JP3711714B2 - 中間層を有する電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間層を有する電子写真感光体に関するものであり、さらに詳しくは、有機材料を用いて形成される中間層を有する電子写真感光体及びその感光体を用いる電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式を用いた複写機、レーザープリンター、LEDプリンター等に用いられる電子写真感光体において、電荷発生材料に有機化合物を使用しているものは、帯電性が低かったり、繰り返し安定性に欠ける等の問題があった。
また、最近、レーザープリンターやデジタル複写機用感光体において、干渉縞の発生を防止するために、導電性支持体の表面を粗面化して用いる方法が採用されているが、この場合、粗面化した支持体表面に塗布法により電荷発生層を形成すると、はじき、ぶつ等の塗布欠陥が発生したり、支持体から局所的な電荷の注入が起こって画像上に黒ポチ、白抜け等が発生する等の問題があった。
【0003】
上記の問題を解決する手段として、導電性支持体と光導電層との間に感光性を有しない中間層と呼ばれる層を介在させる方法が知られている。この中間層を形成する材料としては、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エポキシエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、カゼイン、メチルセルロース、ニトロセルロース、フェノール樹脂、有機金属化合物等が知られている(例えば、特開昭48−47332号公報、同51−114132号公報、同52−42123号公報、同59−23439号公報、同62−284362号公報等)。
【0004】
しかしながら、これらの樹脂を用いて中間層が形成された感光体は、低温低湿下に置かれると樹脂の体積抵抗が著しく高抵抗になることから、発生する残留電位の増大及び画質維持性の低下等の欠点は、ごく一部しか改善されない。また、中間層を厚膜にしたときの残留電位の増大等の問題を回避させるため、樹脂中に有機もしくは無機の導電性粒子を分散させた塗工液を用いて中間層を形成することも試みられているが、塗工液の安定性を含めて上記の問題を十分に解決するには至っていない。
【0005】
一方、特開平2−59767号公報及び特開平4−247461公報に開示されているような、有機金属化合物とシランカップリング剤を含む中間層を用いることにより、上記の問題点はかなり改善されるが、これらの材料を用いた場合、それぞれの加水分解反応の進行程度により、電気特性が大きく変化するために、安定した残留電位の維持及び画質維持性を得ることはできないという問題があった。また、良好な感光体特性を維持し、安定した製造性を確保するための塗工液安定性(ポットライフ)についても、加水分解反応の進行によってゲル化や析出物の生成等が起こり、十分に満足できるものではなかった。
【0006】
また、特開平9−34153号公報には、ある一定の熱容量を有する基体上に形成される中間層に、金属アルコキシド、金属キレート及びシランカップリング剤の少なくとも1つを含む中間層形成用塗布液の希釈溶剤として、アルコール類、芳香族溶媒、エチレングリコール類、プロピレングリコール類を用いることが提案されている。その希釈溶剤として、上記溶剤を単独で用いた場合でも、アルコール類又は芳香族溶剤とエチレングリコール類又はプロピレングリコール類との混合溶剤を用いた場合でも、加水分解反応の進行によるゲル化、析出物の生成等を十分に抑制することができないため、未だ満足すべきポットライフを有するものは得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の上記のような問題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、低温低湿から高温高湿に至るまで良好な環境安定性を有するとともに、帯電性が高く、繰り返し安定性に優れ、高品質の画像を形成できる電子写真感光体を提供することにある。また、本発明の他の目的は、有機金属化合物及びシランカップリング剤を含む溶液の安定性が改善された中間層形成用塗布液を用いて得られる電子写真感光体を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、上記の感光体を用いた良好な電子写真装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、感光体に用いられる種々の材料について鋭意検討した結果、有機金属化合物及びシランカップリング剤に、特定の安定剤を配合させた塗布液を用いて中間層を形成させることにより、良好な電子写真特性を有する電子写真感光体が得られること、及び上記材料を含有する塗布液を使用すると、その塗布液の安定性が著しく改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に中間層及び感光層を有する電子写真感光体であって、中間層の形成に使用する塗布液が、少なくとも有機金属化合物とシランカップリング剤と、ジエチレングリコール類、トリエチレングリコール類、テトラエチレングリコール類及びジプロピレングリコール類から選ばれる1種以上の安定剤とを含有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に中間層及び感光層を有する電子写真感光体であって、中間層の形成に使用する塗布液が、少なくとも有機金属化合物とシランカップリング剤とこれらと相溶する樹脂と、ジエチレングリコール類、トリエチレングリコール類、テトラエチレングリコール類及びジプロピレングリコール類から選ばれる1種以上の安定剤とを含有することを特徴とする。その相溶する樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。
【0011】
上記の有機金属化合物としては、金属アルコキサイド化合物を用いることが好ましく、より好ましくはジルコニウムアルコキサイド化合物である。また、安定剤としては、ジエチレングリコールを用いることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、中間層は導電性基体と感光層の間に設けられることが好ましい。
本発明の電子写真装置は、感光体に接触するように帯電用部材が配置されており、その感光体が帯電用部材に電圧を印加して帯電され、転写後に除電する方式にも、又は除電しない方式(イレーズレス方式)にも使用されるものであり、その感光体として、上記の電子写真感光体を用いることを特徴する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
図1ないし図5は、本発明の電子写真用感光体の層構成を示す模式的断面図である。図1〜図3は、感光層が積層構造のものを示し、また、図4及び図5は、感光層が単層構造のものを示している。図1においては、導電性支持体4の上に中間層1が設けられ、その上に電荷発生層2、電荷輸送層3が順に積層されている。図2においては、さらに、表面に保護層5が設けられている。また、図3においては、導電性支持体4の上に、順に電荷発生層2、中間層1及び電荷輸送層3が設けられている。図4においては、導電性支持体4と感光層6との間に中間層1を介在させて設けているものである。図5においては、さらに、表面に保護層5が設けられている。
【0013】
本発明における電子写真用感光体の各層について説明する。
導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等あるいは導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、プラスチックフィルム等が用いられる。これらの導電性支持体は、ドラム状、シート状、プレート状等、適宜の形状のものとして使用されるが、これらに限定されるものではない。さらに必要に応じて導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理を行うことができる。例えば、表面の酸化処理や薬品処理及び着色処理等又は砂目立て等の乱反射処理等を行うことができる。
【0014】
本発明の電子写真用感光体には、中間層が設けられる。この中間層は、通常、導電性支持体と感光層との間に設けられるものであるが、感光層が積層構造の場合には、導電性支持体と電荷発生層との間又は電荷発生層と電荷輸送層との間に設けられる。感光体の中間層は、主として下記の事項を目的として設けられる。すなわち、▲1▼支持体からの不必要な電荷の注入を阻止し、画像品質を向上させる。▲2▼感光体の光減衰曲線の環境変動を防止して、安定した画像品質を得る。▲3▼適度な電荷輸送能を持ち、長期に亘り繰り返し使用しても電荷が蓄積されず、感度変動を生じさせない。▲4▼帯電電圧に対する適度な耐圧を持ち、絶縁破壊による画像欠陥の発生を生じさせない。▲5▼感光層と支持体とを一体的に接着保持させる接着層として作用する。▲6▼場合によっては支持体の光の反射光防止作用を示す。
【0015】
以下においては、感光層が積層構造であり、中間層が導電性支持体と電荷発生層との間に設けられる場合について説明する。
中間層に用いられる有機金属化合物としては、有機ジルコニウム化合物、有機チタニウム化合物、有機アルミニウム化合物等が挙げられる。その有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシトリスエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラキスエチルラクテート、ジルコニウムジブトキシビスエチルラクテート、ビスアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテートジルコニウム、モノアセチルアセトネートトリスエチルアセトアセテートジルコニウム、ビスアセチルアセトネートビスエチルラクテートジルコニウム等のジルコニウムキート化合物、ジルコニウムn−ブチレート、ジルコニウムn−プロピレート等のジルコニウムアルコキシド等が用いられる。
【0016】
また、有機チタニウム化合物としては、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テトラ−n−プロピルオルソチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルオルソチタネート、テトラブチルポリチタネート、テトラアセチルアセトネートポリチタネート、ジイソプロポキシチタニウム−ビス−オクタンジオール、ジイソプロポキシチタニウム−ビス(アセチルアセトネート)、チタニウムテトララクテート、トラトリエタノールアミンチタニウムキレート、チタニウムテトラアンモニウムラクテート、チタニウムテトラアセチルアセトネートアンモニウムラクテート、ビス(ジオクチルビスホスフェート)オキシアセテートチタネート等が用いられる。
【0017】
また、有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート等のアルミニウムキレート化合物が用いられる。さらに、これらの有機金属化合物の単独又は複合オリゴマー誘導体を用いることもできる。これらの中で、有機ジルコニウム化合物は、他の有機金属化合物と比較して析出物を生じ易いものであるが、特に優れた電気特性を示すことから好ましく用いられる。
【0018】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、ジフェニルジメトシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が用いられる。
【0019】
本発明における中間層には、少なくとも上記の有機金属化合物の1種と上記のシランカップリング剤の1種を含むものであるが、それらの2種類以上を混合して用いることもできる。有機金属化合物に対するシランカップリング剤の配合量は、5〜30重量%の間で任意に設定できる。
【0020】
本発明においては、中間層の安定剤として、ジエチレングリコール類、トリエチレングリコール類、テトラエチレングリコール類及びジプロピレングリコール類から選ばれる1種以上を使用するが、上記有機金属化合物及びシランカップリング剤との親和性が高く、かつ塗布液の安定性が高度に保持されるものを選択することが好ましい。例えば、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル等が用いられるが、これらに限定されるものではない。また、上記安定剤の添加量としては、良好な電子写真特性を示す中間層が得られる範囲であれば特に制限されないが、有機金属化合物1モルに対し、0.1〜10倍モル程度が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5倍モルの範囲で使用される。この範囲より少ないと有機金属化合物やシランカップリング剤が加水分解されて塗布液の寿命が短かくなり、他方、この範囲より過剰になると塗布液のゲル化が促進される等の問題が発生する。
【0021】
上記のグリコール系化合物が安定剤として作用する機構は、未だ十分に解明されていないが、有機金属化合物の持つアルキル基やアルコキシ基とグリコール系化合物とのアルコール交換反応により安定化する機構と、エーテル酸素がさらに有機金属化合物の中心金属に配位するキレート効果により安定化する機構によるものと想定される。なお、中間層形成用塗布液の安定性に関しては、調整した塗布液を入れた容器を水を張った蓋付き容器内に静置し、析出物の生成及びゲル化の発生等を観察する劣化促進テストにより確認した。
【0022】
また、それらの安定剤を添加した塗布液を用いて形成された中間層は、それらの安定剤を添加することなく形成した同じ膜厚の中間層と比較して、接触型帯電方式に適用すると絶縁破壊の発生は少ないことが判明した。このことは、上記の安定剤を添加した塗布液は、アルミニウム基材の表面隠蔽性が高いことによるものと考えられる。
中間層を形成させるには上記カップリング剤及び有機金属化合物を含有する塗布液が調製されるが、そのシランカップリング剤等の溶解に用いる溶剤としては、メタノール、プロパノール、ブタノール等の脂肪族アルコール、トルエン等の芳香族炭化水素類、セロソルブアセテート等のエステル類等があり、これらを単独で又は混合して使用される。
【0023】
本発明において、中間層には、必要に応じてさらに合成樹脂が含有されていてもよい。この合成樹脂としては、有機金属化合物及びシランカップリング剤と相溶性のものが用いられる。例えば、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール又はポリビニルホルマール等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アルコール可溶性ナイロン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、ポリアルキレングリコール等が使用される。これらの合成樹脂の添加量は、有機金属化合物とシランカップリング剤と合成樹脂との総量に対して30重量%までの範囲が好ましい。その合成樹脂量が30重量%より多くなると、塗布液がゲル化しやすくなり残留電位の上昇を招きやすい。
【0024】
また、本発明における中間層には、電子輸送性顔料が含有されていてもよい。例えば、電子輸送性顔料として、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、又はシアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が用いられる。これらの顔料の中では、電子移動性の高いペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料を使用することが好ましい。なお、上記中間層に用いられる顔料の電子輸送性能は、Delayed Collection Field法により測定することができる。すなわち、Nesaガラス上に薄膜の注入阻止層を設け、その上に顔料を分散させた樹脂を数μmの厚さに塗布し、その上に金電極を蒸着してコンデンサ状の構造にしたものをサンプルとする。例えば、Nesaガラス側を負極とし金電極側を正極とする電圧、又はその逆の電圧を印加するとともに、Nesaガラス側からレーザーパルスを照射し、顔料分散膜表面において正負の電荷(キャリア)を発生させ、顔料分散膜中の電子及び正孔の流れやすさを測定する。その結果、少なくとも電子を流す性質を有するものが電子移動性顔料として好ましく用いられる。
【0025】
本発明において、中間層の膜厚は0.1〜10μmの範囲で任意に設定されるが、0.1〜5.0μmの範囲が好ましい。特に、接触帯電方式の電子写真装置に使用される電子写真感光体の中間層としては、絶縁破壊を防止するために可能な限り厚膜にすることが有効である。
中間層を形成させる方法は、上記の材料を混合した後、溶媒により希釈した塗布溶液を用いてスプレー塗布又は浸漬塗布等により、導電性支持体上に塗布し、次いで100〜300℃の範囲で乾燥することにより行われる。さらに、必要に応じて温度及び湿度を調整した室内で加湿等の処理を施すこともできる。
【0026】
本発明の電子写真感光体において、上記により形成された中間層は、導電性支持体表面の凹凸の隠蔽性に優れているから、塗布欠陥及び画質欠陥を引き起こすことがなく、また、感光体特性上では、帯電性を向上させるとともに感度低下や繰り返し使用時にも残留電位の増加がなく、低温低湿から高温高湿に至るまで環境変化の影響を受けることなく安定した帯電性と低い残留電位を示すという利点がある。また、本発明に用いる中間層形成用塗布液は、長時間に亘り特性変化が小さいから、塗工において常に安定した特性を持つ中間層を得ることができる。さらに、本発明の中間層を設けた感光体は、残留電位が極めて低いから接触帯電方式に使用しても絶縁破壊を起こし難いものであり、また、イレーズレス電子写真装置に用いても残像(ゴースト)が現れることはなく、優れた電子写真特性を示すものである。
【0027】
次に、感光層の電荷発生層について説明する。
電荷発生層は、公知の電荷発生材料及び結着樹脂を用いて構成される。結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂の中から選択することができるほか、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール、ポリアリレート(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の絶縁性樹脂が挙げられる。
【0028】
電荷発生材料としては、従来公知の如何なるものも使用可能であるが、金属フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましく、それらの中でも、特定の結晶型を有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニンが特に好ましい。
【0029】
その結晶型クロロガリウムフタロシアニンとしては、特開平5−98181号公報に記載のように、公知の方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことにより製造したものが用いられる。この湿式粉砕処理に使用される溶剤としては、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、これらの数種の有機溶剤の混合溶剤、水とこれらの有機溶剤との混合溶剤等がある。これらの溶剤は、クロロガリウムフタロシアニンに対して1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は0℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は、顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍が用いられる。
また、結晶型ジクロロスズフタロシアニンとしては、特開平5−140472号公報及び特開平5−140473号公報に記載のように、公知の方法で製造されるジクロロスズフタロシアニン結晶を、上記のクロロガリウムフタロシアニンと同様に、粉砕し溶剤処理して得られたものが用いられる。
【0030】
また、結晶型ヒドロキシガリウムフタロシアニンとしては、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に記載のように、公知の方法で製造されるクロロガリウムフタロシアニン結晶を、酸又はアルカリ性溶液中で加水分解又はアシッドペースティングを行って、ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を合成し、直接溶剤処理を行うか、或るいは合成によって得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うか、溶剤を用いずに乾式粉砕処理を行った後に溶剤処理することにより製造したものが用いられる。この処理溶剤としては、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキサイド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらに、これらの数種の有機溶剤の混合溶剤、水とこれらの有機溶剤との混合溶剤等がある。使用される溶剤は、ヒドロキシガリウムフタロシアニンに対して1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は0〜150℃、好ましくは室温〜100℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。その磨砕助剤は顔料に対して0.5〜20、好ましくは1〜10倍の範囲で用いる。
【0031】
さらに、結晶型チタニルフタロシアニンとしては、特開平4−189873号公報及び特開平5−43813号公報に記載のように、公知の方法で製造されるチタニルフタロシアニン結晶をアシッドペースティングするか、或いはボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて無機塩とともにソルトミリングを行って、X線回折スペクトルにおいて27.2にピークを持つ比較的結晶性の低いチタニルフタロシアニン結晶とした後、直接溶剤処理を行うか、或るいは溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことにより製造したものが用いられる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解は−20〜100℃、好ましくは0〜60℃の範囲で行う。濃硫酸の量は、チタニルフタロシアニン結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。その析出溶剤としては、水、又は水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられ、水とメタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、又は水とベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤の混合溶剤が特に好ましい。析出させる温度には特に制限はないが、発熱を防ぐために氷等で冷却することが好ましい。また、チタニルフタロシアニン結晶と無機塩との比率は、重量比で1/0.1〜1/20であり、1/0.5〜1/5の範囲が好ましい。上記の溶剤処理に使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、ハロゲン系炭化水素類(ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン等)、さらに、これらの数種の有機溶剤の混合溶剤、水とこれらの有機溶剤との混合溶剤等がある。使用される溶剤量は、チタニルフタロシアニンに対して1〜100部、好ましくは5〜50部の範囲で用いる。処理温度は室温〜100℃、好ましくは50〜100℃の範囲で行う。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍の範囲で用いる。
【0032】
電荷発生材料と結着樹脂の配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。また、電荷発生材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法が用いられるが、この分散により電荷発生材料の結晶型が変化しない条件を採択することが必要である。因みに、本発明において実施したところでは、上記の分散法のいずれについても分散前と結晶型が変化していないことを確認した。さらに、この分散には、粒子径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下にして用いることが有効である。これらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上を混合して用いる。
【0033】
本発明において、電荷発生層の厚さは、通常0.1〜5.0μm、好ましくは0.2〜2.0μmが適当である。また、電荷発生層の形成に用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法が挙げられる。なお、これらの塗布法は、後記する電荷輸送層及び表面層の形成にも用いられる。
【0034】
次に、感光層の電荷輸送層について説明する。
電荷輸送層は、公知の電荷輸送材料を適当な結着樹脂中に含有させるか、電荷輸送性ポリマー単独か又は電荷輸送性ポリマーと公知の電荷輸送材料や結着樹脂と混合させて形成される。電荷輸送材料としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1′−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、p−(2,2′−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体等の公知の電荷輸送材料を用いることができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂等の半導性高分子も用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの電荷輸送材料は単独で又は2種以上を混合して用いられる。
【0035】
また、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリーコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の公知の樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの結着樹脂は単独で又は2種以上を混合して用いる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。また、電荷輸送層の形成に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状もしくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を混合して用いる。電荷輸送層の厚さは、通常5〜50μm、好ましくは10〜30μmが適当である。また、電荷輸送層の形成に用いる塗布方法は、上記した電荷発生層の形成と同様の方法により行われる。
【0036】
本発明における感光体の表面には、感光層が単層構造のものと積層構造のものとを問わず、必要に応じて保護層を設けてもよい。この保護層は、積層構造からなる感光層では帯電時の電荷輸送層の化学的変質を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善するために用いられる。この保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成される。この導電性材料としては、N,N′−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン等の金属酸化物等を用いられるが、これらに限定されるものではない。この保護層に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられる。
【0037】
この保護層は、その電気抵抗が109 〜1014Ω・cmとなるように構成することが好ましい。電気抵抗が1014Ω・cmより高いものでは、残留電位が上昇してカブリの多い複写物が形成され、一方、109 Ω・cmより低いものでは画像ボケ、解像力の低下が生じてしまう。さらに、保護層は、像露光に用いられる光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。保護層の膜厚は0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmが適当である。その塗布方法としては、電荷発生層の形成と同様に通常の方法が用いられる。
【0038】
また、本発明において、感光層中には、複写機中で発生するオゾンや酸化性ガス又は光、熱による感光体の劣化防止を目的として、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。その酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクマロン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が用いられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が用いられる。さらに、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、1種以上の電子受容性物質を含有させることができる。
使用可能な電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらの中で、フルオレノン系、キノン系やCl、CN、NO2 等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0039】
本発明の電子写真感光体は、従来のコロナ放電方式の帯電用部材を使用する電子写真装置のほかに、接触帯電方式を使用した電子写真装置にも優れた特性を発揮するものである。一般に、この接触帯電方式の電子写真装置では、接触帯電用部材は感光体の表面に接触するように配置され、その感光体に直接、均一に電圧を印加し、感光体表面を所定の電位に帯電させるものである。この接触帯電方式を使用した場合、感光層中に基材の突起等の障害物が存在すると、その部位において絶縁破壊を起こし易い。このような場合、本発明の中間層形成用塗布液を用いて中間層を設けた感光体は、導電性基体が中間層により均一に隠蔽されているために絶縁破壊を起こし難くするという利点がある。
【0040】
電子写真装置の接触帯電用部材としては、アルミニウム、鉄、銅等の金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料に、カーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化けい素、金属酸化物等の導電性粒子を分散したもの等が用いられる。金属酸化物の例としては、ZnO、SnO2 、TiO2 、In2 O3 、MoO3 等又はこれらの複合酸化物があげられる。また、エラストマー材料中に過塩素酸塩を含有させて導電性を付与したものでもよく、さらに表面に被覆層を設けたものでもよい。この被覆層の形成材料としては、N−アルコキシメチル化ナイロン、セルロース樹脂、ビニルピリジン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、メラミン等を単独で用いるか又は併用する。また、エマルジョン樹脂系材料には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、特にソープフリーのエマルジョン重合により合成されたエマルジョン樹脂が用いられる。これらの樹脂には、抵抗率を調整するために、導電剤粒子を分散してもよいし、劣化防止に酸化防止剤を含有させてもよい。また被覆層を形成する際、成膜性を向上させるために、エマルジョン樹脂にレベリング剤又は界面活性剤を含有したものでもよい。この接触帯電用部材の形状としては、ローラー型、ブレード型、ベルト型、ブラシ型等が用いられる。また、その抵抗は、好ましくは100 〜1014Ω・cm、より好ましくは102 〜1012Ω・cmの範囲である。この接触帯電用部材への印加電圧は、直流、交流いずれも用いることができ、又、直流と交流を重畳して印加することもできる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例において、「部」は「重量部」を意味する。
実施例1
ジルコニウムアセチルアセトネートトリブトキサイドの50%ブタノール溶液(商品名:ZC540:松本交商社製)100重量部、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:A1110:日本ユニカー社製)11重量部、イソプロピルアルコール300重量部、n−ブチルアルコール10重量部及びジエチレングリコール15重量部を混合して中間層用塗布液を調整した。この塗布液を30mmφのアルミニウムパイプ表面に浸漬塗布法により塗布し、150℃で10分間乾燥させることにより膜厚0.3μmの中間層を形成した。
次いで、図6に示す粉末X線回折パターンを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.1部を、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)0.1部及び酢酸n−ブチル10部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散処理させた後、得られた塗布液を上記中間層の上に浸漬コーティング法で塗布し、100℃において10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。なお、分散後の前記ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の結晶型はX線回折によって分散前の結晶型と比較して変化していないことを確認した。
【0042】
次に、下記構造式(I)式で示される電荷輸送材料2部及び(II)式で示される繰り返し構造単位からなるポリカーボネート樹脂3部を、モノクロロベンゼン20部に溶解させた塗布液を、上記電荷発生層の上に浸漬コーティング法で塗布し、120℃において1時間加熱乾燥させて膜厚20μmの電荷輸送層を形成させることにより電子写真感光体を作製した。
【化1】
【0043】
得られた電子写真用感光体の電子写真特性を、レーザープリンター改造スキャナー(XP−15改造機、富士ゼロックス社製)を用いて、(1)常温常湿(20℃、40%RH)環境下、グリッド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器により帯電し(A)、780nmの半導体レーザーを用いて、1秒後に10.0erg/cm2 の光を照射して放電を行い(B)、3秒後に50.0erg/cm2 の赤色LED光を照射して除電を行う(C)というプロセスによって、各部の電位を測定した。この(A)の電位VH は高いほど、感光体の受容電位が高いので、コントラストを高くとることができ、(B)の電位VL は低いほど高感度であり、(C)のVRPの電位は低いほど、残留電位が少なく、画像メモリーやカブリが少ない感光体と評価される。
また、1万回繰り返し帯電、露光後の各部の電位の測定も行った。さらにこの測定を(2)低温低湿(10℃、15%RH)、(3)高温高湿(28℃、85%RH)の各環境下でも行い、(1)〜(3)環境間における各部の電位の変動量(ΔVH 、ΔVL 、ΔVRP)を測定し、環境安定性の評価を行った。
【0044】
また、イレーズレス電子写真装置による画質評価を行うために、この電子写真用感光体をパーソナルコンピューター用プリンター(商品名:PR1000、日本電気社製の改造機)に装着し、常温常湿(20℃、40%RH)、低温低湿 (10℃、15%RH)、高温高湿(28℃、85%RH)の各環境下で1万枚の印字耐久テストを実施し、画像評価を行った。帯電部材にはロール型帯電部材を用いた。このロール型帯電部材は、5mmφの18.8ステンレス鋼シャフトの外周に、弾性層及び樹脂層を形成したものを用いた。すなわち、シャフトの外周に過塩素酸リチウム0.5%を加えて弾性を持たせたポリエーテル系ポリウレタンゴムよりなる弾性層を15mmφになるように形成し、その表面に0.001%のメチルフェニルシリコーンレベリング剤を添加したポリエステル系ポリウレタンエマルジョン樹脂水溶液からなる塗布液を浸漬塗布法により塗布し、120℃で20分間乾燥し、膜厚20μmの被覆層を形成したものを用いた。
また、中間層用塗布液10gを入れた容器を水を張ったシャーレに静置し、劣化促進試験を行った。
【0045】
実施例2
ジルコニウムアセチルアセトネートトリブトキサイドの50%ブタノール溶液(商品名:ZC540:松本交商社製)100重量部、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン(商品名:A1100:日本ユニカー社製)10重量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−S:積水化学社製)8重量部、n−ブチルアルコール300重量部及びジエチレングリコール50重量部を混合して中間層用塗布液を調整し、この塗布液を30mmφのアルミニウムパイプ表面に浸漬塗布法により塗布し、150℃で10分乾燥させて膜厚1.0μmの中間層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
【0046】
実施例3
ジプロピルオキシチタンアセチルアセトネートの75%イソプロピルアルコール溶液(商品名:TC−100:松本交商社製)100重量部、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBE603:信越シリコーン社製)10重量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1:積水化学社製)8重量部、イソプロピルアルコール300重量部及びジエチレングリコール50重量部を混合して中間層用塗布液を調整し、この塗布液を30mmφのアルミニウムパイプ表面に浸漬塗布法により塗布し、150℃で10分間乾燥させて膜厚1.0μmの中間層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
【0047】
実施例4
中間層用塗布液の安定剤として用いたジエチレングリコールをトリエチレングリコールに代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
実施例5
中間層用塗布液の安定剤として用いたジエチレングリコールをジプロピレングリコールに代えたこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
実施例6
電荷発生材料として図7に示す粉末X線回折パターンを持つクロロガリウムフタロシアニン結晶を用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
【0048】
実施例7
電荷発生材料として図8に示す粉末X線回折パターンを持つジクロロスズフタロシアニン結晶を用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
実施例8
電荷発生材料として図9に示す粉末X線回折パターンを持つチタニルフタロシアニン結晶を用いたこと以外は、実施例1と同様にして感光体を作製し評価した。
【0049】
比較例1
中間層用塗布液の安定剤として用いたジエチレングリコールを含有させないこと以外は、実施例1と同様の材料を用い、同様にして感光体を作製し評価した。
比較例2
中間層用塗布液の安定剤として用いたジエチレングリコールを含有させないこと以外は、実施例2と同様の材料を用い、同様にして感光体を作製し評価した。
比較例3
中間層用塗布液の安定剤として用いたジエチレングリコールを含有させないこと以外は、実施例3と同様の材料を用い、同様にして感光体を作製し評価した。
【0050】
比較例4
実施例1の中間層用塗布液において、ジエチレングリコールに代えてエチレングリコールを用いたこと以外は、実施例1と同様にして中間層用塗布液を調整したところ、この塗布液は調整して約3日後にゲル化したため、塗布することができなかった。
【0051】
上記各実施例及び比較例で得られた測定及び評価結果を、表1に示す。
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、上記の構成の中間層を用いることにより、帯電性が高く、高感度であり、耐絶縁破壊性を有するから耐久性に優れており、また、良好な環境安定性を有し、特に低温低湿環境において低い残留電位を示し、画像欠陥を発生することがない。また、中間層用塗布液の経時による劣化が少なく、常に安定した良好な中間層が形成されるから、得られる電子写真感光体は実用性に優れたものである。さらに、本発明の電子写真感光体は、接触帯電方式の電子写真装置に使用しても極めて良好な電子写真特性を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す模式的断面図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
【図3】 本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
【図4】 本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
【図5】 本発明の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す模式的断面図である。
【図6】 本発明において電荷発生材料として用いたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
【図7】 本発明において電荷発生材料として用いたクロロガリウムフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
【図8】 本発明において電荷発生材料として用いたジクロロスズフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
【図9】 本発明において電荷発生材料として用いたチタニルフタロシアニン結晶の粉末X線回折図である。
【符号の説明】
1…中間層、2…電荷発生層、3…電荷輸送層、4…導電性支持体、5…保護層、6…感光層。
Claims (11)
- 導電性基体上に中間層及び感光層を有する電子写真感光体において、中間層の形成に使用する塗布液が、少なくとも有機金属化合物とシランカップリング剤と、ジエチレングリコール類、トリエチレングリコール類、テトラエチレングリコール類及びジプロピレングリコール類から選ばれる1種以上の安定剤とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 導電性基体上に中間層及び感光層を有する電子写真感光体において、中間層の形成に使用する塗布液が、少なくとも有機金属化合物とシランカップリング剤とこれらと相溶する樹脂と、ジエチレングリコール類、トリエチレングリコール類、テトラエチレングリコール類及びジプロピレングリコール類から選ばれる1種以上の安定剤とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 有機金属化合物が、金属アルコキサイド化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 有機金属化合物が、ジルコニウムアルコキサイド化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 有機金属化合物及びシランカップリング剤と相溶する樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
- 安定剤が、ジエチレングリコールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 中間層が、導電性基体と感光層の間に設けた層であることを特徴する請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記塗布液が、少なくとも有機金属化合物とシランカップリング剤と、ジエチレングリコール類、トリエチレングリコール類、テトラエチレングリコール類及びジプロピレングリコール類から選ばれる1種以上の安定剤と、溶剤とを含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 感光層に電荷発生材料として、ハロゲン化ガリウムフタロシアニン結晶、ハロゲン化スズフタロシアニン結晶及びチタニルフタロシアニン結晶から選択される、少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 感光体に接触するように帯電用部材が配置されており、その感光体が帯電用部材に電圧を印加して帯電される電子写真装置において、該感光体が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
- 感光体に接触するように帯電用部材が配置されており、その感光体が帯電用部材に電圧を印加することによって帯電され、露光、現像、転写の後、除電することなく次の帯電が行われるイレーズレス電子写真装置において、該感光体が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
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