JP3732783B2 - 油汚染土壌の浄化処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油汚染土壌の浄化処理方法に関し、特に油汚染土壌を浄化する過程で油分に含まれる硫黄分を効率よく除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油精製プラントや油槽所等の跡地において、油で汚染された土壌(以下、「油汚染土壌」という場合がある。)を浄化処理することが、環境上や土地の有効再利用上から極めて重要になってきた。
従来から利用されている油汚染土壌の浄化処理方法には、油汚染土壌を加熱し、これに含まれる油分を気化して燃焼する物理化学的方法と、バイオレメディエーションと呼ばれる微生物を利用して油分を生物的に分解する生物学的方法等がある。
【0003】
油汚染土壌を加熱する物理化学的方法では、油汚染土壌中の油分の燃焼に際して、この油分に含まれる硫黄分が酸素と結合して(酸化され)、有害な二酸化硫黄、三酸化硫黄等の硫黄酸化物が発生するので、この硫黄酸化物を除去する対策が必要である。
このような硫黄酸化物の除去方法としては、加熱された油汚染土壌から発生した排煙に消石灰等のアルカリ粉末を吹き込むことにより排煙中の硫黄酸化物を除去する方法、排煙を石灰スラリーに気液接触させることにより排煙中の硫黄酸化物を除去する方法、排煙を液相中に溶解させて排煙中の硫黄酸化物を除去する方法などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の硫黄酸化物を除去する方法では、消石灰等を吹き込むための装置、硫黄酸化物を液相中に溶解させるための装置等の脱硫装置を設ける必要があり、これらの装置を整備するために莫大な費用がかかっていた。また、脱硫の効率も十分とはいえなかった。
本発明の目的は、多大な経費がかかる脱硫装置を設ける必要がなく、かつ従来の技術と比較してより高い脱硫効果を得られる油汚染土壌の浄化処理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、
請求項1にかかる発明は、油汚染土壌を加熱し油分を燃焼させる油汚染土壌の浄化処理方法において、油汚染土壌に予め生石灰を混合する前処理工程を設けると共に該前処理工程を油汚染土壌の掘削現場において行うことを特徴とする油汚染土壌の浄化処理方法である。
【0007】
請求項1記載の発明においては、油汚染土壌に生石灰CaOを混合したものを加熱することにより、油汚染土壌中の油分に含まれる硫黄分が酸化されて硫黄酸化物となり、この硫黄酸化物がそこに存在する生石灰と反応し、前処理工程または加熱工程において例えば以下の反応式で示されるように、消石灰Ca(OH) 2 を生成し、油汚染土壌に直接消石灰を混合した場合と同じ化学反応により石膏(硫酸カルシウムCaSO 4 )を生成する。
CaO + H 2 O → Ca(OH) 2
Ca(OH)2 + SO2 → CaSO4 + H2↑
【0008】
すなわち、油汚染土壌から揮発した油分が燃焼する際に、これに含まれる硫黄分が酸化されて二酸化硫黄などの硫黄酸化物となり、この硫黄酸化物が生石灰と反応して石膏を生成することにより、脱硫効果を得ることができる。ここで生成した石膏は無害な物質なので、土壌中に混在していても問題はなく回収の必要もない。
【0010】
特に、本発明においては、生石灰CaOを使用しているため、生石灰が油汚染土壌中の水分と水和反応し、これにより水分量が減少し、次工程の乾燥工程において、油汚染土壌の乾燥に要する熱エネルギーが減少し、好適になる。
また、油汚染土壌を掘削した現場でバックホウ等の重機などを使用して直接油汚染土壌に生石灰を添加混合するので、硫黄分除去の目的で生石灰を供給するための脱硫設備を設ける必要がない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、油汚染土壌を浄化処理するための前処理工程として、油汚染土壌を掘削した現場において前記油汚染土壌に石灰系材料を添加して混合する。ここで使用される石灰系材料としては、石灰、消石灰、生石灰等の1種または2種以上の混合物が使用されるが、特に上述のように、油汚染土壌の含水比を低減させる観点から、生石灰を用いることが好ましい。
ここでいう前処理工程とは、油汚染土壌を加熱処理部20に投入する直前までの全工程を指し、前記の他に次のような方法も考えられる。例えば、ホッパ11に投入された油汚染土壌に石灰系材料を散布する方法、フィーダ12の一端部上に落下した油汚染土壌に石灰系材料を散布し該フィーダ12の他端部に設置した旋回ブレーカ(図示せず)により解砕する方法、ベルトコンベア13上を移動する油汚染土壌に石灰系材料を散布する方法など、散布または混入する位置は限定されない。
【0012】
この石灰系材料の形状は、粉末状であることが好ましいが、これらに限定されるものではない。例えば、ベルトコンベア13上に石灰系材料を散布するような場合は、消石灰をスラリーまたは懸濁液としてノズルから散布する方法も有効である。石灰系材料の添加量は、浄化処理の対象となる油汚染土壌に含まれる油の種類や量によって異なるが、浄化処理の対象となる油汚染土壌に対する重量比で概ね1〜10%程度とされるが、この範囲に限定されることはない。
【0013】
この石灰系材料の混合は、例えば、油汚染土壌の表面に石灰系材料を人力または散布機等を使用して散布した後、バックホウ、ロードスタビライザ等を用いて前記油汚染土壌と石灰系材料とを十分に混合する方法や掘削した油汚染土壌と石灰系材料とをミキサなどで掘削現場にて混合する方法などにより行われるが、人力で混合することもできる。
【0014】
また、石灰系材料として生石灰を用いる場合は、生石灰が油汚染土壌中に含まれる水分と反応して消石灰に変化するまで、十分な時間をかけて現場に静置することが好ましい。
【0015】
ついで、このようにして油汚染土壌に石灰系材料を混合して得られた土壌(以下、「石灰処理土壌」という。)を加熱し、この土壌に含まれる油分を蒸発させ、燃焼させる。この石灰処理土壌の加熱は、種々の装置を用いて行うことができるが、なかでも、図1に示す構造の浄化処理装置を用いて行うことが好ましい。
【0016】
この浄化処理装置1は、材料搬送部10と、加熱処理部20とで構成され、この材料搬送部10は、石灰処理土壌を投入するホッパ11と、前記ホッパ11底部の開口部から落下した石灰処理土壌を搬送するフィーダ12と、前記フィーダ12の下方に位置し前記フィーダ12から落下した石灰処理土壌を搬送するベルトコンベア13とから概略構成されている。
【0017】
また、加熱処理部20は、上記材料搬送部10のベルトコンベア13により搬送された石灰処理土壌を投入するホッパ21と、前記ホッパ21底部の開口部から落下した石灰処理土壌を搬送するスクリュフィーダ22と、前記スクリュフィーダ22により搬送された石灰処理土壌を加熱乾燥させるための回転ドラム23と、前記回転ドラム23内を加熱するための乾燥用バーナ24および助燃用バーナ26と、石灰処理土壌の加熱乾燥処理後に発生する排煙を排気するための排気装置25とから概略構成されている。
【0018】
まず、油汚染土壌の掘削現場から搬送された石灰処理土壌は、浄化処理装置1の材料搬送部10のホッパ11へ投入される。ホッパ11に投入された石灰処理土壌は、ホッパ11底部の開口部からホッパ11下方に配設されたフィーダ12の一端部上に落下した後搬送され、フィーダ12、ベルトコンベア13を経て加熱処理部20の一端部にあるホッパ21に投入される。
【0019】
この加熱処理部20のホッパ21に投入された石灰処理土壌は、ホッパ21底部に配設されたスクリュフィーダ22によって搬送され、前記回転ドラム23内に投入される。
回転ドラム23の一端部および他端部には、それぞれ乾燥用バーナ24および助燃用バーナ26が設置されており、回転ドラム23内部が約200〜約750℃の高温に保たれるような構成となっている。
【0020】
また、回転ドラム23の外側底部には図示しない駆動モータ、ドラムローラおよびスラストローラからなる回転駆動装置が配設され、この回転駆動装置により回転ドラム23が1分あたり1.5〜5回回転されるようになっている。さらに、回転ドラム23は、一端部から他端部へ向かって緩やかな下り勾配で傾斜しており、回転ドラム23の一端部から投入された石灰処理土壌が順次他端部へ向かって移動するようになっている。
【0021】
また、回転ドラム23の内部は、石灰処理土壌を掻き上げながら加熱乾燥させることにより主として石灰処理土壌中の水分を除去する水分除去部30と、石灰処理土壌を高温加熱することにより主として石灰処理土壌中の油分を蒸発、燃焼して除去する油分除去部40とに区分されるように構成されている。
【0022】
さらに、水分除去部30の回転ドラム23内面には、掻上フライト31が設けられており、この掻上フライト31の先端部を鋸歯状とすることにより、掻き上げた石灰処理土壌をドラム内全体に略ベール状に落下させることができ、熱交換の効率を上げることができるようになっている。油分除去部40の回転ドラム23内面には、耐火レンガ等の耐火材41が貼られており、750℃程度の高温にも耐えられる構造となっている。
【0023】
回転ドラム23の一端部から投入された石灰処理土壌は、水分除去部30の回転ドラム23内面に設置された掻上フライト31によって掻き上げ、落下を繰り返しながら徐々に水分が乾燥し、油分が蒸発しつつ他端部へ向かって移動する。この時の回転ドラム23内部の温度は約200〜400℃程度である。石灰処理土壌は水分除去部30から油分除去部40へ移動し、さらに約400〜750℃の高温で加熱される。
【0024】
回転ドラム23の油分除去部40に送られた石灰処理土壌は、ここで高温で加熱され、土壌中に含まれる油分が完全に蒸発し、さらに燃焼することになる。この油分の燃焼の際に、油分に含まれる硫黄分は同時に酸化されて二酸化硫黄、三酸化硫黄などの硫黄酸化物となる。そして、この硫黄酸化物は、土壌表面に付着している消石灰Ca(OH)2と直ちに反応して石膏CaSO4が生成する。
【0025】
この反応は、400〜750℃の高温下で行われるため、瞬間的に進行し、かつ土壌が回転ドラム内で流動しているため、消石灰の大部分が反応に関与することとなり、極めて効率よく行われる。かくして、生成された石膏は油分が燃焼除去された土壌に混合され、排気装置25の底部から外部に排出され、浄化処理の終わった清浄な土壌を回収できる。
【0026】
排気装置25の上部からは、石灰処理土壌中の油分の燃焼排ガスが、石灰処理土壌の水分に起因する水蒸気およびバーナ24,26からの排ガスとともに排出されるが、この燃焼排ガス中の硫黄酸化物の濃度は十分低い値を示し、そのまま大気中に排出することができる。
また、石膏は無害な物質であり、土壌中に残留しても問題はなく、土壌中に混在させたまま使用することができる。また、必要に応じてこれを除去することもできる。
【0027】
以下、具体例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
本発明による脱硫効果を確認するために、従来の方法による脱硫効果との比較試験を行った。脱硫の効果は、油汚染土壌を加熱処理している装置から発生する排煙中に含まれる亜硫酸ガス濃度を測定することにより確認することとした。
【0028】
従来の方法は、現場で掘削した油汚染土壌を無処理のまま浄化装置に投入し、前記浄化装置中で加熱された油汚染土壌から発生する排煙に消石灰粉末を吹き込む方法である。
本発明の方法は、油汚染土壌の掘削現場において油汚染土壌と生石灰とを混合した石灰処理土壌を静置し生石灰の水和が完了した後、前記石灰処理土壌を上記浄化装置に投入して加熱する方法である。
【0029】
数十年にわって油槽所として使用された跡地の油汚染土壌の現場において、幅4m×長さ5m×深さ1mの範囲で油汚染土壌を掘削し、バックホウを用いて十分に混合した。混合後の油汚染土壌から各々1tずつ試料を採取し、生石灰を50kg添加して混合したものを試料A、何も添加しなかったものを試料Bとして24時間現場に静置した。この間に試料Aに添加した生石灰は土壌中の水分と反応して消石灰に変化していた。
【0030】
24時間静置後、試料Aは本発明の方法により、試料Bは従来の方法によりそれぞれ1時間加熱処理した。このとき、試料Bから発生する排煙に添加した消石灰の量は試料Aに添加された生石灰から生成した消石灰の量とほぼ同量とした。各試料の加熱処理中に浄化装置から発生する排煙中の亜硫酸ガス濃度を測定したところ、表1に示すような結果であった。
【0031】
【表1】
【0032】
以上の測定結果より、本発明の方法によれば従来の方法と比較して、より効率的に油汚染土壌中の油分に含まれる硫黄分を除去できるということが確認できた。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、油汚染土壌中の油分に含まれる硫黄分を効率よく除去できるとともに、処理対象となる油汚染土壌に直接生石灰を添加混合するので、従来の排煙脱硫技術において必要とされていた消石灰等を吹き込む装置、二酸化硫黄を液相中に溶解させるための装置等の脱硫装置を設ける必要がない。
【0034】
更に、本発明によれば、掘削した油汚染土壌をその掘削現場で(オンサイト)浄化することが可能になり、運搬等の手間、費用等が不要になる。
また、生石灰を混合することで油汚染土壌中の水分が生石灰と反応して、油汚染土壌の水分量が低下し、次工程での加熱の際に油汚染土壌を乾燥するための熱エネルギーが節約できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の浄化処理方法に好適に用いられる浄化処理装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 浄化処理装置 10 材料搬送部
11 ホッパ 12 フィーダ
13 ベルトコンベア 20 加熱処理部
21 ホッパ 22 スクリュフィーダ
23 回転ドラム 24 乾燥用バーナ
25 排気装置 26 助燃用バーナ
30 水分除去部 40 油分除去部
Claims (1)
- 油汚染土壌を加熱し油分を燃焼させる油汚染土壌の浄化処理方法において、油汚染土壌に予め生石灰を混合する前処理工程を設けると共に該前処理工程を油汚染土壌の掘削現場において行うことを特徴とする油汚染土壌の浄化処理方法。
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| JP2002008009A JP3732783B2 (ja) | 2002-01-16 | 2002-01-16 | 油汚染土壌の浄化処理方法 |
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| JP2002008009A JP3732783B2 (ja) | 2002-01-16 | 2002-01-16 | 油汚染土壌の浄化処理方法 |
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