JP3719829B2 - 敷居溝部材及び敷居 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、敷居の上面の敷居溝の底面にはめ込まれる敷居溝部材及び敷居に関する。
【0002】
【先行技術】
従来の一般的に使用されている敷居は、木質からなり、上面に引戸の下端面を案内する凹状の敷居溝を有していた。
また、近年では、特に図示しないが、敷居の敷居溝上の引戸の滑りを良くするために、敷居溝の内部にはめ込まれる樹脂からなる敷居溝部材を形成する場合があった。この敷居溝部材は、引戸の下端面との接触面積を少なくして、摩擦抵抗を少なくするために、縦断面形状が上方に向かって鋸歯状の微小な凹凸部を備えていた。
【0003】
一方、本願発明に関連のある技術として、PCTJP94/00351号(国際公開番号;WO94/20280号)に記載された「セルロース系微粉粒、木質様成形品および木質様製品」の技術について簡単に説明する。
原料としてのセルロース材を粉砕して得た粉砕粉を磨砕処理して嵩比重を高めた粉粒とし、この粉粒の外周面に、該粉粒よりも小径でかつ硬い表面粒を固定させて固定粒とし、この固定粒に樹脂及び顔料を混合し、かつ溶融させ、その後または溶融と同時に押出成形または射出成形により所望形状に成形する。すると、天然の木の木目に極めて近い模様を表面に有し、しかも手触り感等の風合いも天然の木に近い木質様製品の製造方法及び木質様製品を提供することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の敷居溝部材は、その材質が単一の樹脂材から形成されていたため、その硬度を軟らかいものに設定すると、磨耗しやすく、一方、硬度を硬いものに設定すると、その質感が限定されてしまい、種々の質感を表現するための加工処理を施すことができず、見栄えが良くないという第一の問題点があった。
【0005】
また、従来の敷居は、その材質が木質から形成されていたため、引戸を繰り返し、摺動させると、その下端面と敷居溝との間がこすれて磨耗しやすいという第二の問題点があった。
そこで、請求項1記載の発明は、上記した従来の技術の有する第一の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、磨耗し難く、外観が良好な敷居溝部材を提供しようとするものである。
【0006】
さらに、この請求項1記載の発明は、滑り部の材料の使用量を抑えることができる敷居溝部材を提供しようとするものである。
これに加え、請求項2記載の発明は、引戸の下端面との接触面積を抑えることができて、滑り性が向上した敷居溝部材を提供しようとするものである。
これに加え、請求項3記載の発明は、表面がフラットに形成されて、外観を良好にすることができる上に、滑り部間に塵等も溜まらず、清掃作業も容易な敷居溝部材を提供しようとするものである。
【0007】
これに加え、請求項4記載の発明は、滑り部が敷居溝部材の表面から外れるのを抑えることができる敷居溝部材を提供しようとするものである。
これに加え、請求項5記載の発明は、敷居溝の深さを調整することが可能な敷居溝部材を提供しようとするものである。
これに加え、請求項6記載の発明は、質感及び硬度が異なるものの一体成形を容易にすることができる上に、長手方向に同一断面形状を有し、任意の長さのものを簡単に得ることができる敷居溝部材を提供しようとするものである。
【0008】
請求項7記載の発明は、上記した従来の技術の有する第二の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、繰り返し使用しても磨耗し難い上に、外観が良好な敷居を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した目的を達成するためのものである。
請求項1記載の発明は、敷居(10)の上面に形成されて引戸(11)の下端面を案内する敷居溝(80)の底面にはめ込まれる敷居溝部材(20)であって、この敷居溝部材(20)は、敷居溝(80)の底面にはめ込まれる本体部(30)と、この本体部(30)より硬い材質からなり、本体部(30)において前記引戸 (11) の下端面が摺接する上面に該本体部(30)の長手方向に沿って配置されて、引戸(11)の下端面が接触する滑り部(40)とを備え、滑り部 (40) は、敷居溝部材 (20) の幅方向に引戸 (11) の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配置されていることを特徴とする 。
【0010】
本発明は、敷居溝部材(20)が、敷居溝(80)の底面にはめ込まれる本体部(30)と、この本体部(30)より硬い材質からなり、本体部(30)の上面に本体部(30)の長手方向に沿って配置されて、引戸(11)の下端面が接触する滑り部(40)とを備えている。すなわち、引戸(11)の下端面は滑り部(40)と接触し、この滑り部(40)自体は、本体部(30)よりも硬い材質から形成されているため、本体部(30)が接触するよりも磨耗し難い。また、この滑り部(40)が本体部(30)の上面に埋め込むことで配置されているため、引戸(11)の下端面は、本体部(30)と接触しないか、若しくは、 接触しても引戸(11)の下端面と本体部(30)とが磨耗してすり減ることを抑えることができる。これにより、本体部(30)の材質を、特に、引戸(11)の下端面との磨耗を考慮して、硬度の硬いものに設定する必要がなく、材料の選択範囲を広い範囲から選ぶことができる。
したがって、本体部(30)は、硬度が硬い材質の質感のものに限定されるようなことがなく、硬度に影響されない、多様な質感(例えば、木質感を有するもの)を有する材質を選択することができて、良好な外観を得ることができる。
【0011】
さらに、本発明は、滑り部(40)を敷居溝部材(20)の幅方向に引戸(11)の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配置している。このため、敷居溝部材(20)の上面に引戸(11)の下端面を載置して、繰り返し摺動しても、常に、引戸(11)の下端面は、少なくとも一本の滑り部(40)の上を摺動することとなって、滑り部(40)が引戸(11)の下端面と当接して、引戸(11)を保持する。これにより、引戸(11)の下端面と本体部(30)との間で磨耗が進むことを抑えることができる。
【0012】
そして、滑り部(40)は、敷居溝部材(20)の全面ではなく、幅方向に間隔をあけて、形成されているため、その全面に滑り部(40)を形成する場合と比較して、滑り部(40)の材料の使用量を抑えることができる。
請求項2記載の発明は、上記した請求項1記載の特徴点に加え、滑り部(40)は、敷居溝部材(20)の表面から上方に向かって突出していることを特徴とする。
【0013】
本発明は、滑り部(40)が、敷居溝部材(20)の表面から上方に向かって突出している。このため、引戸(11)の下端面は、本体部(30)と接触することなく、上方に向かって突出している滑り部(40)の上面のみと接触する。これにより、敷居溝部材(20)の上面をフラットに形成した場合よりも、引戸(11)の下端面と、敷居溝部材(20)との接触面積を抑えることができて、両者の摩擦抵抗を抑えることができ、引戸(11)の滑り性を向上させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記した請求項1記載の特徴点に加え、滑り部(40)は、その上面が敷居溝部材(20)の表面と面一になるように形成したことを特徴とする。
本発明は、滑り部(40)の上面が敷居溝部材(20)の表面と面一になるように形成されている。このため、敷居溝部材(20)の表面をフラットな平面に形成することができて、その外観を良好なものにすることができる。また、敷居溝部材 (20) の上面に滑り部(40)等の凹凸がないため、足裏で踏んでもその感触を良好なものにすることができる。さらに、滑り部(40)等の凹凸がないため、かかる凹凸間に塵等が溜まらず、敷居溝部材(20)の上面の清掃作業を容易なものにすることができる。
【0015】
請求項4記載の発明は、上記した請求項1、請求項2または請求項3記載の特徴点に加え、滑り部(40)は、その埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて形成したことを特徴とする。
なお、ここで、「埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて形成した」とは、滑り部(40)の埋め込んだ先端側の縦断面における幅と、滑り部(40)の表面側の縦断面における幅との大きさを比較した場合に、埋め込んだ先端側の幅が大きくなるように形成されていることを意味するものである。例えば、滑り部(40)の縦断面形状が三角形状、扇状、台形状、矢印状、釣り鐘状または錨状等の下方側の幅が拡がっているようなものを含むものである。
【0016】
本発明は、滑り部(40)の埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて形成している。このため、滑り部(40)に敷居溝部材(20)の本体部(30)から引き離す方向に向かって外力が加わっても、埋め込んだ先端側の幅方向に拡がった部分が、敷居溝部材(20)の内部に引っかかって、滑り部(40)が敷居溝部材(20)から外れるのを抑えることができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、上記した請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の特徴点に加え、敷居溝部材(20)は、引戸(11)用の敷居溝(80)の深さを調整するために敷居(10)の敷居溝(80)の内部にはめ込まれる溝深さ調整部材(70)であることを特徴とする。
本発明は、敷居溝部材(20)が、敷居溝(80)の内部にはめ込まれる溝深さ調整部材(70)である。すなわち、この敷居溝部材(20)が、敷居溝(80)の内部にはめ込まれることにより、敷居溝(80)の溝深さを、この敷居溝部材(20)の厚み分だけ浅くすることができる。これにより、敷居溝(80)の溝深さを調整することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、上記した請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載の特徴点に加え、敷居溝部材(20)の本体部(30)は、樹脂と微粒子の木粉とを主材とする組成物を発泡させることにより形成され、滑り部(40)は、非発泡の樹脂から形成され、敷居溝部材(20)の本体部(30)及び滑り部(40)は、両者を一体的に押出成形することにより得られる長尺状の押出成形品であることを特徴とする。
【0019】
なお、ここで「微粒子の木粉」とは天然木材のほか、おがくず等を粉砕により、微粉状の粒子に形成しているものを含むものである。また、ここで、「樹脂」とは、硬質樹脂、軟質樹脂を含み、例えば塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等である。
【0020】
本発明は、敷居溝部材(20)の本体部(30)を、樹脂と微粒子の木粉とを主材とする組成物を発泡させている。すなわち、本体部(30)に木粉が含まれているため、本体部(30)の表面を手で触った感触が、木質感のあるものとなり、樹脂や塩化ビニル等の表面のツルッとした感触がなく、手にしっくりとなじむ良好な手触り感を得ることができる。また、発泡させていることにより、樹脂の内部が稠密ではなく、導管等を内部に含んだ木質独特の木質感を得ることができる。
【0021】
また、本体部(30)は、上述した材料から形成され、樹脂を有しているため、木質材と比較して、吸水性が小さく、吸湿による収縮も発生しない。これにより、木質材と比較して、反り難く、ねじれ難く、また、腐り難いという材料としての均一性に優れたものにすることができる。そして、滑り部(40)は、非発泡の樹脂から形成されているため、その内部を稠密にして硬度が硬くて、磨耗し難いものを形成することができる。
【0022】
そして、敷居溝部材(20)の本体部(30)及び滑り部(40)は、両者を一体的に押出成形することにより形成されているため、長手方向に同一断面形状を有するとともに、任意の長さの長尺材を簡単に得ることができる。
すなわち、本体部(30)と滑り部(40)とを別個にそれぞれ製造し、それらを組み合わせて敷居溝部材(20)を形成するよりも、遥かに簡単に同様の効果が得られるものを成形することができる。そして、押出成形であるため、敷居(10)の寸法形状が変化しても、種々の長さの敷居溝部材(20)を容易に準備することができる。
【0023】
上述したように、表面の質感及び硬度が異なるものの長尺状の一体成形品を容易に得ることができる。
請求項7記載の発明は、引戸(11)の下方に形成されて引戸(11)の下端面を案内する敷居溝(80)を上面に有する敷居(10)であって、この敷居(10)は、敷居溝(80)を上面に有する敷居溝本体部(50)と、この敷居溝本体部(50)より硬い材質からなり、敷居溝本体部(50)の敷居溝 (80) において前記引戸 (11) の下端面が摺接する上面に該敷居溝本体部(50)の長手方向に沿って配置されて、引戸(11)の下端面が接触する敷居溝滑り部(60)とを備え、敷居溝滑り部 (60) は、敷居溝本体部 (50) の幅方向に引戸 (11) の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配 置されていることを特徴とする。
【0024】
本発明は、敷居(10)が、敷居溝(80)を上面に有する敷居溝本体部(50)と、この敷居溝本体部(50)より硬い材質からなり、敷居溝本体部(50)の敷居溝 (80) の上面に敷居溝本体部(50)の長手方向に沿って配置されて、引戸(11)の下端面が接触する敷居溝滑り部(60)とを備えている。すなわち、引戸(11)の下端面は敷居溝滑り部(60)と接触し、この敷居溝滑り部(60)自体は、敷居溝本体部(50)よりも硬い材質から形成されているため、敷居溝本体部(50)が接触するよりも磨耗し難い。また、この敷居溝滑り部(60)が敷居溝本体部(50)の敷居溝 (80)の上面に形成 されているため、引戸(11)の下端面は、敷居溝本体部 (50)と接触しないか、若しくは、接触しても引戸(11)の下端面と敷居溝本体部(50)とが更に、磨耗してすり減ることを抑えることができる。これにより、敷居溝本体部(50)の材質を、特に、引戸(11)の下端面との磨耗を考慮して、硬度の硬いものに設定する必要がなく、材料の選択範囲を広い範囲から選ぶことができる。
したがって、敷居溝本体部(50)は、その質感が限定されるようなことがなく、種々の質感を表現することができ、良好な外観のものを形成することができ、敷居(10)の外観を良好なものにすることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて、更に詳しく説明する。
図1乃至図3は、本発明の第一の実施の形態を示すものであり、図1は敷居溝部材の縦断面図、図2は滑り部の拡大縦断面図、図3は敷居溝部材を敷居にはめ込んだ状態の縦断面図をそれぞれ示す。
【0026】
まず、本実施の形態の構成について説明する。
図3に示すように、敷居10は、和室18と洋室19との間に形成された壁81の開口部82を開閉するための二枚の引戸11の下端を案内するものである。そして、床材は、和室18側には畳83が形成され、洋室19側には木質合板からなるフローリング材84が形成されている。なお、この開口部82の上部には、開口部82の上部に固定されて引戸11の上端を案内する鴨居17が形成されている。
【0027】
前記敷居10は、その上面に形成されて引戸11をはめ込むために長手方向に沿って溝状に凹んだ敷居溝80を有する枠本体14と、この敷居溝80の底面にはめ込まれる敷居溝部材20とを備えている。前記枠本体14は、建物躯体の開口部82の下面に固定される固定部材15と、その固定部材15の室内表面側に固定される縦断面形状が略F字状の表面部材16とを備えている。
そして、枠本体14の和室18側の側縁には、枠本体14の側面を化粧する畳寄せ88が固定されている。なお、この固定部材15と表面部材17とからなる枠本体14は、開口部82の上面に固定されて鴨居17としても使用されているものである。
【0028】
前記敷居溝部材20は、敷居溝80の深さを調整するために枠本体14の敷居溝80の内部にはめ込まれる溝深さ調整部材70として形成されているものである。
この敷居溝部材20は、敷居溝80の底面にはめ込まれる本体部30と、この本体部30より硬い材質からなり、本体部30の上面に本体部30の長手方向に沿って配置されて、引戸11の下端面が接触する縦断面形状が略長方形状の滑り部40とを備えている。
さらに、敷居溝部材20は、その下面側に、枠本体14の係合突部85にはめ込み可能な凹溝89が形成され、この凹溝89の内面側には、枠本体14の係合突部85と噛み合うために、縦断面形状が鋸歯状の凹凸部91が形成されている。そして、敷居溝部材20の上面側には、敷居溝80の内部を長手方向に沿って仕切るために、敷居溝80の内部の長手方向に沿って突出する仕切り部31が形成されている。
【0029】
前記滑り部40は、敷居溝部材20の幅方向に引戸11の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配置されている。具体的には、仕切り部31により、仕切られた一枚の引戸11を案内するための溝表面には、その長手方向に沿って四本の滑り部40が埋め込まれており、一個の敷居溝部材20には、合計で八本の滑り部40が埋め込まれている。そして、滑り部40は、その上面が敷居溝部材20の表面と面一になるように形成されている。
【0030】
前記敷居溝部材20の本体部30は、樹脂と微粒子の木粉とを主材とする組成物を発泡させることにより形成されているものである。
具体的には、本体部30は、木粉を主とするセルロース系材料の微粉末の表面にこの微粉末よりも小径で、かつ硬い微粉末を担持させて作成した粉体を混合した樹脂を着色成形することによって木目模様を呈するように形成されているものである。そして、本体部30は、上記原料を低発泡させることにより、外観や、触感において木質感を向上させているものである。
なお、ここで、上述した説明において「セルロース系材料」とは、天然木材のほか、おがくず、稲藁、バカスなどを含むものである。また、「微粉末よりも小径でかつ固い微粉末」とは、酸化チタン、フェライト、アルミニウム、ニッケル、銀、セラミック、炭酸カルシウム等の微粉末をいうものである。また、「樹脂を着色」する材料とは、有色顔料であり、例えば酸化鉄、カドミウムイエロー、カーボンブラック等の無機顔料である。また、「樹脂を着色成形することによって木目模様を呈する」とは、上述した顔料を使用して、樹脂自体を着色しているため、表 面のみではなく、内部にまで木目模様を呈するように形成しているものである。これにより、本体部30の表面が、これらの周辺の周辺部材、例えば引戸11等と繰り返し接触して磨耗しても表面の木目模様が消えることがなく、良好な木目模様の外観を維持することができるものである。
【0031】
もちろん、本体部30の材質は、上述した材質のものに限定されるものではなく、表面に木目模様を有さずに樹脂と木粉から形成されているものや、通常の樹脂のみから形成されているものも含むものである。
一方、前記滑り部40は、非発泡の樹脂から形成され、内部を稠密にして、その硬度を本体部30よりも硬く設定し、引戸11が繰り返し接触しても、磨耗によりすり減らないように形成されているものである。そして、この敷居溝部材20の本体部30及び滑り部40は、両者を一体的に押出成形することにより得られる長尺状の押出成形品である。
【0032】
次に、上記した実施の形態の作用及び効果について説明する。
本実施の形態は、敷居溝部材20が、敷居溝80の底面にはめ込まれる本体部30と、この本体部30より硬い材質からなり、本体部30の上面に本体部30の長手方向に沿って配置されて、引戸11の下端面が接触する滑り部40とを備えている。すなわち、引戸11の下端面は滑り部40と接触し、この滑り部40自体は、本体部30よりも硬い材質から形成されているため、本体部30が接触するよりも磨耗し難い。また、この滑り部40が本体部30の上面に形成されているため、引戸11の下端面は、本体部30と接触しないか、若しくは、接触しても引戸11の下端面と本体部30とが更に、磨耗 してすり減ることを抑えることができる。これにより、本体部30の材質を、特に引戸11の下端面との磨耗を考慮して、硬度の硬いものに設定する必要がなく、材料の選択範囲を広い範囲から選ぶことができる。
したがって、本体部30は、硬度が硬い材料からなる質感のものに限定されるようなことがなく、硬度に影響されることなく、種々の質感の材料を選択することができて、良好な外観のものを形成することができる。
【0033】
本実施の形態は、滑り部40を敷居溝部材20の幅方向に引戸11の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配置している。このため、敷居溝部材20の上面に引戸11の下端面を載置して、繰り返し摺動しても、常に、引戸11の下端面は、少なくとも一本の滑り部40の上を摺動することとなって、滑り部40が引戸11の下端面と当接して、引戸11を保持する。これにより、引戸11の下端面と本体部30との間で磨耗が進むことを抑えることができる。
【0034】
そして、滑り部40は、敷居溝部材20の全面ではなく、幅方向に間隔をあけて、形成されているため、その全面に滑り部40を形成する場合と比較して、滑り部40の材料の使用量を抑えることができる。そして、滑り部40の上面が敷居溝部材20の表面と面一になるように形成されているため、敷居溝部材20の上面をフラットな平面に形成することができて、その外観を良好なものにすることができる。また、この敷居溝部材 20 の上面に滑り部40等の凹凸がないため、足裏で踏んでもその感触を良好なものにすることができる。さらに、滑り部40等の凹凸がないため、 かかる凹凸間に塵等が溜まらず、敷居溝部材20の上面の清掃作業を容易なものにすることができる。
【0035】
そして、本実施の形態に係る敷居溝部材20は、敷居溝80の内部にはめ込まれる溝深さ調整部材70として形成されている。すなわち、この敷居溝部材20が、敷居溝80の内部にはめ込まれることにより、敷居溝80の溝深さを、この敷居溝部材20の厚み分だけ浅くすることができる。これにより、敷居溝80の溝深さを調整することができる。
また、この溝深さ調整部材70を用いることにより、図3に示すように、枠本体14を開口部82の下部に固定して、敷居10として使用することができる上に、この枠本体14から溝深さ調整部材70を外したものを開口部82の上部に固定すると鴨居17として使用することができる。すなわち、敷居溝部材20を使い分けることにより、枠本体14を鴨居17及び敷居10の共通部材として使用することができる。これにより、部品の共通化を図ることができて、必要な部材数を低減することができ、部材の管理や、保管を容易なものにすることができる。
【0036】
本実施の形態において、敷居溝部材20の本体部30は、樹脂と微粒子の木粉とを主材とする組成物を発泡させたものから形成されている。すなわち、本体部30に木粉が含まれているため、本体部30の表面を手で触った感触が、木質感のあるものとなり、樹脂や塩化ビニル等の表面のツルッとした感触がなく、手にしっくりとなじむ良好な手触り感を得ることができる。また、発泡させていることにより、その内部が稠密ではなく、導管等を内部に含んだ木質独特の木質感を得ることができる。
【0037】
また、本体部30は、上述した材料から形成され、樹脂を有しているため、木質材と比較して、吸水性が小さく、吸湿による収縮も発生しない。これにより、木質材と比較して、反り難く、ねじれ難く、また、腐り難いという材料としての均一性に優れたものにすることができる。そして、滑り部40は、非発泡の樹脂から形成されているため、その内部を稠密にして硬度が硬くて、磨耗し難いものを形成することができる。
【0038】
そして、敷居溝部材20の本体部30及び滑り部40は、両者を一体的に押出成形することにより形成されているため、長手方向に同一断面形状を有するとともに、任意の長さの長尺材を簡単に得ることができる。これにより、敷居10の寸法形状が変化しても、種々の長さの敷居溝部材20を容易に準備することができる。
すなわち、本実施の形態において、上述したように、表面の質感及び硬度が異なる長尺状の一体成形品を容易に得ることができる。
【0039】
次に、第二の実施の形態について説明する。
図4は、本発明の第二の実施の形態であって、敷居溝部材の縦断面図を示すものである。
本実施の形態は、滑り部40を、一枚の引戸11の下端面が摺動する部分の表面に七本形成し、仕切り部31の左右に合わせて計十四本、形成しているものである。その他の構成は、第一の実施の形態と略同様であって、同一の部分には同一の部品番号を付与して説明を省略する。
【0040】
本実施の形態は、滑り部40の数を第一の実施の形態よりも増やしているため、引戸11の下端面をより多くの滑り部40が支持することとなって、滑り部40及び本体部30の磨耗をさらに抑えることができる。すなわち、引戸11の重量が大きなものに対しても、一本の滑り部40に加わる荷重を抑えることができる。これにより、重量が大きな引戸11を使用する場合や、引戸11の摺動回数が多いような場合にも磨耗する量を抑えることができる。また、磨耗し難いため、敷居溝部材20の表面の磨耗による凹凸の形成を抑えることができて、引戸11の滑り性を向上させることがで きる。
【0041】
次に、第三の実施の形態について説明する。
図5及び図6は、本発明の第三の実施の形態であって、図5は、敷居溝部材の縦断面図、図6は、敷居溝部材の滑り部の拡大縦断面図をそれぞれ示すものである。
本実施の形態に係る敷居溝部材20は、その滑り部40が敷居溝部材20の表面から上方に向かって突出するように形成されていることを特徴とするものである。そして、この滑り部40は、その縦断面形状が略楕円状に形成されている。その他の構成は、第一の実施の形態と略同様であって、同様の部分には、同一の部品番号を付与して説明を省略する。
【0042】
本実施の形態は、滑り部40が、敷居溝部材20の表面から上方に向かって突出している。このため、引戸11の下端面は、本体部30と接触することなく、上方に向かって突出している滑り部40の上面のみと接触する。これにより、敷居溝部材20の表面をフラットに形成した場合よりも、引戸11の下端面と、敷居溝部材20との接触面積を抑えることができて、両者の摩擦抵抗を抑えることができ、引戸11の滑り性を向上させることができる。
【0043】
【0044】
【0045】
次に、第四の実施の形態について説明する。
図7は、本発明の第四の実施の形態であって、敷居溝部材の滑り部の拡大縦断面図を示すものである。
本実施の形態に係る敷居溝部材20は、その滑り部40の埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて形成したことを特徴とするものである。具体的には、滑り部40の縦断面形状は、略台形状であって、その上面が本体部30の表面と面一になるように形成されている。その他の構成は、第一の実施の形態と略同様であって、同様の部分には、同一の部品番号を付与して説明を省略する。
【0046】
本実施の形態は、滑り部40の埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて略台形状に形成している。このため、滑り部40に敷居溝部材20の本体部30から引き離す方向に向かって外力が加わっても、埋め込んだ先端側の幅方向に拡がった部分が、敷居溝部材20の内部に引っかかって、滑り部40が敷居溝部材20から外れるのを抑えることができる。また、滑り部40の一部が本体部30からめくれたり、浮き上がって段差を形成するようなことを抑えることができる。
【0047】
次に、第五の実施の形態について説明する。
図8は、本発明の第五の実施の形態であって、敷居溝部材の滑り部の拡大縦断面図を示すものである。
本実施の形態に係る敷居溝部材20は、その滑り部40が、その埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて形成したことを特徴とするものである。具体的には、滑り部40の縦断面形状が、略矢印状であって、その上面が本体部30の表面と面一になるように形成されている。その他の構成は、第一の実施の形態と略同様であって、同様の部分には、同一の部品番号を付与して説明を省略する。
【0048】
本実施の形態は、滑り部40の埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて略矢印状に形成している。このため、滑り部40に敷居溝部材20の本体部30から引き離す方向に向かって外力が加わっても、埋め込んだ先端側の幅方向に拡がった矢印状の部分が、敷居溝部材20の内部に引っかかって、滑り部40が敷居溝部材20から外れるのを抑えることができる。
【0049】
次に、第六の実施の形態について説明する。
図9は、本発明の第六の実施の形態であって、敷居の縦断面図を示すものである。
本実施の形態に係る敷居10は、二枚の引戸11の下方に形成されて引戸11の下端面を案内する二本の敷居溝80を上面に有するものである。この敷居10は、二本の敷居溝80を上面に有する敷居溝本体部50と、この敷居溝本体部50より硬い材質からなり、敷居溝本体部50の敷居溝80の上面に敷居溝本体部50の長手方向に沿って配置されて、引戸11の下端面が接触する敷居溝滑り部60とを備えている。
なお、この敷居溝本体部50は、第一の実施の形態の本体部30と同様の材質で、同様の製造方法により形成されているものである。また、この敷居溝滑り部60は、第一の実施の形態の滑り部40と同様の材質で、同様の製造方法により形成されているものである。その他の構成は、第一の実施の形態と略同様であって、同様の部分には、同一の部品番号を付与して説明を省略する。
【0050】
次に、上記した実施の形態の作用及び効果について説明する。
本実施の形態は、敷居10が、敷居溝80を上面に有する敷居溝本体部50と、この敷居溝本体部50より硬い材質からなり、敷居溝本体部50の敷居溝 80 の上面に敷居溝本体部50の長手方向に沿って配置されて、引戸11の下端面が接触する敷居溝滑り部60とを備えている。すなわち、引戸11の下端面は敷居溝滑り部60と接触し、この敷居溝滑り部60自体は、敷居溝本体部50よりも硬い材質から形成されているため、敷居溝本体部50が接触するよりも磨耗し難い。また、この敷居溝滑り部60が敷居溝本体部50の敷居溝 80 の上面に形成されているため、引戸11の下端 面は、敷居溝本体部50と接触しないか、若しくは、接触しても引戸11の下端面と敷居溝本体部50とが磨耗してすり減ることを抑えることができる。これにより、敷居溝本体部50の材質を、特に、引戸11の下端面との磨耗を考慮して、硬度の硬いものに設定する必要がなく、材料の選択範囲を広い範囲から選ぶことができる。
したがって、敷居溝本体部50は、その質感が限定されるようなことがなく、種々の質感を表現するための加工処理を施した材質のものから選択することができる。これにより、良好な外観のものを形成することができ、敷居10の外観を良好なものにすることができる。
【0051】
なお、本実施の形態に係る敷居10の敷居溝滑り部60は、縦断面形状が略長方形状であって、敷居10の表面面一に埋め込まれているが、この敷居溝滑り部60の形状は特に、これに限定されるものではなく、上述したような第二乃至第五の実施の形態における滑り部40のような形状に形成しても良いものである。
【0052】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明によれば、磨耗し難く、外観が良好な敷居溝部材を提供することができる。
【0053】
さらに、この請求項1記載の発明によれば、滑り部の材料の使用量を抑えることができる敷居溝部材を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、引戸の下端面との接触面積を抑えることができて、滑り性が向上した敷居溝部材を提供することができる。
請求項3記載の発明によれば、表面がフラットに形成されて、外観を良好にすることができる上に、滑り部間に塵等も溜まらず、清掃作業も容易な敷居溝部材を提供することができる。
【0054】
請求項4記載の発明によれば、滑り部が敷居溝部材の表面から外れるのを抑えることができる敷居溝部材を提供することができる。
請求項5記載の発明によれば、敷居溝の深さを調整することが可能な敷居溝部材を提供することができる。
請求項6記載の発明によれば、質感及び硬度が異なるものの一体成形を容易にすることができる上に、長手方向に同一断面形状を有し、任意の長さのものを簡単に得ることができる敷居溝部材を提供することができる。
【0055】
請求項7記載の発明によれば、繰り返し使用しても磨耗し難い上に、外観が良好な敷居を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態であって、敷居溝部材を示す縦断面図である。
【図2】 本発明の第一の実施の形態であって、滑り部を示す拡大縦断面図である。
【図3】 本発明の第一の実施の形態であって、敷居溝部材を敷居にはめ込んだ状態を示す縦断面図である。
【図4】 本発明の第二の実施の形態であって、敷居溝部材を示す縦断面図である。
【図5】 本発明の第三の実施の形態であって、敷居溝部材を示す縦断面図である。
【図6】 本発明の第三の実施の形態であって、敷居溝部材の滑り部を示す拡大縦断面図である。
【図7】 本発明の第四の実施の形態であって、敷居溝部材の滑り部を示す拡大縦断面図である。
【図8】 本発明の第五の実施の形態であって、敷居溝部材の滑り部を示す拡大縦断面図である。
【図9】 本発明の第六の実施の形態であって、敷居を示す縦断面図である。
【符号の説明】
10…敷居、11…引戸、12…開口部、13…化粧枠、14…枠本体、15…固定部材、16…表面部材、17…鴨居、18…和室、19…洋室、20…敷居溝部材、30…本体部、31…仕切り部、40…滑り部、50…敷居溝本体部、60…敷居溝滑り部、70…溝深さ調整部材、80…敷居溝、81…壁、82…開口部、83…畳、84…フローリング材、85…係合突部、88…畳寄せ、89…凹溝、91…凹凸部。
Claims (7)
- 敷居の上面に形成されて引戸の下端面を案内する敷居溝の底面にはめ込まれる敷居溝部材であって、
この敷居溝部材は、敷居溝の底面にはめ込まれる本体部と、この本体部より硬い材質からなり、本体部において前記引戸の下端面が摺接する上面に該本体部の長手方向に沿って配置されて、引戸の下端面が接触する滑り部とを備え、
滑り部は、敷居溝部材の幅方向に引戸の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配置されていることを特徴とする敷居溝部材。 - 滑り部は、敷居溝部材の表面から上方に向かって突出していることを特徴とする請求項1記載の敷居溝部材。
- 滑り部は、その上面が敷居溝部材の表面と面一になるように形成したことを特徴とする請求項1記載の敷居溝部材。
- 滑り部は、その埋め込んだ先端側の断面形状を、その幅方向に向かって拡げて形成したことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の敷居溝部材。
- 敷居溝部材は、引戸用の敷居溝の深さを調整するために敷居の敷居溝の内部にはめ込まれる溝深さ調整部材であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の敷居溝部材。
- 敷居溝部材の本体部は、樹脂と微粒子の木粉とを主材とする組成物を発泡させることにより形成され、
滑り部は、非発泡の樹脂から形成され、
敷居溝部材の本体部及び滑り部は、両者を一体的に押出成形することにより得られる長尺状の押出成形品であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5記載の敷居溝部材。 - 引戸の下方に形成されて引戸の下端面を案内する敷居溝を上面に有する敷居であって、
この敷居は、敷居溝を上面に有する敷居溝本体部と、この敷居溝本体部より硬い材質からなり、敷居溝本体部の敷居溝において前記引戸の下端面が摺接する上面に該敷居溝本体部の長手方向に沿って配置されて、引戸の下端面が接触する敷居溝滑り部とを備え、
敷居溝滑り部は、敷居溝本体部の幅方向に引戸の厚みより小さな間隔をあけて、複数本、埋め込んで配置されていることを特徴とする敷居。
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