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JP3730723B2 - 医療用粘着剤の製造方法 - Google Patents
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JP3730723B2 - 医療用粘着剤の製造方法 - Google Patents

医療用粘着剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用粘着剤の製造方法に関し、詳細には、プラスター剤やパップ剤等に使用されアクリル系溶剤型の医療用粘着剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、簡便な薬物の経皮投与手段として、基材上に薬物を含有する粘着剤を形成した、プラスター剤やパップ剤等の医療用貼付剤が広く用いられている。
また、医療用貼付剤としては、薬物を含有しない粘着剤層をシートやテープ等の柔軟な基材の少なくとも片面に形成し、絆創膏等として用いられているものもある。
【0003】
これら医療用貼付剤に使用される医療用粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐久性及び耐水性など種々の性能が優れており、さらに粘着力など要求される物性をアクリル系モノマーの種々の組み合わせによって、コントロールできる等の利点があることから一般に広く用いられている。
【0004】
一般的な医療用貼付剤は、(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を溶液重合やエマルジョン重合することにより得られた粘着剤溶液に、薬物や添加剤等を配合して粘着剤組成物を調製した後、該粘着剤組成物を支持体に塗工し、溶媒を乾燥除去して、支持体上に粘着剤層を形成することにより製造されている。
【0005】
また、アクリル系粘着剤の中でも、(メタ) アクリル酸アルキルエステルとビニルピロリドンとの共重合体よりなる医療用粘着剤を用いた経皮吸収製剤では、貼付後短時間で薬効を発揮させることができ、かつ、その薬効を長時間持続させ得ることが開示されている(特開昭59−199628号公報)。
【0006】
医療用粘着剤に未反応モノマーが残存すると、人体への刺激、かぶれ、かゆみ及び紅斑などが発生する原因となり、これらの皮膚刺激を防止するためには、医療用粘着剤中の残存モノマー濃度が極めて低いことが要求される。
また、残存モノマーは、薬物の粘着剤層における含有量を低下させたり、着色等の安定性に影響を与える場合もある。そこで、薬物配合前における粘着剤中の残存モノマー量を、固形分比で全体の0.2重量%以下とした医療用粘着剤が提案されている(特開平5−131022号公報)。
【0007】
上記のように残存モノマー量を減らすためには、医療用粘着剤の重合の際に、例えば、使用する重合開始剤の量を増やして反応率を高める方法;重合反応時間を延長する方法;重合反応の後半に重合開始剤の投与量を増加する方法;重合開始剤を重合反応中に繰り返して添加する方法などが試みられている。
【0008】
しかし、上記残存モノマー量を減らす方法は、重合に長時間を要するため、生産性が低下してコストが上昇するだけでなく、長時間の重合で溶剤に不溶なゲルが発生し易くなり、反応器の内壁にゲルが付着するおそれがある。その結果、反応器を洗浄するために煩雑な作業を強いられることになり、医療用粘着剤の生産性や作業性が大幅に低下するという問題点があった。
また、粘着剤溶液中にゲルが発生すると粘着剤の塗工性が低下し、良好な品質の経皮吸収製剤が得られ難くなるという問題点があった。
【0009】
他方、近年、経皮吸収製剤において皮膚刺激の低減が強く求められている。
皮膚刺激を低減する一つの方法として、粘着剤と相溶する液状成分を粘着剤に配合する方法が知られている。しかしながら、この方法では、液状成分の可塑化作用によって皮膚刺激を低減する効果は高められるものの、粘着剤の凝集力が低下し、剥離する際に糊残りや糸引きを起こすなどの問題があった。
【0010】
そこで、例えば、特開平3−223212号公報には、液状成分を配合して粘着剤を塗工し、架橋処理を施して油性ゲルとすることにより、凝集力の低下を防止し、貼付剤の剥離に際して皮膚に加えられる応力を緩和、分散し、それによって皮膚接着性と皮膚刺激性とをバランスよく付与する方法が開示されている。
しかしながら、架橋剤が未反応のまま、粘着剤層中に残留することにより、皮膚刺激を起こすおそれがあった。
【0011】
さらに、例えば、特開昭61−48369号公報には、予め多官能性単量体で粘着剤を微架橋する方法が開示されている。
しかしながら、多官能性単量体で微架橋する方法では、反応器の壁に大量のゲルが付着することがあるため、反応器を洗浄するために煩雑な作業を強いられることになり、医療用粘着剤の生産性や作業性が大幅に低下するという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その目的は、重合反応中のゲルの発生を抑制することにより、生産性及び作業性を向上させると共に、残存モノマー量の少ない医療用粘着剤の製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の医療用粘着剤の製造方法は、(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物からなり、残存モノマー量が固形分比で0.2重量%以下の医療用粘着剤を密閉した状態で溶液重合する際に、重合率が90%以上に達した時点で、重合温度を重合溶媒の常圧における沸点より5℃以上高い温度に設定することを特徴とする。
【0014】
本発明で用いられる単量体組成物は、(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とする。(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されず、(メタ) アクリル酸アルキルエステルのアルキル残基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基等が挙げられる。
【0015】
上記(メタ) アクリル酸アルキルエステルは、上記アルキル残基を1種以上有する、アルキル基の炭素数1〜18の(メタ) アクリル酸アルキルエステルが使用可能であり、例えば、(メタ) アクリル酸メチル、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ) アクリル酸プロピル、(メタ) アクリル酸イソプロピル、(メタ) アクリル酸n−ブチル、(メタ) アクリル酸イソブチル、(メタ) アクリル酸n−ヘキシル、(メタ) アクリル酸イソヘキシル、(メタ) アクリル酸n−オクチル、(メタ) アクリル酸イソオクチル、(メタ) アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ノニル、(メタ) アクリル酸デシル、(メタ) アクリル酸ラウリル、(メタ) アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0016】
上記(メタ) アクリル酸アルキルエステルの中で、アルキル基の炭素数2〜12のものが好ましい。アルキル基の炭素数が、1であるか、12を超えると、得られるアクリル系粘着剤に十分な粘着力を付与することが難しくなる。
このような(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ) アクリル酸エチル、(メタ) アクリル酸n−ブチル、(メタ) アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
【0017】
上記単量体組成物には、必要とする粘着物性に応じて、上記(メタ) アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体が併用されてもよい。
上記(メタ) アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ジアセトンアクリルアミド、アクリロニトリル、ジメチルアクリルアミド、エチレングリコールモノ(メタ) アクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。
【0018】
上記共重合可能な単量体の使用量は、粘着剤の粘着性、凝集性に悪影響を及ぼさない範囲であって、単量体組成物の40モル%以下が好ましい。
【0019】
上記単量体組成物としては、例えば、アルキル基の炭素数が6以上である(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、メタクリル酸2−エチルヘキシルを含有する組成物(I)が挙げられる。単量体組成物中のメタクリル酸2−エチルヘキシルの割合は、40〜90重量%が好ましく、より好ましくは60〜80重量%である。この単量体組成物中、メタクリル酸2−エチルヘキシルの割合が、40重量%未満では、薬物を高濃度で配合した際に粘着剤の凝集力が低下して剥離時に糊残りを生じ易くなる。また、90重量%を超えると、粘着剤層が硬くなり、粘着力が低下して剥がれ易くなる。
【0020】
上記(メタ) アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数が6未満では、ニトログリセリン等の薬物の飽和溶解度が高くなり、共重合体としたときに薬物との親和性が高くなって、皮膚側への薬物の分配率が低下し、経皮吸収性が低下するので、アルキル基の炭素数は6以上が好ましい。
【0021】
上記アルキル基の炭素数が6以上である(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしは、例えば、(メタ) アクリル酸n−ヘキシル、(メタ) アクリル酸イソヘキシル、(メタ) アクリル酸ヘプチル、(メタ) アクリル酸n−オクチル、(メタ) アクリル酸イソオクチル、(メタ) アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ) アクリル酸ノニル、(メタ) アクリル酸デシル、(メタ) アクリル酸ラウリル、(メタ) アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
【0022】
上記組成物(I)中に含有されるメタクリル酸2−エチルヘキシル以外の単量体としては、得られる共重合体のボールタック値が2以下となるものの中から選ばれる1種以上が好ましい。
【0023】
上記単量体組成物の例示としては、さらに(メタ) アクリル酸アルキルエステルとポリビニルピロリドンとからなる組成物(II)が挙げられる。
上記組成物(II)において、(メタ) アクリル酸アルキルエステルの割合は、少なくなると粘着性が低下し、多くなると貼付剤の薬物の初期徐放性が低下するので、40〜99モル%が好ましく、より好ましくは50〜97モル%である。
【0024】
また、上記単量体組成物としては、(メタ) アクリル酸アルキルエステルと、1分子中に重合性二重結合を2個以上有する多官能性単量体とからなる組成物(III)であってもよい。上記組成物(III)で使用される(メタ) アクリル酸アルキルエステルとしては、上述のアルキル基の炭素数1〜18の(メタ) アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
【0025】
上記多官能性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
上記多官能性単量体の添加によって、重合体が部分的に架橋、いわゆる微架橋することが可能であり、より重合度の高い共重合体を得ることができる。
この微架橋により、粘着剤に適度の凝集性が付与されると共に接着性が高められ、剥離の際の糊残りを防止することができる。また、得られる粘着剤溶液の安定性も高くなる。
【0027】
上記組成物(III)において、多官能性単量体の添加量は、少なくなると十分な凝集効果が得られず、多くなると反応液がゲル化し易くなるか、ゲル化しなくても長時間溶液状態で安定に保つことが難しくなるので、(メタ) アクリル酸アルキルエステル100モルに対して0.001〜0.1モルが好ましく、より好ましくは0.003〜0.07モルである。
【0028】
本発明の製造方法では、上記単量体組成物及び重合溶媒を含む重合反応溶液を密閉した状態で溶液重合し、重合率90%以上に達した時点で、重合温度を重合溶媒の常圧における沸点より5℃以上高い温度に設定することにより、医療用粘着剤を得る。
【0029】
上記重合反応は、密閉された状態で行なわれる。従って、反応系を加圧することにより、重合温度を、使用する重合溶媒の常圧下における沸点以上に設定することができる。このような重合溶媒の常圧下における沸点以上の温度で重合することにより、重合反応率を高めることができ、その結果、重合時間を延長しなくても、重合後半に重合温度を高くすることにより、短時間で残存モノマーを低減することができる。
【0030】
上記重合反応は、50〜120℃の重合温度で行うのが好ましい。重合温度が、50℃未満では反応性が小さくなり、生産性が低下する。また、重合温度が、120℃を超えると反応性が大きくなり、重合反応の制御が困難となる場合がある。また、重合反応の初期では、反応速度が大きいので、重合反応を制御するために、重合温度を50〜90℃の範囲に設定するのが好ましい。
【0031】
しかし、上記重合反応の後半になると、徐々に反応速度が低下するため、残存モノマー量を固形分比で0.2重量%以下に低減させるためには、長時間の重合を必要とする。従って、本発明の製造方法では、重合反応の後半で重合率90%以上に達した時点で、重合温度を重合溶媒の常圧下での沸点より5℃以上高い温度に設定する。
【0032】
重合率90%までは、モノマー量が多く、重合反応速度が余り低下しないため、重合温度を高くする必要性は殆どない。また、重合反応の初期に重合温度を高くすると低分子量体が生成するため、得られる医療用粘着剤を貼付剤として使用すると、糊残りや糸引きなど好ましくない現象を引き起こすことがある。
【0033】
一方、重合率が90%以上になると、重合速度が遅くなるため、重合温度を高くして反応率を高くすることが効果的となる。また、重合率90%以上では、モノマー量が少ないため、低分子量体が生成して上述のような悪影響を及ぼすことがない。
【0034】
通常、重合率90%までは、上記重合温度は、温度制御性、溶媒の常圧沸点、重合開始剤等によって決定されるが、重合率90%以上では、重合溶媒の常圧における沸点より5℃以上高い温度に設定される。重合温度が、重合溶媒の常圧における沸点より5℃以上高くない場合は、残存モノマーの削減効果が小さくなる。また、重合温度が120℃より高くなると、使用される重合溶媒にもよるが、重合反応の後半で、重合溶液の粘度が高くなり、重合開始剤が重合反応溶液に均一に混合する前に分解を起こすことがあるので好ましくない。
【0035】
上記重合温度は、重合反応の前半と後半で、それぞれ異なる温度で一定に保たれてもよく、適当な時間ごとに変更されてもよい。
また、設定する重合温度が、高ければ高い程有利と考えられるが、実際には、重合溶媒や重合開始剤の種類によって、重合温度が適宜決定される。
【0036】
上記密閉された状態で溶液重合を行うために、密閉型の重合反応器が用いられる。重合反応器としては、耐圧構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、槽型、搭状、槽長状などの種々の形状の反応器を用いることができる。
【0037】
本発明の製造方法では、重合反応器内に上記(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物及び重合溶媒を供給して重合反応を行う。
この場合、単量体組成物は、所定量の構成成分を一括して供給してもよく、適当な比率で分割して供給してもよい。さらに、重合反応器内に後述の重合開始剤を添加する。重合開始剤を添加する場合は、所定量を一括して添加してもよく、分割して添加してもよい。
【0038】
上記溶液重合に用いられる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記重合反応器内を加圧するために、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスが用いるのが好ましい。
【0040】
上記重合開始剤としては、一般に用いられている熱ラジカル重合開始剤が挙げられる。上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、パーオキシカーボネート、ケトンパーオサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオサイド(ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等)、ジアシルパーオサイド、パーオキシエステル等の有機過酸化物;2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、二種以上が併用されてもよい。
【0041】
上記重合開始剤の使用量は、上記単量体組成物100重量部に対して、0.0001〜5重量部が好ましい。
【0042】
上記溶液重合では、重合溶媒として酢酸エチル(常圧における沸点77℃)が使用される場合は、重合率が90%以上になった時点で、重合温度を82〜120℃に設定するのが好ましく、より好ましくは90〜110℃である。
【0043】
本発明の製造方法によって得られる医療用粘着剤には、薬物が配合されてもよい。上記薬物としては、特に限定されず、例えば、消炎鎮痛剤、抗炎症剤、冠血管拡張剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗ヒスタミン剤、性ホルモン、脳循環改善剤、抗腫瘍剤等が挙げられる。
薬物の含有量は、薬物の種類によって異なるが、通常、粘着剤中0.1〜30重量%が好ましい。
【0044】
上記粘着剤には、必要に応じて、さらに吸収促進剤、薬物溶解剤、粘着付与剤、架橋剤、充填剤、酸化防止剤などが添加されてもよい。
【0045】
本発明の医療用粘着剤を用いて貼付剤を製造するには、粘着テープ製造の常法に従い調製することができ、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法、電子線硬化エマルジョン塗工法等を用いることができ、中でも溶剤塗工法が好ましい。
上記溶剤塗工法では、上記粘着剤に、必要に応じて、薬物及びその他の添加剤を配合し、支持体片面に塗布し、溶剤を乾燥により除去することにより、支持体上に所定の厚さの粘着剤層が形成された貼付剤を得ることができる。
また、上記粘着性組成物(必要に応じて、薬物及びその他の添加剤を含む)を剥離紙上に一旦塗工し乾燥させて粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を支持体に転写、積層してもよい。
【0046】
上記粘着剤を支持体上に塗工する場合には、バーコーター、グラビア塗工等、通常の粘着剤塗工方法が用いられる。粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、通常、20〜1000μmが好ましい。粘着剤層の厚みが、20μm未満では、必要量の薬物を含有させることが困難となり、かつ、粘着性が不十分となることがあり、1000μmを越えると、支持体付近の粘着剤層に含有される薬物が十分に拡散せず、薬物利用効率が低下する。
【0047】
上記剥離紙は、医療用粘着剤層を外気から遮断すると共に、使用時に粘着剤層が貼付部以外に貼り付くのを防止する。上記剥離紙としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムが用いられる。この剥離紙の厚みは、通常、300μm以下が好ましく、より好ましくは10〜200μmである。
【0048】
上記支持体としては、皮膚表面の動きに追随できる柔軟性と、薬物及びその他の添加剤の散逸を防ぐバリヤー性とを有するものが好適に用いられる。
このような支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリブテン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・アルキル(メタ)アクリレート共重合体等のオレフィン系(共)重合体;スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体等のスチレン系共重合体及びこれらの水添物;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン・スチレン共重合体等の塩化ビニリデン系(共)重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・エチレン共重合体、塩化ビニル・アクリル酸アルキルエステル共重合体等の塩化ビニル系(共)重合体;シリコン樹脂;ポリフッ化エチレン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体;ポリウレタン:ポリアミドなどを素材とする樹脂フィルム、織布又は不織布などの単体、及びこれらの積層体が挙げられる。
【0049】
上記支持体の形状は、特に限定されず、フィルム状、シート状、テープ状など任意の形状が使用可能である。
また、上記支持体の厚みは、使用する材料によって異なるが、フィルム状の場合は、500μm以下が好ましく、より好ましくは40〜200μmである。
【0050】
上記支持体の粘着剤層側には、必要に応じて、接着性を高めるために、予め下塗り加工、コロナ放電処理、薬品酸化処理、オゾン処理等の前処理が施されてもよい。
【0051】
【作用】
本発明の製造方法では、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物を、重合率90%以上において、重合溶媒の常圧における沸点より5℃以上高い重合温度、密閉された状態で溶液重合するため、重合開始剤の分解が促進されて、急速にラジカルが発生し、反応速度が大きくなる。
その結果、単量体組成物の反応率が高くなり、残存モノマーを短期間で削減することができる。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0053】
(実施例1〜9)
攪拌機、温度調節機、窒素ガス導入管、還流冷却管、加熱及び冷却ジャケットから構成される密閉重合反応器を使用した。
まず、重合反応器に窒素ガスをパージして重合反応器内に残存する空気を排出した後、窒素ガスを真空ポンプにて排出して真空(圧力約60mmHg)に維持した。次いで、予め窒素ガスでバブリングした、表1に示す所定量のモノマー及び酢酸エチルを重合反応器内へ吸引供給した。さらに、重合反応器内へ窒素ガスを流入し、1.5kg/cm2 の圧力で加圧した後、30rpmの回転数で攪拌し、重合反応器内を表2に示した初期温度(重合温度欄中分子で示す)に維持した。
【0054】
次に、重合開始剤溶液を、ラウロイルパーオキサイド1gを全量30mlとなるように酢酸エチルに溶解して調製し、この溶液を重合反応器のモノマー溶液に、表2に示す添加方法によって滴下し、表2に示した所定時間(全重合時間)重合を行った。重合反応終了後、固形分濃度が30重量%となるように酢酸エチルを投入して混合し、粘着剤溶液を得た。
尚、表4に示した重合率に達した時点で、重合温度を表2に示す温度(重合温度欄中分母で示す)に昇温して所定時間重合を行なった。
【0055】
(比較例1、2)
実施例1と同様な密閉重合反応器を使用し、表1に示す所定量のモノマー及び酢酸エチルを重合反応器内へ吸引供給した。重合反応の最初から最後まで還流冷却管上部を開放し、窒素気流中で表3に示す初期温度(重合温度欄中分子で示す)に維持した。次いで、実施例1と同様な重合開始剤溶液を、表3に示す添加方法によって滴下し、所定時間(全重合時間)重合を行なった。
重合反応終了後、固形分濃度が30重量%となるように酢酸エチルを投入して混合し、粘着剤溶液を得た。
尚、表4に示した重合率に達した時点で、重合温度を表3に示す温度(重合温度欄中分母で示す)に昇温して所定時間重合を行なった。
比較例1及び2は、初期温度を所定時間維持した後沸騰還流(液温77℃)させた。
【0056】
(比較例3〜6)
実施例1と同様な密閉重合反応器を使用し、表1に示す所定量のモノマー及び酢酸エチルを重合反応器内へ吸引供給し、表3に示す初期温度(重合温度欄中分子で示す)に維持した。次いで、実施例1と同様な重合開始剤溶液を、表3に示す添加方法によって滴下し、所定時間(全重合時間)重合を行なった。
重合反応終了後、固形分濃度が30重量%となるように酢酸エチルを投入して混合し、粘着剤溶液を得た。
尚、比較例3及び4は、表4に示した重合率に達した時点で、重合温度を表3に示す温度(重合温度欄中分母で示す)に昇温して所定時間重合を行なった。
比較例5及び6は、重合の初期から終了まで一定温度に維持した。
【0057】
表中、重合温度の表示は、分子(重合開始から所定時間までの温度)/分母(所定時間経過後反応終了までの温度)で示した。表中では、重合開始から所定時間までの温度を「初期温度」で表した。また、上記実施例及び比較例で得られた粘着剤中の残存モノマー量をガスクロマトグラフィーを使用して測定し、表4に示した。
【0058】
【表1】
Figure 0003730723
【0059】
【表2】
Figure 0003730723
【0060】
【表3】
Figure 0003730723
【0061】
【表4】
Figure 0003730723
【0062】
上記実施例において、いずれも、重合14〜18時間で残存モノマー量が固形分比で0.2重量%以下であったが、比較例では、いずれも残存モノマー量が固形分比で0.2重量%以上であった。
比較例1,2の開放系では、重合温度は、重合溶媒である酢酸エチルの沸点(77℃)が最大となり、残存モノマー量を短時間で削減することはできなかった。また、比較例3〜5の粘着剤溶液は、対応する実施例5〜7に比べ、溶液粘度が低く、低分子量体が多く生成していることが伺えた。
【0063】
また、粘着剤溶液を抜き出した後の、重合反応器の壁面におけるゲル付着状況を観察した。さらに、器壁に付着した残留物を除去するために、重合反応器内に酢酸エチルを投入し、3時間加熱、還流させて洗浄し、酢酸エチルを抜き出した後、残留ゲル付着状況を観察した。その結果、密閉系の全実施例及び比較例3〜6において、粘着剤溶液を抜き出した時点で重合反応器の壁面にゲルの付着は認められなかった。これに対して、比較例1,2では、粘着剤溶液を抜き出した時点で、ゲルの付着が認められ、さらに酢酸エチルで洗浄した後においても、残留ゲルが認められた。
【0064】
【発明の効果】
本発明の医療用粘着剤の製造方法は、上述の通りであり、密閉系の重合反応であり、重合速度が低下する重合反応の後半に、常圧下における重合溶媒の沸点以上の温度で重合反応を行なうことによって、重合反応率を高めることができるので、長時間の反応を行なわずに残存モノマーを低減することが可能となり、生産性を向上することができる。また、得られた医療用粘着剤は、皮膚刺激の原因となる残存モノマー量が少なく、ゲルが残留しないため、医療用貼付剤として好適に使用することができる。
【0065】
さらに、本発明では、密閉された状態で溶液重合を行うため、重合反応中の重合溶媒の蒸発還流が防止され、反応器の壁面へのゲルの付着を大幅に減少することができる。従って、粘着剤溶液を重合した後に、反応器を洗浄する工程の作業性を大幅に改善することができ、生産性を向上することができる。

Claims (5)

  1. (メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体組成物及び重合溶媒を含む重合反応溶液を密閉した状態で溶液重合し、残存モノマー量が固形分比で0.2重量%以下の医療用粘着剤を製造する際に、重合率90%までは溶媒の常圧における沸点+5℃よりも低い温度で重合を行い、重合率が90%以上に達した時点で、重合温度を重合溶媒の常圧における沸点より5℃以上高い温度に設定することを特徴とする医療用粘着剤の製造方法。
  2. 重合溶媒として酢酸エチルを用い、重合率が90%以上において設定する重合温度が82〜120℃であることを特徴とする請求項1記載の医療用粘着剤の製造方法。
  3. 単量体組成物が、アルキル基の炭素数6以上の(メタ) アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、メタクリル酸2−エチルヘキシルを40〜90重量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の医療用粘着剤の製造方法。
  4. 単量体組成物が、(メタ) アクリル酸アルキルエステル40〜99モル%とビニルピロリドン60〜1モル%とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の医療用粘着剤の製造方法。
  5. 単量体組成物が、(メタ) アクリル酸アルキルエステルと1分子中に重合性二重結合を2個以上有する多官能性単量体とからなり、(メタ) アクリル酸アルキルエステル100モルに対して、該多官能性単量体0.001〜0.1モルを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の医療用粘着剤の製造方法。
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