、金属粉末とシリコン粉末の混合粉末を作製した後、炭素および酸素を低減するために高真空中で加熱して炭素および酸素を低減する工程を付加する方法も開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した高密度化、不純物の低減および組織の微細化は、モリブデンシリサイドあるいはタングステンシリサイドターゲットのパーティクルの低減のためにそれぞれ有効な手法である。
しかし、近年のLSIの高集積化は著しく、配線などに要求される薄膜の幅がサブミクロンになってきており、上述した従来の手法だけでは、微細なデバイスのパーティクルの発生をさらに低減するのには不十分である。
本発明は、上述した要求に答えるべく、パーティクルの発生をさらに低減できる新規なターゲット材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、使用済の金属シリサイドターゲット材の表面を観察したところ、図3に示すシリコン隆起物の存在を確認した。そして、さらにこの隆起物の発生したターゲットに多量のパーティクルが発生していることを見出した。これは、シリコン隆起物が存在すると、スパッタリング期間中に突起部分に電荷がチャージアップして、この部分に異常放電が発生する。その時の衝撃力でシリコン隆起物が飛散し、これがパーティクルとなっていると推定される。
本発明者は、パーティクルを抑制するためにシリコン隆起物の発生しにくいターゲットを検討した。そして、ターゲット材の構成相のうち遊離シリコン領域の硬さとパーティクルの発生に相関があり、遊離シリコン領域の硬さが高いほどパーティクルが少ないことを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、シリコンと金属Mとの原子比
Si/Mが2以上、金属Mはモリブデンであり、実質的に化合物である金属シリサイドと遊離シリコンからなる組織を有するターゲット材であって、ターゲット材組織中の遊離シリコン部分のビッカース硬度が1100以上であることを特徴とする金属シリサイドターゲット材である。
上記本発明のターゲット材を得るための具体的な製造方法としては、Si/Mが2を超えるように調整した金属シリサイドと遊離シリコンでなる原料を1200℃〜1400℃、110MPa以上というシリコンの融点である1414℃近傍の高い温度で極めて高い圧力を適用することによって得ることができる。
【0008】
従来、本発明のようなシリコンが遊離シリコンとして存在する金属シリサイドターゲット材を熱間静水圧プレスを適用して得ようとする場合、熱間静水圧プレス用に粉末等を充填する缶体とシリコンとの反応を防ぐ必要がある。
したがって、シリコンの融点1414℃以下であるのは、もちろん、できるだけ低い温度で100%の密度を得ようとされてきた。
そして、100%の密度は、1200℃未満の温度で100MPa程度の圧力を加えれば得られるため、これ以上の温度および圧力の設定は、熱間静水圧プレスにおいては必要とされていなかったのである。
【0009】
本発明においては、上述した方法により遊離シリコン部の硬さの高いターゲットを得たものである。
遊離シリコン部の硬さが高くなる理由は不詳であるが、上述した高温、高圧の熱間静水圧プレスを適用することによって、高温域で軟化したシリコンが固化する状態が変化し、本発明のような硬い遊離シリコン部が得られたものと考えられる。
また、このような条件で熱間静水圧プレスを適用した場合、相対密度が101%を越えるものとすることができる。相対密度が理論密度より高いということは、単純な純シリコン Siと金属シリサイドMSi2ではなく、これらとは異なる組織になっていることを意味する。
【0010】
このような組織において、実際にパーティクル発生が少なくなることを初めて見出したことに本発明の最大の特徴がある。
上述の金属シリサイドと遊離シリコンでなる原料としては、例えば金属M粉末とシリコン粉末とを化学量論的にシリサイドの組成であるMSi2よりもシリコンを過剰になるように配合し、加熱することにより、金属シリサイドと遊離シリコンが分散する仮焼体を用いるか、この仮焼体をさらに粉砕した粉末を用いることができる。
【0011】
なお、本発明にいうシリサイド反応とは、モリブデンがシリコンと反応して金属シリサイドになる反応である。本発明のように化学量論組成であるMSi2、すなわちシリコンとモリブデンとの原子比 Si/Mが2、よりもシリコンが過剰になるように調整すると、シリサイド反応によって、モリブデンシリサイドと反応にあずからなかった遊離シリコンとが存在する組織になる。そのため、本発明において理論密度とは、ターゲット組織中に化学量論的な金属シリサイドMSi2と純シリコンSiとが、それぞれ単独で存在すると仮定して求めるものである。計算の具体的な手法は後述する通りである。
【0012】
【作用】
上述したように、本発明の最大の特徴は、ターゲット組織におけるシリコン領域の硬さを、ビッカース硬度で1100以上と従来では得られていなかった高い硬さにしたことである。
本発明のターゲット組織は、上述したように化合物である金属シリサイドと遊離シリコンで構成されている。
そのため、組織としては、具体的には実施例で示す図1あるいは図2に示す複合相となっている。図1および図2に示すように金属シリサイドに対応する白色部と、遊離シリコンに対応する暗色部、もしくは黒色部で構成されている。
パーティクルの原因となる上述したシリコン隆起物が発生するということは、化合物であるシリサイドの領域と、遊離シリコンの領域とで、スパッタリングの形態が異なることを意味する。
【0013】
本発明においては、上述したように高温、高圧の熱間静水圧プレスを適用することで遊離シリコンの領域の硬さを高くすることによって、金属シリサイドと遊離シリコンの領域において、スパッタリングの形態の差が緩和され、パーティクルの発生を少なくできたものである。
本発明において、遊離シリコン部分の硬さをビッカース硬度で1100以上と規定した理由は、1100以下の硬さでは、スパッタリング期間中に多くのシリコン突起物が発生し、パーティクルを大きく抑制することができなかったためである。
【0014】
また、本発明においては、好ましくは相対密度を101%以上とする。
相対密度が101%以上になる理由は、不詳であるが本発明者の検討した結果、加圧焼結に際して、熱間静水圧プレスを用いて、シリコンの融点近傍である1200〜1400℃で、110MPa以上という高圧を適用した場合、上述したような遊離シリコン領域の硬さを高めるだけではなく、相対密度を101%以上にすることができることを見出した。
特に相対密度が101%以上とすることにより、上述した硬いシリコン領域とすることによるパーティクルの低減効果を一層顕著なものとすることができるものである。
なお、焼結温度の上限は1400℃以下が望ましい。これは、1400℃を越えるとシリコンが溶解して、焼結体組織が不均一になるためである。
【0015】
本発明において、理論密度は例えば次のように計算できる。
シリコンとタングステンの原子比Si/W=2.75のターゲット材の場合。化学量論的タングステンシリサイドWSi2の密度と分子量は以下の通りである。
密度 9.83 [g/cm3]
分子量 240.022[g/g-mol]
純シリコンの密度と分子量は以下の通りである。
密度 2.33 [g/cm3]
原子量 28.086[g/g-mol]
【0016】
ターゲット材が実質的にWSi2 1[g-mol]とSi 0.75[g-mol]のみで構成されると仮定すると、ターゲット材重量は、
Figure 0003707622
ターゲット材容積は、
(1[g-mol]×240.022[g/g-mol]/9.83[g/cm3])+(0.75[g-mol]×28.086[g/g-mol]/2.33[g/cm3])=33.458[cm3]
【0017】
この時の密度は、ターゲット材重量/ターゲット材容積=7.803〔g/cm3〕となる。これが理論密度である。
一方真密度は、ターゲット材をアルキメデス法によって容積を求め、また秤量することにより重量を求めることによって得ることができる。
これによって得られた真密度がたとえば、7.90〔g/cm3〕であれば、相対密度は、(真密度×100)/理論密度=(7.90[g/cm3]×100)/7.803[g/cm3]=101.2%である。
また本発明法において、シリコンと高融点金属の原子比 Si/Mが2を越えると規定したのは、Si/Mが2以下であると、遊離シリコン領域が存在しない組織のターゲットとなりシリコン隆起物が発生しないためである。また、LSIの電極または配線として使用する場合には、Si/Mが4を越えるとシート抵抗が高くなってしまうという問題があるため、好ましくはSi/Mを4以下とする。
【0018】
【実施例】
(参考例1)
高純度タングステン粉末(純度99.999%以上、平均粒径4.8μm)と高純度シリコン粉末(純度99.999%以上、平均粒径12μm)をSi/W=2.75の配合比に秤量し、ブレンダーにて混合した。この時の理論密度は上述した手法で計算すると7.803[g/cm2]である。
混合して得られた混合粉末を1350℃×2hrの条件で5×10マイナス4乗Torr以下の高真空下でシリサイド化反応を行い仮焼体を得た。この仮焼体をアルゴン雰囲気中で100メッシュ(150μm)以下にまで粉砕し、粉砕粉を表1に示す条件により熱間静水圧プレスにより加圧焼結し、機械加工により300mmφのタングステンシリサイドターゲット材を得た。
得られたターゲット材の遊離シリコン部の硬さを50kgの荷重によるビッカース硬度計により求めた。また、アルキメデス法により、真密度を求めた。得られた真密度と理論密度で計算される相対密度を表1に示す。また、得られたターゲット材を表2の条件でスパッタリングを行い6インチウエハーに発生する0.3μm以上のパーティクル数を測定するとともに、ターゲット使用後のシリコン突起物の発生を面積率で評価した。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
Figure 0003707622
【0020】
【表2】
Figure 0003707622
【0021】
また、参考例のタングステンシリサイドターゲット材の代表的な組織を示すために試料No.2の600倍の組織写真を図1に示す。
図1に示す参考例のタングステンシリサイドターゲット材において、白色で表されるのは化合物であるタングステンシリサイド領域であり、黒色に見えるのは遊離シリコン領域であり、これらが分散した組織となっていることがわかる。
表1に示す試料のうち、試料1〜3が参考例のターゲット材であり、試料4〜5は比較例の試料である。
表1に示すように、遊離シリコン領域の硬さがビッカース硬度で1100以上に高めると、ビッカース硬度が1010〜1040である試料No.4,No.5と比較して、シリコン突起物の発生が顕著に少なくなるとともにパーティクルの著しい低減が可能であることがわかる。
また、さらにターゲットの相対密度が101%以上である参考例のターゲット材ではパーティクルの発生を有効に抑制していることがわかる。
【0022】
(実施例
高純度モリブデン粉末(純度99.999%以上、平均粒径4.2μm)と高純度シリコン粉末(純度99.999%以上、平均粒径10μm)をSi/Mo=2.3の配合比に秤量し、ブレンダーにて混合した。この時の理論密度は上述した手法で計算すると5.734[g/cm2]である。
得られた混合粉末を1250℃×4hrの条件で5×10マイナス4乗Torr以下の高真空下でシリサイド化反応を行い仮焼体を得た。この仮焼体をアルゴン雰囲気中で100メッシュ(150μm)以下にまで粉砕し、粉砕粉を表3に示す条件により熱間静水圧プレスにより加圧焼結し、機械加工により300mmφのモリブデンシリサイドターゲット材を得た。
得られたターゲット材の遊離シリコン部の硬さおよび真密度、相対密度を参考例1と同様に求めた。結果を表3に示す。また、得られたモリブデンシリサイドターゲット材を参考例1と同様の表2の条件でスパッタリングを行い6インチウエハーに発生する0.3μm以上のパーティクル数を測定するとともに、ターゲット使用後のシリコン突起物の発生を面積率で評価した。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
Figure 0003707622
【0024】
また、本発明のモリブデンシリサイドターゲット材の代表的な組織を示すために試料No.7の600倍の組織写真を図2に示す。
図2に示す本発明のモリブデンシリサイドターゲット材において、白色で表されるのは化合物であるモリブデンシリサイド領域であり、黒色に見えるのは遊離シリコン領域であり、これらが分散した組織となっていることがわかる。
表3に示す試料のうち、試料6〜8が本発明のターゲット材であり、試料9〜10は比較例の試料である。
表3に示すように、遊離シリコン領域の硬さがビッカース硬度で1100以上に高めると、ビッカース硬度が1000〜1070である試料No.9〜10と比較するとシリコン突起物の発生が顕著に少なくなるとともにパーティクルの著しい低減が可能であることがわかる。
【0025】
また、さらにターゲットの相対密度が101%以上であるとパーティクルの発生が顕著に少なくなることがわかる。
この結果は、上述した参考例1と同様の傾向を示すものであり、モリブデンシリサイドターゲット材に対しても、遊離シリコン領域の硬さを高めること、および密度を理論密度よりも顕著に高い相対密度101%以上とることがパーティクルの抑制に有効であることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、従来では考えられなかった遊離シリコン部の硬度 1100HV以上によって、シリコン突起物の発生に起因するパーティクル発生の発生を著しく抑制することでできるようになる。
したがって、本発明のターゲット材を使用することにより、半導体デバイスの製造歩留まり向上あるいは半導体デバイスの信頼性向上となり、工業上極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例のタングステンシリサイドターゲット材の組織の一例を示す金属ミクロ組織写真である。
【図2】 本発明のモリブデンシリサイドターゲット材の組織の一例を示す金属ミクロ組織写真である。
【図3】 金属シリサイドターゲットに発生するシリコン突起物の形態を示す金属ミクロ組織写真である。

Claims (2)

  1. シリコンと金属Mとの原子比
    Si/Mが2以上、金属Mはモリブデンであり、実質的に化合物である金属シリサイドと遊離シリコンからなる組織を有するターゲット材であって、ターゲット材組織中の遊離シリコン部分のビッカース硬度が1100以上であることを特徴とする金属シリサイドターゲット材。
  2. ターゲット材が化学量論的な高融点シリサイドMSi2および純シリコンSiで構成されると仮定して計算された理論密度に対するターゲット材の真密度の比である相対密度が101%以上であることを特徴とする請求項1に記載の金属シリサイドターゲット材。
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