JP3709893B2 - 重質油の流動接触分解用触媒組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、重質油の流動接触分解(FCC)用触媒組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重質油の流動接触分解用触媒組成物(以下、単にFCC用触媒組成物とも言う)は、多孔性無機酸化物とゼオライトから構成されている。この場合、多孔性無機酸化物としては、例えば、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、シリカ−マグネシア、シリカ−粘土、マグネシア−アルミナ等が用いられている。しかし、従来のFCC用触媒組成物の場合、酸量が多すぎること及び酸強度の分布が十分最適化されていないために、その使用に際し、触媒組成物表面に多量のコークが析出し、そのコーク析出のために触媒活性が比較的短時間で低下するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、重質油の流動接触分解用触媒組成物において、使用に際してコーク析出の少なくかつ高い中間留分収率を与える触媒組成物を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、アルミナを核とし、その表面にシリカを付着結合させた構造を有するシリカ−アルミナであって、120〜200m2/gの比表面積及び0.40〜0.65mmolの全酸量を有し、全酸量中の強酸の割合が35〜70%であるシリカ−アルミナを触媒成分として含有することを特徴とする重質油の流動接触分解用触媒組成物が提供される。
【0005】
本発明において触媒成分として用いるシリカ−アルミナは、アルミナを核としその表面にシリカを付着結合させた構造を有する。そのシリカ(SiO2)含有量は、2〜90重量%、好ましくは5〜70重量%の範囲である。SiO2含有量が前記範囲より少ないと、触媒活性の低下が起こり、一方、SiO2含有量が前記範囲より大きくなると、固体酸の性質が実質上なくなってしまうため、触媒活性が低下する。
【0006】
本発明で用いるシリカ−アルミナを製造するには、先ず、硫酸アルミニウム水溶液を作る。この水溶液中のアルミナ(Al2O3)濃度は、0.5〜10wt%、好ましくは1〜5wt%である。
次に、この硫酸アルミニウム水溶液に対し、アルカリを添加して水酸化アルミニウムを沈殿させ、水酸化アルミニウムの水スラリーを得る。アルカリとしては、水酸化アルカリ、特に水酸化アンモニウム(アンモニア水)の使用が好ましい。
前記のようにして得た水酸化アルミニウム水スラリーに、pH2〜12、好ましくは3〜10の範囲に調節した水ガラス水溶液を撹拌下で添加混合する。水ガラス中のシリカ(SiO2)濃度は、3〜12wt%、好ましくは8〜10wt%である。水ガラス水溶液は、このようなpH範囲に保持することにより、シリカゾル液となる。
前記のようにして得られる水酸化アルミニウム水スラリーとシリカゾル液との混合物は、これを水酸化アルカリ、好ましくは水酸化アンモニウムにより、そのpHを7〜10、好ましくは8〜9の範囲に調節し、温度20〜80℃、好ましくは50〜70℃で、0.5〜5時間、好ましくは2〜3時間熟成する。この熟成によりシリカゾルは水酸化アルミニウム粒子表面上でシリカゲルとなる。
次いで、この熟成後、固体粒子を液から分離し、水洗することによりSiO2−Al2O3ゲルを得る。このようにして得たSiO2−Al2O3ゲルはFCC用触媒組成物成分として用いる。また、このゲルは、80〜150℃、好ましくは100〜130℃の温度で乾燥して乾燥物粒子とすることができ、さらに、必要に応じて、500〜700℃で焼成し焼成粒子とすることができる。本発明の触媒組成物を調製する場合、このような乾燥物粒子や焼成粒子を原料として用いることもできる。
【0007】
本発明で用いるシリカ−アルミナは、100〜200m2/g、好ましくは120〜180m2/gの比表面積及び0.40〜0.65mmol/g、好ましくは、0.45〜0.60mmol/gの全酸量を有し、その全酸量中の強酸量の割合が35〜70%、好ましくは37〜65%の範囲にある。比表面積及び全酸量が増加すると、触媒活性も増加する傾向を示すが、一方、比表面積が増加すると、それに応じてコーク収率が増加する。本発明では、前記したように、比表面積及び全酸量を低く抑えるとともに、強酸量の割合を比較的高い範囲に保持する。
【0008】
本発明のシリカ−アルミナを含む触媒組成物において、そのシリカ−アルミナの比表面積及び全酸量が前記範囲を超えるようになると、重質油の分解において、コーク析出量が多くなるとともに、ナフサや中間留分の選択率も低下するようになる。一方、その比表面積が前記範囲よりも低くなると、この場合には、強酸量の割合を高くしてもその重質油の分解活性を高く保持することができなくなる。また、全酸量中の強酸の割合が前記範囲より低くなると、重質油分解活性が低くなり、一方、前記範囲を超えると、コーク析出量が多くなる等の問題を生じる。
【0009】
本発明で用いるシリカ−アルミナにおいて、その比表面積及び全酸量は、前記したその製造方法において、硫酸アルミニウム水溶液に水酸化アルカリを添加する速度を変化させることにより調節することができる。また、全酸量中の強酸の割合は、前記したその製造方法において、水酸化アルミニウム水スラリーにシリカゾル液を添加する速度やシリカゾル液のpH、混合後の熟成条件を変化させることにより調節することができる。
【0010】
本明細書でシリカ−アルミナに関して言う細孔特性、全酸量及び強酸量は、シリカ−アルミナゲルを500℃で焼成した焼成品についての値であり、これらの物性値は以下のようにして測定されたものである。
(比表面積)
試料0.2gを200℃、1×10-3トールの条件下に1時間保持した後、液体窒素温度(77K)にて窒素ガスの吸着を行い、その吸着量を用いて比表面積を求めた。その算出にはBET法を用いた。
(全細孔容積)
上記比表面積測定に続いて、液体窒素温度(77K)にて、窒素ガスを相対圧1.0まで吸着した後、窒素ガスの脱着を相対圧0.14まで行い、その脱着量から細孔容積を算出した。
(全酸量及び強酸量の測定)
試料1gを400℃、1×10-4トールの条件下に4時間保持した後、アンモニアガスを吸着させ、その際に発生する吸着熱を測定し、その吸着熱からアンモニア吸着量を測定し、その測定結果から全酸量及び強酸量を算出した。この場合、吸着熱が70kj/mol以上の酸量を全酸量とし、吸着熱が90kj/mol以上の酸量を強酸量とした。強酸の割合は、強酸量/全酸量×100(%)で示した。なお、本測定は、東京理工社製、「吸着熱測定装置」を用いて行った。
【0011】
本発明の触媒組成物は、従来公知のFCC用触媒組成物の製造工程において、前記で得たSiO2−Al2O3を添加することによって製造することができる。本発明で用いるSiO2−Al2O3の含有量は、全触媒組成物中、5〜80wt%、好ましくは10〜60wt%である。本発明の触媒組成物においては、他の成分として、従来公知のゼオライトを含む。ゼオライトとしては、従来公知の各種の結晶性シリケート、例えば、結晶性アルミノシリケート、骨格構造に金属を含有するアルミノメタロシリケート(例えば、結晶性アルミノガロシリケート等)等が用いられるが、特に、ホージヤサイトに属する合成Y型ゼオライト及び超安定Y型ゼオライトがよく、また、カチオンとして、水素及び/又は希土類金属を含有するものの使用が好ましい。このゼオライトは、全触媒組成物中0〜40wt%、好ましくは10〜30wt%である。本発明の触媒組成物は、必要に応じて、さらに、他の金属酸化物や粘土、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニア、マグネシア−アルミナ、カオリン等を適量含有することもできる。
【0012】
本発明の触媒組成物は、平均粒径が50〜70μm、好ましくは55〜65μmの粒子状で用いられる。また、その表面積は、通常、200〜400m2/g、好ましくは250〜350m2/gである。
【0013】
本発明の触媒組成物を用いて重質油を流動接触分解するには、流動化した触媒組成物に対し、重質油を接触させる。反応温度は、470〜550℃、好ましくは480〜520℃である。触媒組成物/油比は3〜6wt/wt、好ましくは4〜5wt/wtである。
【0014】
重質油としては、各種原油の他、それら原油の常圧蒸留残渣油、減圧蒸留残渣油を用いることができ、さらに、溶剤脱歴油、溶剤脱歴アスファルト、シェールオイル、タールサンドオイル、石炭液化油等を用いることができる。さらに、前記した重質油に対し、減圧軽油(沸点範囲:343℃〜600℃)等を混合したものを用いることができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明の触媒組成物は、重質油に対して優れた分解活性を有し、本発明の触媒組成物の存在下で重質油の流動接触分解反応を行うことにより、ナフサや中間留分を高収率で得ることができる。
本発明の触媒組成物は、比表面積が低く、全酸量が少なく、強酸量の割合が低い特定のSiO2−Al2O3を触媒成分として含有するので、重質油の流動接触分解において、コークの析出量を著しく減少させることができ、これによって触媒寿命の延長が達成される。
【0016】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0017】
参考例1(SiO2−Al2O3の調製)
Al2O3濃度1.28wt%の硫酸アルミニウム水溶液(pH3.0)7000gに2規定の水酸化アンモニウム水溶液2400gを240分間で加えてpH8.2の水酸化アルミニウムを含有する水スラリーを得た。
一方、SiO2含有量が5.93wt%の水ガラス水溶液(pH12)169gを撹拌下、前記で得た水酸化アルミニウムの水スラリーに5分間で添加混合し、得られた混合物に2規定の水酸化アンモニウムを添加し、そのpHを8.2に調節した。
【0018】
次いで、このようにして得られた混合物を30℃で3時間熟成して、混合物中に含まれるシリカゾルをゲル化させ、水酸化アルミニウム粒子表面にシリカゲルが付着結合したゲルを得た。このゲルを液中から分離し、水洗し、ろ過し、シリカ−アルミナゲル(A)を得た。
【0019】
参考例2
参考例1において、水ガラス水溶液添加時間を1/15(20秒)とした以外は同様にして実験を行い、シリカ−アルミナゲルBを得た。
【0020】
参考例3
参考例1において、水ガラス水溶液添加時間を5倍(25分)とした以外は同様にして実験を行い、シリカ−アルミナゲルCを得た。
【0021】
比較参考例1
参考例1において、硫酸アルミニウム水溶液に対するアンモニア水溶液の添加時間を130分とし、さらにアルミナゲルに対する水ガラス水溶液の添加時間を240分とした以外は同様にして実験を行い、シリカ−アルミナゲルDを得た。
【0022】
比較参考例2
参考例1において、硫酸アルミニウム水溶液に対するアンモニア水溶液の添加時間を25分とした以外は同様にして実験を行い、シリカ−アルミナゲルEを得た。
前記のようにして得た各シリカ−アルミナゲルについて、120℃で12時間乾燥後、500℃で3時間焼成した後、その性状を調べた。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1(触媒組成物の調製)
SiO2含有量が8.5wt%の水ガラス水溶液(pH:12)1176gに2規定の硫酸を添加して、そのpHを3に調節してシリカゾル液を得た。
次に、このシリカゾル液1450gに、カオリン100g、前記参考例1〜3及び比較参考例1〜2で得たSiO2−Al2O3ゲルA〜Eを乾燥重量換算で300g添加し、均一に分散させた後、噴霧乾燥し、前記SiO2−Al2O3ゲルA〜Eに対応する平均粒径60μmの添加触媒A〜Eを得た。これらの触媒A〜Eの成分組成を示すと、カオリン20wt%、シリカ20wt%及びSiO2−Al2O360wt%であった。
【0025】
実施例2(重質油の分解)
実施例1で得た各触媒組成物の性能試験を行うために、マイクロアクティビティテスト(MAT)装置を用い、同一原料油、同一条件下で流動接触分解反応を行った。その結果を表2に示す。
前記原料重質油としては、脱流VGOを用いた。また、試験に先立ち、触媒は650℃で1時間焼成した後、760℃で16時間100%スチーム雰囲気で処理した。
前記試験における流動接触分解条件は以下の通りであった。
(1)反応温度:520℃
(2)反応圧力:常圧
(3)触媒/油比:2.5〜4.5wt/wt
(4)接触時間:32hr-1
【0026】
なお、表2に示した転化率、ナフサ収率、コーク収率及びナフサ選択率は、以下の式で定義されるものである。
(1)転化率(wt%)=(A−B)/A×100
A:原料油の重量
B:生成油中の沸点221℃以上の留分の重量
(2)ナフサ収率(wt%)=C/A×100
C:生成油中のナフサ(沸点範囲:C5〜221℃)の重量
(3)コーク収率(wt%)=D/A×100
D:触媒組成物に析出したコーク重量
(4)ナフサ選択率
(ナフサ収率)/(転化率)×100%
【0027】
【表2】
Claims (1)
- アルミナを核とし、その表面にシリカを付着結合させた構造を有するシリカ−アルミナであって、100〜200m2/gの比表面積及び0.40〜0.65mmolの全酸量を有し、全酸量中の強酸の割合が35〜70%であるシリカ−アルミナを触媒成分として含有することを特徴とする重質油の流動接触分解用触媒組成物。
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| JP23027794A JP3709893B2 (ja) | 1994-08-31 | 1994-08-31 | 重質油の流動接触分解用触媒組成物 |
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| JPH0871417A JPH0871417A (ja) | 1996-03-19 |
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