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JP3733261B2 - スチレン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents
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JP3733261B2 - スチレン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

スチレン系樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低密度、すなわち高発泡倍率で、かつ厚肉のスチレン系樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
押出機を使用して、加熱溶融状態のスチレン系樹脂に発泡剤を圧入しつつ、金型の口金部を通して大気中に押し出して発泡させる、いわゆる押出発泡成形法によってスチレン系樹脂発泡体を製造する場合、上記発泡剤としては、ブタン、プロパンなどの炭化水素類や、あるいはメチルクロライド、エチルクロライド、1−モノクロロ−ジフルオロエタンといったハロゲン化炭化水素類などが一般的に用いられている。
【0003】
これらの発泡剤はいずれも、スチレン系樹脂に対して良好な相溶性を有し、樹脂中に均一かつ多量に含浸されるため、その密度がおよそ0.050g/cm3以下といった低密度、高発泡倍率で、かつその厚みが10mm以上といった厚肉の発泡体を、上記押出発泡成形法によって容易に製造することができる。
しかし、上記発泡剤のうち炭化水素類は可燃性を有するため、取り扱いが難しいという問題がある。また、ハロゲン化炭化水素類の中には、オゾン層に影響を及ぼすものもある。
【0004】
そこで、可燃性などを有しないために安全で、しかも環境に影響を及ぼすおそれもない、いわゆる環境にやさしい発泡剤として、窒素や二酸化炭素などのガスの利用が検討されている。
しかし、上記のうち窒素は、スチレン系樹脂に対する相溶性が著しく低く、樹脂中に均一かつ多量に含浸させることができないために、前記従来品のように低密度でしかも十分な厚みを有する発泡体を押出発泡成形することは、実質的に不可能である。
【0005】
すなわち窒素を発泡剤として用いて、押出発泡成形法によって製造される発泡体の発泡倍率を高めて密度を低下させる方法としては、押出機内部の圧力を高めて、窒素を、樹脂中に強制的に含浸させることが考えられる。
しかし、この方法によって従来品のような低密度でかつ厚肉の発泡体を得るには、押出機の、金型の口金部においてさえ、現状の押出機では得ることのできないような極めて高い圧力が必要とされ、その実現のためには、かかる高圧を発生させることができる特殊な押出機から開発しなければならないため、現状での実用化は困難である。
【0006】
一方、二酸化炭素は、窒素に比べるとスチレン系樹脂に対する相溶性が良いが、それでも炭化水素類などと比べるとその値は不十分であり、通常の条件では、従来品のような低密度でかつ厚肉の発泡体を押出発泡成形することはできない。そこで、樹脂中に圧入する二酸化炭素の量を増加させることが考えられるが、この方法では、二酸化炭素の量が多くなるほど発泡体の気泡が細かくなって、気泡を構成する膜の強度が低下するために、押出時に熱収縮が発生しやすくなり、発泡体の低密度化、厚肉化が妨げられる度合いが上昇する。
【0007】
このため、この方法の効果には限界があり、従来品のように低密度で、しかも十分な厚みを有する発泡体を製造するのは困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、上述した二酸化炭素を発泡剤として使用する系に水を併用して、低密度で高発泡倍率の、そして厚肉の発泡体を得ることを検討した。
すなわち水は、樹脂の発泡剤として使用した際に高い発泡力を有するとともに、発泡直後の発泡体を速やかに冷却して、その熱収縮などを抑制できるという特徴を有しており、このうち前者の高い発泡力を利用して、気泡が細かくなりすぎるのを防止するとともに、後者の冷却効果を利用して、発泡直後の発泡体を速やかに冷却して熱収縮を抑制してやれば、あとは二酸化炭素と水の量を調整することで、低密度でかつ厚肉の発泡体を製造できるのではないかと考えたのである。
【0009】
しかし、スチレン系樹脂の押出発泡成形に最適であるとされる150℃以下の温度領域において、水は、スチレン系樹脂などに対する分散性が著しく低いために、当該水を、上述した効果が十分に発揮される程度の量、添加すると、水の分散ムラによって発泡構造が不均一になり、内部発泡などが発生して、目的とする低密度でかつ厚肉の発泡体を得られないことが明らかとなった。
【0010】
そこでこの問題を解消するために、たとえば特表平10−506858号公報に開示された、二酸化炭素と水とを順次、加熱溶融状態の樹脂中に圧入したのち、押出発泡成形する直前に動的かく拌法によって十分に分散させる方法を採用することを検討した。
しかしこの方法を採用しても、依然として発泡構造が不均一になり、内部発泡が発生するという不具合を解消することはできなかった。
【0011】
本発明の目的は、炭化水素類やハロゲン化炭化水素類に比べて安全性が高くかつ環境にやさしい、二酸化炭素と水とを発泡剤として使用して製造され、なおかつ炭化水素類などを使用した場合と同程度に低密度、厚肉で、しかも発泡構造も均一な、新規なスチレン系樹脂発泡体の、効率的でかつ簡単な製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、発明者らは、スチレン系樹脂、二酸化炭素および水からなる系に、主にスチレン系樹脂と水との相溶性を向上させる相溶化剤を追加して、押出機中での、溶融混合状態における上記各成分の相溶性を向上させることを検討した。
【0013】
その結果、上記相溶化剤として、HLBが12〜18であるノニオン系界面活性剤を使用すると、当該ノニオン系界面活性剤の働きによって、とくに前述したようにスチレン系樹脂の押出発泡成形に適した150℃以下の温度範囲での、水の、スチレン系樹脂などとの相溶性が改善されるために、水の分散ムラによる発泡構造の不均一化の問題が解消され、たとえばその密度がおよそ0.050g/cm3以下といった低密度、高発泡倍率で、かつ厚みが10mm以上といった厚肉で、しかも発泡構造が均一なスチレン系樹脂発泡体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造方法は、溶融状態のスチレン系樹脂に、発泡剤としての二酸化炭素と水、ならびにHLBが12〜18であるノニオン系界面活性剤を、スチレン系樹脂100重量部に対する二酸化炭素の添加量W C が2.0〜6.0重量部、水の添加量W H が0.5〜2.0重量部、ノニオン系界面活性剤の添加量W S が0.1〜1.0重量部で、かつW C >W H となるように添加、混合し、押出発泡成形することを特徴とするものである。
【0015】
かかる本発明において、ノニオン系界面活性剤のHLBが12〜18に限定されるのは、HLBがこの範囲を外れるノニオン系界面活性剤では、後述する実施例、比較例の結果からも明らかなように水の、スチレン系樹脂などとの相溶性を高める効果が得られず、内部発泡などのない均一な発泡体を製造できないからである。
【0016】
なお発明者のうち二村は先に、他の発明者とともに、発泡剤として水を単独で用いて、あるいは水と、補助的にそれよりも少量の窒素とを併用して、スチレン系樹脂を押出発泡成形する系に、ノニオン系界面活性剤を加えることを提案した(特開平8−41236号公報)。
この方法によれば、同公報の第0014欄にも記載されているように、その密度が2.6×10-1g/cm3以上(0.26g/cm3以上)、厚みが3.0mm以下といった、本発明に比べて高密度でかつ薄肉の発泡シートを製造することは可能であるが、本発明のような低密度でかつ厚肉の、しかも発泡構造が均一な発泡体を得ることはできなかった。
【0017】
この理由も前記と同様である。つまり、低密度でかつ厚肉の発泡体を得るには多量の発泡剤を圧入する必要があるが、水、窒素ともに、前記のようにスチレン系樹脂に対する相溶性に乏しいために、たとえノニオン系界面活性剤を加えても発泡構造が不均一化してしまって、低密度でかつ厚肉の、しかも発泡構造が均一な発泡体を得ることはできないのである。
【0018】
なおHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)とは、界面活性剤における親水性基と親油性基との釣り合いを示す指数である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を説明する。
本発明は、前述したように押出発泡成形の発泡剤として二酸化炭素と水とを併用するとともに、相溶化剤として、HLBが12〜18であるノニオン系界面活性剤を使用すること以外は、通常の押出発泡成形と同様にして実施される。
【0020】
すなわち、加熱溶融状態のスチレン系樹脂に、発泡剤としての二酸化炭素と水、および相溶化剤としてのノニオン系界面活性剤を添加、混合し、金型の口金部を通して大気中に押し出して発泡させることによってスチレン系樹脂発泡体が製造される。
かかる製造方法を実施するための装置としては、たとえば図1に示すように第1および第2の2台の押出機を、必要に応じてミキサー60を挟んで連結したタンデム押出機が好適に使用される。
【0021】
上記タンデム押出機は、図中白矢印で示すようにホッパー11に投入されたスチレン系樹脂を、
・ まず第1押出機10内で、押出発泡成形に適した温度より高温で加熱、溶融させながら、当該押出機10の途中に設けたノズル12a、12bから、それぞれ図中実線の矢印で示すように発泡剤としての二酸化炭素(ノズル12a)と水(ノズル12b)とを圧入して、相溶化剤としてのノニオン系界面活性剤の存在下で混合しつつ、図中一点鎖線の矢印で示すようにミキサー60に連続的に供給し、
・ このミキサー60内で、所定の温度および圧力を加えながらさらに十分に溶融、混合した状態で、第2押出機20に連続的に供給し、
・ ついでこの第2押出機20内で、スクリュー20aの回転によってさらに混合しながら、押出発泡に適した所定の温度に調整したのち、
・ この第2押出機20の先端に接続した金型3の口金部31を通して、連続的に大気中に押出発泡させることで、
スチレン系樹脂発泡体を連続的に製造するためのものである。
【0022】
なお図において符号4は、金型3の口金部31から押し出されて発泡したスチレン系樹脂5の、発泡による厚み方向への膨張を規制しつつ、当該樹脂5を冷却することで、スチレン系樹脂発泡体を所定の厚みに成形するための、一対の板状の成形具である。
ノニオン系界面活性剤は、スチレン系樹脂ととともにホッパー11から投入してもよいが、水に溶解したものを、ノズル12bから水とともに圧入するのがより好ましい。
【0023】
かかる押出機を使用すると、たとえば前述した特表平10−506858号公報に開示された、二酸化炭素と水とを順次、加熱溶融状態の樹脂中に圧入したのち、押出発泡成形する直前に動的かく拌法によって十分に分散させる方法などに比べて、前記のように発泡構造が均一になるだけでなく、スチレン系樹脂発泡体の生産性が向上するという利点がある。
【0024】
すなわち特表平10−506858号公報の方法では、押出発泡に適した温度に冷却されて高粘度となった樹脂を、ミキサーなどを用いて動的かく拌しているために、かく拌に多大なエネルギーと時間とを要する。
これに対し本発明では、第1押出機10内、あるいはこの第1押出機10内とそれに続くミキサー60内で、押出発泡に適した温度に冷却する前の、それより高温で低粘度の段階で、各成分を十分に混合してしまうため、使用するエネルギーが少なくて済み、またかく拌に要する時間も短時間で済み、スチレン系樹脂発泡体の生産性が向上するのである。
【0025】
上記図1のタンデム押出機を用いた押出発泡の条件のうち、発泡剤としての水の添加量は、二酸化炭素の添加量より少量である必要がある
つまり、スチレン系樹脂100重量部に対する、二酸化炭素の添加量WC(重量部)と、水の添加量WH(重量部)とで表して、WC>WHである必要がある
【0026】
もしもこの条件を満足せず、WC≦WHである場合には、ノニオン系界面活性剤を加えているにもかかわらず、水をスチレン系樹脂に均一に分散させることができず、発泡構造が不均一化して、低密度でかつ厚肉の、しかも発泡構造が均一な発泡体を得られな
また、上記二酸化炭素と水、ならびにノニオン系界面活性剤の添加量は、それぞれスチレン系樹脂100重量部に対して下記の範囲内である必要がある
【0027】
二酸化炭素:添加量WC=2.0〜6.0重量部
水:添加量WH=0.5〜2.0重量部
ノニオン系界面活性剤:添加量WS=0.1〜1.0重量部
〔ただし、上記のうち二酸化炭素と水の添加量WC、WHは、上述したようにWC>WHである必要があるので、二酸化炭素の添加量WCが2.0重量部である場合には、水の添加量WHは2.0重量部未満である必要があり、逆に水の添加量WHが2.0重量部である場合には、二酸化炭素の添加量WCは、2.0重量部を超える範囲である必要がある。〕
二酸化炭素の添加量WCおよび/または水の添加量WHがこの範囲未満では、全体的に発泡剤の量が不足するために、低密度でかつ厚肉の発泡体を得られない。また逆に、二酸化炭素の添加量WCおよび/または水の添加量WHがこの範囲を超えた場合には、内部発泡を起こして発泡体の発泡倍率が上がらないために、やはり低密度でかつ厚肉の発泡体を得られない
【0028】
なお、低密度でかつ厚肉の、しかも発泡構造が均一な発泡体を得ることを考慮すると、二酸化炭素の添加量WCは、上記の範囲内でもとくに2.0〜4.0重量部程度であるのが好ましい。また同様の理由で、水の添加量WHは、上記の範囲内でもとくに1.0〜2.0重量部程度であるのが好ましい。
また、ノニオン系界面活性剤の添加量WSが前記の範囲未満では、当該ノニオン系界面活性剤を加えたことによる効果が不十分となって、水の分散ムラによる発泡構造の不均一化が発生す。また逆に、ノニオン系界面活性剤の添加量WSが前記の範囲を超えても、それ以上の添加効果が得られないだけでなく、過剰のノニオン系界面活性剤によって押出の吐出変動が生じて、押出成形が難しくな
【0029】
なおノニオン系界面活性剤の添加量WSは、前記の範囲内でもとくに0.1〜0.5重量部程度であるのが好ましい。
樹脂の溶融、混合温度や押出温度などは、従来と同程度に調整すればよい。
かくして製造されるスチレン系樹脂発泡体は、たとえばその密度が0.025〜0.050g/cm3、とくに0.040g/cm3以下、厚みが10〜120mm、とくに15mm以上で、かつ平均気泡径が0.10〜0.80mmという、低密度でかつ厚肉で、しかも発泡構造も均一なものとなる。
【0030】
ノニオン系界面活性剤としては、前述したようにそのHLBが12〜18であるものが使用される。かかるノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型、あるいは多価アルコール型のノニオン系界面活性剤に分類される種々の界面活性剤のうち、HLBが12〜18である種々の化合物がいずれも使用可能である。
【0031】
その具体例としてはたとえば、
アルキルおよびアルキルアリルポリオキシエチレンエーテル〔より具体的には単一鎖ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体など〕、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル〔より具体的にはアルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体など〕、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピルアルキルエーテルなどのエーテル型界面活性剤、
グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル〔より具体的にはポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油および硬化ひまし油など〕、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型界面活性剤、
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、
脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミンオキシドなどの含窒素型界面活性剤、
のいずれかであって、前記のようにHLBが12〜18である化合物が好適に使用される。
【0032】
なおノニオン系界面活性剤のHLBは、相溶化剤としての機能を考慮すると、前記の範囲内でもとくに14〜16程度であるのが好ましい。
スチレン系樹脂としてはポリスチレン、すなわちスチレンの単独重合体が最も好適に使用される他、スチレンと、他のビニルモノマーとの共重合体なども使用可能である。
【0033】
スチレンと共重合される他のビニルモノマーとしては、たとえばα−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸などがあげられる。
またスチレン系樹脂としては、発泡体の耐衝撃性などを向上するために、たとえばポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元共重合体などのジエン系のゴム状重合体を添加したゴム変性スチレン系樹脂、いわゆるハイインパクトポリスチレンを使用してもよい。
【0034】
これらスチレン系樹脂はそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
上記スチレン系樹脂としては、発泡体を良好に発泡させるために、とくに200℃での溶融流れ速度R1(g/10分)と溶融張力T1(g・f)とが、式(1)(2):
2≦R1≦10 (1)
1≧−0.65R1+11.6 (2)
で表される関係にあるものを使用するのが好ましい。
【0035】
ここでいう、200℃での溶融流れ速度(メルトフローレート:MFR)R1とは、スチレン系樹脂を、日本工業規格JIS K7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」に所載の試験方法に則って、同方法に規定された条件8(試験温度:200℃、試験荷重:5.00kgf)にて測定した値を指す。
また溶融張力T1は、(株)東洋精機製作所製のキャピログラフPMD−Cを使用して、下記の条件で測定した値である。
【0036】
試験温度:200℃
予熱時間:5分
押出速度:100mm/分
巻取り速度:12mm/分
キャピラリ:直径1.00mm、長さ10mm、流入角度45°
前述したようにスチレン系樹脂は、発泡剤としての二酸化炭素および水との親和性が低く、相溶性に乏しいことから、気泡構造が均一で、しかも厚みがあって発泡倍率の高い発泡体を製造するのは容易でない。
【0037】
しかし、200℃での溶融流れ速度と溶融張力とが前記式(1)(2)で表される関係にあるスチレン系樹脂を使用した場合には、当該樹脂が、溶融張力が高い割に発泡温度領域が低く、かつ発泡時の溶融張力が高いために、内部発泡の発生を確実に防止することができる。したがって前記のように低密度、高発泡倍率で、かつ厚肉である上、気泡構造も均一なスチレン系樹脂発泡体を、良好に製造することが可能となる。
【0038】
なおスチレン系樹脂として、溶融流れ速度R1が10g/10分を超える、つまり溶融張力T1が低い樹脂を使用した場合には、発泡温度領域が低くなるので、樹脂中に、二酸化炭素をより多量に溶解できるものの、上記樹脂が、高発泡に耐え得るだけの溶融張力を有しないことや、あるいは発泡温度領域が低いために、発泡して冷却されるとすぐにビカット軟化点以下になってしまうことから、発泡体の発泡倍率を前記のように高くできないおそれがある。
【0039】
また逆に、溶融流れ速度R1が2g/10分未満である、すなわち溶融張力T1が高いスチレン系樹脂を使用した場合には、発泡温度領域が高くなり、樹脂への二酸化炭素の溶解量が少なくなるために、やはり発泡倍率を高くできないおそれがある。
さらに、溶融流れ速度R1と溶融張力T1とが前記式(2)を満足せず、
1<−0.65R1+11.6
である場合には、溶融流れ速度の割に溶融張力が低いので、発泡直後に内部発泡が発生しやすくなる。したがってこの場合にもやはり、高い発泡倍率を有する厚肉のスチレン系樹脂発泡体を製造できないおそれがある。
【0040】
なおスチレン系樹脂の溶融流れ速度R1は、前記式(1)の範囲内でもとくに4〜7g/10分の範囲内であるのが好ましい。また溶融張力T1は、前記式(2)の範囲内でもとくに
1≦−0.65R1+15
であるのが好ましい。
スチレン系樹脂には、気泡構造の均一化をさらに増進させるために、発泡核剤(気泡調整剤)を添加してもよい。発泡核剤としては、たとえばタルク、炭酸カルシウム、クレー、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ガラスビーズ、ガラスパウダー、酸化チタン、カーボンブラック、無水シリカ、ケイ酸カルシウムなどの無機微粉末があげられる。発泡核剤の粒径は50μm以下、とくに10〜30μm程度が好ましい。また発泡核剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して0.1〜1重量部程度であるのが好ましい。
【0041】
またスチレン系樹脂には、たとえば着色剤、難燃剤、滑剤(炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などの各種ワックス類、金属石けん類、シリコーン油、低分子量ポリエチレンなど)、展着剤(流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ポリブテンなど)、分散剤などの各種添加剤を添加してもよい。これら添加剤は、発泡体を製造する際の妨げとならず、かつ製造される発泡体の特性に影響を及ぼさない範囲で添加される。
【0042】
また押出発泡成形用の金型3として、図1および図2(a)に示すように、樹脂押出流路30と口金部31とが連通して配置されているとともに、上記樹脂押出流路30の、スチレン系樹脂発泡体の厚み方向に対応する方向の幅S2と、口金部31の、同方向の幅S1との比S2/S1が、式(3):
40≦S2/S1≦100
の範囲内にあるものを使用した場合には、とくにスチレン系樹脂として前記の特性を有するものを用いることによって、発泡核剤の添加量を前述した範囲より減少させるか、または発泡核剤を全く添加せずに、同様の良好な発泡体を製造することが可能となり、焼却時の灰分を減少できるという利点がある。
【0043】
すなわち、かかるディメンジョンを有する金型3を使用した場合には、樹脂押出流路30の先に配置された、当該流路30の幅S2よりも狭い幅S1と、所定の長さ(ランド長さ)L1とを有する口金部31によって、押出機20の内部の圧力が、口金部31の先端まで、二酸化炭素の溶解に必要な高圧に維持されるため、二酸化炭素の樹脂への溶解量を増加させて、発泡体の発泡倍率を高くし、かつ気泡構造を均一化することができる。
【0044】
また、上記の効果から明らかなように口金部31の幅S1とランド長さL1とを調整することで、第2押出機20の内部の圧力を自在に調整できるという利点もある。
さらに、上記口金部31の手前に設けた樹脂押出流路30の幅S2が、当該流路30内のスチレン系樹脂に、口金部31から大気中へ押出後、前述したような厚肉に発泡するように、形状的な記憶を持たせるためにも機能する。
【0045】
したがって上記金型3を使用することによって、所定量の発泡核剤を添加した場合と同程度に気泡構造が均一で、かつ前記のように低密度、高発泡倍率であり、しかも厚肉のスチレン系樹脂発泡体を、発泡核剤の添加量をこれまでよりも減少させるか、または発泡核剤を全く添加せずに、良好に製造することが可能となる。
【0046】
なお上記の金型3において、比S2/S1が100を超えた場合には、金型3内で樹脂が流れない部分が発生して、未発泡樹脂が発生するおそれがある。また比S2/S1が40未満である場合には、上記の説明から明らかなように、厚肉のスチレン系樹脂発泡体を、良好に製造できないおそれがある。比S2/S1は、これらの問題点を回避して、良好な成形を行うことを考慮すると、前記の範囲内でもとくに60〜80の範囲内であるのが好ましい。
【0047】
また図の例の金型3は、樹脂押出流路30と口金部31とをテーパー面32で繋いでいるが、たとえば図2(b)に示したように、樹脂押出流路30と口金部31とを垂直面33で繋いでもよい。
【0048】
【実施例】
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
なお以下の実施例、比較例で製造した板状スチレン系樹脂発泡体の密度は、単位体積あたりの重量を実測して算出した。また平均気泡径は、走査型電子顕微鏡〔日本電子(株)製のJSM T−300〕を用いて、ASTM D2842−69に所載の測定方法に準拠して測定した。すなわち、押出発泡成形された発泡体の、樹脂の流れ方向(MD)、幅方向(TD)および厚み方向(VD)の、それぞれの気泡径を測定し、その測定値を算術平均して平均気泡径を求めた。
【0049】
実施例1
下記の各成分をドライブレンドして混合物を調製した。
Figure 0003733261
つぎにこの混合物を、第1および第2の2台の押出機が、ピンミキサーを挟んで連結されたタンデム押出機の、第1押出機のホッパーに供給し、当該第1押出機内で、混合温度200℃で溶融、混合したのち、この第1押出機の途中に設けた2つのノズルから、それぞれ第1押出機内に、発泡剤としての二酸化炭素と、発泡剤としての水に相溶化剤としてのポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB=16)を溶解した溶液とを圧入、添加した。
【0050】
上記各成分の添加量は、それぞれポリスチレン100重量部あたり、二酸化炭素が3.8重量部、水が1.5重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが0.3重量部であった。
つぎに、圧入後の溶融混合物を引き続き、第1押出機内でしばらく溶融、混合したのちピンミキサーに連続的に供給し、当該ピンミキサー内で、混合温度180℃、混合圧力200kg/cm2、回転速度60rpmの条件でさらに十分に溶融、混合した。
【0051】
そしてこの溶融混合物を、ピンミキサーから第2押出機に連続的に供給し、当該第2押出機内で、押出発泡に適した温度である130℃まで均一に冷却したのち、この第2押出機の先端に接続した、リップ幅W=50mm、厚みt=1.4mmのスリット状の金型を通して大気中に連続的に押し出して発泡させるとともに、30mmの間隔に配置した一対の板状の成形具間を通して、その厚みが上記成形具の間隔と同じ30mmになるように矯正しつつ冷却してスチレン系樹脂発泡体を製造した。
【0052】
得られた発泡体の密度は0.030g/cm3、平均気泡径は0.6mmであった。
実施例2
相溶化剤として、HLBが12.6であるポリオキシエチレンラウリルエーテル0.3重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、厚み30mmのスチレン系樹脂発泡体を製造した。
【0053】
得られた発泡体の密度は0.032g/cm3、平均気泡径は0.5mmであった。
比較例1
相溶化剤としてのノニオン系界面活性剤を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、スチレン系樹脂発泡体を製造しようとしたが、内部発泡が発生して、内部構造の均一な発泡体を得ることはできなかった。
【0054】
比較例2
相溶化剤として、HLBが9.0であるポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル0.3重量部を使用したこと以外は実施例1と同様にして、スチレン系樹脂発泡体を製造しようとしたが、内部発泡が発生して、やはり内部構造の均一な発泡体を得ることはできなかった。
【0055】
以上の結果を表1にまとめる。
【0056】
【表1】
Figure 0003733261
【0057】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明によれば、炭化水素類やハロゲン化炭化水素類に比べて安全性が高くかつ環境にやさしい、二酸化炭素と水とを発泡剤として使用して、なおかつ炭化水素類などを使用した場合と同程度に低密度、厚肉で、しかも発泡構造も均一な、新規なスチレン系樹脂発泡体を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法を実施するための押出機の一例を示す概略図である。
【図2】同図(a)(b)はともに、上記押出機に使用される金型の一例を示す断面図である。

Claims (3)

  1. 溶融状態のスチレン系樹脂に、発泡剤としての二酸化炭素と水、ならびにHLBが12〜18であるノニオン系界面活性剤を、スチレン系樹脂100重量部に対する二酸化炭素の添加量W C が2.0〜6.0重量部、水の添加量W H が0.5〜2.0重量部、ノニオン系界面活性剤の添加量W S が0.1〜1.0重量部で、かつW C >W H となるように添加、混合し、押出発泡成形することを特徴とするスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 第1および第2の2台の押出機を連結したタンデム押出機を使用して、まずそのうち第1押出機内で、押出発泡に適した温度より高温で、溶融状態のスチレン系樹脂に、発泡剤としての二酸化炭素と水とを加えて、ノニオン系界面活性剤の存在下で均一に混合し、ついでこの混合物を、第2押出機内で、押出発泡に適した温度に調整したのち押出発泡成形する請求項1記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
  3. 第1押出機と第2押出機との間にミキサーを設け、第1押出機で得られた混合物をさらに、このミキサーで溶融、混合したのち第2押出機に供給する請求項2記載のスチレン系樹脂発泡体の製造方法。
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