JP3717628B2 - 磁気抵抗効果型ヘッドの評価方法およびその評価装置 - Google Patents
磁気抵抗効果型ヘッドの評価方法およびその評価装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハードディスク装置、VTRなどの磁気記録装置に使用される磁気ヘッドに係り、特に磁気ヘッドの信号検出部に磁気抵抗効果素子を用いた磁気抵抗効果型磁気ヘッドの評価方法および評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスク装置、VTR等の磁気記録装置の小型大容量化は急激な勢いで進展している。このような動向に呼応して磁気ヘッドの高性能化が進められ、電磁誘導方式である薄膜磁気ヘッドに代わるものとして、強磁性体の薄膜による磁気抵抗効果現象を利用した磁気抵抗効果型磁気ヘッド(Magnetoresistive head 以下、MRヘッドと称す。)へと進化してきた。MRヘッドはパーマロイなどの強磁性体薄膜の磁気抵抗効果を利用したもので、磁気ディスクとの相対速度に依らず、大きな再生出力が得られる。しかし、バルクハウゼンノイズ等による再生出力変動やピーク非対称性と呼ばれるバイアス状態のズレが問題となる。ピーク非対称性とは、再生動作時の出力波形に見られるプラスの振幅強度 V+とマイナスの振幅強度V- の非対称性であり、(V+−V-)/(V++V-)の計算式で与えられる。再生出力とはプラスとマイナスの出力波形の振幅(V++V-)であり、記録再生動作を繰り返した時にこの再生出力が変動してハードディスク装置のエラーレートに悪影響を及ぼす。MRヘッドを用いたハードディスク装置ではPRMLと呼ばれる信号検出方法が採用されており、より一層の高記録密度を実現している。しかし、PRMLは再生波形の形状が直接ドライブのエラーレートに影響を与えるため、MRヘッドの再生出力変動の低減やピーク非対称性の低減が重要になる。従って、MRヘッドの製造時の検査として、再生出力変動やピーク非対称性などの再生特性を検出して選別することが必要になり、種々の評価方法、評価装置が提案されている。
【0003】
従来、この様な再生特性の評価方法としては、ギャップデプス加工後のMRヘッドにサスペンションを取り付けた組立体(MR Head Gimbal Assembly以下、MR HGAと称す。)を実際に磁気ディスク上に浮上動作させ、その結果得られる出力電圧波形から再生特性の不良なヘッドを取り除くという方法が採られてきた。しかしながら、このような評価方法では、MR HGAに組み立てないと測定評価が実施できないため、MR HGAを組み立てる工数と経費がかかること、ヘッド当たりの評価に長時間要すこと、不良品となったMR HGAは廃棄処分し、再生が不可能であること、などの課題があり、効率の良い評価方法ではなかった。
【0004】
更に、特開平6-150264号公報に記載された技術は、ヘッドブロック上に配列されたギャップデプス加工後の複数のMRヘッドに対し、エアベアリング面に垂直な方向に正弦波状に変化する交番外部磁界を印加し、この交番外部磁界の変化に対するMRヘッドの電磁変換特性を得るようにしたものである。しかしながら、そこで開示された内容は、外部磁界に対する抵抗変化の状況を見るだけで、バルクハウゼンノイズに対する定量化の具体的な方法について一切触れられていない。また、この評価結果と磁気ディスク上に浮上させて得られた実際の結果との対応を取るのが非常に困難であり、MRヘッドのバルクハウゼンノイズによる再生特性の不安定性を的確に検出できない。更に、MRヘッドではMR素子を不要な磁界から遮蔽するため、上部及び下部シールド磁性層がMR素子を覆うように配置されている。このシールド磁性層の影響により、ギャップデプス加工前のMRヘッドでは、外部磁界の変化がMR素子に充分に印加されないため、この方法ではギャップデプス加工前のMRヘッドの再生特性の検出は困難であった。
【0005】
また、特開昭60-105286号公報に記載された技術では、少なくとも片側にシールド磁性層の無い評価用のテスト素子をウェハ上に配置し、ウェハのバイアス状態の良否を判定する手段として用いる技術が開示されている。この技術は、少なくとも片側にシールド磁性層が無いことで外部磁界の変化がMR層に十分に印加されるため、バイアス状態をある程度検出できる。しかし、シールドの有無によりMR素子のバイアス状態が変化するため、実際のシールド磁性層付きのMRヘッドのバイアス状態を判定できず、しかもバルクハウゼンノイズなどによる再生出力変動を的確に検出できないこともあり、ウェハの再生特性の良否を判定することは困難であった。
【0006】
本発明は、かかる従来例の問題点に鑑み創作されたものであり、製造工程の途中であっても、MRヘッドのバイアス状態や再生出力変動などの再生特性の検査を行うことができ、製造工程途中でも製品不良を発見して適切な工程管理を行うことができ、製造効率を著しく向上させることができる磁気抵抗効果素子または磁気抵抗効果素子用ウェハの評価装置およびそれらの評価方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気抵抗効果素子(以下 MR素子と称す)の第1の評価装置は図1に示すように、ウェハ評価用に配置された少なくとも片側にシールド磁性層のないテスト素子に対して、前記テスト素子の縦バイアス磁界を打ち消す方向に外部から静磁界(以下 オフセット磁界と称す)を発生する手段と、前記テスト素子の横方向に交番磁界を発生する手段と、前記オフセット磁界を印加しながら前記交番磁界の変化に対する前記テスト素子の抵抗変化を測定する測定手段とを備え、同一ウェハ上に形成されたシールド磁性層付きMR素子のギャップデプス加工後のバイアス状態を正確に評価することを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の評価方法は、ウェハ評価用のテスト素子に対して、シールド磁性膜の影響を補正するオフセット磁界を印加しながら、前記テスト素子の横方向の交番磁界の変化に対する前記テスト素子の抵抗変化を測定することにより、同一ウェハ上に形成されたシールド磁性層付きMR素子のギャップデプス加工後のバイアス状態を正確に評価することを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の評価装置は、MR素子の縦バイアス磁界を打ち消す方向に外部からオフセット磁界を印加しながら、横方向の交番磁界の変化に対する前記MR素子の抵抗変化を求め、前記抵抗変化の前記オフセット磁界依存性より、前記MR素子の良否判定を行う判定手段を設けていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の評価方法は、MR素子にオフセット磁界を印加しながら、前記MR素子の横方向の交番磁界の変化に対するMR素子の抵抗変化を測定し、前記抵抗変化の前記オフセット磁界依存性から前記MR素子の良否を判定することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施形態】
(実施例1)
以下図を用いて本発明の構成とその原理を説明する。永久磁石バイアス型MRヘッドの再生部分は、図14に示すように磁気抵抗効果を発揮するMR層1、非磁性層であるスペーサ層2、MR層1に静磁結合によってバイアス磁界(横バイアス磁界と称す)を与えるSAL(Soft Adjacent Layer)3の3層で構成されている。さらに、このMR素子の両端に永久磁石を配置し、図14中の矢印の方向に着磁することでMR層の磁化を縦方向にバイアスしている。また、MR素子の上下には、リードギャップ層7と外部磁界をシールドする上部シールド磁性層5と下部シールド磁性層6が配されている。MRヘッドのバイアス状態は、SALの静磁結合による図14中のy軸方向の横バイアスと永久磁石からのx軸方向の縦バイアスのバランスで決定する。以下の説明では図14中のx軸方向を縦方向、y軸方向を横方向と称する。
【0012】
MRヘッドのバイアス状態は、MR素子に横方向の外部磁界を印加し、抵抗変化を測定することで知ることができる。ウェハ段階でMR素子は、ギャップデプス加工が施されておらず、シールド磁性層により覆われている。そのため、外部磁界の変化がMR素子に充分に印加されず、かつギャップデプス加工前の状態ではMR素子形状も異なるため、MRヘッドの再生特性を正しく測定できない。この問題を解決するために、ウェハ上に配置された少なくとも片側にシールド磁性層が無いテスト素子の磁気特性を評価することでウェハの再生特性の良否を評価することが行われている。図4はMR素子用ウェハに特性評価用のテスト素子を配置した一実施例を示した。しかし、テスト素子の場合には永久磁石からの縦バイアス磁界のほとんどがMR素子に印加されるのに対し(図5(a))、シールド磁性層があるMR素子では永久磁石からの磁束がシールド磁性層に吸収されるために、MR素子に印加される実効的な縦バイアスが減少する(図5(b))。MR層に加わっている横バイアスの大きさが一定の場合、縦バイアスが大きくなるとMR層の磁化が縦方向に向いてアンダーバイアスとなり、縦バイアスが小さくなると磁化が横方向に向きオーバーバイアスとなる。このため、テスト素子の評価結果は同一ウェハ上に形成されたシールド磁性層付きのMR素子のバイアス状態と必ずしも一致しないことになる。
【0013】
そこで、シールド磁性層の影響を考慮に入れ、永久磁石からの縦バイアスの一部をキャンセルする逆方向(図5の負のx軸方向)のオフセット磁界を外部から印加し、擬似的に実際のMR素子の動作状態に近づけ、磁気特性を評価する方法が必要である。図6は永久磁石からの磁束がMR層とシールド磁性層にどのように分流するかを、リードギャップの膜厚の関数として数値計算した結果である。テスト素子はリードギャップ膜厚が無限大の状態と考えられるため、リードギャップ膜厚が100nmの場合、MR層へ印加される縦バイアス磁界はシールド磁性層により約半分に減少することになる。したがって、縦バイアス磁界強度の半分をオフセット磁界として着磁の方向と反対に印加して測定すれば、同一ウェハ上に形成されたシールド磁性層付きのMR素子の動作状態を再現できる。また片側にシールド磁性層がある場合についても同様の計算により予算されるオフセット磁界を印加して測定すればの同一ウェハ上に形成されたシールド磁性層付きのMRヘッドの動作状態を再現できる。
【0014】
図7にオフセット磁界により補正をかけない場合のテスト素子のピーク非対称性とのギャップデプス加工後のシールド磁性層付きMR素子のピーク非対称性の相関を示す。一次相関曲線のy軸切片が約プラス20%であり、相関も弱い。次に、オフセット磁界により補正をかけた場合のピーク非対称性の相関を図8に示す。一次相関曲線のy軸切片がゼロに近く、相関も強くなっている。よってウェハ評価用に設けられたテスト素子に対して、シールドの影響を補正するオフセット磁界を印加しながら外部磁界に対する抵抗変化を測定することでウェハの磁気特性を正確に測定でき、ギャップデプス加工後のシールド磁性層付きのMR素子の特性を見積もる事が可能である。
【0015】
以上のように、本発明の第1の実施例によりウェハ評価に設けられたテスト素子に対して、シールドの影響を補正するオフセット磁界を印加しながら外部磁界に対する抵抗変化を測定することでウェハの磁気特性を正確に測定するMR素子用ウェハの評価方法が提供できることが示された。
【0016】
(実施例2)
図1は本発明の第2の実施例にかかるMR素子用ウェハの評価装置の構成図を示している。図1において、横方向の交番磁界発生用コイル8と、縦方向のオフセット磁界発生用コイル9の2対のコイルがMR素子10の面内で直交するように配置されている。これらのコイルは、交番磁界コイル用電源11とオフセット磁界用コイル電源12により制御され、MR素子10に対し縦方向のオフセット磁界と横方向の交番磁界を印加できるようになっている。センス電流は定電流源13によりに設定される。MR素子の抵抗値は、センス電流と電圧計14により測定された電位差から計算される。測定した磁界変化に対するMR素子の抵抗変化は表示部15に表示され、抵抗変化から計算されたピーク非対称性などの測定データはデータ保存部16に格納される。最後に良否判定部17によりMR素子の良否を判定する。制御部18はこれらのすべての測定手順を管理する機能をもつ。
【0017】
図2は本発明の第2の実施例にかかわる評価装置の測定手順を表すフローチャートである。まず、ステップS1において、有効に外部磁場が印加されるようにMRヘッドの位置合わせを行い、MRヘッドの電流端子および出力端子にプローブ電極を接続させる。次にステップS2で、設定したセンス電流をMR素子に流し、ステップS3でシールド磁性層の影響を補正するオフセット磁界を印加する。ステップS4で、横方向の交番磁界を印加し、MR素子の抵抗変化を測定する。この時の交番磁界の振幅は、実際にディスク上で動作させた時のディスクからMR素子に印加される磁界に相当する値が好ましいが、本実施例では±50Oeを採用した。ステップS5でオフセット磁界、交番磁界およびセンス電流をオフし、ステップ6で測定したMR素子の抵抗変化を表示する。次に、ステップS7において、測定した抵抗変化からバイアス状態、再生出力、バルクハウゼンノイズなどの再生特性を定量化し、良否判定基準と比較して特性の良否を判定する。最後にステップS8において、測定データおよび良否判定結果を保存し測定は終了する。
【0018】
このようにして、本発明の第2の実施例によりウェハ評価用のテスト素子にシールドの影響を補正するオフセット磁界を印加しながら、横方向の交番磁界に対する抵抗変化を測定することにより、ウェハ製造工程において予めギャップデプス加工後のMR素子のバイアス状態を精度良く測定するMR素子用ウェハの評価装置が提供できることが示された。
【0019】
(実施例3)
図9にウェハ評価用のテスト素子にオフセット磁界を印加しながら、±250Oeの交番磁界の変化に対するMR素子の抵抗変化を示す。オフセット磁界の増加に伴いゼロ磁界近傍の抵抗変化量が増大し、磁場感度が大きくなっていることが確認できる。図10に±50Oeの交番磁界で測定したピーク非対称性、再生出力のオフセット磁界依存性を示す。オフセット磁界が増加するに従って、ピーク非対称性が増加しており、縦バイアス磁界が実際に打ち消されていることがわかる。また、再生出力のオフセット磁界依存性から、縦バイアス磁界の減少によりMR素子の磁場感度が増大していることも明らかである。更にオフセット磁界を大きくすると約90Oe付近でピーク非対称性、出力が急激に減少する。これは、オフセット磁界が永久磁石からのバイアス磁界より大きくなり、MR層の磁化が反対側に回転した結果と考えられる。これらピーク非対称性、再生出力の変曲点に対応するオフセット磁界の大きさは、縦バイアス磁界の大きさ、もしくは磁区制御の強さに関する指標になる。図11は再生特性の不安定なMRヘッドを含んだウェハについて、ウェハ上のテスト素子のピーク非対称性、再生出力のオフセット磁界依存性を測定した結果である。オフセット磁界が50Oeのときに編曲点が生じており図10と比較して小さいオフセット磁界に対してMR層の磁化が反転したことを示している。この結果から再生特性の不安定なMRヘッドでは、永久磁石による縦バイアス磁界が不足している事が判断できる。
【0020】
このように本発明の第3の実施例によれば、MR素子の抵抗変化のオフセット磁界依存性を測定することで、MR素子の磁区制御の強さを評価でき、ウェハ製造工程において再生特性の不安定性を測定するMR素子用ウェハの評価方法が提供できることが示された。
【0021】
(実施例4)
図3は本発明の第4の実施例にかかわるMRヘッド評価装置の評価装置の測定手順を表すフローチャートである。まず、ステップS1において、有効に外部磁場が印加されるようにMRヘッドの位置合わせを行い、MRヘッドの電流端子および出力端子にプローブ電極を接続させる。次にステップS2で、設定したセンス電流をMR素子に流し、ステップS3でオフセット磁界をゼロに設定する。ステップS4で、横方向の交番磁界を印加し、MR素子の抵抗変化を測定する。この時の交番磁界の振幅は、実際にディスク上で動作させた場合にディスクからMR素子に印加される磁界に相当する値が好ましいが、本実施例では±50Oeを採用した。ステップS5でオフセット磁界を増加する。ステップS4〜5を指定のオフセット磁界に達するまで繰り返し(ステップS6で判定)、磁気特性のオフセット磁界依存性を測定する。その後ステップS7でオフセット磁界、交番磁界およびセンス電流をオフし、ステップS8で測定したMR素子の抵抗変化を表示する。次に、ステップS9において、測定した抵抗変化からバイアス状態、再生出力、バルクハウゼンノイズなどの再生特性を定量化し、良否判定基準と比較して特性の良否を判定する。最後にステップS10において、測定データおよび良否判定結果を保存し測定は終了する。
【0022】
このように本発明の第4の実施例によれば、MR素子の抵抗変化のオフセット磁界依存性を測定することでMR素子の磁区制御の強さを評価でき、ウェハ製造工程において再生特性の不安定性を測定するMR素子用ウェハの評価方法が提供できることが示された。
【0023】
(実施例5)
実施例3、4で示した永久磁石によるMR素子の磁区制御の強さの評価方法および評価装置は、ウェハ評価用のテスト素子に限られるものではなく、ギャップデプス加工後の実素子であっても同様である。図12は再生特性の安定なMRヘッドと不安定なMRヘッドのピーク非対称性と再生出力のオフセット磁界依存性を示したものである。再生特性の安定なヘッドではピーク非対称性や再生出力が急激に変化するオフセット磁界が60Oeであるのに対し、安定なヘッドでは120Oeである。図13は再生特性の不良ないくつかのヘッドについてオフセット磁界を印加した後の抵抗変化を示す。図13(c)のようなバルクハウゼンノイズと思われる抵抗が急激に変化するものや、図13(d)のような抵抗変化にヒステリシスを持つもの、等が確認できる。オフセット磁界はこのようなバルクハウゼンノイズやヒステリシスの発生する頻度を高める効果があると考えられるため、MR素子の抵抗変化に見られるバルクハウゼンノイズや、ヒステリシスを定量化し、これが増大するオフセット磁界の臨界値を指標とし、例えばある一定以下の臨界値を示したヘッドを不良とすることで、再生特性の不良なヘッドを選別できる。
【0024】
このように本発明の第5の実施例によれば、ギャップデプス加工後のMR素子に対してオフセット磁界を印加しながら交番磁界に対するMR素子の抵抗変化を測定することで、再生特性の不良なヘッドを選別できるMR素子の評価方法が提供できることが示された。
【0025】
(実施例6)
本実施例では本発明の第1〜5の実施例にかかるMR素子用の評価装置および評価方法におけるMR素子の良否判定について述べる。図13のようなMR素子のR−H特性を有するものは不良として判断する。図13(a)は交番磁界に対するMR素子の抵抗変化が直線にならず途中で折れ曲がっており直線性が悪い例である。例えば、図13(a)の直線性を定量化するには磁界をゼロからプラスに変化させた時の抵抗変化量と、磁界をゼロからマイナスに変化させた時の抵抗変化量との差を全体の抵抗変化量で割ることで、MR素子の良否が判定できる。その時の計算式は、
|(最大抵抗値−磁界ゼロ時の抵抗値)−(磁界ゼロの抵抗値−最小抵抗値)|/(最大抵抗値−最小抵抗値)
となる。この値がゼロに近いほど素子性能は良好である。ウェハ評価用のテスト素子においてシールド磁性層の影響を補正するオフセット磁界を印加したときの抵抗変化または、ギャップデプス加工後のMR素子にオフセット磁界を印加しないときの抵抗変化からこの値を計算し、基準値を越えた場合は不良とする。
【0026】
図13(b)に示すようにMR素子の直線性は良好であるが、全体の抵抗変化量が小さい(再生出力が小さい)場合もハードディスクドライブのエラーレートを悪化させる。よって、ウェハ評価用のテスト素子においてシールド磁性層の影響を補正するオフセット磁界を印加したときの抵抗変化または、ギャップデプス加工後のMR素子にオフセット磁界を印加しないときの抵抗変化から再生出力(最大抵抗値−最小抵抗値)の値を計算し、基準値を下回った場合は不良とする。
【0027】
図13(c)に示したようなバルクハウゼンノイズに起因した抵抗の不連続な変化を示すヘッドも再生出力変動の原因になるため不良と判断する。例えばこのようなバルクハウゼンノイズを定量化するには、抵抗の不連続な変化を定量化すれば良く、抵抗値の外部磁界に対する微分をおこない、全体の抵抗変化の傾き(dR/dH)avgに対する前記微分値(dR/dH)のズレの測定データ内での最大値を指標とすることでMR素子の良否の判定ができる。その時の計算式は
max[(dR/dH)−(dR/dH)avg|]2
となる。この値がゼロに近いほど素子性能は良好である。このため、ウェハ評価用のテスト素子においてシールド磁性層の影響を補正するオフセット磁界を印加したときの抵抗変化または、ギャップデプス加工後のMR素子にオフセット磁界を印加しないときの抵抗変化からこの値を計算し、基準値を越えた場合は不良とする。
【0028】
図13(d)に示したような抵抗変化にヒステリシスと持つヘッドも再生出力変動の原因になるため不良と判断する。例えばこのようなヒステリシスを定量化するには、磁界を増加させたときの経路と減少させたときの経路の抵抗値の差を定量化すれば良く、磁界増加時の抵抗値と磁界減少時の抵抗値の差を測定データ内で積算した値を指標とすることでMR素子の良否の判定ができる。その時の計算式は
Σ|R(H)+ − R(H)-|
となる。この値がゼロに近いほど素子性能は良好である。このため、ウェハ評価用のテスト素子においてシールド磁性層の影響を補正するオフセット磁界を印加したときの抵抗変化または、ギャップデプス加工後のMR素子にオフセット磁界を印加しないときの抵抗変化からこの値を計算し、基準値を越えた場合は不良とする。
【0029】
以上のように本発明の第6の実施例によれば、図13のような再生特性の不良なMRヘッドの良否判定を定量的に行え、実施例1〜5の評価装置および評価方法と組み合わせることにより、製造工程の途中であっても、MRヘッドの再生特性を検査できるMR素子の評価装置が提供できることが示された。
【0030】
【発明の効果】
本発明の評価方法および評価装置によれば、MR素子のヘッドチップおよびウェハ評価用のテスト素子が形成されたウェハが製造された段階で、前記テスト素子を評価することにより、実際のシールド付きのMR素子のバイアス状態やバルクハウゼンノイズによる再生不安定性を定量的に検出できる。前記テスト素子の良否に応じて、製造工程の適切な管理を行うことができ、かつ品質を良くすることが可能になる。また、ギャップデプス加工後のMR素子に対して同様の評価を行うことにより、バルクハウゼンノイズに起因する再生不安定性を定量的に検出でき選別をかけることにより、再生特性不良品に伴うHGA組立工数およびコストが低減できる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第2および第4の実施例に係るMR素子の評価装置の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係るMR素子の評価装置の制御フローチャートである。
【図3】本発明の第4の実施例に係るMR素子の評価装置の制御フローチャートである。
【図4】MR素子用ウェハの素子配置の一例を示す。
【図5】シールド磁性層の有無による縦バイアスの状態の違いを示す模式図である。
【図6】縦バイアスのリードギャップ膜厚依存性を示す。
【図7】シールド磁性層の影響を補正しない場合のシールド磁性層付きMR素子とテスト素子のピーク非対称性の相関を示す。
【図8】シールド磁性層の影響を補正した場合のシールド磁性層付きMR素子とテスト素子のピーク非対称性の相関を示す。
【図9】交番磁界の変化に対するMR素子の抵抗変化のオフセット磁界依存性を示す。
【図10】再生特性の安定なMRヘッドのピーク非対称性、再生出力のオフセット磁界依存性を示す。
【図11】再生特性の不安定なMRヘッドのピーク非対称性、再生出力のオフセット磁界依存性を示す。
【図12】再生特性が安定および不安定なギャップデプス加工後のシールド磁性層付きMRヘッドのピーク非対称性、再生出力のオフセット磁界依存性を示す。
【図13】再生特性が不良なMR素子の外部磁界の変化に対する抵抗変化の代表例である。
【図14】永久磁石バイアス型MRヘッドの再生部分を示す。
【符号の説明】
1 MR層、2 スペーサ層、3 SAL、4 永久磁石、5 上部シールド磁性層、6 下部シールド磁性層、7 リードギャップ層、8 交番磁界印加用コイル、9 オフセット磁界印加用コイル、10 MR素子、11 交番磁界コイル用電源、12 オフセット磁界コイル用電源、13 定電流源、14 電圧計、15 表示部、16 データ保存部、17 良否判定部、18 制御部、19 特性評価用テスト素子、20 製品となるMR素子の形成領域、21 非磁性基板
Claims (4)
- 縦および横バイアス磁界が感磁部である磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と省略)に印加されると共に、シールド磁性層に挟まれる構成の磁気抵抗効果型ヘッド(以下、MRヘッドと省略)の評価装置であり、縦バイアス磁界を打ち消すオフセット磁界発生手段と、横バイアス磁界と同方向の交番磁界発生手段と、前記シールド層がないかあるいは一方が形成されたテスト用ヘッドをウェハに形成配置し、このテスト用ヘッドのMR素子の電気抵抗を測定する手段とを備えたことを特徴とするMRヘッドの評価装置。
- 請求項1において、前記テスト用MR素子の電気抵抗の測定値から変化分を算出して前記MRヘッドの良否判定を行う判定手段を備えたことを特徴とするMRヘッドの評価装置。
- 縦および横バイアス磁界が感磁部であるMR素子に印加されると共に、シールド磁性層に挟まれる構成のMRヘッドの評価方法であり、少なくとも前記シールド層の一方を除去したテスト用ヘッドをウェハに形成配置し、縦バイアス磁界を打ち消すオフセット磁界を印加しながら、横バイアス磁界と同方向の交番磁界に対する前記テスト用ヘッドのMR素子の電気抵抗の変化を測定することによりMRヘッドの特性を判定することを特徴とするMRヘッドの評価方法
- 請求項3において、前記テスト用ヘッドのMR素子の電気抵抗変化の測定結果と前記オフセット磁界との関係からMRヘッドの良否判定をすることを特徴とするMRヘッド評価方法。
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