JP3726435B2 - 筒内直接噴射式火花点火エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて吸気系の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
点火プラグの近傍に燃料を集める混合気の成層化をはかるため、シリンダ内にインジェクタ(燃料噴射弁)を臨ませ、シリンダ内に直接に燃料を噴射するようにした筒内直接噴射式火花点火エンジンがある。
【0003】
従来の筒内直接噴射式火花点火エンジンとして、例えば図5に示すようなものがある(特開平6−81651号公報、参照)。
【0004】
これについて説明すると、インジェクタ6は燃焼室天井壁20の側部からシリンダ14内に臨み、ピストン1の冠部30に窪むキャビティ35に向けて燃料を噴射するようになっている。
【0005】
吸気ポート21がシリンダ14に沿って直立して形成されている。直立した吸気ポート21からシリンダ14内に流入した吸気は、図中矢印で示すように、シリンダ14に沿って下降した後、ピストン冠部30に沿って旋回する逆タンブルが生起される。圧縮行程にインジェクタ6から燃料が噴射される運転状態では、キャビティ35上において逆タンブルと共に旋回する燃料噴霧は、キャビティ35に沿って点火プラグ4に向けて上昇する。これにより、濃混合気が点火プラグ4の近傍に集められる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の筒内直接噴射式火花点火エンジンにあっては、直立した吸気ポート21がシリンダヘッド9の上部に貫通して設けられる構造のため、インテークマニホールドをシリンダヘッド9の上部に接続する必要があり、エンジンの全高が大きくなるという問題点が考えられる。
【0007】
また、運転条件によらず常にシリンダ14に逆タンブルが生起されるため、吸気行程にインジェクタ6から燃料が噴射される運転状態では、燃料と空気の混合が十分に行われず、シリンダ14内に均質な混合気をつくることが難しいという問題点が考えられる。
【0008】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、筒内直接噴射式火花点火エンジンに適した吸気通路構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、上方から見た平面図において、上流側から下流側に向けて間隔が次第に拡がるV字形に延び、1つのシリンダ内に吸気を導入する2つの吸気ポートと、吸気ポートをエンジン回転に同期して開閉する吸気バルブと、シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタと、シリンダ内の混合気に点火する点火プラグとを備える筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、前記吸気ポートを吸気流に順タンブルを生起する形状とし、各吸気ポートに接続し、お互いの間隔が下流側から上流側にかけて次第に拡がるように形成され、出口が吸気ポート側のシリンダ壁に対向するように傾斜して吸気流に逆タンブルを生起する2つの副通路と、運転条件に応じて副通路に分流する吸気量を調節する流量調節手段とを備えるものとした。
【0010】
請求項2に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1に記載の発明において、前記吸気ポートを吸気ポートと反対側のシリンダ壁に対向するように傾斜させるものとした。
【0011】
請求項3に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1または2に記載の発明において、前記流量調節手段として吸気ポートの副通路に対する接続部より上流側を開閉するコントロールバルブを備え、インジェクタの燃料噴射時期を吸気行程とする運転状態でコントロールバルブを開弁させ、インジェクタの燃料噴射時期を圧縮行程とする運転状態でコントロールバルブを閉弁させる構成とした。
【0012】
請求項4に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1から3のいずれか一つに記載の発明において、前記1つのシリンダ内に吸気を導入する2つの吸気ポートとを備えるものとした。
【0013】
請求項5に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1から4のいずれか一つに記載の発明において、前記副通路の出口を吸気ポートの内壁面側からドリル加工により形成するものとした。
【0014】
請求項6に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1から5のいずれか一つに記載の発明において、前記副通路の出口の断面積を吸気ポートのスロート部の断面積の略1/4に形成するものとした。
【0015】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の直接筒内噴射式火花点火エンジンにおいて、流量調節手段を介して吸気の大部分が副通路を通って吸気ポートからシリンダ内に流入すると、この吸気流は吸気ポートの直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む逆タンブルを生起する。これにより、圧縮行程でインジェクタから燃焼室に噴射される燃料は逆タンブルと共に旋回し、吸気ポート側のシリンダ壁に沿って一旦下降するため、点火プラグに液状燃料が直接的に付着することを回避して失火を起こすことを防止でき、ピストンが上死点に近づくのにしたがって、濃混合気を点火プラグの近傍に集める混合気の成層化がはかれるとともに、逆タンブルのガス流動により火炎の伝播が促され、燃費の低減がはかれる。また、冷間時において燃料噴射量を増やす必要がなく、エミッションを改善することができる。
【0016】
流量調節手段を介して吸気の大部分が副通路を通らずに吸気ポートからシリンダ内に流入すると、この吸気流は吸気ポートに対向するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む順タンブルを生起する。これにより、吸気行程で噴射される燃料噴霧は、シリンダ内に生起される順タンブルのガス流動により均質混合気をつくる。また、吸気通路の断面積が副通路によって絞られることがなく、エンジンの吸気充填効率を高められ、出力性能の向上がはかれる。
【0017】
また、吸気ポートを従来装置のように直立させず、エンジンの高さを小さくすることができる。
【0018】
さらに、副通路の出口を吸気ポート側のシリンダ壁に対向するように傾斜させることにより、副通路を通って吸気ポートからシリンダ内に流入する吸気流は、吸気ポートの直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む逆タンブルを生起する。
さらにまた、吸気の大部分が2つの副通路を通って2つの吸気ポートからシリンダ内に流入する運転状態で、吸気流は各吸気ポートの直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む逆タンブルを生起する。
【0019】
請求項2に記載の直接筒内噴射式火花点火エンジンにおいて、吸気ポートを吸気ポートと反対側のシリンダ壁に対向するように傾斜させることにより、副通路を通らずに吸気ポートからシリンダ内に流入する吸気流は吸気ポートに対向するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む順タンブルを生起する。
【0020】
また、吸気ポートがシリンダ壁に対して大きく傾斜して設けられる構造のため、シリンダヘッドの上部を貫通する直立形の吸気ポートを備える従来装置に比べて、エンジンの高さを小さくすることができる。
【0021】
請求項3に記載の直接筒内噴射式火花点火エンジンにおいて、例えば希薄空燃比で運転される成層燃焼域にて、ピストンが上昇する圧縮行程でインジェクタから燃料が噴射される運転条件では、コントロールバルブが吸気ポートを遮蔽するポジションに保持される。これにより、吸気の大部分が副通路を通って吸気ポートからシリンダ内に流入する。この吸気流は、吸気ポートの直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む逆タンブルを生起する。これにより、圧縮行程でインジェクタから燃焼室に噴射される燃料は逆タンブルと共に旋回し、ピストンが上死点に近づくのにしたがって、濃混合気を点火プラグの近傍に集める混合気の成層化がはかれるとともに、逆タンブルのガス流動により火炎の伝播が促される。この結果、燃焼性が確保される空燃比のリーン側限界値を拡大し、燃費の低減がはかれる。また、冷間時において燃料噴射量を増やす必要がなく、エミッションを改善することができる。
【0022】
例えば理論空燃比で運転される均質燃焼域にて、ピストンが下降する吸気行程でインジェクタからシリンダ内に燃料が噴射される運転条件では、コントロールバルブが吸気ポートを遮蔽しないポジションに保持される。これにより、吸気の大部分が副通路を通らずに吸気ポートからシリンダ内に流入し、吸気ポートに対向するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む順タンブルを生起する。これにより、吸気行程で噴射される燃料噴霧は、シリンダ内に生起される順タンブルにより空気との混合が促され、混合気の均質化がはかれるとともに、順タンブルのガス流動により火炎の伝播が促される。この結果、燃焼性が確保される空燃比のリッチ側限界値を拡大し、出力性能の向上がはかれる。
【0024】
請求項4に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、吸気の大部分が副通路を通らずに2つの吸気ポートからシリンダ内に流入する運転状態で、この吸気流は各吸気ポートに対向するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む順タンブルを生起する。吸気通路の断面積が2つの吸気ポートによって確保されることにより、エンジンの吸気充填効率を高められ、出力性能の向上がはかれる。
【0025】
請求項5に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、副通路の出口が吸気ポートの内壁面側からドリル加工により形成されることにより、副通路の出口を吸気バルブとバルブシートの間隙を通して吸気ポート側のシリンダ壁に対向させることが可能となる。これにより、副通路を通過した吸気流は、吸気ポートから吸気バルブとバルブシートの間隙を通ってシリンダ内に流入し、各吸気ポートの直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進み、逆タンブルの勢力を高められる。この結果、燃焼性が確保される空燃比のリーン側限界値を拡大し、燃費の低減がはかれる。また、冷間時において燃料噴射量を増やす必要がなく、エミッションを改善することができる。
【0026】
請求項6に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、副通路の出口の断面積を吸気ポートのスロート部の断面積の略1/4に形成することにより、副通路を通過する吸気流の速度を高めて、逆タンブルの勢力を高められる。この結果、燃焼性が確保される空燃比のリーン側限界値を拡大し、燃費の低減がはかれる。また、冷間時において燃料噴射量を増やす必要がなく、エミッションを改善することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0028】
図1、図2に示すように、ペントルーフ型に傾斜する燃焼室天井壁20には2つの吸気ポート21と図示しない2つの排気ポートが互いに対向して開口している。燃焼室天井壁20は、各吸気ポート21が開口する吸気ポート側傾斜面25と、各排気ポートが開口する排気ポート側傾斜面26によって構成される。
【0029】
燃焼室天井壁20の中央部からシリンダ14内に臨む点火プラグ4が設けられる。燃焼室天井壁20には点火プラグ4を挟むようにして2本の吸気バルブ7と2本の排気バルブが互いに対向して設けられる。
【0030】
燃焼室天井壁20の側部からシリンダ14内に臨むインジェクタ6が設けられる。インジェクタ6には図示しない燃料ポンプから吐出する燃料がプレッシャレギュレータを介して調圧された後に導かれる。インジェクタ6が開弁するのに伴ってその噴口からシリンダ14内に燃料が噴射される。
【0031】
インジェクタ6はその開弁時期と開弁期間(噴射パルス幅)がコントロールユニットにより運転状態に応じて制御される。コントロールユニットは、エンジンの負荷および回転数が所定値以下の成層燃焼域で、シリンダ14に供給される混合気の空燃比をストイキより希薄側に調節する。エンジンの負荷または回転数が所定値を超えて上昇する均質燃焼域で、シリンダ14に供給される混合気の空燃比をストイキまたはリッチ側に調節する。
【0032】
インジェクタ6が開弁するのに伴ってシリンダ14内に噴射される燃料は、各吸気バルブ7が開かれるのに伴って吸気ポート21から吸入される空気と混合する。シリンダ14内に形成された混合気はピストン1で圧縮された状態で点火プラグ4を介して燃料が着火燃焼する。燃焼したガスはピストン1を下降させてクランクシャフトを介して回転力を取り出した後、ピストン1が上昇する排気行程中に排気バルブが開かれるのに伴って各排気ポートから排出される。これらの各行程が連続して繰り返される。
【0033】
インジェクタ6の開弁時期である燃料噴射時期は、予め設定されたマップに基づき、エンジンの負荷および回転数が所定値以下の成層燃焼域でピストン1が上昇する圧縮行程の後半に設定され、エンジンの負荷または回転数が所定値を超えて上昇する均質燃焼域でピストン1が下降する吸気行程に設定されている。
【0034】
インジェクタ6は各吸気バルブ7の傘部7aの側方で、かつ各傘部7aの間からシリンダ14内に臨んでいる。インジェクタ6はその噴口の中心線O6がピストン1の冠部30を指向するように水平線(シリンダ14の中心線Cに対して直交する線)Lに対して所定角度θ6だけ下向きに傾斜して取付けられる。これにより、インジェクタ6の噴口から噴射される燃料噴霧はピストン1の冠部30に向けて放射状に拡散する。
【0035】
ピストン1の冠部30には凹状に窪むキャビティ35が形成される。キャビティ35はピストン冠部30の中央部から吸気ポート側傾斜面25の下方に配置される。
【0036】
キャビティ35には点火プラグ4に向けて傾斜するスロープ36が形成される。インジェクタ6から噴射された燃料噴霧は、後述するようにシリンダ14内に生起される逆タンブルと共に旋回すると、スロープ36に沿って上昇することにより、濃混合気が点火プラグ4の近傍に集められる。
【0037】
ピストン冠部30にはペントルーフ状の燃焼室天井壁20に沿って傾斜するように隆起した凸部37が形成される。
【0038】
ピストン冠部30の外周部38は燃焼室天井壁20の外周部に平行に対峙する平面状に形成される。これにより、ピストン1が上死点近傍に達するときにピストン冠部30と燃焼室天井壁20の間で圧縮する空気に燃焼室3の中央部に向かうスキッシュを生起する。
【0039】
各吸気ポート21は、その通路中心線O21が各排気ポート側傾斜面26に連接するシリンダ14に対向するように、水平線Lに対して所定角度θ21だけ下向きに傾斜して取付けられる。これにより、各吸気ポート21からシリンダ14内に流入する吸気を、排気ポート側傾斜面26およびシリンダ14に沿って下降させた後、ピストン冠部30に沿って上昇させる順タンブルTを生起する。
【0040】
各吸気ポート21の途中には各副通路31がそれぞれ接続される。各副通路31は各吸気ポート21を画成する内壁面の上部に開口している。
【0041】
副通路31は、ドリル加工によって形成される通孔32と通孔(出口)33によって画成される。なお、副通路31はシリンダヘッドの鋳造時に中子を用いて形成してもよい。
【0042】
副通路31の上流側を画成する通孔32は、シリンダヘッドの側壁部からドリル加工によって形成される。図2に示すように、各通孔32はその間隔が下流側から上流側にかけて次第に拡がるように配置され、図2においてV字形に延びる吸気ポート21と干渉しないようになっている。
【0043】
副通路31の出口側通孔33は、吸気ポート21の内壁面からドリル加工によって形成される。出口側通孔33によって直線状に延びる副通路31は、その通路中心線O31が吸気ポート側傾斜面25に連接するシリンダ14に対向するように、シリンダ14の中心線Cに対して傾斜している。副通路31の通路中心線O31は、開弁した吸気バルブ7の傘裏部7aとバルブシート27の間隙を介してシリンダ14に到達している。これにより、各副通路31から吸気ポート21を経てシリンダ14内に流入する吸気を、吸気ポート側傾斜面25に連接するシリンダ14に沿って下降させた後、ピストン冠部30に沿って上昇させる逆タンブルを生起する。
【0044】
出口側通孔33の開口径が吸気ポート21のスロート部21aの開口径の略1/2に設定され、出口側通孔33の断面積は吸気ポート21のスロート部21aの断面積の略1/4になっている。
【0045】
運転条件に応じて各副通路31に分流する吸気量を調節する流量調節手段として、吸気ポート21にはバタフライ式のコントロールバルブ40が介装される。コントロールバルブ40が吸気ポート21を遮蔽することにより、吸気の略全量が図中矢印で示すように副通路31を通ってシリンダ14内に吸入され、シリンダ14内に逆タンブルを生起する。
【0046】
円盤状をしたコントロールバルブ40は、吸気ポート21にシャフト41を介して回転可能に収装される。シャフト41は図示しないアクチュエータを介して回動する。アクチュエータの作動を制御するコントロールユニットは、エンジンの負荷および回転数が所定値以下の成層燃焼域にて、コントロールバルブ40を吸気ポート21を閉塞するポジションに駆動して、吸気の大部分を副通路31を通してシリンダ14内に逆タンブルを生起する。一方、エンジンの負荷または回転数が所定値を超えて上昇する均質燃焼域に、コントロールバルブ40を吸気ポート21を開通するポジションに駆動して、シリンダ14内に順タンブルを生起する。
【0047】
図1において、15は各吸気ポート21に接続して吸気を導くインテークマニホールドであり、17はインテークマニホールド15の上流側の吸気通路5に介装されるスロットルバルブである。バタフライ式のスロットルバルブ17は図示しないアクチュエータを介して回動する。アクチュエータの作動を制御するコントロールユニットは、エンジンの負荷および回転数に応じてスロットルバルブ17の開度を調節する。
【0048】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0049】
成層燃焼域では、図1に示すように、コントロールバルブ40が吸気ポート21の途中を閉塞するポジションに保持される。これにより、各吸気バルブ7が開かれるのに伴って吸気ポート21を通ってシリンダ14内に流入する吸気の大部分を、図4に矢印で示すように、副通路31を通し、シリンダ14に沿って下降させた後、ピストン冠部30に沿って上昇させる逆タンブルを生起する。
【0050】
副通路31の出口側通孔33は、開弁した吸気バルブ7の傘裏部7aとバルブシート27の間隙を介してシリンダ14に対向する構造のため、、副通路31を通過した吸気流は、吸気ポート21から吸気バルブ7とバルブシート27の間隙を通ってシリンダ14内に流入し、各吸気ポート12の直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部30へと進み、逆タンブルの勢力を高められる。
【0051】
副通路31の出口側通孔33の断面積を吸気ポート21のスロート部21aの断面積の略1/4に形成することにより、副通路31を通過する吸気流の速度を高めて、逆タンブルの勢力を高められる。
【0052】
こうしてシリンダ14内に逆タンブルが生起されることにより、図3に示すように、圧縮行程の後半にインジェクタ6からシリンダ14内に噴射された燃料はキャビティ35上において逆タンブルと共に旋回し、キャビティ35に沿って旋回する過程でピストン1によって加熱され、その微粒化および気化が進み、スロープ36に沿って燃焼室3の中央部へと上昇する。これにより、ピストン1が上死点に近づくのにしたがって、濃混合気を点火プラグ4の点火部の近傍に集める混合気の成層化がはかれるとともに、逆タンブルのガス流動により火炎の伝播が促される。この結果、燃焼性が確保される希薄空燃比の限界値を拡大し、燃費の低減がはかれる。また、冷間時において燃料噴射量を増やす必要がなく、エミッションを改善することができる。
【0053】
また、インジェクタ6からシリンダ14内に噴射された燃料は、この逆タンブルによって一旦下降するため、点火プラグ4の点火部に液状燃料が直接的に付着することを回避し、失火を起こすことを防止できる。
【0054】
一方、エンジン負荷または回転数が上昇した均質燃焼域では、コントロールバルブ40が吸気ポート21を開通させるポジションに保持される。これにより、吸気通路5の断面積が副通路31によって絞られることがなく、エンジンの吸気充填効率を高められるとともに、シリンダ14内に生起されるガス流動により均質混合気をつくり、出力性能の向上がはかれる。
【0055】
このとき、各吸気バルブ7が開かれるのに伴って吸気ポート21を通ってシリンダ14内に流入する吸気を、燃焼室天井壁20の排気ポート側傾斜面26に連接するシリンダ14に沿って下降させた後、ピストン冠部30に沿って上昇させる順タンブルを生起する。
【0056】
こうしてシリンダ14内に順タンブルが生起されることにより、吸気行程にインジェクタ6から燃焼室3に噴射される燃料噴霧は、シリンダ14内で順タンブルTとともに旋回して空気との混合が促され、ピストン1が上昇して点火時期を迎えるまでに燃焼室3に均質な混合気が形成される。均質燃焼域では、燃焼室3に供給される混合気の空燃比がストイキまたはリッチ側に調節されるため、均質な混合気に対して着火が確実に行われるとともに、火炎の伝播が促され、出力性能の向上がはかれる。
【0057】
各吸気ポート21はシリンダ14の中心線に対して大きく傾斜して設けられる構造のため、インテークマニホールド15の取付け位置が高くなることを抑えられ、エンジンのコンパクト化がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すエンジンの断面図。
【図2】同じくエンジンの概略平面図。
【図3】同じく圧縮行程における燃料の分布状態を示すエンジンの断面図。
【図4】同じく逆タンブルの生成状態を3次元シミュレーションで求めた流動場を示す図。
【図5】従来例を示すエンジンの断面図。
【符号の説明】
1 ピストン
3 燃焼室
4 点火プラグ
5 吸気通路
6 インジェクタ
7 吸気バルブ
14 シリンダ
15 インテークマニホールド
17 スロットルバルブ
20 燃焼室天井壁
21 吸気ポート
25 傾斜面
26 傾斜面
30 ピストン冠部
31 副通路
33 出口側通孔
35 キャビティ
40 コントロールバルブ
Claims (6)
- 上方から見た平面図において、上流側から下流側に向けて間隔が次第に拡がるV字形に延び、1つのシリンダ内に吸気を導入する2つの吸気ポートと、
吸気ポートをエンジン回転に同期して開閉する吸気バルブと、
シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタと、
シリンダ内の混合気に点火する点火プラグと、
を備える筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、
前記吸気ポートを吸気流に順タンブルを生起する形状とし、
各吸気ポートに接続し、お互いの間隔が下流側から上流側にかけて次第に拡がるように形成され、出口が吸気ポート側のシリンダ壁に対向するように傾斜して吸気流に逆タンブルを生起する2つの副通路と、
運転条件に応じて副通路に分流する吸気量を調節する流量調節手段と、
を備えたことを特徴とする筒内直接噴射式火花点火エンジン。 - 前記吸気ポートを吸気ポートと反対側のシリンダ壁に対向するように傾斜させたことを特徴とする請求項1に記載の直接筒内噴射式火花点火エンジン。
- 前記流量調節手段として吸気ポートの副通路に対する接続部より上流側を開閉するコントロールバルブを備え、
インジェクタの燃料噴射時期を吸気行程とする運転状態でコントロールバルブを開弁させ、
インジェクタの燃料噴射時期を圧縮行程とする運転状態でコントロールバルブを閉弁させる
構成としたことを特徴とする請求項1に記載の直接筒内噴射式火花点火エンジン。 - 前記1つのシリンダ内に吸気を導入する2つの吸気ポートと、
を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の直接筒内噴射式火花点火エンジン。 - 前記副通路の出口を吸気ポートの内壁面側からドリル加工により形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の直接筒内噴射式火花点火エンジン。
- 前記副通路の出口の断面積を吸気ポートのスロート部の断面積の略1/4に形成したことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の直接筒内噴射式火花点火エンジン。
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Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP21644897A Expired - Lifetime JP3726435B2 (ja) | 1997-08-11 | 1997-08-11 | 筒内直接噴射式火花点火エンジン |
Country Status (1)
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| JP (1) | JP3726435B2 (ja) |
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-
1997
- 1997-08-11 JP JP21644897A patent/JP3726435B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
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