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JP3715893B2 - 水素化処理触媒の再生方法 - Google Patents
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JP3715893B2 - 水素化処理触媒の再生方法 - Google Patents

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Description

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は重質油の水素化処理触媒の再生方法に関するものである。さらに詳しくは使用済みの重質油の水素化処理触媒の焼成および、水洗による再生方法に関するものである。
【従来の技術】
【0002】
石油精製においては各種の留分を水素化処理により精製する工程が多数ある。たとえば、ナフサ、灯油、軽油等の脱硫、脱窒素や、重質軽油の脱硫、脱窒素、分解、さらには残油、重油の脱硫、脱窒素、脱金属、分解などがある。そのうちでも、比較的沸点が低く、バナジウム等の金属不純物含有量のほとんどないナフサや灯油、軽油を処理する水素化処理工程に用いられる触媒は使用による劣化の度合いが少ない。
また、これらの触媒は使用による劣化はほとんどの場合少量の炭素質の蓄積によるものであり、これを燃焼等により除去してやれば再使用可能であった。さらに炭素質の除去についても、触媒上の炭素質の量が少ないため厳密な燃焼制御は必要としないで再使用可能な触媒が得られる。また、一旦使用した触媒でも劣化の度合いが少ない触媒もあり、このようなものはそのまま再使用できる。これらの触媒は特別の注意を払うことなく再度ナフサ、灯油、軽油等の処理に用いられている。
また、最近は重質軽油や減圧軽油の水素化処理触媒についても、再生等により再使用をしているが、その再生、使用方法についても確立された方法がある。たとえば、重質軽油水素化分解プロセスにおいては水素化分解触媒も、その前処理のための水素化脱窒素触媒も水素賦活または酸素賦活により再生使用できることが知られている。
【0003】
これらの留出油の水素化処理に用いられた触媒は、処理原料油中に金属不純物はほとんどないので、触媒上にも原料に起因するバナジウム等の金属の堆積は少ない。また、炭素質の堆積も少ないだけでなく、炭素質の質も燃焼させ易いものであり燃焼による再生時にも触媒表面はそれほど高温にならず、触媒担体の細孔構造や活性金属相の担持状態等の変化も小さく、再度重質軽油や減圧軽油等の留出油の処理に使用することはできていた。(Studies in Surface and Catalysis vol. 88 P199(1994))
しかし、残渣油のようなさらに沸点の高い、あるいは蒸留できない留分を含む重質油の水素化処理においては、原料油中に含まれる金属不純物やアスファルテン分等の炭素質化し易い成分が多く、これらが使用済み触媒上に多量の金属分や炭素質を堆積させる。また、質的にも金属分と炭素質が同時に蓄積した使用済み触媒は簡単には炭素質の燃焼除去ができなかった(Catal. Today vol. 17 No. 4 P539(1993), Catal. Rev. Sci. Eng. 33(3&4)P281(1991))。
【0004】
さらに、バナジウム等の金属分が堆積した使用済み触媒はその除去による活性回復は難しかった。これを解決するため、しゅう酸による抽出法(USP3020239)、アルコールによる抽出(特開昭60−190241号公報)や塩素による抽出法(特開昭54−101794号公報)などが報告されている。しかし、これらの方法は特殊な薬品を使用したり、抽出に長時間要したりして作業性に問題があった。
さらに、水素化処理触媒に通常使用されているモリブデン(Mo)等の活性金属成分をも抽出したり、活性金属分を変化させてしまって触媒そのものを変質させてしまうという問題があった。このため、これらの使用済み触媒は再利用されることはなく処分されていた。
【0005】
また、特公平4−43704において、使用済み触媒を溶剤洗浄により油分を除去した後、希硫酸で洗浄して、焼成するという再生技術を開示している。しかし、この方法では、付着したコ−ク分により希硫酸とバナジウム等の蓄積金属の接触が十分でなく、かつバナジウムは酸化状態の方が水に溶解し易いことともあり、十分な再生ができなかった。そこで、まず焼成によりコ−ク分を除去し、バナジウムを十分に酸化させてから再生する方法を発明するに至った。
【0006】
【特許文献1】
米国特許3020239号公報
【特許文献2】
特開昭60−190241号公報
【特許文献3】
特開昭54−101794号公報
【特許文献4】
特公平4−43704号公報
【非特許文献1】
Studies in Surface and Catalysis vol. 88 P199(1994)
【非特許文献2】
Catal. Today vol. 17 No. 4 P539(1993), Catal. Rev. Sci. Eng. 33(3&4)P281(1991)
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、重質油の水素化処理により炭素質およびバナジウム等の金属分が付着し失活した使用済み触媒を、再生処理し有効に活用するための水素化処理触媒の再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究の結果、重質油の水素化処理において失活した使用済み触媒を、プロセス外で焼成しさらにその後に水洗等の付着金属除去処理をすることにより再度水素化処理に活用できる水素化処理触媒の再生方法を見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.使用済みの重質油の水素化処理触媒を焼成した後に、硫酸または苛性ソーダによりpHが1〜11に制御された洗浄水で水洗処理することにより付着金属除去処理を行う水素化処理触媒の再生方法。
2.使用済みの重質油の水素化処理触媒をプロセス外で焼成した後に付着金属除去処理を行う上記1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
3.付着金属除去処理がバナジウムおよび/またはニッケルの除去処理である上記1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
.水洗処理の洗浄水の温度が15℃以上である上記に記載の水素化処理触媒の再生方法。
.付着金属除去処理が攪拌を伴う洗浄処理である上記1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
.攪拌を伴う洗浄処理が気泡を伴う洗浄液によるものである上記に記載の水素化処理触媒の再生方法。
.攪拌が超音波によるものである上記に記載の水素化処理触媒の再生方法。
.水洗処理の洗浄液を触媒に対し2〜500L/kgの範囲として洗浄する上記に記載の水素化処理触媒の再生方法。
.焼成温度を350〜700℃の範囲として焼成する上記1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
10.上記1〜のいずれかに記載の水素化処理触媒の再生方法により再生した触媒を用いた炭化水素油の水素化処理方法。
【発明の実施の形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態につき説明する。
本発明は、使用済みの重質油の水素化処理触媒を再生して再利用しようとするものである。本発明の水素化処理触媒とは、重質油の水素化処理触媒をいう。すなわち、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)等の金属分を不純物として含む石油留分(主に残渣油)などを水素化脱硫、水素化脱金属、水素化脱窒素、水素化分解、水素化脱芳香族などの水素化反応をさせる触媒の総称である。また、使用済みの水素化処理触媒とは、上記のような水素化反応に使用した後の触媒で、触媒活性が低下しそのままでは目的とする水素化処理に使用できないか、使用しても十分な効果を得られなくなった触媒である。これらの使用済み触媒は炭素質や金属分(主にバナジウム、ニッケル)が触媒上に付着しており、これらが触媒活性低下の主な原因となっている。なお、触媒の活性成分として担持されている金属分は付着金属とはいわない(担持金属という。)。
【0010】
本発明においては、上記のような使用済み水素化処理触媒を焼成しその後に水洗等の付着金属除去処理をすることにより、水素化処理触媒としての活性を回復し再使用できる触媒が得られる。本発明で最も重要なことは、使用済み触媒を焼成し、その後に水洗等の付着金属除去処理をすることである。焼成工程では主に触媒に付着した炭素質を除去するが、さらに水素化反応により付着したバナジウム等の金属分を水洗等により除去し易い状態にしていると考えられる。このようにして付着炭素質を減少させ、金属分を除去し易くした焼成触媒を水洗工程等で触媒に付着したバナジウム、ニッケル等の金属分を除去するものである。たとえば、焼成のみで再生したり、シュウ酸やアルコールで洗浄するものでは十分な再生効果は得られない。なお、ここで注意するのは、触媒が当初から活性成分として持っていた金属分(たとえばモリブデンなど)はできるだけ除去したり、変化させたりしないようにすることである。具体的には、触媒はプロセス外に抜き出して独自に再生を行うことが好ましい。プロセス内で再生すると、焼成条件を好適に制御することができず、コ−クの除去が不均一となる、あるいは燃焼時に局部的な異常発熱が起こり、活性金属分の凝集が起こってしまう場合がある。また洗浄も不均一となるため、結果的に再生後の性能が低下してしまう場合がある。また、焼成条件や水洗等の付着金属除去処理条件を触媒の状態に合わせて下記に説明するような条件を適宜選択することが望ましい。
【0011】
まず焼成について説明する。
使用済み触媒はそのまま焼成工程に持っていってもよいが、通常、取扱いの容易さを考えて使用済み触媒をまず溶剤洗浄することが好ましい。溶剤としてはトルエン、アセトン、アルコールや、ナフサ、灯油、軽油などの石油類が好ましい。その他でも、使用済み触媒上に付着した反応原料に由来する有機物を溶かし易い溶剤であればよい。たとえば、この洗浄処理は触媒が水素化処理反応器中にあるうちに軽油を循環させて洗浄し、その後50〜200℃程度の窒素ガス等を流通させて乾燥させることで実際的に達成できる。あるいは、軽油を循環させて洗浄した後そのまま抜き出し、発熱や自然発火を防ぐため軽油で濡れた状態にしておき必要なときに乾燥してもよい。また、反応器から抜き出した使用済み触媒から塊状物を粉砕したり、ふるい分け等により粉化触媒、スケール等を除去し、これを軽油で洗浄しさらにナフサで洗浄して乾燥し易くする方法もある。少量の場合は、トルエンで洗浄する方法が油分を完全に除去するのに適している。
【0012】
溶剤洗浄により油分および不純物を除去しただけでは炭素質の大部分は除去できない。そこで、焼成により炭素質を除去することが必要である。焼成は一般には雰囲気温度および酸素濃度を制御した酸化処理により行う。雰囲気温度が高すぎたり、酸素濃度が高すぎると触媒表面が高温になり、担持金属の結晶形や担持状態が変化したり、担体の細孔が減少し触媒活性が低下してしまう。また、雰囲気温度が低すぎたり、酸素濃度が低すぎると燃焼による炭素質の除去が不十分となり十分な活性回復が望めない。望ましい雰囲気温度としては350〜700℃、特に望ましくは400〜600℃である。
酸素濃度は1〜21%の範囲で制御することが望ましいが、燃焼方法、特に燃焼ガスと触媒との接触状態に対応して制御することが好ましい。雰囲気温度、酸素濃度、雰囲気ガスの流速などを調製して触媒の表面温度を制御し、再生後の触媒の比表面積や細孔容量の低下を防ぎ、水素化活性金属であるニッケルやモリブデンなどの結晶構造や結晶粒子の担持状態の変化を抑えることが重要である。
【0013】
焼成後の触媒の炭素含有量は15%(触媒中の炭素分含有量は対象触媒を測定前に400℃以上で酸化処理して減量しなくなったものを基準として、対象触媒中に含まれている炭素の重量%で表わすものとする、以下同じ)以下、好ましくは10%以下とすることが望ましい。炭素含有量は使用済み段階では10〜70%程度であることが多いが、再生処理により炭素分を触媒上から除去しその含有量を調整する。その際、硫黄(S)分等の燃焼により除去できる不純物も同時に除去する。炭素分が多すぎるとこれが触媒表面を覆い触媒活性や水洗浄の効果を低下させるが、焼成により炭素含有量を減少させれば再生処理により活性を回復させることができる。なお、炭素および硫黄はC−S同時分析計で分析した。
焼成処理では酸化処理とくに一般的な方法としては燃焼処理を伴うので、そのときに触媒表面が過熱して触媒の細孔構造や担持金属の担持状態が変化し、触媒活性が低下してしまうことがある。これらを評価する指標として触媒の比表面積と細孔容量がある。触媒の比表面積や細孔容量は水素化処理反応での使用中にも不純物の付着や反応中の熱による劣化等により徐々に減少するが、再生触媒として使用可能であるためには、再生後の触媒に使用前の新触媒であったときのおよそ70%の比表面積および細孔容量が残っていることが好ましい。これを、再生触媒の物性として見ればそれぞれ比表面積60〜200m2/g、好ましくは100〜200m2/g、細孔容積0.3〜1.0cc/gであることが望ましい。なお、これの測定は窒素吸着法で行う。
【0014】
つぎに、バナジウム、ニッケル等の水洗等による付着金属の除去処理について説明する。
バナジウムは触媒成分としては含まれていないが、水素化処理される原料油中に含まれる微量不純物に起因するものであり、触媒の活性低下の指標とすることができる。再生触媒中のバナジウム含有量は再生触媒基準で35%(触媒中の金属分含有量は対象触媒を測定前に400℃以上で酸化処理して減量しなくなったものを基準として、その金属の酸化物としての重量%で表わすものとする、以下金属含有量については同じ)以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下であることが望ましい。再生触媒中のバナジウム含有量が35%を超えると再生触媒の活性が低すぎて水素化処理反応が十分進まない。なお、バナジウムの分析は、試料を650℃、1時間焼成後、灰分を酸で溶解し誘導結合プラズマ発光吸光分析法により測定する。
【0015】
このバナジウム等の付着金属分を除去するための方法としては、水洗による方法が簡便で有効な方法である。さらに、水洗処理における洗浄水と触媒の接触がよい方が効率的である。これをミクロに見れば、洗浄水の温度を高くしてバナジウムの水への溶解を促進する方法がある。その意味からは、洗浄時の洗浄水の温度は15℃以上、好ましくは30℃以上とすることが望ましい。上限は特に制限されないが、蒸気になってしまう条件では洗浄できない。特に高温で洗浄したいときには高圧下で洗浄すれば100℃以上でも液体の水として存在する範囲なら好適に洗浄できる。
洗浄効率を上げるためには、洗浄水のpHを1〜11、好ましくは2〜9に調整することが必要である。使用済み触媒を焼成したのちに純水中に入れて洗浄すると触媒中のバナジウム等の影響で洗浄水のpHは7より低くなる場合が多い。たとえば、pH2〜5くらいになり易いので好都合である。望ましいpH領域では、バナジウム、ニッケル等の付着金属分は抽出除去できるが、モリブデン等の触媒の活性金属分は洗浄水に溶けにくい傾向にある。洗浄時のpHはあまり下げないほうがよい。また、モリブデンの溶解を防ぐためには洗浄時のpHは高くしすぎない方がよい。さらに、アルコールやしゅう酸等によりバナジウム、ニッケル等の金属分を抽出除去しようとすると、モリブデンが有機酸との錯体を形成し、溶出し易くなるので好ましくない。このように、酸やアルカリで極端にpHを変化させたり、錯体生成を起こすような物質は添加しないほうがよい。洗浄水のpHを調整するために酸またはアルカリを使用する。酸としては硫酸、アルカリとしては苛性ソ−ダを使用する。アルカリ濃度は1〜50重量%が好ましく、1重量%未満ではバナジウム(V)洗浄効果が少なく、50重量%を超えれば、モリブデンやアルミナも溶解してしまい好ましくない。この苛性ソ−ダは、バナジウム等の除去対象金属分とモリブデン等の触媒活性成分の溶解性を十分配慮して実施することが望ましい。なお、しゅう酸の共存については上記のようなモリブデンとの錯体を形成し、その溶出を促進するので添加することはできない。
【0016】
具体的な洗浄方法は洗浄水中への触媒の浸漬洗浄や通水洗浄による方法でもよいが、攪拌をすることが好適な方法である。しかし、攪拌が激しすぎて触媒が破壊されたり、摩耗するような場合は好ましくない。再生された触媒を使用するときに扱い難いものとなるからである。攪拌洗浄は通常の攪拌機によるものでもよいが、触媒の破壊、摩耗防止の観点からは気泡を伴う水流による洗浄(バブルジェット洗浄)や超音波洗浄が特に好ましい方法である。また、これらの方法を組み合わせてもよい。このような洗浄方法や洗浄水の温度、pHに対応して洗浄時間は選択される。望ましいバナジウム含有量の洗浄触媒が得られた時点で洗浄を終了すればよい。通常は1〜60分の間で行えばよい。
洗浄水の触媒に対する割合は、洗浄方法との関係で選択すればよいが、通常は触媒に対し洗浄水を2〜500L/kgの範囲で使用すればよい。使用済み触媒への付着金属分が多い時は洗浄水の割合は多めにすることが望ましい。しかし、洗浄水を多く使用すると排水が多くなり好ましくない場合もある。水洗して得られた触媒は、通常50〜120℃の温度で乾燥してから再生触媒として使用する。
【0017】
このようにして得られた水洗触媒は粉化したもの等を除去し正常な形状のもののみを再生触媒として使用することが望ましい。この操作をしないと初期活性は十分望める場合もあるが、触媒層で詰まりや偏流を起こしたり反応器中での流体の圧力損失を大きくし正常な運転が継続できなくなることがある。
本発明において、水素化処理の対象となる重質油中には通常、硫黄分1重量%以上、窒素分200重量ppm以上、残炭分5重量%以上、バナジウム5ppm以上、アスファルテン分0.5%以上が含まれている。具体的にば、各種原油から得られた常圧残油、減圧残油等の他原油、アスファルト油、熱分解油、タールサンド油あるいはこれらを含む混合油などが好適な原料油としてあげられる。
【0018】
また、使用前の新触媒と重質油の水素化処理触媒として製造されたものや、重質油の水素化処理触媒として製造され、脱硫、脱メタル、分解などと同時に脱窒素活性を持つものをもいい、一般に市販されている水素化脱硫触媒、水素化脱メタル触媒などでもよいし、水素化処理機能を持った触媒を特別に製造したものでもよい。
これらは触媒として一度も水素化処理に使用されていないものはもちろん、一旦水素化処理に使用されたが装置上のトラブル等のため短期間で使用を中断し、再度そのまま使用するものも含む。すなわち、一時的に使用されても特別の賦活処理をしなくとも、当初から想定されている水素化活性がまだ十分にある触媒も含まれる。
【0019】
そのための基本的な触媒構成として酸化物担体、たとえばアルミナやアルミナ・りん、アルミナ・ほう素担体、アルミナ・けい素担体などに、モリブデン、タングステン、コバルト(Co)またはニッケルの酸化物を担持したものが好適に使用される。この中でも、ニッケル・モリブデン担持/アルミナ担体触媒、ニッケル・モリブデン担持/アルミナ・りん担体触媒、コバルト・モリブデン担持/アルミナ・ほう素担体触媒やニッケル・モリブデン担持/アルミナ・けい素担体触媒が特に好ましい。さらに、重質油処理であるので担持金属であるコバルトまたはニッケルを0.1〜10%(再生触媒に対する酸化物としての重量%、以下同じ)、モリブデンを0.2〜25%含有することが好ましい。りん(P)の含有量については0.1〜15%(活性金属含有量と同じ基準)が好ましい。なお、上記のモリブデン等の元素分析は、試料を650℃、1時間焼成後、Mo,Pは灰分を酸で溶解し誘導結合プラズマ発光吸光分析法により、Co,Niは灰分と四ほう酸リチウムの混合物を高周波加熱でガラスビードとし、蛍光X線分析法で測定する。
【0020】
つぎに、本発明のひとつの態様である重質油の水素化処理方法を具体的に説明する。上記の再生触媒を用いれば、反応条件は特に制限されるものではないが一般的な条件で説明する。触媒の配置としては、反応系のすべてを再生触媒とすることもできるが、一部を再生触媒とし残りを新触媒とすることもできる。たとえば、脱金属ゾーンには脱金属用の新触媒を、脱硫脱窒素反応ゾーンの前段50%には脱硫脱窒素用の新触媒を後段50%には脱硫脱窒素用の再生触媒を充填する方法などが例示できる。炭化水素油としては前記で説明したようなものでよいが、常圧残油が好適に使用される。この場合の反応温度は300〜450℃、好ましくは350〜420℃、水素分圧7.0〜25.0Pa、好ましくは10.0〜15.0Pa、液空間速度0.01〜10h-1、好ましくは0.1〜5h-1、水素/原料油比500〜2500Nm3/kl、好ましくは500〜2000Nm3/kl囲の条件が好適である。
生成油の硫黄含有量、窒素含有量、金属分含有量(ニッケル、バナジウム)の調整は上記の反応条件のうちから適当な条件たとえば反応温度を適宜選択して調整すればよい。
【実施例】
【0021】
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
参考例1〕
(1)新触媒の製造
酸化モリブデン630g、炭酸ニッケルをNiOとして150gをリンゴ酸を用いてイオン交換水に溶解し、全量を2000mlとし含浸液とした。この含浸液を、下記担体の吸水量に見合うように水分量を調製し、四葉型アルミナ担体(比表面積230m2/g、平均細孔系120Å、細孔容積0.69ml/g)4000gに含浸させた。これを120℃で3時間乾燥し、500℃で5時間焼成し、新触媒とした。
(2)使用済み触媒の調製
上記(1)で得られた新触媒を用いて残油水素化脱硫装置に8000時間中東系の常圧残油を通油し水素化処理を行った。生成油中の主成分(343℃以上の沸点留分)の硫黄分を一定になるよう反応温度を調整しながら水素化脱硫処理を続け、使用済み触媒を得た。通油した代表的な常圧残油の性状を表1に、脱硫装置での反応条件を表2に示す。
【0022】
(3)焼成触媒の調製
この使用済み触媒を反応器から取り出し、トルエンで十分洗浄して乾燥させたのち(トルエン洗浄触媒という。)500℃の条件で3時間空気気流中で酸化処理し炭素質等を除去した触媒を得た(焼成触媒という)。新触媒、トルエン洗浄触媒、焼成触媒の組成、物性を表3に示す。
(4)再生触媒の調製
500ccビーカー中に水300ccを入れ、上記(3)で得られた焼成触媒100gを加え、80℃に保って攪拌機で30rpmの条件で30分間攪拌洗浄した。このときの攪拌洗浄中のpHは3.2であった。洗浄後の触媒をろ別して、120℃で3時間乾燥し再生触媒1とした。再生触媒1の組成、物性を表3に示す。
【0023】
(5)再生触媒の水素化処理反応活性評価
小型高圧固定床反応器(容量200cc)に再生触媒1を100cc充填した。これを、硫化剤であるジメチルジスルヒドを添加し硫黄濃度を2.5%に調整した軽質軽油を、135kg/cm3水素気流中、250℃で、24時間通油し予備硫化処理をした。その後、前記常圧残油を用いて水素化処理反応を行った。反応条件を表6に、水素化処理結果を表7に示す。
参考例2〕
参考例1の(4)において、攪拌機で攪拌洗浄した替わりに、ビーカー低部から空気を10L/分で吹き込んで空気による攪拌洗浄(バブルジェット洗浄)をした以外は参考例1と同様にして、再生触媒2を調整し、参考例1と同様にして水素化処理反応を行った。再生触媒2の組成、物性を表4に、水素化処理結果を表7に示す。
【0024】
参考例3〕
参考例1の(4)において、500ccビーカー中で攪拌洗浄した替わりに、容量約500ccの超音波洗浄機に水および焼成触媒を入れ、攪拌機での攪拌洗浄の替わりに超音波洗浄をした以外は参考例1と同様にして、再生触媒3を調整し、参考例1と同様にして水素化処理反応を行った。再生触媒3の組成、物性を表4に、水素化処理結果を表7に示す。
参考例4〕
参考例1の(4)において、500ccビーカー中で攪拌洗浄する際、攪拌温度を60℃の替わりに10℃で実施した以外は参考例1と同様にして、再生触媒4を調整し、参考 1と同様にして水素化処理反応を行った。再生触媒4の組成、物性を表4に、水素化処理結果を表7に示す。
【0025】
〔実施例
参考例1の(4)において、500ccビーカー中で攪拌洗浄する際、洗浄水に苛性ソーダを加えて攪拌洗浄中のpHを10とした以外は参考例1と同様にして、再生触媒5を調整し、参考例1と同様にして水素化処理反応を行った。再生触媒5の組成、物性を表4に、水素化処理結果を表7に示す。
〔実施例
500ccビ−カ−に17.5重量%の希硫酸水溶液250ccを入れ、参考例1の(3)で得られた焼成触媒50gを加え、50℃に保って攪拌機を使用し30rpmで2時間攪拌洗浄した。このときの攪拌洗浄中のpHは1.4であった。洗浄後の触媒をろ別して、120℃で3時間乾燥して再生触媒6とした。再生触媒6の組成、物性を表4に、水素化処理結果を表7に示す。
【0026】
〔比較例1〕
参考例1の(3)で得られた焼成触媒を、参考例1の(4)の洗浄操作を行わないで参考例1の(5)と同様にして水素化処理反応を行った。焼成触媒の組成、物性を表5に、水素化処理結果を表7に示す。
〔比較例2〕
参考例1の(2)、1の(3)で得られた焼成触媒を、参考例1の(4)の洗浄操作の替わりにシュウ酸10gを加えた水300ccと共に500ccビーカー中に入れ、60℃に保って攪拌機で30rpmで30分間攪拌洗浄した。洗浄後の触媒をろ別して、120℃で3時間乾燥し再生触媒7を得た。再生触媒7の組成、物性を表5に示す。再生触媒7を用いて参考例1の(5)と同様にして水素化処理反応を行った。水素化処理結果を表7に示す。
〔比較例3〕
参考例1の(3)で得られたトルエン洗浄触媒を、参考例1の(3)の酸化処理を行わないで、参考例1の(4)と同様にして洗浄操作を行い再生触媒8を得た。再生触媒8の組成、物性を表5に示す。再生触媒8を用いて参考例1の(5)と同様にして水素化処理反応を行った。水素化処理結果を表7に示す。
【0027】
〔比較例4〕
500ccビ−カ−に17.5重量%の希硫酸水溶液250ccを入れ、参考例1の(3)で得られたトルエン洗浄触媒50gを加え、50℃に保って攪拌機を使用し、30rpmで2時間攪拌洗浄した。このときの攪拌洗浄中のpHは2.2であった。洗浄後の触媒をろ別して、500℃で3時間乾燥して再生触媒9とした。再生触媒9の組成、物性を表5に、水素化処理結果を表7に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003715893
【0029】
【表2】
Figure 0003715893
【0030】
【表3】
Figure 0003715893
【0031】
【表4】
Figure 0003715893
【0032】
【表5】
Figure 0003715893
【0033】
【表6】
Figure 0003715893
【0034】
【表7】
Figure 0003715893
【発明の効果】
【0035】
本発明の使用済み触媒の再生方法によれば、触媒に付着した炭素質およびバナジウム等の不用金属分を選択的に除去し、水素化触媒としての活性を回復することができ、使用済み触媒の有効活用方法として優れた方法であることがわかる。

Claims (10)

  1. 使用済みの重質油の水素化処理触媒を焼成した後に、硫酸または苛性ソーダによりpHが1〜11に制御された洗浄水で水洗処理することにより付着金属除去処理を行う水素化処理触媒の再生方法。
  2. 使用済みの重質油の水素化処理触媒をプロセス外で焼成した後に付着金属除去処理を行う請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  3. 付着金属除去処理がバナジウムおよび/またはニッケルの除去処理である請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  4. 水洗処理の洗浄水の温度が15℃以上である請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  5. 付着金属除去処理が攪拌を伴う洗浄処理である請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  6. 攪拌を伴う洗浄処理が気泡を伴う洗浄液によるものである請求項5に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  7. 攪拌が超音波によるものである請求項5に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  8. 水洗処理の洗浄液を触媒に対し2〜500L/kgの範囲として洗浄する請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  9. 焼成温度を350〜700℃の範囲として焼成する請求項1に記載の水素化処理触媒の再生方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の水素化処理触媒の再生方法により再生した触媒を用いた炭化水素油の水素化処理方法。
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