JP3710451B2 - 移動体の位置計測方法及び装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、例えば、移動体を無人走行させる場合の移動体の位置,方位等の計測方法及びその実施に適した装置に関し、特に、多目的軽量走行車両等の走行耐久試験のように高速で自動運転させる場合に適した移動体の位置,方位等の計測方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、多目的軽量走行車両と呼ばれる大きな荷台を後部に備えた小型四輪作業車が実用化されており、ゴルフ場、牧場、スキー場、砂浜等のフィールドで活躍している。
【0003】
このように、多目的軽量走行車両は、通常は、勾配が多く、凸凹の多い不整地での走行に使用されることから、その開発段階における走行耐久試験にあっては、同様の不整地で行なわれる。
【0004】
一般に、このような走行耐久試験は、何十時間と長時間連続して行なわれることから、運転者の疲労も大きい。また、耐久試験では、周辺地域への配慮から山中に特設された一定の走行路を幾度となく周回走行することも、運転者の疲労を大きくしている。
【0005】
従って、走行耐久試験に利用する車両等の移動体を自動走行させることが望まれ、例えば、走行路に沿って白線を設ける一方、白線を検出する一対の光学センサを移動体の下面に左右方向に並設し、一対の光学センサの間に白線を維持しながら白線に沿って移動体を走行させる技術がある。
【0006】
また、例えば、走行路に沿って磁気マーカ又は電波マーカ等を間欠的に埋設する一方、これらのマーカを検出する磁気又は電波センサを移動体の下面に配設し、センサの真下にマーカを維持しながらセンサに沿って移動体を走行させる技術もある。
【0007】
ところが、耐久試験に利用する走行路には、移動体の繰り返し走行により路面が削り取られる等の理由から、基本的には、走行路内に如何なる物体も敷設することはできない。
【0008】
そこで、例えば、走行路に沿って反射体を適宜の間隔で設置し、予め測量等により反射体の正確な位置を特定しておく一方、移動体に光ビーム照射/受光手段を備えさせ、移動体を走行させながら移動体から光ビームを照射し、その反射光の受光方向、及び反射体と移動体との相対距離から、移動体の位置,進路等を計測する技術が種々開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平11-183174号公報
【特許文献2】
特開平11-271043号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した如き従来技術にあっては、無人搬送車のような工場等で利用される移動体を想定しているものであって、すべての反射体は、所定の高さに設けられているものの、移動体の向きに対してどのような方位に設けられているかわからないため、移動体の光ビーム照射/受光手段は、全周囲を走査するように構成されている。
【0011】
このため、一回の位置,進路等の計測に時間を要するので、無人搬送車に比べてかなり高速で走行させる必要がある走行耐久試験の用途には不向きであった。
【0012】
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、所定の走行路を比較的高速で自動走行させる移動体の位置,進路等の計測に適しており、しかも、全周囲を走査する光ビーム照射/受光手段を必要としない移動体の位置計測方法及びその実施に適した装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明に係る移動体の位置計測方法は、所定の走行路を走行する移動体の前記走行路に沿った方向の前記移動体の進行方向位置と、前記走行路の幅方向における前記移動体の幅方向位置と、前記移動体の方位とを、前記移動体に搭載された慣性航法装置により推定すると共に、該慣性航法装置が発生する前記進行方向位置、前記幅方向位置、及び前記方位の誤差を補正する方法であって、前記移動体が前記所定の走行路の外側で該走行路に沿った所定の位置に設置された反射体の側方を通過する際に、前記移動体が具備する距離計測手段によって、前記反射体を計測基準とする距離計測手段の出力変化に基づいて前記移動体が前記反射体を通過することを検出すると共に、検出した前記反射体の位置から前記進行方向位置を求め、前記距離計測手段の出力から前記移動体と前記反射体との間の第1距離を求め、前記慣性航法装置により推定された前記幅方向位置から前記移動体と前記反射体との第2距離を求め、前記第1距離と前記第2距離との差に基づいて、前記慣性航法装置が推定する方位と幅方向位置とを補正すること、及び、前記進行方向位置に基づいて、前記慣性航法装置が推定する進行方向位置を補正することを、前記反射体を通過する毎に繰り返すことを特徴とする。
【0014】
また、本願発明に係る移動体の位置計測装置は、所定の走行路を走行する移動体の前記走行路に沿った方向の前記移動体の進行方向位置と、前記走行路の幅方向における前記移動体の幅方向位置と、前記移動体の方位とを、前記移動体に搭載された慣性航法装置により推定すると共に、該慣性航法装置が発生する進行方向位置、前記幅方向位置、及び前記方位の誤差を補正する装置であって、前記移動体に設けられる距離計測手段と、前記移動体が前記所定の走行路の外側で該走行路に沿った所定の位置に前記距離計測手段の計測基準となるべく設置された反射体の側方を通過する際に、前記距離計測手段の出力変化に基づいて前記移動体が前記反射体を通過することを検出する通過検出手段と、該通過検出手段により検出された前記反射体の位置から前記進行方向位置を演算する進行方向位置演算手段と、前記距離計測手段の出力から前記移動体と前記反射体との間の第1距離を演算する第1距離演算手段と、前記慣性航法装置により推定された前記幅方向位置から前記移動体と前記反射体との第2距離を演算する第2距離演算手段と、前記第1距離と前記第2距離との差に基づいて、前記慣性航法装置が推定する方位と幅方向位置とを補正する方位・幅方向位置補正手段と、前記方向位置演算手段により演算された進行方向位置に基づいて、前記慣性航法装置が推定する進行方向位置を補正する進行方向位置補正手段とを備え、前記方位・幅方向位置補正手段による補正と、前記進行方向位置補正手段とを、前記反射体を通過する毎に繰り返すべくなしてあることを特徴とする。
【0015】
本願発明によれば、非常に簡易に移動体の位置及び方位を求めることができるため、処理時間の短縮化を図れ、従って、所定の走行路を比較的高速で自動走行させる移動体の位置,進路等の検出に適しており、しかも、従来技術のような全周囲を走査する光ビーム照射/受光手段を必要としない。また、走行路への加工も不要である。
【0016】
なお、本願発明において、慣性航法装置は、ジャイロ、及び速度パルスを利用して走行距離等を検出する自動車等で利用されている一般的な速度センサ等を備えている。
【0017】
また、本願発明においては、移動体への適用として、前述したような多目的軽量走行車両又は無人搬送車のほかにも、例えば、自動車,除雪車,又は自動芝刈り機等に適用することができる。
【0018】
また、本願発明は、GPS航法装置及び慣性航法装置を併用する構成であって、山中等、GPS衛星からの電波を受信できないような場所又は環境での利用において慣性航法装置の測定誤差を補正することに適用可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係る位置計測方法を、添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0020】
本願発明に係る位置計測方法によれば、次のような原理により、移動体の位置(x1,y1)及び方位φ1を計測することができる。
【0021】
図1に示すように、例えば、実線矢符方向に走行する移動体1の片側(図1においては右側)に、レーザ距離計等の距離計測手段2を設ける。なお、距離計測手段は、反射体との間の距離を計測できるものであればよく、例えば、光ビーム,超音波等を利用した距離計であってもよい。
【0022】
一方、所定の走行路Cの片側(図1においては右側)に沿って複数の反射体3,3…が設置されており、各反射体3の位置は、測量等により予め絶対座標位置として求められている。距離計測手段2は、移動体1の走行方向に直角な方向の距離を計測するものであり、移動体1と反射体3との間の相対的な距離を計測するものである。なお、反射体3の近傍には、距離計測手段2が反射体3と間違うような障害物は無いものとする。
【0023】
このとき、走行中に距離計測手段2の出力をモニタしておれば、反射体3の略直角の位置に移動体1が来たことを検知すること、及び反射体3と移動体1との間の距離を求めることができる。
【0024】
図1においては、反射体3を2個配置している。進行方向手前側の反射体3をB0、その先の反射体3をB1とし、移動体1によるB0,B1それぞれの反射体検出位置をP0,P1とする。また、P0の位置において、移動体1の位置(x0,y0)及び方位(φ0)が既に求められているものとする。
【0025】
以下では、P0の位置からP1の位置へ移動体1が走行する際に生じる誤差の補正方法について説明する。
【0026】
図1における破線の移動軌跡は、慣性航法のために移動体1に搭載している慣性航法装置が推定している軌跡であり、慣性航法装置を構成するジャイロのドリフト等の慣性航法装置が発生する出力誤差により、図1において実線で示す実際の走行軌跡とはずれている。
【0027】
いま、移動体1がP1の位置に来たとき、距離計測手段2で移動体1と反射体B1との間の距離dを求める。ここで、反射体B1の走行路Cの中央線(図1において一点鎖線で示す)に対する幅方向の距離が図1におけるD1(既知)、慣性航法装置が推定する走行路Cの中央線に対する移動体1の幅方向の距離をe1とすると、慣性航法装置の推定値から計算される移動体1と反射体B1との距離は、D1−e1となり、慣性航法装置の推定位置は距離計測手段2で計測した実際との誤差は、e2=(D1−e1)−dにより求められる。P0の位置からP1の位置に移動する移動体1の走行距離をLとすると、方位が概略e2/Lだけずれていることになり、慣性航法装置の推定しているP1の位置における方位をe2/Lだけ補正することで、慣性航法装置の誤差の蓄積を防止することができる。
【0028】
同時に、慣性航法装置の進行方向距離の推定値についても、既知の反射体B1の位置から走行路C側に距離d離れた位置に移動体1があるものとして位置(x1,y2)を補正することができる。
【0029】
以下、本願発明に係る位置計測方法を適用した移動体について説明する。
【0030】
図2は、本願発明の実施の形態に係る移動体の構成を示すブロック図である。本実施の形態の移動体1は、走行耐久試験用に自動操縦機能を持つ多目的軽量走行車両である。
【0031】
本実施の形態に係る移動体1は、所定の走行路(図示せず)の外側に所定の間隔で設置された反射体3にレーザ光等の光ビームを照射し、該反射体3で反射された光ビームを受光する一又は複数のレーザ距離計2と、移動体1のステアリング5,ブレーキ6,及びアクセル7等を操作して移動体1の自動操縦を行なう自動操縦装置4とを備えている。
【0032】
自動操縦装置4は、タイマ40aを内蔵した制御演算装置40,GPS受信機41,ジャイロ42,車速センサ43,及び駆動装置44等を備えており、基本的には、GPSデータに基づいた自動操縦を行い、ジャイロ42及び車速センサ43から構成される慣性航法装置45(図4参照)による慣性航法も可能となっている。
【0033】
なお、本実施の形態においては、自動操縦装置4が車速センサ43を備えるように構成してあるが、一般に、多目的軽量走行車両等の車両には、このような車速センサが元々取り付けられているため、これを利用することも可能である。
【0034】
GPS受信機41は、例えばリアルタイムキネマティック(Real Time Kinematic)方式のGPS受信機(RTK-GPS)であり、GPS衛星8及び図示しない地上の基準局から受信した情報(時間情報,位相情報等)を制御演算装置40に与えるようになっている。RTK方式では、受信位置を約数cmの誤差で測定することが可能である。なお、GPS受信機41には、多少精度は低下するが、ディファレンシャル方式のGPS受信機(DGPS)を採用することも可能である。
【0035】
慣性航法装置45を構成するジャイロ42は、ファイバオプティカル式,リングレーザ式等からなり、移動体1の3軸加速度を検出し、検出結果を制御演算装置40に与えるようになっている。
【0036】
車速センサ43は、移動体1の車軸に設けられた電気式,磁気式,又は光学式のセンサであり、車軸の1回転ごとにパルス信号を発生し、これを制御演算装置40に与えるようになっている。
【0037】
駆動装置44は、移動体1のステアリング5,ブレーキ6,及びアクセル7等を作動させる各種のアクチュエータからなり、制御演算装置40からの制御指示に応じてアクチュエータを作動し、移動体1の方位及び速度を調節する。
【0038】
次に、制御演算装置40の構成及び作用について、さらに、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0039】
制御演算装置40は、マイクロプロセッサを備え、基本的には、図3に示すように、GPS受信機41から与えられる情報に基づいて移動体1の位置及び方位(x,y,φ)を演算し、この位置及び方位に基づいて、駆動装置44に制御指示を出力し、移動体1が所定の走行路の中央線に沿って走行するように制御している(ステップS1)。なお、走行路のコースデータは、反射体3の位置データと共に、制御演算装置40が内蔵するメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0040】
しかし、GPS受信機41がGPS衛星8及び図示しない地上の基準局から情報を適切に受信できない状態となった場合には、GPS受信機41からの情報に依存することができなくなるので、この場合には、ジャイロ42及び車速センサ43等から構成される慣性航法装置45(図4参照)による慣性航法に切り換える(ステップS2)。
【0041】
ただし、ドリフト等によってジャイロ42から与えられる角速度データ、及び車速センサから与えられるパルス信号には、誤差が生じてくるため、定期的に補正する必要がある。補正は、GPSデータによる補正を優先的に行なうが、GPSデータに依存することができない場合には、レーザ距離計2によるレーザ距離定点位置計測(x1,y1,φ1)を行い、この結果に基づいて、慣性航法に利用する移動体1の位置及び方位(x,y,φ)を補正する(ステップS3)。
【0042】
より詳しくは、制御演算装置40は、図4に示すように、GPS位置検出部401,慣性航法位置検出部402,及び位置・方位補正処理部403等を備えており、該位置・方位補正処理部403は、方位補正演算部404及び位置補正演算部405等を備えている。
【0043】
GPS受信機41からのGPSデータは、GPS位置検出部401に与えられ、該GPS位置検出部401は、GPSデータに基づいて移動体1の位置及び方位を演算するようになっている。
【0044】
慣性航法装置45(ジャイロ42及び車速センサ43等)からの慣性航法データは、慣性航法位置検出部402に与えられ、該慣性航法位置検出部402は、GPS位置検出部401に演算された移動体1の位置及び方位を初期位置及び初期方位として利用し、慣性航法データに基づいて移動体1の位置及び方位を演算するようになっている。
【0045】
位置・方位補正処理部403は、前述した本願発明の第1及び/又は第2の観点の原理を用いて、方位補正演算部404により移動体1の方位を演算し、位置補正演算部405により移動体1の位置を演算するようになっている。
【0046】
位置・方位補正処理部403での移動体1の位置及び方位の演算で用いられる反射体3の設置間隔及びその絶対座標位置等の情報は、制御演算装置40が内蔵するメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0047】
また、位置・方位補正処理部403での移動体1の位置及び方位の演算で用いられる走行距離及び走行速度等の情報は、車速センサ43からのパルス信号(又はジャイロ42からの加速度信号)と、タイマ40aからの時刻信号と、移動体1の車輪の周囲長の情報とに基づいて特定され、車輪の周囲長の情報は、制御演算装置40が内蔵するメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本願発明に係る移動体の位置計測方法及びその実施に適した装置によれば、所定の走行路を比較的高速で自動走行させる移動体の位置,進路等の計測に適しており、しかも、全周囲を走査する光ビーム照射/受光手段を必要としない等、本願発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係る移動体の位置計測方法を説明するための原理図である。
【図2】 本願発明の実施の形態に係る移動体としての走行耐久試験用に自動操縦機能を持った多目的軽量走行車両の構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示した移動体の自動操縦装置の位置及び方向検出の切り換え方法を示すフローチャートである。
【図4】 図2に示した移動体の制御演算装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 移動体
2 レーザ距離計
3 反射体
4 自動操縦装置
5 ステアリング
6 ブレーキ
7 アクセル
8 GPS衛星
40a タイマ
40 制御演算装置
41 GPS受信機
42 ジャイロ
43 車速センサ
44 駆動装置
45 慣性航法装置
401 GPS位置検出部
402 慣性航法位置検出部
403 位置・方位補正処理部
404 方位補正演算部
405 位置補正演算部
【発明の属する技術分野】
本願発明は、例えば、移動体を無人走行させる場合の移動体の位置,方位等の計測方法及びその実施に適した装置に関し、特に、多目的軽量走行車両等の走行耐久試験のように高速で自動運転させる場合に適した移動体の位置,方位等の計測方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、多目的軽量走行車両と呼ばれる大きな荷台を後部に備えた小型四輪作業車が実用化されており、ゴルフ場、牧場、スキー場、砂浜等のフィールドで活躍している。
【0003】
このように、多目的軽量走行車両は、通常は、勾配が多く、凸凹の多い不整地での走行に使用されることから、その開発段階における走行耐久試験にあっては、同様の不整地で行なわれる。
【0004】
一般に、このような走行耐久試験は、何十時間と長時間連続して行なわれることから、運転者の疲労も大きい。また、耐久試験では、周辺地域への配慮から山中に特設された一定の走行路を幾度となく周回走行することも、運転者の疲労を大きくしている。
【0005】
従って、走行耐久試験に利用する車両等の移動体を自動走行させることが望まれ、例えば、走行路に沿って白線を設ける一方、白線を検出する一対の光学センサを移動体の下面に左右方向に並設し、一対の光学センサの間に白線を維持しながら白線に沿って移動体を走行させる技術がある。
【0006】
また、例えば、走行路に沿って磁気マーカ又は電波マーカ等を間欠的に埋設する一方、これらのマーカを検出する磁気又は電波センサを移動体の下面に配設し、センサの真下にマーカを維持しながらセンサに沿って移動体を走行させる技術もある。
【0007】
ところが、耐久試験に利用する走行路には、移動体の繰り返し走行により路面が削り取られる等の理由から、基本的には、走行路内に如何なる物体も敷設することはできない。
【0008】
そこで、例えば、走行路に沿って反射体を適宜の間隔で設置し、予め測量等により反射体の正確な位置を特定しておく一方、移動体に光ビーム照射/受光手段を備えさせ、移動体を走行させながら移動体から光ビームを照射し、その反射光の受光方向、及び反射体と移動体との相対距離から、移動体の位置,進路等を計測する技術が種々開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平11-183174号公報
【特許文献2】
特開平11-271043号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した如き従来技術にあっては、無人搬送車のような工場等で利用される移動体を想定しているものであって、すべての反射体は、所定の高さに設けられているものの、移動体の向きに対してどのような方位に設けられているかわからないため、移動体の光ビーム照射/受光手段は、全周囲を走査するように構成されている。
【0011】
このため、一回の位置,進路等の計測に時間を要するので、無人搬送車に比べてかなり高速で走行させる必要がある走行耐久試験の用途には不向きであった。
【0012】
本願発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、所定の走行路を比較的高速で自動走行させる移動体の位置,進路等の計測に適しており、しかも、全周囲を走査する光ビーム照射/受光手段を必要としない移動体の位置計測方法及びその実施に適した装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本願発明に係る移動体の位置計測方法は、所定の走行路を走行する移動体の前記走行路に沿った方向の前記移動体の進行方向位置と、前記走行路の幅方向における前記移動体の幅方向位置と、前記移動体の方位とを、前記移動体に搭載された慣性航法装置により推定すると共に、該慣性航法装置が発生する前記進行方向位置、前記幅方向位置、及び前記方位の誤差を補正する方法であって、前記移動体が前記所定の走行路の外側で該走行路に沿った所定の位置に設置された反射体の側方を通過する際に、前記移動体が具備する距離計測手段によって、前記反射体を計測基準とする距離計測手段の出力変化に基づいて前記移動体が前記反射体を通過することを検出すると共に、検出した前記反射体の位置から前記進行方向位置を求め、前記距離計測手段の出力から前記移動体と前記反射体との間の第1距離を求め、前記慣性航法装置により推定された前記幅方向位置から前記移動体と前記反射体との第2距離を求め、前記第1距離と前記第2距離との差に基づいて、前記慣性航法装置が推定する方位と幅方向位置とを補正すること、及び、前記進行方向位置に基づいて、前記慣性航法装置が推定する進行方向位置を補正することを、前記反射体を通過する毎に繰り返すことを特徴とする。
【0014】
また、本願発明に係る移動体の位置計測装置は、所定の走行路を走行する移動体の前記走行路に沿った方向の前記移動体の進行方向位置と、前記走行路の幅方向における前記移動体の幅方向位置と、前記移動体の方位とを、前記移動体に搭載された慣性航法装置により推定すると共に、該慣性航法装置が発生する進行方向位置、前記幅方向位置、及び前記方位の誤差を補正する装置であって、前記移動体に設けられる距離計測手段と、前記移動体が前記所定の走行路の外側で該走行路に沿った所定の位置に前記距離計測手段の計測基準となるべく設置された反射体の側方を通過する際に、前記距離計測手段の出力変化に基づいて前記移動体が前記反射体を通過することを検出する通過検出手段と、該通過検出手段により検出された前記反射体の位置から前記進行方向位置を演算する進行方向位置演算手段と、前記距離計測手段の出力から前記移動体と前記反射体との間の第1距離を演算する第1距離演算手段と、前記慣性航法装置により推定された前記幅方向位置から前記移動体と前記反射体との第2距離を演算する第2距離演算手段と、前記第1距離と前記第2距離との差に基づいて、前記慣性航法装置が推定する方位と幅方向位置とを補正する方位・幅方向位置補正手段と、前記方向位置演算手段により演算された進行方向位置に基づいて、前記慣性航法装置が推定する進行方向位置を補正する進行方向位置補正手段とを備え、前記方位・幅方向位置補正手段による補正と、前記進行方向位置補正手段とを、前記反射体を通過する毎に繰り返すべくなしてあることを特徴とする。
【0015】
本願発明によれば、非常に簡易に移動体の位置及び方位を求めることができるため、処理時間の短縮化を図れ、従って、所定の走行路を比較的高速で自動走行させる移動体の位置,進路等の検出に適しており、しかも、従来技術のような全周囲を走査する光ビーム照射/受光手段を必要としない。また、走行路への加工も不要である。
【0016】
なお、本願発明において、慣性航法装置は、ジャイロ、及び速度パルスを利用して走行距離等を検出する自動車等で利用されている一般的な速度センサ等を備えている。
【0017】
また、本願発明においては、移動体への適用として、前述したような多目的軽量走行車両又は無人搬送車のほかにも、例えば、自動車,除雪車,又は自動芝刈り機等に適用することができる。
【0018】
また、本願発明は、GPS航法装置及び慣性航法装置を併用する構成であって、山中等、GPS衛星からの電波を受信できないような場所又は環境での利用において慣性航法装置の測定誤差を補正することに適用可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係る位置計測方法を、添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
【0020】
本願発明に係る位置計測方法によれば、次のような原理により、移動体の位置(x1,y1)及び方位φ1を計測することができる。
【0021】
図1に示すように、例えば、実線矢符方向に走行する移動体1の片側(図1においては右側)に、レーザ距離計等の距離計測手段2を設ける。なお、距離計測手段は、反射体との間の距離を計測できるものであればよく、例えば、光ビーム,超音波等を利用した距離計であってもよい。
【0022】
一方、所定の走行路Cの片側(図1においては右側)に沿って複数の反射体3,3…が設置されており、各反射体3の位置は、測量等により予め絶対座標位置として求められている。距離計測手段2は、移動体1の走行方向に直角な方向の距離を計測するものであり、移動体1と反射体3との間の相対的な距離を計測するものである。なお、反射体3の近傍には、距離計測手段2が反射体3と間違うような障害物は無いものとする。
【0023】
このとき、走行中に距離計測手段2の出力をモニタしておれば、反射体3の略直角の位置に移動体1が来たことを検知すること、及び反射体3と移動体1との間の距離を求めることができる。
【0024】
図1においては、反射体3を2個配置している。進行方向手前側の反射体3をB0、その先の反射体3をB1とし、移動体1によるB0,B1それぞれの反射体検出位置をP0,P1とする。また、P0の位置において、移動体1の位置(x0,y0)及び方位(φ0)が既に求められているものとする。
【0025】
以下では、P0の位置からP1の位置へ移動体1が走行する際に生じる誤差の補正方法について説明する。
【0026】
図1における破線の移動軌跡は、慣性航法のために移動体1に搭載している慣性航法装置が推定している軌跡であり、慣性航法装置を構成するジャイロのドリフト等の慣性航法装置が発生する出力誤差により、図1において実線で示す実際の走行軌跡とはずれている。
【0027】
いま、移動体1がP1の位置に来たとき、距離計測手段2で移動体1と反射体B1との間の距離dを求める。ここで、反射体B1の走行路Cの中央線(図1において一点鎖線で示す)に対する幅方向の距離が図1におけるD1(既知)、慣性航法装置が推定する走行路Cの中央線に対する移動体1の幅方向の距離をe1とすると、慣性航法装置の推定値から計算される移動体1と反射体B1との距離は、D1−e1となり、慣性航法装置の推定位置は距離計測手段2で計測した実際との誤差は、e2=(D1−e1)−dにより求められる。P0の位置からP1の位置に移動する移動体1の走行距離をLとすると、方位が概略e2/Lだけずれていることになり、慣性航法装置の推定しているP1の位置における方位をe2/Lだけ補正することで、慣性航法装置の誤差の蓄積を防止することができる。
【0028】
同時に、慣性航法装置の進行方向距離の推定値についても、既知の反射体B1の位置から走行路C側に距離d離れた位置に移動体1があるものとして位置(x1,y2)を補正することができる。
【0029】
以下、本願発明に係る位置計測方法を適用した移動体について説明する。
【0030】
図2は、本願発明の実施の形態に係る移動体の構成を示すブロック図である。本実施の形態の移動体1は、走行耐久試験用に自動操縦機能を持つ多目的軽量走行車両である。
【0031】
本実施の形態に係る移動体1は、所定の走行路(図示せず)の外側に所定の間隔で設置された反射体3にレーザ光等の光ビームを照射し、該反射体3で反射された光ビームを受光する一又は複数のレーザ距離計2と、移動体1のステアリング5,ブレーキ6,及びアクセル7等を操作して移動体1の自動操縦を行なう自動操縦装置4とを備えている。
【0032】
自動操縦装置4は、タイマ40aを内蔵した制御演算装置40,GPS受信機41,ジャイロ42,車速センサ43,及び駆動装置44等を備えており、基本的には、GPSデータに基づいた自動操縦を行い、ジャイロ42及び車速センサ43から構成される慣性航法装置45(図4参照)による慣性航法も可能となっている。
【0033】
なお、本実施の形態においては、自動操縦装置4が車速センサ43を備えるように構成してあるが、一般に、多目的軽量走行車両等の車両には、このような車速センサが元々取り付けられているため、これを利用することも可能である。
【0034】
GPS受信機41は、例えばリアルタイムキネマティック(Real Time Kinematic)方式のGPS受信機(RTK-GPS)であり、GPS衛星8及び図示しない地上の基準局から受信した情報(時間情報,位相情報等)を制御演算装置40に与えるようになっている。RTK方式では、受信位置を約数cmの誤差で測定することが可能である。なお、GPS受信機41には、多少精度は低下するが、ディファレンシャル方式のGPS受信機(DGPS)を採用することも可能である。
【0035】
慣性航法装置45を構成するジャイロ42は、ファイバオプティカル式,リングレーザ式等からなり、移動体1の3軸加速度を検出し、検出結果を制御演算装置40に与えるようになっている。
【0036】
車速センサ43は、移動体1の車軸に設けられた電気式,磁気式,又は光学式のセンサであり、車軸の1回転ごとにパルス信号を発生し、これを制御演算装置40に与えるようになっている。
【0037】
駆動装置44は、移動体1のステアリング5,ブレーキ6,及びアクセル7等を作動させる各種のアクチュエータからなり、制御演算装置40からの制御指示に応じてアクチュエータを作動し、移動体1の方位及び速度を調節する。
【0038】
次に、制御演算装置40の構成及び作用について、さらに、図3及び図4を参照しながら説明する。
【0039】
制御演算装置40は、マイクロプロセッサを備え、基本的には、図3に示すように、GPS受信機41から与えられる情報に基づいて移動体1の位置及び方位(x,y,φ)を演算し、この位置及び方位に基づいて、駆動装置44に制御指示を出力し、移動体1が所定の走行路の中央線に沿って走行するように制御している(ステップS1)。なお、走行路のコースデータは、反射体3の位置データと共に、制御演算装置40が内蔵するメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0040】
しかし、GPS受信機41がGPS衛星8及び図示しない地上の基準局から情報を適切に受信できない状態となった場合には、GPS受信機41からの情報に依存することができなくなるので、この場合には、ジャイロ42及び車速センサ43等から構成される慣性航法装置45(図4参照)による慣性航法に切り換える(ステップS2)。
【0041】
ただし、ドリフト等によってジャイロ42から与えられる角速度データ、及び車速センサから与えられるパルス信号には、誤差が生じてくるため、定期的に補正する必要がある。補正は、GPSデータによる補正を優先的に行なうが、GPSデータに依存することができない場合には、レーザ距離計2によるレーザ距離定点位置計測(x1,y1,φ1)を行い、この結果に基づいて、慣性航法に利用する移動体1の位置及び方位(x,y,φ)を補正する(ステップS3)。
【0042】
より詳しくは、制御演算装置40は、図4に示すように、GPS位置検出部401,慣性航法位置検出部402,及び位置・方位補正処理部403等を備えており、該位置・方位補正処理部403は、方位補正演算部404及び位置補正演算部405等を備えている。
【0043】
GPS受信機41からのGPSデータは、GPS位置検出部401に与えられ、該GPS位置検出部401は、GPSデータに基づいて移動体1の位置及び方位を演算するようになっている。
【0044】
慣性航法装置45(ジャイロ42及び車速センサ43等)からの慣性航法データは、慣性航法位置検出部402に与えられ、該慣性航法位置検出部402は、GPS位置検出部401に演算された移動体1の位置及び方位を初期位置及び初期方位として利用し、慣性航法データに基づいて移動体1の位置及び方位を演算するようになっている。
【0045】
位置・方位補正処理部403は、前述した本願発明の第1及び/又は第2の観点の原理を用いて、方位補正演算部404により移動体1の方位を演算し、位置補正演算部405により移動体1の位置を演算するようになっている。
【0046】
位置・方位補正処理部403での移動体1の位置及び方位の演算で用いられる反射体3の設置間隔及びその絶対座標位置等の情報は、制御演算装置40が内蔵するメモリ(図示せず)に予め記憶されている。
【0047】
また、位置・方位補正処理部403での移動体1の位置及び方位の演算で用いられる走行距離及び走行速度等の情報は、車速センサ43からのパルス信号(又はジャイロ42からの加速度信号)と、タイマ40aからの時刻信号と、移動体1の車輪の周囲長の情報とに基づいて特定され、車輪の周囲長の情報は、制御演算装置40が内蔵するメモリ(図示せず)に記憶されている。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本願発明に係る移動体の位置計測方法及びその実施に適した装置によれば、所定の走行路を比較的高速で自動走行させる移動体の位置,進路等の計測に適しており、しかも、全周囲を走査する光ビーム照射/受光手段を必要としない等、本願発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願発明に係る移動体の位置計測方法を説明するための原理図である。
【図2】 本願発明の実施の形態に係る移動体としての走行耐久試験用に自動操縦機能を持った多目的軽量走行車両の構成を示すブロック図である。
【図3】 図2に示した移動体の自動操縦装置の位置及び方向検出の切り換え方法を示すフローチャートである。
【図4】 図2に示した移動体の制御演算装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 移動体
2 レーザ距離計
3 反射体
4 自動操縦装置
5 ステアリング
6 ブレーキ
7 アクセル
8 GPS衛星
40a タイマ
40 制御演算装置
41 GPS受信機
42 ジャイロ
43 車速センサ
44 駆動装置
45 慣性航法装置
401 GPS位置検出部
402 慣性航法位置検出部
403 位置・方位補正処理部
404 方位補正演算部
405 位置補正演算部
Claims (2)
- 所定の走行路を走行する移動体の前記走行路に沿った方向の前記移動体の進行方向位置と、前記走行路の幅方向における前記移動体の幅方向位置と、前記移動体の方位とを、前記移動体に搭載された慣性航法装置により推定すると共に、該慣性航法装置が発生する前記進行方向位置、前記幅方向位置、及び前記方位の誤差を補正する方法であって、
前記移動体が前記所定の走行路の外側で該走行路に沿った所定の位置に設置された反射体の側方を通過する際に、前記移動体が具備する距離計測手段によって、前記反射体を計測基準とする前記距離計測手段の出力変化に基づいて前記移動体が前記反射体を通過することを検出すると共に、検出した前記反射体の位置から前記進行方向位置を求め、
前記距離計測手段の出力から前記移動体と前記反射体との間の第1距離を求め、
前記慣性航法装置により推定された前記幅方向位置から前記移動体と前記反射体との第2距離を求め、
前記第1距離と前記第2距離との差に基づいて、前記慣性航法装置が推定する方位と幅方向位置とを補正すること、及び、前記進行方向位置に基づいて、前記慣性航法装置が推定する進行方向位置を補正することを、前記反射体を通過する毎に繰り返す
ことを特徴とする移動体の位置測定方法。 - 所定の走行路を走行する移動体の前記走行路に沿った方向の前記移動体の進行方向位置と、前記走行路の幅方向における前記移動体の幅方向位置と、前記移動体の方位とを、前記移動体に搭載された慣性航法装置により推定すると共に、該慣性航法装置が発生する進行方向位置、前記幅方向位置、及び前記方位の誤差を補正する装置であって、
前記移動体に設けられる距離計測手段と、
前記移動体が前記所定の走行路の外側で該走行路に沿った所定の位置に前記距離計測手段の計測基準となるべく設置された反射体の側方を通過する際に、前記距離計測手段の出力変化に基づいて前記移動体が前記反射体を通過することを検出する通過検出手段と、
該通過検出手段により検出された前記反射体の位置から前記進行方向位置を演算する進行方向位置演算手段と、
前記距離計測手段の出力から前記移動体と前記反射体との間の第1距離を演算する第1距離演算手段と、
前記慣性航法装置により推定された前記幅方向位置から前記移動体と前記反射体との第2距離を演算する第2距離演算手段と、
前記第1距離と前記第2距離との差に基づいて、前記慣性航法装置が推定する方位と幅方向位置とを補正する方位・幅方向位置補正手段と、
前記方向位置演算手段により演算された進行方向位置に基づいて、前記慣性航法装置が推定する進行方向位置を補正する進行方向位置補正手段と
を備え、
前記方位・幅方向位置補正手段による補正と、前記進行方向位置補正手段とを、前記反射体を通過する毎に繰り返すべくなしてある
ことを特徴とする移動体の位置計測装置。
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